(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記優先順位切換タイミング生成部は、前記蓄電装置の電池容量をAh[Wh]とし、前記許容充電率差をα[%]とし、前記基準容量をΔCとし、前記最大充放電電流をA[W]とし、係数をB(0.8≦B≦1)とすると、前記基準容量ΔCを前記蓄電装置の電池容量Ah[Wh]と前記許容充電率差αとに基づいて算出し、切換タイミングの周期TをT=B×((60×ΔC)/A)で算出することを特徴とする請求項1に記載の充放電制御装置。
前記優先順位切換タイミング生成部は、不感帯に対応する不感帯充電率差をβ[%]とし、前記基準容量ΔCをΔC=Ah×((α−β)/100)で算出することを特徴とする請求項2に記載の充放電制御装置。
前記優先順位切換タイミング生成部は、直近の判定時の充電率の差である切換前充電率差をγ[%]とし、前記基準容量ΔCをΔC=Ah×((α+γ)/100)で算出することを特徴とする請求項2に記載の充放電制御装置。
前記優先順位切換タイミング生成部は、さらに不感帯に対応する不感帯充電率差をβ[%]とし、直近の判定時の充電率の差である切換前充電率差をγ[%]とし、前記基準容量ΔCをΔC=Ah×((α−β+γ)/100)で算出することを特徴とする請求項2に記載の充放電制御装置。
前記優先順位切換タイミング生成部は、切換タイミングの周期Tから制御遅れに対応する時間を減算した時間を周期として、前記切換タイミングを出力することを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載の充放電制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電力制御装置で複数の蓄電装置の駆動を制御することで、各蓄電装置を目的の範囲の充電率で運転することができる。しかしながら、特許文献1に記載の電力制御装置は、各蓄電装置の充電率の関係によって、駆動する充電装置が頻繁に切り換わる、応答性を速くしないと制御が追従できないという問題がある。駆動する充電装置が頻繁に切り換わるとその動作により利用効率が下がる。また、制御が追従できない場合、適切に制御ができなくなる。
【0005】
本発明は、蓄電装置を効率よく運転することができる充放電制御装置及び電池システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明は、複数の蓄電装置の充放電を制御する充放電制御装置であって、複数の前記蓄電装置の充電率を取得する充電率取得部と、複数の前記蓄電装置の全体から出力する充放電の目標値を取得する充放電目標値取得部と、前記蓄電装置を使用する優先順位を切り換える切換タイミングを生成する優先順位切換タイミング生成部と、充電率に基づいて優先順位を判定し、前記優先順位切換タイミング生成部で生成された切換タイミングで、優先順位を切り換える優先順位判定部と、前記優先順位判定部で判定された優先順位と、前記充放電目標値取得部で取得した充放電の目標値に基づいて、使用する前記蓄電装置を決定し、決定した前記蓄電装置から充放電を実行させる電力変換司令部と、を有し、前記優先順位切換タイミング生成部は、前記蓄電装置の電池容量と予め設定された許容充電率差とに基づいて算出する基準容量と、前記蓄電装置の最大充放電電流とに基づいて、前記切換タイミングの周期を算出し、算出した周期に基づいて、前記切換タイミングを出力することを特徴とする。
【0007】
また、前記優先順位切換タイミング生成部は、前記蓄電装置の電池容量をAh[Wh]とし、前記許容充電率差をα[%]とし、前記基準容量をΔCとし、前記最大充放電電流をA[W]とし、係数をB(0.8≦B≦1)とすると、前記基準容量ΔCを前記蓄電装置の電池容量Ah[Wh]と前記許容充電率差αとに基づいて算出し、切換タイミングの周期TをT=B×((60×ΔC)/A)で算出することが好ましい。
【0008】
また、前記優先順位切換タイミング生成部は、前記基準容量ΔCをΔC=Ah×(α/100)で算出することが好ましい。
【0009】
また、前記優先順位切換タイミング生成部は、不感帯に対応する不感帯充電率差をβ[%]とし、前記基準容量ΔCをΔC=Ah×((α−β)/100)で算出することが好ましい。
【0010】
また、前記優先順位切換タイミング生成部は、直近の判定時の充電率の差である切換前充電率差をγ[%]とし、前記基準容量ΔCをΔC=Ah×((α+γ)/100)で算出することが好ましい。
【0011】
また、前記優先順位切換タイミング生成部は、さらに不感帯に対応する不感帯充電率差をβ[%]とし、直近の判定時の充電率の差である切換前充電率差をγ[%]とし、前記基準容量ΔCをΔC=Ah×((α−β+γ)/100)で算出することが好ましい。
【0012】
また、前記係数Bは、1であることが好ましい。
【0013】
また、前記優先順位切換タイミング生成部は、切換タイミングの周期Tから制御遅れに対応する時間を減算した時間を周期として、前記切換タイミングを出力することが好ましい。
【0014】
上記目的を達成するための本発明は、電池システムであって、上記のいずれかに記載の充放電制御装置と、前記充放電制御装置で充放電が制御される複数の蓄電装置と、前記充放電制御装置に複数の前記蓄電装置の全体から出力する充放電の目標値を出力する上位制御装置と、を有する。
【0015】
また、前記複数の蓄電装置は、同一の性能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、蓄電装置の切り換えの頻度を抑制しつつ、かつ、蓄電装置間の充電率の差が大きくなることを抑制することができる。これにより、蓄電装置を効率よく運転することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0019】
図1は、充放電制御装置を有する電池システムの概略構成を示すブロック図である。電池システム10は、複数の蓄電装置12と、電力系統14と、電線16と、充放電制御装置18と、上位制御装置20と、を有する。電池システム10は、蓄電装置12を2台以上備えていればよく、蓄電装置12を100台以上備えていてもよい。
【0020】
複数の蓄電装置12は、並列で電線16に接続されている。複数の蓄電装置12は、それぞれ、電池部30と、電力変換部32と、SOC判定部34と、を有する。ここで、本実施形態の複数の充電装置12は、製造誤差による差はあるが基本的に同一の性能を有する。具体的には、充電装置12は、電池容量、最大充放電電流値等の設計値が同じである。電池部30は、鉛電池等の二次電池であり、充放電を行う。電池部30は、所定の電池容量の電力を蓄電することができる。電力変換部32は、電池部30と電線16との間に配置されている。電力変換部32は、直流を交流に変換し、後流を直流に変換する。具体的には、電力変換部32は、電池部30に蓄電した電力を直流から交流に変換して配線16に出力する。電力変換部32は、配線16から供給される交流の電力を直流に変換して、電池部30に供給し、電池部30を充電する。電力変換部32は、充放電制御装置18の制御に基づいて、電池部30から放電するか、電池部30を充電するかを切り換える。SOC判定部34は、電池部30の充電率(State Of Charge)を検出する。充電率[%]は、電池部30の電池容量に対する現在の容量の割合である。SOC判定部34は、検出した充電率を充放電制御装置18に送る。
【0021】
蓄電装置12は、充放電制御装置18の制御に基づいて、電力変換部32を制御し、電池部30から配線16への放電や配線16から供給される電力による電池部30への充電を行う。また、蓄電装置12は、充放電制御装置18の制御に基づいて、充電、放電のいずれも行わず、待機している場合もある。また、蓄電装置12は、SOC判定部34で検出した充電率を充放電制御装置18に送る。
【0022】
電力系統14は、発電する発電機や、電力を消費する負荷機器を有する系統である。電力系統14は、発電機で発生する電力が負荷機器で消費する電力より多くなる状態や、発電機で発生する電力が負荷機器で消費する電力より少なくなる状態が発生する。電力系統14は、電線16を介して複数の蓄電装置12と接続されている。電線16は、複数の蓄電装置12と電力系統14とを接続している。
【0023】
充放電制御装置18の前に上位制御装置20について説明する。上位制御装置20は、発電システム10の発電電力と消費電力とを調整する。上位制御装置20は、電力系統14の発電電力と消費電力とのバランスを検出し、検出した結果に基づいて、複数の充電装置12で充電する電力の全体の目標値、または複数の充電装置12から放電する電力の全体の目標値である充放電目標値を決定し、決定した充放電目標値を充放電制御部18に送る。
【0024】
充放電制御装置18は、複数の蓄電装置12の充電、放電、停止等の動作を制御する。つまり、充放電制御装置18は、複数の蓄電装置12のうち駆動する台数を制御し、さらに駆動する蓄電装置12で充電を行うか、放電を行うかを制御する。また、充放電制御装置18は、充放電する電流値も制御する。充放電制御装置18は、電力変換司令部50と、優先順位判定部52と、優先順位切換タイミング生成部54と、充電率取得部56と、充放電目標値取得部58と、を有する。
【0025】
電力変換司令部50は、各蓄電装置12の充電、放電、停止を決定し、決定に基づいた指令値を各蓄電装置12に出力する。電力変換司令部50は、充放電目標値と後述する優先順位判定部52で生成した優先順位のリストに基づいて、各蓄電装置12の充電、放電、停止を決定する。電力変換司令部50は、駆動する蓄電装置12を制御することで、各蓄電装置12の充放電電力の合計値を充放電目標値とする。
【0026】
優先順位判定部52は、各蓄電装置12の充電率に基づいて、優先順位を判定し、優先順位のリストを作成する。優先順位判定部52は、放電優先順位リスト52aと充電優先順位リスト52とを作成し、記憶している。放電優先順位リスト52aは、蓄電装置12から放電する際に駆動させる蓄電装置12の優先順位のリストであり、充電率が高い蓄電装置12の優先順位がより高くなる順番で順位が付けられている。充電優先順位リスト52bは、蓄電装置12から充電する際に駆動させる蓄電装置12の優先順位のリストであり、充電率が低い蓄電装置12の優先順位がより高くなる順番で順位が付けられている。優先順位判定部52は、優先順位切換タイミング生成部54で生成した切換タイミングで放電優先順位リスト52aと充電優先順位リスト52bとを作成し、リストに変更があった場合、更新する。
【0027】
優先順位切換タイミング生成部54は、優先順位を切り換える処理を実行する切換タイミングを生成する。優先順位切換タイミング生成部54は、切換タイミングの周期を生成し、その周期に基づいて切換タイミングを優先順位判定部52に出力する。優先順位切換タイミング生成部54は、蓄電装置12の電池容量と許容充電率差とに基づいて算出する基準容量と、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期を決定する。蓄電装置12の電池容量と最大充放電電流は、蓄電装置12の性能によって決まる値である。許容充電率差は、予め設定する値である。許容充電率差は、オペレータが発電システム10の全体の構成や、蓄電装置12の特性に基づいて、決定する。切換タイミングの周期の決定方法については後述する。
【0028】
充電率取得部56は、各蓄電装置12のSOC判定部34から出力される各蓄電装置12の充電率の情報を取得する。充放電目標値取得部58は、上位制御装置20から出力される充放電目標値を取得する。充放電目標値取得部58は、取得した充放電目標値を電力変換司令部50に出力する。
【0029】
発電システム10は、上位制御装置20により、電力系統14において発電機で発生する電力が負荷機器で消費する電力より多いことを検出した場合、複数の蓄電装置12から放電する電力の総合の目標値を充放電目標値として充放電制御装置18に出力する。充放電制御装置18は、充放電目標値と充電優先順位リスト52bに基づいて、充電量の総合値が充放電目標値の電力となるように、優先順位が高い順に駆動する蓄電装置12を選択する。発電システム10は、選択した優先順位が高い蓄電装置12によって充電を行うことで、電力系統14で余剰となる電力を回収する。
【0030】
発電システム10は、上位制御装置20により、発電機機で発生する電力が負荷機器で消費する電力より少ないことを検出した場合、複数の蓄電装置12から放電する電力の総合の目標値を充放電目標値として充放電制御装置18に出力する。充放電制御装置18は、充放電目標値と放電優先順位リスト52aに基づいて、放電量の総合値が充放電目標値の電力となるように、優先順位が高い順に駆動する蓄電装置12を選択する。発電システム10は、選択した優先順位が高い蓄電装置12によって放電を行うことで、電力系統14に必要な電力を供給する。
【0031】
次に、本実施形態の充放電制御装置18による蓄電装置12の制御方法について説明する。
図2は、充放電制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図3は、充放電制御装置の処理動作の一例を説明するための説明図である。
図2に示す処理は、充放電制御装置18の各部で処理を実行することで実現することができる。
【0032】
充放電制御装置18は、優先順位切換タイミング生成部54により、基準容量ΔCと周期Tを算出する(ステップS12)。ここで、優先順位切換タイミング生成部54は、上述したように、蓄電装置12の電池容量と予め設定された許容充電率差とに基づいて基準容量ΔCを算出する。また、優先順位切換タイミング生成部54は、算出する基準容量と、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期Tを算出する。基準容量と、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期Tを決定する。また、基準容量ΔCは、蓄電装置の電池容量と許容充電率差とに基づいて算出する。
【0033】
具体的には、蓄電装置12の電池容量をAh[Wh]とし、許容充電率差をα[%]とし、最大充放電電流をA[W]とし、係数をBとすると、下記式で基準容量ΔCと周期Tとを算出する。ここで、係数Bは、0.8≦B≦1となる。
ΔC=Ah×(α/100)
T=B×((60×ΔC)/A)
【0034】
次に、充放電制御装置18は、優先順位判定部52により、前回の判定から時間T経過したかを判定する(ステップS14)。つまり、充放電制御装置18は、算出した周期Tが経過して、優先順位を切り換える制御を実行するタイミングかを判定する。
【0035】
充放電制御装置18は、時間T経過していない(ステップS14でNo)と判定した場合、ステップS20に進む。充放電制御装置18は、時間T経過した(ステップS14でYes)と判定した場合、優先順位判定部52により放電優先順位または充電優先順位に変更があるかを判定する(ステップS16)。つまり、優先順位判定部52は、記憶している放電優先順位リスト52aと現在の放電優先順位とで順位が異なるか否かを判定する。また、優先順位判定部52は、記憶している充電優先順位リスト52bと現在の充電優先順位とで順位が異なるか否かを判定する。ここで、優先順位判定部52は、蓄電装置12から送られ、充電率取得部56で取得した充電率に基づいて放電優先順位または充電優先順位の変動を常に監視していてもよいし、優先順位判定部52により放電優先順位または充電優先順位に変更があるかを判定する処理時に、処理時点での放電優先順位または充電優先順位を検出してもよい。
【0036】
充放電制御装置18は、放電優先順位と充電優先順位とのいずれも変更なし(ステップS16でNo)と判定した場合、ステップS20に進む。充放電制御装置18は、放電優先順位と充電優先順位とのいずれかで変更あり(ステップS16でYes)と判定した場合、優先順位を切り換える(ステップS18)。つまり、優先順位に変更があった、放電優先順位リスト52a及び充電優先順位リスト52bの少なくとも一方を切り換える。
【0037】
充放電制御装置18は、ステップS14、ステップS16のいずれかでNoと判定した場合、または、ステップS18の処理を行った場合、制御終了かを判定する(ステップS20)。充放電制御装置18は、制御終了ではない(ステップS20でNo)と判定した場合、ステップS14に戻る。つまり、充放電制御装置18は、制御終了と判定するまで、ステップS14からステップS20の処理を繰り返す。充放電制御装置18は、制御終了である(ステップS20でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0038】
充放電制御装置18は、
図2に示す処理を行い、基準容量ΔCと、周期TをΔC=Ah×(α/100)、T=B×((60×ΔC)/A)に基づいて算出し、算出した周期Tに基づいて、優先順位の切り換えを行うことで、優先順位の切り換えの頻度を抑制しつつ、蓄電装置12間の充電率の差が大きくなることを抑制することができる。具体的には、
図3に示すように、蓄電装置1と蓄電装置2との充電率が同じ状態で、充電率が少し高い蓄電装置2のみの放電を開始した場合であっても時間T経過後に再度優先順位を切り換えることで、蓄電装置1と蓄電装置2との充電率の差が許容SOC差(許容充電率差)よりも大きくなることを抑制することができる。つまり、充放電制御装置18は、頻繁な充放電の優先順位の切り換えを行わずに、蓄電装置12間の充電率の差を管理値(許容充電率差)以内とすることができる。このように、並列に接続された蓄電装置12間の充電率を均等化できることで、電池システム10の全体での充電電力、放電電力の低下を抑制することができる。また、周期T毎に優先順位の切り換え処理を行い、優先順位の切り替え頻度を低減することで、蓄電装置12の起動から電力出力までの時間遅れによる応答不良の発生を抑制することができ、使用する蓄電装置12を切り換えるタイミングで生じる電力変動のリスクを低減することができ、切り換え処理で使用する部品の寿命を長寿命にすることができる。
【0039】
また、係数Bを0.8以上1以下とすることで、蓄電装置内の電池セルのばらつきがある場合に対応した係数を設定することができる。つまり、係数を1より小さい値とすることで、蓄電装置の性能にばらつきがある場合でも、充電率の差が許容充電率差以内に維持しつつ、優先順位の切換タイミングが頻繁に生じてしまうことを抑制することができる。
【0040】
ここで、充放電制御装置18は、蓄電装置12の電池容量と予め設定された許容充電率差とに基づいて基準容量ΔCを算出し、算出した基準容量と、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期Tを算出すればよく、さらに各種情報を加味してもよい。
【0041】
次に、
図4及び
図5を用いて、充放電制御装置18による制御動作の他の例を説明する。
図4は、充放電制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図5は、充放電制御装置の処理動作の一例を説明するための説明図である。
図4に示す処理は、充放電制御装置18の各部で処理を実行することで実現することができる。
【0042】
充放電制御装置18は、優先順位切換タイミング生成部54により不感帯を加味した基準容量ΔCと周期Tを算出する(ステップS32)。ここで、優先順位切換タイミング生成部54は、蓄電装置12の電池容量と予め設定された許容充電率差と不感帯充電率とに基づいて基準容量ΔCを算出する。不感帯充電率は、予め設定された値である。また、優先順位切換タイミング生成部54は、算出する基準容量と、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期Tを算出する。基準容量ΔCと、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期Tを決定する。また、基準容量ΔCは、蓄電装置12の電池容量と許容充電率差と不感帯充電率とに基づいて算出する。
【0043】
具体的には、不感帯に対応する不感帯充電率をβ[%]とした場合、下記式で基準容量ΔCを算出する。
ΔC=Ah×((α−β)/100)
なお、周期Tは、基準容量ΔCと蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて上記式と同様に算出する。
【0044】
次に、充放電制御装置18は、優先順位判定部52により、前回の判定から時間T経過したかを判定する(ステップS34)。つまり、充放電制御装置18は、算出した周期Tが経過して、優先順位を切り換える制御を実行するタイミングかを判定する。
【0045】
充放電制御装置18は、時間T経過していない(ステップS34でNo)と判定した場合、ステップS42に進む。充放電制御装置18は、時間T経過した(ステップS34でYes)と判定した場合、優先順位判定部52により放電優先順位または充電優先順位に変更があるかを判定する(ステップS36)。
【0046】
充放電制御装置18は、放電優先順位と充電優先順位とのいずれも変更なし(ステップS36でNo)と判定した場合、ステップS42に進む。充放電制御装置18は、放電優先順位と充電優先順位とのいずれかで変更あり(ステップS36でYes)と判定した場合、充電率の最大値−充電率の最小値≧不感帯充電率であるかを判定する(ステップS38)。つまり、充放電制御装置18は、充電率の最大値と充電率の最小値との差が不感帯充電率よりも大きいかを判定する。
【0047】
充放電制御装置18は、充電率の最大値−充電率の最小値≧不感帯充電率ではない(ステップS38でNo)と判定した場合、つまり、充電率の最大値と充電率の最小値との差が不感帯充電率よりも小さい場合、ステップS42に進む。充放電制御装置18は、充電率の最大値−充電率の最小値≧不感帯充電率である(ステップS38でYes)と判定した場合、優先順位を切り換える(ステップS40)。つまり、優先順位に変更があり、かつ、充電率の最大値と充電率の最小値との差が不感帯充電率よりも大きくなっている場合、放電優先順位リスト52a及び充電優先順位リスト52bの少なくとも一方を切り換える。
【0048】
充放電制御装置18は、ステップS34、ステップS36、ステップS38のいずれかでNoと判定した場合、または、ステップS40の処理を行った場合、制御終了かを判定する(ステップS42)。充放電制御装置18は、制御終了ではない(ステップS42でNo)と判定した場合、ステップS34に戻る。つまり、充放電制御装置18は、制御終了と判定するまで、ステップS34からステップS42の処理を繰り返す。充放電制御装置18は、制御終了である(ステップS42でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0049】
充放電制御装置18は、
図4に示す処理を行い、基準容量ΔCをΔC=Ah×(α−β/100)に基づいて算出し、不感帯充電率を加味して算出した周期Tに基づいて、優先順位の切り換えを行うことでも、優先順位の切り換えの頻度を抑制しつつ、蓄電装置12間の充電率の差が大きくなることを抑制することができる。また、
図4に示す処理を行い、不感帯充電率を加味して、充電率の差が不感帯充電率よりも小さい場合、優先順位リストの更新を行わない。これにより、優先順位の切り換えの頻度をさらに抑制することができ、計算結果のノイズによる充電率の比較の誤判断の発生を抑制することができる。具体的には、
図5に示すように、蓄電装置1と蓄電装置2との充電率が同じ状態で、1台での放電に切り換わった時に、充電率の差が不感帯充電率よりも小さい場合、優先順位の切り換えを行わずに、蓄電装置2を継続して使用することで、優先順位の切り換えの頻度をさらに抑制することができる。またこの場合も不感帯充電率と許容充電率差を加味して周期Tを検出することで、蓄電装置1と蓄電装置2との充電率との差が許容SOC差(許容充電率差)よりも大きくなることを抑制することができる。
【0050】
次に、
図6及び
図7を用いて、充放電制御装置18による制御動作の他の例を説明する。
図6は、充放電制御装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7は、充放電制御装置の処理動作の一例を説明するための説明図である。
図6に示す処理は、充放電制御装置18の各部で処理を実行することで実現することができる。
【0051】
充放電制御装置18は、優先順位判定部52により、前回の判定から時間T経過したかを判定する(ステップS52)。つまり、充放電制御装置18は、算出した周期Tが経過して、優先順位を切り換える制御を実行するタイミングかを判定する。充放電制御装置18は、制御開始時の場合、前回の判定はないが、前回の判定から時間T経過したと判定する。
【0052】
充放電制御装置18は、時間T経過していない(ステップS52でNo)と判定した場合、ステップS60に進む。充放電制御装置18は、時間T経過した(ステップS52でYes)と判定した場合、切換前充電率を加味した基準容量ΔCと周期Tを算出する(ステップS54)。切換前充電率は、判定時の対象の蓄電装置12の充電率の差である。ここで、対象の蓄電装置12は、優先順位が最も高い蓄電装置12とその次の蓄電装置12である。つまり、切換前充電率は、充電の場合、蓄電率が最も低い蓄電装置12と、二番目に低い蓄電装置12との充電率の差である。切換前充電率は、放電の場合、蓄電率が最も高い蓄電装置12と、二番目に高い蓄電装置12との充電率の差である。優先順位切換タイミング生成部54は、蓄電装置12の電池容量と予め設定された許容充電率差と、現状の切換前充電率と、に基づいて基準容量ΔCを算出する。また、優先順位切換タイミング生成部54は、算出する基準容量と、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期Tを算出する。基準容量ΔCと、蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて、切換タイミングの周期Tを決定する。また、基準容量ΔCは、蓄電装置12の電池容量と許容充電率差と不感帯充電率とに基づいて算出する。
【0053】
具体的には、切換前電率差をγ[%]とした場合、下記式で基準容量ΔCを算出する。
ΔC=Ah×((α+γ)/100)
なお、周期Tは、基準容量ΔCと蓄電装置12の最大充放電電流とに基づいて上記式と同様に算出する。
【0054】
充放電制御装置18は、基準容量ΔCと周期Tとを算出したら、優先順位判定部52により放電優先順位または充電優先順位に変更があるかを判定する(ステップS56)。
【0055】
充放電制御装置18は、放電優先順位と充電優先順位とのいずれも変更なし(ステップS56でNo)と判定した場合、ステップS60に進む。充放電制御装置18は、放電優先順位と充電優先順位とのいずれかで変更あり(ステップS56でYes)と判定した場合、優先順位を切り換える(ステップS58)。つまり、優先順位に変更がある場合、放電優先順位リスト52a及び充電優先順位リスト52bの少なくとも一方を切り換える。
【0056】
充放電制御装置18は、ステップS52、ステップS56のいずれかでNoと判定した場合、または、ステップS58の処理を行った場合、制御終了かを判定する(ステップS60)。充放電制御装置18は、制御終了ではない(ステップS60でNo)と判定した場合、ステップS52に戻る。つまり、充放電制御装置18は、制御終了と判定するまで、ステップS52からステップS60の処理を繰り返す。充放電制御装置18は、制御終了である(ステップS60でYes)と判定した場合、本処理を終了する。
【0057】
充放電制御装置18は、
図6に示す処理を行い、基準容量ΔCをΔC=Ah×(α+γ/100)に基づいて算出し、切換前充電率を加味して算出した周期Tに基づいて、優先順位の切り換えを行うことでも、優先順位の切り換えの頻度を抑制しつつ、蓄電装置12間の充電率の差が大きくなることを抑制することができる。また、切換前充電率を加味することで、充電率の差が大きい場合、周期Tを長くし、充電率の差が小さい場合、周期Tを短くすることができる。これにより、現在の状態に応じて周期Tの長さを調整できることで、充電率の差が許容充電率差よりも大きくなることを抑制しつつ、判定の間隔を長くすることができ、優先順位の切り換えの頻度をさらに抑制することができる。具体的には、
図7に示すように、蓄電装置1と蓄電装置2との充電率の差を切換前充電率として検出し、切換前充電率を加えて周期Tを求めることで、判定後に1台での放電に切り換わって、優先順位が最も高い蓄電装置1のみが使用された場合も、周期T経過時に蓄電装置1と蓄電装置2との充電率との差が許容SOC差(許容充電率差)よりも大きくなることを抑制することができる。
【0058】
また、充放電制御装置18は、不感帯に対応する不感帯充電率差β[%]と、直近の判定時の充電率の差である切換前充電率差γ[%]の両方を加味して、基準容量ΔCをΔC=Ah×((α−β+γ)/100)で算出してもよい。これにより、上述した例の両方の効果を得ることができる。
【0059】
また、本実施形態では、放電優先順位リスト52aと充電優先順位リスト52bとを別々に記憶したが、いずれも充電率に基づいて決定し、優先順位の判定基準が逆になるものであるので、優先順位のリストを1つとし、それぞれの場合に応じて上位から選択するか下位から選択するかを切り換えるようにしてもよい。
【0060】
また、優先順位切換タイミング生成部54は、算出した切換タイミングの周期Tから制御遅れに対応する時間を減算した時間を新たな周期Tとしてもよい。つまり、T−制御遅れ時間を新たな周期(時間)Tとしてもよい。これにより、制御遅れを加味することができ、蓄電装置12間の充電率の差が開きすぎることを抑制することができる。
【0061】
また、係数Bは、1とすることが好ましい。これにより、周期Tをより長くすることができ、切換タイミングをより長くすることができる。