(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリマー(A)と化合物(B)と機能性フィラー(C)とを含有する未架橋組成物に含有されるポリマー(A)と、化合物(B)とをヒドロシリル化反応させることにより得られる成形体であって、 ポリマー(A)が化合物(B)により架橋され、得られる架橋物中に機能性フィラー(C)が充填、分散されてなり、
上記ポリマー(A)が、
(A1)1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび
(A2)2個のヒドロシリル〔SiH〕基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーを含有し、
上記化合物(B)が、
(B2)3個のヒドロシリル基を有する化合物、または
(B2)と(B1)2個のアルケニル基を有する化合物を含有する
上記未架橋組成物において、
ポリマー(A)の含有量が、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、50〜98重量部であり、
機能性フィラー(C)の含有量が、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、50〜500重量部である、成形体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、機能性(例えば、熱伝導特性)および形状追随性などに優れ、可塑剤や未架橋ポリマー成分がブリードしづらい成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
特許文献1,2で用いられるフッ素系ゲルの「SIFEL(信越化学工業(株)の商品名)」は、分子両末端の架橋部位が合計2個/分子以下しかない。故に、その架橋物の構造は線状になり、得られる硬化物は成膜性や弾性が低くなる傾向にあった。よって、フィラー充填に伴う成形能低下に対し、多量の架橋部位を形成したり、PTFE繊維状物の添加にて補強を施さざるをえず、結果として硬度が高い成形物しか得られなかった。
【0013】
そこで本発明者らは、ビニル基を3個/分子以上またはヒドロシリル〔SiH〕基を3個/分子有する化合物、例えばシリコーンポリマーを、これらと反応可能な官能基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマー、例えば、SIFELと結合させることで、SIFELの架橋部位数を3個/分子以上にし、架橋構造を立体的(三次元架橋構造)なものとすることにより成膜性などの成形性を向上させること、さらに架橋によってポリマーに網目鎖構造を形成させることにより、未架橋のポリマー成分を網目鎖構造内部に閉じ込め、ブリードを低減させることに成功した。さらに、機能性フィラーの存在下に、上記架橋反応を行うことで、成形体形成用の材料中にフィラーを多く入れても、多量の架橋部位を形成するなどの補強を施す必要がないため、低硬度で高弾性な成形体が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0014】
すなわち、本発明の成形体は、
ポリマー(A)と化合物(B)と機能性フィラー(C)とを含有する未架橋組成物に含有されるポリマー(A)と、化合物(B)とをヒドロシリル化反応させることにより得られる成形体であって、
ポリマー(A)が化合物(B)により架橋され、得られる架橋物中に機能性フィラー(C)が充填、分散されてなり、
上記ポリマー(A)が、
(A1)1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび
(A2)2個のヒドロシリル〔SiH〕基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーを含有し、
上記化合物(B)が、
(B1)2個のアルケニル基を有する化合物および/または
(B2)3個のヒドロシリル基を有する化合物を含有し、
上記未架橋組成物において、
ポリマー(A)の含有量が、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、50〜98重量部であり、
機能性フィラー(C)の含有量が、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、50〜500重量部であることを特徴とする。
【0015】
上記未架橋組成物は、さらに、上記ポリマー(A)として、
(A3)2個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび
(A4)1個のヒドロシリル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーを含有し、
上記化合物(B)として、
(B3)3個以上のアルケニル基を有する化合物および/または
(B4)4個以上のヒドロシリル基を有する化合物を含有することが好ましい。
【0016】
上記未架橋組成物は、さらに(D)白金系触媒、(E)フッ素系オイル、(F)シランカップリング剤および/または界面活性剤を含有していることが好ましい。
【0017】
本発明の成形体は、好ましくは、以下の特性を有する:
・大気中、200℃で72時間の条件で加熱する前の10%圧縮荷重が、60N/cm
2以下である。
・大気中、200℃で72時間の条件で加熱した後の10%圧縮荷重の、該条件で加熱する前の10%圧縮荷重に対する変化率が、30%以下である。
・熱抵抗値が、6.0℃/W以下である。
・引張り強さが、1.0MPa以上であり、引張り伸びが、50%以上である。
・表面硬度(アスカーC硬度)が、60以下である。
・200℃で72時間の条件で加熱した後の重量の、該条件で加熱する前の重量に対する重量減少率が、2.0%以下である。
【0018】
また、本発明の成形体の製造方法は、
ポリマー(A)、化合物(B)および機能性フィラー(C)を含むことにより未架橋組成物を調製する工程;ならびに
該未架橋組成物に含有されるポリマー(A)と、化合物(B)とをヒドロシリル化反応させることによって、ポリマー(A)を化合物(B)によって架橋させ、得られる架橋物中に機能性フィラー(C)を充填、分散させる工程
を含む成形体の製造方法であって、
上記ポリマー(A)が、
(A1)1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび
(A2)2個のヒドロシリル〔SiH〕基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーを含有し、
上記化合物(B)が、
(B1)2個のアルケニル基を有する化合物および/または
(B2)3個のヒドロシリル基を有する化合物を含有し、
上記未架橋組成物を調製する際、
ポリマー(A)を、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、50〜98重量部となるように含み、
機能性フィラー(C)を、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、50〜500重量部となるように含むことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る製造方法は、上記未架橋組成物が、さらに、上記ポリマー(A)として、
(A3)2個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび、
(A4)1個のヒドロシリル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーを含み、
上記化合物(B)として、
(B3)3個以上のアルケニル基を有する化合物および/または、
(B4)4個以上のヒドロシリル基を有する化合物を含むことが好ましい。
【0020】
上記未架橋組成物が、さらに(D)白金系触媒と(E)フッ素系オイルとを含んでいてもよい。
【0021】
本発明に係る製造方法は、上記未架橋組成物が、さらに(F)シランカップリング剤および/または界面活性剤を含み、
前記未架橋組成物の調製工程の前に、上記(F)シランカップリング剤および/または界面活性剤を用いて、予め上記機能性フィラー(C)を表面処理する工程をさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の成形体は、その骨格となるポリマー(A)が化合物(B)によって立体的に架橋されている、すなわち、化学的・物理的に安定した三次元網目鎖構造が形成されていることから、これまでは困難であったフィラーの高充填条件下での低硬度かつ高弾性を達成しつつ成膜に代表される、各種形状の成形体とすることが可能となる。
【0023】
さらに、本発明の成形体は、架橋によって網目鎖構造が形成されており、架橋反応に寄与しなかったポリマー(A)成分等がその網目鎖構造に閉じ込められるため、ブリードが低減される。
【0024】
本発明の成形体を、より高い熱伝導特性や形状追随性が要求される箇所、例えば半導体部品製造装置などの高熱量発生装置の発熱部材と放熱部材との間に、これら部材に密着するように設置することによって、効率的に熱伝達を行うことができる。すなわち、このように熱伝達が効率的なのは、本発明の成形体は低硬度性・高柔軟性を有するために、発熱体と放熱体との界面に対する密着性が改善しているからである。
【0025】
さらに、本発明の成形体は、成形用金型からの剥離性や取扱性も向上しており、高温劣化しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の成形体およびその製造方法を詳述する。
【0027】
<成形体>
本発明の成形体は、下記の成分を特定の含有量で含む未架橋組成物を用いて、架橋反応を行うことによって得られるものである。
【0028】
未架橋組成物に含有される成分としては、
(A1)1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび
(A2)2個のヒドロシリル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーと、
(以下、これらをまとめて「ポリマー(A)」または「成分(A)」ともいう。)、
(B1)2個のアルケニル基を有する化合物および/または
(B2)3個のヒドロシリル基を有する化合物と
(以下、これらをまとめて「化合物(B)」または「成分(B)」ともいう。)、
(C)機能性フィラー、
が挙げられ、好ましくはさらに
(D)白金系触媒、
(E)フッ素系オイル、
(F)シランカップリング剤および/または界面活性剤
が挙げられる。
【0029】
これら成分の含有量としては、
ポリマー(A)(ポリマー(A1)および(A2))と化合物(B)(化合物(B1)および/または(B2))との合計100重量部のうち、ポリマー(A)(ポリマー(A1)および(A2))の含有量が50〜98重量部、柔軟性、ブリード性の観点から好ましくは75〜95重量部であり、
ポリマー(A)(ポリマー(A1)および(A2))と化合物(B)(化合物(B1)および/または(B2))との合計100重量部に対して、機能性フィラー(C)の含有量は50〜500重量部であり、好ましくは白金系触媒(D)の含有量は0.0001〜1.0重量部である。
【0030】
未架橋組成物における架橋反応は、ポリマー(A)(ポリマー(A1)および(A2))と、化合物(B)(化合物(B1)および/または(B2))とのヒドロシリル化反応、好ましくはポリマー(A1)のアルケニル基と化合物(B2)のヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応およびポリマー(A2)のヒドロシリル基と化合物(B1)のアルケニル基とのヒドロシリル化反応であり、白金系触媒(D)によって触媒される。
【0031】
本発明の成形体は、このような反応によって、少なくとも平面的な網目状に架橋、好ましくは立体的(三次元的)に架橋され、その架橋物中に機能性フィラー(C)が充填、分散されてなる、熱伝導シートに代表される成形体である。
【0032】
換言すれば、本発明では、成形体が、機能性フィラー(C)の存在下に、上記ポリマー(A)同士を化合物(B)にて架橋して得られているため、架橋体中(特にその網目構造中)には、機能性フィラー(C)が良好に充填され(均一)分散しており、しかも、ポリマー(A)と機能性フィラー(C)ともおそらく物理的または化学的に緊密に付着・結合しており、上述したような物性(柔軟性、低ブリード性、熱伝導性など)に優れたシート等の成形体が得られるのであろうと推測される。特に、機能性フィラー(C)が予め表面処理されていると、上記のような分散の均一化の向上、付着・結合の厳密化による物性向上(例:熱伝導率の向上、熱抵抗値の低下)が顕著となる傾向がある。
【0033】
本発明の成形体は、熱伝導性に優れるため放熱用シート(本明細書では「熱伝導成形体」ともいう。)として好適であるが、この用途に限定されるものではない。
【0034】
なお、本発明における「架橋」とは、高分子と高分子との間に橋かけができることをいい、高分子の末端同士の間に橋かけができた場合は、単に高分子鎖が長くなるだけのことなので、架橋とはいわない。
【0035】
本発明で用いる未架橋組成物は、さらに、
ポリマー(A)として、
(A3)2個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーと、
(A4)1個のヒドロシリル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーとを含有し、
化合物(B)として、
(B3)3個以上のアルケニル基を有する化合物および/または、
(B4)4個以上のヒドロシリル基を有する化合物
を含有するのが好ましい。このとき、ポリマー(A)(ポリマー(A1)、(A2)、(A3)および(A4))と化合物(B)(化合物(B1)および/または(B2)と化合物(B3)および/または(B4))との合計100重量部のうち、ポリマー(A)(ポリマー(A1)〜(A4))の含有量が50〜98重量部、柔軟性、ブリード性の観点から好ましくは75〜95重量部である。
【0036】
〔ポリマー(A)〕
本発明で用いるポリマー(A)は、上記の(A1)と(A2)のポリマーを含み、ともに骨格がパーフルオロポリエーテルを含み、好ましくはその末端、より好ましくは主鎖の末端に官能基を有し、主鎖の両末端合わせて、1個のアルケニル基(A1)または2個のヒドロシリル〔SiH〕基(A2)を有する。
【0037】
ポリマー(A)としては、ポリマー(A1)と(A2)の他に、さらに
(A3)2個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび
(A4)1個のヒドロシリル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマー
を含むことが好ましい。
【0038】
ポリマー(A)が有する官能基は、化合物(B)が有する官能基であるアルケニル基およびヒドロシリル基と、副産物が生成しにくいヒドロシリル化反応を行うことができる。一般化したヒドロシリル化反応を下記式(I)および(II)に示す。式中のR
1およびR
2はそれぞれ適当な基を表わす。
【0039】
【化1】
多くの場合、ヒドロシリル化反応は、上記式(I)に従い、アルケニル基(好ましくはビニル基)とヒドロシリル基とが1:1のモル比で反応するが、まれに上記式(II)に従い、アルケニル基とヒドロシリル基とが1:2のモル比で反応する。
【0040】
ポリマー(A)はフッ素系樹脂であるから、得られる成形体の高耐熱性の面、シロキサンその他のアウトガスフリーの面で好ましい。
【0041】
《アルケニル基を有するポリマー(A1),(A3)》
ポリマー(A1)は、1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーであり、好ましくは主鎖の両末端にそれぞれ1個(合計2個)のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマー(すなわち、ポリマー(A3))であり、3個のヒドロシリル基を有する化合物(B2)(好ましくは化合物(B2)または(B4))とヒドロシリル化反応を行う。
【0042】
このようなアルケニル基を有するポリマー(A1)としては、例えば、特開2001-72868号公報の段落[0007]〜[0043]に記載のアルケニル基を有する含フッ素アミド化合物(以下、単に「含フッ素アミド化合物」「アルケニル基含有含フッ素アミド化合物」ともいう。)のうち、二価のパーフルオロポリエーテル基を含有するものが挙げられ、この含フッ素アミド化合物は、分子中に少なくとも1個、好ましくは両末端に2個のアルケニル基を有するものである。このアルケニル基を有する含フッ素アミド化合物は、好ましくは下記の結合を有しているものが好ましい。
【0043】
【化2】
さらに、下記の結合を含むことができる。
【0044】
【化3】
アルケニル基含有含フッ素アミド化合物としては、特に下記一般式(1)で示されるものであることが好ましい。
【0045】
【化4】
式(1)中、R
1は、置換または非置換の一価炭化水素基を表し;R
2は、水素原子または置換もしくは非置換の一価炭化水素基を表し;Qは、下記の一般式(2)または一般式(3)
【0046】
【化5】
(式中R
3は、結合途中に酸素原子、窒素原子およびケイ素原子の一種または二種以上を介在させてもよい置換または非置換の二価炭化水素基を表し;R
2は上記と同様の基を表す。)
【0047】
【化6】
(式中R
4およびR
5は、それぞれ置換または非置換の二価炭化水素基を表す。)
で表され;Rfは、二価のパーフルオロポリエーテル基を表し;aは、0以上の整数である。
【0048】
ここで、上記式(1)中のR
1としては、炭素数1〜10、特に1〜8の、好ましくは脂肪族不飽和結合を除く、置換または非置換の一価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、あるいはこれらの基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子等で置換したクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられる。
【0049】
上記式(1)中のR
2としては、水素原子または上記R
1として例示したものと同様の炭素数1〜10、特に1〜8の、好ましくは脂肪族不飽和結合を除く、置換または非置換の一価炭化水素基であり、一価炭化水素基としては、R
1と同様の基を挙げることができ、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、あるいはこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子等で置換したクロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられる。
【0050】
上記式(2)中のR
3としては、置換または非置換の二価炭化水素基であれば特に限定されないが、炭素数1〜20、特に2〜10の二価炭化水素基が好適であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基、あるいはこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子等で置換した基、あるいはこれらの置換または非置換のアルキレン基、アリーレン基の組み合わせなどが例示される。また、R
3は、結合の途中に酸素原子、窒素原子、ケイ素原子の一種または二種以上を含んでもよい。この場合、酸素原子は−O−、窒素原子は−NR'−(R'は、水素原子または炭素数1〜8、特に1〜6のアルキル基またはアリール基である)として介在することができ、またケイ素原子は、例えば下記の基のように直鎖状または環状のオルガノシロキサンを含有する基あるいはオルガノシリレン基として介在することができる。
【0051】
【化7】
(式中、R"は、上記R
1,R
2として例示したものと同様の炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基を表し;R'''は、上記R
3として例示したものと同様の炭素数1〜6のアルキレン基またはアリーレン基を表し;n=0〜10、特に0〜5の整数である。)
このような基としては、下記の基を例示することができる。
【0052】
【化8】
(式中、Meは、メチル基を表す。)
上記式(3)中のR
4およびR
5としては、炭素数1〜10、特に2〜6の置換または非置換の二価炭化水素基が好適であり、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基、あるいはこれらの基の水素原子の一部をハロゲン原子等で置換した基などが例示される。
【0053】
上記の式(2)または式(3)により表される式(1)中のQとしては、具体的には、下記の基が例示される。なお、以下の化学式において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。
【0056】
【化11】
また、式(1)において、Rfは、二価パーフルオロポリエーテル基であり、特に二価パーフルオロポリエーテル基としては、下記式で示されるものが好ましい。
【0057】
【化12】
Rfとして、具体的には、下記のものが例示される。
【0058】
【化13】
なお、上記式(1)において、aは0以上の整数であり、従って、式(1)の含フッ素アミド化合物は一分子中に二価パーフルオロポリエーテル基を一個以上含むものであるが、aは好ましくは0〜10、特に1〜6の整数である。
【0059】
このような含フッ素アミド化合物として、粘度(25℃、以下同様)が数十csの低粘度ポリマーから固形の生ゴム状のポリマーまで使用することができるが、取り扱いやすさの点からは、例えば熱加硫ゴム用としては生ゴム状のポリマーが、また、液状ゴム用には粘度が100〜100,000cs程度のポリマーが好適に使用される。低粘度すぎると得られる成形体がエラストマーとしての伸びが小さくなり、バランスのとれた物性が得られない場合が生じる。
【0060】
上記式(1)の含フッ素アミド化合物は、下記の方法により得ることができる。すなわち、上記式(1)においてaが0である含フッ素アミド化合物は、例えば下記一般式(4)で示される両末端に酸フロライド基を有する化合物と下記一般式(5)で示される一級もしくは二級アミン化合物とをトリメチルアミン等の受酸剤の存在下で反応させることにより合成することができる。
【0061】
【化14】
(式中、R
1,R
2,Rfは上記と同様のものを表す。)
さらに、上記式(1)において、aが1以上の整数となる含フッ素アミド化合物は、例えば上記式(4)に表される両末端に酸フロライド基を有する化合物と下記一般式(6)
H−Q−H …(6)
(式中、Qは、上記と同様のものを表す。)
で表されるジアミン化合物とを受酸剤の存在下で反応させ、さらに上記式(5)で表される一級もしくは二級アミン化合物を反応させることにより合成することができる。
【0062】
この場合、式(4)の両末端に酸フロライド基を有する化合物と式(5)の一級もしくは二級アミン化合物との仕込量の比率は、特に限定されるものではないが、モル換算で式(4)の化合物の仕込量(a)と式(5)の化合物の仕込量(b)との比率(a)/(b)を0.1〜1.2mol/mol、特に0.2〜0.5mol/molとすると好適である。
【0063】
また、上記式(4)の化合物の仕込量(a)と式(6)の化合物の仕込量(c)とは、モル換算で(a)を(c)より少なくしない限り、特に限定されるものではない。式(1)中の繰り返し単位aは、(a)/(c)を調整することにより目的に応じた適宜な値にすることができ、(a)/(c)を大きくすれば比較的分子量の小さなポリマーを合成することができ、(a)/(c)の値を1に近づければ分子量の大きなポリマーを合成することができる。
【0064】
上記反応の条件は、特に制限されないが、20〜100℃で1〜8時間、好ましくは20〜50℃で2〜4時間反応させることが好ましい。
【0065】
なお、式(1)の含フッ素アミド化合物において、Qが、ケイ素原子を介在するものである含フッ素アミド化合物は、例えばビニル基、アリル基等の脂肪族不飽和基を有する一級もしくは二級アミン化合物として、例えば式(5)のアミン化合物を使用して上記反応により例えば下記一般式(7)で示される両末端にビニル基を有する化合物を合成し、これと例えば下記一般式(8)で示される、分子中にヒドロシリル基を2個有するオルガノシロキサン化合物とを付加反応触媒の存在下で反応させることにより合成することができる。
【0066】
【化15】
(式中、R
1,R
2,Rfは、前記と同様のものを表す。)
H−P−H …(8)
(式中、Pは、シロキサン結合を有する二価の有機基であり、具体的には下記の基が例示される。
【0067】
【化16】
この反応で上記式(7)で表される両末端にビニル基を有する化合物と式(8)の化合物との仕込量との比率は、モル換算で式(7)の化合物の仕込量(d)を、式(8)の化合物の仕込量(e)より多くしなくてはならないが、その比率(d)/(e)は最大で2である。すなわち、2<(d)/(e)≦2である。なお、(d)/(e)を大きくすれば比較的分子量の小さなポリマーを合成することができ、(d)/(e)の値を1に近づければ分子量の大きなポリマーを合成することができる。
【0068】
この場合、上記付加反応触媒としては周期表第VIII族元素またはその化合物、例えば塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3220972号参照)、塩化白金酸とオレフィンとの錯体(米国特許第3159601号、同第3159662号、同第3775452号参照)、白金黒またはパラジウム等をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの、ロジウム-オレフィン錯体、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)等を使用し得、その添加量は触媒量とすることができる。上記の錯体はアルコール系、ケトン系、エーテル系、炭化水素系の溶剤に溶解して使用することが好ましい。また、上記反応の条件は、50〜150℃、好ましくは80〜120℃で2〜4時間反応させることが好ましい。
【0069】
《ヒドロシリル基を有するポリマー(A2),(A4)》
一方、ポリマー(A2)は、2個のヒドロシリル〔SiH〕基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーであり、好ましくは主鎖の両末端にそれぞれ1個ずつ(合計2個)のヒドロシリル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーであって、2個のアルケニル基を有する化合物(B1)(好ましくは化合物(B1)または(B3))とヒドロシリル化反応を行う。
【0070】
このようなヒドロシリル基を有するポリマー(A2)としては、例えば、特開2001-72868号公報の段落[0044]〜[0055]に記載のヒドロシリル基を有する含フッ素オルガノ水素シロキサン(以下、単に「含フッ素オルガノ水素シロキサン」ともいう。)が挙げられ、これらのうち、一分子中に1個以上の二価のパーフルオロオキシアルキレン基(パーフルオロポリエーテル基)かつ2個以上のヒドロシリル基を有するものである。
【0071】
また、ポリマー(A2)と併用することが好ましいポリマー(A4)は、1個のヒドロシリル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーであり、例えば、上記の含フッ素オルガノ水素シロキサンが挙げられ、これらのうち、一分子中に1個以上の二価のパーフルオロオキシアルキレン基(パーフルオロポリエーテル基)かつ1個のヒドロシリル基を有するものである。
【0072】
パーフルオロオキシアルキレン基としては、特に下記一般式で示される二価のパーフルオロオキシアルキレン基を挙げることができる。
【0073】
【化17】
(m+nは2〜100の整数)
この含フッ素オルガノ水素シロキサンとしては、環状でも鎖状でもよく、さらに三次元網状でもよく、特にケイ素原子に結合した一価の置換基として下記一般式で示されるパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルエーテル基あるいはパーフルオロアルキレン基を含有する一価の有機基を分子中に少なくとも1個有するものを挙げることができる。
【0074】
【化18】
ここで、R
6は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基などの好ましくは炭素数1〜10、特に2〜6の二価炭化水素基を表し;R
7は、水素原子あるいは上述したR
2と同様の好ましくは炭素数1〜8、特に1〜6の一価炭化水素基を表し;Rf
1、は上記一般式で挙げた一価のパーフルオロアルキル基、一価のパーフルオロオキシアルキル基、二価のパーフルオロオキシアルキレン基または二価のパーフルオロアルキレン基である。
【0075】
また、この含フッ素オルガノ水素シロキサンにおける二価の含フッ素置換基、すなわちパーフルオロオキシアルキレン基を含有する一価の有機基以外のケイ素原子に結合した一価の置換基としては、上記のR
2と同様の好ましくは脂肪族不飽和結合を含まない炭素数1〜10、特に1〜8の一価炭化水素基が挙げられる。
【0076】
この含フッ素オルガノ水素シロキサンにおける分子中のケイ素原子数はこれに限られるものではないが、通常2〜60、好ましくは4〜30程度のものが挙げられる。
【0077】
このような含フッ素オルガノ水素シロキサンとしては、例えば下記の化合物が挙げられ、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。なお、これらの化合物は、一種単独で使用してもよく、二種以上併用してもよい。
【0080】
【化21】
このようなポリマー(A)として、架橋重合度の制御がより容易になることから、(A1)分子中に1個のアルケニル基を有するポリマーと(A3)分子中に2個のアルケニル基を有するポリマーとを併用し、かつ、(A2)分子中に1個のヒドロシリル基を有するポリマーと(A4)分子中に2個のヒドロシリル基を有するポリマーとを併用する態様が好ましい。
【0081】
ポリマー(A)の混合比率としては、分子中に1個のアルケニル基(またはヒドロシリル基)を有するポリマー((A1)または(A4)):分子中に2個のアルケニル基(またはヒドロシリル基)を有するポリマー((A2)または(A3))が、20:80〜80:20(モル比率)の範囲であることが好ましい。この範囲内の比率であると、架橋重合度の制御が容易となるとともに、シート成形性に優れ、かつ柔軟性を保持した成形体を効率的に得ることができる。
【0082】
ポリマー(A)として、得られる成形体の柔軟性、低温特性、耐熱性の観点から、具体的には、市販品として信越化学工業(株)製の二液硬化系フッ素系ゲルである「SIFEL」のA液に含有されるビニル基を有する重合体および/またはB液に含有されるヒドロシリル基を有する重合体が特に好ましい。SIFELは特開2001-72868号公報に開示されており、SIFELのA液は当該公報に記載の「(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する含フッ素アミド化合物」のうち二価のパーフルオロポリエーテル基を含有するものに対応し、SIFELのB液は当該公報に記載の「(B)含フッ素オルガノ水素シロキサン」のうち二価のパーフルオロポリエーテル基を含有するものに対応する。
【0083】
〔化合物(B)〕
本発明で用いる化合物(B)は、2個のアルケニル基を有する化合物(B1)と、3個のヒドロシリル基を有する化合物(B2)とからなり、ポリマー(A)が有する官能基とヒドロシリル化反応し共有結合できるものである。
【0084】
化合物(B)として、化合物(B1)と3個以上のアルケニル基を有する化合物(B3)とを併用し、化合物(B2)と4個以上のヒドロシリル基を有する化合物(B4)とを併用する態様が好ましい。
【0085】
化合物(B)は、それぞれアルケニル基を2個以上およびヒドロシリル基を3個以上有していれば、特に限定されるものではないが、化合物(B1)としては、例えばビニル基を2個以上有するシリコーンポリマー、化合物(B3)としては、例えばビニル基を3個有しているトリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
【0086】
化合物(B1),(B3)として、ビニル基を2個以上有するポリマーが好ましく、例えば、1分子中に、ケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンが挙げられ、下記式で表わすことができる。
【0087】
【化22】
式中、R1は、それぞれ独立に、脂肪族不飽和結合を含有しない非置換または置換の炭素数1〜20の一価炭化水素基を表わし、R2は、それぞれ独立に、アルケニル基を表わし、nは2〜10である。
【0088】
ケイ素原子に結合した非置換または置換の一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したものなどが挙げられる。
【0089】
このようなオルガノポリシロキサンとして用いることができる市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製の「KE-1950-10」のA液、「KE-1950-30」のA液、「KE-1950-50」のA液、「X-34-4045」のA液などが挙げられる。これらの粘度領域は、25℃において200〜200,000センチポイズ〔cp〕である。
【0090】
この他にも、ビニル基を2個以上有するポリマーとして用いることができる代表的な市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製のフッ素化シリコーンゴム〔FVMQ〕(FE-241-U)や日本ゼオン(株)製のポリブタジエンゴム〔BR〕(Nipol BR1220)などが挙げられる。
【0091】
一方、化合物(B2)としては、例えばヒドロシリル基を3個有するシリコーンポリマー、化合物(B4)としては、例えばヒドロシリル基を4個有するテトラキスジメチルシロキサンなどが挙げられる。
【0092】
化合物(B2),(B4)として、ヒドロシリル基(Si-H)を3個以上有するポリマーが好ましく、例えば、1分子中に、ジヒドロシリル「-SiH
2-」を3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられ、式「R3−(SiH
2O)n−R3」で表わすことができる。
【0093】
該式中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1〜12、好ましくは1〜8の非置換または置換の一価炭化水素基であり、好ましくは脂肪族不飽和結合を有しないものであり、nは2〜10、好ましくは、3〜10である。具体的なR3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部または全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したものなどが挙げられる。また、nは1〜10である。
【0094】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして用いることができる市販品としては、例えば、信越化学工業(株)製の「KE-1950-10」のA液、「KE-1950-30」のB液、「KE-1950-50」のB液、「X-34-4045」のB液などが挙げられる。これらの粘度領域は、25℃において800センチポイズ〔cp〕以下である。
【0095】
化合物(B)として好ましくは、信越化学工業(株)製の液状シリコーンゴム「KE-1950-10(A・B)」などの市販品も用いることができ、これはA液とB液とからなり、ともに未硬化時の粘度が60Pa・s(25℃)の半透明体である。
【0096】
化合物(B)がアルケニル基およびヒドロシリル基を有すると、ポリマー(A)が有するそれぞれヒドロシリル基およびアルケニル基と副生成物を生成しにくいヒドロシリル化反応を行えるため、好適である。
【0097】
化合物(B)がさらに、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基などの親水性置換基を有すると、成形体の粘着性の観点で好ましく、シルセスキオキサン骨格または多価フェノール骨格を有すると、耐熱性の観点で好ましい。
【0098】
〔機能性フィラー(C)〕
本発明で用いる機能性フィラー(C)としては、特に限定するものではないが、例えば、熱伝導性、導電性、磁性、誘電性、ガスバリア性などの機能性を有するフィラーが挙げられる。より具体的には、例えば、黒鉛、ダイヤモンド、アルミニウム、酸化アルミニウム(またはアルミナ)〔Al
2O
3〕、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム〔AlN〕、窒化ホウ素〔h-BN、c-BN〕、シリカ〔SiO
2〕、窒化ケイ素〔Si
3N
4〕、炭化ケイ素〔SiC〕、マイカ、酸化ベリリウム〔BeO〕、酸化亜鉛、亜鉛華などが挙げられ、これらを一種単独または二種以上併用することができる。
【0099】
機能性フィラー(C)の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、熱伝導性粒子などの場合、0.2〜500μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましい。平均粒径が0.5μm未満、特に0.2μm未満では、上記成分(A)〜(C)を含む組成物における機能性フィラー(C)の均一分散が不良となる虞があり、100μm超、特に500μmを超えると、成形体(例えばシートなど)の平滑性が損なわれるおそれがある。また、機能性フィラー(C)は、平均粒径φの異なる機能性フィラーを二種以上組合せて用いると、成形体中の機能性フィラー(C)の充填率が向上する点で好ましい。
【0100】
なお、二種以上の平均粒径を有するフィラーの組合せでは、含まれるいずれの粒子も上記平均粒子径を有していればよい。
【0101】
機能性フィラー(C)の形状は、球状であっても、扁平状であっても、または他の形状であってもよいが、成形体中の充填率の観点から球状が好ましく、成形体に異方性をもたせたい場合は扁平状を用いることが好ましい。
【0102】
機能性フィラー(C)の配合量は、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、熱伝導特性等の機能性付与、シート成形性の維持の観点から通常、50重量部以上500重量部以下であり、好ましくは300重量部以上500重量部以下である。
【0103】
〔白金系触媒(D)〕
本発明の成形体を製造する際に用いられる未架橋組成物には、ポリマー(A)と化合物(B)とをヒドロシリル化反応を行う際、該反応を促進する観点から、触媒となる白金系触媒(D)を配合することが好ましい。
【0104】
このような白金系触媒(D)として、例えば、Speier触媒(H
2PtCl
6)やKarstedt触媒(H
2PtCl
6とビニルシロキサンから調製)などを用いることができる。また、特開2001-72868号公報に記載の(C)白金族化合物と同様のものを用いることもできる。
【0105】
白金系触媒(D)としては、例えば、塩化白金酸または塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコールやビニルシロキサンとの錯体、白金/シリカもしくはアルミナもしくはカーボン等の白金化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。白金化合物以外の白金族化合物としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム系化合物も知られており、例えば、RhCl(PPh
3)
3、RhCl(CO)(PPh
3)
2、RhCl(C
2H
4)
2、Ru
3(CO)
12、IrCl(CO)(PPh
3)
2、Pd(PPh
3)
4等が挙げられる。
【0106】
なお、白金系触媒(D)の配合量は、特に限定されないが、反応速度の均一性の点を考慮すると、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、触媒量、通常0.0001〜1.0重量部で用いることが望ましい。
【0107】
〔フッ素系オイル(E)〕
本発明の成形体を製造する前に調製する未架橋組成物には、成形体に可塑性を付与することができ、さらに成形体における各成分の分散性が高まり、また成形体の成形性、密着性、タック性が向上することから、可塑剤としてフッ素系オイル(E)を配合することが好ましい。
【0108】
フッ素系オイル(E)としては、例えば、市販品であるダイキン工業(株)製の「デムナム」、旭硝子(株)製の「フロンルーブ」、アウジモント社製の「フォンブリン」、デュポン社製の「クライトックス」などが挙げられる。
【0109】
フッ素系オイル(E)の配合量は、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、低硬度化、シート成形性の観点から通常、2重量部以上30重量部以下であり、好ましくは10重量部以上20重量部以下である。
【0110】
〔シランカップリング剤および/または界面活性剤(F)〕
本発明の成形体を製造する前に調製する未架橋組成物には、シランカップリング剤および/または界面活性剤(F)を配合し、機能性フィラー(C)に表面処理を施すことが好ましい。機能性フィラー(C)の表面処理は、機能性フィラー(C)とシランカップリング剤および/または界面活性剤(F)間の結合性、シランカップリング剤および/または界面活性剤(F)とポリマー間の結合性を向上させるため、機能性フィラーの分散性・充填性向上の観点から好ましい。
【0111】
シランカップリング剤および/または界面活性剤(F)の種類は特に限定されず、シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。また、界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
【0112】
シランカップリング剤および/または界面活性剤(F)の配合量は、ポリマー(A)と化合物(B)との合計100重量部に対して、機能性フィラー(C)の被膜厚、機能性フィラー(C)の物性維持の観点から通常、0.1重量部以上20重量部以下であり、好ましくは0.2重量部以上10重量部以下である。
【0113】
シランカップリング剤および/または界面活性剤(F)を用いた表面処理手法としては、例えば、湿式法、乾式法、インテグラルブレンド法などの従来の処理方法を適用することができる。これらのうち、均一に表面処理膜を作製するという観点から、湿式法を用いることが好ましい。
【0114】
〔他の成分〕
本発明の成形体を製造するための組成物には、上記の(A)〜(F)成分の他に、架橋促進剤、溶剤、分散剤、老化防止剤、顔料などの他の成分を含んでもよい。
【0115】
〔成形体の物性〕
本発明の成形体は、シートの柔軟性の観点から、好ましくは10%圧縮荷重が60N/cm
2以下、より好ましくは40N/cm
2以下、さらに好ましくは30N/cm
2以下である。また、10%圧縮荷重の下限値は、1.0N/cm
2程度である。この10%圧縮荷重は、例えばSHIMADZU製の「AUTO GRAPA AG-500kND」にて荷重をかけ、10%圧縮したときの荷重値を測定する方法などによって決定される。
【0116】
本発明の成形体は、200℃で72時間の条件で加熱した後の10%圧縮荷重の、該条件で加熱する前の10%圧縮荷重に対する変化率が、好ましくは30%以下、より好ましくは15%以下である。高温処理前後の10%圧縮荷重変化率が上記範囲内であると、高温使用時の耐久性の点から好適である。
【0117】
上記変化率は、下記式により算出される。
【0118】
[(加熱後の10%圧縮荷重)−(加熱前の10%圧縮荷重)]/(加熱前の10%圧縮荷重)×100
JIS K6251に準拠して測定される、本発明の成形体の引張り強さは、シートの柔軟性の観点から、好ましくは1.0MPa以上である。また、引張り伸びは、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上である。
【0119】
ASKER C硬度計にて測定される、本発明の成形体の表面硬度(アスカーC硬度)は、例えば半導体部品製造装置などの高熱量発生装置の発熱部材等の対象との密着性などの点を考慮すると、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。
【0120】
実施例に記載された方法によって測定される、本発明の成形体の熱抵抗値は、熱伝導シートとしての要求特性などの点を考慮すると、好ましくは6.0℃/W以下、より好ましくは5.5℃/W以下である。
【0121】
本発明の成形体は、200℃で72時間の条件で加熱した後の重量の、該条件で加熱する前の重量に対する重量減少率が、好ましくは2.0%以下、より好ましくは1.4%以下である。この重量減少分はブリードした成分(放出ガスも含む)の重量に相当する。重量減少率が上記範囲内であると、ブリードしづらいといえることから好適である。
【0122】
上記重量減少率は、下記式により算出される。
【0123】
[(加熱前の重量)−(加熱後の重量)]/(加熱前の重量)×100
〔成形体の用途〕
本発明の成形体は、上記のような物性を有しているため、例えば、半導体部品製造装置などの高熱量発生装置の放熱用シート、電磁波シールド用シート、フリップチップ、電極膜、電磁波吸収体、圧電用センサー、アンテナ、アクチュエーター、ガスバリア膜、などに好適である。
【0124】
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法は、上記未架橋組成物を調製する工程(i)および該未架橋組成物に含有の成分(A)と(B)とを反応させる工程(ii)を含み、好ましくはさらに、シランカップリング剤および/または界面活性剤(F)を用いて、予め機能性フィラー(C)を表面処理する工程(iii)を含む。
【0125】
工程(i)において、
(A1)1個のアルケニル基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーおよび
(A2)2個のヒドロシリル〔SiH〕基を有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーと、
(B1)2個のアルケニル基を有する化合物および/または
(B2)3個のヒドロシリル基を有する化合物と、
(C)機能性フィラーと、
好ましくは
(D)白金系触媒と
を配合することにより未架橋組成物を調製する際、ポリマー(A)(ポリマー(A1)および(A2))と化合物(B)(化合物(B1)および/または(B2))との重量比〔(A1)+(A2):(B1)+(B2)〕を98:2〜50:50、柔軟性、ブリード性の観点から好ましくは95:5〜75:25とし、
ポリマー(A)(ポリマー(A1)および(A2))と化合物(B)(化合物(B1)および/または(B2))との合計100重量部に対して、機能性フィラー(C)を50〜500重量部、好ましくは白金系触媒(D)を0.0001〜1.0重量部とする。
【0126】
工程(i)において未架橋組成物を調製する際、成形体の用途・目的に応じて、適当なメタキシレンヘキサフロライド、フロリナート等の溶媒に所望の濃度となるように未架橋組成物を溶解してもよい。
【0127】
工程(i)の後、工程(ii)として、該未架橋組成物に含有されるポリマー(A1)のアルケニル基と化合物(B2)のヒドロシリル基との反応、および/またはポリマー(A2)のヒドロシリル基と化合物(B1)のアルケニル基との反応をさせることによって、ポリマー(A1)および/または(A2)がそれぞれ化合物(B2)および/または(B1)によって架橋され、その架橋物中に機能性フィラー(C)を充填、分散される。
【0128】
工程(iii)は、工程(i)において、未架橋組成物に機能性フィラー(C)を配合する前に行い、上記のシランカップリング剤および/または界面活性剤(F)を0.1重量部以上20重量部以下用いて、50重量部以上500重量部以下の機能性フィラー(C)を湿式処理(すなわち、水中でシランカップリング剤および/または界面活性剤(F)と機能性フィラー(C)とを混合する処理)することによって、表面処理された機能性フィラー(C')を得る工程である。
【0129】
工程(iii)を実施した場合、工程(i)で用いる機能性フィラー(C)の代わりに、工程(iii)で得られた機能性フィラー(C')を用いる。
【0130】
本発明の製造方法により得られる成形体の形状としては、シート状が好ましい。
【0131】
シート化するための成形技術としては、用途・目的に応じて、圧縮成形法、押出成形法、射出成形法、トランスファー成形法、注型成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法などから適宜選択できる。未架橋組成物が液状である場合、塗装法、印刷法、ディスペンサー法、ポッティング法などから適宜選択できる。
【0132】
本発明の成形体の製造方法は、上記のようなシートの製造方法に限定されるものではなく、シート以外の成形体も製造することができる。
【0133】
本発明の成形体の製造方法において、各成分を配合した際、ロスミキサー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー、二本ロール、三本ロール等の混合装置を使用して均一に混合することができる。
【実施例】
【0134】
次に、本発明の好適態様について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0135】
なお、以下の実施例等に用いた主な成分は下記の通り。
【0136】
ポリマー(A):
・信越化学工業(株)製の「SIFEL(登録商標) X71-8370」
この「SIFEL X71-8370」には、A液およびB液がそれぞれ別個に含まれており、A液は、分子末端にアルケニル基を1個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが0〜40モル%、分子末端にアルケニル基を2個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが60〜100モル%からなり、B液は、分子末端にヒドロシリル基を1個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが0〜40モル%、分子末端にヒドロシリル基を2個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが60〜100モル%からなる。よって、A液をポリマー(A1)として、B液をポリマー(A2)として用いた。
・信越化学工業(株)製「SIFEL(登録商標) X71-3405」
この「SIFEL X71-3405」には、A液およびB液がそれぞれ別個に含まれており、A液は、分子末端にアルケニル基を1個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが60〜100モル%、分子末端にアルケニル基を2個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが0〜40モル%からなり、B液は、分子末端にヒドロシリル基を1個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが60〜100モル%、分子末端にヒドロシリル基を2個有するパーフルオロポリエーテル骨格のポリマーが0〜40モル%からなる。よって、A液をポリマー(A1)として、B液をポリマー(A2)として用いた。
【0137】
なお、SIFELのB液には、いずれも白金系触媒(D)が既に添加されている。
【0138】
化合物(B):
・信越化学工業(株)製の液状シリコーンゴム「KE-1950-10(A・B)」
この「KE-1950-10」には、A液およびB液がそれぞれ別個に含まれており、それぞれの詳細な化学構造は上述した通りである。ここで、A液を化合物(B1)として、B液を化合物(B2)として用いた。
【0139】
機能性フィラー(C):
・住友化学(株)製の「AA-18」(平均粒径18μmのアルミナ)
これを機能性フィラー(C1)とした。
・住友化学(株)製の「AA-3」(平均粒径3μmのアルミナ)
これを機能性フィラー(C2)とした。
【0140】
フッ素系オイル(E):
・ダイキン工業(株)製の「デムナム S-200」(パーフルオロポリエーテルオイル)
シランカップリング剤および/または界面活性剤(F):
・信越化学工業(株)製のシランカップリング剤「KBM-7103」(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)
[実施例1]
粘着層を有する熱伝導シート(成形体)を、以下のようにして製造した。
【0141】
ポリマー(A1)として、「SIFEL X71-8370」のA液16.2重量部と「SIFEL X71-3405」のA液37.8重量部(合計54重量部)、ポリマー(A2)として、「SIFEL X71-8370」のB液10.8重量部と「SIFEL X71-3405」のB液25.2重量部(合計36重量部)、ポリマー(B2)として「KE-1950-10」のB液を10重量部、機能性フィラー(C1)として「AA-18」270重量部と機能性フィラー(C2)として「AA-3」30重量部、フッ素系オイル(E)として「デムナム S-200」20重量部、および、シランカップリング剤/界面活性剤(F)として「KBM-7103」3重量部を配合し、十分に分散させるために三本ロールミルで混練りした。
【0142】
得られたコンパウンドをコンプレッション成型により圧力480N/cm
2、130℃、15分の条件にて指定厚さのシート状に成型し、得られたシートを150℃×1時間電気炉に入れ、シートを得た。
【0143】
得られた成形体について、下記の方法に従い、種々の物性を評価した。得られた評価結果を表1に示す。
【0144】
〔10%圧縮荷重〕
φ46.2mm×厚さ0.1mmに調製した試料を、SHIMADZU製の「AUTO GRAPA AG-500kND」にて荷重をかけ、10%圧縮したときの荷重値を測定した。
【0145】
〔熱抵抗〕
発熱基板上に、試料(厚さ1.0mm、縦10mm×横10mmに調製した。)を貼付け、試料の上に発熱基板と同じ素材の基板(冷却基板)を載せ、一定荷重(98kPa)で圧接した。両基板の、試料の各表面に接する温度をモニタリングした状態で、発熱基板を45Wの発熱量で加熱し、5分後の両基板の該温度、すなわち試料の発熱基板と接する温度(発熱部の温度:θj1)および試料の冷却基板と接する温度(冷却部の温度:θj0)を測定し、それらの測定値を下記式に適用し、熱抵抗を算出した。
【0146】
熱抵抗(℃/W)=(θj1−θj0)/発熱量Q
〔引張り強さ・引張り伸び〕
JIS K6251に準拠し、ダンベル状(2号形)試験片を一定速度の加重で引張り破断する際に要した力(最大荷重)より引張強度(引張り強さ)を、破断する際の伸び率より引張り伸びを求めた。
【0147】
〔表面硬度(アスカーC硬度)〕
ASKER C硬度計にて測定した。
【0148】
〔ブリード試験〕
25mm×25mm×0.1mmに調製した試料を、電気炉にて200度で72時間過熱し、試験前後の重量減少を測定し、重量減少分をブリード(含む放出ガス量)とした。
【0149】
[実施例2]
実施例1において、配合比を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様に粘着層を有する熱伝導シートを製造し、種々の物性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0150】
[比較例1]
実施例1において、ポリマー(A1)と(A2)の配合量をそれぞれ50重量%に変更し、さらに化合物(B1)と(B2)を配合しなかった以外は、実施例1と同様に粘着層を有する熱伝導シートを製造し、種々の物性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0151】
[比較例2]
実施例1において、ポリマー(A1)と(A2)を配合せずに、さらに化合物(B1)と(B2)の配合量をそれぞれ50重量%に変更した以外は、実施例1と同様に粘着層を有する熱伝導シートを製造し、種々の物性を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0152】
【表1】