特許第6204909号(P6204909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204909血液処理装置をリンスおよび/または充填するための方法、および血液処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204909
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】血液処理装置をリンスおよび/または充填するための方法、および血液処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20170914BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61M1/16 165
   A61M1/36 111
   A61M1/36 121
   A61M1/36 129
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-511765(P2014-511765)
(86)(22)【出願日】2012年5月22日
(65)【公表番号】特表2014-521387(P2014-521387A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012002174
(87)【国際公開番号】WO2012159740
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年5月22日
(31)【優先権主張番号】102011102492.5
(32)【優先日】2011年5月24日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】61/457,740
(32)【優先日】2011年5月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】シェーレン グロナウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ノアック
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヘッカー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ミュラー
【審査官】 石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/149656(US,A1)
【文献】 特開平3−254755(JP,A)
【文献】 特許第5555237(JP,B2)
【文献】 特開2010−000161(JP,A)
【文献】 特許第3499002(JP,B2)
【文献】 特表2007−510473(JP,A)
【文献】 特公平07−073605(JP,B2)
【文献】 特許第4101512(JP,B2)
【文献】 特表2009−536537(JP,A)
【文献】 特開2007−167108(JP,A)
【文献】 実用新案登録第2607798(JP,Y2)
【文献】 特許第4387631(JP,B2)
【文献】 特開昭60−150758(JP,A)
【文献】 特開2010−161(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1892000(EP,A1)
【文献】 特開平6−142194(JP,A)
【文献】 特開平2−211171(JP,A)
【文献】 特開昭60−068862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液処理装置をリンスおよび/または充填するための、特に血液処理装置をプライミングするための方法において、血液処理装置は、少なくとも1つのメンブレンフィルタ、特に中空糸膜フィルタ、少なくとも1つの第1部分回路、および少なくとも1つの第2部分回路を含み、上記第1および第2部分回路は、メンブレンフィルタによって半透的に分離され、
第1部分回路は透析回路であり、第2部分回路は体外血液回路であり、
第2部分回路が空である間に第1部分回路が液体によって満たされ、
第2部分回路は、少なくとも一時的に大気に開放され、または第2部分回路に減圧が発生させられて、エアが、メンブレンフィルタの膜を介して第1部分回路から第2部分回路に移動させられることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、
上記第1部分回路は、まず一様なおよび/または脈動する第1体積フローレートで液体によって満たされ、上記体積フローレートは、指定された閾値を超えず、上記閾値では、上記液体は依然、膜を完全には濡らさず、および/または浸透せず、および/または
充填の間、負圧は第1部分回路にかけられないことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって、
メンブレンフィルタは、最初に第1部分回路の側でバランスする形で充填され、バランス充填の間、等しい体積が、メンブレンフィルタに、およびメンブレンフィルタから、送られ、上記バランス充填のために、バランスチャンバが用いられることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、
第1部分回路の側におけるメンブレンフィルタの充填の間、1つまたはより多くのバランスチャンバの切り替え操作が行われることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4の方法であって、
特定の数のバランスチャンバの切り替え操作の後に、エアがメンブレンフィルタの膜を介して、第1から第2部分回路に移動させられることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項2の方法であって、
上記第1体積フローレートは、約500ml/分を超えないことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、
血液処理装置が、第1部分回路の側におけるメンブレンフィルタの充填の間、メンブレンフィルタからのエアが送られる、第2エアセパレータを含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項2の方法であって、
エアがメンブレンフィルタの膜を介して第1から第2部分回路に運ばれる間、液体が、第1体積フローレートよりも大きい体積フローレートで、第1部分回路に送られることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8の方法であって、
供給が、約1300ml/分の体積フローレートで行われることを特徴とする方法。
【請求項10】
少なくとも1つのメンブレンフィルタと、
少なくとも1つの第1部分回路および
少なくとも1つの第2部分回路と、
第1部分回路に液体を送る少なくとも1つの第1ポンプ手段と、
第2部分回路に液体を送る少なくとも1つの第2ポンプ手段とを備え、
上記第1および第2部分回路は、メンブレンフィルタによって半透的に分離された血液処理装置であって、
第1部分回路は透析回路であり、第2部分回路は体外血液回路であり、
上記血液処理装置は、少なくとも1つの制御および/または調節手段を含み、
上記血液処理装置は、少なくとも、分離したポンプ手段によって、第2部分回路が空である間に第1部分回路が液体によって満たされて、少なくとも第1および第2部分回路、およびメンブレンフィルタが、直接的および/または間接的にリンスおよび/または充填され得るように作動可能であり、
第2部分回路は、少なくとも一時的に大気に開放され、または第2部分回路に減圧が発生させられて、エアが、メンブレンフィルタの膜を介して第1部分回路から第2部分回路に移動させられることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10の装置であって、
上記第1部分回路は、少なくとも一時的に、一様なおよび/または脈動する第1体積フローレートで液体によって満たされ、
上記第1体積フローレートは、指定された閾値を超えず、
上記閾値では、上記液体は依然、膜を完全には濡らさず、および/または浸透せず、および/または
上記血液処理装置は、充填の間、負圧が第1部分回路にかけられないように形成されていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項10の装置であって、
それによって第2部分回路が周囲、および/または大気に向けて排気され得る、および/またはそれによって第2部分回路が周囲、および/または大気に向けて開放され得る排気手段が、クランプエレメント、および/または疎水性の膜を含むエレメント、および/またはバルブであり、および/またはそれを含ことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項10の装置であって、
上記血液処理装置が、それによって第1部分回路が直接的および/または間接的にバランスする形で満たされる少なくとも1つのバランスチャンバを含むことを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13の装置であって、
上記血液処理装置が、メンブレンフィルタが最初に第1部分回路の側でバランスする形で満たされるように構成および設計され、バランス充填の間、第1ポンプ手段、およびバランスチャンバによって、等しい体積が、メンブレンフィルタに、およびメンブレンフィルタから、送られ得ることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項11の装置であって、
上記第1体積フローレートは、500ml/分を超えないことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項10の装置であって、
上記血液処理装置が、メンブレンフィルタからのエアが送られ得、第1部分回路の側のメンブレンフィルタを充填する第2エアセパレータを含むことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項10の装置であって、
上記血液処理装置によって、請求項1の方法が行われ得ることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液処理装置(blood treatment device)をリンスおよび/または充填(Filling)するための方法、および血液処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液処理装置、特に透析機械(dialysis machines)を作動させる前には、対応して、例えば透析処理の前に機械をアップグレードし、透析回路、体外血液回路(extracorporeal blood circuit)、および使用されるメンブレンフィルタまたは透析フィルタを排気する(vent)必要がある。そのために、透析回路、体外血液回路、およびまた、通常は透析回路を血液回路から半透的に(semipermeable manner)分離する透析フィルタがリンスされる。
【0003】
血液の処理中の血液浄化効率を高めるためには、透析器の中空ファイバ中を流れる血液は、透析溶液の流れる方向とは逆の方向に流れる。透析溶液は透析器の中空ファイバの外側に位置される。処理中において、血液側のエアは透析液側よりも、より問題視され、特に空気塞栓を引き起こし得る、可能なエア混入ゆえに、透析器は、処理中に、血液が透析器を底部から頂部に流れ、透析溶液は頂部から底部に流れるように配置される。そのため、透析液側のエアの除去は、特に大型の透析器では、しばしば最適ではなく、残存エアの蓄積物(collections)は、ユーザにも認識可能であり、透析器中、特に透析液側に、定常的に残る。
【0004】
この事実は、透析ステーションの操作人員によって透析器が回転されることにより、および続いて、または同時に透析器がノッキングされることによって透析器から残存エアが除去されることが試みられることにより、克服される。回転によって、透析液排出口が上に移動し、残存エアが透析器からより容易に排出(rinsed out)され得る。このように、良好な排気は、透析液側において、特に透析器の透析液側において達成され得る。
【0005】
そのような回転がユーザによって手動で時間のかかる態様で行われる必要があり、ノッキングによってユーザが透析器を損傷し得、また、透析器の回転をもたらすためにチューブシステムの透析器接続チューブが非常に長く設計される必要があるという事実によりコストが増大する点で不都合が生じる。同時に、それによって、体外血液量が不都合に増加する。さらに、特に、透析器が誤ってスタート位置に戻されない場合、すなわち血液再導入口が透析器の下端に位置し透析液導入口が透析器の上端に位置される場合に、回転されたフィルタによる血液側の排気が損なわれる。
【0006】
従来技術からは、透析器の回転が容易にされ得る装置が既に知られている。
【0007】
例えば、特許文献1は、透析器が充填時に自動的に回転し得る透析器ホルダを含む透析機械を開示している。
【0008】
また、透析器回転ステップが回避される既に知られた方法がある。
【0009】
例えば、特許文献2は、体外血液回路を満たした(filling)後、リンス回路中に圧力波が生成され、付着しているエアバブルがリリースされる、透析器をリンスする方法および装置を開示している。同時に、リンスモードで血液および透析液コンパートメントが底部から頂部に横断される(traversed)回路が述べられている。
【0010】
特許文献3は、フィルタのファイバが血液ポンプによって内側から低い圧力またはフローレートで満たされ、次に高い圧力でリンスされる方法を述べている。透析液は、次に、例えば膜を通して透析液スペースへと押しつけられる。そこでは、透析液ポンプによってリンスのためにポンプオーバーされ、部分的に方向の反転も可能である。より高いフローレートでのリンスによってエアが除去される。特許文献3によれば、血液透析器の充填は血液側で血液ポンプによって行われる。プライミング溶液は、血液ポンプによって中空ファイバの内側に送られ、そこから透析液側の膜を通して押しつけられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第69625279T2号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第69623563T3号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/43520A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
例えば透析機械および透析器のようにメンブレンフィルタを用いる血液処理装置において、透析液側、血液側、および透析器の自動的および安全な充填をもたらすことが望ましい。
【0013】
したがって、本発明の目的は、特に、さらなる作業ステップが看護スタッフによって行われることなく、用いられるフィルタが自動的にエアなく満たされ得るように、上記のような血液処理装置および方法を有利に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有する血液処理装置をリンスおよび/または充填するための方法によって解決される。したがって、血液処理装置をリンスおよび/または充填するための方法において、血液処理装置は、少なくとも1つのメンブレンフィルタ、少なくとも1つの第1部分回路、および少なくとも1つの第2部分回路を含み、上記第1および第2部分回路は、メンブレンフィルタによって半透的に分離され、手順は少なくとも次のように行われ、すなわち、上記第1部分回路は、少なくとも一時的に、一様なおよび/または脈動する第1体積フローレートで液体によって満たされ、上記体積フローレートは、指定された閾値を超えず、上記閾値では、上記液体は依然、膜を完全には濡らさず、および/または浸透せず(wetted and/or soaked)、および/または第2部分回路は、少なくとも一時的に大気に開放され、エアが、メンブレンフィルタの膜を介して第1から第2部分回路に移動され、および/または充填の間、負圧は第1部分回路にかけられない。第1部分回路は最初に満たされ、第2部分回路は依然空である。
【0015】
特に、血液処理装置のリンスおよび/または充填は、血液処理装置のプライミングを構成する。メンブレンフィルタは、好ましくは中空ファイバメンブレンフィルタである。この血液処理装置は、有利には透析機械であり得る。例えば充填操作のために、またはプライミングのために用いられる液体は、透析液であり得る。
【0016】
メンブレンフィルタからのエアの除去は、メンブレンフィルタのいかなる機械的操作なしに、および血液処理装置のいかなる技術的変更なしに、大幅に改善される。特に、メンブレンフィルタが、例えば看護スタッフによって行われるべきメンブレンフィルタの反転のような、さらなる作業ステップなしに、今や自動的に充填され、および安全に排気されることは有利である。特に有利には、メンブレンフィルタの充填フェーズ中にメンブレンフィルタの膜を介して、第1部分回路中に存在するエアを除去することが可能である。
【0017】
これは、特に、特定の閾値未満の体積フローレートによる、第1部分回路、および部分回路のこの側に位置するメンブレンフィルタの側の注意深い充填によって、膜が依然としてエアに相当透過的に保たれるという事実によって促進される。メンブレンフィルタの膜の濡れ(wetting)の低減によって、および浸透(soaking)の低減によって、エアが、比較的妨げられることなく膜を通過できることが達成される。そのような妨げられることのないエアの通過は、しかし、メンブレンフィルタの膜が液体によって激しく濡れ、および/または浸透される場合には、もはや容易に可能でない。
【0018】
さらに、第2部分回路が少なくとも大気に向けて開いていることは、このようにして、エアが第1から第2部分回路にメンブレンフィルタの膜を介して移動するときにもたらされるように、エアが第1部分回路から第2部分回路へ移動すべき時に、第2部分回路中に単に低い背圧が存在することが特に達成されるので、有利である。このように、エアは膜を介して容易に動かされ得る。
【0019】
好ましくは、および特に、動作中または処理位置で、メンブレンフィルタは実質的に血液処理装置の中またはところで、実質的に鉛直に配置される。第1および第2部分回路は、メンブレンフィルタを通る流れの方向が反対方向になるように、すなわちメンブレンフィルタは逆流で横切られるよう(traversed in counterflow)に配置される。充填操作中、液体は、第1部分回路中では、メンブレンフィルタの対応する側における頂部から底部へと、メンブレンフィルタを通って流れ、第2部分回路中では、対応して反対方向、すなわちメンブレンフィルタの対応する側における底部から頂部へと、メンブレンフィルタを通って流れる。
【0020】
本発明の方法では、第1部分回路中のエアバブルの発生は、膜を介したエアの除去の促進によって、有利に低減される。すでに、閾値を超えない小さな第1体積フローレートでの中空ファイバメンブレンフィルタを充填する間、エアは膜を介して第2部分回路へ、そしてそこから、例えば周囲へと移動させられる。
【0021】
第1部分回路への負圧の印加を省くことによって、充填操作中、中空ファイバの膜は、長期間エアに対して透過的に残され得、また、エアは第2部分回路から第1部分回路へ逆流し得ず、それは、エアがもはや除去され得ないという事実に導く。
【0022】
これは、特に、代わりに、または好ましくは第1体積フローレートにより組み合わされて、中空ファイバ膜表面の遅いぬれが生じ、さらに、第1部分回路内への負圧の印加を省くことによって、同様に中空ファイバ膜表面の遅いぬれが生じ、第2部分回路を大気に向けて開くことによって、中空ファイバ膜表面の速いぬれを促進する背圧が形成されないことが達成されるという事実によって促進される。
【0023】
特に、第1部分回路が透析回路であり、および/または第2部分回路が体外血液回路であり得る。
【0024】
さらに、メンブレンフィルタは、最初に第1部分回路の側でバランスする形で(in a balancing manner)充填され、バランス充填の間、等しい体積が、メンブレンフィルタに、およびメンブレンフィルタから、送られ、上記バランス充填のために、バランスチャンバが用いられることが考えられる。
【0025】
さらに、第1部分回路の側におけるメンブレンフィルタの充填の間、1つまたはより多くのバランスチャンバの切り替え操作が行われることが可能である。
【0026】
好ましくは3つのバランスチャンバの切り替え操作が行われる場合には、特に有利である。
【0027】
加えて、特定の数のバランスチャンバの切り替え操作の後に、エアがメンブレンフィルタの膜を介して、第1から第2部分回路に移動させられることがもたらされ得る。それは、そこで、例えば、満たされる血液処理装置内で、第1部分回路からの最初のエアが第2エアセパレータに送られるときに、第2エアセパレータが休止(runs idle)することが回避される。
【0028】
さらに、第1部分回路の側で、メンブレンフィルタが、約500ml/分を超えない第1体積フローレートで満たされることがもたらされ得る。それによって第1部分回路が満たされ、それによって、また、第1部分回路と関連づけられるメンブレンフィルタの第1側が満たされる、この低減され、および均一の、液体の体積フローレートによって、メンブレンフィルタの膜が、この側で完全にずぶ濡れになり、または浸透されないことが達成される。このように、充填にかかわらず、膜を介したエアの通過が、依然、問題ない形で可能であることが、特に有利に、保証される。
【0029】
さらに、血液処理装置が、第1部分回路の側におけるメンブレンフィルタの充填の間、メンブレンフィルタからのエアが送られる、第2エアセパレータを含むことがもたらされ得る。
【0030】
加えて、第2エアセパレータから、および第1部分回路からのエアが、メンブレンフィルタの半透膜を介して、第2部分回路に運ばれることが、もたらされ得る。
【0031】
さらに、エアがメンブレンフィルタの膜を介して第1から第2部分回路に運ばれる間、液体が、第1体積フローレートよりも大きい体積フローレートで、第1部分回路に送られることが考えられる。
【0032】
供給が、約1300ml/分の体積フローレートで行われる場合には、特に有利である。そのためには、例えば、血液処理装置のチャージポンプが用いられ得る。
【0033】
さらに、本発明は、請求項11の特徴を有する血液処理装置に関する。したがって、以下が提供される。血液処理装置が、少なくとも1つのメンブレンフィルタと、少なくとも1つの第1部分回路および少なくとも1つの第2部分回路と、第1部分回路に液体を送る少なくとも1つの第1ポンプ手段と、第2部分回路に液体を送る少なくとも1つの第2ポンプ手段とを備え、上記第1および第2部分回路は、メンブレンフィルタによって半透的に分離され、上記血液処理装置は、少なくとも1つの制御および/または調節手段を含み、上記血液処理装置は、少なくとも、以下のように作動可能である。すなわち、分離したポンプ手段によって、少なくとも第1および第2部分回路、およびメンブレンフィルタは、直接的および/または間接的にリンスおよび/または充填され得、上記第1部分回路は、少なくとも一時的に、一様なおよび/または脈動する体積フローレートで液体によって満たされ得、上記体積フローレートは、指定された閾値を超えず、上記閾値では、上記液体は依然、膜を完全には濡らさず、および/または浸透せず、および/または第2部分回路は、少なくとも一時的に大気に開放され、エアが、メンブレンフィルタの膜を介して第1から第2部分回路に移動され得、および/または上記血液処理装置は、充填の間、負圧が第1部分回路にかけられないように形成されている。
【0034】
加えて、血液処理装置は透析機械であり、および/またはメンブレンフィルタは中空ファイバメンブレンフィルタであり、特に、透析器であり、および/または第1部分回路は透析回路であり、および/または第2部分回路は体外血液回路である。
【0035】
さらに、それによって第2部分回路が周囲、および/または大気に向けて排気され得る、および/またはそれによって第2部分回路が周囲、および/または大気に向けて開放され得る排気手段が、クランプエレメント、および/または疎水性の膜を含むエレメント、および/またはバルブであり、および/またはそれを含み、好ましくは、上記バルブは、排気バルブ、および/または血液処理装置の使い捨てのチュービングセットのコンプライアンスを増大させるように設計されたバルブ、特にシングルニードルバルブである。上記クランプエレメントは、例えば手動クランプを備えた使い捨て用品(disposable)のチュービングパートであり得、上記使い捨て用品は、大気に向けて開閉可能である。
【0036】
血液処理装置が、それによって第1部分回路が直接的および/または間接的にバランスする形で満たされる少なくとも1つのバランスチャンバを含むことも、また、提供可能である。
【0037】
さらに、血液処理装置が、メンブレンフィルタが最初に第1部分回路の側でバランスする形で満たされるように構成および設計され、バランス充填の間、第1ポンプ手段、およびバランスチャンバによって、等しい体積が、メンブレンフィルタに、およびメンブレンフィルタから、送られ得る。
【0038】
加えて、第1部分回路の側で、メンブレンフィルタが第1ポンプ手段によって500ml/分を超えない体積フローレートで充填されることも考えられる。
【0039】
さらに、血液処理装置が、メンブレンフィルタからのエアが送られ得、第1部分回路の側のメンブレンフィルタを充填する第2エアセパレータを含むことが考えられる。
【0040】
加えて、血液処理装置によって、請求項1から請求項10の何れかの方法が行われ得ることがもたらされ得る。
【0041】
本発明のさらなる詳細および利点は、次に、例示的実施例を参照して詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の充填方法は、好ましくは、本発明の血液処理機械によって実施され、それは、透析機械、または透析モニタであり、第1部分回路は透析液回路であり、第2部分回路は体外血液回路である。
【0043】
透析器のように第1および第2部分回路を充填またはプライミングする場合、第1部分回路、および部分回路のこの側に位置するメンブレンフィルタの側を、特定の閾値未満の体積フローレートによる注意深い充填によって、膜は依然としてエアに相当透過的に保たれるという事実が利用される。メンブレンフィルタの膜の濡れの低減によって、および浸透の低減によって、エアが、比較的妨げられることなく膜を通過できることが達成される。そのような妨げられることのないエアの通過は、しかし、メンブレンフィルタの膜が液体によって激しく濡れ、および/または浸透される場合には、もはや容易に可能でない。
【0044】
加えて、ハイドロリック側への負圧の印加を省くことによって、透析器の中空ファイバ膜の遅い濡れを生じさせることも達成される。エアが血液回路から透析液側へ逆流し、続いてもはやそこから除去し得ないことも回避される。
【0045】
さらに、大気へ向けた第2部分回路の開放によって、第2部分回路に存在する低背圧が、透析器の膜を通るエアの通過を大幅に容易にすることが引き出される。
【0046】
詳細には、手順は以下のようであり得る。方法を開始する前に、既に慣行であるように、透析器が少なくともハイドロリック側で接続される。血液側の接続は、しかし、発明の方法を実施するためには必要でなく、血液側は大気に開放される。このようにして、フィルタが血液側で閉じられて血液側に透過するエアのために圧力の上昇が生じ、透析液側のさらなる排気を不可能にするように、透析液側のチャージが損なわれることが特に防止される。
【0047】
体外血液回路は、周囲に開かれている。これは、例えば体外血液回路の静脈部に、例えばトリップチャンバまたはエアトラップの領域に設けられた排気バルブが開かれることで行われ得る。
【0048】
さらに、クランプエレメント、および疎水性の膜を含むエレメントが排気手段として設けられることが、例えば考えられ、代えてまたは加えて設けられる。上記クランプエレメントは、例えば手動クランプを備えた使い捨て用品のチュービングパートであり得、上記使い捨て用品は、大気に向けて開閉可能である。
【0049】
排気バルブ、および/または、血液処理装置の使い捨てのチュービングセットのコンプライアンスを増大させるように設計されたバルブ、例えばシングルニードルバルブのようなバルブも、また設けられ得る。この接続では、それがシングルニードルメソッドを実行する血液処理装置であり対応するバルブが設けられている場合に、特に、上記シングルニードルバルブを開くことが考えられる。
【0050】
通常、透析器は、充填操作の間、既にチューブシステムに接続されている。加えて、挿入において2つのチューブクランプは閉じられ、および静脈チャンバを排気するためのバルブは基本状態では同様に閉じられるので、このチューブシステムは周囲に開放されていない。
【0051】
特に大型の透析器を充填する場合、透析液側から血液側にエアが通過するので体外血液回路で圧力の増加が見られる。もし静脈チャンバの排気バルブを開放することによる流出が許されるならば、明らかに改善されたフィルタのハイドロリック側の充填が既に見られる。同じ血液処理装置で、体外血液回路中に減圧を発生させる(produce a vacuum)ことも可能である。これはフィルタの排気をサポートし得る。
【0052】
もし、例えば排気バルブを開放することによって、エアが体外血液回路から流出することを許されるならば、透析器の充填体積は既に見られたように大幅に増大する。エアが膜を介して分離され得ることを確実にするためには、ハイドロリック側は血液側を充填する前に行われなければならない。なぜならば、膜の濡れ(何れの側であっても)は、エアの通過を阻止するからであり、膜のこちら側の圧力が反対側よりも大きくなければならないからである。もし、充填される透析器の側の圧力が低ければ、エアは吸い込まれ、チャージは明らかに損なわれる。
【0053】
透析器は、まずハイドロリック側、すなわち第1部分回路の側で充填される。充填作業は、バランスチャンバの最初の5つのバランスチャンバ切り替え操作が、低減された一様の透析液フローレートで透析器を介して行われるように変更されている。上記は500ml/分になる。透析器からのエアは、第2エアセパレータに送られる。
【0054】
キャピラリパーツが未だ透析液に接触していない場合、膜を介した排気だけが行われ得ることは考慮される。もし、全てのキャピラリが充填作業の最後で濡れていれば、エアは、もはやキャピラリ膜を通過できず、残存エアは透析器の外に洗い流されなければならない。全てのキャピラリが、充填作業の速い段階で既にずぶ濡れになり、または浸透されることを防ぐためには、充填体積フローレートは、幾分一様なコースを有していなければならない。
【0055】
この段階では、ハイドロリックシステムは、バランスする形で動作する。すなわち等しい体積が透析器へおよび透析器から送られる。こうして、膜を介したエアの排出は、わずかな副次的な役割を果たすだけである。
【0056】
第2エアセパレータに流れるエアは、そこで検知され、通常、エアを吸引する(sucking off)負圧を印加することによって分離される。この行程も、また、第2エア分離と称される。この透析液の充填ケースでは、しかし、第2のエア分離は禁止される。なぜなら、バランス回路に負圧を印加することは、血液側から透析液側への好ましくないエアの通過をもたらすからである。これは、例えば、各バランスチャンバ切り替え操作の最後における静脈圧センサの急激な圧力低下によって検出され得る。
【0057】
第2エアセパレータの休止を回避するために、ある数のバランスチャンバ切り替え操作の後に、充填プログラムへの移行が行われる。ここでのバランスシステムは、追加のバルブにおいて開かれる。充填プログラムでは、バランスチャンバは追加の液体をバランス回路へ送る。ここでのドライビングフォースは、約1300ml/分のフローレートで供給するチャージポンプである。
【0058】
体外血液回路における圧力のコースと共にデモンストレートされ得るように、エアは、充填プログラムの第1切り替え操作の間、血液回路へシフトされ、そこで一時的に圧力の増加を導き得る。なぜなら、例えば、シングルニードルエアポート中の疎水性膜における圧力低下による。
【0059】
いくつかの切り替え操作の後、透析器の膜は完全に濡れ、または浸透され、血液側へのエアのさらなる通過はない。残ったエアは、流体が再度検出され得るまで、さらなる充填切り替え操作によって移動される。
【0060】
透析器の充填は、合計15の切り替え操作の後に終了する。原理的には、より小さいフィルタの場合には、充填は、もちろんより早く終了される。16番目のバランスチャンバ切り替え操作から、充填は、通常の切り替え操作の間に機械で利用可能な最大のフローレート(1000ml/分)で行われる。なぜなら、キャピラリは、いずれにしろ充填切り替え操作の間にハイピークなフレーレートによって広範に濡れているからである。
【0061】
上述された方法のさらなる使用可能な効果は、また、充填プログラムにおけるバランスチャンバ切り替え操作の評価が、透析液側のフィルタの充填体積の情報を提供するために用いられることを構成し得る。血液側の充填体積の情報(血液側の充填の差異に決定され得る)と共に、透析器は、最大限(possibly)、機械側で決定され得る。さらに、静脈(およびプリフィルタ)の圧力パルスの評価は、血液チュービングが液体の漏洩なく透析器に接続されているかどうかの検出を提供する。