(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.実施形態
A−1.装置構成
図1は、本発明の一実施形態としての紙幣識別装置10の概略構成および紙幣BLの構成を示す説明図である。
図1(A)は、紙幣識別装置10の構成を模式的に示す断面図であり、
図1(B)は、紙幣識別装置10において取り扱われる紙幣BLの構成を模式的に示す断面図である。
図1(A)に示す紙幣識別装置10は、紙幣BLを1枚ずつ連続で搬送し、紙幣BLの表面を光学的に読み取って、紙幣の金種および真偽を識別する。本実施形態では、紙幣識別装置10は、現金自動預払機(ATM:Automated Teller Machine)に内蔵されて用いられる。なお、ATMに代えて、紙幣計数機や、精算機、券売機等、紙幣を取り扱う各種の機器に内蔵されて用いられてもよい。図中で、互いに直行するX軸およびY軸は水平面と平行であり、+Z方向は鉛直上方向を示し、−Z方向は鉛直下方を示す。白抜きの矢印で示す搬送方向ddは、紙幣識別装置10における紙幣BLの搬送方向を意味し、本実施形態では、Y軸と平行である。
【0011】
図1(B)に示す紙幣BLは、真券であり、表面のうち一方の面にモーションスレッドMを有している。モーションスレッドMは、印刷画像M1と、マイクロレンズアレイM2とを備える。印刷画像M1は、紙幣BLに印刷されている微小画像である。マイクロレンズアレイM2は、複数のマイクロレンズを有し、樹脂製のシートで構成されている。マイクロレンズアレイM2の個々のレンズは、印刷画像M1における所定の場所を結像させることで、所定の模様(以下、「アイコン」とも呼ぶ)が見えるように構成されている。すなわち、印刷画像M1は、マイクロレンズアレイM2が無い状態で見た場合に、何ら有意な模様を有しないが、マイクロレンズアレイM2を通して見た場合には、所定の場所が結像されるために、アイコンを有することとなる。
図1(B)では、紙幣BL上に現れるアイコンとして、円形の模様と三角形の模様とが交互に並んだアイコン群ICを模式的に示している。紙幣BLを傾けることにより、アイコン群ICのうち、円形の模様部分が結像して円形のアイコンのみが見えたり、三角形の模様部分が結像して三角形のアイコンのみが見えたりする。なお、図示しないが、印刷画像M1とマイクロレンズアレイM2との間には、樹脂製の光学スペーサーが配置されており、紙幣BLと印刷画像M1とマイクロレンズアレイM2とは、一体となっている。なお、偽券では、マイクロレンズアレイM2が省略されたり、モーションスレッドM全体が省略されたりしている。
【0012】
紙幣識別装置10は、挿入検知センサ20と、搬送路30と、複数のギア40と、複数の搬送ローラ50と、回転検知部60と、制御部70と、厚みセンサ80と、光学センサ部100とを備える。
【0013】
挿入検知センサ20は、紙幣BLの挿入口近傍に配置され、紙幣識別装置10の内部に紙幣BLが挿入されたことを検知する。本実施形態では、挿入検知センサ20は、搬送路30を挟んで対向する発光ダイオードとフォトトランジスタとで構成されている。搬送路30は、紙幣識別装置10内において、紙幣BLの搬送経路として機能する。複数のギア40は、上位装置であるATM(不図示)から供給される動力により駆動して、複数の搬送ローラ50を回転させる。複数の搬送ローラ50は、搬送路30に沿って配置されており、Y軸方向(搬送方向dd)に紙幣BLを搬送する。回転検知部60は、搬送ローラ50の回転を検知する。制御部70は、不図示のCPUやメモリ等から構成されるコンピュータであり、紙幣識別装置10における各種の動作を制御する。厚みセンサ80は、搬送路30を搬送される紙幣BLの厚みを検出する。本実施形態では、厚みセンサ80は、搬送路30を挟んで対向する一対の金属製ローラと、金属製ローラの鉛直上方に位置するコイルとで構成される渦電流式変位センサである。なお、渦電流式変位センサに代えて、静電容量式センサ等の他の任意の方式のセンサを厚みセンサ80として用いてもよい。
【0014】
制御部70は、画像生成部71と、模様識別部72と、特定部73とを備える。画像生成部71は、後述する第1の画像および第2の画像を生成する。模様識別部72は、第1の画像および第2の画像に、それぞれモーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれているか否かを識別する。特定部73は、モーションスレッドMの有無を特定する。
【0015】
図2は、光学センサ部100の概略構成を示す斜視図である。光学センサ部100は、2つのセンサ部(第1センサ部101および第2センサ部102)を備えている。2つのセンサ部101,102は、互いに上下反転した構成を有するので、第1センサ部101を代表して説明する。2つのセンサ部101,102は、搬送方向ddに沿って所定の距離dyだけ離れて配置されている。本実施形態において、距離dyは、紙幣BLの短手方向の長さよりも短い。なお、距離dyを紙幣BLの短手方向の長さと同じまたはそれ以上の長さとしてもよい。第1センサ部101は、搬送方向ddの下流側に位置し、第2センサ部102は、搬送方向ddの上流側に位置している。
【0016】
第1センサ部101は、第1の導光体光源110と、第1のロッドレンズアレイ130と、第1のラインセンサ150とを備えている。第1の導光体光源110と第1のロッドレンズアレイ130と第1のラインセンサ150とは、いずれも、柱状の外観形状を有して長手方向がX軸方向と平行となるように配置されている。また、第1の導光体光源110と第1のロッドレンズアレイ130と第1のラインセンサ150とは、いずれも短手方向の中心がZ軸方向に沿って並ぶように配置されている。具体的には、第1の導光体光源110が最も+Z方向(鉛直上方)に位置し、第1のラインセンサ150が最も−Z方向(鉛直下方)に位置し、第1のロッドレンズアレイ130が第1の導光体光源110と第1のラインセンサ150との間に位置するように配置されている。第1の導光体光源110と第1のロッドレンズアレイ130との間、および第1のロッドレンズアレイ130と第1のラインセンサ150との間には、それぞれ所定の距離だけ空隙が設けられている。第1の導光体光源110と第1のロッドレンズアレイ130との間の空隙のZ軸方向に沿った距離dzは、紙幣BLの厚みよりも長い。
図2に示すように、第1の導光体光源110と第1のロッドレンズアレイ130との間の空隙は、搬送路30の一部を形成している。
【0017】
第1の導光体光源110は、下方に向かって(搬送路30に向かって)拡散光を照射する。第1の導光体光源110の詳細構成については、後述する。
【0018】
第1のロッドレンズアレイ130は、Z軸方向と平行な方向に光軸中心を有する棒状の複数のレンズが、X軸方向に配列された構造を有する。第1のロッドレンズアレイ130は、搬送路30を挟んで第1の導光体光源110と対向している。第1のロッドレンズアレイ130は、第1の導光体光源110から照射され紙幣BLを透過した光(以下、「第1の透過光」と呼ぶ)を、第1のラインセンサ150に結像させる。
【0019】
第1のラインセンサ150は、第1のロッドレンズアレイ130を介して受光した第1の透過光を、電気信号に変換して制御部70に送る。第1のラインセンサ150は、X軸方向を主走査方向とし、Y軸方向(搬送方向)を副走査方向とするセンサであり、フォトダイオードにより構成されている。なお、フォトダイオードに代えて、フォトトランジスタ等の他の受光素子を用いてもよい。
【0020】
本実施形態において、第1センサ部101を構成する各部品(第1の導光体光源110、第1のロッドレンズアレイ130、第1のラインセンサ150)のX軸方向に沿った長さは、紙幣BLの長手方向の長さとほぼ等しく、紙幣BLの表面全体を撮像できるように構成されている。
【0021】
図3は、第1の導光体光源110の詳細構成を示す斜視図である。第1の導光体光源110は、導光体111と、拡散反射塗料112と、2つのLED113とを備える。
【0022】
導光体111は、X軸方向に延びる凸面111tを有する樹脂製のシリンドリカルレンズで構成され、凸面111tが第1のロッドレンズアレイ130と対向するように配置されている。なお、樹脂に代えて、ガラス等の他の透明性の高い材料を用いてもよい。拡散反射塗料112は、導光体111において、凸面111tに対向する平面の全体に亘って塗布されており、光の拡散体として機能する。2つのLED113は、導光体111の+X方向の端面および−X方向の端面にそれぞれ対向して配置されている。2つのLED113は、導光体111に向かって可視光をそれぞれ照射する。なお、可視光に代えて、他の波長の光(赤外光や紫外光)を照射してもよい。
【0023】
上述したように、第2センサ部102の構成は、上述した第1センサ部101の構成を上下反転させた構成を有する。第2センサ部102において、第2の導光体光源120は、第1センサ部101の第1の導光体光源110に対応する。同様に、第2センサ部102において第2のロッドレンズアレイ140は第1センサ部101の第1のロッドレンズアレイ130に、第2センサ部102において第2のラインセンサ160は第1センサ部101の第1のラインセンサ150に、それぞれ対応する。したがって、第2センサ部102の第2の導光体光源120は、上方に向かって(搬送路30に向かって)拡散光を照射する。また、第2センサ部102の第2のロッドレンズアレイ140は、搬送路30を挟んで第2の導光体光源120と対向する。加えて、第2のロッドレンズアレイ140は、第2の導光体光源120から照射され紙幣BLを透過した光(以下、「第2の透過光」と呼ぶ)を、第2のラインセンサ160に結像させる。また、第2のラインセンサ160は、受光した第2の透過光を、電気信号に変換して制御部70に送る。
【0024】
本実施形態において、紙幣BLは請求項における紙葉類に相当し、紙幣識別装置10は請求項における紙葉類識別装置に相当する。また、第1の導光体光源110は請求項における第1の光源部に、第2の導光体光源120は請求項における第2の光源部に、第1のラインセンサ150は請求項における第1のセンサに、第2のラインセンサ160は請求項における第2のセンサに、搬送路30は請求項における搬送部に、それぞれ相当する。
【0025】
A−2.紙幣識別装置10の全体動作
図4は、光学センサ部100を紙幣BLが通過する様子を説明する斜視図である。紙幣識別装置10の全体動作について、
図1および
図4を参照しながら説明する。本実施形態において、紙幣BLは、X軸方向が長手方向、Y軸方向が短手方向となるように紙幣識別装置10内に挿入される。また、紙幣BLは、モーションスレッドMを有する面が鉛直上方を向いた状態で搬送路30を搬送される。なお、紙幣BLは、X軸方向が短手方向、Y軸方向が長手方向となるように挿入および搬送されてもよい。
【0026】
紙幣BLが紙幣識別装置10に挿入されると、挿入検知センサ20は紙幣BLの挿入を検知する。挿入検知センサ20は制御部70に挿入検知を示す信号を送り、制御部70は図示しない上位装置(ATM)の制御部に同様の信号を送る。上位装置の制御部は、上位装置内部が有する駆動モータによりギア40を駆動させ、これにより搬送ローラ50が回転する。回転検知部60は、搬送ローラ50の回転を検知し、制御部70に回転検知を示す信号を送る。制御部70は、回転検知部60から回転検知を示す信号を受信すると、搬送ローラ50の回転に同期した光源点灯信号およびラインセンサ駆動信号を、光学センサ部100に送る。これにより、第1の導光体光源110および第2の導光体光源120が点灯するとともに、第1のラインセンサ150および第2のラインセンサ160が駆動する。
【0027】
第1の導光体光源110および第2の導光体光源120は、搬送路30上を搬送される紙幣BLに向かってそれぞれ光を照射する。第1の導光体光源110から照射され、紙幣BLを透過した第1の透過光は、第1のロッドレンズアレイ130に導かれ、第1のラインセンサ150に受光される。第1のラインセンサ150は、受光した第1の透過光を電気信号に変換して画像生成部71に送信する。同様に、第2の導光体光源120から照射され、紙幣BLを透過した第2の透過光は、第2のロッドレンズアレイ140に導かれ、第2のラインセンサ160に受光される。第2のラインセンサ160は、受光した第2の透過光を電気信号に変換して画像生成部71に送信する。画像生成部71は、第1の透過光の信号に基づいて第1の画像を生成し、第2の透過光の信号に基づいて第2の画像を生成する。模様識別部72は、生成された第1の画像および第2の画像に、それぞれモーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれているか否かを識別する。特定部73は、模様識別部72の識別結果に基づき、モーションスレッドMの有無を特定する。モーションスレッドMの有無の特定については、後述する
図11において詳細に説明する。特定部73により特定されたモーションスレッドMの有無は、紙幣BLの真偽判定に利用される。具体的には、例えば、モーションスレッドMが無いと特定されると、紙幣BLは偽券であると判定される。また、モーションスレッドMが有ると特定されると、他の条件(後述の厚みに関する条件等)の具備を前提として真券であると判定される。
【0028】
厚みセンサ80は、搬送される紙幣BLの厚みを検出する。紙幣BLが厚みセンサ80における一対の金属製ローラに挟まれると、一対の金属製ローラのうち搬送路30の鉛直上方に位置する金属製ローラが、紙幣BLの厚みに応じて上下する。金属製ローラが上下することで、金属製ローラと、金属製ローラの鉛直上方に位置するコイルとの距離が変化し、コイルに流れる電流が変化する。厚みセンサ80は、コイルに流れる電流を信号に変換して制御部70に送信する。制御部70は、厚みセンサ80から受信した信号に基づき、紙幣BLの厚みを算出する。制御部70により算出された紙幣BLの厚みは、枚数判定(複数の紙幣BLが重なって搬送されていないか)と、紙幣BLの真偽判定(所定の厚みであるか否か)とに利用される。
【0029】
A−3.光路
図5および
図6は、第1の導光体光源110における光路を説明する断面図である。
図5は、第1の導光体光源110をX−Z平面で切断したときの断面を示す。
図6は、第1の導光体光源110をY−Z平面で切断したときの断面を示す。図中において破線で示す矢印は、2つのLED113から照射された光が導光体111を通過して拡散反射塗料112に到達するまでの光路を示している。図中において実線で示す矢印は、拡散反射塗料112で反射された光が導光体111を通過して凸面111tから出射されるまでの光路を示している。2つのLED113から照射された光は、導光体111の拡散反射塗料112により拡散反射するため、拡散光となって凸面111tから出射される。「拡散光」とは、複数の射出点から様々な方向に射出される光を意味する。
図5に示すように、拡散反射塗料112は、反射光の射出点を複数形成する。
【0030】
図7は、第1の導光体光源110から紙幣BLに向かって光が照射された場合の光路を説明する模式図である。図では、紙幣BLの表面のうちモーションスレッドMを有する面に光が照射されている。図中の矢印は、光路を示す。第1の導光体光源110から照射された拡散光は、あらゆる方向からマイクロレンズアレイM2に入射する。その後、マイクロレンズアレイM2により屈折された光は、あらゆる方向に進み、印刷画像M1の表面全体を照らす。このとき、印刷画像M1における所定の場所が結像されないため、第1のラインセンサ150には、アイコンが結像されない。したがって、第1の画像には、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれない。
【0031】
図8は、第2の導光体光源120から紙幣BLに向かって光が照射された場合の光路を説明する模式図である。図では、紙幣BLの表面のうちモーションスレッドMを有しない面に光が照射されている。紙幣BLの表と裏の方向が
図7に示す方向と同じであれば、第2の導光体光源120は、紙幣BLにおけるモーションスレッドMを有しない面に光を照射することになる。図中の矢印は、光路を示す。第2の導光体光源120から照射された拡散光は、あらゆる方向から紙幣BL(印刷画像M1)に入射する。その後、印刷画像M1を透過した光は、マイクロレンズアレイM2によって屈折されて、第2のロッドレンズアレイ140を通って第2のラインセンサ160に到達する。光がマイクロレンズアレイM2によって屈折されることにより、第2のラインセンサ160には所定のアイコン(図では、円形のアイコン)が結像される。したがって、第2の画像には、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれる。
【0032】
図9は、第1画像の例を示す説明図である。
図10は、第2画像の例を示す説明図である。
図9に示すように、第1画像には、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれていない。他方、
図10に示すように、第2画像には、モーションスレッドMが有する所定のアイコン(図では、円形のアイコン)が含まれている。このように、第1画像および第2画像は、アイコンの有無の点で互いに異なる。
【0033】
本実施形態において、紙幣BLが裏表逆の状態で紙幣識別装置10に挿入された場合、第1の画像にはモーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれ、第2の画像にはモーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれないこととなる。以上のことから、第1の画像と第2の画像とのうち、いずれか一方のみに所定のアイコンが含まれている場合に、紙幣BLがモーションスレッドMを有すると特定することができる。
【0034】
A−4.モーションスレッドMの有無の特定
図11は、モーションスレッドMの有無を特定する処理の手順を示すフローチャートである。紙幣識別装置10では、電源オンの後、モーションスレッドMを特定する処理が実行される。制御部70は、挿入検知センサ20の検知結果に基づき、紙幣BLが紙幣識別装置10に挿入されたか否かを判定する(ステップS205)。紙幣BLが挿入されたと判定された場合(ステップS205:YES)、制御部70は、搬送ローラ50を回転させ、第1の導光体光源110および第2の導光体光源120を点灯させ、第1のラインセンサ150および第2のラインセンサ160を駆動させる(ステップS210)。なお、ステップS210の各処理の詳細手順は、上述した「A−2.紙幣識別装置10の全体動作」に記載された手順と同じであるので、詳細な説明を省略する。
【0035】
光学センサ部100は、紙幣BLに光を照射するとともに、紙幣BLを透過した透過光をラインセンサで受光する(ステップS215)。画像生成部71は、第1のラインセンサ150における第1の透過光の受光に基づき、第1の画像を生成する(ステップS220)。画像生成部71は、第2のラインセンサ160における第2の透過光の受光に基づき、第2の画像を生成する(ステップS225)。
【0036】
模様識別部72は、生成された第1の画像に、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれているか否かを識別する(ステップS230)。所定のアイコンが含まれていると識別された場合(ステップS230:YES)、模様識別部72は、生成された第2の画像に、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれているか否かを識別する(ステップS235)。他方、生成された第1の画像に、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれていないと識別された場合(ステップS230:NO)も、模様識別部72は、生成された第2の画像に、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれているか否かを識別する(ステップS240)。
【0037】
ステップS235において、所定のアイコンが含まれていないと識別された場合(ステップS235:NO)、第1の画像と前記第2の画像とのうち、いずれか一方のみに所定のアイコンが含まれていることとなる。このため、特定部73は、紙幣BLがモーションスレッドMを有すると特定する(ステップS250)。同様に、ステップS240において、所定のアイコンが含まれていると識別された場合(ステップS240:YES)も、第1の画像と第2の画像とのうち、いずれか一方のみに所定のアイコンが含まれていることとなる。このため、特定部73は、紙幣BLがモーションスレッドMを有すると特定する(ステップS250)。
【0038】
ステップS235において、所定のアイコンが含まれていると識別された場合(ステップS235:YES)、第1の画像および第2の画像のいずれにも所定のアイコンが含まれていることとなる。このため、特定部73は、紙幣BLがモーションスレッドMを有しないと特定する(ステップS245)。第1の画像および第2の画像のいずれにも所定のアイコンが含まれている場合としては、紙幣BLがマイクロレンズアレイM2を有さず、かつ、所定のアイコンが、マイクロレンズアレイM2無しでも特定可能に紙幣BLに印刷されている場合が想定される。
【0039】
ステップS240において、所定のアイコンが含まれていないと識別された場合(ステップS240:NO)、第1の画像および前記第2の画像のいずれにも所定のアイコンが含まれていないこととなる。このため、特定部73は、紙幣BLがモーションスレッドMを有しないと特定する(ステップS255)。第1の画像および前記第2の画像のいずれにも所定のアイコンが含まれていない場合としては、紙幣BLがマイクロレンズアレイM2を有さず、かつ、アイコンが紙幣BLに印刷されていない場合が想定される。
【0040】
以上説明した本実施形態の紙幣識別装置10では、第1の画像と第2の画像とのうち、いずれか一方のみに所定のアイコンが含まれている場合に、紙幣BLがモーションスレッドMを有すると特定するので、モーションスレッドMの有無の特定精度を向上させることができる。すなわち、アイコンの有無により2つの画像が互いに異なる画像となる場合に、紙幣BLがモーションスレッドMを有すると特定するので、2つの画像におけるアイコンの位置を比較する手法と比べて、モーションスレッドMの有無の特定精度を向上させることができる。
【0041】
紙幣BLは紙幣識別装置10内で連続的に高速搬送されるために撓みや位置ずれが生じ易いので、2つの画像におけるアイコンの位置を比較する手法では、紙幣BLの搬送時の位置ずれを考慮する必要がある。しかしながら、本実施形態の紙幣識別装置10では、アイコンの有無という明確な差に基づいてモーションスレッドMの有無を特定するので、紙幣BLの搬送時の位置ずれを考慮する必要がない。このため、画像処理を容易に行なうことができ、紙幣識別装置10の負荷を低減させることができることに加えて、モーションスレッドMの有無を迅速に特定することができる。また、第1導光体光源110および第2の導光体光源120として、拡散体が付加された導光体を用いることにより、装置構成を簡略化することができる。さらに、第1の導光体光源110および第2の導光体光源120は、いずれも拡散光を照射するので、挿入される紙幣BLの裏表に関わらずモーションスレッドMの有無を特定することができる。すなわち、モーションスレッドMを有する面が鉛直上方を向いて搬送された場合と、鉛直下方を向いて搬送された場合とのいずれにおいても、一方の画像のみにモーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれている場合に、紙幣BLがモーションスレッドMを有すると特定できる。
【0042】
モーションスレッドMは、紙幣BLを傾けることにより、アイコンが動いて見えるものや、異なるアイコンが見えるもの、アイコンが浮き上がって見えるもの等、様々な種類のものが知られている。本実施形態の紙幣識別装置10では、アイコンの有無という明確な差に基づいてモーションスレッドMの有無を特定するので、紙幣BLがいずれの種類のモーションスレッドMを有する場合であっても、モーションスレッドMの有無を精度よく特定することができる。
【0043】
B.比較例
図12は、比較例における点光源310から紙幣BLに向かって光が照射された場合の光路を説明する模式図である。図中の矢印は、光路を示す。点光源310は、紙幣BLの表面のうちモーションスレッドMを有する面に光を照射する。ロッドレンズアレイ330は、紙幣BLを透過した透過光をラインセンサ350に結像させる。点光源310から照射されマイクロレンズアレイM2により屈折された光は、印刷画像M1における所定の場所を結像する。このため、点光源310と対向するラインセンサ350には、所定のアイコン(図では、円形のアイコン)が結像される。したがって、点光源310を用いて、紙幣BLの表面のうちモーションスレッドMを有する面に光を照射する場合に得られる画像には、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが必ず含まれる。なお、比較例の構成において、紙幣BLの表面のうちモーションスレッドMを有する面とは反対面に光を照射した場合、上述の実施形態と同様に、得られる画像には所定のアイコンが含まれる。したがって、比較例の構成では、第1の画像と第2の画像とのいずれにおいても所定のアイコンが含まれることとなる。ここで、モーションスレッドMに代えて所定のアイコンが印刷された偽券が用いられた場合にも、比較例の構成では、第1の画像と第2の画像とのいずれにおいても所定のアイコンが含まれることとなる。それゆえ、比較例の構成では、紙幣BLにおけるモーションスレッドMの有無を特定できない場合が起こり得る。
【0044】
これに対して、上述した実施形態における紙幣識別装置10によれば、第1の導光体光源110および第1の導光体光源110は、いずれも拡散光を照射する。このため、モーションスレッドMを有する紙幣BLについては、上述したように第1の画像と第2の画像とのうち一方の画像にのみ所定のアイコンが含まれる。ここで、モーションスレッドMに代えて円形のアイコンが印刷された偽券が用いられた場合、実施形態の構成では、第1の画像と第2の画像とのいずれにおいても所定のアイコンが含まれる。したがって、実施形態の紙幣識別装置10によれば、紙幣BLにおけるモーションスレッドMの有無を確実に特定することができる。
【0045】
C.変形例
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0046】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するためのプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよく、装置外部のコンピュータにより実現してもよい。各機能を実現するためのプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0047】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上の制御線や情報線を必ずしも全て示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、本発明には、具体的な以下のような変形例が含まれ得る。
【0048】
C−1.変形例1
実施形態では、第1の導光体光源110および第2の導光体光源120は、いずれも拡散光を照射する光源であったが、本発明はこれに限定されない。第2の導光体光源120は、点光源であってもよい。かかる構成における光路について、以下に説明する。第2の導光体光源120から照射されて紙幣BL(印刷画像M1)に入射した光は、マイクロレンズアレイM2により屈折されて、第2のロッドレンズアレイ140を通って第2のラインセンサ160に到達する。光がマイクロレンズアレイM2により屈折されることにより、第2のラインセンサ160には所定のアイコンが結像される。このため、第2の画像には、モーションスレッドMが有する所定のアイコンが含まれる。したがって、かかる構成によっても実施形態における第2の画像と同様の画像が得られるため、実施形態の紙幣識別装置10と同様の効果を奏する。
【0049】
C−2.変形例2
実施形態では、光学センサ部100の光源として、拡散体が付加された導光体(第1の導光体光源110および第2の導光体光源120)を用いていたが、本発明はこれに限定されない。光学センサ部100の光源として、複数の点光源を配置したアレイ光源を用いてもよい。また、このアレイ光源において複数の点光源は、搬送方向(Y軸方向)に交わる方向に沿って並んでいてもよい。このような構成により、紙幣BLの表面上におけるモーションスレッドMの配置位置に関わらず、モーションスレッドMの有無を特定する可能性を向上できる。さらに、第1の導光体光源110および第2の導光体光源120は、それぞれ複数の導光体を含む光源であってもよい。また、1つの点光源から射出されレンズ拡散板等を用いて拡散させて得られた光を、光学センサ部100の光源としてもよい。この構成では、1つの点光源とレンズ拡散板とが、請求項における第1の光源部および第2の光源部に相当する。すなわち、一般には、紙幣BLの表面に拡散光を照射する光源部を、本発明の紙幣識別装置10に適用してもよい。
【0050】
C−3.変形例3
実施形態では、第1の導光体光源110は、2つのLED113を備えていたが、第1の導光体光源110が備えるLED113は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。同様に、第2の導光体光源120が備えるLED113は、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、光学センサ部100において、第1のロッドレンズアレイ130および第2のロッドレンズアレイ140のうち、少なくとも一方を省略してもよい。かかる構成によっても、実施形態の紙幣識別装置10と同様の効果を奏する。
【0051】
C−4.変形例4
実施形態では、光学センサ部100のセンサとして、ラインセンサ(第1のラインセンサ150および第2のラインセンサ160)を用いていたが、本発明はこれに限定されない。ラインセンサに代えて、エリアセンサを備えていてもよい。なお、解像度の観点等からラインセンサを用いることが好ましく、エリアセンサを用いる場合と比較して、モーションスレッドMの有無の特定精度をより向上させることができる。
【0052】
C−5.変形例5
実施形態では、光学センサ部100を構成する各部品(導光体光源、ロッドレンズアレイ、ラインセンサ)は、紙幣BLの表面全体を撮像できるように構成されていたが、本発明はこれに限定されない。紙幣BLのモーションスレッドMを含む一部分を撮像できるように構成されていてもよい。また、実施形態では、光学センサ部100を構成する各部品は、X軸方向を長手方向として配置されていたが、Y軸方向と交差する任意の方向を長手方向として配置されればよく、各部品の長手方向がY軸と垂直に交わらなくてもよい。さらに、実施形態では、光学センサ部100を構成する各部品は、Z軸に沿ってそれぞれ配置されていたが、本発明はこれに限定されない。各光源の光を各センサがそれぞれ受光できるのであれば、X−Y平面と垂直に交わらない軸上に沿ってそれぞれ配置されていてもよい。このような構成によっても、実施形態の紙幣識別装置10と同様の効果を奏する。
【0053】
C−6.変形例6
実施形態では、搬送ローラ50は、上位装置(ATM)からの動力を複数のギア40で受け取ることによって駆動していたが、紙幣識別装置10がモータ等の動力源を有する構成とし、かかる動力源により駆動してもよい。また、実施形態の紙幣識別装置10は、厚みセンサ80を備えていたが、厚みセンサ80を省略してもよい。
【0054】
C−7.変形例7
実施形態では、対象物が紙幣BLである紙幣識別装置10に本発明を適用したが、これに代えて、有価証券等の他の任意の紙葉類を識別する装置に本発明を適用してもよい。