【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
≪低蛋白質米の製造(1)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して各種低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)0.5質量%、及び乳化剤製剤(商品名:リョートーエステルSMO、三菱化学フーズ(株)製、組成:ショ糖脂肪酸エステル3.5%、グリセリン脂肪酸エステル3.5%、オリゴ糖43%、水50%)2質量%を溶解し、反応液を調製した。インディカ米(生米)75gに反応液350mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、水350mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質米を製造した。
【0083】
[比較例1]
(インディカ米風乾処理)
水切りしたインディカ米を70℃で90分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質インディカ米を得た。
[比較例2]
(インディカ米蒸し処理)
水切りしたインディカ米を蒸し器に入れて5分間蒸し、その後、70℃で90分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質インディカ米を得た。
[実施例1]
(インディカ米揚げ処理)
水切りしたインディカ米を180℃のコーン油(商品名:日清コーン油、日清オイリオグループ(株)製)で30秒間揚げ、低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)を得た。
【0084】
<米の水分含量の測定>
米の水分含量を、水分計(SMART SYSTEM 5,CEM Corporation製)を用いて測定した。その結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
本発明の製造方法により、水分含量が10質量%以下の保存性の良い低蛋白質米を得ることができた。
【0087】
<米の蛋白質含量の測定>
米の乾燥物中の蛋白質含量を、ケルダール法で測定した。その結果を表2に示す。
【0088】
【表2】
【0089】
蛋白質分解酵素による蛋白質分解処理を行うことによって、原料米の1/10程度まで蛋白質含量を低減させることができた。蛋白質含量は、100g乾燥重量当たりの量を算出しているため、水切りした米を、風乾、蒸し処理、又は揚げ処理した後の米(比較例1、2の米、又は実施例1の米)の蛋白質含量は、表2に示す水切りした米の蛋白質含量と同じ含量であると考えられる。
【0090】
<米の崩壊性の評価>
米10gを、目開き1400μmのふるいをセットした振とう器(ミニふるい振とう器 MVS−1,アズワン製)を用いて、振とうを3分間行った。3分後、ふるい上で米粒の崩壊状態を目視で確認した。振とう後、米粒が崩壊しておらず、米粒の形状を維持していた場合にはA、振とう後、米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していなかった場合にはBと評価した。その結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
米をふるいにかけて、物理的な負荷を加えると、比較例1と比較例2の米粒は崩壊したが、実施例1と実施例2の米粒は崩壊しなかった。このことから、揚げ処理を行うことにより、低蛋白質処理をした米粒の物理的強度を高めることができ、その結果、流通時に米粒が崩壊しにくい低蛋白質米が得られることがわかった。
【0093】
<炊飯米及び蒸し調理米のかたさの評価>
原料インディカ米(生米)又は実施例1の米を炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)で炊飯し、炊飯米を作った。炊飯方法は、鈴木らの方法(日本栄養・食糧学会誌36(5),389−392,1983)を参考に行った。炊飯器に水を200mL入れ、米10gに対し、水10gを入れた金属製プリンカップをその釜に入れ、「白米、お急ぎ」のモードで炊飯を行い、炊飯米を得た。
また、炊飯と同じ割合の沸騰水を実施例1の米に入れ、蒸し器で蒸し調理を行い、蒸し調理米を作った。得られた炊飯米及び蒸し調理米について、以下の方法により、かたさを測定した。
炊飯米及び蒸し調理米を、それぞれ直径40mm、高さ15mmの容器に10g充填したものについて、直線運動により物質の圧縮応力を測定する装置(RE−33005 RHEONER、YAMADEN製)により、かたさを測定した。測定は、直径20mm、高さ8mmの樹脂製のプランジャーを用いて、圧縮速度10mm/s、クリアランス5mmで2回圧縮により行った。
その結果を表4に示す。
【0094】
【表4】
【0095】
実施例1の炊飯米は、原料生米の炊飯米よりかたさ荷重が小さく、実施例1の米の蒸し調理米は、原料米の炊飯米よりかたさ荷重が大きかったが、両方とも食するには問題のないかたさであった。
【0096】
<炊飯米の官能評価>
かたさの評価で記載した炊飯方法と同じ方法で、比較例1、2、及び実施例1、2の米を炊飯し、4名のパネルにて、外観、やわらかさ、コク、及びおいしさ(好み)について官能評価を行った。各項目について、以下の評価基準で評価を行った。その結果を表5〜7に示す。
〔外観(1)〕
A:米粒の形状を維持している。
B:全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊している。
C:米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していない。
〔外観(2)〕
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
〔やわらかさの程度〕
A:ちょうど良いやわらかさである。
B:Aよりやわらかい。
C:非常にやわらかい。
〔コク〕
A:味にコクがある。
B:味にコクがない(市販の低蛋白質米と同様)。
〔おいしさ又は好み〕
A:総合的に評価しておいしい、又は好みである。
B:総合的に評価して、AとCの中間である。
C:総合的に評価しておいしくない、又は好みでない。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】
【表7】
【0100】
比較例1の米の炊飯米は、外観は悪く、非常にやわらかいので、おいしくないという評価であった。一方、実施例1の米の炊飯米は、色及び米粒の形状の点では、インディカ米の炊飯米とほぼ同じで、味の点では市販の低蛋白質米よりもコクがあり、おいしいという評価であった。また、比較例2の米の炊飯米は、全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊し、実施例1の米の炊飯米に比べやわらかく、おいしいという評価ではなかった。
【0101】
≪低蛋白質米の製造(2)≫
原料の生米として、インディカ米又はジャポニカ米を使用して低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米15gに反応液80mlを添加し、42℃で16時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米又はジャポニカ米の低蛋白質米を製造した。
【0102】
[比較例3]
(インディカ米風乾処理)
水切りしたインディカ米を室温で30分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質インディカ米を得た。
[比較例4]
(ジャポニカ米風乾処理)
水切りしたジャポニカ米を室温にて30分間風乾することで乾燥をし、低蛋白質ジャポニカ米を得た。
[実施例2]
(インディカ米揚げ処理)
水切りしたインディカ米を180℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で30秒間揚げ、低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)を得た。
[実施例3]
(ジャポニカ米揚げ処理)
水切りしたジャポニカ米を180℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で30秒間揚げ、低蛋白質ジャポニカ米(低蛋白質ジャポニカ揚げ米)を得た。
【0103】
<米の水分含量の測定>
米の水分含量を、加熱乾燥式水分計(MS−70、A&D(株)製)を用いて測定した。その結果を表8に示す。
【0104】
【表8】
【0105】
本発明の製造方法により、水分含量が10質量%以下の保存性の良い低蛋白質米を得ることができた。
【0106】
<米の蛋白質含量の測定>
米の乾燥物中の蛋白質含量を、ケルダール法で測定した。その結果を表9に示す。
【0107】
【表9】
【0108】
蛋白質分解酵素による蛋白質分解処理を行うことによって、どちらの米種においても原料米の1/25程度まで蛋白質含量を低減させることができた。蛋白質含量は、100g乾燥重量当たりの量を算出しているため、水切りした米を、風乾、又は揚げ処理した後の米(比較例3、4の米、又は実施例2、3の米)の蛋白質含量は、表9に示す水切りした米の蛋白質含量と同じ含量であると考えられる。
【0109】
<米の崩壊性の評価>
先に記載した評価方法と同じ方法で、原料の生米及び製造した低蛋白質米の米粒の崩壊状態を評価した。その結果を表10に示す。
【0110】
【表10】
【0111】
米をふるいにかけて、物理的な負荷を加えると、比較例3と比較例4の米粒は崩壊したが、実施例2と実施例3の米粒は崩壊しなかった。したがって、揚げ処理を行うことにより、低蛋白質処理をした米粒の物理的強度を高めることができ、その結果、流通時に米粒が崩壊しにくい低蛋白質米が得られることがわかった。
【0112】
<炊飯米の官能評価>
かたさの評価で記載した炊飯方法と同じ方法で、比較例3、4、及び実施例2、3の米を炊飯し、4名のパネルにて、外観、やわらかさ、コク、及びおいしさ(好み)について官能評価を行った。各項目について、以下に記載する外観(2)以外は、先に記載した評価基準と同じ評価基準で評価を行った。
〔外観(2)〕
比較例3、及び実施例2について
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
比較例4、及び実施例3について
A:原料ジャポニカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料ジャポニカ米(生米)より白く違和感がある。
その結果を表11〜14に示す。
【0113】
【表11】
【0114】
【表12】
【0115】
【表13】
【0116】
【表14】
【0117】
比較例3および比較例4の米の炊飯米は、外観は悪く、非常にやわらかいので、おいしくないという評価であった。一方、実施例2及び実施例3の米の炊飯米は、色及び米粒の形状の点では、インディカ米やジャポニカ米の炊飯米とほぼ同じで、味の点では市販の低蛋白質米よりもコクがあり、おいしいという評価であった。
【0118】
≪米のエネルギー、脂質含量、ミネラル類含量の評価≫
実施例2と比較例3の低蛋白質米のエネルギー、脂質含量、及びミネラル類含量の分析を行った。その結果を表15に示す。脂質は酸分解法で、ナトリウム含量とカリウム含量は原子吸光光度法(定量下限:1mg/100g)で、リン含量はICP発光分析法で、灰分は直接灰化法で測定した。炭水化物量は、試料全体から、水分、蛋白質、脂質、及び灰分の量を控除して得られた量とした。
さらに、各分析値に栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)によるエネルギー換算係数を乗じて、実施例2の米と比較例3の米のエネルギーを求めた。すなわち、蛋白質については4kcal/g、脂質については9kcal/g、炭水化物については4kcal/gの係数を乗じた。
【0119】
【表15】
【0120】
上記結果より、本発明の製造方法により得られる低蛋白質米は、低蛋白質米を風乾処理して得られた低蛋白質米に比べ、脂質量が多く、それによりエネルギーが高いことが確認できた。
【0121】
≪低蛋白質米の製造(3)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.65質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米(生米)75gに反応液350mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。
酵素処理した米に、水350mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。
洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質米を製造した。
【0122】
[実施例4]
(インディカ米低温揚げ処理)
水切りしたインディカ米を130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で90秒間揚げ、低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)を得た。
【0123】
<米の崩壊性の評価>
先に記載した評価方法と同じ方法で、得られた低蛋白質インディカ米(低蛋白質インディカ揚げ米)の米粒の崩壊状態を評価した。結果を表16に示す。
【0124】
【表16】
【0125】
上記結果より、低温揚げ処理を行っても、低蛋白質処理をした米粒の物理的強度を高めることができ、流通時に米粒が崩壊しにくい低蛋白質米が得られることがわかった。
<炊飯米の官能評価>
かたさの評価で記載した炊飯方法と同じ方法で、実施例A4の米を炊飯し、4名のパネルにて、外観、やわらかさ、コク、おいしさ(好み)について官能評価を行った。各項目について、先に記載した評価基準と同じ評価基準で評価を行った。その結果を表17に示す。
【0126】
【表17】
【0127】
これらの結果から、130℃で90秒間揚げた場合でも、180℃で揚げた場合と同様、米粒が崩壊しにくく、優れた食味の低蛋白質米が得られることがわかった。
【0128】
≪低蛋白質米の製造(4)≫
原料の生米として、インディカ米又はジャポニカ米を使用して、低温で揚げ処理をした低蛋白質揚げ米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米又はジャポニカ米15gに反応液75mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米又はジャポニカ米の低蛋白質揚げ米を製造した。
[実施例5]
(油浸漬処理後低温揚げ処理、インディカ米)
25℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))75mlを入れた容器を用意し、水切りしたインディカ低蛋白質米(150g)が入った金ザルを、前記菜種油が入った容器に入れて米を油に5秒間浸漬させた。その後容器から金ザルを取り出し、再び金ザルを菜種油が入った容器に入れることで、再度米を油に5秒間浸漬させた。この浸漬操作を繰り返し行い、5秒間の浸漬を計10回行った。この操作により、米に付着していた水が除去され、油の入った容器の底に水滴がたまっていた。浸漬処理した米を、金ザルで油切りをした後、130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で240秒間揚げ、低蛋白質インディカ揚げ米(水分10.8質量%)を得た。
[実施例6]
(油浸漬処理後低温揚げ処理、ジャポニカ米)
水切りしたインディカ米に代えて、水切りしたジャポニカ米を用いて実施例5と同様の製造を行い、低蛋白質ジャポニカ揚げ米(水分12.6質量%)を得た。
[実施例7]
(油浸漬処理後低温揚げ処理、インディカ米)
25℃の菜種油に代えて、75℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))を用いて、インディカ米について実施例5と同様の製造を行い、低蛋白質インディカ揚げ米(水分10.5質量%)を得た。
[実施例8]
(油浸漬処理せずに低温揚げ処理、インディカ米)
浸漬処理の有無の効果を確認するために、水切りしたインディカ米を、油の浸漬処理を行わないで、130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で240秒間揚げ、低蛋白質インディカ揚げ米(水分10.6質量%)を得た。
【0129】
<米粒の付着状態の観察>
低温で揚げ処理をすることにより得られた低蛋白質インディカ揚げ米、又は低蛋白質ジャポニカ揚げ米の米粒の付着状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。結果を表18に示す。
〔米粒の付着状態〕
A:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
B:数粒の米粒が付着したものが少し存在している。
C:数粒の米粒が付着したものが多く存在している。
【0130】
【表18】
【0131】
表18の結果からわかるように、130℃の低温で揚げ処理をした場合、浸漬処理を行わない場合よりも、浸漬処理を行った方が、米粒の付着がないことがわかった。ただ、実施例8の米粒の多くが付着した低蛋白質インディカ揚げ米も、物理的な力を加えると、米粒の付着をほぐすことができる程度の付着であった。また、この後に説明をする実験結果からもわかるように、実施例8の米粒の多くが付着した低蛋白質インディカ揚げ米であっても、炊飯をすると、米粒の付着はほとんど認められず、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質炊飯米が得られることがわかった。
【0132】
<炊飯米の官能評価>
実施例5の低蛋白質インディカ揚げ米、実施例6の低蛋白質ジャポニカ揚げ米、実施例7の低蛋白質インディカ揚げ米、及び実施例8の低蛋白質インディカ揚げ米(浸漬処理なし)それぞれを、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)で炊飯し、炊飯米を作った。炊飯方法は、鈴木らの方法(日本栄養・食糧学会誌36(5),389−392,1983)を参考に行った。炊飯器に水を200mL入れ、米10gに対し、水10gを入れた金属製プリンカップをその釜に入れ、「白米、お急ぎ」のモードで炊飯を行い、炊飯米を得た。得られた炊飯米について、外観、やわらかさ、コク、及びおいしさ(好み)について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。
<炊飯米の官能評価基準>
〔外観(1)〕
A:米粒の形状を維持している。
B:全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊している。
C:米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していない。
〔外観(2)〕
実施例5、実施例7及び実施例8について
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
実施例6について
A:原料ジャポニカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料ジャポニカ米(生米)より白く違和感がある。
〔やわらかさの程度〕
A:ちょうど良いやわらかさである。
B:Aよりやわらかい。
C:非常にやわらかい。
〔コク〕
A:味にコクがある。
B:味にコクがない(市販の低蛋白質米と同様)。
〔おいしさ又は好み〕
A:総合的に評価しておいしい、又は好みである。
B:総合的に評価して、AとCの中間である。
C:総合的に評価しておいしくない、又は好みでない。
【0133】
【表19】
【0134】
これらの結果から、揚げ処理をする前に油への浸漬処理をしなかった実施例8では、数粒の米粒が付着したものが多く存在していたが、炊飯すると、米粒の付着はほとんど認められず、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質炊飯米が得られることがわかった。また、揚げ処理をする前に浸漬処理をした実施例5〜7は、浸漬処理をしない場合と同様、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質米が得られることがわかった。
ジャポニカ米についても、インディカ米と同様、外観及び食感の優れた食味の低蛋白質米が得られることがわかった。
【0135】
≪油浸漬回数による水の除去状況の確認≫
先に説明をした低蛋白質米の製造(4)で得られた水切り前の低蛋白質インディカ米を用いて、油浸漬処理による水の除去状況を確認した。
まず、水切り前の低蛋白質インディカ米15gを金ザルに入れて水切りし、除去した水の量を測定した(測定値:3603μl)。次に、水切りをした低蛋白質インディカ米を、25℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))200mlを入れた容器に入れて5秒間浸漬した後、容器から金ザルを取り出し、油を切った。
このとき使用した浸漬油を遠心管に入れ、遠心処理(条件:3000rpm、10分間)をして水を分離させた。遠心管の底にたまった水をマイクロピペットで定量し、その水の量を、浸漬回数1回の米から除去した水の量とした。続いて、油切をした米を、別の25℃の菜種油200mlを入れた容器に入れて再度5秒間浸漬した後、容器から金ザルを取り出し油を切った。このとき使用した浸漬油を遠心管に入れ、遠心処理(条件:3000rpm、10分間)をして水を分離させた。遠心管の底にたまった水をマイクロピペットで定量し、その水の量を、浸漬回数2回の米から除去した水の量とした。同様にして、菜種油への浸漬を計9回行い、各浸漬処理ごとに米から除去した水の量を定量した。除去した水の量を表20に示す。
【0136】
得られた各サンプル米を、130℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))で240秒間揚げ、低蛋白質インディカ揚げ米を得た。
<米粒の付着状態の観察>
得られた低蛋白質インディカ揚げ米の米粒の付着状態を目視で観察し、実施例5〜8と同じ評価基準で評価した。結果を表20に示す。
【0137】
【表20】
【0138】
表20の結果から、水切りした米について5秒間の油浸漬を1回行えば、米の付着水の大部分が除去でき、揚げ処理後の米粒の付着も減少することがわかった。また、水切りした米について5秒間の油浸漬を2回以上行えば、揚げ処理後の米粒の付着がないことがわかった。水切りした米について、5秒間の油浸漬を6回以上行った場合、除去される水がほとんどなかったことから、5秒間の油浸漬を5回行うことで、米の付着水のほとんどが除去されたと考えられる。
【0139】
≪低蛋白質米の製造(5)≫
原料の生米として、インディカ米を使用して低蛋白質蒸し米、及びその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米15gに反応液75mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し米及びその乾燥品を製造した。
[実施例9]
(油浸漬処理後、蒸し処理、乾燥)
25℃の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))75mlを入れた容器を用意し、水切りしたインディカ低蛋白質米(15g)が入った金ザルを、菜種油が入った容器に入れて米を油に5秒間浸漬した後、容器から金ザルを取り出し、再び金ザルを容器に入れることで、再度米を油に5秒間浸漬させた。この浸漬操作を繰り返し行い、5秒間の浸漬を計10回行った。この操作により、米に付着していた水が除去され、油の入った容器の底に水滴がたまっていた。浸漬処理した米を、金ザルで油切りをした後、市販の蒸し器で5分間蒸し処理をし、低蛋白質インディカ蒸し米を得た。得られた低蛋白質インディカ蒸し米を、乾燥機(製品名:DN−62、ヤマト科学株式会社製)を用いて65℃で2時間乾燥し、低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品(水分11.4質量%)を得た。乾燥米は、水分が少ないため、生のお米のように硬い米粒であった。
[比較例5]
(油浸漬処理せずに蒸し処理、乾燥)
浸漬処理の有無の効果を確認するために、水切りしたインディカ米を、油の浸漬処理をせずに、市販の蒸し器で5分間蒸し処理をし、低蛋白質インディカ蒸し米を得た。得られた低蛋白質インディカ蒸し米を、65℃で2時間乾燥し、低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品(水分11.3質量%)を得た。乾燥米は、水分が少ないため、生のお米のように硬い米粒であった。
【0140】
<米粒の付着状態の観察>
得られた低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品の米粒の付着状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。結果を表21に示す。
A:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
B:数粒の米粒が付着したものが少し存在している。
C:数粒の米粒が付着したものが多く存在している。
D:米粒から澱粉が溶出し、ほとんどの米粒が付着して塊状となっている。
【0141】
【表21】
【0142】
表21の結果からわかるように、低蛋白質蒸し米は、油の浸漬処理を行わないと、数粒の米粒が付着したものが多く存在していたが、油の浸漬処理を行うと、米粒同士の付着がないものが得られることがわかった。
このことから、低蛋白質蒸し米については、酵素処理後、蒸す前に、油で浸漬処理をすることが有効であることがわかった。
【0143】
<炊飯米の官能評価>
実施例9の低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品、及び比較例5の低蛋白質インディカ蒸し米の乾燥品を、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)で炊飯し、炊飯米を作った。炊飯方法は、鈴木らの方法(日本栄養・食糧学会誌36(5),389−392,1983)を参考に行った。炊飯器に水を200mL入れ、米10gに対し、水10gを入れた金属製プリンカップをその釜に入れ、「白米、お急ぎ」のモードで炊飯を行い、炊飯米を得た。得られた炊飯米の外観、やわらかさ、コク、おいしさ(好み)について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。結果を表22に示す。
〔外観(1)〕
A:米粒の形状を維持している。
B:全体の1/3〜1/2の米粒が崩壊している。
C:米粒が崩壊し、米粒の形状を維持していない。
〔外観(2)〕
A:原料インディカ米(生米)と同程度の白さである。
B:原料インディカ米(生米)より白く違和感がある。
〔やわらかさの程度〕
A:ちょうど良いやわらかさである。
B:Aよりやわらかい。
C:非常にやわらかい。
〔コク〕
A:味にコクがある。
B:味にコクがない(市販の低蛋白質米と同様)。
〔おいしさ又は好み〕
A:総合的に評価しておいしい、又は好みである。
B:総合的に評価して、AとCの中間である。
C:総合的に評価しておいしくない、又は好みでない。
【0144】
【表22】
【0145】
表22の結果からわかるように、低蛋白質蒸し米の乾燥品の炊飯米は、油の浸漬処理を行うことにより、米粒同士の付着がないものが得られることがわかった。
このことから、低蛋白質蒸し米の乾燥品については、酵素処理後、蒸す前に、油で浸漬処理をすることが有効であることがわかった。
【0146】
≪低蛋白質米の製造(6)≫
原料の生米として、インディカ米を使用して低蛋白質蒸し焼き米、およびその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。インディカ米15gに反応液75mlを添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液80mlを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米及びその乾燥品を製造した。
[実施例10〜16]
(油含有浸漬水に浸漬処理後、蒸し焼き処理、乾燥)
表23に示す量の菜種油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製))及び水(以下、油含有浸漬水という)を入れた容器を用意し、水切りした低蛋白質インディカ米が入った金ザルを、油含有浸漬水が入った容器に入れて米を油含有浸漬水に浸漬した後、容器から金ザルを取り出し、再び金ザルを容器に入れることで、再度米を油含有浸漬水に浸漬後、容器から金ザルを取り出し水切りをした。このようにして2回の浸漬処理をした低蛋白質インディカ米を、120℃のスチームオーブンで10分間蒸し焼きし、インディカ米をひっくり返してさらに10分間蒸し焼きし、低蛋白質蒸し焼き米を得た。得られた低蛋白質蒸し焼き米を自然乾燥することで、低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を得た。
【0147】
<外観観察>
得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品の外観を目視で観察し、米粒の付着状態及び未糊化米の程度について、以下の評価基準で評価をした。結果を表23に示す。
〔米粒の付着状態〕
無し:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
有り:数粒の米粒が付着したものが存在している。
〔未糊化米の程度〕
無し:原料(生米)と同程度の白さである。
有り:原料(生米)より白く違和感がある。
【0148】
表23の米粒の付着状態の観察結果からわかるように、低蛋白質蒸し焼き米は、酵素処理後、蒸し焼きをする前に、油含有浸漬水に浸漬処理をすると、米が付着せず、未糊化米も発生しないことがわかった。
【0149】
<炊飯米の官能評価>
実施例10〜16で得られたインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)を用いて実施例9の炊飯米と同じ方法で炊飯し、炊飯米を得た。得られた炊飯米について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。結果を表23に示す。
〔炊飯米の官能評価基準〕
A:炊飯米には、つや、透明感、粘り、こくがあり、インディカ米の炊飯米と同程度の食感。
B:こくはあるが、つや、透明感、粘りがない。
C:つや、透明感がなく、こくもなく、パサパサした食感。
【0150】
【表23】
【0151】
≪低蛋白質米の製造(7)≫
原料の生米として、インディカ米を使用して低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)を0.5質量%溶解し、反応液を調製した。表24に示す量のインディカ米に反応液を添加し、42℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、pH4.0の緩衝液を添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品を製造した。
[実施例17〜27]
(油含有浸漬水に浸漬処理後、蒸し焼き処理、乾燥)
表24又は表25に示す条件で、実施例10と同様にして、低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品の製造を行った。実施例25で得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品中の蛋白質含量をケルダール法で測定すると、その値は0.81質量%であったことから、今回の処理により低蛋白質米が製造されていることが確認できた。
【0152】
<外観観察>
得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品の外観を目視で観察し、米粒の付着状態及び未糊化米の程度について、以下の評価基準で評価をした。結果を表24又は25に示す。
〔米粒の付着状態〕
無し:米1粒1粒がばらけており、米粒同士の付着がない、又はほとんどない。
有り:数粒の米粒が付着したものが存在している。
〔未糊化米の程度〕
無し:原料(生米)と同程度の白さである。
有り:原料(生米)より白く違和感がある。
【0153】
表24及び表25の米粒の付着状態の観察結果からわかるように、低蛋白質蒸し焼き米は、酵素処理後、蒸し焼きをする前に、油含有浸漬水に浸漬処理をすると、米が付着せず、未糊化米も発生しないことがわかった。
【0154】
<炊飯米の官能評価>
実施例17〜27で得られたインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を、炊飯器(三菱IHジャー炊飯器NJ−KH10S形、三菱電機ホーム機器(株)製)を用いて実施例9の炊飯米と同じ方法で炊飯し、炊飯米を得た。得られた炊飯米について、以下の官能評価基準で官能評価を行った。結果を表24又は25に示す。
〔炊飯米の官能評価基準〕
A:炊飯米には、つや、透明感、粘り、こくがあり、インディカ米の炊飯米と同程度の食感。
B:こくはあるが、つや、透明感、粘りがない。
C:つや、透明感がなく、こくもなく、パサパサした食感。
【0155】
【表24】
【0156】
【表25】
【0157】
≪低蛋白質米の製造(8)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して低蛋白質蒸し焼き米、及びその乾燥品を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)0.5質量%を溶解し、反応液を調製した。前記インディカ米(生米)1200gに前記反応液4.0Lを添加し、40℃で24時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、水4Lを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米及びその乾燥品を製造した。
【0158】
[実施例28]
(乳化浸漬液の製造)
表26に示す配合にて乳化浸漬液を以下の方法で製造した。植物油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製)にペースト状レシチン(商品名:レシチンDX、日清オイリオグループ(株)製)を添加し、湯浴で80℃に加熱することで、レシチンを植物油に溶かし、レシチン含有植物油を得た。常温の水に、室温に戻した前記レシチン含有植物油を添加し、ミキサー(装置名:VITA−PREP3、VITA−MIX社(米国)製)を用いて、1分間撹拌して乳化をすることで、乳化浸漬液を得た。
【0159】
【表26】
【0160】
(インディカ米の乳化浸漬液による浸漬処理後、蒸し焼き、乾燥)
前記乳化浸漬液2Lを入れたステンレストレーに、酵素処理し水切りしたインディカ米が入った金ザルを入れ、前記インディカ米を乳化浸漬液に5分間浸漬した。乳化浸漬液から前記インディカ米が入った金ザルを取出し、乳化浸漬液を良く切った。その後、インディカ米を120℃のスチームオーブンで10分間蒸し焼きし、インディカ米をひっくり返してさらに10分間蒸し焼きし、低蛋白質蒸し焼き米を得た。その後、低蛋白質蒸し焼き米を70℃で2時間乾燥させ、低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を得た。
【0161】
≪低蛋白質米の製造(9)≫
原料の生米としてインディカ米を使用して低蛋白質米を製造した。
まず、pH4.0の緩衝液に、蛋白質分解酵素(プロテアーゼM、天野エンザイム(株)製)0.5質量%を溶解し、反応液を調製した。前記インディカ米(生米)1100gに前記反応液4.0Lを添加し、40℃で20時間スターラー撹拌をしながら酵素処理を行った。酵素処理した米に、水4Lを添加し、10分間スターラーで撹拌し、洗浄をした。洗浄した米を金ザルに入れて約30分間水切りをした後、以下の処理を行うことによりインディカ米の低蛋白質蒸し焼き米及びその乾燥品を製造した。
【0162】
[実施例29]
(乳化浸漬液の製造)
表27に示す配合にて乳化浸漬液を以下の方法で製造した。植物油(商品名:日清キャノーラ油、日清オイリオグループ(株)製)にペースト状レシチン(商品名:レシチンDX、日清オイリオグループ(株)製)を添加し、湯浴で80℃に加熱することで、レシチンを植物油に溶かし、レシチン含有植物油を得た。常温の水に、室温に戻した前記レシチン含有植物油を添加し、ミキサー(装置名:VITA−PREP3、VITA−MIX社(米国)製)を用いて、1分間撹拌して乳化をすることで、乳化浸漬液を得た。
【0163】
【表27】
【0164】
(インディカ米の乳化浸漬液による浸漬処理後、蒸し焼き、乾燥)
前記乳化浸漬液2Lを入れたステンレストレーに、酵素処理し水切りしたインディカ米が入った金ザルを入れ、前記インディカ米を乳化浸漬液に5分間浸漬した。乳化浸漬液から前記インディカ米が入った金ザルを取出し、乳化浸漬液を良く切った。その後、インディカ米を120℃のスチームオーブンで10分間蒸し焼きし、低蛋白質蒸し焼き米を得た。その後、低蛋白質蒸し焼き米を70℃で2時間乾燥させ、低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を得た。
【0165】
<米の水分含量の測定>
実施例28及び29の米の水分含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表28に示す。
【0166】
<米の蛋白質含量の測定>
原料のインディカ米並びに実施例28及び29で得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品中の蛋白質含量を、ケルダール法で測定した。その結果を表28に示す。
【0167】
<炊飯米の官能評価>
実施例28及び29で得られた低蛋白質蒸し焼き米の乾燥品を実施例1と同じ方法で炊飯し、実施例1の「外観(1)」及び「おいしさ又は好み」と同じ評価基準で官能評価を行った。その結果を表28に示す。
【0168】
【表28】
【0169】
生米を蛋白質分解処理、洗浄することにより得られた低蛋白質米を、蒸し焼きにする前に、油を乳化した乳化液に浸漬することで、低蛋白質米の固化及び炊飯後の味にさらに良い影響を与えることがわかった。