特許第6204918号(P6204918)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204918
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】殺生物組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/80 20060101AFI20170914BHJP
   A01N 57/34 20060101ALI20170914BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20170914BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A01N43/80 102
   A01N57/34
   A01P1/00
   C02F1/50 510A
   C02F1/50 510B
   C02F1/50 520J
   C02F1/50 520K
   C02F1/50 532K
   C02F1/50 532J
   C02F1/50 540B
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-535782(P2014-535782)
(86)(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公表番号】特表2014-528476(P2014-528476A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】US2012059317
(87)【国際公開番号】WO2013055665
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年9月25日
(31)【優先権主張番号】61/546,585
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】特許業務法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイ・イン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブイ・エンツィエン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ジェイ・ラブ
(72)【発明者】
【氏名】エメレンティアナ・シアナワティ
【審査官】 村守 宏文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−071213(JP,A)
【文献】 特表2010−534666(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/038316(WO,A1)
【文献】 GEK MUI HO,N-METHYL-1,2-BENZISOTHIAZOL-3(2H)-ONE(MBIT)NEW SOLUTION FOR IN-CAN PRESERVATION,[ONLINE],2011年 8月24日,P1-26,URL,http://www.dow.com/microbial/pdfs/mbit/Surface_Coatings_Association_Australia_Conference_MBIT-New_solutions_for_in-can_preservation.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/00−65/48
C02F 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩および1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを含む組成物であって、前記テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩:前記1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量比が1:2〜1:8である組成物。
【請求項2】
テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩および2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを含む組成物であって、前記テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩:前記2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量比が10000:1〜5000:1である組成物。
【請求項3】
水性系または含水系で微生物を抑制する方法であって、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物で前記系を処理する工程を含む、方法。
【請求項4】
前記水性系または含水系が石油生産またはガス生産で使用されるか存在する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記石油生産またはガス生産が、注入水および生成水、水攻および水圧破砕用の水源、池水、貯蔵タンク水、機能流体、掘削泥水、仕上げ流体および改修流体、水圧試験用流体、刺激流体、パッカー流体、破砕流体、油井およびガス井戸、分離システム、保存システムおよび運輸システム、石油パイプラインおよびガスパイプライン、石油容器およびガス容器、または燃料を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記水性系または含水系が、冷却水、空気洗浄器、熱交換器、ボイラー水、パルプおよび製紙工場水、他の産業プロセス水、バラスト水、廃水、金属加工液、ラテックス、塗料、コーティング、接着剤、インク、テ−プ目地材、顔料、水性スラリー、水泳プール、個人医療品、および洗剤などの家庭用品、膜および濾過システム、便器、織物、革および革製造システム、またはそれらと共に使用される系である、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記微生物が嫌気性細菌である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記微生物が好気性微生物である、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、殺生物組成物、ならびに水性系および含水系で微生物を抑制するためのその使用方法に関する。本組成物は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびこれらの混合物から選択されるイソチアゾリノン化合物ならびにヒドロキシメチル置換リン化合物を含む。
【背景技術】
【0002】
含水系を微生物汚染から保護することは、石油または天然ガスの生成事業をはじめとする多くの工業的プロセスの成功に重要である。石油およびガス事業において、好気性細菌と嫌気性細菌の双方による微生物汚染は、貯蔵タンクの酸化(主に嫌気性硫酸塩還元細菌(SRB)による)、設備およびパイプラインの金属面の微生物腐食(MIC)ならびに高分子添加物の分解などの深刻な問題を引き起こすおそれがある。
【0003】
殺生物剤は、一般的に、水性系および含水系で微生物の増殖を抑制するため用いられる。しかし、全ての殺生物剤が、特に低濃度で使用した場合、広範囲の微生物に対して効果的であるとは限らない。さらに、殺生物剤には、十分長期間にわたり微生物の抑制ができないものもあれば、長期にわたり効果的であるが短期間では効果がないものもある。
【0004】
これらの欠点のうち、多量の殺生物剤を使用することによって克服できるものもあるが、この選択によって、コストの増大、廃棄物の増加、および殺生物剤が処理媒体の所望の特性を妨げる可能性の増加といった独自の問題を引き起こすことになる。さらに、多量の殺生物剤を使用しても、市販の殺生物化合物の多くは短期と長期の双方の有効性を提供することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が取り組む課題は、広範囲の微生物に対して有効な殺生物剤の提供であり、本殺生物剤は、経済的および環境的に魅力のある程低量で使用することができ、かつ/または微生物の短期および長期の双方の抑制に有効である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の説明
一態様では、本発明は殺生物組成物を提供する。本組成物は、石油および天然ガス産業での応用を含む、水性系または含水系において微生物の増殖を抑制するのに有用である。本発明の組成物は、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C〜Cアルキル−またはC〜Cアルケニル−トリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択されるヒドロキシメチル置換リン化合物;ならびに1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびこれらの混合物から選択されるイソチアゾリノン化合物を含有する。
【0007】
第2の態様では、本発明は、水性系または含水系で微生物を抑制する方法を提供する。本方法は、本明細書中に記載するように、有効量の殺生物組成物で系を処理する工程を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
上記のように、本発明は、殺生物組成物、および微生物の抑制にそれらを用いる方法を提供する。本組成物は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびこれらの混合物から選択されるイソチアゾリノン化合物ならびにヒドロキシメチル置換リン化合物を含む。驚くべきことに、本明細書中に記載されるヒドロキシメチル置換リン化合物とイソチアゾリノン化合物を特定の重量比で組み合わせることで、水性媒体または含水媒体における微生物の抑制に使用した場合、相乗効果を示すことが発見された。すなわち、物質を組み合わせると、特定の使用濃度において個々の性能よりも期待される殺生物特性の向上が得られる。認められた相乗効果により、許容可能な殺生物特性を達成するために使用される物質の量を低減することができる。
【0009】
本発明の組成物は、相乗効果を示すことに加えて、微生物の短期(2時間以内)と長期(14日以上)の双方の抑制を行うのに有効である。これらの特性の結果、組成物は、短期と長期の双方にわたり微生物を抑制することができる殺生物剤を必要とする石油および天然ガス産業をはじめとする様々な応用での使用に十分に適している。
【0010】
本明細書の目的のために、「微生物」の意味は、細菌、菌類、藻類およびウィルスを含むが、これらに限定されない。用語「抑制」および「抑制する」は、それらの意味に、微生物の増殖または繁殖の阻害、微生物の死滅、消毒、および/または微生物の増殖からの保護を含むように広く解釈されるべきであるが、これらに限定されない。
【0011】
本発明の組成物は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびこれらの混合物から選択されるイソチアゾリノン化合物ならびにヒドロキシメチル置換リン化合物を含む。
【0012】
本発明で使用するヒドロキシメチル置換リン化合物は、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、C〜Cアルキル−またはC〜Cアルケニル−トリス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩、およびトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィンからなる群から選択される。そのような化合物は、一般に、非溶解形態または水溶液の双方で入手可能である。本発明の一実施形態では、ヒドロキシメチル置換リン化合物は、塩酸塩、リン酸塩または硫酸塩などの、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩である。好ましい化合物はテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩(THPS)である。THPSは、75重量%水溶液のAQUCAR(商標)THPS75としてダウ・ケミカル社から入手可能である。もちろん、上記のヒドロキシメチル置換リン化合物を1種以上組み合わせて本発明で使用することができ、その場合には、比および濃度は、全てのヒドロキシメチル置換リン化合物の総重量を用いて計算する。
【0013】
本発明のイソチアゾリノン化合物は、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよびこれらの混合物から選択される。いくつかの好ましい実施形態では、化合物は1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンである。1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンは市販のものでも、当業者により容易に調製されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、イソチアゾリノン化合物は1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンであり、本発明の組成物中のヒドロキシメチル置換リン化合物と1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量比は、50:1〜1:50、または20:1〜1:20、または10:1〜1:10、または8:1〜1:8である。いくつかの実施形態では、重量比は、約8:1〜4:1である。いくつかの実施形態では、重量比は、約1:2〜1:8である。
【0015】
いくつかの実施形態では、イソチアゾリノン化合物は2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンであり、本発明の組成物中のヒドロキシメチル置換リン化合物と2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンの重量比は、10000:1〜5000:1である。
【0016】
本発明の組成物は、界面活性剤、安定剤、解乳化剤、ポリマーなどの追加成分および/または追加の殺生物剤を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0017】
本発明の組成物は、水性系または含水系で微生物を抑制するのに有用である。いくつかの実施形態では、水性系または含水系は、少なくとも10重量パーセント、または少なくとも20重量パーセント、または少なくとも40重量パーセント、または少なくとも60重量パーセント、または少なくとも80重量パーセントの水を含む。微生物を抑制するために本発明の組成物が使用され得る水性系または含水系の非限定的な例として、石油および天然ガスでの応用における水性系または含水系が挙げられる。そのような系の例として、注入水および生成水、池水および貯蔵タンク水などの水攻および水圧破砕用の水源;掘削泥水、仕上げ流体または改修流体、水圧試験用流体、刺激流体、パッカー流体および破砕流体などの機能流体;油井およびガス井戸、分離システム、保存システムおよび運輸システム、石油パイプラインおよびガスパイプライン、石油容器およびガス容器、または燃料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明の組成物は、他の産業水性系および産業含水/汚染系、例えば冷却水、空気洗浄器、熱交換器、ボイラー水、パルプおよび製紙工場水、他の産業プロセス水、バラスト水、廃水、金属加工液、ラテックス、塗料、コーティング、接着剤、インク、テ−プ目地材、顔料、水性スラリー、水泳プール、個人医療品、および洗剤などの家庭用品、膜および濾過システム、便器、織物、革および革製造システム、またはそれらと共に使用される系において微生物を抑制するために使用してもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物で抑制される微生物はSRBなどの嫌気性である。いくつかの実施形態では、抑制される微生物はSRBなどの嫌気性であり、水性系は硫化物などの還元剤を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物により抑制される微生物は、酵母、好ましくはカンジダ・アルビカンス(Candida albican)である。
【0021】
当業者であれば、過度の実験を行わなくても、特定の用途で用いるべき組成物の濃度を容易に決めることができる。一例として、適切な活性濃度(ヒドロキシメチル置換リン化合物とイソチアゾリノン化合物の合計)は、殺生物剤を含む水性系または含水系の総重量に対して、通常1〜2500ppm、または5〜1000ppm、または10〜500ppm、または50〜300ppmである。石油およびガスでの応用のいくつかの実施形態では、組成物の活性濃度は、トップサイド処理(top side treatment)には、重量基準で約10〜約300ppm、好ましくは約30〜100ppm、ダウンホール処理(downhole treatment)には、約30〜約500ppm、好ましくは約50〜約250ppmの範囲であることが好ましい。
【0022】
本発明の組成物の成分は、水性系または含水系に別々に添加してもよく、あるいは添加する前にあらかじめ混合してもよい。当業者は、適切な添加方法を容易に決めることができる。組成物は、界面活性剤、イオン性/非イオン性ポリマーならびにスケールおよび腐食抑制剤、脱酸素剤などの他の添加剤、ならびに/または追加の殺生物剤と共に上記系で使用することができるが、これらに限定されない。
【0023】
特記しない限り、例えば「2〜10」のような数値域は、範囲を規定する数字(例えば2および10)を含む。
【0024】
特記しない限り、比、パーセントおよび部などは重量基準である。以下の実施例は発明を例示するものであり、その範囲を限定することを意図しない。特記しない限り、本明細書中で使用される比、パーセントおよび部などは重量基準である。
【実施例】
【0025】
以下の実施例において報告される相乗指数(synergy index)は以下の式を用いて計算される:
相乗指数=Ca/CA+Cb/CB
Ca:殺生物剤AをBと併用した場合、特定レベルの細菌の死滅に必要とされる殺生物剤Aの濃度
CA:殺生物剤Aを単独で使用した場合、特定レベルの細菌の死滅に必要とされる殺生物剤Aの濃度
Cb:殺生物剤BをAと併用した場合、特定レベルの細菌の死滅に必要とされる殺生物剤Bの濃度
CB:殺生物剤Bを単独で使用した場合、特定レベルの細菌の死滅に必要とされる殺生物剤Bの濃度
【0026】
相乗指数(SI)が1である場合は相加性を示し、相乗指数が1未満である場合は相乗効果を示し、相乗指数が1を超える場合は拮抗作用を示す。
【0027】
実施例1.テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩(THPS)と1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)の相乗効果
滅菌食塩水(水1L中、0.2203gのCaCl、0.1847gのMgSOおよび0.2033gのNaHCO)に、約10CFU/mLの黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)ATCC13048および大腸菌(Escherichia coli)ATCC8739を植菌する。その後、細胞浮遊液のアリコートに、THPS、BITおよびこれらの活性成分の組み合わせを特定の濃度で処理し、37℃で14日間培養する。培養24時間後、3日後および7日後、アリコートに、最終細菌濃度が10CFU/mLになるように同じ細菌の細菌懸濁液を再度接種する。殺菌効力は、アリコート中の99.9%の細菌が死滅する殺生物剤最低濃度を判定することにより、2時間後および14日後に測定する。その後、相乗指数を計算する。表1および表2に、処理2時間後および14日後における各殺生物剤およびそれらの組み合わせのそれぞれの効力、ならびに各組み合わせの得られた相乗指数をまとめる。
【0028】
表1.処理2時間後のTHPS、BIT、THPS/BIT組み合わせの殺菌効力、および得られた相乗指数
【0029】
【表1】
【0030】
表2.処理14日後のTHPS、BIT、THPS/BIT組み合わせの殺菌効力、および得られた相乗指数
【0031】
【表2】
【0032】
表1および表2に示すように、THPSとBITの組み合わせは短期と長期の処理期間の双方で供試細菌に対する相乗効果が認められる。
【0033】
実施例2.テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム硫酸塩(THPS)と2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(MBIT)の相乗効果
MBITとTHPSの相乗効果試験を、標準96ウェルマイクロタイタープレートアッセイを用いて、供試微生物が最適に成長するように設計された培地で行う。酵母(カンジダ・アルビカンス、ATCC番号10231)試験には、SDB(サブローデキストロースブロス)を使用する。殺生物剤混合物の最小阻止濃度(MIC)は、170uLのSDB、10μlの供試生物および10μlの各殺生物剤を96ウェルプレートの64に添加することにより行う。各々ウェルの殺生物剤および供試接種菌の最終濃度はこの総容積を基準に確立される。供試接種菌の最終濃度は約10cfu/mlである。この相乗効果研究で使用するMBITおよびTHPSの最高濃度は、それぞれ10ppmおよび4000ppmである。各殺生物剤の8つの連続2倍希釈液を自動リキッドハンドリングシステムを用いて調製する。第1の殺生物剤を水平方向からウェルプレートに添加し、プレートを90度回転させた後、第2の殺生物剤を添加する。カラム9および10は、個々の殺生物剤を各濃度レベルで試験し、相乗指数計算用の活性阻止終了点を得るために確保する。カラム11および12は、培地と供試生物のみを含むポジティブコントロールとして使用する。プレートは、25℃で48時間、またはコントロールウェルで増殖が認められるまで培養する。プレートは、増殖の有無を懸濁形成に基づいて評価し、最低通過濃度を記録する。
【0034】
相乗効果を示す2種の殺生物剤の比を表3に示す。大腸菌およびクロコウジカビ(Aspergillus niger)に対するMBITとTHPSの相乗効果は、試験した比では認められなかった。
【0035】
【表3】