(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る情報収集システムについて図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る情報収集システム1を含むネットワーク構成を示すブロック図である。情報収集システム1は、イベント情報生成装置1aとデータストック装置1bにより構成される。イベント情報生成装置1aとデータストック装置1bは、それぞれ共通のネットワークNと接続している。ネットワークNには1以上のデータ発生装置2とデータベース3が更に接続している。
【0022】
イベント情報生成装置1a、データストック装置1b、データ発生装置2及びデータベース3は、コンピュータを含み構成され、プロセッサ、アプリケーションが記憶されたHDDやRAM等のメモリ、ネットワークアダプタを備える。イベント情報生成装置1a及びデータストック装置1bは、ネットワークNに接続されたサーバやルータといった単一のコンピュータ又は複数台のコンピュータ要素の連携により構成される。データベース3は、情報収集システム1と一体又はネットワークN上に分散した別個のコンピュータ要素である。データ発生装置2は、工場やオフィスで稼動するFA等の設備を監視する機能を有するデバイスであり、例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、BCR、RFID、Pane CON、モバイル端末、ウェブカメラ、及び各種のセンサである。
【0023】
ネットワークNは、電気信号に変換されたデータやコマンドを送受信する通信インフラであり、IEEE802.3等の有線通信プロトコルや、IEEE802.11で規定される無線通信プロトコル、その他のプロトコルに準拠している。例えば、有線LAN網、無線LAN網、インターネット網、若しくは専用回線等の通信回線、又はこれらの複合である。
【0024】
このネットワークNは、物理的及び仮想的な複数のLANセグメントに分けられ、データ発生装置2、イベント情報生成装置1a、データストック装置1b、及びデータベース3がそれぞれ異なるセグメントに属するように設置されていてもよい。但し、データ発生装置2とデータストック装置1b、データベース3とデータストック装置1b、データストック装置1bとイベント情報生成装置1aとがデータの送受信可能となっている必要がある。
【0025】
ネットワークNにおいて、データ発生装置2は、現場データ100を発生させる。現場データ100は、データ発生装置2が監視対象とする設備の観測結果である。例えば、現場データ100は、温度値や稼働状況のような観測内容を示す観測データやステータス情報、及び観測エラーを示すエラー情報等である。現場データ100は、データ発生装置2による各種事象の検知又は定期的な観測により生成され、画像データ、音声データ、文字列データ等のデータ発生装置2に依存する各種のフォーマット形式を有し、またデータ発生装置2に依存する圧縮形式等の各種の表現様式を有する。この現場データ100は、ユーザ入力される場合もある。モバイル端末がネットワークNに接続され、当該モバイル端末をユーザインターフェースとして用いて、現場データ100が入力される。
【0026】
データ発生装置2は、情報収集システム1のIPアドレス及び情報収集アプリケーションのポート番号を含むTCPやIPのヘッダを現場データ100に付加し、ネットワークNに送出する。送出タイミングは、イベント発生時であり、或いはシステムの利用を想定して一日間隔等の所定期間毎である。
【0027】
情報収集システム1は、現場データ100からイベント情報400を生成する。イベント情報400は、
図2に示すように、現場データ100と各種の補足情報200を1つのデータセットに纏めて成り、すなわち現場データ100及び複数種類の補足情報200のデータを一繋ぎにした可変長データであり、例えばXML言語により記述される。補足情報200は、現場データ100の種類及び内容に応じて加えられる。イベント情報400に纏められる現場データ100は、一種又は複数種であり、或いは発生時刻の異なる同種又は異種である。
【0028】
補足情報200は、現場データ100の発生というイベントの背景情報を主内容とする。背景情報とは、イベントを会社等の組織の現場、管理、経営等の各階層で解析及び評価するために必要な情報であり、現場データ100の発生を招いた原因を直接的又は間接的に示し、現場データ100と相俟って現場データ100の内容のみでは導くことのできない意味内容をイベント情報400に付与する。例えば、補足情報200は、現場データ100の加工に必要な加工支援材料、現場データ100の比較対象となる比較対象材料、解析に影響を与える解析支援材料、解析結果の評価に影響を与える評価支援材料を示す。
【0029】
図3は、データストック装置1bの詳細な機能構成を示すブロック図である。
図4は、イベント情報生成装置1aの詳細な機能構成を示すブロック図である。また、
図5は、情報収集システム1のメモリ領域を示す模式図である。
図3に示すように、データストック装置1bは、テンポラリメモリ10、管理領域11、管理先決定部12、変化監視部16、情報取得部13、及び送受信部14を備える。
図4に示すように、イベント情報生成装置1aは、送受信部17、エレメントバッファメモリ15、情報格納制御部18及びイベント生成部19を備える。
【0030】
図5に示すように、このデータストック装置1bは、現場データ100及び補足情報200を情報の出所に応じて管理領域11にストックしておき、規定の監視対象メモリ特定領域11aを監視して、監視対象メモリ領域11aに変化があった場合、規定の取得対象メモリ領域11bにストックされた現場データ100と補足情報200を取り出してイベント生成装置1aに渡す。イベント生成装置1aは、渡された現場データ100と補足情報200からイベント情報400を生成する。変化とは、データが未だ格納されていないメモリ領域11aへのデータの格納、格納されているデータの変化、格納されていたデータの消去を指す。
【0031】
データストック装置1bにおいて、テンポラリメモリ10は、データ発生装置2が発生させた現場データ100のキュー、及びデータベース3に蓄積された補足情報200のキューであり、管理領域11への移動を待つためのメモリ領域である。各管理領域11は、メモリ領域であり、データ発生装置2ごと、及び補足情報200の種類ごとに予め確保され、テンポラリメモリ10から現場データ100と補足情報200が移される。各管理領域11の一部は、取得対象メモリ領域11bとして特定される。
【0032】
管理先決定部12は、プロセッサを含み構成され、テンポラリメモリ10に記憶されている現場データ100及び補足情報200を各管理領域11に仕分ける。例えば、管理先決定部12は、現場データ100の出所をヘッダ等に付加された送信元IPアドレスやポート番号により特定し、或いはケーブルの接続口により特定する。そして、管理先決定部12は、その情報の出所に応じた管理領域11に現場データ100を記憶させる。また、例えば、管理先決定部12は、データベース3から補足情報200をリトリーブする際に、その補足情報200の出所を情報の種類により特定し、その情報の出所に応じた管理領域11に補足情報200を記憶させる。
【0033】
変化監視部16は、プロセッサとメモリを含み構成され、監視対象メモリ領域11aに格納されているデータの変化を監視する。この変化監視部16は監視対象情報記憶部16aを備えている。この監視対象情報記憶部16aは、変化の監視対象となっているデータを識別する監視対象情報16bを記憶している。変化監視部16は、監視対象情報16bで識別されるデータの変化を監視する。監視対象情報16bは、例えば監視対象メモリ領域11aのアドレスである。変化監視部16は、監視対象情報16bが示すアドレスのメモリ領域に格納されたデータの変化を監視している。
【0034】
情報取得部13は、プロセッサを含み構成され、監視対象メモリ領域11aに格納されているデータに変化が生じたタイミングで、現場データ100と補足情報200を取得する。この情報取得部13は、取得対象領域記憶部13aを備えている。取得対象領域記憶部13aは、メモリを含み構成され、取得対象となっているデータを識別する取得対象情報13bを記憶している。取得対象情報13bは、例えば、取得対象となっているデータが格納されている取得対象メモリ領域11bのアドレスであり、同じイベント情報に纏める現場データ100と複数の補足情報200の各アドレスを記憶している。
【0035】
データストック装置1bの送受信部14は、主にネットワークアダプタを含み構成され、ネットワークNを介して情報取得部13が取得した現場データ100と複数の補足情報200をイベント生成装置1aに送信する。イベント情報生成装置1aの送受信部17は、主にネットワークアダプタを含み構成され、ネットワークNを介してデータストック装置1bが送信した現場データ100と複数の補足情報を受信する。
【0036】
イベント生成装置1aにおいて、エレメントバッファメモリ15は、メモリを含み構成され、情報取得部13によって取得された現場データ100及び複数の補足情報200を記憶する。同じ取得対象情報13b由来の現場データ100及び複数の補足情報200は、同じフォルダに纏められて記憶される。情報格納制御部18は、プロセッサを含み構成され、エレメントバッファメモリ15にフォルダを生成して、同じ取得対象情報13b由来の現場データ100及び複数の補足情報200を同じフォルダに格納する。
【0037】
イベント生成部19は、プロセッサを含み構成され、エレメントバッファメモリ15の現場データ100及び補足情報200からイベント情報400を生成する。イベント生成部19は、同じフォルダに記憶された複数の現場データ100及び補足情報200を1つのイベント情報400に纏める。具体的には、イベント生成部19は、同じフォルダに記憶された複数の現場データ100及び補足情報200を一繋ぎのデータセットに編集し、そのデータセットをイベント情報400とする。
【0038】
(動作)
この情報収集システム1の動作について
図6乃至9に基づき詳細に説明する。
図6は、現場データ100の管理先決定動作を示すフローチャートである。
図7は、補足情報200の管理先決定動作を示すフローチャートである。
図8は、監視対象のデータの変化に応答して現場データ100と補足情報200を取得する動作を示すフローチャートである。
図9は、現場データ100及び補足情報200からイベント情報400を生成する動作を示すフローチャートである。
【0039】
(現場データ100の管理先決定)
図6に示すように、データ発生装置2で現場データ100が発生すると(ステップS01)、データ発生装置2は、情報収集システム1に宛てて現場データ100を送信する(ステップS02)。情報収集システム1は、受信した現場データ100をテンポラリメモリ10にエンキューする(ステップS03)。
【0040】
管理先決定部12は、定期的或いは即時にテンポラリメモリ10から現場データ100をデキューすると(ステップS04)、現場データ100の情報の出所を特定し(ステップS05)、情報の出所に応じた管理領域11にデキューした現場データ100を記憶させる(ステップS06)。
【0041】
情報の出所は、例えば、現場データ100に付加された送信元アドレスやポート番号やソケット、或いはケーブルの接続口等により特定される。管理領域11は、送信元アドレス、ポート番号、ソケット、或いはケーブルの接続口で区別される。管理先決定部12は、送信元アドレス、ポート番号、ソケット、或いはケーブルの接続口に応じた管理領域11に現場データ100を記憶する。
【0042】
(補足情報200の管理先決定)
図7に示すように、データベース3に補足情報200が新規に登録されると(ステップS11)、データベース3からは其の新規に登録された補足情報200がテンポラリメモリ10にエンキューされる(ステップS12)。補足情報200のエンキューは、登録に応答して即時のタイミングで行ってもよいし、定期的にまとめて行うようにしてもよい。
【0043】
管理先決定部12は、テンポラリメモリ10から補足情報200をデキューすると(ステップS13)、補足情報200の情報の種類を特定し(ステップS14)、種類情報320に応じた管理領域11にデキューした補足情報200を記憶させる(ステップS15)。例えば、補足情報200はデータベース3上の属性値により特定される。管理領域11は、この属性値で区別される。管理先決定部12は、属性値に応じた管理領域11に補足情報200を記憶する。
【0044】
(情報取得)
図8に示すように、変化監視部16は、監視対象情報記憶部16aから監視対象情報16bを読み出す(ステップS21)。監視対象情報16bを読み出すと、変化監視部16は、監視対象情報16bが示すデータを保持する(ステップS22)。そして、変化監視部16は、監視対象情報16bが示すデータを定期的に読み出し(ステップS23)、読み出したデータと保持しているデータの相違を判断する(ステップS24)。
【0045】
読み出したデータと保持しているデータが同一であれば(ステップS24,Yes)、変化監視部16は、ステップS23に戻り、定期的にステップS24の判断を繰り返す。一方、読み出したデータと保持しているデータが相違していれば(ステップS24,No)、情報取得部13は、取得対象領域記憶部13aから取得対象情報13bを読み出す(ステップS25)。取得対象情報13bを読み出すと、情報取得部13は、取得対象情報13bが示す管理領域11に記憶されている現場データ100と補足情報200を読み出す(ステップS26)。
【0046】
そして、情報取得部13は、読み出した現場データ100と補足情報200に同一の識別符号を付し(ステップS27)、送受信部14は、情報取得部13によって読み出された現場データ100と補足情報200をネットワークNを介してイベント情報生成装置1aに送信する(ステップS28)。
【0047】
(イベント情報400の生成)
図9に示すように、イベント生成装置1aでは、送受信部17によってデータストック装置1bから送信された現場データ100と補足情報200を受信する(ステップS31)。情報格納制御部18は、同じ識別符号が付された現場データ100と補足情報200をエレメントバッファメモリ15の同一フォルダに格納する(ステップS32)。イベント生成部19は、エレメントバッファメモリ15に現場データ100と補足情報200が格納されると、同じフォルダに格納されている現場データ100と補足情報200を一繋ぎのデータセットに編集し、イベント情報400を生成する(ステップS33)。
【0048】
(作用)
図10は、情報収集システム1の全体動作を示すフローチャートである。
図10に示すように、データストック装置1bには、データ発生装置2が発生させる現場データ100が格納され(ステップS41)、データベース3から補足情報200が格納される(ステップS42)。データストック装置1bは、監視対象メモリ領域11aを監視し(ステップS43)、監視対象メモリ領域11aのデータが変化すると(ステップS43,Yes)、取得対象メモリ領域11bの現場データ100と補足情報200を読み出して(ステップS44)、イベント情報生成装置1aに送信する(ステップS45)。
【0049】
イベント情報生成装置1aは、現場データ100と補足情報200を受信すると(ステップS46)、受信した現場データ100と補足情報200を一繋ぎのデータセットに纏めてイベント情報400を生成する(ステップS47)。このように、イベント情報生成装置1aは、現場データ100と補足情報200の収集動作を行うことなく、イベント情報生成装置1aからは現場データ100と補足情報200が自発的に飛び込んでくるように見える。
【0050】
(適用例1)
以下、この情報収集システム1の作用を第1の適用例に基づき説明する。ネットワークNには、データ発生装置2として温度センサが接続されており、温度センサは、現場データ100として、コンベアの表面温度の数値データを定期的に出力する。
図11に示すように、この数値データには、現場データ100が発生した時刻を示すタイムスタンプデータが付帯している。温度センサが出力した現場データ100は、テンポラリメモリ10にてエンキューされ、管理先決定部12により、温度センサと1対1で対応する「A」という管理領域11に移される。
【0051】
また、データベース3には、コンベアを識別する文字列データが補足情報200として記憶されている。また、データベース3には、コンベアの管理責任者を識別する文字列データが記憶されている。このコンベアを識別する補足情報200と管理責任者を識別する補足情報200は、テンポラリメモリ10にてエンキューされる。管理先決定部12は、コンベアを識別する補足情報200と1対1で対応する「B」という管理領域11にコンベアを識別する補足情報200を移す。また、管理先決定部12は、管理責任者を識別する補足情報200と1対1で対応する「C」という管理領域11に管理責任者を識別する補足情報200を移す。
【0052】
そして、監視対象情報記憶部16aには、「A」という管理領域11に移された現場データ100のタイムスタンプデータの更に日付部分に相当するアドレスが監視対象情報16bとして予め記憶されている。取得対象情報記憶部13aには、「A」という管理領域11と「B」という管理領域11と「C」という管理領域11を示すアドレスが取得対象情報13bとして記憶されている。
【0053】
監視対象情報16bが示す日付データが「1月1日」を示している場合、変化監視部16は、「1月1日」というデータを保持し、監視対象情報16bが示す監視対象メモリ領域11aのデータと比較する。
図12に示すように、日付が「1月2日」に変わり、その後、温度センサが新たな現場データ100を発生させると、「A」という管理領域11に、「1月2日」の日付を有する現場データ100に更新される。
【0054】
この更新された現場データ100により、監視対象メモリ領域11aのデータが「1月2日」となり、変化監視部16が保持していた「1月1日」のデータと異なる。そのため、
図13に示すように、情報取得部13は、取得対象情報記憶部13aを参照して、「A」という管理領域11と「B」という管理領域11と「C」という管理領域11に格納されている全てのデータを読み出す。すなわち、情報取得部13は、温度センサが出力した「1月2日」付けのコンベアの表面温度の数値データ、コンベアを識別する情報、及び管理責任者を識別する情報を複数の現場データ100及び複数の補足情報200として読み出す。
【0055】
送受信部14は、情報取得部13が取得した複数の現場データ100及び複数の補足情報200をイベント情報生成装置1aに送信する。イベント情報生成装置1aには、「1月2日」付けのコンベアの表面温度の数値データ、コンベアを識別する情報、及び管理責任者を識別する情報が複数の現場データ100及び複数の補足情報200として同一フォルダに格納されることとなる。
【0056】
イベント情報生成装置1aは、この同一フォルダに格納された「1月1日」付けのコンベアの表面温度の数値データの全て、コンベアを識別する情報、及び管理責任者を識別する情報からイベント情報400を作成する。すなわち、イベント情報400には、1月1日に定期的に発生したコンベアの表面温度の数値データの1日分と、コンベアを識別する情報と、この日のコンベアの管理責任者を識別する情報が一繋ぎのデータセットにされて含まれる。
【0057】
(適用例2)
この情報収集システム1の第2の適用例を
図14乃至16に基づき説明する。ネットワークNには、データ発生装置2としてカメラが接続されている。カメラは、現場データ100として、製造物を撮像した画像データを定期的に出力する。
図14に示すように、この画像データは、テンポラリメモリ10にてエンキューされ、管理先決定部12により、温度センサと1対1で対応する「A」という管理領域11に移される。
【0058】
また、データベース3には、製品の型番と製造物のロットナンバーが補足情報200として記憶されている。製品の型番を示す補足情報200とロットナンバーを示す補足情報200は、テンポラリメモリ10にてエンキューされる。管理先決定部12は、製品の型番を示す補足情報200を「B」という管理領域11に移す。また、管理先決定部12は、ロットナンバーを示す補足情報200を「C」という管理領域11に移す。
【0059】
そして、監視対象情報記憶部16aには、「C」という管理領域11のアドレスが監視対象情報16bとして予め記憶されている。取得対象情報記憶部13aには、「A」という管理領域11と「B」という管理領域11と「C」という管理領域11を示すアドレスが取得対象情報13bとして記憶されている。
【0060】
監視対象情報16bが示すテキストデータが「No.1」を示している場合、変化監視部16は、「No.1」というデータを保持し、監視対象情報16bが示す監視対象メモリ領域11aのデータと比較する。
図15に示すように、ロットナンバーが「No.2」に変わると、「C」という管理領域11に記憶されている補足情報200が「No.2」に更新される。
【0061】
この更新により、監視対象メモリ領域11aのデータが「No.2」となり、変化監視部16が保持していた「No.1」のデータと異なる。そのため、
図16に示すように、情報取得部13は、取得対象情報記憶部13aを参照して、「A」という管理領域11と「B」という管理領域11と「C」という管理領域11に格納されている全てのデータを読み出す。すなわち、情報取得部13は、ロットナンバーがNo.1の間に撮像された各製造物の画像データの全て、製品の型番を識別する情報、及びロットナンバーを識別する情報を複数の現場データ100及び複数の補足情報200として読み出す。
【0062】
送受信部14は、情報取得部13が取得した複数の現場データ100及び複数の補足情報200をイベント情報生成装置1aに送信する。イベント情報生成装置1aには、ロットナンバーがNo.1である製造物の各画像データ、ロットナンバーがNo.1を示す情報、及び製造物の型番が複数の現場データ100及び複数の補足情報200として同一フォルダに格納されることとなる。イベント情報生成装置1aは、この同一フォルダに格納された現場データ100の全てと補足情報200の全てを一繋ぎのデータセットにしてイベント情報を生成する。
【0063】
(適用例3)
監視対象情報16bには複数の情報が含まれ、監視対象メモリ領域11aは複数であってもよい。例えば、監視対象情報16bは、製造物のロットナンバーを示す補足情報200が格納される監視対象メモリ領域11aと、製造物に組み付けられる部品の製造元を示す補足情報200が格納される監視対象メモリ領域11aを示す。変化監視部16は、製造物のロットナンバーと製造物に組み付けられる部品の製造元の両補足情報200を監視し、一方に変化があると、情報取得部13が取得対象情報13bで定められたデータを収集し、イベント生成部19によりイベント情報400が生成される。
【0064】
(効果)
このように、この情報収集システム1は、データストック装置1bとイベント情報生成装置1aとをネットワークNを介して接続して備えるようにした。データストック装置1bは、ネットワークNを流れる現場データ100や補足情報200等のデータをデータの種類に応じて規定のメモリ領域に記憶していくデータ記憶手段を備える。データ記憶手段は本実施形態においてはメモリであり、データ記憶手段は本実施形態において管理領域11である。
【0065】
データストック装置1bには、管理領域11のデータ変化を監視する変化監視部16と、データ変化が検知されると、データ記憶手段の規定のメモリ領域に記憶されている複数のデータを収集する情報取得部13とを備えるようにした。情報取得部13による取得元である規定のメモリ領域は、本実施形態において規定の管理領域11である。そして、データストック装置1bは、情報取得部13が収集した複数のデータをイベント情報生成装置1aに送信するようにした。
【0066】
これにより、イベント情報生成装置1aは、データストック装置1bから受信した複数のデータを一繋ぎのデータセットに纏めてイベント情報を生成するイベント生成部19を備えればよい。すなわち、データストック装置1bというデータサーバに対して、ストックされているデータに関して逐一の問い合わせや検索要求や送信要求を発しなくともよく、イベント情報生成装置1aからは、データストック装置1bからイベント情報400を生成するために必要十分なデータが自立的に飛び込んできているように見える。従って、問い合わせや検索要求や送信要求が不要になることによる、イベント情報生成装置1aの負荷軽減及びネットワークNのトラフィック軽減を達成することができる。
【0067】
本実施形態では、現場データのうちの規定のメモリ領域に格納されたタイムスタンプデータのデータ変化、製品のロットナンバーを示す補足情報200のデータ変化の監視を例示したが、例えば製品の型番をデータ変化の監視対象とする等のように、これらに限られず、適宜採用することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態に係る情報収集システムについて図面を参照して詳細に説明する。第1の実施形態と同一構成及び同一機能については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0069】
図17に示すように、この情報収集システム1は辞書データ300を予め備えている。
図18に示すように、辞書データ300は、イベント情報400の各種モデル310を記録している。各モデル310には、種類情報320が列挙されている。種類情報320は、イベント情報400に含有させる情報の種類を示す。情報収集システム1は、一つのモデル310に列挙された種類情報320に対応する現場データ100又は補足情報200を一つのイベント情報400に纏めていく。
【0070】
図19は、情報収集システム1の詳細構成を示すブロック図である。情報収集システム1は、イベント情報生成装置1a、データストック装置1b及び辞書編集装置1cで構成される。
【0071】
この辞書編集装置1cは、
図20に示すように、辞書データ記憶部20と編集部21を備える。辞書データ記憶部20は、主にメモリで構成され、辞書データ300を記憶している。編集部21は、主にプロセッサとネットワークアダプタで構成され、収集要求者のコンピュータ端末から編集リクエストを受信し、編集リクエストに従って辞書データ300を編集する。この編集部21は、モデル310の追加、削除、モデル310に列挙する種類情報320の追加、削除の編集リクエストを受信する。
【0072】
図21に示すように、イベント情報生成装置1aは、更に辞書データ記憶部22と収集リクエスト部23を備える。辞書データ記憶部22は、メモリを含み構成され、辞書データ300を記憶する。この辞書データ300は、辞書編集装置1cで予め編集されて保持されている。イベント情報生成装置1aは、辞書編集装置1cの辞書データ300を辞書データ記憶部22にコピーしておく。
【0073】
収集リクエスト部23は、プロセッサとネットワークアダプタを含み構成され、現場データ100と補足情報200の収集をデータストック装置1bに依頼する。収集リクエスト部23は、辞書データ300のモデル310に列挙されている種類情報320を読み出してデータストック装置1bに送信する。
【0074】
図22に示すように、データストック装置1bは、収集制御部24と手引記憶部25を更に備えている。手引記憶部25は、メモリを含み構成され、手引500を記憶している。
図23に示すように、手引500は、種類情報320と取得対象情報13bとを1対1で関連づけたデータベースである。収集制御部24は、イベント情報生成装置1aから受信した種類情報320に対応する取得対象情報13bを読み出し、取得対象情報記憶部13aに記憶させる。情報取得部13は、変化監視部16がデータ変化を検知すると、この収集制御部24が読み出した取得対象情報13bに従って現場データ100と補足情報200を取得する。
【0075】
(動作)
第2の実施形態に係る情報収集システム1に特有の動作について説明する。
図24は、収集のためのセッティング動作を示すフローチャートである。
図24に示すように、収集リクエスト部23は、辞書データ記憶部16に記憶されている辞書データ300からイベント情報400のモデル310を読み出す(ステップS51)。モデル310を読み出し後、情報格納制御部18は、モデル310に対応した単一のフォルダをエレメントバッファメモリ15に作成する(ステップS52)。収集リクエスト部23は、読み出したモデル310から種類情報320を読み出し(ステップS53)、データストック装置1bに送信する(ステップS54)。
【0076】
データストック装置1aでは、収集制御部24が種類情報320に対応する取得対象情報13bを手引500から読み出し(ステップS55)、収集対象情報13bを収集対象情報記憶部13aに記憶させる(ステップS56)。
【0077】
(作用)
図25に第2の実施形態の情報収集システム1の具体的な動作例を示す。辞書データ300の1つのモデル310には、コンベアの表面温度を示す種類情報320と、コンベアの識別を示す種類情報320と、管理責任者の識別を示す種類情報320が列記されている。収集リクエスト部23は、これら種類情報320を読み出してデータストック装置1bに送信する。
【0078】
手引500には、コンベアの表面温度を示す種類情報320に対応し、コンベアの表面温度を示す現場データ100の管理領域11を示す「A」の取得対象情報13bが記憶されている。手引500には、コンベアの識別を示す種類情報320に対応し、コンベアを識別する補足情報200の管理領域11を示す「B」の取得対象情報13bが記憶されている。手引500には、管理責任者の識別を示す種類情報320に対応し、コンベアの管理責任者を示す補足情報200の管理領域11を示す「C」の取得対象情報13bが記憶されている。
【0079】
収集制御部24は、手引500を参照し、「A」の管理領域11を示す取得対象情報13b、「B」の管理領域11を示す取得対象情報13b、「C」の管理領域11を示す取得対象情報13bを読み出して、取得対象情報記憶部13aに記憶させる。管理対象メモリ領域11aのデータが例えば「×」から「○」へ変化し、この変化を変化監視部16が検知する。
【0080】
情報取得部13は、変化監視部16の検知により、「A」の管理領域11からコンベアの表面温度を示す現場データ100を収集し、「B」の管理領域11からコンベアを識別する補足情報200を収集し、「C」の管理領域11からコンベアの管理責任者を示す補足情報200を収集する。そして、送受信部14は、これら現場データ100と補足情報200をイベント情報生成装置1aに送信する。
【0081】
イベント情報生成装置1aでは、エレメントバッファメモリ15の同一フォルダに、コンベアの表面温度を示す現場データ100、コンベアを識別する補足情報200、及びコンベアの管理責任者を示す補足情報200が格納される。イベント生成部19は、エレメントバッファメモリ15から、これらデータを取り出し、コンベアの表面温度を示す現場データ100、コンベアを識別する補足情報200、及びコンベアの管理責任者を示す補足情報200を1つのデータセットに纏めて、辞書データ300のモデル310に当てはまるイベント情報400を生成する。
【0082】
(効果)
このように、本実施形態に係る情報収集システム1において、イベント情報生成装置1aは、イベント情報400を構成する複数のデータの種類を定義した辞書データ300を辞書データ記憶部22に記憶しておき、この複数のデータの種類情報320をデータストック装置1bに予め送信しておくようにした。データストック装置1bは、種類情報320で識別されるデータが格納されるメモリ領域の取得対象情報13bを記憶する手引500を記憶しておく。情報取得部13は、手引500を参照して、種類情報320に対応する取得対象情報13bに基づき、現場データ100と補足情報200を収集するようにした。これにより、ユーザが所望する現場データ100と補足情報200を纏めたイベント情報400を自在に生成することができ、利便性が向上する。