(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(D)遷移金属化合物が周期律表第3〜6族から選ばれる遷移金属原子を有する遷移金属化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン多量化用触媒(III)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明で用いるオレフィン多量化用触媒は以下の様にして製造できる。
なお、本発明において、オレフィンの多量化とは、オレフィンを2〜10量体、好ましくは2〜6量体、より好ましくは2〜4量体にすることである。
【0019】
本発明に係るオレフィン多量化用触媒(III)は、後述する(A)固体状担体に、(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物が担持された固体触媒成分(I)と、(C)(c−1)有機金属化合物、(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c−3)下記(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、とを接触させて得られる予備接触固体触媒成分(II)に、(D)遷移金属化合物を接触させて得られる。
【0020】
以下、各構成成分について説明する。
[固体触媒成分(I)]
本発明において固体触媒成分(I)は、(A)固体状担体に、(B)成分である(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物を担持して得られる。さらに好ましくは、固体触媒成分(I)は、(A)固体状担体に、(B)成分として(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物に加えさらに(b−1)有機アルミニウム化合物を担持して得られる。
【0021】
以下、(A)固体状担体および(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および(b−1)有機アルミニウム化合物について詳説する。
<(A)固体状担体>
本発明で用いられる(A)固体状担体は、無機化合物または有機化合物から形成される顆粒状または微粒子状の固体である。
【0022】
このうち無機化合物としては、無機酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、およびイオン交換性層状化合物などが挙げられる。
上記無機酸化物(ただし、アルカリ金属酸化物は除く)としては、例えば、SiO
2、Al
2O
3、MgO、ZrO、TiO
2、B
2O
3、CaO、ZnO、BaO、およびThO
2などが挙げられる。また、無機酸化物としては、例えば、天然ゼオライト、合成ゼオライト、SiO
2−MgO、SiO
2−Al
2O
3、SiO
2−TiO
2、SiO
2−V
2O
5、SiO
2−Cr
2O
3、およびSiO
2−TiO
2−MgOなどの上記無機酸化物を含む複合酸化物なども挙げられる。また、上記無機酸化物はこれら無機酸化物の混合物であってもよい。
【0023】
これらのうち、SiO
2およびAl
2O
3から選ばれる少なくとも1つを主成分とする無機酸化物が好ましく、SiO
2がより好ましい。なお主成分とは、複数の無機酸化物が含まれる場合、その重量分率が最も高いことを意味する。
【0024】
なお、上記無機酸化物は、少量の副成分、例えば、Na
2CO
3、K
2CO
3、CaCO
3、MgCO
3などの炭酸塩;Na
2SO
4、Al
2(SO
4)
3、BaSO
4などの硫酸塩;KNO
3、Mg(NO
3)
2、Al(NO
3)
3などの硝酸塩;Na
2O、K
2O、およびLi
2Oなどのアルカリ金属酸化物を含んでもよい。
【0025】
上記無機酸化物から形成される固体状担体の性状は、その無機酸化物の種類、製法などによっても異なるが、その粒径は通常0.5〜300μmの範囲であり、また、その比表面積は通常50〜1000m
2/gの範囲である。また、上記無機酸化物から形成される担体は、典型的には多孔質であり、その細孔容積は好ましくは0.3〜3.0cm
3/gの範囲にある。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃で焼成して使用される。
【0026】
上記無機ハロゲン化物としては、例えば、MgCl
2、MgBr
2、MnCl
2、およびMnBr
2などが挙げられる。無機ハロゲン化物は、顆粒状または微粒子状の形状であればそのまま固体状担体として用いることもできるが、必要に応じてボールミル、振動ミルなどにより無機ハロゲン化物を粉砕した後に固体状担体として用いてもよい。また、無機ハロゲン化物をアルコールなどの溶媒に溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0027】
上記粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、上記イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然物に限らず、合成物も使用できる。
【0028】
上記イオン交換性層状化合物の結晶構造としては、例えば、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl
2型、およびCdI
2型などの層状の結晶構造などが挙げられる。
上記粘土および粘土鉱物としては、例えば、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、およびハロイサイトなどが挙げられる。
【0029】
上記イオン交換性層状化合物としては、例えば、α−Zr(HAsO
4)
2・H
2O、α−Zr(KPO
4)
2・3H
2O、α−Ti(HPO
4)
2、α−Ti(HAsO
4)
2・H
2O、α−Sn(HPO
4)
2・H
2O、γ−Zr(HPO
4)
2、γ−Ti(HPO
4)
2、およびγ−Ti(NH
4PO
4)
2・H
2O等の多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0030】
このような粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20オングストローム以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×10
4オングストロームの範囲について測定される。半径20オングストローム以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い多量化活性が得られにくい傾向がある。
【0031】
上記の粘土および粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、特に制限はないが、粘土または粘土鉱物の表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土または粘土鉱物の結晶構造に影響を与える処理などがある。上記化学処理としては、例えば、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、および有機物処理などが挙げられる。酸処理を施すと、例えば、粘土または粘土鉱物の表面の不純物が取り除かれるほか、粘土または粘土鉱物に含まれる結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることにより粘土または粘土鉱物の表面積が増大する。アルカリ処理を施すと、例えば、粘土または粘土鉱物に含まれる結晶構造が破壊され、その結晶構造が変化する。また、塩類処理、有機物処理を施すと、例えば、イオン複合体、分子複合体、または有機誘導体などが形成され、粘土または粘土鉱物の表面積を変えることができ、また、これらにイオン交換性層状化合物が含まれる場合には、その層間距離を変えることができる。
【0032】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、そのイオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の嵩高い(大きい)イオンと交換することにより、層間を拡大させた層状化合物にして用いてもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質(例えば、ゲスト化合物、ゲストイオン)を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物およびゲストイオンとしては、例えばTiCl
4、ZrCl
4等の陽イオン性無機化合物;Ti(OR)
4、Zr(OR)
4、PO(OR)
3、B(OR)
3等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など);[Al
13O
4(OH)
24]
7+、[Zr
4(OH)
14]
2+、[Fe
3O(OCOCH
3)
6]
+等の金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらゲスト化合物およびゲストイオンは単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0033】
また、これらのゲスト化合物およびゲストイオンをインターカレーションする際に、Si(OR)
4、Al(OR)
3、Ge(OR)
4などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解して得た二量化物、SiO
2などのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0034】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、およびイオン交換性層状化合物は、顆粒状または微粒子状の形状であれば固体状担体としてそのまま用いることもできるが、必要に応じて
ボールミルなどによりさらに粉砕した後、あるいは、ふるい分けなどした後に、固体状担体として用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。これらの操作は、単独で行ってもよいし、2種以上を組み合わせて行ってもよい。
【0035】
これら粘土、粘土鉱物、およびイオン交換性層状化合物のうち、粘土および粘土鉱物が好ましく、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母が特に好ましい。
【0036】
上記無機化合物から形成される固体状担体は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記有機化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体などが挙げられる。有機化合物から形成される固体状担体としては、例えば上記化合物から形成される顆粒状または微粒子状固体が挙げられ、これら顆粒状または微粒子状固体の粒径は、10〜300μmの範囲にある。
【0037】
<(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物>
本発明で(A)固体状担体に担持される(B)成分に含まれる(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物としては、従来公知の有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)であってもよく、例えば、特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0038】
上記有機アルミニウムオキシ化合物は、例えば下記方法により製造でき、通常、炭化水素溶媒に含まれる溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、または塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、またはテトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、またはトルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0039】
なお、該有機アルミニウムオキシ化合物は少量のその他の有機金属成分を含有してもよい。また、製造された上記の有機アルミニウムオキシ化合物溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、有機アルミニウムオキシ化合物を溶媒に再溶解、あるいは有機アルミニウムオキシ化合物の貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0040】
有機アルミニウムオキシ化合物を調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、後述する(b−1)に属する有機アルミニウム化合物として例示する物と同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0041】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
上記有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0042】
有機アルミニウムオキシ化合物の調製に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分;上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、または脂環族炭化水素等の炭化水素のハロゲン化物、とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素およびハロゲン化炭化水素が挙げられる。また上記溶媒としては、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテルなども挙げられる。これら溶媒のうち、特に芳香族炭化水素および脂肪族炭化水素が好ましい。
【0043】
上記のベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である化合物をいい、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下である化合物である。
【0044】
また、上記有機アルミニウムオキシ化合物としては、例えば、下記一般式(ii)で表されるボロンを含む有機アルミニウムオキシ化合物も挙げられる。
【0046】
(式(ii)中、R
15は炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示し、R
16は、互いに同一でも異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
上記一般式(ii)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(iii)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
【0047】
R
15−B(OH)
2 ・・・(iii)
(式(iii)中、R
15は上記式(ii)と同一の基を示す。)
上記一般式(iii)で表されるアルキルボロン酸としては、例えば、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、および3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらのうち、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0048】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として、例えば、後述する(b−1)に属する有機アルミニウム化合物として例示する物と同様の有機アルミニウム化合物が挙げられる。これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0049】
これら(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
<(b−1)有機アルミニウム化合物>
本発明で必要に応じて(B)成分として用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記一般式(i)で表される化合物が挙げられる。
【0050】
R
amAl(OR
b)
nH
pX
q ・・・(i)
(式(i)中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
上記(b−1)有機アルミニウム化合物としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。
【0051】
一般式R
amAl(OR
b)
3-m ・・・(i−1)
(式(i−1)中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは0<m≦3であり、好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式R
amAlX
3-m ・・・(i−2)
(式(i−2)中、R
aは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3であり、好ましくは0<m<3である。)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式R
amAlH
3-m ・・・(i−3)
(式(i−3)中、R
aは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは0<m≦3であり、好ましくは2≦m<3である)で表される有機アルミニウム化合物、
一般式R
amAl(OR
b)
nX
q ・・・(i−4)
(式(i−4)中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物。
【0052】
上記(b−1)有機アルミニウム化合物として、より具体的には、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n−アルキル)アルミニウム; トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec−ブチル)アルミニウム、トリ(tert−ブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルブチル)アルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム; ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(iC
4H
9)
xAl
y(C
5H
10)
z(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。iC
4H
9はイソブチル基を表す。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;R
a2.5Al(OR
b)
0.5(式中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−tert−ブチル4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−tert−ブチル4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−tert−ブチル4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−tert−ブチル4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド; ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド; エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム; エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどが挙げられる。
【0053】
これらのうち、触媒の活性および選択性、また入手容易性の観点から、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
【0054】
これら(b−1)有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
<固体触媒成分(I)の調製方法>
本発明に係る固体触媒成分(I)は、前記(A)固体状担体と、前記(B)成分として(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物とを接触することにより調製することができる。前記(B)成分としては、好ましくは、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物と(b−1)有機アルミニウム化合物とを併用する。
【0055】
当該
調製方法により、(A)固体状担体の表面に(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物が担持される。この際、(B)成分として(b−1)有機アルミニウム化合物を併用すると、(A)固体状担体の表面に存在し、かつ(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物との反応性の高い基(例えば、(A)固体状担体としてSiO
2を用いた場合にはSiOH基)が(b−1)有機アルミニウム化合物によって処理されるため、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物の偏在化を抑え、より均一に担持させることが可能となる。
【0056】
固体触媒成分(I)を調製する際には溶媒を用いてもよい。用いられる溶媒としては、(A)固体状担体、および(B)成分に不活性な有機化合物が好ましく、例えば、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0057】
固体触媒成分(I)を調製する際には、(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、アルミニウム原子換算で、固体状担体(A)1g当たり、通常10
-5〜10
-1モル、好ましくは2×10
-5〜5×10
-2モルの量で用いられる。また、(B)成分として(b−1)有機アルミニウム化合物をさらに併用する場合、(b−1)有機アルミニウム化合物は、アルミニウム原子換算で、固体状担体(A)1g当たり、通常5×10
-2モル、好ましくは2×10
-2モルの量を上限として用いられる。
【0058】
(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物の使用量が固体状担体(A)1g当たり、10
-5モルより少ない場合、触媒の活性が不十分となり経済的に不利となるため好ましくない。また、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物の使用量が固体状担体(A)1g当たり、10
-1モルより多い場合、(A)成分に担持しきれない余剰の(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物が発生して経済的に不利となるばかりでなく、α−オレフィンの製造プロセス中で不定形の重合体成分が副生して連続運転性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。
【0059】
(b−1)有機アルミニウム化合物の使用量が固体状担体(A)1g当たり、5×10
-2モルより多い場合、(A)成分に担持しきれない余剰の(b−1)有機アルミニウム化合物が発生して経済的に不利となるばかりでなく、α−オレフィンの製造プロセス中で不定形の重合体成分が副生して連続運転性に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。
【0060】
上記各成分を接触させる際の温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。
このようにして得られる固体触媒成分(I)は、固体状担体(A)1g当たり、(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて(b−1)有機アルミニウム化合物がアルミニウム原子換算で、10
-5〜10
-1モル、好ましくは2×10
-5〜5×10
-2モルの量で担持されていることが望ましい。
【0061】
[予備接触固体触媒成分(II)]
本発明において予備接触固体触媒成分(II)は、上述のようにして得られる固体触媒成分(I)と、(c−1)有機金属化合物、(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物および(c−3)後述する(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、よりなる群から選ばれる少なくとも1つの(C)成分とを接触させて得られる。
【0062】
上述した特許文献4〜7に開示されているようなオレフィン多量化触媒は、上述した固体触媒成分(I)に相当する固体状担体に遷移金属化合物が担持されているが、このような触媒を用いてオレフィンの多量化反応を行った場合、中空化したオレフィン重合体成分が副生する現象が見出されている。当該理由解明のため、触媒の分析を行ったところ、反応中心である遷移金属が固体状担体の最表面に著しく偏って分布していることが明らかとなった。このことから、副生するオレフィン重合体成分が中空化する要因は、オレフィン多量化反応中に、固体状担体の最表面に偏って存在する遷移金属に基づいて、オレフィン重合体が副生してしまうためと考えられる。そして、副生するオレフィン重合体が中空化してしまう詳細な原因は不明ではあるが、固体状担体の最表面に担持された有機アルミニウムオキシ化合物が、会合度の高い状態で存在してしまうため、このような有機アルミニウムオキシ化合物に由来する層は分子鎖が複雑に絡み合っており、遷移金属化合物が担体内部の表面まで進入できるような空間がほとんど残されていないためと推定される。
【0063】
一方、本発明にかかる予備接触固体触媒成分(II)は、固体触媒成分(I)に(C)成分を接触させることにより固体触媒成分(I)の表面に担持された(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物由来のAl−O−Al結合の組み換えがなされ、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物の会合度が下がり、分子鎖の絡み合いが少なくなって空間が形成されるのではないかと推定される。これにより、オレフィン多量化触媒(III)の調製において、後述する(D)遷移金属化合物が、予備接触固体触媒成分(II)の最表面に偏ることなく内部表面にまで比較的均一に分布させることができ、オレフィン多量化反応において内部表面からもオレフィン重合体が生成するため、中空化したオレフィン重合体成分の副生を抑制することが可能となると考えられる。
【0064】
以下、(c−1)有機金属化合物、(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c−3)下記(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、のそれぞれについて詳説する。
【0065】
<(c−1)有機金属化合物>
上記(c−1)有機金属化合物は後述する(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物を除く有機金属化合物であり、典型的には、周期律表第1族(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)、第2族(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra)、第12族(Zn、Cd、Hg)、および第13族(Al、Ga、In、Tl)から選ばれる金属を有する有機金属合物が挙げられる。これら(c−1)有機金属化合物としては、例えば、以下説明する(c−1a)、(c−1b)、および(c−1c)などが挙げられる。
【0066】
(c−1a)下記一般式(c−1a)で表される有機アルミニウム化合物。
R
amAl(OR
b)
nH
pX
q ・・・(c−1a)
(式(c−1a)中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)
(c−1b)下記一般式(c−1b)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
M
2AlR
a4 ・・・(c−1b)
(式(c−1b)中、M
2はLi、NaまたはKを示し、R
aは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す)
(c−1c)下記一般式(c−1c)で表される周期律表第2族または12族金属のジアルキル化合物。
R
aR
bM
3 ・・・(c−1c)
(式(c−1c)中、R
aおよびR
bは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、M
3はMg、ZnまたはCdである)
前記(c−1a)に属する有機アルミニウム化合物としては、上記(b−1)有機アルミニウム化合物と同様のものを例示できる。
【0067】
前記(c−1b)に属する化合物としては、例えば、LiAl(C
2H
5)
4、およびLiAl(C
7H
15)
4などが挙げられる。
前記(c−1c)に属する化合物としては、例えば、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ジメチル亜鉛、およびジエチル亜鉛などが挙げられる。
【0068】
上記(c−1a)〜(c−1c)以外の(c−1)有機金属化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、およびブチルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。
【0069】
また(c−1)有機金属化合物としては、上記多量化反応系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物の組み合わせ、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、およびハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せなどを使用してもよい。
【0070】
これら(c−1)有機金属化合物のうち、(c1−a)有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記(c−1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0071】
<(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物>
(c−2)に属する有機アルミニウムオキシ化合物としては、上記(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物と同様のものを例示できる。
【0072】
これら化合物のうち、触媒の活性および選択性、また入手容易性の観点から、メチルアルミノキサンが特に好ましい。
<(c−3)(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物>
(c−3)(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物とは、後述する(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物である。従って、少なくとも(D)遷移金属化合物と接触させてイオン対を形成するものは、この化合物に含まれる。なお、(c−3)(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物を、以下「イオン化イオン性化合物」とも記す。
【0073】
上記(c−3)に属するイオン化イオン性化合物としては、例えば、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などが挙げられる。さらに上記(c−3)に属するイオン化イオン性化合物としては、例えば、イソポリ酸化合物およびヘテロポリ酸化合物も挙げられる。
【0074】
上記ルイス酸としては、BR
3(Rは、フッ素、メチル基、およびトリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基、またはフッ素である)で示される化合物等が例示でき、BR
3で示される化合物としては、例えば、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、およびトリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0075】
上記イオン性化合物としては、例えば下記一般式(iv)で表される化合物が挙げられる。
【0077】
上記式(iv)中、R
17+は、H
+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、または遷移金属を有するフェロセニウムカチオンである。
【0078】
前記カルボニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、およびトリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンなどが挙げられる。
【0079】
前記アンモニウムカチオンとしては、例えば、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、およびトリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、およびN,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、およびジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0080】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0081】
R
17+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0082】
上記式(iv)中、R
18〜R
21は、互いに同一でも異なっていてもよい有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
また上記イオン性化合物としては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、およびトリアリールホスフォニウム塩なども挙げられる。
【0083】
トリアルキル置換アンモニウム塩として、例えば、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、およびトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ボレートなどが挙げられる。
【0084】
N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、例えば、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、およびN,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
【0085】
ジアルキルアンモニウム塩としては、例えば、ジ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
【0086】
さらに上記イオン性化合物として、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、および下記式(v)または(vi)で表されるホウ素化合物なども挙げられる。
【0088】
(式(v)中、Etはエチル基を示す。)
【0090】
上記ボラン化合物としては、例えば、デカボラン(14);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、およびビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0091】
上記カルボラン化合物としては、例えば、4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、およびビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0092】
イソポリ酸化合物は、イソポリ酸骨格を含む化合物であり、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タンタルおよびタングステンなどから選ばれる1つの金属のオキソ酸が縮合してできた酸またはその塩である。イソポリ酸化合物としては、例えば、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸、タンタル酸、タングステン酸、およびこれらの酸の塩が挙げられる。上記酸の塩としては、例えば、周期律表第1族の金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等)、および周期律表第2族の金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)などの金属と上記酸との無機塩、およびトリフェニルエチル基と上記酸との塩などの有機塩などが挙げられる。
【0093】
ヘテロポリ酸化合物は、ヘテロポリ酸骨格を含む化合物であり、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タンタルおよびタングステンなどから選ばれる少なくとも1つの金属のイソポリ酸骨格に対して、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素および錫などのPブロック元素(周期律表第13族〜第18族に属する元素)であるヘテロ原子が挿入された骨格を有する化合物である。ヘテロポリ酸化合物としては、例えば、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸、およびこれらの酸の塩が挙げられる。上記酸の塩としては、例えば、周期律表第1族の金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等)、および周期律表第2族の金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等)などの金属と上記酸との無機塩、およびトリフェニルエチル基と上記酸との塩などの有機塩などが挙げられる。
【0094】
イソポリ酸化合物およびヘテロポリ酸化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
上記(c−3)に属するイオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0095】
上記(c−1)有機金属化合物、(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物および(c−3)下記(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、のうち、(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物が、上述した、固体触媒成分(I)の表面に担持された(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物由来のAl−O−Al結合の組み換え反応において特に好ましく用いられる。
【0096】
<予備接触固体触媒成分(II)の調製方法>
本発明に係る予備接触固体触媒成分(II)は、前記固体触媒成分(I)と、前記(C)(c−1)有機金属化合物、(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物および(c−3)下記(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物とを接触することにより調製することができる。
【0097】
予備接触固体触媒成分(II)の調製の際には溶媒を用いてもよい。用いられる溶媒としては、上記固体触媒成分(I)および(C)成分に不活性な有機化合物が好ましく、例えば、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0098】
予備接触固体触媒成分(II)を調製する際に(C)成分として(c−1)を用いる場合には、(c−1)と、前記固体触媒成分(I)に含まれる(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(Al(B))とのモル比〔(c−1)/(Al(B))〕が、通常0.001〜2、好ましくは0.002〜1となるような量で用いられる。
【0099】
(C)成分として(c−2)を用いる場合には、(c−2)中のアルミニウム原子(Al(c−2))と、前記固体触媒成分(I)に含まれる(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(Al(B))との原子比〔(Al(c−2))/(Al(B))〕が、通常0.001〜3、好ましくは0.002〜1.5となるような量で用いられる。
【0100】
(C)成分として(c−3)を用いる場合、(c−3)と、前記固体触媒成分(I)に含まれる(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子
(Al(B))とのモル比〔(c−3)/(Al(B))〕が、通常0.002〜1、好ましくは0.002〜0.02となるような量で用いられる。
【0101】
なお、予備接触固体触媒成分(II)の調製において、(c−1)〜(c−3)の成分を複数種用いる場合、各成分の使用量は各々上述した(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(Al(B))とのモル比の関係を満たす。
【0102】
(C)成分の使用量が少なすぎる場合、α−オレフィンの製造プロセス中で副生する重合体成分の粒子性状が中空化して、当該粒子の分離および乾燥プロセスに悪影響を及ぼすため好ましくない。また、(C)成分の使用量が過剰な場合、触媒の活性が低下して経済的に不利となるため好ましくない。
【0103】
上記各成分を接触させる際の温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。
このようにして得られる予備接触固体触媒成分(II)は、固体状担体(A)1g当たり、(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物がアルミニウム原子換算で、通常10
-5〜10
-1モル、好ましくは2×10
-5〜5×10
-2モルの量で担持される。(C)成分として(c−1)を用いる場合、(c−1)は通常10
-8〜2×10
-1モル、好ましくは2×10
-8〜10
-2モルの量で担持される。(C)成分として(c−2)を用いる場合、(c−2)は通常10
-8〜3×10
-1モル、好ましくは2×10
-8〜1.5×10
-2モルの量で担持される。(C)成分として(c−3)を用いる場合、(c−3)は2×10
-8〜10
-1モル、好ましくは2×10
-8〜2×10
-7モルの量で担持される。
【0104】
[オレフィン多量化用触媒(III)]
本発明に係るオレフィン多量化用触媒(III)は、上述した予備接触固体触媒成分(II)に(D)遷移金属化合物を接触させて得られる。
【0105】
<(D)遷移金属化合物>
本発明で用いられる(D)遷移金属化合物としては、オレフィン多量化触媒として機能し得る周期律表第3族〜10族、好ましくは第3族〜6族から選ばれる遷移金属原子を有する遷移金属化合物である。
【0106】
オレフィン多量化触媒として機能し得る遷移金属化合物としては、例えば、特表2004−502527号公報に記載のクロム、モリブデン若しくはタングステン供給源と、少なくとも1種のヒドロカルビル基に結合した少なくとも1個の燐、砒素若しくはアンチモン原子を含有するリガンドとからなる化合物、特開平6−239920号公報に記載のクロム化合物、ピロール含有化合物、および金属アルキルからなる化合物、特開2005−152889号公報に記載のタンタル化合物、特表2004−524959号公報に記載のチタン化合物、特表2006−516265号公報および特表2006−517528号公報に記載のクロム化合物とヘテロ原子配位子とから調製される化合物、特開平6−32745号公報に記載のジルコニウム化合物、Chemical Reviews誌2011年111巻2321〜2341ページに記載の、クロム化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、ハフニウム化合物、タンタル化合物、国際公開第2009/5003号パンフレットに記載のチタン化合物などが挙げられる。
【0107】
上述した、本発明が解決しようとする課題である、「α−オレフィンの製造プロセス中で副生する重合体成分の粒子性状が当該粒子の分離プロセスに悪影響を及ぼさない程度であるオレフィン多量化用触媒を提供すること」を解決するための手段として特に重要な点は、上記予備接触固体触媒成分(II)を得ることにあると本発明者らは考えている。したがって、本発明の効果を奏するうえでは、(D)遷移金属化合物としては、上記例示した化合物を含め、オレフィンの多量化能を有する遷移金属化合物、すなわちオレフィン多量化触媒として機能し得る遷移金属化合物であればいかなる化合物であっても用いることができる。
【0108】
上記遷移金属化合物のうち、下記一般式(1)で表わされる化合物が、触媒活性および得られるα−オレフィンの選択性が高いことから好ましく用いられる。
【0110】
上記一般式(1)中、R
1〜R
6は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。また、R
1はZと連結していてもよい。
【0111】
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。
上記炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−ブロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル(allyl)基、イソプロペニル基などの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基など炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基などの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール(aryl)基;トリル基、イソプロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基などのアルキル置換アリール基;ベンジリデン基、メチリデン基、エチリデン基などの炭素原子数が1〜30、好ましくは5〜10のアルキリデン基などが挙げられる。
【0112】
上記炭化水素基は、その水素原子の少なくとも1つがハロゲンで置換されていてもよく、そのようなハロゲン化炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロフェニル基、およびクロロフェニル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
【0113】
また、上記炭化水素基は、水素原子が他の炭化水素基で置換されていてもよく、そのような炭化水素基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、ジフェニルエチル基、およびトリチル基などのアリール基置換アルキル基などが挙げられる。
【0114】
さらに、上記炭化水素基は、後述するヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ホウ素含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基と連結した基となっていてもよい。
【0115】
これら炭化水素基のうち、メチル基、エチル基、n−ブロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10、より好ましくは2〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基等が好ましい。
【0116】
上記ヘテロ環式化合物残基としては、例えば、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、およびトリアジンなどの含窒素化合物、フラン、およびピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などが挙げられる。なお、上記ヘテロ環式化合物
残基は、その水素原子が、例えば、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、および炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
【0117】
上記酸素含有基としては、例えば、アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、およびカルボン酸無水物基などが挙げられる。
【0118】
上記窒素含有基としては、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基、イミノ基、アルキルイミノ基、アリールイミノ基、イミド基、置換イミド基、アミド基、置換アミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、および、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、またはアルキルアリールアミノ基がアンモニウム塩となった基などが挙げられる。
【0119】
上記アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、エチルメチルアミノ基が好ましい。上記アリールアミノ基としては、ジフェニルアミノ基が好ましい。上記アルキルイミノ基としては、メチルイミノ基、エチルイミノ基、プロピルイミノ基、ブチルイミノ基が好ましい。上記アリールイミノ基としては、フェニルイミノ基が好ましい。上記置換イミド基としては、アセトイミド基、およひベンズイミド基が好ましい。上記置換アミド基としては、アセトアミド基、N−メチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基が好ましい。
【0120】
上記イオウ含有基としては、例えば、メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、およびスルフェニル基などが挙げれる。
【0121】
上記アルキルチオ基としては、メチルチオ基およびエチルチオ基が好ましい。上記アリールチオ基としては、フェニルチオ基、メチルフェニルチオ基、およびナフチルチオ基が好ましい。上記チオエステル基としては、アセチルチオ基、ベンゾイルチオ基、メチルチオカルボニル基、フェニルチオカルボニル基が好ましい。上記スルホンエステル基としては、スルホン酸メチル基、スルホン酸エチル基、スルホン酸フェニル基が好ましい。上記スルホンアミド基としては、フェニルスルホンアミド基、N−メチルスルホンアミド基、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド基が好ましい。
【0122】
上記リン含有基としては、例えば、ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、およびホスファト基などが挙げられる。
上記ホウ素含有基としては、ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基、アルキル基置換ホウ素基、アリール基置換ホウ素基、ハロゲン化ホウ素基、およびアルキル基置換ハロゲン化ホウ素基等の基が例示できる。
【0123】
上記アルキル基置換ホウ素基としては、例えば、(Et)
2B−、(iPr)
2B−、(iBu)
2B−、(Et)
3B、(iPr)
3B、
および(iBu)
3Bなどが挙げられる。上記アリール基置換ホウ素基としては、例えば、(C
6H
5)
2B−、(C
6H
5)
3B、(C
6F
5)
3B、および(3,5−(CF
3)
2C
6H
3)
3Bなどが挙げられる。上記ハロゲン化ホウ素基としては、例えばBCl
2−、およびBCl
3などが挙げられる。上記アルキル基置換ハロゲン化ホウ素基としては、例えば、(Et)BCl−、(iBu)BCl−、および(C
6H
5)
2BClなどが挙げられる。これら基のうち、ホウ素に3つの基が結合した基は、配位結合した状態である場合がある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
【0124】
アルミニウム含有基としては、アルキル基置換アルミニウム基、アリール基置換アルミニウム基、ハロゲン化アルミニウム基、およびアルキル基置換ハロゲン化アルミニウム基等の基が例示できる。
【0125】
上記アルキル基置換アルミニウム基としては、例えば、(Et)
2Al−、(iPr)
2Al−、(iBu)
2Al−、(Et)
3Al、(iPr)
3Al、および(iBu)
3Alが挙げられる。上記アリール基置換アルミニウム基としては、例えば、(C
6H
5)
2Al−などが挙げれる。上記ハロゲン化アルミニウム基としては、例えば、AlCl
2−、およびAlCl
3などが挙げれる。上記アルキル基置換ハロゲン化アルミニウム基としては、例えば、(Et)AlCl−、および(iBu)AlCl−などが挙げられる。これら基のうち、アルミニウムに3つの基が結合した基は、配位結合した状態である場合がある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。
【0126】
上記ケイ素含有基としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、および炭化水素置換シロキシ基などが例示できる。
上記炭化水素置換シリル基としては、例えば、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチル−t−ブチルシリル基、およびジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリル基などが挙げられる。これら炭化水素置換シリル基のうち、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、エチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が特に好ましい。炭化水素置換シロキシ基として具体的には、トリメチルシロキシ基などが挙げられる。
【0127】
上記ゲルマニウム含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基が挙げられる。また、上記スズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基が挙げられる。
【0128】
R
1〜R
6は、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。好ましくは隣接する基が互いに連結して脂肪環、芳香環または、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
【0129】
また、R
1はZと連結していてもよい。R
1がZと連結する場合には、R
1とZとの連結によって、芳香環、脂肪環、窒素原子などの異原子を含む炭化水素環を形成してもよく、これらの環はさらに置換基を有していてもよい。
【0130】
上記R
1〜R
6としては、水素原子、ハロゲン原子、水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルミニウム含有基およびヒドロキシ基が好ましい。
【0131】
上記R
1としては、メチル基、エチル基、およびイソプロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記R
2としては、フェニル基、α−クミル基、tert−ブチル基、および1−アダマンチル基が好ましく、1−アダマンチル基が特に好ましい。
【0132】
上記R
4としては、メチル基、シクロヘキシル基、tert−ブチル基、および1−アダマンチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記一般式(1)において、Mは周期律表第3〜10族から選ばれる遷移金属原子を示し、nはMの原子価を示す。
【0133】
上記Mとしては、例えば、イットリウム、スカンジウム、およびランタン等の周期律表第3族の遷移金属原子;チタン、ジルコニウム、およびハフニウム等の周期律表第4族の遷移金属原子;バナジウム、およびタンタル等の周期律表第5族の遷移金属原子;クロム等の周期律表第6族の遷移金属原子;鉄等の周期律表第8族の遷移金属原子;コバルト等の周期律表第9族の遷移金属原子;ニッケル等の周期律表第10族の遷移金属原子;銅等の周期律表第11族の遷移金属原子が好ましい。これらMとしては、周期律表第4族の遷移金属原子がより好ましく、チタン、ジルコニウム、およびハフニウムがさらに好ましく、チタンが特に好ましい。
【0134】
nは遷移金属原子Mに対応する価数である。遷移金属原子Mがイットリウム、スカンジウム、またはランタンである場合には、nは通常3である。遷移金属原子Mがチタン、ジルコニウム、およびハフニウム等の周期律表第4族の遷移金属原子である場合にはnは通常4である。遷移金属原子Mがバナジウムまたはタンタルである場合にはnは通常3〜5である。遷移金属原子Mがクロムである場合にはnは通常3である。遷移金属原子Mがコバルト、鉄、ニッケル、または銅である場合にはnは通常2である。
【0135】
前記一般式(1)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。なお、Xで示される原子や基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0136】
ここで、ハロゲン原子としては通常、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
炭化水素基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものも挙げられる。
【0137】
上記炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、アイコシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの炭素原子数が3〜30の環状飽和炭化水素基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基などのアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などのアリール基などが挙げられる。
【0138】
また、上記炭化水素基はその水素原子の少なくとも1つがハロゲンで置換されていてもよく、そのようなハロゲン化炭化水素基としては、炭素原子数が1〜30のハロゲン化炭化水素基が好ましく、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基が
より好ましい。
【0139】
ヘテロ環式化合物残基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものが挙げられる。
上記酸素含有基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものも挙げられる。上記酸素含有基としては、例えば、ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、およびブトキシ基などのアルコシキ基;フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、およびナフトキシ基などのアリーロキシ基;フェニルメトキシ基、およびフェニルエトキシ基などのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基などが挙げられる。
【0140】
イオウ含有基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものも挙げられる。上記イオウ含有基としては、例えば、メチルスルフォネート基、トリフルオロメタンスルフォネート基、フェニルスルフォネート基、ベンジルスルフォネート基、p−トルエンスルフォネート基、およびトリメチルベンゼンスルフォネート基、トリイソブチルベンゼンスルフォネート基、p−クロルベンゼンスルフォネート
基、ペンタフルオロベンゼンスルフォネート基などのスルフォネート基;メチルスルフィネート基、フェニルスルフィネート基、ベンジルスルフィネート基、p−トルエンスルフィネート基、トリメチルベンゼンスルフィネート基、およびペンタフルオロベンゼンスルフィネート基などのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基などが挙げられる。
【0141】
窒素含有基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものも挙げられる。上記窒素含有基としては、例えば、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、およびジシクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジナフチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアリールアミノ基、アルキルアリールアミノ基などが挙げられる。
【0142】
ホウ素含有基としては、例えば、テトラフェニルボレート以外のBR
4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
リン含有基としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、およびトリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、およびトリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、およびフェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
【0143】
ケイ素含有基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものも挙げられる。上記ケイ素含有基としては、例えば、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0144】
ゲルマニウム含有基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものも挙げられる。上記ゲルマニウム含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した基などが挙げられる。
【0145】
スズ含有基としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものも挙げられる。上記スズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をスズに置換した基などが挙げられる。
【0146】
ハロゲン含有基としては、例えば、PF
6、BF
4などのフッ素含有基;ClO
4、SbCl
6などの塩素含有基;IO
4などのヨウ素含有基などが挙げられる。
アルミニウム含有基としては、例えば、AlR
4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)などが挙げられる。
【0147】
これらXのうちでも、ハロゲン原子、アルキル基が好ましく、塩素、臭素、メチル基がより好ましい。
前記一般式(1)中、Yは酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を表し、エーテル構造、ケトン構造、アミン構造、イミン構造等を構成する原子である。
【0148】
前記一般式(1)中、Zは置換基を有していてもよい炭化水素基またはヘテロ環式化合物残基を示し、YとNとを結ぶ最短結合数は4〜6である。
YとNとを結ぶ最短結合数が4〜6であることにより、(D)遷移金属化合物を含むオレフィン多量化用触媒は、エチレンの多量化反応を行った場合には、1−ヘキセンを高い選択性で製造することができる。なお、YとNとを結ぶ最短結合数が5または6であることが、1−ヘキセンをより高い選択性で製造することができるため好ましい。
【0149】
YとNとを結ぶ最短結合数が3以下である場合、NとYとの間に充分な距離が保てず、例えばWO/01/44324号パンフレット、Organometallics誌2004年23巻1684−1688頁、Organometallics誌2006年25巻3259−3266頁に記載の化合物のように、エチレン重合触媒すなわち、オレフィンのポリマー化触媒となり、1−ヘキセン等のオレフィン多量体を好適に得ることが難しい。
【0150】
また、YとNとを結ぶ最短結合数が7以上である場合、Yが金属原子Mに配位することができず、例えば、Yの存在しないDalton Transaction誌2005年561−571頁に記載の化合物のようにエチレン重合触媒すなわち、オレフィンのポリマー化触媒となり、1−ヘキセン等のオレフィン多量体を好適に得ることが難しい。
【0151】
なお、YとNとを結ぶ最短結合数とは、下記(a)、(b)のようにして数えることができ、(a)の場合には4であり、(b)の場合には5である。
【0154】
Zは、Nと前記Yとを結ぶ基であり、Y、NおよびZが一般式(2)で表わされる構造を形成することが好ましい。
【0156】
一般式(2)中、Yは、酸素原子、窒素原子、リン原子または硫黄原子を示す。
またR
7〜R
10は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうちR
7〜R
10が炭化水素基の場合には、R
7とR
8は互いに連結して環を形成していてもよく、R
9とR
10は互いに連結して環を形成していてもよい。
【0157】
R
7〜R
10の具体例としては、前記一般式(1)のR
1〜R
6で例示したものと同様のものが挙げられる。
Y、NおよびZが形成する構造の具体例としては下記(C)〜(H)に示す構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、下記(C)〜(H)の構造の中で水素原子がR
1〜R
6で例示した置換基によって置換されていてもよい。但し、下記(C)〜(H)に示す構造には、R
1がZと連結している構造が含まれている。
【0158】
なお、下記具体例において、炭素・炭素二重結合に接合する波線は、シス体またはトランス体を意味する。
【0165】
前記
一般式(1)中、YとZとを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよく、YとR
1とを結ぶ結合は二重結合もしくは三重結合であってもよい。また
一般式(1)中、点線表示は配位結合を示す。
【0166】
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記化学式で示される化合物が挙げられる。
【0173】
<オレフィン多量化用触媒(III)の調製方法>
本発明に係るオレフィン多量化用触媒(III)は、前記予備接触固体触媒成分(II)と、前記(D)遷移金属化合物とを接触することにより調製することができる。
【0174】
オレフィン多量化用触媒の調製の際には溶媒を用いてもよい。用いられる溶媒としては、上記予備接触固体触媒成分(II)および(D)遷移金属化合物に不活性な有機化合物が好ましく、例えば、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物などが挙げられる。
【0175】
オレフィン多量化用触媒(III)を調製する際には、(D)遷移金属化合物は、遷移金属原子換算で、固体状担体(A)1g当たり、通常0.005〜0.5ミリモル、好ましくは0.01〜0.2ミリモルの量で用いられる。また、(B)成分である(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(Al(B))と(D)遷移金属化合物中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al(B)/M)は、通常10〜2000、好ましくは100〜1000である。
【0176】
(D)遷移金属化合物の使用量が、固体状担体(A)1g当たり、0.005ミリモルより少ないと、触媒の活性が不十分となり経済的に不利となるため好ましくない。一方、(D)遷移金属化合物の使用量、固体状担体(A)1g当たり、0.5ミリモルより過剰だと、遷移金属原子当たりの触媒活性が低下するばかりでなく、α−オレフィンの製造プロセス中で副生する重合体成分の粒子性状が中空化して、当該粒子の分離および乾燥プロセスに悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0177】
また、Al(B)/Mが10より小さいと、遷移金属原子当たりの触媒活性が低下するばかりでなく、α−オレフィンの製造プロセス中で副生する重合体成分の粒子性状が中空化して、当該粒子の分離および乾燥プロセスに悪影響を及ぼすため好ましくない。一方。Al(B)/Mが2000より大きいと、触媒の活性が不十分となり経済的に不利となるため好ましくない。
【0178】
上記各成分を接触させる際の温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。
このようにして得られるオレフィン多量化用触媒(III)は、固体状担体(A)1g当たり、(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物がアルミニウム原子換算で、通常10
-5〜10
-1モル、好ましくは2×10
-5〜5×10
-2モルの量で担持される。(C)成分として(c−1)を用いる場合、(c−1)は通常10
-8〜2×10
-1モル、好ましくは2×10
-8〜10
-2モルの量で担持される。(C)成分として(c−2)を用いる場合、(c−2)は通常10
-8〜3×10
-1モル、好ましくは2×10
-8〜1.5×10
-2モルの量で担持される。(C)成分として(c−3)を用いる場合、(c−3)は通常2×10
-8〜10
-1モル、好ましくは2×10
-8〜2×10
-7モルの量で担持される。(D)遷移金属化合物は、遷移金属原子換算で、通常0.005〜0.5ミリモル、好ましくは0.01〜0.2ミリモルの量で担持される。
【0179】
<(E)有機化合物>
本発明においてオレフィン多量化用触媒(III)は、必要に応じてさらに、下記(E)有機化合物を含むこともできる。
【0180】
本発明において(E)有機化合物は、必要に応じて、オレフィン多量化の性能を向上させる目的で使用される。このような(E)有機化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられる。
【0181】
アルコール類およびフェノール性化合物としては、例えば、R
22−OH(ここで、R
22は炭素原子数1〜50の炭化水素基、または炭素原子数1〜50の ハロゲン化炭化水素基を示す。)で表される化合物が挙げられる。上記アルコール類としては、R
22がハロゲン化炭化水素のものが好ましい。上記フェノール性化合物としては、水酸基のα,α’−位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換されたものが好ましい。
【0182】
カルボン酸としては、例えば、R
23−COOH(ここで、R
23は炭素原子数1〜50の炭化水素基、または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示し、好ましくは炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。)で表される化合物が挙げられる。
【0183】
リン化合物としては、例えば、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR、P=O結合を有するホスフェート、ホスフィンオキシド化合物などが挙げられる。
スルホン酸塩としては、例えば、下記一般式(vii)で表される塩が挙げられる。
【0185】
式(vii)中、M
4は周期律表第1〜14族から選ばれる原子である。R
24は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基、または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基である。mは1〜7の整数であり、nはMの価数であり、1≦n≦7である。
【0186】
(E)有機化合物の使用法は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)(B)(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物および必要に応じて用いられる(b−1)有機アルミニウム化合物と(E)有機化合物を任意の順序で固体状担体(A)に担持する方法。
【0187】
(2)固体触媒成分(I)と、(C)(c−1)有機金属化合物、(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(c−3)(D)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、と(E)有機化合物を任意の順序で接触させる方法。
【0188】
(3)予備接触固体触媒成分(II)と(D)遷移金属化合物と(E)有機化合物を任意の順序で接触させる方法。
(E)有機化合物は、(B)成分として、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、(E)有機化合物と(b−2)中のアルミニウム原子とのモル比〔(E)/(b−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。また(B)成分として、さらに(b−1)有機アルミニウム化合物を併用する場合、(b−1)は、モル比〔(E)/(b−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0189】
本発明のオレフィン多量化用触媒(III)は、オレフィンの多量化に好適に用いることができる。多量化するオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンなどのα−オレフィン;2−ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの内部オレフィン;ビニルシクロヘキセン、スチレンなどのその他のオレフィン結合を有するビニル化合物などが挙げられる。これらオレフィンの中でも、エチレンが特に好ましい。
【0190】
上記オレフィンを多量化する場合には、1種単独で多量化してもよく、2種以上のオレフィンを組み合わせて、共多量化させてもよい。
以下、前記オレフィン多量化用触媒(III)の存在下で、オレフィンの多量化反応を行うオレフィン多量体の製造方法について説明する。
【0191】
[オレフィン多量体の製造方法]
本発明に係るオレフィン多量体の製造方法は、上述したオレフィン多量化用触媒(III)の存在下に、オレフィンの多量化反応、好ましくは三量化反応若しくは四量化反応をすることにより行われる。好ましくはオレフィンとしてエチレンを用いたエチレンの多量化反応であり、特に好ましくはエチレンの三量化により1−ヘキセンを製造する方法、エチレンの四量化により1−オクテンを製造する方法である。
【0192】
本発明で、多量化反応は溶解反応、懸濁反応などの液相反応法または気相反応法のいずれにおいても実施できる。
液相反応法においては、上記オレフィン多量化様触媒(III)およびオレフィン分に不活性な有機化合物を溶媒として用いる。用いられる有機化合物としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、および灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、およびメチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、およびテトラリンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、およびジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、およびこれらの混合物などが挙げられる。これら有機化合物のうち、ペンタン、n−ヘキサン、およびn−へブタンが特に好ましい。
【0193】
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応は、必要に応じて(F)有機アルミニウム化合物を用いることができる。(F)有機アルミニウム化合物に属する化合物としては、上述した(b−1)有機アルミニウム化合物と同様のものを例示することができる。これらのうち、トリアルキルアルミニウムが好ましく、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
【0194】
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応は、必要に応じて(G)有機化合物を用いることができる。(G)有機化合物に属する化合物としては、上述した(E)有機化合物と同様のものを例示することができる。
【0195】
多量化反応の際、上記オレフィン多量化用触媒(III)(以下単に「成分(III)という」)を反応器に添加する方法、各成分の使用法、添加方法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
【0196】
(1)成分(III)のみを反応器に添加する方法。
(2)成分(III)および(F)有機アルミニウム化合物を任意の順序で反応器に添加する方法。
【0197】
(3)成分(III)と(F)有機アルミニウム化合物を予め接触させた触媒を反応器に添加する方法。
(4)成分(III)および(G)有機化合物を任意の順序で反応器に添加する方法。
【0198】
(5)成分(III)と(G)有機化合物を予め接触させた触媒を反応器に添加する方法。
(6)成分(III)、(F)有機アルミニウム化合物および(G)有機化合物を任意の順序で反応器に添加する方法。
【0199】
(7)成分(III)、(F)有機アルミニウム化合物および(G)有機化合物を予め任意の順序で接触させた触媒を反応器に添加する方法。
(8)成分(III)と(F)有機アルミニウム化合物を予め接触させた触媒成分および(G)有機化合物を任意の順序で反応器に添加する方法。
【0200】
(9)成分(III)と(G)有機化合物を予め接触させた触媒成分および(F)有機アルミニウム化合物を任意の順序で反応器に添加する方法。
(10)(F)有機アルミニウム化合物と(G)有機化合物を予め接触させた触媒成分および成分(III)を任意の順序で反応器に添加する方法。
【0201】
上記のようなオレフィン多量化用触媒を用いて、オレフィンを多量化することによりオレフィン多量体を製造、好ましくはエチレンの三量化により1−ヘキセンの製造もしくはエチレンの四量化により1−オクテンの製造を行う場合には、(D)遷移金属化合物は、反応容積1リットル当り、通常10
-12〜10
-2モル、好ましくは10
-10〜10
-3モルとなるような量で用いられる。本発明では、(D)遷移金属化合物を比較的薄い濃度で用いた場合であっても、高い多量化活性でオレフィン多量体を得ることができる。
【0202】
前記(F)有機アルミニウム化合物は、(D)遷移金属化合物に対して、(F)有機アルミニウム化合物中のアルミニウム原子(Al(F))と(D)遷移金属化合物中の遷移金属原子(M)とのモル比(Al(F)/M)が通常0.01〜1000、好ましくは0.05〜500となるような量で用いられる。
【0203】
(G)有機化合物は、(B)成分として、(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、(G)有機化合物と(b−2)中のアルミニウム原子とのモル比〔(G)/(b−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。また(B)成分として、さらに(b−1)有機アルミニウム化合物を併用する場合、(b−1)は、モル比〔(G)/(b−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
【0204】
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応温度は、通常、−50〜200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。反応圧力は、通常、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜5MPaの条件である。またオレフィン多量化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法で行ってもよい。
【0205】
このようなオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィン多量化の反応は帯電防止剤を添加して行っても良い。帯電防止剤としてはポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジステアレート、エチレンジアミン−PEG−PPG−ブロックコポリマー、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(例えば、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールブロック共重合体(PEG−PPG−PEG))などが好ましく、特にポリオキシアルキレン(PEG−PPG−PEG)が好ましい。これらの帯電防止剤は(D)遷移金属化合物中の遷移金属原子(M)のモル当たりに対する質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは100〜1000となるような量で用いられる。
【0206】
またオレフィン多量化反応は、水素を添加して行っても良い。反応時の水素の圧力は通常0.01MPa〜5MPa、好ましくは0.01MPa〜1MPaの条件である。
【実施例】
【0207】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、反応生成物の収量および1−ヘキセン(1−オクテン、デセン類)の選択率は、ガスクロマトグラフィー(島津GC−14A、J&W Scientific DB−5カラム)を用いて分析した。
【0208】
[触媒活性]
単位時間当たりに得られた反応生成物の質量を、多量化に使用した遷移金属触媒成分中の遷移金属原子量(ミリモル)で除して求めた。
【0209】
[1−ヘキセン(
1−オクテン、デセン類)の選択率]
以下の式に従い1−ヘキセン(1−オクテン、デセン類)の選択率を求めた。
S(%)=Wp/Wr×100
S(%):1−ヘキセンの選択率(重量分率)
Wr(重量):反応により生成した炭素原子数が4以上からなる生成物の合計重量
Wp(重量):反応により生成した1−ヘキセンの重量
なお、1−オクテン、デセン類の選択率は上記方法に準じて求めた。
【0210】
[タップ密度]
副生したポリエチレン粒子のタップ密度(g/cm
3 )は、以下のとおり測定した。
副生したポリエチレン粒子約200mgを1mLプラスチック製メスシリンダー(最小目盛単位0.01mL)に入れて質量を測定した。その後、ストーンテーブル上において、手でタップ速度約250回/分、落下高さ約3mmでタップした。数十回タップするごとにかさ体積を読み取り、連続して読み取ったかさ体積の体積変化が0.01mL以下となるまでタップして最終タップ体積を読み取った。タップ密度(g/cm
3 )は先に測定した副生したポリエチレン粒子の質量を最終タップ体積で除して求めた。
【0211】
[揮発分]
副生したポリエチレン粒子中の揮発分VM(wt%)は、副生したポリエチレン粒子を反応液から濾別した直後の質量W1を測定した後、80℃にて1時間減圧乾燥して再度質量W2を測定し、以下の式に従い求めた。
【0212】
VM(%)=(W1−W2)/W1×100
[エチレン重合体観察方法]
走査電子顕微鏡(日本電子JSM−6510LV)にて副生したポリエチレン粒子を観察し、固体触媒成分との形状を比較することにより中空化の有無を判定した。
【0213】
以下に本発明のオレフィン多量化用触媒の調製方法およびエチレン多量化の具体的な実施例および比較例を示す。
[実施例1]
(固体触媒成分(I−1)の調製)
平均粒子径50μmのシリカ(商品名:M.S.GEL、AGCエスアイテック社製)8.0kgをトルエン82.0Lに分散させ、50℃に昇温した。このスラリーにトリイソブチルアルミニウムトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度2.1重量%)3.4kgをトルエン3.0Lで希釈した溶液を窒素雰囲気下、撹拌しながら添加し、次いでポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.1重量%)23.5Lをトルエン23.5Lで希釈した溶液を40分かけて添加した。この間、反応混合物の温度は50〜53℃に保持した。滴下終了後、温度を保持しながらさらに30分間撹拌した後、45分かけて95℃に昇温した。反応混合物の温度を95〜100℃で4時間保持した後、60℃まで降温し、撹拌を停止した。粒子が沈降した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを73L抜き出した。トルエンを95L添加し、30分攪拌した後、再度、撹拌を停止して静置した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを95L抜き出した。この洗浄操作を60℃で2回、常温で2回行った後、トルエン33Lを添加し、スラリー濃度を126g/Lに調整した固体触媒成分(I−1)のトルエンスラリーを得た。
【0214】
(予備接触固体触媒成分(II−1)の調製)
上記固体触媒成分(I−1)のトルエンスラリー30mLを静置して上澄みのトルエンを17.1mL抜き出した後に、攪拌しながらスラリー10mLを採取し、充分に窒素置換した50mLフラスコに装入した。ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.0重量%)0.11mLをトルエン6.29mLで希釈した溶液を添加し、常温で3時間撹拌して予備接触固体触媒成分(II−1)のトルエンスラリーを得た。
【0215】
(オレフィン多量化用触媒(III−1)の調製)
上記予備接触固体触媒成分(II−1)のトルエンスラリーに対し、以下に示す特許文献4記載のチタン化合物9のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L)を12.9mL添加し、常温で3時間撹拌した。撹拌を停止し、粒子が沈降した後、上澄みのトルエンを10mL抜き出した。トルエンを35mL添加して10分間撹拌し、撹拌を停止して静置した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを35mL抜き出した。トルエンを30mL添加して10分間撹拌し、撹拌を停止して静置した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを30mL抜き出した。この洗浄操作を2回繰り返した後、トルエンを10mL添加し、スラリー濃度を87g/Lに調整したオレフィン多量化用触媒(III−1)のトルエンスラリーを得た。
【0216】
【化23】
【0217】
(多量化反応)
充分に窒素置換した内容積500mLのオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.05mmol加えたn−ヘプタン150mLを入れ、攪拌した。次いでアデカプルロニックL−71(ADEKA社製)のトルエン溶液(濃度6g/L)を1mL添加した。前記オレフィン多量化用触媒(III−1)のトルエンスラリー0.455mLをトルエン4mLで希釈したトルエンスラリーを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.0MPa−G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45−52℃で60分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は1.0%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は74kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.7%、デセン類の選択率は12.3%、ポリエチレンの選択率は1.0%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は21%、タップ密度は0.50g/mLであった。
【0218】
図1に固体触媒成分(I−1)の電子顕微鏡写真(200倍)を、
図2に副生ポリエチレン粒子の電子顕微鏡写真(200倍)を示す。副生ポリエチレン粒子は固体触媒成分(I−1)の形状を保っていることから、中空化が起きていないことがわかる。
【0219】
[実施例2]
(予備接触固体触媒成分(II−2)の調製)
実施例1の予備接触固体触媒成分(II−1)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.0重量%)0.11mLをトルエン6.29mLで希釈した溶液の代わりに、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.0重量%)0.21mLをトルエン6.19mLで希釈した溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−2)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−2)の調製)
実施例1のオレフィン多量化用触媒(III−1)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−1)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−2)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−2)のトルエンスラリーを得た。
【0220】
(多量化反応)
実施例1の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−1)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−2)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は86%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は13%、ポリエチレンの選択率は1.2%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は70kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.1%、デセン類の選択率は12.7%、ポリエチレンの選択率は1.2%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は20%、タップ密度は0.54g/mLで、中空化は見られなかった。
【0221】
[実施例3]
(予備接触固体触媒成分(II−3)の調製)
実施例1の予備接触固体触媒成分(II−1)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.0重量%)0.11mLをトルエン6.29mLで希釈した溶液の代わりに、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.0重量%)0.32mLをトルエン6.08mLで希釈した溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−3)のトルエンスラリーを得た。
【0222】
(オレフィン多量化用触媒(III−3)の調製)
実施例1のオレフィン多量化用触媒(III−1)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−1)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−3)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−3)のトルエンスラリーを得た。
【0223】
(多量化反応)
実施例1の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−1)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−3)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は13%、ポリエチレンの選択率は1.0%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は69kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.5%、デセン類の選択率は12.5%、ポリエチレンの選択率は1.0%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は24%、タップ密度は0.51g/mLで、中空化は見られなかった。
【0224】
[比較例1]
(予備接触固体触媒成分(II−比1)の調製)
実施例1の予備接触固体触媒成分(II−1)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.0重量%)0.11mLをトルエン6.29mLで希釈した溶液の代わりに、トルエン6.4mLを用いたこと以外は実施例1と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−比1)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−比1)の調製)
実施例1のオレフィン多量化用触媒(III−1)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−1)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−比1)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−比1)のトルエンスラリーを得た。
【0225】
(多量化反応)
実施例1の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−1)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−比1)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は1.1%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は53kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.7%、デセン類の選択率は12.2%、ポリエチレンの選択率は1.1%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は40%、タップ密度は0.36g/mLであった。
【0226】
図3に副生ポリエチレン粒子の電子顕微鏡写真(200倍)を示す。副生ポリエチレン粒子は
図1に示す固体触媒成分(I−1)の形状とは大きく異なっており、中空化が起きたことがわかる。
【0227】
[実施例4]
(固体触媒成分(I−2)の調製)
平均粒子径30μmのシリカ(商品名:M.S.GEL、AGCエスアイテック社製)7.4kgをトルエン86.0Lに分散させ、50℃に昇温した。このスラリーにトリイソブチルアルミニウムトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度2.1重量%)2.4kgをトルエン3.7Lで希釈した溶液を窒素雰囲気下、撹拌しながら添加し、次いでポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度9.0重量%)22.0Lをトルエン22.0Lで希釈した溶液を40分かけて添加した。この間、反応混合物の温度は50〜53℃に保持した。滴下終了後、温度を保持しながらさらに30分間撹拌した後、45分かけて95℃に昇温した。反応混合物の温度を95〜100℃で4時間保持した後、60℃まで降温し、撹拌を停止した。粒子が沈降した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを77L抜き出した。トルエンを90L添加し、30分間撹拌した後、再度、撹拌を停止して静置した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを90L抜き出した。この洗浄操作を60℃で2回、常温で2回行った後、トルエン30Lを添加し、スラリー濃度を125g/Lに調整した固体触媒成分(I−2)のトルエンスラリーを得た。
【0228】
(予備接触固体触媒成分(II−4)の調製)
上記固体触媒成分(I−2)のトルエンスラリー30mLを静置して上澄みのトルエンを17.8mL抜き出した後に、攪拌しながらスラリー10mLを採取し、充分に窒素置換した50mLフラスコに装入した。ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液を添加し、常温で3時間撹拌して予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーを得た。
【0229】
(オレフィン多量化用触媒(III−4)の調製)
上記予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーに対し、前記特許文献4記載のチタン化合物9のトルエン溶液(濃度2.5mmol/L)を12.9mL添加し、常温で3時間撹拌した。撹拌を停止し、粒子が沈降した後、上澄みのトルエンを10mL抜き出した。トルエンを35mL添加して10分間撹拌し、撹拌を停止して静置した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを35mL抜き出した。トルエンを30mL添加して10分間撹拌し、撹拌を停止して静置した後、ディップノズルから上澄みのトルエンを30mL抜き出した。この洗浄操作を2回繰り返した後、トルエンを10mL添加し、スラリー濃度を74g/Lに調整したオレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーを得た。
【0230】
(多量化反応)
充分に窒素置換した内容積500mLのオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(1.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.05mmol加えたn−ヘプタン150mLを入れ、攪拌した。次いでアデカプルロニックL−71(ADEKA社製)のトルエン溶液(濃度6g/L)を1mL添加した。前記オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリー0.455mLをトルエン4mLで希釈したトルエンスラリーを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.5MPa−G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45−52℃で60分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は86%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は0.9%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は130kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.3%、デセン類の選択率は12.8%、ポリエチレンの選択率は0.9%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は15%、タップ密度は0.55g/mLで、中空化は見られなかった。
【0231】
[実施例5]
(予備接触固体触媒成分(II−5)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.05mLをトルエン6.42mLで希釈した溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−5)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−5)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−5)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−5)のトルエンスラリーを得た。
【0232】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−5)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は86%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は13%、ポリエチレンの選択率は0.8%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は121kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.3%、デセン類の選択率は12.9%、ポリエチレンの選択率は0.8%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は24%、タップ密度は0.56g/mLで、中空化は見られなかった。
【0233】
[実施例6]
(予備接触固体触媒成分(II−6)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.22mLをトルエン6.26mLで希釈した溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−6)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−6)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−6)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−6)のトルエンスラリーを得た。
【0234】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−6)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は13%、ポリエチレンの選択率は0.9%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は132kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.6%、デセン類の選択率は12.5%、ポリエチレンの選択率は0.9%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は27%、タップ密度は0.57g/mLで、中空化は見られなかった。
【0235】
[比較例2]
(予備接触固体触媒成分(II−比2)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、トルエン6.47mLを用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−比2)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−比2)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−比2)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−比2)のトルエンスラリーを得た。
【0236】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−比2)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は1.0%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は120kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.8%、デセン類の選択率は12.2%、ポリエチレンの選択率は1.0%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は42%、タップ密度は0.38g/mLで、中空化が確認された。
【0237】
[実施例7]
(予備接触固体触媒成分(II−7)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、メチルアルミノキサンのヘキサン溶液(東ソー・ファインケム社MMAO−3A;Al濃度2.13mol/L)0.16mLをトルエン6.31mLで希釈した溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−7)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−7)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−7)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−7)のトルエンスラリーを得た。
【0238】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−7)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は86%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は13%、ポリエチレンの選択率は0.8%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は132kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.4%、デセン類の選択率は12.8%、ポリエチレンの選択率は0.8%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は32%、タップ密度は0.53g/mLで、中空化は見られなかった。
【0239】
[実施例8]
(予備接触固体触媒成分(II−8)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(Albemarle社製;Al濃度3.0mol/L)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液を用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−8)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−8)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−8)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−8)のトルエンスラリーを得た。
【0240】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−8)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は13%、ポリエチレンの選択率は0.8%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は128kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.7%、デセン類の選択率は12.5%、ポリエチレンの選択率は0.8%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は27%、タップ密度は0.60g/mLで、中空化は見られなかった。
【0241】
[実施例9]
(予備接触固体触媒成分(II−9)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、トリメチルアルミニウムのヘキサン溶液(関東化学社製;Al濃度1.4mol/L)をトルエンで0.05mol/Lに希釈した溶液6.47mLを用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−9)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−9)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−9)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−9)のトルエンスラリーを得た。
【0242】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−9)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は0.7%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は136kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は87.0%、デセン類の選択率は12.3%、ポリエチレンの選択率は0.7%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は24%、タップ密度は0.59g/mLで、中空化は見られなかった。
【0243】
[実施例10]
(予備接触固体触媒成分(II−10)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、トリメチルアルミニウムのヘキサン溶液(関東化学社製;Al濃度1.4mol/L)をトルエンで0.015mol/Lに希釈した溶液6.47mLを用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−10)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−10)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−10)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−10)のトルエンスラリーを得た。
【0244】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−10)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は88%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は0.6%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は168kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は87.6%、デセン類の選択率は11.8%、ポリエチレンの選択率は0.6%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は33%、タップ密度は0.58g/mLで、中空化は見られなかった。
【0245】
[実施例11]
(予備接触固体触媒成分(II−11)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、ジメチルアルミニウムクロリドのヘキサン溶液(関東化学社製;Al濃度1.0mol/L)をトルエンで0.05mol/Lに希釈した溶液6.47mLを用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−11)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−11)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−11)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−11)のトルエンスラリーを得た。
【0246】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−11)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は1.2%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は103kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は86.5%、デセン類の選択率は12.3%、ポリエチレンの選択率は1.2%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は34%、タップ密度は0.55g/mLで、中空化は見られなかった。
【0247】
[実施例12]
(予備接触固体触媒成分(II−12)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、ジメチルアルミニウムクロリドのヘキサン溶液(関東化学社製;Al濃度1.0mol/L)をトルエンで0.015mol/Lに希釈した溶液6.47mLを用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−12)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−12)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−12)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−12)のトルエンスラリーを得た。
【0248】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−12)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は87%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は0.7%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は149kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は87.0%、デセン類の選択率は12.3%、ポリエチレンの選択率は0.7%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は27%、タップ密度は0.57g/mLで、中空化は見られなかった。
【0249】
[実施例13]
(予備接触固体触媒成分(II−13)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、ジメチル亜鉛のヘキサン溶液(関東化学社製;Zn濃度1.0mol/L)をトルエンで0.05mol/Lに希釈した溶液6.47mLを用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−13)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−13)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−13)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−13)のトルエンスラリーを得た。
【0250】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−13)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は88%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は0.7%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は140kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は87.5%、デセン類の選択率は11.8%、ポリエチレンの選択率は0.7%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は34%、タップ密度は0.52g/mLで、中空化は見られなかった。
【0251】
[実施例14]
(予備接触固体触媒成分(II−14)の調製)
実施例4の予備接触固体触媒成分(II−4)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.11mLをトルエン6.36mLで希釈した溶液の代わりに、ジメチル亜鉛のヘキサン溶液(関東化学社製;Zn濃度1.0mol/L)をトルエンで0.015mol/Lに希釈した溶液6.47mLを用いたこと以外は実施例4と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−14)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−14)の調製)
実施例4のオレフィン多量化用触媒(III−4)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−4)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−14)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−14)のトルエンスラリーを得た。
【0252】
(多量化反応)
実施例4の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−4)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−14)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例4と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は88%であった。その他の生成物としてデセン類の選択率は12%、ポリエチレンの選択率は0.6%であり、これらの生成物量合計から算出した触媒活性は149kg−生成物/(mmol−Ti・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は87.6%、デセン類の選択率は11.8%、ポリエチレンの選択率は0.6%である)。ポリエチレン粒子の揮発分は29%、タップ密度は0.56g/mLで、中空化は見られなかった。
【0253】
[実施例15]
(予備接触固体触媒成分(II−15)の調製)
グローブボックス中で、固体触媒成分(I−2)のトルエンスラリー3.05mLを20mLフラスコに装入し、攪拌しながらポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.045mLをトルエン2.66mLで希釈した溶液を添加し、常温で3時間撹拌して予備接触固体触媒成分(II−15)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−15)の調製)
窒素雰囲気下において、特表2006−517528記載の方法に従って合成した(フェニル)
2PN(イソプロピル)P(フェニル)
2配位子のトルエン溶液(0.01mol/L)6mL(0.06mmol)をCr(acac)
3のトルエン溶液(Cr濃度0.005mol/L)6mL(0.03mmol)に添加して常温で5分攪拌した。この混合溶液から5.45mLを採取して上記(II−15)のスラリーに添加し、常温で3時間撹拌してオレフィン多量化用触媒(III−15)のトルエンスラリーを得た。
【0254】
(多量化反応)
充分に窒素置換した内容積500mLのオートクレーブに、トリメチルアルミニウム(2.0Mトルエン溶液)をアルミニウム原子換算で0.1mmol加えたヘプタン150mLを入れ、攪拌した。前記オレフィン多量化用触媒(III−15)のトルエンスラリー4mLを反応器に加え、引き続きエチレン(分圧4.5MPa−G)で加圧して反応を開始した。同圧力でエチレンを供給しながら45−52℃で60分間反応させた後、少量のメタノールを添加することにより反応を停止した。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は15%、1−オクテンの選択率は65%、ポリエチレンの選択率は10%であった。その他の生成物も含めた生成物量合計から算出した触媒活性は3.5kg−生成物/(mmol−Cr・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は14.9%、1−オクテンの選択率は64.9%、ポリエチレンの選択率は10.0%である)。
【0255】
図4に固体触媒成分(I−2)の電子顕微鏡写真(200倍)を、
図5に副生ポリエチレン粒子の電子顕微鏡写真(200倍)を示す。副生ポリエチレン粒子は固体触媒成分(I−2)の形状を保っていることから、中空化が起きていないことがわかる。
【0256】
[比較例3]
(予備接触固体触媒成分(II−比3)の調製)
実施例15の予備接触固体触媒成分(II−15)の調製において、ポリメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製;Al濃度8.9重量%)0.045mLをトルエン2.66mLで希釈した溶液の代わりに、トルエン2.7mLを用いたこと以外は実施例15と同様にして、予備接触固体触媒成分(II−比3)のトルエンスラリーを得た。
(オレフィン多量化用触媒(III−比3)の調製)
実施例15のオレフィン多量化用触媒(III−15)の調製において、予備接触固体触媒成分(II−15)のトルエンスラリーの代わりに、予備接触固体触媒成分(II−比3)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例15と同様にして、オレフィン多量化用触媒(III−比3)のトルエンスラリーを得た。
【0257】
(多量化反応)
実施例15の多量化反応において、オレフィン多量化用触媒(III−15)のトルエンスラリーの代わりに、オレフィン多量化用触媒(III−比3)のトルエンスラリーを用いたこと以外は実施例15と同様にして、多量化反応を行った。反応終了後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。生成物のうち1−ヘキセンの選択率は14%、1−オクテンの選択率は55%、ポリエチレンの選択率は21%であった。その他の生成物も含めた生成物量合計から算出した触媒活性は3.5kg−生成物/(mmol−Cr・h)であった(各生成物の選択率を小数点1桁まで示すと、1−ヘキセンの選択率は14.2%、1−オクテンの選択率は55.0%、ポリエチレンの選択率は21.0%である)。
【0258】
図6に副生ポリエチレン粒子の電子顕微鏡写真(200倍)を示す。副生ポリエチレン粒子は
図4に示す固体触媒成分(I−2)の形状とは大きく異なっており、中空化が起きたことがわかる。
【0259】
上記実施例・比較例の結果から、本発明にかかるオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィンの多量化反応では、従来公知のオレフィン多量化用触媒を用いた場合と比べ、副生する重合体成分の粒子が中空化しないことが明確になった。これは、前記したとおり、本発明にかかる予備接触固体触媒成分(II)の調製において固体触媒成分(I)の表面に担持された(b−2)有機アルミニウムオキシ化合物の分子構造の変換により空間が形成され、(D)遷移金属化合物が予備接触固体触媒成分(II)の内部にまで分布したオレフィン多量化用触媒(III)が得られることに起因すると推定される。