(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
規制部材は、嵌入用凹部に嵌入された状態で、隣り合う伝熱プレート側にある頂部が伝熱プレートにおける嵌入用凹部と同一面上にある凸条の頂部に対して同一レベル又は低レベルに位置するように形成される
請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【背景技術】
【0003】
従来から、第一流体と第二流体とを熱交換させる熱交換器の一つとして、プレート式熱交換器が提供されている。
【0004】
プレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートを備える。各伝熱プレートは、金属プレートをプレス成形したもので、表裏両面に形成された複数の凹条及び凸条と、表裏両面に貫通した少なくとも四つの開口とを有する。
【0005】
プレート式熱交換器は、上記構成の伝熱プレートが複数重ね合わされることで、第一流体を流通させる第一流路と第二流体を流通させる第二流路とが伝熱プレートを境にして交互に形成されている。
【0006】
また、プレート式熱交換器では、各伝熱プレートの四つの開口のうちの二つの開口のそれぞれが互いに連なることによって第一流路に第一流体を流出入させる一対の第一接続流路が形成されるとともに、残りの二つの開口のそれぞれが互いに連なることによって、第二流路に第二流体を流出入させる一対の第二接続流路が形成されている。
【0007】
これにより、プレート式熱交換器は、一方の第一接続流路から第一流路に流入させた第一流体を他方の第一接続流路に排出するのに併せ、一方の第二接続流路から第二流路に流入させた第二流体を他方の第二接続流路に排出する。すなわち、プレート式熱交換器は、伝熱プレートを介して第一流路を流通する第一流体と第二流路を流通する第二流体とを熱交換させるようになっている。
【0008】
ところで、この種のプレート式熱交換器には、隣り合う伝熱プレート間に介装されたガスケットであって、流体を流通させる流路(第一流路、第二流路)を画定するガスケットを備えたガスケット式のプレート式熱交換器がある。
【0009】
ガスケット式のプレート式熱交換器の複数の伝熱プレートのそれぞれには、ガスケットを装着するガスケット装着溝が形成されている。より具体的に説明する。各伝熱プレートは、隣り合う伝熱プレートと対向する一方の面、及び該一方の面とは反対側の他方の面とを有する。そして、各伝熱プレートは、一方の面及び他方の面のうちの少なくとも何れかの一方の面に対して、二つの開口を一括して取り囲んだ環状のガスケット装着溝と、一方の面及び他方の面のうちの少なくとも何れか一方の面に対して、当該二つの開口とは別の二つの開口(残りの二つの開口)のそれぞれを取り囲んだ環状のガスケット装着溝とが形成されている。
【0010】
これに伴い、ガスケット式のプレート式熱交換器においては、各ガスケット装着溝にガスケットが装着(嵌入)された上で、複数の伝熱プレートが重ね合わされている。これにより、各ガスケットは、隣り合う伝熱プレートの間を封止し、隣り合う伝熱プレートの間で流体を流通させる流路(第一流路、第二流路)や、該流路に流体を流出入させる接続流路(第一接続流路、第二接続流路)を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
ところで、ガスケット式のプレート式熱交換器において、伝熱プレートに形成される凹条がガスケット装着溝と交差した態様で形成されることがある。
【0012】
この場合、凹条がガスケット装着溝と連続し、ガスケット装着溝を部分的に開放させてしまう。より具体的に説明する。ガスケット装着溝は、長手方向と直交する方向に間隔をあけて互いに対向する一対の立面によって画定されている。従って、凹条がガスケット装着溝と交差するように形成される(凹条がガスケット装着溝に連続的に形成される)と、該凹条がガスケット装着溝を画定する立面で開放した状態になる。
【0013】
そのため、流路(第一流路、第二流路)を画定するガスケットは、流体の圧力や流体の熱の影響による熱膨張により、凹条に向けて部分的に変位する(部分的に押し込まれる)ことがある。このように、ガスケットが部分的に変位すると、ガスケットと伝熱プレートとの相対的な位置関係が一定に保たれず、流路(第一流路、第二流路)の密封性(伝熱プレート間の封止性)が維持されず、流体の漏れが発生する虞がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るプレート式熱交換器について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0022】
プレート式熱交換器は、
図1に示す如く、重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…を備える。本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、
図2に示す如く、複数の伝熱プレート2,…に加え、隣り合う伝熱プレート2,…間に介装されたガスケット3,4と、ガスケット3,4を少なくとも部分的に支持可能に形成された規制部材5とを備える。さらに、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、
図1に示す如く、重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…を挟み込む一対のフレームプレート6,7であって、一方に流体の流出入口が形成された一対のフレームプレート6,7と、一対のフレームプレート6,7を締結するタイロッド8とを備える。
【0023】
本実施形態において、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、すべて同一の構成をもつものである。これに伴い、一つの伝熱プレート2について説明する。
【0024】
伝熱プレート2は、金属プレートをプレス成形されたものである。また、伝熱プレート2は、
図3及び
図4に示す如く、第一面(一方の面)S1と反対側の第二面(他方の面)S2とを有する。そして、伝熱プレート2は、
図3に示す如く、第一面S1に流体を流通させる流路A,B,R1,R2の外郭に即して形成された環状のガスケット装着溝20,21を有する。
【0025】
伝熱プレート2は、
図4に示す如く、第二面S2に形成される平坦部22,23であって、当該第二面S2と隣り合う別の伝熱プレート2の第一面S1に形成されたガスケット装着溝20,21に装着されたガスケット3,4によって画定される流路A,B,R1,R2の外郭に即して形成された平坦部22,23を有する。なお、
図3において、平坦部22,23の裏側(凹条の一形態である後述する環状溝24)を一点鎖線で図示し、
図4において、平坦部22,23を一点鎖線で図示している。
【0026】
より具体的に説明する。伝熱プレート2は、
図3及び
図4に示す如く、平面視四角形状に形成される。そして、伝熱プレート2は、表裏両面に貫通した(第一面と第二面とに亘って貫通した)少なくとも四つの開口H1,H2,H3,H4を有する。本実施形態において、伝熱プレート2は、平面視長方形状に形成され、四つの開口H1,H2,H3,H4を有する。
【0027】
四つの開口H1,H2,H3,H4は、伝熱プレート2の四隅に設けられている。すなわち、四つの開口H1,H2,H3,H4のうちの一つ開口(以下、第一開口という)H1は、伝熱プレート2の長手方向と対応する第一方向の一端側であって、伝熱プレート2の長手方向と直交する方向と対応する第二方向の一端側に設けられる。そして、四つの開口H1,H2,H3,H4のうちの別の一つの開口(以下、第二開口という)H2は、第一方向の他端側であって、第二方向の一端側に設けられている。
【0028】
これに対し、残りの二つの開口H3,H4のうちの一つの開口(以下、第三開口という)H3は、第一方向の一端側であって、第二方向の他端側に設けられる。さらに、残りの二つの開口H3,H4のうちの別の一つの開口(以下、第四開口という)H4は、第一方向の他端側であって、第二方向の他端側に設けられている。
【0029】
伝熱プレート2の第一面S1には、
図3に示す如く、ガスケット装着溝20,21として、第三開口H3及び第四開口H4(二つの開口H3,H4)を一括して取り囲んだ環状の第一ガスケット装着溝20が形成されるとともに、第一開口H1及び第二開口H2(残りの二つの開口H1,H2)のそれぞれを取り囲んだ環状の第二ガスケット装着溝21,21が形成されている。
【0030】
第一ガスケット装着溝20は、間隔をあけて互いに対向する一対の立面20a,20aと、一対の立面20a,20aの下端同士を接続した底面20bとによって形成される。第一ガスケット装着溝20は、流路A,B(後述する第一流路A又は第二流路Bの何れか一方)となる伝熱領域Eであって、第二方向における伝熱プレート2の他端側を底辺にした台形状の伝熱領域Eを伝熱プレート2の第一面S1上に画定する。
【0031】
本実施形態において、第一開口H1、第二開口H2、第三開口H3、及び第四開口H4のそれぞれは、円形に形成されている。これに伴い、第一ガスケット装着溝20は、第三開口H3及び第四開口H4の周辺において、第三開口H3及び第四開口H4のそれぞれに沿って円弧状をなすコーナー部を有する。
【0032】
第二ガスケット装着溝21は、間隔をあけて互いに対向する一対の立面21a,21aと、一対の立面21a,21aの下端同士を接続した底面21bとによって形成される。第二ガスケット装着溝21,21は、伝熱プレート2の一方の面上に円環状の領域を画定している。本実施形態において、第二ガスケット装着溝21,21は、第一ガスケット装着溝20のコーナー部よりも小径の環状をなす。
【0033】
これに対し、伝熱プレート2の第二面S2には、
図4に示す如く、隣り合う伝熱プレート2のガスケット装着溝20,21に装着されたガスケット3,4が密接する平坦部22,23が形成される。伝熱プレート2の第二面S2には、平坦部22,23として、第一開口H1及び第二開口H2(二つの開口H1,H2)を一括して取り囲んだ環状の第一平坦部22が形成されるとともに、第三開口H3及び第四開口H4(残りの二つの開口H3,H4)のそれぞれを取り囲んだ環状の第二平坦部23が形成されている。
【0034】
第一平坦部22は、流路A,B(第一流路A又は第二流路Bの何れか他方)となる領域であって、第二方向における伝熱プレート2の一端側を底辺とした台形状の伝熱領域Eを伝熱プレート2の一方の面上に画定する。
【0035】
本実施形態において、上述の如く、第一開口H1、第二開口H2、第三開口H3、及び第四開口H4のそれぞれは、円形に形成されている。これに伴い、第一平坦部22は、第一開口H1及び第二開口H2の外周に沿ったコーナー部を有する。
【0036】
第二平坦部23は、伝熱プレート2の一方の面上に円環状の領域を画定している。本実施形態において、第二平坦部23は、第一平坦部22のコーナー部よりも小径の環状をなす。
【0037】
これにより、第一ガスケット装着溝20及び第一平坦部22は、第一方向に延びる伝熱プレート2の中心線(図示しない)を基準にして互いに対称的に形成され、第二ガスケット装着溝21,21及び第二平坦部23は、第一方向に延びる伝熱プレート2の中心線を基準にして互いに対称的に形成されている。これにより、本実施形態に係る伝熱プレート2において、第一ガスケット装着溝20及び第一平坦部22は、表裏で交差した配置になっている。
【0038】
伝熱プレート2は、両面(第一面S1及び第二面S2)に図示しない凹部、凸部、凹条、及び凸条が複数形成される。そして、複数の凹部、凸部、凹条、及び凸条のそれぞれは、第一ガスケット装着溝20によって包囲された領域と、第一平坦部22によって包囲された領域との重複領域(伝熱領域E)に形成される。
【0039】
本実施形態において、伝熱プレート2は、
図3に示す如く、規制部材5が嵌入可能な嵌入用凹部25であって、少なくともガスケット装着溝20の形成された面(本実施形態では第一面S1)に該ガスケット装着溝20に沿って凹設された嵌入用凹部25を有する。嵌入用凹部25は、ガスケット装着溝20と交差する方向に延びる凹条24を横切るように形成される。
【0040】
より具体的に説明する。伝熱プレート2は、上述の如く、第二面S2に第一ガスケット装着溝20に対して対称的に形成された第一平坦部22を有する。すなわち、伝熱プレート2の第二面S2には、第一開口H1及び第二開口H2を取り囲んだ環状の第一平坦部22が形成されている(
図4参照)。
【0041】
第一平坦部22は、伝熱プレート2における第二面S2側に変位した状態で形成され、全周に亘って同一レベルの平面を形成している。すなわち、第一平坦部22は、金属プレートの一方の面側をプレスすることで形成されており、これに伴い、伝熱プレート2の第一面S1には、第一平坦部22の裏側の凹条24であって、平面視無端環状をなす凹条(以下、環状溝という)24が第一ガスケット装着溝20に対して二箇所で交差するように形成されている。
【0042】
これに伴い、伝熱プレート2は、
図3及び
図5に示す如く、第一ガスケット装着溝20の形成された面(本実施形態においては第一面S1)に該第一ガスケット装着溝20に沿って凹設され、第一ガスケット装着溝20と交差する方向に延びる第一平坦部22の裏側にできた環状溝24を横切るよう形成された嵌入用凹部25を有する。伝熱プレート2は、環状溝24と第一ガスケット装着溝20とが交差する二箇所のそれぞれにおいて、第一ガスケット装着溝20の両側に嵌入用凹部25を有する。
【0043】
そして、
図5に示す如く、嵌入用凹部(凹部)25内には、規制部材5を位置決めするための位置決用凸部26が設けられている。本実施形態において、位置決用凸部26は、環状溝24の両側(環状溝24の通過領域の両側)に設けられている。また、本実施形態では、環状溝24の両側に位置決用凸部26が二つずつ設けられている。
【0044】
本実施形態において、複数の位置決用凸部26のそれぞれは、嵌入用凹部25と隣接する部分に連続して形成されている。すなわち、複数の位置決用凸部26のそれぞれは、嵌入用凹部25を画定する立面であって、第一ガスケット装着溝20の延びる方向で間隔をあけて対峙する一対の立面のそれぞれが嵌入用凹部25の内部に向けて膨出することで形成されている。
【0045】
複数の位置決用凸部26のそれぞれは、規制部材5に覆われる部位であり、これに伴い、伝熱領域E内の凸条よりも低く形成されている。すなわち、複数の位置決用凸部26のそれぞれは、伝熱領域Eの凸条よりも突出することのないように、少なくとも規制部材5の厚み分(被覆部51の板厚分)、伝熱領域Eの凸条よりも少ない突出量で突出している。
【0046】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、
図2に示す如く、ガスケット3,4として、第一ガスケット装着溝20に装着される環状の第一ガスケット3と、第二ガスケット装着溝21,21に装着される環状の第二ガスケット4とを備える。なお、ここでは、一つの第一ガスケット3と、一つの第二ガスケット4とについて説明する。
【0047】
第一ガスケット3は、第一ガスケット装着溝20の平面形態に即して平面視台形状の領域を画定するように、台形環状に形成されている。これに対し、第二ガスケット4は、第二ガスケット装着溝21,21の平面形態に即して平面視円形状の領域を画定するように、円形環状に形成されている。
【0048】
規制部材5は、隣り合う伝熱プレート2間のそれぞれに配置される。そのため、プレート式熱交換器1は、複数の規制部材5を備える。なお、複数の規制部材5のそれぞれは、同一の構成であるため、ここでは、一つの規制部材5について説明する。
【0049】
規制部材5は、
図6A及び
図6Bに示す如く、第一ガスケット3を部分的に支持する支持部50を有する。本実施形態に係る規制部材5は、支持部50を含む被覆部51であって、位置決用凸部26,26を覆う被覆部51を有する。
【0050】
より具体的に説明する。本実施形態に係る規制部材5において、被覆部51は、金属プレートを山折状にプレス成形したもので、第一ガスケット装着溝20を形成する一方の立面20aと同列又は略同列に配置される支持部50と、支持部50に対して間隔をあけて対向配置される対向部52とを備える。
【0051】
支持部50及び対向部52のそれぞれは、一方向に長手をなし、長手方向と直交する方向の一端同士が接続され、他端同士が互いに離間している。なお、支持部50及び対向部52は、直接接続されてもよいし、帯状の接続部を介して互いの一端部同士が接続されてもよい。本実施形態に係る規制部材5において、支持部50及び対向部52の一端部同士が直接接続されている。
【0052】
本実施形態に係る規制部材5は、対向部52から外方に延出した延出部53を有する。本実施形態に係る延出部53は、対向部52の他端部に接続され、長手方向の中央部に補強部54を有する。補強部54は、延出部53を部分的に隆起させることで形成されている。
【0053】
規制部材5(被覆部51及び延出部53)は、
図7〜
図10に示す如く、全体的に嵌入用凹部25に嵌入される。
【0054】
より具体的には、伝熱プレート2の嵌入用凹部25内には、上述の如く、位置決用凸部26,26が形成されているため、規制部材5は、
図11及び
図12に示す如く、被覆部51が位置決用凸部26,26を覆った状態で嵌入用凹部25に嵌入される。
【0055】
これにより、規制部材5は、位置決用凸部26,26に対する被覆部51(支持部50,対向部52)の干渉によって、第一ガスケット装着溝20の延びる方向と直交する方向への移動が阻止される。規制部材5の支持部50は、規制部材5を嵌入用凹部25に嵌入した状態で、外面(傾斜面)が第一ガスケット装着溝20を形成する立面(傾斜面)20aと同一面上に並ぶように形成される。
【0056】
本実施形態に係る規制部材5は、被覆部51が位置決用凸部26,26を覆った状態になると、被覆部51の両端部が二つの位置決用凸部26,26に支持されるように構成されている。これにより、規制部材5は、第一ガスケット装着溝20の延びる方向と直交する方向(伝熱プレート2の板厚と対応する方向)に延びる軸線回りでの回転も阻止される。なお、本実施形態において、被覆部51の頂部(支持部50と対向部52との接続部分)が伝熱領域Eの凸条よりも外側に突出しないように、被覆部51の高さが設定されている。
【0057】
上記構成の規制部材5は、嵌入用凹部25に嵌入された状態で、伝熱プレート2に対して固定される。規制部材5は、接着剤や粘着テープを用いて伝熱プレート2に固定されてもよいし、伝熱プレート2に溶接することで固定されてもよい。
【0058】
本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、以上の構成を備える。そして、プレート式熱交換器1は、
図7及び
図8に示す如く、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの第一ガスケット装着溝20に第一ガスケット3が装着されるとともに、第二ガスケット装着溝21,21に第二ガスケット4が装着される。その上で、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれが互いに重ね合わされる。より具体的には、本実施形態に係るプレート式熱交換器1において、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、第一方向及び第二方向と直交する第三方向(重ね合わされる方向)で一つおきに、第三方向に延びる軸線回りで180°反転された状態で重ね合わされる。
【0059】
これにより、
図11及び
図12に示す如く、隣り合う二つの伝熱プレート2,2のうちの一方の伝熱プレート2の第一ガスケット装着溝20に装着された第一ガスケット3は、隣り合う二つの伝熱プレート2,2のうちの他方の伝熱プレート2の第一平坦部22と重なり合う。また、図示しないが、隣り合う二つの伝熱プレート2,2のうちの一方の伝熱プレート2の第二ガスケット装着溝21,21に装着された第二ガスケット4は、隣り合う二つの伝熱プレート2,2のうちの他方の伝熱プレート2の第二平坦部23と重なり合う。
【0060】
そして、一対のフレームプレート6,7は、重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…のそれぞれを挟み込んだ上で、タイロッド8によって締め付けられる(
図1参照)。これに伴い、第一ガスケット3及び第二ガスケット4のそれぞれが隣り合う伝熱プレート2,2に挟まれた状態になり、隣り合う伝熱プレート2,2の間が封止される。
【0061】
これにより、プレート式熱交換器1には、
図2、
図7,及び
図8に示す如く、第一流体を流通させる第一流路Aと第二流体を流通させる第二流路Bとが複数の伝熱プレート2,…のそれぞれを境にして交互に形成される。また、プレート式熱交換器1には、各伝熱プレート2,…の四つの開口のうちの二つの開口のそれぞれが互いに連なって、第一流路Aに第一流体Hを流出入させる一対の第一接続流路R1,R1が形成され、残りの二つの開口のそれぞれが互いに連なって、第二流路Bに第二流体Cを流出入させる一対の第二接続流路R2,R2が形成される。
【0062】
なお、本実施形態においては、上述の如く、同一の複数の伝熱プレート2,…のそれぞれが交互に180°反転させて配置されるため、第一開口H1と第四開口H4とが二箇所で交互に連なることで、一方の第一接続流路R1が形成されるとともに、一方の第二接続流路R2が形成され、第二開口H2と第三開口H3とが二箇所で交互に連なることで、他方の第一接続流路R1が形成されるとともに、他方の第二接続流路R2が形成される。
【0063】
これにより、この種のプレート式熱交換器1において、一方の第一接続流路R1から第一流路Aに第一流体Hが流入し、第一流路Aを通過した第一流体Hが他方の第一接続流路R1に排出されるのに併せ、一方の第二接続流路R2から第二流路Bに第二流体Cが流入し、第二流路Bを通過した第二流体Cが他方の第二接続流路R2に排出される。すなわち、プレート式熱交換器1は、伝熱プレート2を介して第一流路Aを流通する第一流体Hと第二流路Bとを熱交換させる。
【0064】
このとき、第一流路Aを流通する第一流体Hの流体圧、及び第二流路Bを流通する第二流体Cの流体圧の少なくとも何れか一方が、第一ガスケット3に作用しても、第一ガスケット3は、全長(全周)に亘って第一ガスケット装着溝20内で維持する。
【0065】
より具体的には、本実施形態に係るプレート式熱交換器1は、
図11及び
図12に示す如く、第一ガスケット装着溝20と交差する環状溝24が形成されているが、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、規制部材5が嵌入可能な嵌入用凹部25であって、第一ガスケット装着溝20の形成された面に該第一ガスケット装着溝20に沿って凹設され、第一ガスケット装着溝20と交差する方向に延びる環状溝24を横切るよう形成された嵌入用凹部25を有し、規制部材5が嵌入用凹部25に嵌入された状態で第一ガスケット装着溝20に沿って配置される。
【0066】
これに伴い、環状溝24と該環状溝24と交差する方向に延びる第一ガスケット装着溝20との間に規制部材5が固定された状態で介在し、環状溝24が第一ガスケット装着溝20で開放することがない。すなわち、嵌入用凹部25に嵌入された規制部材5は、嵌入用凹部25を画定する立面に包囲された状態になり、移動が阻止される。そして、規制部材5は、嵌入用凹部25に嵌入された状態で、支持部50が第一ガスケット装着溝20に沿って環状溝24と第一ガスケット装着溝20との間に介在する。
【0067】
これにより、環状溝24が第一ガスケット装着溝20で開放することがなく、第一ガスケット装着溝20に装着された第一ガスケット3は、第一ガスケット装着溝20を画定する立面20aと規制部材5の支持部50とによって支持された状態になる。
【0068】
従って、各伝熱プレート2,…間に介装された第一ガスケット3によって画定された流路A,Bで流通する流体H,Cの流体圧が第一ガスケット3に作用したときにおいても、第一ガスケット3は第一ガスケット装着溝20を画定する立面20aと規制部材5(支持部50)とによって支持される。これにより、流体圧の作用で第一ガスケット3が部分的に環状溝24内に変位することが阻止され、第一ガスケット3と複数の伝熱プレート2,…のそれぞれとの相対的な位置関係が一定に保たれるため、流路A,B(第一流路A、第二流路B)の密封性(各伝熱プレート2,…間の封止性)が維持される結果、流体の漏れの発生を防止することができる。
【0069】
特に、規制部材5は、嵌入用凹部25に嵌入された状態で、隣り合う伝熱プレート2,…側にある頂部が伝熱プレート2における嵌入用凹部25と同一面上にある凸条(伝熱領域Eに形成される凸条)の頂部に対して同一レベル又は低レベルに位置するように形成されるため、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれを互いに重ね合わせた状態で、規制部材5が隣り合う伝熱プレート2と干渉することがなく、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれによって第一ガスケット3を効率的に挟み込むことができる。
【0070】
また、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、金属プレートをプレス成形されたものであり、第一面S1に流路A,Bの外郭に即して形成された環状の第一ガスケット装着溝20を有するとともに、第二面S2に隣り合う伝熱プレート2,…の第一面S1に形成された第一ガスケット装着溝20に装着された第一ガスケット3によって画定される流路A,Bの外郭に即して形成された第一平坦部22とを有し、第一ガスケット装着溝20と第一平坦部22とが表裏で交差した態様で形成されるため、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれが金属プレートをプレス成形して形成され、第一ガスケット装着溝20と第一平坦部22とが表裏で交差した態様で形成されても、第一平坦部22が全周に亘って同一レベルで形成される。
【0071】
すなわち、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれが金属プレートをプレス成形して形成された場合、表裏で凹凸状態が逆になるため、一方の面の凸が他方の面で凹になる。従って、第一ガスケット3の位置ずれを防止するために、第一ガスケット装着溝20と環状溝24との間に第一ガスケット規制用の凸部を形成することが考えられるが、凸部をプレス成形によって形成すると、その裏面が凹部になってしまう。
【0072】
従って、上述の如く、第一ガスケット装着溝20と第一平坦部22とが表裏で交差した態様で形成された場合、第一ガスケット装着溝20と第一平坦部22との交差領域の近傍において、凸部の裏側に形成される凹部が第一平坦部22の連続性を寸断してしまう。そのため、隣り合う伝熱プレート2,…の第一ガスケット装着溝20に装着された第一ガスケット3が第一平坦部22の全長に亘って連続的に密接できなくなる。すなわち、凸部の裏側にある凹部によって第一ガスケット3が隣り合う伝熱プレート2,…に密接できなくなり、流路A,Bを液密に形成できなくなってしまう。
【0073】
そのため、凹部内に該凹部を埋めるための埋設部材を配置する等といった対策を講じなければならないが、このような対策を講じる埋設部材と複数の伝熱プレート2,…のそれぞれとの密接性が担保されなければ、流体の漏れが発生してしまう。
【0074】
これに対し、本実施形態に係るプレート式熱交換器1において、規制部材5を嵌入する嵌入用凹部25を凹設することで、裏面が突出することになるため、第一平坦部22が寸断されることなく連続的な環状に形成される。従って、隣り合う二つの伝熱プレート2,…のうちの一方の伝熱プレート2,…の第一ガスケット装着溝20に装着された第一ガスケット3は、他方の伝熱プレート2,…の第一平坦部22の全周に対して連続的に密接する。これにより、何れの流路A,B(第一流路A及び第二流路B)においても、流体の漏れを効果的に防止することができる。
【0075】
また、本実施形態において、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれは、嵌入用凹部25内に位置決用凸部26を有し、規制部材5は、位置決用凸部26を覆う被覆部51を有するため、被覆部51が伝熱プレート2の位置決用凸部26と干渉し、規制部材5が伝熱プレート2(嵌入用凹部25)に対して定位置で固定される。
【0076】
従って、規制部材5が支持した第一ガスケット3に流体H,Cの圧力が作用したときに、規制部材5が第一ガスケット3に押されて移動することを確実に阻止することができる。特に、本実施形態においては、第一平坦部22を形成する裏側の凹条(環状溝)24を躱した位置に位置決用凸部26を形成しているため、第一平坦部22(第一ガスケット3の密接面)の連続性が維持される。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0078】
上記実施形態において、第一ガスケット装着溝20と交差する凹条の一態様としての環状溝24を対象に、環状溝24を横切った嵌入用凹部25が形成されるとともに、規制部材5が嵌入用凹部25に嵌入されたが、これに限定されない。例えば、伝熱領域Eの凹条(伝熱効率の観点で形成される凹条)が伝熱プレート2の端縁まで延び、第一ガスケット装着溝20に対して交差するように形成された場合、その凹条を横切った嵌入用凹部25が形成されるとともに、規制部材5が嵌入用凹部25に嵌入されてもよい。
【0079】
また、上記実施形態において、伝熱プレート2,2間に形成される流路(第一流路A及び第二流路B)を画定する第一ガスケット3を対象に、規制部材5を嵌入する嵌入用凹部25が形成されたが、これに限定されない。例えば、互いに重ね合わされた複数の伝熱プレート2,…のそれぞれに跨って形成される流路である接続流路(第一接続流路R1及び第二接続流路R2)を画定する第二ガスケット4を対象に、規制部材5を嵌入する嵌入用凹部が形成されてもよい。すなわち、第二ガスケット装着溝21,21を横切った凹条が形成される場合、該凹条を横切った嵌入用凹部が形成され、該嵌入用凹部に上記実施形態と同様の規制部材が嵌入されてもよい。なお、凹条の幅(溝幅)が比較的狭いと、ガスケット3,4が流体圧の作用で押されても凹条内に入り込み難くなるため、凹条の溝幅が広い場合(ガスケット3,4が流体圧の作用で入り込む可能性がある幅広な凹条が形成される場合)に、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれに嵌入用凹部25が設けられるとともに、嵌入用凹部25に嵌入される規制部材5が設けられればよい。
【0080】
上記実施形態において、ガスケット装着溝20の両側に嵌入用凹部25が形成されるとともに、各嵌入用凹部25に規制部材5が嵌入されたが、これに限定されない。すなわち、嵌入用凹部25は、少なくとも流路A,B,R1,R2となる領域を画定したガスケット装着溝20,21の外側のみに設けられ、該嵌入用凹部25に規制部材5が嵌入されてもよい。このようにしても、流路A,B,R1,R2を流通する流体H,Cの流体圧が作用してガスケット3,4が外側に押されたときに、規制部材5の支持部50がガスケット3,4を支持するため、上記実施形態と同様に、流体圧の作用でガスケット3,4が部分的に凹条内に移動することが阻止される。従って、ガスケット3,4と複数の伝熱プレート2,…のそれぞれとの相対的な位置関係が一定に保たれるため、流路A,B(第一流路A、第二流路B)の密封性(各伝熱プレート2,…間の封止性)が維持される結果、流体の漏れの発生を防止することができる。
【0081】
上記実施形態において、規制部材5が嵌入用凹部25に嵌め込まれた状態で溶接や粘着テープで固定されたが、例えば、
図13に示す如く、規制部材5の延出部53を押圧する押圧部材9を設けてもよい。押圧部材9は、規制部材5の被覆部51に対して並列的に配置可能な帯材であって、ゴム、樹脂等の弾性材料から成型された帯材で構成される。このように押圧部材9が設けられた場合、重ね合わされた伝熱プレート2,…に押圧部材9が挟まれることで、押圧部材9が弾性変形して規制部材5(延出部53)を押さえつけた状態になる。従って、規制部材5をより確実に固定することができる。また、押圧部材9を使用することなく、規制部材5が自己の移動を規制できるように形成されてもよい。すなわち、
図14(a)及び
図14(b)に示す如く、規制部材5における支持部50と補強部54との高さを同じにし、隣り合う伝熱プレート2に支持部50及び補強部54を接触させるようにしてもよい。このようにすれば、規制部材5が隣り合う二つの伝熱プレート2,2に挟まれることになるため、規制部材5をより確実に固定することができる。
【0082】
上記実施形態において、規制部材5がプレートをプレス成形されたものであったが、これに限定されない。規制部材5は、削り出し等の各種加工によって成形されたものであってもよい。また、規制部材5は、金属製に限定されるものではなく、ガスケット3,4を支持することのできる剛性を有していれば、樹脂製のものであってもよい。
【0083】
上記実施形態において、嵌入用凹部25を画定する立面を膨出させることで形成された位置決用凸部26,26のみが設けられたが、これに限定されない。例えば、
図15に示す如く、嵌入用凹部25を画定する立面を膨出させることで形成された位置決用凸部26,26に加え、該位置決用凸部26、26から離れた位置に別の位置決用凸部26,26を設けてもよい。この場合、位置決用凸部26,…は、凹条24の通過領域を躱した上でガスケット装着溝20に沿って配列されることは言うまでもない。
【0084】
上記実施形態において、位置決用凸部26,26が嵌入用凹部25を画定する立面を膨出させることで形成されたが、位置決用凸部26が設けられる場合、位置決用凸部26の形態は、これに限定されない。例えば、位置決用凸部26、26は、
図16に示す如く、嵌入用凹部25を画定する立面から離れた位置に設けられてもよい。
【0085】
上記実施形態において、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの嵌入用凹部25に位置決用凸部26,26が設けられたが、これに限定されない。例えば、嵌入用凹部25は、位置決用凸部26,26のない単なる凹部であってもよい。このようにしても、規制部材5は、嵌入用凹部25に嵌め込まれた状態で、嵌入用凹部25を画定する立面と対峙するため、伝熱プレート2の面に沿った方向への移動が阻止される。
【0086】
上記実施形態において、規制部材5が延出部53を備えたが、これに限定されない。例えば、規制部材5は、被覆部51に相当する部位、すなわち、ガスケット3,4を支持可能な支持部50を含む部位であって、嵌入用凹部25に嵌入可能な部位を備えていれば、種々変更可能である。
【0087】
上記実施形態において、プレート式熱交換器1は、第一流路A及び第二流路Bが対称形とされたため、同種の伝熱プレート2を複数備え、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれを一枚置きに反転させることで、第一流路A及び第二流路Bが形成されたが、これに限定されない。例えば、プレート式熱交換器1は、第一流路A又は第二流路Bを画定するガスケット装着溝20,21の配置パターンを異にする二種類の伝熱プレート2,…を交互に重ね合わせるようにしたものであっても勿論よい。このようにしても、凹条24がガスケット装着溝20,21と交差するような態様となった場合、凹条24を横切った嵌入用凹部25を複数の伝熱プレート2,…のそれぞれに凹設し、支持部50を有する規制部材5を嵌入用凹部25に嵌入することで、上記実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0088】
上記実施形態において、第一ガスケット装着溝20が複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの一方の面のみに形成されたが、これに限定されない。例えば、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの一方の面に第一流路Aを画定する第一ガスケット3を装着する第一ガスケット装着溝20を形成し、複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの他方の面に第二流路Bを画定する第一ガスケット3を装着する第一ガスケット装着溝20を形成するようにしてもよい。
【0089】
上記実施形態において、プレート式熱交換器1は、それぞれ独立した複数の伝熱プレート2,…を重ね合わせていたが、これに限定されない。例えば、プレート式熱交換器1は、重ね合わされた二枚の伝熱プレート2,2の外周端同士が溶接されることで形成された伝熱カセットを、ガスケット3,4を介して複数積層したものであってよい。この場合、隣り合う伝熱カセットのうちの一方の伝熱カセットの外面(隣り合う別の伝熱カセットと対向する面)になる伝熱プレート2にガスケット装着溝20,21が形成され、該ガスケット装着溝20,21にガスケット3,4が装着される。
【0090】
これにより、伝熱カセット間(二枚の伝熱プレート2,2間)に第一流路A又は第二流路Bの何れか一方が形成されるとともに、隣り合う伝熱カセット間にガスケット3,4によって画定された第一流路A又は第二流路Bの何れか他方が形成される。従って、伝熱カセットを構成する複数の伝熱プレート2,…のそれぞれの外面上にガスケット装着溝20,21と凹条24とが交差した態様で形成される場合、凹条24を横切るように嵌入用凹部25を凹設し、該嵌入用凹部25に規制部材5を嵌入することで、ガスケット3,4の部分的な移動が阻止される。
【0091】
上記実施形態において、特に言及しなかったが、規制部材5の被覆部51を構成する支持部50の先端面(他端面)は、第一ガスケット装着溝20の底面20bに沿うように形成されることが好ましい。このように支持部50の先端面が第一ガスケット装着溝20の底面20bに沿うようにするには、支持部50の先端部(他端部)を斜めに切除し、支持部50の延出方向に対して傾斜した端面を形成することで、規制部材5を嵌入用凹部25内に配置したときに、支持部50の先端面が第一ガスケット装着溝20の底面20bに沿った状態になるようにしてもよいし、支持部50の先端部(他端部)を曲げることで支持部50の先端面(他端面)の向きを調整し、支持部50の先端面が第一ガスケット装着溝20の底面20bに沿った状態になるようにしてもよい。このようにすれば、支持部50の先端(エッジ)が第一ガスケット3に接触しにくくなるため、第一ガスケット3の損傷を防止することができる。