(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204913
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】アレルギーの症状を軽減するためのエピカテキン
(51)【国際特許分類】
A23L 33/105 20160101AFI20170914BHJP
A23K 20/121 20160101ALI20170914BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20170914BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20170914BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20170914BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20170914BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20170914BHJP
A61P 27/14 20060101ALI20170914BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20170914BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20170914BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20170914BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20170914BHJP
A61K 36/73 20060101ALI20170914BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20170914BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
A23L33/105
A23K20/121
A61K31/353
A61P37/08
A61P17/00
A61P11/02
A61P11/06
A61P27/14
A61P1/00
A61P1/12
A61P1/08
A61P43/00 171
A61K36/73
A61K36/185
A61K36/82
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-526496(P2014-526496)
(86)(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公表番号】特表2014-529603(P2014-529603A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】EP2012066388
(87)【国際公開番号】WO2013026897
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】11178620.8
(32)【優先日】2011年8月24日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100140888
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 欣乃
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】メルセニエ, アニック
(72)【発明者】
【氏名】シング, アヌラグ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヴォエ, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ディオニシ, ファビオラ
(72)【発明者】
【氏名】アクティス ゴレッタ, ルーカス
【審査官】
参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02463080(GB,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0286869(US,A1)
【文献】
特開2004−075619(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/003750(WO,A1)
【文献】
特開2006−096694(JP,A)
【文献】
特開2007−186457(JP,A)
【文献】
特開2005−082497(JP,A)
【文献】
Biosci. Biotechnol. Biochem.,1998年,Vol.62(7),pp.1284-1289
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/105
A23K 20/121
A61K 31/353
A61K 36/185
A61K 36/73
A61K 36/82
A61P 37/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも0.1重量%のエピカテキンを含む、アレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の二次予防に使用するための食品又は栄養補助食品であって、
二次予防は、感作に続くアレルギー性疾患の発生の予防である、食品又は栄養補助食品。
【請求項2】
アレルギー性障害が、皮膚アレルギー、アレルギー性接触性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、及び喘息からなる群から選択される、請求項1に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項3】
二次予防がアレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の症状の低減又は予防であり、症状が腸不快感、下痢、嘔吐、皮膚刺激性、アトピー性湿疹、気道刺激、眼刺激、又はそれらの組合せである、請求項1又は2に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項4】
ヒト、又は愛玩動物に投与されるためのものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項5】
ヒトが4か月から6歳の間の小児、6歳から18歳の間の年長の子供、又は成人である、請求項4に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項6】
エピカテキンが、ヒトに1日当たり25mg〜10gの範囲の量で投与される、請求項4又は5に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項7】
エピカテキンが、植物抽出物又は濃縮物の形で含まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項8】
植物抽出物又は濃縮物が、リンゴ、ココア又は茶由来の抽出物又は濃縮物である、請求項7に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項9】
少なくとも1重量%のエピカテキンを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項10】
少なくとも10重量%のエピカテキンを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項11】
食品が、乳幼児食組成物、フォローアップ調製粉乳、グローイングアップミルク、乳幼児用シリアル、及びベビーフード製品からなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項12】
食品が、飲料製品、ヨーグルト製品、発酵乳、フルーツジュース、及びシリアルバーからなる群から選択される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項13】
食品が、経口栄養補給用ヘルスケア食品、経腸栄養補給用栄養製品、又は非経口栄養補給製品である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【請求項14】
食品がペットフード製品である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の食品又は栄養補助食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の二次予防に使用するためのエピカテキンに関する。
【背景技術】
【0002】
アレルギー性障害の発生率は先進国で劇的に増加し、種々の要因(例えば、環境、遺伝的特徴、衛生、食事)がその発生に影響を及ぼすことが知られている。アレルギーは、素因のある個体において早期乳児期から、例えばアトピー性湿疹として始まることがあり、アトピー性湿疹でとどまることもあれば、その後に食物アレルギーの発生が続くこともある。アレルギー性鼻炎及び喘息などの気道アレルギーは、より遅い時期に出現し、一連のアレルギー発現が終了する。アレルギーは、チリダニ若しくは花粉などの環境、又は乳、卵、木の実若しくはコムギなどの食品に通常存在する種々のアレルゲンに対する無秩序な免疫応答に相当する。アレルギーの病態生理の理解における最近の進歩によって、アレルゲンに対する感作(すなわち、予防)に影響を及ぼし、又はアレルギーの兆候及び症状の軽減に役立つように操作することができる一連の複雑な免疫細胞の相互作用が明らかになった。
【0003】
コルチコステロイド及び抗ヒスタミン剤など、今日アレルギーに利用できる治療上の選択肢の大部分は、様々なアレルギー症状を治療することを目標とする。投与の用量、経路及びスキームなど多数の要因は、高い有効性が立証されているうちは、これらの医薬品の連用に伴うことがある有害作用にもかかわらず、これらの治療の有効性の理由となる。
【0004】
アレルギー性疾患の発生を予防する又は症状を管理するための栄養学的介入は、医薬品に代わる有望な代替策であり、多数の前臨床及び臨床の現場で評価された。典型的には、プロバイオティクス細菌(Kalliomakiら、Lancet.2001、357:1076−9.)、プレバイオティクス(Arslanogluら、2008、J Nutr 138:1091−1095)、及び多価不飽和脂肪酸(Dunstanら、2003、J Allergy Clin Immunol 112:1178−1184)の保護効果が確認されている。食事性ポリフェノール及びポリフェノールの豊富な植物性材料も、多数の疾患モデルで広範に研究され、公表されたデータは、それらの存在が酸化ストレスによる組織損傷を予防する際に重要な役割を担っている可能性があることを示唆しており、したがって抗アレルギー剤としての潜在能力がある可能性がある。
【0005】
例えば、Zurcherら、2010、Clinic Exp Allergy、40(6):942−50には、ポリフェノールに富むリンゴ抽出物が、マウスにおいて食物アレルギーを弱めることが開示されている。それによって、特にフラボノールに富んでいるリンゴ抽出物を消費すると、食物アレルギーの症状が抗原投与(challenge)後に低減された。Leeら、2010、Inflamm Res 59:847−854には、具体的にはフラボノールのクエルセチン及びケンペロールが、IgEを介するアレルギー性炎症をインビトロの系で抑制することが開示されている。茶抽出物に関しては、動物モデルの皮膚炎におけるそれらの有効性が研究された(Camouseら、2009、Exp Dermatol 18:522−526)。さらに、伝統的中国茶であるウーロン茶は、抗アレルギー活性を有すると報告されている(Ohmoriら、1995、Biol Pharm Bull 18:683−686)。茶抽出物は、特にカテキン、エピカテキン及びそれらの誘導体などのフラバノールに富んでいる。エピガロカテキンガレート(EPCG)は、皮膚炎症からの保護を行う茶抽出物中の活性成分であることがわかった(Katiyarら、1995、Photochem Photobiol 62:855−861)。
【0006】
ポリフェノールの気道アレルギーに対する効果も調査された。Nautaら、2008、Eur J Pharmacol 585:354−360)には、緑茶及びいくつかの単離されたポリフェノールが、肥満細胞及び好塩基球などのアレルギーエフェクター細胞に及ぼすインビトロでの効果が開示されている。それによって、EGCGは有効な抑制剤であると同定された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通常、リンゴ又は茶由来などの植物性材料の天然抽出物には、今までに同定されたそれらの活性成分が少量しか含まれていない。このことは、それらの抽出物を例えば有効1日用量を必要とする患者に実際に適用することを困難にしてしまう可能性がある。
【0008】
さらに、アレルギー症状を予防又は低減する潜在能力を示す、食品等級材料から単離された天然化合物の選択は、まだごく限られている。個々の活性を比較及び評価するためにより多くのこのような化合物を知ること、このような活性化合物を含む組成物の効果を最適化及び強化すること、そして、究極的には自然の日常食の一部分であり得る解決方法を、必要とする患者に提供することは有利となる。
【0009】
前述の不都合の一部がない及び/又は活性成分の既存の選択を補完する、アレルギー性障害又はアレルギー反応の症状を予防及び低減するための新規の代替化合物を見出すことが今も求められている。特に、新規解決方法は、長期消費によって健康への悪影響又は副作用を有するべきでなく、化合物は、例えば有効であるために十分高用量な日常食の一部分として個体が消費することを実用的及び実行可能にする量で、天然供給源から入手できることが理想とされるべきである。
【0010】
本発明の目的は、技術水準を向上させること、並びにアレルギー性障害又はアレルギー反応の症状を予防及び/又は低減する新規の代替解決方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、独立請求項の主題によって実現される。従属請求項は、本発明のアイデアをさらに展開するものである。
【0012】
したがって、本発明は、第1の態様において、アレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の症状の予防又は低減に使用するためのエピカテキンを提供する。
【0013】
それに関連して、アレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の症状は「アレルギーの二次予防」に関係する(Prevention of Allergy and Allergic Asthma、World Health Organization、2003; WHO/ NMH/MNC/CRA/03.2.)。
【0014】
本発明は、アレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の症状を、早期に、すなわち二次予防の枠組みの中で治療又は予防することが可能であることが1つの利点であるが、多数の既存療法は三次予防しか可能でない。
【0015】
WHOは、一次予防、二次予防、及び三次予防を区別する。
一次予防は、免疫学的感作(すなわち、IgE抗体の発生)の予防である。
二次予防は、感作に続くアレルギー性疾患の発生、特にアトピー性湿疹/アトピー性皮膚炎、上気道アレルギー、及びアレルギー性喘息の発生の予防である。
三次予防は、喘息及びアレルギー性疾患の治療である。
【0016】
「アレルギーの二次予防」は、アレルギー症状、すなわち1種又は複数種のアレルゲンにすでに感作された患者が前記アレルゲン(複数可)に再曝露されたときの、患者におけるアレルギー反応の出現又は強度を調節する効果である。アレルギー症状(複数可)の出現又は強度を調節することによって、アレルギーに伴う不都合が最小限に抑制される。
【0017】
ポリフェノールは、植物及び果実に一般的にみられる、抗酸化活性を有する小さな化合物の大集団である。フラボノイドは、このようなポリフェノールと構造的特徴を共有した部分集団であり、フラボノイド自体を、例えばフラボノール、フラバノール、フラボン、フラバノンなどにさらに細分することができる。例えば、リンゴ及び緑茶に含まれている化合物は、アレルギーに一般的効果を及ぼすことが実証された。リンゴはクエルセチン及びフロリジンを含んだ様々なポリフェノールに富み、緑茶はプロシアニジン並びにカテキン及びエピカテキンの没食子酸誘導体を含めた様々なフラバノールに富む。それによって、特にクエルセチン及びエピガロカテキンガレート(EGCG)は炎症及びアレルギーからの保護を行う活性成分であることが発見された。驚くべきことに、今回、本発明者らによって、フラバノールエピカテキンがアレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の症状を低減又は予防できることがわかった。マウスを用いたインビボでの研究で実現されたその証拠については、以下の実施例の欄に記載する。
【発明の効果】
【0018】
有利なことに、今回、エピカテキンに富んだ植物若しくは果実抽出物、或いはエピカテキン又はそれ自体は単離若しくは合成された形態であるエピカテキンが補充された抽出物を、アレルギー性障害又はアレルギー反応の症状の予防又は低減に使用することができる。例えば、強力なコルチコステロイド又は抗ヒスタミン活性によって生ずる望ましくない副作用は、エピカテキンの適度な使用からは全く予想されない。さらに、アレルギー症状の低減に有効である一方、他方では消費するのに好ましい植物又は果実抽出物を調製することができる。今回、消費者が1日当たり合理的及び実行可能な量を例えば日常食の一部分として消費することができる活性成分エピカテキンを適切な濃度で含む抽出物を提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】使用された食物アレルギーモデルの概要を示す図である。
【
図2】研究された異なるリンゴ抽出物中のエピカテキンの濃度を示す図である。
【
図3】高濃度のエピカテキンを含むリンゴ抽出物及び含まないリンゴ抽出物で処置したマウスを用いたアレルギー症状試験の結果を示す図である。
【
図4】エピカテキンに富んでいるココア抽出物で処置したマウスを用いたアレルギー症状試験の結果を示す図である。
【
図5】化学的に純粋なエピカテキンで処置したマウスを用いたアレルギー症状試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、アレルギー性障害及び/又はアレルギー反応の症状の予防又は低減に使用するためのエピカテキンであって、アレルギー性障害が、皮膚アレルギー、アレルギー性接触性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎、及び喘息からなる群から選択されるエピカテキンに関する。
【0021】
アレルギーは、特に素因のある個体において早期乳児期から、すなわち皮膚アレルギー、例えばアトピー性湿疹として始まる可能性があり、アトピー性湿疹でとどまることもあれば、例えば、ある種の牛乳タンパク質、卵及びコムギタンパク質、木の実、又は甲殻類に対する食物アレルギーの発生がその後に続くこともある。気道アレルギー、例えばアレルギー性鼻炎及びアレルギー性喘息は、より遅い時期に出現する。アレルギーは、環境、例えばチリダニ、植物花粉、又は食品、例えば乳、卵、木の実に通常存在する、種々のアレルゲンに対する調節不全の免疫応答を表す。
【0022】
本明細書では「皮膚アレルギー」という用語は、痒性皮膚及び発疹を指す。皮膚アレルギーの一形態は、典型的には小児において頻繁に出現するアトピー性皮膚炎(湿疹)である。アトピー性皮膚炎は、若年成人において始まることもあり、成人期にまで継続することがある。皮膚アレルギーには、蕁麻疹(hives, urticaria)もさらに含まれる。蕁麻疹は、あらゆる年代で出現するおそれがあるそう痒性皮疹である。
【0023】
本明細書では「アレルギー性接触性皮膚炎」という用語は、発疹様反応を引き起こす物質との皮膚接触により引き起こされる接触性皮膚炎を指す。人間は、化粧品、染毛剤、金属、局所医薬品、歯科材料、及び植物、例えばトキシコデンドロン(Toxicodendron)科の植物を含めた種々の化学物質に反応する。このような接触アレルギーは、ヒト又は動物のすべての年代で出現する。
【0024】
本明細書では「食物アレルギー」という用語は、食品、特に食品のタンパク質に対する不都合な免疫応答を指す。アレルギー反応の引き金となる最も一般的に知られる食品は、乳、卵、ピーナッツ、木の実、魚、甲殻類、ダイズ、及びコムギである。これらの食品アレルゲンの一部は年齢とともに脱却することができるが、ピーナッツや甲殻類などの一部は、対象にとって生涯アレルギーのままである場合がある。食物アレルギーの症状は、例えば好酸球性食道炎などの限局性免疫反応から広がることができ、又はチアノーゼ、下痢、低体温及びアナフィラキシーとして全身に顕在化することがある。
【0025】
「アレルギー性鼻炎」という用語は、花粉症(pollenosis)又は枯草熱(hay fever)としても知られており、本明細書では、鼻気道のアレルギー性炎症を指し、鼻詰まり、鼻汁、くしゃみ、及びそう痒を特徴とする。目の充血や涙目などの眼の症状も顕在化することがある。感作された免疫系を有する個体が花粉又はチリダニなどのアレルゲンを吸入するときに出現する。このような個体においては、アレルゲンが抗体の免疫グロブリン(IgE)の産生の引き金となる。
【0026】
本明細書では「喘息」という用語は、一般的な下気道の慢性炎症性疾患を指し、喘鳴音、粘液産生、及び肺機能障害を特徴とする。
【0027】
本発明によれば、エピカテキンは、腸不快感、下痢、嘔吐、皮膚刺激、アトピー性湿疹、気道刺激、眼刺激、又はそれらの組合せであってもよい症状に使用される。
【0028】
エピカテキンの効果は、より詳細にはアレルギーの二次予防に及ぼす効果である。以下に記載する実施例のマウスモデルにおけるアレルギーの症状は、アレルギー臨床スコアの低下によって示されるように実際に大幅に低減される。一般的に、症状には、アレルギーの通常認識される症状のすべて又は選択されたものが含められる。このような症状としては、皮膚(皮膚の発赤、発疹、そう痒、皮膚炎、湿疹)、眼(両眼のそう痒及び流涙)、胃腸(うっ血、腹痛、痙攣、嘔吐、下痢)、呼吸器(鼻のそう痒、くしゃみ、鼻うっ血、鼻炎、喘息)、及び重症例として、全身(めまい、精神錯乱、不動、アナフィラキシー)症状が挙げられる。
【0029】
本発明者らは、感作された幼若哺乳類にエピカテキンに富んでいる抽出物又は単離された形のエピカテキンを与えると、アレルギー反応及び症状を軽減できることを証明した。動物モデルは、ヒト、典型的には乳児又は小児が食物アレルゲンに自然に感作されるときのヒトにおける食物アレルギーを模倣する。これによって、アレルギーの二次予防に及ぼすエピカテキンのプラス効果が明らかになる。
【0030】
したがって、本発明の好ましい実施形態において、アレルギー性障害及び/又はアレルギー反応は食物アレルギーであってもよい。
【0031】
エピカテキンは、ヒト、又は愛玩動物、特にネコ又はイヌに投与することができる。
【0032】
エピカテキンはすべての年代のヒトに投与することができる。しかし、エピカテキンの患者への投与は、アレルギー及びその症状が顕在化し始めたら直ちに、すなわち、多くの場合は生涯の早期に早々に始めることが有利である。したがって、ヒトは、4か月から6歳の間の小児、又は18歳までの年長の子供、又は成人であることが好ましい。
【0033】
代替的実施形態において、エピカテキンは、動物、好ましくはネコ又はイヌによる消費向けである。ヒトの場合と同様に、アレルギー及びこのようなアレルギーの症状は、動物、特に家畜(domesticated animals)及びペットとして飼われている動物でも認められる。有利なことに、本発明は、伴侶動物にその持ち主が与えることができる解決方法を提供する。
【0034】
エピカテキンは、ヒトに1日当たり25mg〜10g、1日当たり50mg〜10g、好ましくは1日当たり100mg〜5g、より一層好ましくは1日当たり300mg〜1gの範囲の量で投与される。これらの好ましい用量によって、期待される健康上の利益をもたらすために十分な1日当たりのエピカテキンを適切な患者に提供する一方、患者への潜在的な望ましくない又は毒性があるいずれの作用のリスクも防止するためにエピカテキンを過剰投与しないことが可能になる。
【0035】
実施形態の一つにおいて、エピカテキンは、植物抽出物又は濃縮物の形で提供される。これは、エピカテキンを、その天然の形及び環境ではあるが濃縮された状態で提供することを可能にする。それによって、エピカテキンは天然起源のものとなり、消費者によってよく認識され賞味されている食品として提供することができ、なおかつ消費者に必要量の活性エピカテキンを提供することができる。さらなる利点は、エピカテキンは、精製された形で、例えば化学合成により、最初に製造される必要がなく、したがってエピカテキンを消費者に提供するためのより経済的な解決方法も提供することである。
【0036】
エピカテキンは、すでに実質的なレベルのエピカテキンを自然に含有し、消費者に好感をもたれている植物抽出物の形で提供されることが有利である。それによって、植物抽出物又は濃縮物は、好ましくは、リンゴ、ココア又は茶由来の抽出物又は濃縮物であり得る。
【0037】
好ましい実施形態において、エピカテキンは、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%のエピカテキンを含む組成物の形で提供される。或いは、エピカテキンは、少なくとも10重量%、例えば少なくとも20重量%又は40重量%を含む組成物の形で提供される。それによって、組成物は、すでに自然に存在しているエピカテキンを濃縮することによって、又は組成物を例えばエピカテキンに富んでいる植物抽出物若しくは合成により製造されたエピカテキンを補充することによって、エピカテキンで強化することができる。有利なことに、得られた組成物は、例えば食品の一部分であれば、その普通の実行可能な毎日の消費によって有効となるような量でエピカテキンを含む。それによって、例えば0.1〜1重量%のエピカテキンを含む組成物を、普段の食事の一部分として小児に提供される組成物用に適宜適合させてもよい。或いは、成人は、食間に普段の食事の一部分としてではなく消費してもよい、さらにエピカテキンが濃縮された組成物を好む場合もある。
【0038】
本発明の使用のためのエピカテキンは、食品、栄養補助食品、又は医薬品である組成物の形で提供される。
【0039】
好ましい実施形態において、食品は、乳幼児食組成物、フォローアップ調製粉乳、グローイングアップミルク、乳幼児用シリアル、及びベビーフード製品からなる群から選択される。これらの製品は、乳児及び小児におけるアレルギーの症状の予防又は改善の問題の対処及び解決に特に好都合である。
【0040】
別の実施形態において、食品は、飲料製品、ヨーグルト製品、発酵乳、フルーツジュース、及びシリアルバーからなる群から選択される。これらの食品は、エピカテキンを年長の子供及び成人に投与するのに好都合である。食品は、エピカテキンで十分に強化することができ、健康志向機能性食品を消費者に提供するための信頼できるイメージを有することができる。
【0041】
アレルギーの症状を低減するための製品が特に求められているのは、病院、診療所、及び老人ホームなどの臨床環境であり得る。したがって、さらに別の実施形態において、食品は、経口栄養補給用ヘルスケア食品、及び/又は経腸栄養補給用栄養製品などの特定医療目的用食品である。本発明の利点は、活性成分のエピカテキンを比較的高い局所濃度及び小容量の医療用食品として提供することができ、したがってアレルギー症状の改善を必要とする患者に効率的に投与することができることにある。
【0042】
さらに別の実施形態において、食品はペットフード製品である。
【0043】
当業者であれば、本明細書に開示される本発明のすべての特徴を自由に組み合わせできることが分かる。特に、本発明の異なる実施形態で記載される特徴を組み合わせてもよい。本発明の別の利点及び特徴は、図面及び実施例から明らかである。
【実施例】
【0044】
実施例1:オバルブミン(OVA)食物アレルギーマウスモデル
図1に概要を示すように、6週齢の通常飼育のBALB/cマウスを、経口経路により(強制経口投与用針を用いて)、Sigma社(Switzerland)のオバルブミン(OVA)20mg及びLuBioscience社(Lucerne,Switzerland)のコレラ毒素10μg/マウス(アジュバントとして使用)を第1週目に3回、次いで1週間毎に7週間、感作した。単離された純粋なポリフェノールとしてのエピカテキン又は植物若しくは果実抽出物中に濃縮されたエピカテキンを0.1%〜1%の用量で食品に配合し、感作されたマウスに実験の最終週に投与した。最終感作から1週間後、強制経口投与により100mgのOVAを経口投与した。抗原投与当日、投与する前の2時間、マウスを飢餓状態にした。抗原投与から30分後、マウスを個別に30分間観察した。臨床症状を記録し、以下の通り数量化した(アレルギースコア):0)症状なし、ひっかき行動4エピソード未満;1)鼻及び頭周辺のひっかき行動4〜10エピソード、下痢なし;2)ひっかき行動10エピソードを超える、又は軟便;3)下痢又は努力呼吸又はチアノーゼ又は2種以上の症状あり(ひっかき行動及び軟便);4)刺激(prodding)、逆毛、努力呼吸又はチアノーゼの後、不動状態を伴う下痢;5)アナフィラキシー。抗原投与して4時間後、マウスを屠殺した。
【0045】
実施例2:高レベルのエピカテキンを含む及び含まないリンゴ抽出物を用いたアレルギー症状試験
実験の最終週に、感作されたマウスの食事(Kliba 3200、Kliba Nafag Kaiseraugst、Switzerland)に、異なる濃度のエピカテキンを含むリンゴ抽出物(
図2)を1重量%含めた。食事は、感作期の終わりに提供を開始し、マウスはリンゴ抽出物を含む食事を合計8日間摂取した。50日目に抗原投与した後、エピカテキン含有リンゴ抽出物で処置したマウスは、感作された無処置の対照動物(正の対照)より重症度の低い臨床症状を発生した。しかし、エピカテキンを含有しないリンゴ抽出物を摂取した感作されたマウスでは、アレルギー症状の軽減が認められなかった。結果を
図3に示す。
【0046】
実施例3:エピカテキンに富んだココア抽出物を用いたアレルギー症状試験
実施例2のリンゴ抽出物と同様にして、アレルギー症状モデル実験の最終週に、エピカテキン中に濃縮されたココア抽出物を、感作されたマウスに食事中1重量%の濃度で投与した。50日目に抗原投与した後、エピカテキン含有ココア抽出物で処置したマウスは、感作された無処置の対照動物(正の対照)より重症度が有意に低い臨床アレルギー症状を発生した。結果を
図4に示す。
【0047】
実施例4:純粋なエピカテキンを異なる濃度で用いたアレルギー症状試験
実施例2のリンゴ抽出物と同様にして、アレルギー症状モデルの最終週に、化学的に純粋なエピカテキン(Sigma社、Switzerland)を感作されたマウスに食事中0.1〜1重量%の用量で投与した。50日目に抗原投与した後、食事中0.1%と1%の濃度のポリフェノールエピカテキンで処置されたマウスは、感作された無処置の動物(正の対照)より重症度が有意に低い臨床アレルギー症状を発生した。結果を
図5に示す。