特許第6204941号(P6204941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204941気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204941
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20170914BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01N15/06 D
   G01N1/10 E
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-117057(P2015-117057)
(22)【出願日】2015年6月9日
(65)【公開番号】特開2017-3402(P2017-3402A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2016年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】596040828
【氏名又は名称】株式会社田中電気研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】田中 敏文
【審査官】 東松 修太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−021824(JP,A)
【文献】 米国特許第6285291(US,B1)
【文献】 特開昭64−015634(JP,A)
【文献】 特開昭61−178645(JP,A)
【文献】 特開2010−249611(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/121192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00−15/14
G01N 1/00− 1/44
G01N 21/00−21/01
G01N 21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道内においてミストとダストが吸着、共存した白濁排気ガスを前記煙道外に吸引サンプルリングすることなく、白濁排気ガス中のダスト濃度を前記煙道内において直接測定するダスト濃度計であって、
前記煙道内で測定対象白濁排気ガスを取り込み、ミストを気化させる気化装置と、
前記ミストが気化している領域に光を照射する光照射器と、
前記光がミスト除去されたダストに反射した散乱光を検出する散乱光検出器と、
前記散乱光検出器によって検出された散乱光強度を基に前記白濁排気ガス中のダスト濃度を求める演算装置と、
前記気化装置の前記測定対象白濁排気ガスの取り込み口付近に間欠的にエアーブロを発生させる間欠エアーブロ機構と、
からなることを特徴とする気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
【請求項2】
前記気化装置が、測定対象白濁排気ガスを前記煙道内の白濁排気ガスの流れに沿って通す通路を内部に備え左右側面が開口した内筒と、前記内筒に外周に巻き付けられたシースヒータと、前記内筒及びシースヒータを収納する第一容器と、
からなり、
前記第一容器を前記煙道内部に固定されることを特徴とする請求項1に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
【請求項3】
前記第一容器の白濁排気ガスの取り入れ口側である貫通孔の内側の縁は内側がより多く切り取られた傾斜を形成し、前記縁の半円部分の傾斜にエアー放出穴を形成し、前記エアー放出穴から対向する傾斜まで放出される間欠エアーでエアーブロを形成することを特徴とする請求項2に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
【請求項4】
前記間欠エアーブロ機構が、エアー供給元と、前記エアー供給元と前記第一容器の白濁排気ガスの取り入れ口側の側壁内部に穿設され前記エアー放出穴に連通する第一流路を連絡する配管と、前記配管に設けられた電磁バルブとからなり、前記電磁バルブが、タイマー或いは前記演算装置に格納されたプログラムに従って開閉制御されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
【請求項5】
前記エアーブロのタイミングに連動して、前記間欠エアーブロ直前のダスト濃度を記録し、表示部に、エアーブロ中のダスト濃度として表示し、連続表示することを特徴とする請求項4に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダスト濃度計に関し、より詳しくは煙道内が露点以下となってミスト(液滴粒子)とダスト(固体粒子)が吸着、共存し、白濁している白濁排気ガス中のダスト濃度を煙道内において、連続的かつ正確に、また長期測定できる、白濁排気ガスの気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計に関する。
【背景技術】
【0002】
各種工場の煙道から排出される排気ガスには、硫黄酸化物や窒素酸化物などの有害物質が大量に含まれる。そのため排気ガス経路に脱硫装置や脱硝装置などの排気ガス処理装置の設置が義務付けられている。
【0003】
一方、ダストについても所定の排出濃度規制が設けられている。例えば、製紙工場などでは上述の排気ガス処理装置で使用したミストが白煙となって煙突から排出されている。その白煙を見た周辺住民から規制値以上のダストを排出しているのではないかという苦情や不安が工場に寄せられることが多い。
【0004】
したがって、各種工場では、白煙が規制基準以上のダスト排出によるものか、ミストによるものかを正確に把握し、ダスト排出に関わる規制を遵守していることを常時確認する必要がある。
【0005】
ダスト濃度計として、従来から光散乱式ダスト濃度計が知られている。従来の光散乱式ダスト濃度計は、リアルタイムに排気ガス中のダスト濃度を連続して測定できるが、ミストを用いる排気ガスの脱硫装置などの下流においては、排気ガスは露点以下の白濁排気ガスとなり、ダストとともに大量のミストが含まれるため、ミストの影響により正確なダスト濃度の測定は原理的に困難であった。
【0006】
他方、煙道に白濁排気ガスの一部を採取するサンプリング管 (吸引通路)を設け、排気ガスを煙道外の検出室に導入しミストの粒径分布を測定するミスト粒径測定装置が公開されている(特許文献1)。
【0007】
特許文献1に記載のミスト粒径分布測定装置は、検出室4の上流端でダストとミストの粒径分布を連続的に光学式センサ(光源6、集光レンズ7、受光器10)で測定し、その光学式センサ下流では検出室4を通過する白濁排気ガスに加熱光線を照射(加熱装置15、集光レンズ16)してミストを気化させ、さらにその照射部下流ではミスト気化後のダストの粒径分布を光学式センサ(光源8、集光レンズ9、受光器11)で測定する。そして、演算機12、13及び比較解析器14によって、測定したミストの気化前後の粒径分布を比較し、ミストの粒径分布を連続的に測定する。
【0008】
しかしながら、特許文献1のミスト粒径分布測定装置によれば、ミストの粒径分布を測定することはできるが、ダスト濃度は測定できない。また、当該装置では、一定の長さ、小口径のサンプリング管を使用するため、ダストやミストがサンプリング管内に沈着、付着し、それによりサンプリング管の閉塞が起き、煙道から排出される白濁排気ガスを連続して正確にサンプリング管を通して検査室4に採取することが困難であった。
【0009】
したがって、煙道から排出される白濁排気ガス中のダスト濃度を正確に測定することができず、しかも長期間にわたる測定は不可能であった。
【0010】
そこで、発明者は、煙道内の白濁排気ガスの一部を煙道外の検査室に採取するためのサンプリング管を用いることなく、直接煙道内において、連続的かつ正確で、さらに長期間、白濁排気ガス中のダクト濃度を測定できる光散乱式ダスト濃度計を発明した(特許文献2)。
【0011】
特許文献1の発明は、図2に示すように、煙道6内においてミスト10とダスト11が吸着、共存した白濁排気ガスを前記煙道6外に吸引サンプルリングすることなく、前記白濁排気ガス中のダスト濃度を前記煙道6内において直接測定するダスト濃度計であって、前記煙道6内に加熱光3aを収束させ白濁排気ガス中のミスト10を気化させた瞬間加熱域7を形成する瞬間加熱器3と、前記瞬間加熱域7の前記白濁排気ガスの流れ方向直下流に前記加熱光3aと異なる波長の計測光4aを照射する光照射器4と、前記計測光4aが前記瞬間加熱域7を経たダスト11に反射することにより散乱した散乱光4bを検出する散乱光検出器5と、前記白濁排気ガスの流れ方向に沿って前記煙道6の同一側面に前記瞬間加熱器3、前記光照射器4、前記散乱光検出器5の順で配列させた上でまとめて収納するボックス1aと、前記散乱光検出器5によって検出された散乱光強度を基に前記白濁排気ガス中のダスト濃度を求める演算装置12と、からなり、前記ボックス1aを前記煙道に接続する接続管の1のフランジに接続したことを特徴とする光散乱式ダスト濃度計1というものである。
【0012】
そして、特許文献2の出願時には、煙道6に内部に挿入した光散乱式ダスト濃度計1は高温になることから、白濁排気ガス中の水蒸気ミストは加熱されてドライ状態になると考えており、光散乱式ダスト濃度計1のダスト汚れについて、特段の防止機構を備えていなかった。
【0013】
しかしながら、光散乱式ダスト濃度計1を実際に白濁排気ガスが流れる煙道に取り付けてフィールドテストを実施したところ、光散乱式ダスト濃度計1の白濁排気ガス入り口付近は低温白濁排気ガスが導入されるために高温にはならなかった。そのため水蒸気化したミスト10が光散乱式ダスト濃度計1の入口付近に凝縮し、ドレンとして溜まることで、ダスト11の付着及び成長の恐れが予見された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭64−15634号公報
【特許文献2】特許第5453607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明は、煙道内の白濁排気ガスの一部を煙道外の検査室に採取するためのサンプリング管を用いることなく、直接煙道内において、連続的かつ正確で、さらに長期間、白濁排気ガス中のダクト濃度を測定できる、白濁排気ガスの気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するため、
(1)
煙道内においてミストとダストが吸着、共存した白濁排気ガスを前記煙道外に吸引サンプルリングすることなく、白濁排気ガス中のダスト濃度を前記煙道内において直接測定するダスト濃度計であって、
前記煙道内で測定対象白濁排気ガスを取り込み、ミストを気化させる気化装置と、
前記ミストが気化している領域に光を照射する光照射器と、
前記光がミスト除去されたダストに反射した散乱光を検出する散乱光検出器と、
前記散乱光検出器によって検出された散乱光強度を基に前記白濁排気ガス中のダスト濃度を求める演算装置と、
前記気化装置の前記測定対象白濁排気ガスの取り込み口付近に間欠的にエアーブロを発生させる間欠エアーブロ機構と、
からなることを特徴とする気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
(2)
前記気化装置が、測定対象白濁排気ガスを前記煙道内の白濁排気ガスの流れに沿って通す通路を内部に備え左右側面が開口した内筒と、前記内筒に外周に巻き付けられたシースヒータと、前記内筒及びシースヒータを収納する第一容器と、
からなり、
前記第一容器を前記煙道内部に固定されることを特徴とする(1)に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
(3)
前記第一容器の白濁排気ガスの取り入れ口側である貫通孔の内側の縁は内側がより多く切り取られた傾斜を形成し、前記縁の半円部分の傾斜にエアー放出穴を形成し、前記エアー放出穴から対向する傾斜まで放出される間欠エアーでエアーブロを形成することを特徴とする(2)に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
(4)
前記間欠エアーブロ機構が、エアー供給元と、前記エアー供給元と前記第一容器の白濁排気ガスの取り入れ口側の側壁内部に穿設され前記エアー放出穴に連通する第一流路を連絡する配管と、前記配管に設けられた電磁バルブとからなり、前記電磁バルブが、タイマー或いは前記演算装置に格納されたプログラムに従って開閉制御されることを特徴とする(2)又は(3)に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
(5)
前記エアーブロのタイミングに連動して、前記間欠エアーブロ直前のダスト濃度を記録し、表示部に、エアーブロ中のダスト濃度として表示し、連続表示することを特徴とする(4)に記載の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計。
とした。
【0017】
ここで、煙道とは、排気ガスを排出するための通路であり、白濁排気ガスとは、湿式スクラバの出口にように煙道内が露点以下となってダストとミストが共存、吸着し、白濁している排気ガスのことである。
【0018】
気化装置とは、シースヒータ等のヒータ加熱、光などの加熱光を照射してミストを蒸発、或いは励起、減圧その他方法により煙道内のミストを気化させる装置であり、加熱装置などが例示できる。ミストが気化される領域を加熱域という。
【0019】
加熱光とは、赤外線ヒータの放射熱、レーザー発生器で生成されたレーザーなどの加熱源であり、直接煙道内の一部領域に収束させ、煙道内に瞬間加熱域を形成させる。瞬間加熱域では、白濁排気ガス中のミストが瞬時に気化し、ダストから分離、拡散し瞬間加熱域から除去される。その他、加熱源としてマイクロ波なども例示できる。
【0020】
加熱光を収束させる手段として、例えば、赤外線ヒータの放射熱ではレンズや凹面鏡により、レーザーの加熱光では小出力のものを複数用いて焦点に集めることにより、直接煙道内の一部領域に収束させる方法が例示できる。
【0021】
加熱光の生成装置の一例としては、例えば、1400℃までの加熱が可能な(有)フィンテック製スポットヒータHSHなどが例示できる。このような装置であれば、加熱光の収束位置、加熱域の体積、加熱温度も制御できる。これにより煙道内に極僅かな体積の瞬間加熱域を形成することができる。
【0022】
加熱温度としては、ミストが確実に気化し、さらにダストが燃焼しない温度域、例えば100℃〜500℃程度であることが望ましい。この範囲であれば、一層正確なダスト濃度の測定が可能になる。
【0023】
他方、加熱源として、シースヒータを用いることで、集光レンズを用いた加熱光を利用する瞬間気化より、より長期間の連続加熱が可能になる。その場合には、水分の多い白濁排気ガスに直接触れる電源配線端子の絶縁不良を防止する必要がある。
【0024】
例えば、白濁排気ガスから隔離して間接的に加熱方法として、白濁排気ガスを通す管の周りに、螺旋状にシースヒータを巻き、さらにシースヒータを覆い、白濁排気ガスがシースヒータに直接触れない構造が例示できる。この場合には、シースヒータ格納部に、熱電対を組み込んで温度調節計に接続することでシースヒータの温度設定及び温度制御を可能にすることが望ましい。熱電対を設けることで、白濁排気ガスの温度及び流速に応じて、最適な温度設定が可能になるとともに、シースヒータの過熱防止と寿命向上に繋がる。
【0025】
計測光とは、(瞬間)加熱域を経た直後の領域(白濁排気ガスの流れ方向直下流で、ミストの気化状態が維持された領域)に光照射器から照射される光である。計測光としては、加熱光と異なる波長とすることで、散乱光の検出精度が高まる。
【0026】
さらに、計測光として所定の波長域の光りだけを使用すると、散乱光も特定の波長の光として検出することができ、精度よく散乱光を検出することができるので好ましい。例えば、全て一定波長で同期検波した光を使用すること、より具体的には特定の波長の光りだけを通過させる光学フィルターを通して照射することで得られる。
【0027】
散乱光とは、光照射器から散乱光検出域に照射された計測光が、ミスト除去されたダストにより散乱する光である。加熱域を経た直後の領域では、非加熱域の白濁排気ガスに含まれるミストが混入することはなく、加熱域が散乱光検出域でも維持されるので、散乱光の光量(光強度)はダスト濃度に比例する。
【0028】
散乱光検出器は、ミストが除去されたダストにより散乱された散乱光の光量を検出する装置である。そして、例えば、予めダスト濃度と散乱光の光強度との比例関係の検量線を作成しておけば、検出した散乱光強度に対するダスト濃度を前記検量線から求めることができる。なお、計測光を光学フィルターで同期検波しない場合には、散乱光の波長の光りだけ光学フィルターを通して散乱光検出器で受光し、散乱光強度を検出してもよい。
【0029】
例えば、光照射器、散乱光検出器としては、(株)田中電気研究所製DDM-HAL 2の赤外線LED(発光ダイオード)と光検出器(フォトダイオード)、特開平09−236545号公報に記載の光電式粒子濃度測定装置などが使用できる。
【0030】
演算装置は、散乱光検出器で検出した光強度を基に白濁排気ガス中のダスト濃度を演算する装置で、コンピューターなどである。演算方法としては、例えば、予めダスト濃度と散乱光の光強度との比例式(一次式など)を作成し、演算装置の記憶部に格納しておき、検出した散乱光を比例式に代入することで、ダスト濃度を求め、モニタに直接mg/mの単位で表示することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上記構成であるので、白濁排気ガスの一部を採取するためのサンプリング管を設置することなく、白濁排気ガス中のミストを煙道内で気化させることができ、ミストの影響なく、散乱光の光量を基に、ダスト濃度を連続的かつ正確に、ダスト濃度を測定することができるとともに、気化装置の白濁排気ガス取り込み口部に、エアーブロを設けることで、ミストの凝縮、ダストの付着、蓄積を抑制することができ、設置が容易で、かつメンテナンスフリーで長期ダスト濃度測定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、本発明である気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計の一実施形態の模式図である。図1(A)は気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計の正面部分断面模式図、(B)は左側面模式図、(C)は右側面模式図である。
図2図2は、従来の光散乱式ダスト濃度計の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づき本発明である光散乱式ダスト濃度計について詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明である気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計の一実施形態の模式図である。測定原理は、煙道6内において、白濁排気ガスの流れの上流側に気化装置2を配置し、ミスト10を気化させ、気化装置2の下流に計測光4aを照射し、光散乱強度でダスト濃度を測定する方式である。なお、図1中の左白抜き矢印は、白濁排気ガスの流れの方向であり、図1右側が白濁排気ガスの上流、左側が下流である。
【0035】
図1に示すように、本発明の実施の形態の一例である気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計1dは、気化装置2と、光照射器4及び散乱光検出器5とそれらを収納する第二容器2mを含む光学ユニット9と、演算装置12と、さらにエアー送風のための各種エアーブロ機構を備えてなる。そして、白濁排気ガスの上流から下流の流れに対して、気化装置2、光照射器4及び散乱光検出器5の光学ユニット9の順で煙道6内に配置される。
【0036】
これにより、煙道6から外に白濁排気ガスを引き出すサンプリング管を設けることなく、白濁排気ガスの流れが低速(2m/sec以下)であっても、ミスト10影響を受けることなく、煙道6内が露点以下となってダスト11(小○)とミスト10(大○)、ミスト吸着ダスト10a(二重○)が共存する白濁排気ガス中のダスト11の濃度を測定することができる。勿論、白濁排気ガスの流れが高速(10m/sec程度)の場合にも測定可能である。即ち、本発明は、白濁排気ガスの全流速対応型である。
【0037】
気化装置2は、第一容器2aと、内筒2bと、シースヒータ3cと、蓋2rと、間欠エアーブロ機構13とからなる。なお、気化装置として、従来の瞬間加熱器3も利用できる。つまり、従来の光散乱式ダスト濃度計1の白濁排気ガスの取り込み口側に、間欠エアーブロ2iを適用すれば、従来の光散乱式ダスト濃度計1でも、白濁排気ガスの入り口側の汚れを防止することができる。
【0038】
第一容器2aは、内部に左右側面に開口した貫通孔を有し、煙道6に穿孔された穴から煙道6の内部に挿入され、固定される。第一容器2aの白濁排気ガスの取り入れ口側である貫通孔の内側の縁は内側がより多く切り取られた傾斜2fとなっている。内部には、内筒2b及びシースヒータ3cが内蔵され、底面が蓋2rで封止されるとともに、蓋2rで煙道6に係止され、蓋2rと煙道6の気密性が保持される。
【0039】
また、第一容器2aの、白濁排気ガスの取り入れ口側の側壁内部には、間欠エアーを通す第一流路2dが穿設され、前記縁の半円部分の傾斜2fに多数穿設されたエアー放出穴2eに連通し、間欠エアーでエアーブロ2iを噴出させる。
【0040】
エアーブロ2iにより、白濁排気ガスの取り入れ口側の貫通孔に凝縮したミスト10を乾燥する。前記貫通孔の内側を傾斜2fにすることで、ミスト10及びエアーブロ2iは第一容器2aから外側に流れていく。これにより、第一容器2aの白濁排気ガスの取り入れ口側に、ミスト10が凝集したドレンの貯溜がなくなる。
【0041】
さらに、第一容器2aの白濁排気ガスの出口側の側壁内部には、常時エアーを通す第二流路2gが穿設され、白濁排気ガスの出口側の側壁の端に沿って穿設されたエアー放出口2hに連通し、白濁排気ガスの流れの下流方向にエアーを噴出させ、気化装置2を経てミスト10が気化した状態を維持した領域(気流)と、気化装置2を経ない白濁排気ガスとを分断、隔離して、散乱光検出域8にミスト10の混入を防ぎ、ミスト10の影響なく散乱光4bを検出するためのエアーカーテン2kを形成する。
【0042】
エアー放出口2hは、図1(A)に示すように、第一容器2aの端に沿うUの字型で、端は第二容器2mまで到達し、通路2cを囲むように、複数の孔が点在しても、1つの開口が線条に穿設されていてもよい。即ち、エアーカーテン2kは、第二容器2mの上に隔離空間を形成するものである。
【0043】
エアーカーテン2kにより、白濁排気ガスの流れが低速であっても、散乱光検出域8に非測定対象の白濁排気ガスのミスト10、ミスト吸着ダスト10aが混入を防止し、ミスト10の影響を受けることなく、ダスト濃度に基づく、散乱光4bを検出することができる。
【0044】
なお、エアーカーテン2kを採用するまでに、散乱光検出域8を白濁排気ガスから分断、隔離するため、金属性の筒を気化装置2の下流に延設した上で、光学ユニット9でダスト濃度を試みたが、計測光4aがカバーに反射し、散乱光検出器5に乱反射として検出され、測定値が変動した。そこで、カバーに代えて、常時エアーを気化装置2から下流に向け流すことで、エアーカーテン2kを形成し、気化領域を白濁排気ガスから分断、隔離することに成功した。エアーカーテン2kであれば、白濁排気ガスの混入がなく、計測光4aの反射もなく、正確なダスト濃度を散乱光4bで検出することができる。
【0045】
内筒2bは、煙道6内で、他の白濁排気ガスと分離して測定対象白濁排気ガスを通す通路2cを備える金属製の筒で、第一容器2aの左右の開口に一致するように第一容器2aの内部に固定される。内筒2bの外周には、シースヒータ3cが巻き付けられている。内筒2b通路2c内で、ミスト10はシースヒータ3cの熱で気化される。気化したミスト10はダスト11から分離され、しばらくの間、ダスト11へのミスト10の再吸着は起こらない。
【0046】
気化装置2の白濁排気ガスの流れの直下流では、エアーカーテン2kの分断、隔離作用により非熱域の白濁排気ガスに含まれるミスト10の混入がなく、さらに気化ミストの凝集によるダスト11への再吸着はなく、ミスト10が気化して分離した状態のダスト11のみが存在する領域が維持される。
【0047】
シースヒータ3cは、内筒2bの外周に巻かれ、通電端子3dが第一容器2a(蓋2r)の外に位置する。シースヒータ3cの外側は、隔壁2sで覆われ、白濁排気ガスとの接触を防ぐとともに、熱効率を向上させる。シースヒータ3cの温度を測定、制御するため、内筒2bと隔壁2sとの間に、熱電対3eを配置する。
【0048】
間欠エアーブロ機構13は、エアー供給元(図示せず)と、前記エアー供給元と第一流路2dを連絡する配管13aと、配管13aに設けられた電磁バルブ13bとからなる。電磁バルブ13bは、タイマー或いは演算装置12の記録部に格納されたプログラムに従って演算装置のCPUで開閉制御される。例えば、電磁バルブ13bを、CPUの指令で、15分に1回開き、10秒間エアーブロ2iして、ミスト10の凝縮を吹き飛ばし又は乾燥させ、ダスト11の気化装置2の白濁排気ガスの取り込み口側部分への付着を防止する。
【0049】
エアーブロ2iは、ダスト検出値に影響を及ぼすため、CPUが、エアーブロ2iのタイミングに連動して、エアーブロ2i直前のダスト11の検出値を記録装置に記録し、表示部に、エアーブロ2i中の測定濃度として表示し、連続指示への影響を無くす。
【0050】
光学ユニット9は、第一容器2aの下流に位置する第二容器2mと、光照射器4と、散乱光検出器5と、エアーブロ機構14とからなる。
【0051】
第二容器2mは、内部に、光照射器4及び散乱光検出器5を収納し、白濁排気ガスの流れに対し、気化装置2の下流に位置する。ここでは、第一容器2aに接続して形成され、第一容器2aと共通の蓋2rで封止されている。光照射器4及び散乱光検出器5は、ブロック2nで第二容器2m内に固定される。第二容器2mとブロック2nとの間にはパッキン2pを介在させ、気密性を保つ。
【0052】
また、ブロック2nと、光照射器4及び散乱光検出器5の間には、エアーカーテン2k内に連通する第三流路2qが形成され、常時エアーが流れ、投光部及び受光部にミスト10の凝縮によるドレンの貯溜、ドレンへのダスト11が付着、蓄積を防止する。
【0053】
光照射器4は、白濁排気ガスの流れに対する気化装置2の下流のエアーカーテン2k内でダスト11のみが存在する領域の一部に(散乱光検出域8(図1中交差エリア))に、ダスト濃度の測定の基礎となる散乱光4bを検出するための計測光4aを拡散光として照射する。その際、一定波長で同期検波した計測光4aを照射するとよい。
【0054】
散乱光検出器5は、計測光4aが気化装置2を経てミスト10が除去されたダスト11に反射することにより散乱した散乱光4bを検出する。
【0055】
なお、散乱光検出域8には、気化装置2を経ていない白濁排気ガス領域が隣接するが、エアーカーテン2kで遮断され混合されることがない上、一定波長で同期検波した計測光4aを照射すれば、散乱光検出域8のダスト11で散乱した散乱光4bと、気化装置2経ていない白濁排気ガス中のミスト10、ミスト吸着ダスト10aで散乱した散乱光とが、異なる波長の散乱光になるため散乱光検出器5により識別できる。
【0056】
また、気化装置2を経ていない、隣接又は混入した白濁排気ガスから、散乱光検出域8から発生する散乱光4bと同波長の散乱光が生成されたとしても極めて低量であること、さらに散乱光検出域8の光強度が極めて強いことから前記白濁排気ガスからの散乱光の光量は無視できる。
【0057】
エアーブロ機構14は、エアー供給元(図示せず)と、前記エアー供給元と第二流路2g及び第三流路2qを連絡する配管14aと、配管14aに設けられた電磁バルブ14bとからなる。エアー供給元は、エアータンク、或いは吸引ポンプなどである。第二流路2g及び第三流路2qには、常時エアーが流されるため、電磁バルブ14bは通常開放されている。メンテナンスなど必要なときに、励磁して電磁バルブ14bは閉められる。
【0058】
演算装置12は、散乱光4bがダスト濃度と比例関係にあることに基づいて、散乱光4bの光強度からダスト濃度を演算する装置である。例えば、予めダスト濃度と光量と比例関係の検量線を作成しておけば、検出した散乱光4bの光量に対するダスト濃度を前記検量線から求めることができる。なお、演算装置12と散乱光検出器5は一体としてもよい。ここでは、光ファイバー5aを介して、演算装置12が散乱光強度シグナルを受光する方式とした。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計は、既存の煙道に簡単かつ低コストで取り付けられる。また、これまで困難であった露点以下の白濁排気ガス中のダストのみを直接煙道内において、白濁排気ガスの流れが低速であっても、他のミストの影響を受けることなく、連続的かつ正確に測定できる全流速対応型であるため汎用性、信頼性が高く、白濁排気ガスに対して基準値を超えているのではないかと不安をもつ住民への説明エビデンスを提供できる。さらには、白煙防止対策にも活用することができる。従って、排気ガス測定の技術分野、産業において大いに貢献することが期待できる。
【符号の説明】
【0060】
1 光散乱式ダスト濃度計
1a ボックス
1b フランジ
1d 気化装置入り口側に汚れ防止機能を備えた光散乱式ダスト濃度計
2 気化装置
2a 第一容器
2b 内筒
2c 通路
2d 第一流路
2e エアー放出穴
2f 傾斜
2g 第二流路
2h エアー放出口
2i エアーブロ
2k エアーカーテン
2m 第二容器
2n ブロック
2p パッキン
2q 第三流路
2r 蓋
2s 隔壁
3 瞬間加熱器
3a 加熱光
3b 焦点
3c シースヒータ
3d 端子
3e 熱電対
4 光照射器
4a 計測光
4b 散乱光
5 散乱光検出器
5a 光ファイバー
6 煙道
6a 開口
6b フランジ
6c 接続管
7 瞬間加熱域
8 散乱光検出域
9 光学ユニット
10 ミスト
10a ミスト吸着ダスト
11 ダスト
12 演算装置
13 間欠エアーブロ機構
13a 配管
13b バルブ
14 エアーブロ機構
14a 配管
14b バルブ
図1
図2