特許第6204907号(P6204907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204907微粒子の高濃度ポリイソシアネート重付加物/ポリウレタン−尿素ポリオール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204907
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】微粒子の高濃度ポリイソシアネート重付加物/ポリウレタン−尿素ポリオール
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/64 20060101AFI20170914BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20170914BHJP
【FI】
   C08G18/64 015
   C08G101:00
【請求項の数】17
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2014-510434(P2014-510434)
(86)(22)【出願日】2012年5月9日
(65)【公表番号】特表2014-514428(P2014-514428A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】US2012037093
(87)【国際公開番号】WO2012154831
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年4月2日
(31)【優先権主張番号】61/483,814
(32)【優先日】2011年5月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 共永
(72)【発明者】
【氏名】クックソン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ボレッラ,リコ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ホーヘナー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】キャサティ,フランコイズ エム.
【審査官】 前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−526044(JP,A)
【文献】 特表2005−500417(JP,A)
【文献】 特開平08−067725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーポリオール分散系を生成する方法であって、
a)少なくとも1種のポリオール、
b)少なくとも1つのシード集団、
c)少なくとも1種の触媒、
d)400以下の当量を有し、窒素または酸素原子に結合した少なくとも1つの活性水素を含む少なくとも1種の共反応体、ならびに
e)少なくとも1種のポリイソシアネート
を含む少なくとも1つの反応系を準備するステップを含み、
前記少なくとも1つのシード集団が、前記少なくとも1種の反応系の総重量の5重量%未満を構成し、最大粒径が5μm未満である懸濁されたシード粒子を含み、
前記少なくとも1つの反応が、スズを含む触媒を添加することなく、反応して前記少なくとも1種のポリオール中でポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の少なくとも1つを形成し、
前記ポリマーポリオール分散系が、前記ポリマーポリオール分散系の重量の少なくとも15%の固形分を有する、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシード集団が、ポリ尿素粒子、ポリイソシアネート重付加物粒子、アクリロニトリル粒子、ポリスチレン粒子、メタクリロニトリル粒子、メタクリル酸メチル粒子、スチレン−アクリロニトリル粒子、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、およびヒュームドシリカ粒子の少なくとも1種の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのシード集団が、ポリ尿素、ポリウレタン、またはポリウレタン−尿素粒子が形成される間にポリイソシアネートと反応することができる反応性水素を含有する、ポリ尿素粒子、ポリウレタン、ポリウレタン−尿素、ポリイソシアネート重付加物粒子の少なくとも1種の粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の粒子の少なくとも1種の粒子の少なくとも90重量%が、10μm未満の直径を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の粒子の少なくとも1種の粒子の少なくとも90重量%が、5μm未満の直径を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーポリオールが、前記ポリマーポリオールの重量に基づいて少なくとも20重量%の粒子濃度を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーポリオールが、スズを含む触媒を実質的に欠いている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーポリオールが、スズを含む触媒を完全に欠いている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの反応が、スズを含まない金属触媒、第三級アミン触媒、またはスズを含まない金属触媒と第三級アミン触媒の組合せの少なくとも1種の存在下で反応して、ポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の少なくとも1つを形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種の共反応体が、前記スズを含まない金属触媒と予めブレンドされ、前記少なくとも1種のポリオールと前記少なくとも1つのシード集団との混合物へ添加され、その後、前記少なくとも1種のポリイソシアネートが前記混合物へ添加される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1種の共反応体が、前記スズを含まない金属触媒と予めブレンドされ、前記少なくとも1種のポリオールと前記少なくとも1つのシード集団と前記第三級アミン触媒との混合物に添加され、その後、前記少なくとも1種のポリイソシアネートが前記混合物へ添加される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記スズを含まない金属触媒が、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、銅、クロム、ニッケル、鉄、およびコバルト触媒の1種または複数種を含む、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記スズを含まない金属触媒が、リシノール酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、およびネオデカン酸ビスマスの少なくとも1種である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第三級アミン触媒が、トリエチレンジアミン、ビス−(ジメチルアミノプロピル)メチルアミン、または両方の組合せの少なくとも1種である、請求項から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリ尿素、ポリウレタン、またはポリウレタン−尿素粒子形成が、スズを含まない金属触媒と第三級アミン触媒との組合せによって触媒される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ポリ尿素、ポリウレタン、またはポリウレタン−尿素粒子形成が、スズを含まない金属触媒とジメチルアミノプロピルアミンおよびアミン開始ポリオールから選択される第三級アミンとの組合せによって触媒される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記共反応体が、第一級もしくは第二級アミン、またはアルカノールアミンの少なくとも1種を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ポリオール、より具体的には、ポリマーポリオールに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンフォームは、発泡剤の存在下でポリイソシアネートとポリオールを反応させることによって生産される。耐荷重性および他のフォームの性質を改善するために、いわゆるポリマーポリオール製品が開発された。ポリマーポリオールの一般的なタイプは、ポリオール中のビニルポリマー粒子の分散系である。ビニルポリマー粒子ポリオールの例としては、いわゆる「SAN」ポリオールがあり、これは、スチレン−アクリロニトリルの分散系である。ポリマーポリオールの他の一般的なタイプは、いわゆる「PHD」ポリオール(ポリ尿素粒子の分散系)、およびいわゆる「PIPA」(ポリイソシアネート重付加物)ポリオール(ポリウレタンおよび/またはポリウレタン−尿素粒子の分散系)である。PIPAおよびPHD粒子は、適切な1つまたは複数の共反応体をポリオールまたはポリオールブレンド中に導入し、例えば、ジメチルスズおよびジブチルスズ触媒などのスズ塩触媒の存在下で共反応体(複数可)を重合させるために、共反応体(複数可)をポリイソシアネートと反応させることによって生産することができる。しかし、スズ系触媒の使用を低減するという要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、より少ないスズ系触媒を使用して、またはスズ系触媒を用いることなく作製されるポリマーポリオールの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態では、少量のスズ系触媒を使用して、またはスズ系触媒を用いずに作製されるポリマーポリオールを提供する。
【0005】
一実施形態では、ポリマーポリオール分散系を生産する方法を提供する。この方法は、少なくとも1つの反応系を準備するステップを含み、反応系は、
a)少なくとも1種のポリオール、
b)少なくとも1つのシード集団、
c)少なくとも1種の触媒、
d)400以下の当量を有する少なくとも1種の共反応体、および窒素または酸素原子に結合した少なくとも1つの活性水素、ならびに
e)少なくとも1種のポリイソシアネート
を含む。少なくとも1つのシード集団は、少なくとも1つの反応系の総重量の約5重量%未満を構成し、直径が5μm未満であるシード粒子を含む。少なくとも1つの反応混合物は、スズを含む触媒を添加することなく、反応して少なくとも1種のポリオール中のポリ尿素およびポリウレタン−尿素粒子集団の少なくとも1つを形成する。得られるポリマーポリオール分散系は、ポリマーポリオール分散系の重量の少なくとも15%の固形分を有する。
【0006】
一実施形態では、ポリマーポリオール分散系を提供する。ポリマーポリオール分散系は、少なくとも1つの反応系の反応生成物を含み、反応系は、
a)少なくとも1種のポリオール、
b)少なくとも1つのシード集団、
c)少なくとも1種の触媒、
d)400以下の当量を有する少なくとも1種の共反応体、および窒素または酸素原子に結合した少なくとも1つの活性水素、ならびに
e)少なくとも1種のポリイソシアネート
を含む。少なくとも1つのシード集団は、少なくとも1つの反応系の総重量の約5重量%未満を構成し、直径が5μm未満であるシード粒子を含む。少なくとも1つの反応混合物は、スズを含む触媒を添加することなく、反応して少なくとも1種のポリオール中に懸濁したポリ尿素およびポリウレタン−尿素粒子集団の少なくとも1つを形成する。ポリマーポリオール分散系は、ポリマーポリオール分散系の重量の少なくとも15%の固形分を有する。ポリマーポリオール分散系は、少なくとも3カ月の貯蔵に対して安定であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例1の粒径分布を表すプロットである。
図2】比較例1の粒径分布を表すプロットである。
図3】実施例2の粒径分布を表すプロットである。
図4】比較例2の粒径分布を表すプロットである。
図5】実施例3の粒径分布を表すプロットである。
図6】比較例3の粒径分布を表すプロットである。
図7】実施例4の粒径分布を表すプロットである。
図8】比較例4の粒径分布を表すプロットである。
図9】実施例5の粒径分布を表すプロットである。
図10】比較例5の粒径分布を表すプロットである。
図11】実施例6の粒径分布を表すプロットである。
図12】実施例7の粒径分布を表すプロットである。
図13】実施例8の粒径分布を表すプロットである。
図14】実施例9の粒径分布を表すプロットである。
図15】比較例6の粒径分布を表すプロットである。
図16】比較例7の粒径分布を表すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態では、シード粒子の存在下で、ポリオールブレンド中で、インサイツで形成されたPIPAおよび/またはPHD粒子を含むポリマーポリオールブレンドを提供する。ポリマーポリオールブレンドは、ポリマーポリオールブレンドの重量の約15%〜約40%の間の固形分を有することができる。このような高い固形分を、小粒子を維持しながら得ることができる。例えば、一実施形態では、粒子の少なくとも90体積%が10μm未満の粒径を有する。ポリマーポリオールブレンドのPIPAおよび/またはPHD粒子のインサイツ形成は、スズを含む触媒を添加することなく形成することができ、その結果、ポリマーポリオールブレンドは、仮に存在するとしても、非常に少量のスズしか有し得ない。
【0009】
ポリオールブレンドは、当技術分野で公知である任意の種類のポリオールを含むことができ、本明細書に記載のもの、および任意の他の市販のポリオールを含む。本発明によるポリマーポリオールを生産するのに、1種または複数種のポリオールの混合物も使用することができる。
【0010】
代表的なポリオールとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリヒドロキシ末端アセタール樹脂、ヒドロキシル末端アミンが挙げられる。使用することができる代替のポリオールとしては、炭酸ポリアルキレン系ポリオールおよびポリホスフェート系ポリオールがある。アルキレンオキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらの組合せなどを、2〜8個、好ましくは2〜6個の活性水素原子を有する開始剤に添加することによって調製されるポリオールが好適である。この重合の触媒作用は、KOH、CsOH、三フッ化ホウ素などの触媒、または、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛もしくは4級ホスファゼニウム化合物などの二重金属シアニド複合(DMC)触媒の場合、アニオン性であっても、カチオン性であってもよい。
【0011】
適切な開始剤分子の例は、水、有機ジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、およびテレフタル酸など、ならびに多価、特に二価〜八価アルコール、またはジアルキレングリコールである。
【0012】
例示的なポリオール開始剤としては、例えば、エタンジオール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、ネオペンチルグリコール;1,2−プロピレングリコール;トリメチロールプロパングリセロール;1,6−ヘキサンジオール;2,5−ヘキサンジオール;1,4−ブタンジオール;1,4−シクロヘキサンジオール;エチレングリコール;ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;9(1)−ヒドロキシメチルオクタデカノール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン;8,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デセン;Dimerolアルコール(Henkel Corporationから入手可能な36炭素ジオール);水素化ビスフェノール;9,9(10,10)−ビスヒドロキシメチルオクタデカノール;ヒマシ油;エポキシド化種子油;反応性水素を含有する他の変性種子油;1,2,6−ヘキサントリオール;ならびにこれらの組合せがある。
【0013】
ポリオールは、例えば、ポリ(プロピレンオキシド)ホモポリマー、ポリ(エチレンオキシド)含量が、例えば、約1〜約30重量%である、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのランダムコポリマー、エチレンオキシドキャップされたポリ(プロピレンオキシド)ポリマー、およびプロピレンオキシドとエチレンオキシドのエチレンオキシドキャップされたランダムコポリマーであってもよい。スラブ材フォーム用途では、このようなポリエーテルは、好ましくは、分子1個当たり2〜5個、特に、2〜4個、好ましくは2〜3個の主に2級のヒドロキシル基を含有し、ヒドロキシル基1個当たり約400〜約3000、特に、約800〜約1750の当量を有する。高反発性スラブ材およびモールドフォーム用途では、このようなポリエーテルは、好ましくは、分子1個当たり2〜6個、特に、2〜4個の主に1級のヒドロキシル基を含有し、ヒドロキシル基1個当たり約1000〜約3000、特に、約1200〜約2000の当量を有する。ポリオールのブレンドが使用される場合、名目上の平均官能性(分子1個当たりのヒドロキシル基の数)は、好ましくは、上記に指定した範囲内となる。粘弾性フォームでは、150超のヒドロキシル数を有するより短い鎖のポリオールも使用される。半硬質フォームの生産では、ヒドロキシル数が30〜80である三官能性ポリオールを使用することが好適である。
【0014】
ポリエーテルポリオールは、いわゆる二重金属シアニド(DMC)触媒を使用して作製されるものなど、低末端不飽和(例えば、0.02meq/g未満、もしくは0.01meq/g未満)を含有する場合があり、または0.02meq/gより高く、ただし、0.1meq/g未満である不飽和を有する場合がある。ポリエステルポリオールは一般に、分子1個当たり約2個のヒドロキシル基を含有し、ヒドロキシル基1個当たり約400〜1500の当量を有する。
【0015】
ポリオールブレンドは、共反応体とポリイソシアネートとの反応を通じた追加粒子の形成を助長するのに、最大粒径が5μm未満である少量の懸濁粒子を用いてシードされる。粒子は、イソシアネート非反応性粒子であっても、イソシアネート反応性粒子であってもよい。ポリオールブレンドは、ポリオールブレンドの総重量に基づいて約0.02重量%〜約5重量%の間のシード粒子を含むことができる。約0.02〜約5.0%の間のすべての個々の値およびサブ範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示されている。例えば、固形分は、ポリオールブレンドの重量の0.02、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.67、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、1、1.5、2、2.5、3、または4の下限〜0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.67、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.5、2、2.5、3、4、または5%の上限までとすることができる。
【0016】
イソシアネート非反応性シーディング粒子は、イソシアネートと合わされたとき、化学反応を呈さない。イソシアネート非反応性シーディング粒子の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ビニルポリマー粒子、および無機鉱物、例えば、官能性シラン、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタン、アルミニウム三水和物、または硫酸バリウムなどがある。ビニルポリマー粒子には、アクリロニトリル、ポリスチレン、メタクリロニトリル、メタクリル酸メチル、およびスチレン−アクリロニトリルの粒子が含まれる。
【0017】
ビニルポリマー粒子の分散系を生成するために、ともに以下により完全に記載される1種または複数種のエチレン性不飽和モノマーおよび少なくも1種の安定剤が、上述したポリオールなどのポリオール中に分散される。一般に、重合は、ポリオール中のモノマーの撹拌混合物を形成し、この混合物を、モノマーを重合させるのに十分な条件に曝して分散ポリマー粒子を形成することによって行われる。このような重合を行うのに適した条件は、周知であり、例えば、WO2006/065345およびWO2008/005708に記載されており、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0018】
適切なエチレン性不飽和モノマーは、連続相が著しく劣化しない温度で(150℃未満、特に130℃未満などの温度で)重合可能であり、重合されるときポリオールブレンド中で低溶解度を有するものである。適切なモノマーの例としては、ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン;モノビニリデン芳香族、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、および他の不活性置換スチレンなど;α,β−エチレン性不飽和カルボン酸およびエステル、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、および2−メタクリル酸ヒドロキシエチルなど;アクリロニトリルなどのα,β−エチレン性不飽和ニトリル;アクリルアミド;酢酸ビニルなどのビニルエステル;ビニルエーテル;ビニルケトン;ハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデンなどがある。これらのうちでは、モノビニル芳香族およびα,β−不飽和ニトリルが好適である。スチレンおよびアクリロニトリルは、好適なモノマーである。スチレンとアクリロニトリルの混合物(SAN)、特にスチレンが、モノマー混合物の重量の約25〜95%、特に約50〜75%を構成する混合物が好適となり得る。
【0019】
ビニルポリマー粒子を生成するための安定剤の一クラスには、ポリオールブレンドと相溶性であり(すなわち、存在する相対的比率でポリオールブレンドと単一相混合物を形成する)、重合性エチレン性不飽和を含有するマクロマが含まれる。マクロマは、一般にプロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシドのポリマーであるポリエーテル部分を含むことができる。ポリマーは、ヒドロキシル反応基およびエチレン性不飽和を有する二官能性キャッピング剤でキャップされている。このようなキャッピング剤の例としては、イソシアネート、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物、およびエチレン性不飽和を有するエポキシ、およびビニルトリメトキシシランなどのヒドロキシル反応性シランがある。マクロマは、約2000〜50,000、好ましくは約8,000〜約15,000の数平均分子量を有することができる。マクロマは、平均で約1〜約7個またはそれ以上のヒドロキシル基/分子を含有することができる。特に対象とするマクロマは、約8,000〜15,000の数平均分子量、および平均で1.0個以下のヒドロキシル基/分子を有する。特に対象とする別のマクロマは、約8,000〜15,000の数平均分子量、および平均で3〜7個のヒドロキシル基/分子を有する。
【0020】
安定剤の別の適切なクラスには、約5,000〜約50,000、特に約8,000〜約15,000の分子量を有し、付加されたエチレン性重合性不飽和を含有しないポリエーテルが含まれる。これらの安定剤は、好都合なことには、より低い分子量のポリエーテルポリオールを、カップリング剤、例えば、ポリイオスシアネート(polyioscyanate)、2個以上のヒドロキシル反応基(アルコキシル基など)を有するある特定のシラン、ポリエポキシド、ポリカルボン酸、または対応する酸ハロゲン化物および無水物などと反応させることによって調製される。
【0021】
ビニルポリマー粒子は、撹拌しながらモノマー(複数可)、安定剤、およびポリオールブレンドを合わせて混合物を形成し、この混合物を重合条件に供することによって調製することができる。反応開始時にすべての成分を反応器に添加することが可能であり、モノマーおよび安定剤を、反応中に連続的または段階的に反応器に添加することが可能である。マクロマ型安定剤が使用される場合、主モノマーの供給を開始する前に、少量のモノマーを重合させることができる。安定剤は、分散粒子の表面積が成長する割合におおよそ比例する割合で添加することができる。
【0022】
重合は、フリーラジカル開始剤の存在下で行うことができる。フリーラジカル開始剤の量は、発熱を制御しながら商業的に合理的な反応速度をもたらすように選択される。フリーラジカル開始剤の一般的な量は、モノマーに基づいて約0.1〜約5、好ましくは約0.2〜約2、より好ましくは約0.25〜約1重量%である。フリーラジカルイニテーター(initator)は、反応開始時にすべて添加することができ、またはこれは、反応中に連続的または段階的に添加することができる(特にモノマーがそのように添加される場合)。適切なフリーラジカル開始剤の例としては、ペルオキシエステル、過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、アゾ化合物などがある。適切なフリーラジカル開始剤の具体例として、過酸化水素、t−ブチルペルオクトエート、ジ(t−ブチル)ペルオキシド、過酸化ラウロイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,2’−アゾビス[2,4−ジメチル]ペンタンニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−メチルブタンニトリル、2−(t−ブチルアゾ)−2−4,ジメチルペンタンニトリル、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(メチルブチロニトリル)(AMBN)、tert−アミルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、およびこれらの任意の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0023】
ビニルポリマー粒子を形成するための重合は、連鎖移動剤の存在下で行われる場合があり、その理由は、これらの材料を使用すると、いくつかの場合では、ポリマーポリオール生成物の安定性および濾過性が改善されるためである。適切なこのような連鎖移動剤としては、3級ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン、α−トルエンチオール、1−テトラデカンチオール、2−オクタンチオール、1−ヘプタンチオ(heptanethio)、1−オクタンチオール、2−ナフタレンチオール、1−ナフタレンチオール、1−ヘキサンチオール、エタンチオ(ethanethio)、および1−ドデカンチオールがある。他の適切な連鎖移動剤には、硫化ベンジル、ヨードホルム、ヨウ素などが含まれる。連鎖移動剤の適切な量は、モノマーの重量に基づいて約0.1〜約5、特に約0.25〜約2.5、好ましくは約0.5〜約1%である。
【0024】
無機シーディング粒子としては、例えば、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、または硫酸バリウムがある。無機鉱物の粒径は、1μm未満であることが好ましい。ヒュームドシリカは、O−H火炎中でSiClを燃やして生成される合成非晶質SiOである。例としては、Evonik Industriesから入手可能なAEROSILがある。
【0025】
イソシアネート反応性シーディング粒子は、イソシアネートと合わされると化学反応を呈する。イソシアネート反応性シーディング粒子には、ポリウレタンおよび/もしくはポリウレタン−尿素粒子(PIPA)、または尿素粒子(PHD)が含まれる。PHD粒子は、PIPA粒子ほどイソシアネートと容易に反応しないことは、当技術分野で公知である。シードされたポリオールブレンドのポリウレタンおよび/もしくはポリウレタン−尿素粒子(PIPA)、または尿素粒子(PHD)の分散系を生成するために、PIPAおよび/またはPHD形成共反応体が、上述したポリオールなどのポリオール中に溶解または分散される。
【0026】
PHDシードが望まれる場合、PHD形成共反応体として、アミン、例えば、アンモニア、アニリンおよび置換アニリン、ならびに脂肪族アミンなどを挙げることができる。PHD形成共反応体として、ジアミン、例えば、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、アルコノールアミン(alkonolamine)、およびヒドラジンなども挙げることができる。
【0027】
PIPAシードが望まれる場合、PIPA形成共反応体として、ジオール、トリオール、テトラオール、またはより高級の官能性アルコール、例えば、グリコール、グリセロール、クアドロール、ポリグリセリンなど;およびアルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエトキシエタノール)、ヒドロキシエチルピペラジン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンなど、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。考慮され得る他のアルカノールアミンとしては、N−メチルエタノールアミン、フェニルエタノールアミン、およびグリコールアミンがある。ハイブリッドPHD−PIPA粒子を形成するために、PHD形成共反応体とPIPA形成共反応体の混合物を提供することも可能である。
【0028】
PIPAおよび/またはPHD粒子の組成は、共反応体の構造に依存するだけでない場合があり、ポリオールブレンドの組成も粒子組成に影響し得る。グリセロールなどのポリオール、およびトリエタノールアミンなどのアルコールのみを含むアミンは、ポリウレタンを組み込んで粒子になり、トリエタノールアミンなどのアミノアルコールは、ポリウレタン−尿素を組み込んで粒子になり、ヒドラジンまたはエチレンジアミンなどの第一級または第二級アミンは、ポリ尿素を組み込んで粒子になる。別の共反応体は、水とすることができ、これにより、さらにポリビウレットおよびポリアロファネートが形成される。一般に、イソシアネート反応性粒子は、下方調整する(under-index)ことによって、すなわち、共反応体を完全に反応させるのに必要な理論量より低いポリイソシアネートの量を使用することによって得られる。さらに、ポリマー自体が、例えば、ポリ尿素などの反応基を含有することができるが、これらは、ヒドロキシルまたは第二級アミン部分ほど反応性でない。共反応体のポリイソシアネートとの反応に加えて、担体ポリオールは、ポリイソシアネートと確かにある程度反応し、したがって、これらのイソシアネート反応性シードのすべてがポリウレタンポリマー部分を含有することが認識される。
【0029】
シーディング粒子のための少なくとも1種のPHDおよび/またはPIPAポリマー形成共反応体は、約2wt.%〜約20wt.%、好ましくは約5wt.%〜約15wt.%の間の濃度でポリオールに添加される。より有効なシードとなり得るより小さい粒子(5μm未満)を得るために、より低い固形分(16%未満など)が好ましい場合がある。
【0030】
あるいはイソシアネート反応性シーディング粒子は、ポリ尿素などのポリオール中に可溶性でない多官能性化合物、またはスクロースなどの多価アルコール、またはイミダゾールなどのアミンおよびポリアミン、またはベンゾグアナミンもしくはトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの環状化合物であってもよい。これらの反応性シードは、PHDまたはPIPAポリオールを生成する前に担体ポリオール中に分散される。
【0031】
さらに、触媒がポリオールと合わされる。触媒量の有機金属を使用することができる。触媒として有用な有機金属化合物としては、ビスマス、鉛、スズ、チタン、鉄、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、クロムなどの有機金属化合物がある。これらの金属触媒のいくつかの例として、硝酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、2−エチルヘキソ酸鉛(lead 2-ethylhexoate)、安息香酸鉛、オレイン酸鉛、ジブチルスズジラウレート、トリブチルスズ、ブチルスズトリクロリド、ジメチルスズ塩化第二スズ(dimethyltin stannic chloride)、オクチル酸スズ、オレイン酸第一スズ、ジブチルスズジ−(2−エチルヘキソエート(ethylhexoate))、塩化第二鉄、三塩化アンチモン、グリコール酸アンチモン、グリコール酸スズ(tin glycolate)、アセトン酸アセチル鉄(iron acetyl acetonate)などが挙げられる。触媒は、イソシアネートと共反応体、例えば、アルカノールアミンのヒドロキシルまたは第二級もしくは第一級アミン基、あるいはアミン系共反応体の第一級または第二級アミン基などとの反応を加速するのに使用される。スズを含まない触媒が使用されることが好ましい。
【0032】
諸実施形態は、金属塩触媒に加えて共触媒として、第三級アミン触媒、例えば、DABCO33LV(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンもしくはトリエチレンジアミン)またはPOLYCAT77(ビス−(ジメチルアミノプロピル)メチルアミン)などを使用することも含む。諸実施形態は、脂肪酸に基づく金属塩触媒、例えば、KOSMOS EF(リシノール酸第一スズ);KOSMOS54(リシノール酸亜鉛)、オクチル酸亜鉛、またはDABCO MB20(ネオデカン酸ビスマス)なども含む。いくつかの実施形態では、第三級アミン触媒と脂肪酸に基づく金属塩触媒との組合せが使用される。
【0033】
本発明の実施形態では、金属塩触媒は、PHDまたはPIPAシード粒子を生成するのに使用される共反応体(アミンおよび/またはアミノアルコール)と予めブレンドされ、アミン触媒は、担体ポリオールと予めブレンドされる。2種類の触媒をこのように組み合わせると、粒子を得るためのポリイソシアネートと共反応体との反応、および粒子を安定化させるためのポリイソシアネートと担体ポリオールとの反応の両方の制御を改善することができる。金属触媒と共反応体を合わせることによって、重合反応に有利になることが見出されている。一方、ポリイソシアネートと担体ポリオールとの反応が強すぎると、より多くのポリイソシアネートが担体ポリオールとの反応において消費されるので、最終生成物の粘度が増大し、それと同時にPHDまたはPIPA重合プロセスが低減することになり、したがって、低粘度で、安定なPHDまたはPIPAポリオールを得るために、これらの2つの競合する反応のバランスをとらなければならない。
【0034】
混合下で、少なくとも1種のポリイソシアネートがポリオールに添加される。混合は、ポリオール、添加剤、共反応体、およびポリイソシアネートの複数のストリームを用いて、撹拌反応器内で、または当技術分野で公知であるように静的ミキサーを順次に使用することによって、またはより好ましくは、ポリウレタン発泡機で使用されるものなどの高圧混合ヘッドを連続的に使用することによって生じさせることができる。本発明で使用することができるイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、および芳香族イソシアネートがある。
【0035】
適切な芳香族ポリイソシアネートの例として、ジフェニルメタンジイソシアンテ(diisocyante)(MDI)の4,4’−、2,4’、および2,2’−異性体、これらのブレンドならびにポリマーおよびモノマーのMDIブレンド、トルエン−2,4−ならびに2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−ならびにp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメーチルジフェニル(dimehtyldiphenyl)、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネート、ならびにジフェニルエーテルジイソシアネート、ならびに2,4,6−トリイソシアナトトルエン、ならびに2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0036】
トルエンジイソシアンテ(diisocyante)の2,4−および2,6−異性体の市販の混合物などのポリイソシアネートの混合物を使用することができる。トルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られる粗トルエンジイソシアネート、または粗メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られる粗ジフェニルメタンジイソシアネートなどの粗ポリイソシアネートも、本発明を実施する際に使用することができる。TDI/MDIブレンドも使用することができる。
【0037】
脂肪族ポリイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、上述した芳香族イソシアネートの飽和類似体、およびこれらの混合物がある。
【0038】
約30〜約150の間、例えば、約50〜約120の間、約60〜約110の間、または60〜90の間などのイソシアネート指数を求めて、少なくとも1種のポリイソシアネートがポリオールに添加される。イソシアンテ指数は、ポリマーシード中に存在するPIPAおよび/またはPHD形成共反応体を保持するために、100未満に保持される場合がある。イソシアネート指数は、配合物中に存在するイソシアネート反応性水素原子に対するイソシアネート基の比である。したがって、イソシアネート指数は、配合物中で使用されるイソシアネート反応性水素の量と反応するのに理論的に要求されるイソシアネートの量に対する、配合物中で実際に使用されるイソシアネートの百分率を表す。
【0039】
少なくとも1種のPHDおよび/またはPIPAポリマー形成共反応体およびポリイイソシアネート(polyiisocyanate)を、外部熱および大気圧を施すことなく、順調に反応させることができるが、より高い温度および圧力も許容可能であり得る。例えば、反応温度は、約20℃〜約120℃の間の範囲とすることができ、圧力は、大気圧〜約100psiの範囲であってもよい。
【0040】
イソシアネート非反応性シードまたはイソシアネート反応性シードのいずれかが、上述したポリオールブレンドと合わされて、シードされたポリオールブレンドが形成される。シードは、ポリオールブレンドが、シードされたポリオールブレンドの重量の約0.02〜約5.0%の間の固形分を有するように、ポリオールブレンドと合わせることができる。約0.02〜約5.0%の間のすべての個々の値およびサブ範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示されている。例えば、固形分は、シードされたポリオールブレンドの重量の0.02、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.67、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、1、1.5、2、2.5、3、または4の下限〜0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.67、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.5、2、2.5、3、4、または5%の上限までとすることができる。
【0041】
シードされたポリオールブレンドを、PHD形成共反応体および/またはPIPA形成共反応体と合わせることができる。PHDおよび/またはPIPAポリマーポリオール分散系は、同じポリオール、共反応体、触媒、およびポリイソシアネートなど、同様の反応体および条件を使用して、PHDおよび/またはPIPAシード粒子が作製されるのと非常に同様の様式で生成することができる。しかし、PHDおよび/またはPIPAポリマーポリオール分散系の形成は、スズを含む触媒を添加することなく行われる。したがって、上述したシードを生成するのにスズを含む触媒がまったく使用されない場合、得られるポリマーポリオール分散系は、スズを完全に欠いており、すなわち、ポリマーポリオール分散系中に検出可能なスズはまったく存在しない。しかし、上述したシードを生成するのにスズを含む触媒が使用される場合、ポリマーポリオール分散系中に少量のスズが存在することになる。シード含有ポリオールが希釈される結果、スズを実質的に欠くポリマーポリオール分散系がもたらされるので、このような系におけるスズの量は最少である。スズを実質的に欠くとは、0.02ppm〜約5ppmの間、より好ましくは5ppm未満の最終的なスズの量を意味する。諸実施形態は、第三級アミン触媒、および脂肪酸に基づく金属塩触媒を使用することも含む。いくつかの実施形態では、第三級アミン触媒と脂肪酸に基づく金属塩触媒との組合せが使用される。諸実施形態は、金属塩触媒の非存在下で、アミン触媒、またはポリアミン開始剤をアルコキシル化することによって作製される自己触媒ポリオールを使用することも含む。しかし、こうすると、得られるポリマーポリオールが高粘度になる場合がある。
【0042】
PHDまたはPIPAポリオールを生成するための共反応体は、400以下の当量、および酸素または窒素原子に結合した複数の活性水素原子を有する材料とすることができる。これらは、担体ポリオール中で完全に可溶性である場合があり、またはこれらは、ある程度しか可溶性でない場合がある。ある程度可溶性の共反応体については、分散系は、PHDまたはPIPA生成の1日前未満など、PHDまたはPIPAポリオールが生成される直前に作製することができる。あるいは共反応体は、混合チャンバーにおいて別個のストリームで添加される。
【0043】
PHDポリオールが望まれる場合、PHD形成共反応体は、アミン、例えば、アンモニア、アニリンおよび置換アニリン、ならびに脂肪族アミンなどを挙げることができる。PHD形成共反応体として、ジアミン、例えば、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、アルコノールアミン(alkonolamine)、およびヒドラジンも挙げることができる。
【0044】
PIPAポリオールが望まれる場合、PIPA形成共反応体として、ジオール、トリオール、テトラオール、またはより高級の官能性アルコール、例えば、グリコール、グリセロール、クアドロール、ポリグリセリンなど;およびアルカノールアミン、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエトキシエタノール)、ヒドロキシエチルピペラジン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンなど、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。考慮され得る他のアルカノールアミンとしては、N−メチルエタノールアミン、フェニルエタノールアミン、およびグリコールアミンがある。ハイブリッドPHD−PIPA粒子を形成するために、PHD形成共反応体とPIPA形成共反応体の混合物を提供することも可能である。
【0045】
PIPAおよび/またはPHD粒子の組成は、共反応体の構造に依存するだけでない場合があり、ポリオールブレンドの組成も粒子組成に影響し得る。グリセロールなどのポリオール、およびトリエタノールアミンなどのアルコールのみを含むアミンは、ポリウレタンを組み込んで粒子になり、トリエタノールアミンなどのアミノアルコールは、ポリウレタン−尿素を組み込んで粒子になり、ヒドラジンまたはエチレンジアミンなどの第一級または第二級アミンは、ポリ尿素を組み込んで粒子になる。共反応体はあるいは、水とすることができ、これにより、ポリビウレットおよびポリアロファネートが形成される。
【0046】
ポリマーポリオール分散系は、バルク反応器または連続プロセスのいずれかにおいて形成することができる。バルク反応については、シード、ポリオールブレンド、共反応体、および触媒が最初に一緒にブレンドされ、その後、活発な撹拌条件下でポリイソシアネートが添加され、または触媒を最後に添加することができる。連続プロセスは、ポリウレタンフォームを生産するために設計されたものなどの高圧混合ヘッドを使用して実施することができる。複数のストリーム、例えば、ポリオールストリーム、シードとポリオールのストリーム、触媒と共反応体のストリーム、およびポリイソシアネートストリームなどを、混合ヘッド内で合わせることができる。
【0047】
諸実施形態は、ポリイソシアネートを添加する前に、脂肪酸金属塩触媒(KOSMOS54(リシノール酸亜鉛触媒)、Dabco MB20(ネオデカン酸ビスマス)、またはオクチル酸亜鉛など)、および第三級アミン触媒(DABCO33LVまたはPolycat77など)、および共反応体を予めブレンドすることを含む。別の可能性は、WO03/016373に記載されたものなどの、担体ポリオールの一部としてアミン開始ポリオールを使用することである。
【0048】
本発明の実施形態では、金属塩触媒は、PHDまたはPIPA粒子を生成するのに使用される共反応体(アミンおよび/またはアミノアルコール)と予めブレンドされ、アミン触媒は、ポリオールブレンドと予めブレンドされる。金属触媒と共反応体を合わせることによって、粒子重合反応が、ポリイソシアネートとポリオールブレンドとの反応より促進されることが見出されている。したがって、連続プロセスでは、ストリームは、ポリオールとアミン触媒のストリーム、シードとポリオールのストリーム、共反応体と金属塩触媒のストリーム、およびポリイソシアネートストリームを含むことができる。他の実施形態では、金属塩触媒を上述した脂肪酸金属塩触媒とすることができ、アミン触媒を上述した第三級アミン触媒とすることができる。
【0049】
得られるPIPAおよび/またはPHD、ポリマーポリオール分散系は、約15wt.%〜約40wt.%の間の範囲内で固形分を有することができる。約15wt.%〜約40wt.%の間のすべての個々の値およびサブ範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示されている。例えば、固形分は、ポリマーポリオール分散系の重量の15、16、17、18、19、20、25、30、または35の下限〜18、20、25、30、35、または40%の上限までとすることができる。これらの固体レベルは、総レシピ中のシード、共反応体、およびポリイソシアネートの濃度の加算に基づいて計算されることが理解される。形成されるポリマーの一部は、担体ポリオール中に可溶性であり得るので、血清相として知られるものの中では、固体粒子の測定可能レベルは、30%以下、好ましくは20%未満、好ましくは10%未満、理論量より低い場合がある。
【0050】
PIPAまたはPHD粒子は、少なくとも40℃の、好ましくは50℃より高いガラス転移温度を有し得る。
【0051】
PHDまたはPIPAの粒径および粒径分布は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して測定することができる。例えば、PHDまたはPIPAの粒径および粒径分布は、小容積モジュールを有するBeckman Coulter LS230粒径分析器で測定され得る。PHDおよび/またはPIPAポリオールの試料は、レーザービームの配光によって測定される前に、イソプロパノールで最初に希釈される。粒子のサイズが大きいほど、レーザー光の分布が大きい。いくつかの測定が1回の実行の間に行われて、粒径に対応した体積%を示す図がもたらされる。イソプロパノールを用いた希釈は、計測器の読みを最適にするために固形分に応じて調整される。通常20〜30mlのIPAが、PHDおよび/またはPIPAポリオール0.5グラムに対して使用される。
【0052】
PHDおよび/またはPIPAポリマーポリオール分散固体は、Beckman Coulter LS230分析に従って測定される場合に、粒子の少なくとも90体積%が10μm未満の粒径を有するような平均粒子を有することができる。諸実施形態は、粒子の少なくとも99体積%が10μm未満の粒径を有することを包含する。諸実施形態は、粒子の少なくとも90体積%が5μm未満の粒径を有することも包含する。諸実施形態は、粒子の少なくとも99体積%が5μm未満の粒径を有することも包含する。
【0053】
20%のPIPAおよび/またはPHD固形分について、得られるポリマーポリオール分散系の粘度は、ISO3219法に従って25℃で測定される場合、8,000cps未満であり得、好ましくは、7,000cps未満、好ましくは6,000cps未満である。別の方法は、ポリオール中の懸濁液中の粒子に対するせん断の効果を確認するための2分のせん断傾斜プログラムを用いて、コーンアンドプレートを使用することである。
【0054】
次いで、上記成分から調製されるポリマーポリオール分散系を配合物中に組み込むことができ、こうしてポリウレタン製品がもたらされる。本明細書で具現されるポリマーポリオール分散系は、上述したものなどのポリイソシアネートとともに使用することができ、または当技術分野で周知の追加のポリオールと合わせ、ポリイソシアネートと反応させて、得られるポリウレタンフォーム製品を形成することができる。
【0055】
一般に、ポリウレタンフォームは、必要に応じて発泡剤、触媒(複数可)、および他の任意選択の成分の存在下で、上記に列挙したイソシアネートまたはこれらの組合せなどのイソシアネートと、ポリマーポリオールを混合することによって調製される。追加のポリオールおよび/またはポリマーポリオールも、ポリマーポリオール組成物をポリイソシアネートと反応させる前に、ポリマーポリオールブレンドに添加することができる。反応の条件は、ポリイソシアネートとポリオール組成物が反応して、発泡剤が反応中の混合物を膨張させるガスを生成する間にポリウレタンおよび/またはポリ尿素ポリマーを形成するようなものである。
【0056】
ポリオールブレンドは、ブレンドの総質量に基づいて、約5wt.%〜約50wt.%またはそれ以上の間の総固形分(シード、PIPAおよび/またはPHD固体を含む)を有することができる。約5wt.%〜約50wt.%の間のすべての個々の値およびサブ範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示されている。例えば、固形分は、ブレンドの重量の5、8、10、15、20、25、または30wt.%の下限〜20、25、30、35、または40wt.%の上限までとすることができる。一実施形態では、含量は、約8〜40wt.%の間である。さらに、無機充填剤などの充填剤、メラミンなどの難燃剤、または再生フォーム粉を、ポリオールブレンドの1〜50%の間、またはポリオールブレンドの2〜10%の間のレベルでポリオールブレンド中に組み込むことができる。
【0057】
ブレンドは、ポリオール(および存在する場合、水)がポリイソシアネートと反応するために1種または複数種の触媒も含むことができる。第三級アミン化合物、イソシアネート反応基を有するアミン、および有機金属化合物を含めた任意の適切なウレタン触媒を使用することができる。例示的な第三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノ−プロピルアミン、およびジメチルベンジルアミンがある。例示的な有機金属触媒としては、有機水銀、有機鉛、有機鉄(organoferric)、有機ビスマス、および有機スズの触媒があり、有機金属触媒がないことが好適である。アルカリ金属アルコキシドなどの、イソシアネートの三量体を形成してイソシアヌレートをもたらすための触媒も、任意選択により本明細書で使用することができる。アミン触媒の量は、配合物中で0.02〜5パーセントまで変更することができ、または配合物中0.001〜1パーセントの有機金属触媒を使用することができる。別の選択肢は、アミン触媒を差し替えて第三級アミン開始剤に基づいて自己触媒ポリオールを使用し、したがって、フォーム中の揮発性有機化合物を低減することである。
【0058】
さらに、ポリウレタンポリマーの調製においてある特定の他の成分を使用することが望ましい場合がある。これらの追加の成分の中では、乳化剤、シリコーン界面活性剤、保存剤、難燃剤、着色剤、抗酸化剤、強化剤、UV安定剤などである。
【0059】
フォームは、いわゆるプレポリマー法によって形成することができ、この方法では、化学量論的に過剰のポリイソシアネートを高当量のポリオール(複数可)と最初に反応させてプレポリマーを形成し、これを第2のステップにおいて鎖延長剤および/または水と反応させて所望のフォームを形成する。フロス法(frothing method)も適切となり得る。いわゆるワンショット法も使用することができる。このようなワンショット法では、ポリイソシアネートおよびすべてのイソシアネート反応性成分が同時に一緒にされ、反応させられる。本明細書で使用するのに適した3つの広く使用されているワンショット法としては、スラブ材フォームプロセス、高反発性スラブ材フォームプロセス、およびモールドフォーム法がある。
【0060】
スラブ材フォームは、フォーム成分を混合し、反応混合物が反応し、気圧に逆らって自由に隆起し(場合によりフィルムまたは他の柔軟なカバーの下で)、硬化するトラフまたは他の領域にこれらを分配することによって調製することができる。一般的な工業規模のスラブ材フォーム生産では、フォーム成分(またはこれらの様々な混合物)は、独立してポンプで混合ヘッドに送られ、そこでこれらは混合され、紙またはプラスチックが敷かれたコンベア上に分配される。発泡および硬化がコンベア上で行われて、フォームパンが形成される。得られるフォームは一般に、密度が約10kg/m〜80kg/m、特に約15kg/m〜60kg/m、好ましくは約17kg/m〜50kg/mである。
【0061】
スラブ材フォーム配合物は、大気圧でポリオール100重量部当たり約0.5〜約6、好ましくは約1〜約5重量部の水を含有し得る。減圧で、または高い高度でこれらのレベルは低減される。高反発性スラブ材(HRスラブ材)フォームは、慣例的なスラブ材フォームを作製するのに使用されるものと同様の方法であるが、より高い当量のポリオールを使用して作製することができる。HRスラブ材フォームは、ASTM3574.03に準拠して、45%以上のボールリバウンドスコア(Ball rebound score)を呈することを特徴とする。水のレベルは、ポリオール100重量部当たり約1〜約6、特に約2〜約4部である傾向がある。
【0062】
モールドフォームは、反応体(コポリエステル、ポリイソシアネート、発泡剤、および界面活性剤を含むポリオール組成物)を鋼、アルミニウム、またはエポキシ樹脂製の密閉金型に移すことによって、本発明に従って作製することができ、密閉金型では、発泡反応が行われて成形したフォームが生成される。金型が周囲温度を著しく超えて予熱されない、いわゆる「冷間成形」プロセス、または金型が加熱されて硬化が推進される「熱間成形」プロセスのいずれも使用することができる。高反発性モールドフォームを生産するには、冷間成形プロセスが好適である。モールドフォームの密度は一般に、30〜70kg/mの範囲である。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために示すが、その範囲を限定することは意図していない。すべての部および百分率は、別段の指定のない限り、重量によるものである。
【0064】
以下の材料を使用する:
VORANOLCP−4702 ポリオキシエチレンキャップ、33〜38の範囲内のヒドロキシル数、4,700の平均分子量、および820cpsの25℃での粘度を有するグリセリン開始ポリオキシプロピレンポリオール。The Dow Chemical Companyから入手可能。
VORANOLCP4735 ポリオキシエチレンキャップ、33〜38の範囲内のヒドロキシル数、4,700の平均分子量、および820cpsの25℃での粘度を有し、The Dow Chemical Companyから入手可能なグリセリン開始ポリオキシプロピレンポリオール。
トリエタノールアミン ALDRICHから入手可能な、99%純粋なトリエタノールアミン
ジエタノールアミン85% The Dow Chemical Companyから入手可能な85%のジエタノールアミン、15%の水
VORANATET−80 The Dow Chemical Companyから入手可能なトルエンジイソシアネート(80重量%の2,4−トルエンジイソシアネートおよび20%の2,6−トルエンジイソシアネート)組成物。
DABCO33−LV: Air Products & Chemicals Inc.から入手可能なプロピレングリコール中のトリエチレンジアミンの33%溶液。
KOSMOS54 Evonik Industriesから入手可能なリシノール酸亜鉛触媒。
KOSMOS29 Evonik Industriesから入手可能なオクチル酸スズ触媒。
METATIN1230 Acima Specialty Chemicalsから入手可能なジメチルスズ触媒。
ZINC OCTOATE Acima Specialty Chemicalsから入手可能な亜鉛系触媒。
DABCO MB20 Air Products & Chemicals Inc.から入手可能なネオデカン酸ビスマス触媒。
NIAX A−1 Momentive Performance Materialsから入手可能な70%のビス(2ジメチルアミノエチル)エーテルおよび30%のジプロピレングリコールの触媒
ORTEGOL204 Evonik Industriesから入手可能なブロック安定剤(block stabilizer)。
TEGOSTAB B8783LF Evonik Industriesから入手可能な低フォギング、シリコーン系界面活性剤。
ANTIBLAZE TMCP Albemarle製リン系難燃剤。
シードA 担体ポリオールとしてVoranol CP4735 90部、触媒としてMETATIN1230 0.02部を使用してVORANATE T−80 5.3部と反応したトリエタノールアミン4.7部に基づく10%の固体PIPAポリオール。シードAは、25℃で2,500mPa.sの粘度、および49.7mgのKOH/gのOH数を有する。すべてのPIPA粒子は、サイズが5μm未満である。
シードB 担体ポリオールとしてVoranol CP4735 85部、触媒としてKOSMOS54 0.2部の存在下でVORANATE T−80 8.0部と反応したトリエタノールアミン7.0部に基づく15%のPIPA固体ポリオール。シードBは、以下の比較例3としても報告する。すべての粒子は、サイズが5μm未満である。
シードC 40%の共重合したスチレンとアクリロニトリル(SAN)を含有するグラフトポリエーテルポリオール。SPECFLEXNC700としてThe Dow Chemical Companyから入手可能。SAN粒子は、シードとして作用し、イソシアネートと反応性でない。すべての粒子は、サイズが5μm未満である。
シードD DESMOPHEN7619としてBayerから入手可能な、20%の固体を含有するポリエーテル系ポリ尿素分散系(PHDポリオール)。
VORANATEおよびVORANOLは、The Dow Chemical Companyの商標である。
すべてのポリオールの粘度は、20℃でコーンアンドプレート粘度計を使用して測定する。フォームの性質は、密度、反発性、および圧縮のセットについて、ASTM3574−95試験法に従って調整済み実験室内で3日エイジングした後測定する。粒径分布は、Beckman−Coulter LS230レーザー計測器を使用して上述した試験法に従って求める。この計測器で得られたグラフを図1〜16に表す。
【0065】
3つの異なるプロセスを使用して、ベンチ上でPHDまたはPIPAポリオールを生成する。
手順A:共反応体を担体ポリオール(シードを含有)に添加し、1分間撹拌し、次いで30秒間撹拌しながらポリイソシアネートを注ぎ、最後に触媒を添加し、撹拌をさらに90秒間継続する。
手順B:共反応体を金属塩触媒と予めブレンドし、次いでこれを担体ポリオール(シードを含有)に添加し、1分間撹拌し、最後にポリイソシアネートを30秒にわたって注ぎ、混合を90秒間継続する。
手順C:共反応体を金属塩触媒と予めブレンドし、アミン触媒(およびシード)が既に予めブレンドされた担体ポリオールに添加し、1分間撹拌した後、ポリイソシアネートを10秒にわたって注ぎ、撹拌をさらに120秒間継続する。
【0066】
実施例1および比較例1
実施例1および比較例1を、担体ポリオール(VORANOL CP4702)中でアミン触媒(DABCO33 LV)およびPIPAシードを予めブレンドし、1分間混合し、次いで、トリエタノールアミンと予めブレンドされた金属触媒(KOSMOS54)を添加し、1分間混合することによって、手順Cを使用して作製する。次いで、ポリイソシアネート(VORANATE T−80)を、強く撹拌しながら10秒にわたって添加して、形成物中に粒子を分散させ、これらの合体を防止する。追加の2分後に、撹拌を停止する。以下の表1に報告したイソシアネート指数は、第3のヒドロキシルは、ポリイソシアネートと反応する見込みがなく、また担体ポリオールからのヒドロキシルに相当しないことを考慮して、TEOA(トリエタノールアミン(triethanolamine))の2つのヒドロキシルから計算する。したがって、PIPA粒子は、遊離OH基、したがって、担体ポリオールが35のOH数を有することを考慮すると、以下に報告した高い値のOH数を含有することになる。等価な生成物粘度において、最終的なPIPAポリオールのOH数が低いほど、重合反応がより完全であったことは十分理解される。以下に報告したこれらのOH数は、ピリジン中無水フタル酸溶液で滴定することによって測定した。

【0067】
【表1】
【0068】
図1および図2で分かるように、実施例1(図1)におけるPIPA粒子の粒径が低減し、分布がより良好であることが、PIPAシードを用いずに生成した比較例1(図2)と比較したとき明らかである。さらに、実施例1は、経時的にPIPAポリオール中に沈殿することになる、望ましくない大きい粒子(20μm超)を含有しない。粘度は、20%の固体のPIPAポリオールで著しく低く、シードされた生成物は、最低粘度を有する。
【0069】
実施例2および比較例2
実施例2および比較例2を、アミン触媒(DABCO33 LV)を使用することなく、手順Bに従って作製する。
【0070】
【表2】
【0071】
図3および図4で分かるように、実施例2(図3)において粒径が低減し、分布がより良好であることが、PIPAシードを用いずに生成した比較例2(図4)と比較したとき明らかである。さらに、実施例は、経時的にPIPAポリオール中に沈殿することになる、望ましくない大きい粒子(20μm超)を含有しない。
【0072】
実施例3および4ならびに比較例3および4
PIPAポリオール配合物を、ポリウレタンフォームを生産するように設計されたPOLYMECH高圧混合ヘッドで連続プロセスを使用して作製する。以下のストリームを使用する:VORANOL4735;トリエタノールアミンとKOSMOS54;シードAとVORANOL CP4735の50/50ブレンド(実施例3および実施例4について);およびVORANATE T−80。総生産量は、すべての実行について約20kg/分である。表3は、各成分の使用した重量部を示す。イソシアネート指数をやはり、TEOAの2つのヒドロキシルのみに基づいて計算する。
【0073】
【表3】
【0074】
図5〜8で分かるように、担体ポリオール(Voranol4735)中に少量のシード(2%のPIPAポリオール、実施例3および実施例4、図5および図7)を添加すると、比較例3および比較例4、図6および図8と比較した場合、両イソシアネート指数(97および105)において、トリエタノールアミン液滴が安定化される結果、粒径がより微細になり、粒径分布が左(小粒子)にシフトする。
【0075】
実施例3および実施例4ならびに比較例3および比較例4のPIPA配合物を、標準的なハンドミックス手順を使用してベンチ上で箱型フォームを生産するための配合物中に使用する。ポリオール、水、触媒、および界面活性剤を、2,500rpmで30秒間ブレンドする。次いでVORANATE T−80を添加し、2,500RPMで5秒間混合する。反応体を20cm×20cm×20cmの段ボール金型内に注ぎ、オーブン内で、120℃で5分間硬化させる。PIPAポリオールは、表3のPIPAポリオールを指す。
【0076】
【表4】
【0077】
フォームの性質の改善(より高い反発性およびより小さい圧縮のセット)が、シードされたPIPAを使用して得られることが分かり、これは、ポリオール中のより小さいPIPA粒子がPUポリマーマトリックス中にこれらのより良好な分散をもたらすためである可能性が最も高い。表4の中で、「CFD」は圧縮力撓み(Compression Force Deflection)を表し、「CS」は圧縮永久歪み(Compression Set)を表す。
【0078】
実施例5および比較例5
実施例5および比較例5を、実施例3および実施例4ならびに比較例3および比較例4と同じ様式で作製するが、20%の固体粒子を生成するように配合する。総生産量は、両実行について約20kg/分である。
【0079】
【表5】
【0080】
図9および図10で分かるように、担体ポリオール(Voranol4735)中に少量のシードA(2%のPIPAポリオール、実施例5、図9)を添加すると、比較例5、図10と比較した場合、トリエタノールアミン液滴が安定化される結果、粒径がより微細になり、粒径分布が左(小粒子)にシフトする。OH値も低下し、より良好な反応プロファイルが確認される。
【0081】
実施例6〜9
実施例6〜9を、実施例3および実施例4ならびに比較例3および比較例4と同じ様式であるが、PIPAシードの代わりにSPECFLEX NC700からのスチレン−アクリロニトリルシード(シードC)を使用して作製する。
【0082】
【表6】
【0083】
より小さい程度ではあるが、PIPAシードと同様にSANシードを使用してPIPAポリオールについて、粒径分布の低減が得られる。実施例6〜9(図11〜14)の粒径分布を、同様のレシピを用いたが、シードしないで実施した比較例3および比較例4と比較することができる。シードとしてSPECFLEX NC700を用いたデータは、より高い量(2%)で得られるより、良好な結果が少量(0.35%)で得られることを示す。実施例6〜9のPIPAポリオールは、スズを100%含まない。
【0084】
比較例6および7
比較例6および比較例7は、PIPAポリオールを生成するのにMETATIN1230などの強いスズ系触媒を使用するときのシードの効果を比較することを目的とする。両ポリオールを、実施例3および実施例4と同様に発泡機の混合ヘッドを連続的に使用するが、比較例6および比較例7についてそれぞれ約20kg/分の総生産量で生成する。DBTDLまたはMetatin1230などの有機スズ系触媒を使用する場合、PIPAの品質は、シードを用いなくても既に非常に良好であるので、シーディング技術を使用することの利点は、ほとんど存在しない。実際に、図15(シードなし)および図16(PIPAシード)で分かるように、両PIPAの粒径は、5μm未満である。さらに、未シードのPIPAポリオール(図15を参照)の粒径分布は、実施例3のスズを含まない、シードされたPIPAと同様である(図5を参照)。
【0085】
【表7】
【0086】
実施例10および参考例11
実施例10および参考例11では、手順A、ならびにそれぞれシードBおよびシードDを使用して、ベンチ上で2種の20%固体PIPAスズを含まないポリオールを生成する。KOSMOS54を、VORANOL CP4702中で、10%で予めブレンドする。

【0087】
【表8】


【0088】
実施例12および13ならびに比較例8
手順B、およびシードA、ならびに触媒として、それぞれDabco MB20およびオクチル酸亜鉛を使用して、ベンチ上で実施例12および実施例13(ともにスズを含まない20%固体PIPAポリオール)を生成する。両場合において、触媒をトリエタノールアミンと予めブレンドする。比較例8は、実施例12と同じレシピに基づくが、シードAを用いない。比較例8では、ゲルが得られ、したがって粘度を測定することができない。
【0089】
【表9】
【0090】
前述したことは、本発明の実施形態を対象とするが、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態を、本発明の基本範囲から逸脱することなく工夫することができ、本発明の範囲は、以下に続く特許請求の範囲によって決まる。 なお、本発明には以下の態様が含まれることを付記する。
[1]
ポリマーポリオール分散系を生成する方法であって、
a)少なくとも1種のポリオール、
b)少なくとも1つのシード集団、
c)少なくとも1種の触媒、
d)400以下の当量を有する共反応体の少なくとも1種、および窒素または酸素原子に結合した少なくとも1つの活性水素、ならびに
e)少なくとも1種のポリイソシアネート
を含む少なくとも1つの反応系を準備するステップを含み、
前記少なくとも1つのシード集団が、前記少なくとも1種のポリオールの約5重量%未満を構成し、最大粒径が5μm未満である懸濁されたシード粒子を含み、
前記少なくとも1つの反応混合物が、スズを含む触媒を添加することなく、反応して前記少なくとも1種のポリオール中でポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の少なくとも1つを形成し、
前記ポリマーポリオール分散系が、前記ポリマーポリオール分散系の重量の少なくとも15%の固形分を有する、
方法。
[2]
反応系の反応生成物を含むポリマーポリオール分散系であって、
前記反応系が、
a)少なくとも1種のポリオール、
b)少なくとも1つのシード集団、
c)少なくとも1種の触媒、
d)400以下の当量を有する共反応体の少なくとも1種、および窒素または酸素原子に結合した少なくとも1つの活性水素、ならびに
e)少なくとも1種のポリイソシアネート
を含み、
前記少なくとも1つのシード集団が、前記少なくとも1種のポリオールの約5重量%未満を構成し、最大粒径が5μm未満である懸濁されたシード粒子を含み、
前記少なくとも1つの反応混合物が、スズを含む触媒を添加することなく、反応して前記少なくとも1種のポリオール中でポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の少なくとも1つを形成し、
前記ポリマーポリオール分散系が、前記ポリマーポリオール分散系の重量の少なくとも15%の固形分を有する、分散系。
[3]
前記少なくとも1つのシード集団が、ポリ尿素粒子、ポリイソシアネート重付加物粒子、アクリロニトリル粒子、ポリスチレン粒子、メタクリロニトリル粒子、メタクリル酸メチル粒子、スチレン−アクリロニトリル粒子、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、およびヒュームドシリカ粒子の少なくとも1種の粒子を含む、[1]に記載の方法または[2]に記載のポリマーポリオール分散系。
[4]
前記少なくとも1つのシード集団が、ポリ尿素、ポリウレタン、またはポリウレタン−尿素粒子が形成される間にポリイソシアネートと反応することができる反応性水素を含有する、ポリ尿素粒子、ポリウレタン、ポリウレタン−尿素、ポリイソシアネート重付加物粒子の少なくとも1種の粒子を含む、[1]に記載の方法または[2]に記載のポリマーポリオール分散系。
[5]
ポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の粒子の少なくとも1種の粒子の少なくとも90重量%が、10μm未満の直径を有する、[1]から[4]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[6]
ポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の粒子の少なくとも1種の粒子の少なくとも90重量%が、5μm未満の直径を有する、[1]から[5]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[7]
前記ポリマーポリオールが、前記ポリマーポリオールの重量に基づいて少なくとも20重量%の粒子濃度を有する、[1]から[6]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[8]
前記ポリマーポリオールが、スズを含む触媒を実質的に欠いている、[1]から[7]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[9]
前記ポリマーポリオールが、スズを含む触媒を完全に欠いている、[1]から[7]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[10]
前記少なくとも1つの反応混合物が、スズを含まない金属触媒、第三級アミン触媒、またはスズを含まない金属触媒と第三級アミン触媒の組合せの少なくとも1種の存在下で反応して、ポリ尿素、ポリウレタン、およびポリウレタン−尿素粒子集団の少なくとも1つを形成する、[1]から[8]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[11]
前記少なくとも1種の共反応体が、少なくとも1つの反応混合物と合わされる前に、前記スズを含まない金属触媒とブレンドされる、[10]に記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[12]
前記少なくとも1種のポリオールが、前記少なくとも1つの反応混合物と合わされる前に、前記第三級アミン触媒とブレンドされる、[9]から[11]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[13]
前記スズを含まない金属塩触媒が、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、銅、クロム、ニッケル、鉄、およびコバルト触媒の1種または複数種を含む、[9]から[12]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[14]
前記スズを含まない金属塩触媒が、リシノール酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、およびネオデカン酸ビスマスの少なくとも1種である、[13]に記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[15]
前記第三級アミン触媒が、トリエチレンジアミン、ビス−(ジメチルアミノプロピル)メチルアミン、または両方の組合せの少なくとも1種である、[9]から[14]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[16]
前記ポリ尿素、ポリウレタン、またはポリウレタン−尿素粒子形成が、スズを含まない金属触媒と第三級アミン触媒との組合せによって触媒される、[1]から[15]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[17]
前記ポリ尿素、ポリウレタン、またはポリウレタン−尿素粒子形成が、スズを含まない金属触媒とジメチルアミノプロピルアミンおよびアミン開始ポリオールから選択される第三級アミンとの組合せによって触媒される、[1]から[15]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[18]
前記共反応体が、第一級もしくは第二級アミン、またはアルカノールアミンの少なくとも1種を含む、[1]から[17]のいずれかに記載の方法またはポリマーポリオール分散系。
[19]
反応混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォームであって、前記反応混合物が、
[1]から[18]のいずれかに記載のポリオール分散系と、
少なくとも1種のポリイソシアネートと
を含む、ポリウレタンフォーム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16