特許第6204984号(P6204984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6204984タービンエンジン用シールに関するシステムおよび装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6204984
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】タービンエンジン用シールに関するシステムおよび装置
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/04 20060101AFI20170914BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20170914BHJP
   F01D 5/14 20060101ALI20170914BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   F01D11/04
   F02C7/28 Z
   F01D5/14
   F01D9/02 101
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-525580(P2015-525580)
(86)(22)【出願日】2013年8月1日
(65)【公表番号】特表2015-524896(P2015-524896A)
(43)【公表日】2015年8月27日
(86)【国際出願番号】US2013053142
(87)【国際公開番号】WO2014065916
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年7月19日
(31)【優先権主張番号】13/566,189
(32)【優先日】2012年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ポーター,クリストファー・ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】イゼェル,ゲリー・マイケル
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−184312(JP,A)
【文献】 特開2002−201906(JP,A)
【文献】 特開2005−146858(JP,A)
【文献】 実開昭60−077738(JP,U)
【文献】 特開2010−001840(JP,A)
【文献】 特開平07−259505(JP,A)
【文献】 特開2007−085340(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0159880(US,A1)
【文献】 実開昭60−088002(JP,U)
【文献】 特開2010−242762(JP,A)
【文献】 特開2011−012682(JP,A)
【文献】 特開2012−107620(JP,A)
【文献】 特開2010−077869(JP,A)
【文献】 米国特許第08066473(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0010751(US,A1)
【文献】 特開平11−022413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/00−32
F01D 9/00−06
F01D 11/00−24
F02C 7/28
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼タービンエンジン(100)のタービン(110、124)のシール(146)であって、前記シール(146)は、ロータブレード(126)とステータブレード(128)との間に規定されるトレンチキャビティ(150)内に形成され、前記ステータブレード(128)は、前記ロータブレード(126)に向かって延びる側壁突起(154)を含み、前記ロータブレード(126)は、前記ステータブレード(128)に向かって延びるエンジェルウィング突起(152)を含み、前記側壁突起(154)は、前記エンジェルウィング突起(152)の上に張り出し、前記シール(146)は、
前記側壁突起(154)の内側表面(158)に配置されるポート(166)と、
前記エンジェルウィング突起(152)の外側表面(159)に配置される偏向構造(168)と、を含み、
前記ポート(166)は、前記ポート(166)から放出される流体を前記偏向構造(168)の方へ導くように構成され、
前記偏向構造(168)は、前記ポート(166)から放出される前記流体を受け取り、前記トレンチキャビティ(150)の入口(162)の方へ前記流体を偏向させるように構成され、
前記側壁突起(154)は、前記エンジェルウィング突起(152)に軸方向に重なり、
前記エンジェルウィング突起(152)は、前記側壁突起(154)の内側の位置を含み、
前記流体は、冷却媒体を含み、
内側目標基準線(174)は、前記ポート(166)から始まり、かつ正確に前記内側方向に向けられた基準線を含み、
前記ポート(166)は、前記内側に照準された基準線(174)に対して0度より大きく20度より小さい軸目標方向を含み、
前記ポート(166)は、前記内側に照準された基準線(174)に対して0度より大きく60度より小さい円周目標方向を含む、
燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項2】
前記エンジェルウィング突起(152)は、軸方向に延びる剛体歯を含み、
前記偏向構造(168)は、前記エンジェルウィング突起(152)の遠位端部に向かって配置されるフック湾曲部分を含み、
前記フック湾曲部分は、軸方向および半径方向の両方に延びる凹状曲線を含み、
前記フック湾曲部分の延長部の半径方向成分は、外側方向を含み、
前記フック湾曲部分の前記延長部の軸方向成分は、前記ロータブレード(126)から離れる軸方向を含む、請求項1に記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項3】
前記エンジェルウィング突起(152)は、軸方向に延びる剛体歯を含み、
前記偏向構造(168)は、前記エンジェルウィング突起(152)の遠位端部に配置される傾斜した直線部分を含み、
前記傾斜した直線部分は、軸方向および半径方向の両方に延びる直線部分を含み、
前記傾斜した直線部分の延長部の半径方向成分は、外側方向を含み、
前記傾斜した直線部分の前記延長部の軸方向成分は、前記ロータブレード(126)から離れる軸方向を含む、
請求項1または2に記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項4】
前記内側目標基準線(174)に対して、前記ポート(166)の前記軸目標方向の正の角度は、前記ポート(166)が配置される前記ステータブレード(128)から離れて向けられる角度を含み、前記ポート(166)の前記軸目標方向の負の角度は、前記ポート(166)が配置される前記ステータブレード(128)の方へ向けられる角度を含み、
前記ポート(166)の前記軸目標方向は、正の角度を含み、
前記円周目標方向は、前記ロータブレード(126)の回転方向である、
請求項1乃至3のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項5】
前記ポート(166)の前記軸目標方向は、前記内側目標基準線(174)と実質的に同じであり、
前記ポート(166)の前記円周目標方向は、前記内側目標基準線(174)と実質的に同じである、
請求項1乃至4のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項6】
前記エンジェルウィング突起(152)は前記ロータブレード(126)の上流側又は下流側に配置され、前記ポート(166)は前記ステータブレード(128)の下流側又は上流側に配置される、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項7】
前記トレンチキャビティ(150)は、前記タービン(110、124)の回転部品と固定部品との間に円周方向に延びる軸方向ギャップを含み、
前記トレンチキャビティ(150)は、前記ロータブレード(126)の後縁と前記ステータブレード(128)の前縁との間に、および前記ステータブレード(128)の後縁と前記ロータブレード(126)の前縁との間に形成され、
前記トレンチキャビティ(150)の入口(162)は、前記トレンチキャビティ(1
50)が前記タービン(110、124)を通る主流路(171)と交差する点を含み、
前記ロータブレード(126)は、前記タービン(110、124)を通る主流路(171)にあって前記タービン(110、124)を流れる作動流体と相互作用するエアフォイル(130)と、前記ロータブレード(126)をロータホイール(134)に取り付けるための手段(132)と、前記エアフォイル(130)と前記取り付けるための手段(132)との間にあるシャンク(136)と、を含み、
前記タービンステータブレード(128)は、前記タービン(110、124)を通る前記主流路(171)にあって前記タービン(110、124)を流れる作動流体と相互作用するエアフォイル(140)と、前記エアフォイル(140)の半径方向内側にあって前記主流路(171)の内側境界を形成する内側側壁(142)と、前記内側側壁(142)の半径方向内側にあって1つまたは複数の回転する構成要素と共に第2のシールを形成するダイアフラム(144)と、を含む、
請求項1乃至6のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項8】
前記タービンエンジン(100)は、少なくとも複数の動作条件を含み、
前記トレンチキャビティ(150)の軸方向の幅は、前記トレンチキャビティ(150)が第1の動作条件の間には狭い幅を含み、第2の動作条件の間には広い幅を含むように、前記タービンエンジン(100)が動作する前記動作条件に応じて変化し、
前記ポート(166)および前記エンジェルウィング突起(152)の前記偏向構造(168)は、前記トレンチキャビティ(150)が前記狭い幅を含む場合に、前記ポート(166)が前記エンジェルウィング突起(152)の前記偏向構造(168)の十分内側にあるように構成され、
前記ポート(166)および前記エンジェルウィング突起(152)の前記偏向構造(168)は、前記トレンチキャビティ(150)が前記広い幅を含む場合に、前記ポート(166)が前記エンジェルウィング突起(152)の前記偏向構造(168)のちょうど内側にあるように構成され、
前記タービンエンジン(100)は、予想定常状態動作条件を含み、
前記ポート(166)および前記偏向構造(168)は、前記予想定常状態動作条件の間に、前記ポート(166)および前記偏向構造(168)が好適な軸方向アライメントを含むように構成される、
請求項1乃至7のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項9】
前記好適な軸方向アライメントは、前記ポート(166)の軸方向位置が前記偏向構造(168)の軸方向範囲(181)内に収まるアライメントを含む、請求項8に記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項10】
前記好適な軸方向アライメントは、前記ポート(166)が前記偏向構造(168)に向けられるアライメントを含み、
前記ポート(166)の軸目標方向は、前記トレンチキャビティ(150)の前記入口(162)からホイールスペースキャビティ(156)へ流れる吸い込まれた作動流体の流れの方向と反対に傾斜する方向を含む、
請求項8または9に記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項11】
前記ポート(166)は、前記ステータブレード(128)内に形成される内部冷却流路(164)と流体連通するように構成され、前記内部冷却流路(164)は、前記燃焼タービンエンジン(100)の動作中に前記ステータブレード(128)を通る前記冷却媒体を循環させるように構成され、
前記ポート(166)および前記偏向構造(168)は、動作中に、前記偏向された流体が前記トレンチキャビティ(150)を通る作動流体の前記吸込みに抵抗するエアカーテンを前記トレンチキャビティ(150)内に形成するように構成される、
請求項8乃至10のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項12】
前記偏向構造(168)の遠端(185)は、動作中に、前記ポート(166)から出る前記流体の実質的に全てが前記偏向構造(168)の内側に向かうように、前記ポート(166)の近端(186)と軸方向にアライメントする位置を含む、請求項8乃至11のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【請求項13】
前記エンジェルウィング突起(152)は、前記シャンク(136)の円周方向の幅に沿って延び、前記ポート(166)は、前記側壁の円周方向の幅に沿って離間される複数の分離したポート(166)または、前記側壁の円周方向の幅に沿って延びるスロットを含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の燃焼タービンエンジン(100)のシール(146)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、一般的には、タービンエンジンの効率および/または動作を改善するシステムおよび/または装置に関し、それは、本明細書に用いられるように、さもなければ特に断らない限り、ガスタービンエンジン、航空機エンジン、蒸気タービンエンジン、およびその他を含む全てのタイプのタービンまたは回転式エンジンを含むことを意味する。より具体的には、限定はされないが、本出願は、タービンエンジン用の改良されたシールに関するシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的には、ガスタービンエンジン(後述するように、本発明の例示的な応用を示すのに用いることができる)は、圧縮機、燃焼器、およびタービンを含む。圧縮機およびタービンは、一般的に、段に軸方向または円周方向にスタックされたブレードの列を含む。各段は、円周方向に間隔をおいて配置される固定されたステータブレードの列、および中心軸またはシャフトの周りを回転するロータブレードの列を含む。動作中、一般に、圧縮機ロータブレードは、シャフトの周りを回転し、ステータブレードと協働して空気流を圧縮する。圧縮空気の供給は、燃料供給を燃焼するために燃焼器において使用される。そして、燃焼により生じた高温膨張ガスの流れ、すなわち作動流体は、エンジンのタービン部を通って膨張する。タービンを通る作動流体の流れは、ロータブレードを回転させる。ロータブレードの回転によりシャフトが回転するように、ロータブレードは中心シャフトに接続される。このようにして、燃料に含まれるエネルギーは回転シャフトの機械エネルギーに変換され、例えば、圧縮機のロータブレードを回転させて燃焼のために必要な圧縮空気を供給するように、および発電機のコイルを回転させて電力を生成するように、用いることができる。
【0003】
動作中、高温ガス経路の極端な温度のために、構成要素がそれらの動作または性能を損傷または劣化させる温度に到達しないように、細心の注意が払われる。当業者には理解されるように、極端な温度に敏感な1つの領域は、高温ガス経路の半径方向内側のスペースである。この領域は、しばしばタービンの内部ホイールスペースまたはホイールスペースと呼ばれ、回転するロータブレードが取り付けられたいくつかのタービンホイールまたはロータを含む。ロータブレードは、高温ガス経路の極端な温度に耐えるように設計されているが、ロータはそうではないので、高温ガス経路の作動流体がホイールスペースに流入することを防止する必要がある。しかしながら、軸方向ギャップは、回転ブレードと周囲の固定部品との間に必ず存在するものであり、これらのギャップを通って作動流体がホイールスペースへのアクセスを獲得する。また、エンジンの暖機の仕方および熱膨張率の差のために、これらのギャップは、エンジンの動作方法に応じて拡張および縮小する。このようにサイズが変化するので、これらのギャップを適切にシールすることが困難になる。
【0004】
一般的には、これは、高温ガスの吸込みを回避するために、タービンホイールスペースをパージしなければならないことを意味する。パージするには、ホイールスペース内の圧力を作動流体の圧力よりも高いレベルに維持する必要がある。通常、これは、圧縮機から空気を抽出して、それをホイールスペースに直接送ることによって達成される。これが行われると、パージ空気の流出(すなわち、ホイールスペースから高温ガス経路へのパージ空気の流れ)が生成され、ギャップを通るこの流出が作動流体の流入を防止する。こうして、ホイールスペース内の構成要素を作動流体の極端な温度から保護する。
【0005】
しかしながら、パージシステムは、エンジンの製造コストおよびメンテナンスコストを増加させ、ホイールスペースキャビティ内の所望の圧力を維持する点ではしばしば不正確である。加えて、ホイールスペースのパージは高コストである。当業者には理解されるように、パージ流は、タービンエンジンの性能および効率に悪影響を及ぼす。すなわち、パージ空気のレベルが上昇すると、エンジンの出力および効率が低下する。したがって、パージ空気の使用は最小限に抑えるべきである。その結果、作動流体からギャップ/ホイールスペースキャビティをより良好にシールし、それによってホイールスペースの吸込みおよび/またはパージ空気の使用を減少させる改良されたシステムおよび/または装置に対するニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/183426号明細書
【発明の概要】
【0007】
このように、本出願は、燃焼タービンエンジンのタービンのシールについて記載する。一実施形態では、シールは、ロータブレードとステータブレードとの間に規定されるトレンチキャビティ内に形成される。ステータブレードは、ロータブレードに向かって延びる側壁突起を含んでもよく、ロータブレードは、ステータブレードに向かって延びるエンジェルウィング突起を含んでもよい。側壁突起は、エンジェルウィング突起の上に張り出してもよい。シールは、ステータ突起の内側表面に配置されるポートと、エンジェルウィング突起の外側表面に配置される偏向構成をさらに含んでもよい。ポートは、ポートから放出される流体を偏向構造の方へ導くように構成されてもよい。偏向構造は、ポートから放出される流体を受け取り、トレンチキャビティの入口の方へ流体を偏向させるように構成されてもよい。
【0008】
本出願は、ロータブレードとステータブレードとの間に規定されるトレンチキャビティ内に形成されるシールを含む、燃焼タービンエンジンをさらに記載する。シールは、ステータ突起の内側表面に配置されるポートと、エンジェルウィング突起の外側表面に配置される偏向構造を含んでもよい。ポートは、ポートから放出される流体を内側方向へ、および偏向構造の方へ導くように構成されてもよい。偏向構造は、ポートから放出される流体を受け取り、流体がさもなければトレンチキャビティの入口からホイールスペースキャビティへ流れる吸い込まれた作動流体の流れの方向に対向するように流体を偏向させるように構成されてもよい。
【0009】
本出願のこれらのおよびその他の特徴は、図面および添付した特許請求の範囲と併せて、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を検討することにより明らかになろう。
【0010】
本発明のこれらのおよびその他の特徴は、以下の添付の図面と併せて、本発明の例示的な実施形態についての以下のより詳細な説明を慎重に検討することによって、より完全に理解され認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本出願の実施形態を用いることができる例示的なガスタービンエンジンの概略図である。
図2図1のガスタービンエンジンの圧縮機の断面図である。
図3図1のガスタービンエンジンのタービンの断面図である。
図4】従来の設計による例示的なタービンにおいて構成されるロータブレードおよびステータブレードのいくつかの列の内側半径方向部分の概略断面図である。
図5】本発明の例示的な実施形態によるトレンチキャビティおよびフローカーテン/エンジェルウィング突起アセンブリの断面図である。
図6図5の線6−6に沿った断面図である。
図7】本発明の代替的な実施形態によるトレンチキャビティおよびフローカーテン/エンジェルウィング突起アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照すると、図1は、ガスタービンエンジン100の概略図であり、本発明の例示的応用を説明するために用いられる。本発明がこのタイプの使用に限定されないことは、当業者には理解されるであろう。述べたように、本発明は、発電および航空機で使用されるエンジンなどの、ガスタービンエンジン、蒸気タービンエンジン、および他のタイプの回転式エンジンで用いることができる。一般に、ガスタービンエンジンは、圧縮空気のストリームにおける燃料燃焼により生成される加圧高温ガス流からエネルギーを抽出することによって動作する。図1に示すように、ガスタービンエンジン100は、共通シャフトまたはロータにより下流側タービン部すなわちタービン110に機械的に結合される軸流圧縮機106と、圧縮機106とタービン110との間に位置する燃焼器112とを有するように構成することができる。
【0013】
図2は、図1のガスタービンエンジンで用いることができる例示的な多段式軸流圧縮機118の図を示す。図示するように、圧縮機118は複数の段を含むことができる。各段は、圧縮機ロータブレード120の列と、その後に続く圧縮機ステータブレード122の列と、を含むことができる。このように、第1段は、中心シャフトの周りに回転する圧縮機ロータブレード120の列を含むことができ、その後に運転中に静止している圧縮機ステータブレード122の列を含むことができる。圧縮機ステータブレード122は、一般に、互いに円周方向に間隔をおいて配置され、かつ回転軸の周りに固定されている。圧縮機ロータブレード120は、円周方向に間隔をおいて配置され、かつシャフトに取り付けられており、シャフトが動作中に回転すると、圧縮機ロータブレード120はその周りを回転する。当業者には理解されるように、圧縮機ロータブレード120は、シャフトの周りを回転するときに、圧縮機118を通って流れる空気または流体に運動エネルギーを与えるように構成される。圧縮機118は、図2に示した段以外の他の段を有することができる。追加の段は、円周方向に間隔をおいて配置された複数の圧縮機ロータブレード120と、これに続く円周方向に間隔をおいて配置された複数の圧縮機ステータブレード122と、を含むことができる。
【0014】
図3は、図1のガスタービンエンジンで用いることができる例示的なタービン部すなわちタービン124の部分図を示す。タービン124もまた、複数の段を含むことができる。3つの例示的な段を示しているが、これより多くの段またはこれより少ない段がタービン124に存在してもよい。第1段は、動作中にシャフトの周りに回転する複数のタービンバケットまたはタービンロータブレード126と、動作中に静止しているノズルまたはタービンステータブレード128と、を含む。タービンステータブレード128は、一般に、互いに円周方向に間隔をおいて配置され、かつ回転軸の周りに固定されている。タービンロータブレード126は、シャフト(図示せず)の周りで回転するために、タービンホイール(図示せず)に取り付けることができる。またタービン124の第2段も示してある。第2段も同様に、円周方向に間隔をおいて配置された複数のタービンステータブレード128と、これに続く円周方向に間隔をおいて配置された複数のタービンロータブレード126と、を含み、タービンロータブレード126もまた回転するためにタービンホイールに取り付けられている。また第3段も示してあり、同様に、複数のタービンステータブレード128およびロータブレード126を含む。タービンステータブレード128およびタービンロータブレード126はタービン124の高温ガス経路内にあることが理解されよう。高温ガス経路を通る高温ガスの流れの方向を矢印で示す。当業者には理解されるように、タービン124は、図3に示した段以外の他の段を有してもよい。追加の各段は、タービンステータブレード128の列と、これに続くタービンロータブレード126の列と、を含むことができる。
【0015】
使用中、軸流圧縮機118内の圧縮機ロータブレード120の回転は、空気の流れを圧縮することができる。燃焼器112では、圧縮空気が燃料と混合され点火されて、エネルギーが放出される。この結果生じる燃焼器112からの高温ガスの流れは、作動流体と呼ばれ、次にタービンロータブレード126の上に導かれ、作動流体の流れによってタービンロータブレード126がシャフトの周りを回転する。それによって、作動流体の流れのエネルギーは、回転するブレードの機械的エネルギーに変換され、さらにロータブレードとシャフトとの間の接続により、回転するシャフトの機械的エネルギーに変換される。シャフトの機械的エネルギーは、次に圧縮機ロータブレード120の回転を駆動して必要な圧縮空気を供給することができ、また、例えば、発電機を駆動して電気を生成することもできる。
【0016】
さらに先へ進む前に、本出願の発明を明確に伝えるために、タービンエンジンの特定の機械構成要素または部品を参照し記述する用語を選択する必要があり得る。可能な限り、業界で使用されている用語は、その受け入れられた意味と適合するように選択されて使用される。しかしながら、この用語は広義の意味が与えられ、本明細書で意図した意味および添付した特許請求の範囲が限定されるように狭義に解釈されないものとする。当業者は、多くの場合、特定の構成要素が複数の異なる名称で呼ばれることを理解するであろう。さらに、本明細書では単一の部品として記述し得るものが、別の文脈ではいくつかの構成部品を含み、いくつかの構成部品として参照されてもよいし、あるいは、本明細書では複数の構成部品を含むように記述され得るものが、場合によっては、単一の部品から作製され、単一の部品と呼ばれてもよい。このように、本明細書に記載された本発明の範囲の理解においては、提供された用語および説明だけでなく、構造、構成、機能、および/または構成要素の使用にも注意を払うべきである。
【0017】
さらに、いくつかの記述上の用語を本明細書で使用することができる。これらの用語の意味は、以下の定義を含むものとする。用語「ロータブレード」は、さらなる特殊性はなく、圧縮機118またはタービン124のいずれかの回転するブレードを意味し、圧縮機ロータブレード120およびタービンロータブレード126を含む。用語「ステータブレード」は、さらなる特殊性はなく、圧縮機118またはタービン124のいずれかの固定ブレードを意味し、圧縮機ステータブレード122およびタービンステータブレード128の両方を含む。「ブレード」という用語は、本明細書では両方のタイプのブレードを指すために使用される。このように、さらなる特殊性はなく、用語「ブレード」は全てのタイプのタービンエンジンブレードを含み、圧縮機ロータブレード120、圧縮機ステータブレード122、タービンロータブレード126、およびタービンステータブレード128を含む。さらに、本明細書において、「下流」および「上流」とは、タービンを通る作動流体の流れに関する方向を示す用語である。すなわち、用語「下流」とは、流れの方向を意味し、用語「上流」とは、タービンを通る流れの反対の方向を意味する。これらの用語に関連して、「後方」および/または「後縁」という用語は、下流方向、下流端部、および/または説明される構成要素の下流端部の方向を指す。そして、「前方」または「前縁」という用語は、上流方向、上流端部、および/または説明される構成要素の上流端部の方向を指す。「半径方向」という用語は、軸に垂直な運動または位置を指す。軸に対して異なる半径方向位置にある部品を記述することがしばしば必要となる。この場合、第1の要素が第2の要素よりも軸の近くにあるならば、第1の要素は第2の要素の「内側」または「半径方向内側」にあると本明細書に記述することができる。一方、第1の要素が第2の要素よりも軸から遠くにあるならば、第1の要素は第2の要素の「外側」または「半径方向外側」にあると本明細書に記述することができる。「軸方向」という用語は、軸に平行な運動または位置を指す。また、「円周方向」という用語は、軸の周りの運動または位置を指す。
【0018】
再び図面を参照すると、図4は、従来の設計による例示的なタービンにおいて構成し得るブレードのいくつかの列の断面図を模式的に示す。当業者には理解されるように、図は、2列のロータブレード126および2列のステータブレード128という半径方向内側の特徴を含んでいる。各ロータブレード126は、一般に、高温ガス経路にあってタービンの作動流体(その流れの方向を矢印131で示す)と相互作用するエアフォイル130と、ロータブレード126をロータホイール134に取り付けるダブテール132と、エアフォイル130とダブテール132との間にある通常シャンク136と呼ばれる部分と、を含む。本明細書において、シャンク136は、この場合はダブテール132およびエアフォイル130である取付手段の間にあるロータブレード126の一部分を指すものとする。各ステータブレード128は、一般に、高温ガス経路にあって作動流体と相互作用するエアフォイル140と、エアフォイル140の半径方向内側にある内側側壁142と、内側側壁142の半径方向内側にあるダイアフラム144と、を含む。通常は、内側側壁142は、エアフォイル140と一体であり、高温ガス経路の内側境界を形成する。ダイアフラム144は、通常、内側側壁142に取り付けられ(ただし、一体に形成されてもよい)、半径方向内向きに延びて、回転機械と共にシール146を形成する。
【0019】
軸方向ギャップは、高温ガス経路の半径方向内側縁部に沿って存在することが理解されよう。一般的に、これらのギャップは、本明細書では「トレンチキャビティ150」と呼ぶが、回転部品(すなわち、ロータブレード126)と固定部品(すなわち、ステータブレード128)との間に空間を維持しなければならないという理由で存在する。エンジンの暖機の仕方、異なる負荷条件での動作、さらに、構成要素のいくつかの熱膨張係数が異なることに起因して、トレンチキャビティ150の幅(すなわち、ギャップの軸方向距離)は一般に変化する。すなわち、トレンチキャビティ150は、エンジンの動作方法に応じて拡張および縮小する。回転部品が固定部品と擦れ合うのは極めて望ましくないので、あらゆる動作条件においてトレンチキャビティ150の位置に少なくともいくらかの空間が維持されるようにエンジンを設計しなければならない。この結果、一般に、いくつかの運転条件では相対的に狭い開口を有し、他の運転条件では相対的に広い開口を有するトレンチキャビティ150が形成される。もちろん、より多くの作動流体をタービンホイールスペースに吸い込むので、相対的に広い開口を有するトレンチキャビティ150は望ましくない。
【0020】
一般に、回転部品が固定部品と接する、高温ガス経路の半径方向内側の境界に沿った各点に、トレンチキャビティ150が存在することが理解されよう。すなわち、図示するように、トレンチキャビティ150は、ロータブレード126の後縁とステータブレード128の前縁との間、およびステータブレード128の後縁とロータブレード126の前縁との間に形成される。通常、ロータブレード126については、シャンク136がトレンチキャビティ150の一方の縁部を規定し、ステータブレード128については、内側側壁142がトレンチキャビティ150の他方の縁部を規定する。しばしば、軸方向に突き出た突起をトレンチキャビティ150内に構成することができ、作動流体の吸込みを制限する蛇行した経路を提供する。図示するように、エンジェルウィング突起152は、ロータブレード126のシャンク136上に形成することができる。エンジェルウィング突起152の外側では、ステータブレード128の内側側壁142はロータブレード126に向かって突出し、それによってステータ突起154を形成することができる。一般に、エンジェルウィング152の内側では、トレンチキャビティ150はホイールスペースキャビティ156に移行すると考えられる。
【0021】
上述したように、極端な温度によってトレンチキャビティ150およびホイールスペースキャビティ156内の構成部品が損傷するおそれがあるので、高温ガス流路の作動流体がこの領域内に入るのを防止することが望ましい。重なり合うエンジェルウィング152およびステータ突起154は、吸込みを制限するために形成される。しかしながら、トレンチキャビティ150の開口の変化する幅およびエンジェルウィング152/ステータ突起154によるシールの相対的な無効のため、キャビティが圧縮機から抽気した圧縮空気の相対的に高いレベルでパージされなければ、作動流体はホイールスペースキャビティ156内に規則的に吸い込まれるであろう。上述したように、パージ空気はエンジンの性能および効率に悪影響を及ぼすので、パージ空気の使用は最小限にすべきである。
【0022】
図5および図6は、本発明の好ましい実施形態によるシールアセンブリを提供する。一般的に、シールはトレンチキャビティ150に形成され、前述のように、タービンの回転部品と固定部品との間の円周方向に延びる軸方向ギャップを含む。トレンチキャビティ150は、ロータブレード126の後縁とステータブレード128の前縁との間、ならびにステータブレード128の後縁とロータブレード126の前縁との間に形成することができる。本明細書において、トレンチキャビティ150の入口162は、トレンチキャビティ150がタービンを通る主流路171と交差する点を含む。ロータブレード126は、タービンを通る主流路にあって、それを通って流れる作動流体の流れと相互作用するエアフォイル130を含む。ロータブレード126は、一般的に、それをロータホイール134に取り付けるダブテール132を含む。エアフォイル130とダブテール132との間には、ロータブレード126は、通常、シャンク136を含む。タービンステータブレード128は、一般に、タービンを通る主流路にあって、それを通って流れる作動流体の流れと相互作用するエアフォイル140と、エアフォイル140の半径方向内側にあって、主流路の内側境界を形成する内側側壁142と、を含む。内側側壁142の半径方向内側で、ダイアフラム144は、1つまたは複数の回転構成要素と共に第2のシールを形成することができる。
【0023】
図5および図6に示すように、本発明によるシールは、ロータブレード126とステータブレード128との間に規定されるトレンチキャビティ150内に形成される。好ましい実施形態では、ステータブレード128は、ロータブレード126に向かって延びるステータ突起154を含む。ステータ突起154は、ステータブレード128の内側側壁142に形成してもよい。さらに、ロータブレード126は、ステータブレード128に向かって延びるエンジェルウィング突起152を含むことができる。この構成では、図示するように、ステータ突起154は、エンジェルウィング突起152の上に張り出すものとして説明することができる。すなわち、ステータ突起154およびエンジェルウィング突起152は、軸方向に重なっていると言うことができる(すなわち、同じ軸方向位置を有する)。エンジェルウィング突起152は、図示するように、ステータ突起154の内側に位置している。シールの一部として、ポート166は、ステータ突起154の内側表面158上に配置することができ、偏向器すなわち偏向構造168は、エンジェルウィング突起152の外側表面159上に配置することができる。
【0024】
ポート166は、そこから放出される流体を偏向構造168の方へ導くように構成することができる。偏向構造168は、ポート166から放出される流体(流れの方向を示す矢印172によって表される)を受け取り、トレンチキャビティ150の入口162の方へ流体を偏向させるように構成されてもよい。ポート166によって放出される流体は冷却媒体であってもよく、通常は、圧縮機118から抽気した圧縮空気であってもよい。図示するように、ポート166は、ステータブレード128内に形成された内部冷却流路164と流体連通するよう構成することができる。これは、任意の従来の方法で達成することができる。内部冷却流路164は、燃焼タービンエンジンの動作中にステータブレード128を通る冷却媒体を循環させるように構成することができる。
【0025】
一般に、エンジェルウィング突起152は、軸方向に延びる剛体歯である。図5に示すように、特定の実施形態では、偏向構造168は、エンジェルウィング突起152の遠位端部に向かって配置されるフック湾曲部分を含む。フック湾曲部分は、軸方向および半径方向の両方に延びる凹状曲線を含む。図示するように、好ましい実施形態では、フック湾曲部分の延長部の半径方向成分は、外側方向である。フック湾曲部分の延長部の軸方向成分は、ロータブレード126から離れる軸方向にある。他の実施形態では、偏向構造168は、エンジェルウィング突起152の遠位端部に配置される傾斜した直線部分を含む。傾斜した直線部分は、軸方向および半径方向の両方に延びる直線部を含んでもよく、それはポート166に対して傾斜している。図示するように、好ましい実施形態では、傾斜した直線部分の延長部の半径方向成分は外側方向であり、傾斜した直線部分の延長部の軸方向成分は、ロータブレード126から離れる軸方向にある。
【0026】
図6に示すように、ポート166は、円周方向に傾斜してもよい。タービン軸の内側目標基準線(以下「内側に照準された基準線174」)に対して、ポート166は、ロータブレードの回転方向と反対に、またはその方向に円周方向に傾斜してもよい。好ましい実施形態では、内側に照準された基準線174となす角176がロータブレードの回転方向(またはその反対方向)に向かう角度60°とロータブレードの回転方向となす角度60°との間にあるように、ポート166は円周方向に傾斜している(または円周目標方向を有する)。別の好ましい実施形態では、ポート166は、ロータブレードの回転方向に円周方向に傾斜し、理解されるように、それは空気力学的損失を減少させることができる。上述したように、いくつかの実施形態では、ポート166は、円周方向に傾斜せず、内側目標基準線174と実質的に同一な円周目標方向を有してもよい。
【0027】
図7に示すように、ポート166は、軸方向に傾斜してもよい。以上説明したように、内側に照準された基準線174は、図7に示すようにポート166から始まってタービンの軸線に向かって内側方向に正確に延びる基準線である。特定の実施形態では、ポート166は、内側に照準された基準線174に対して+/−20°の範囲内で軸方向に傾斜する(または軸目標方向を有する)。他の好ましい実施形態では、ポート166は、内側に照準された基準線174に対して+/−10°の範囲内で軸方向に傾斜する。上述したように、いくつかの実施形態では、ポート166は、軸方向に傾斜せず、内側目標基準線174と実質的に同一な軸目標方向を有してもよい。
【0028】
内側目標基準線174に対して、ポート166の軸方向傾斜の正の角度177は、ポート166が配置されるステータブレード128から離れて照準されるポート166を記述すると言うことができ、ポート166の軸方向傾斜の負の角度177は、ポート166が配置されるステータブレード128の方に照準されるポート166を記述すると言うことができる。いくつかの好ましい実施形態では、ポート166の軸目標方向は、図7に示すように、正の角度177を含む。特定の実施形態では、ポート166の軸目標方向は、トレンチキャビティ150の入口からホイールスペースキャビティへ流れる吸い込まれた作動流体の流れの方向と反対に傾斜する方向を含む(その一例を図7に示す)。より具体的には、特定の実施形態では、ポート166の軸目標方向は、5°と20°との間の正の角度である。ポート166は、軸方向および円周方向に傾斜してもよいし、一方向に傾斜してもよいし、あるいはどちらにも傾斜しなくてもよいことが理解されよう。
【0029】
図5に示すように、エンジェルウィング突起152は、ロータブレードの上流側に配置することができ、ポート166は、ステータブレードの下流側に配置することができる。あるいは、エンジェルウィング突起152は、ロータブレードの下流側に配置してもよく、ポート166は、ステータブレードの上流側に配置してもよい。
【0030】
当業者には理解されるように、燃焼タービンエンジンは、通常は、少なくとも複数の動作条件を有する。熱膨張/熱収縮に起因して、トレンチキャビティ150の軸方向幅は、通常、エンジンの動作条件に応じて変化する。例えば、エンジンの始動時など1つの動作モードでは、エンジンの温度が低いことがあり、トレンチキャビティ150の開口は最も狭くなり得る。エンジンが高負荷または高出力を運搬しているときなど別の動作モードでは、エンジンの温度が非常に高くなる可能性があり、トレンチキャビティ150の開口は最も広くなり得る。トレンチキャビティ150の幅の変化は、ポート166と偏向構造168との軸方向のアライメントも変化させることが理解されるであろう。特定の好ましい実施形態では、ポート166およびエンジェルウィング突起152の偏向構造168は、トレンチキャビティ150が最も狭い開口を有する場合には、ポート166がエンジェルウィング突起152の偏向構造168の十分内側にあり得るように、また、トレンチキャビティ150が最も広い開口を有している場合には、ポート166は、エンジェルウィング突起152の偏向構造168のちょうど内側にあり得るように、構成されてもよい。本明細書において、「内側」という用語は、動作中にポート166を出る流体が偏向構造168の内側にあるように(偏向構造168がポートからの流れを導くように構成される方向に対して)、偏向構造168の遠端185がポート166の近端186と軸方向にアライメントする状態を記述する。
【0031】
また燃焼タービンエンジンは、典型的なまたは予測される負荷レベルに一致する予想定常状態運転条件を含むことができる。このような場合、ポート166および偏向構造168は、予想定常状態運転条件の間、ポート166および偏向構造168が好ましい軸方向アライメントを有するように構成することができる。図5および図6に示すように、本出願の特定の実施形態では、好ましい軸方向アライメントは、ポート166の軸方向位置が、偏向構造168の軸方向範囲181(すなわち、偏向構造168によって覆われる軸方向位置の範囲)内にあるアライメントを含む。他の実施形態では、好ましい軸方向のアライメントは、ポート166が偏向構造168に向けられるアライメントを含む。
【0032】
特定の実施形態では、エンジェルウィング突起152の長手軸は、円周方向にアライメントされ、シャンクの円周方向の幅に沿って連続的に延びる。特定の実施形態では、ポート166は、側壁の円周方向の幅に沿って離間される複数の分離したポート166を含んでもよい。他の実施形態では、ポート166は、内側側壁142の円周方向の幅に沿って連続的に延びるスロットを含む。
【0033】
動作中に、ポート166および偏向構造168は、偏向された流体がトレンチキャビティ150を通る作動流体の吸込みに抵抗するエアカーテンをトレンチキャビティ150内に形成するように構成されてもよい。このような流れパターンを、図5の流れ矢印171、172で示す。
【0034】
当業者には理解されるように、いくつかの例示的な実施形態に関して上述した多くの様々な特徴および構成は、本発明の他の可能な実施形態を形成するためにさらに選択的に適用することができる。簡潔にするため、および当業者の能力を考慮に入れるために、可能な繰り返しの各々については本明細書で詳細に説明しないが、以下のいくつかの請求項に包含される全ての組み合わせおよび可能な実施形態は本出願の一部であることが意図されている。さらに、本発明のいくつかの例示的な実施形態の上記の説明から、当業者は、改良、変更、および変形を認識するであろう。また当業者の範囲内のこのような改良、変更、および変形は、添付した特許請求の範囲に含まれることを意図している。さらに、前述の記載は本発明の記載された実施形態のみに関係しており、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0035】
100 ガスタービンエンジン
106 軸流圧縮機
110 タービン
112 燃焼器
118 多段式軸流圧縮機
120 圧縮機ロータブレード
122 圧縮機ステータブレード
124 タービン
126 タービンロータブレード
128 タービンステータブレード
130 エアフォイル
132 ダブテール
134 ロータホイール
136 シャンク
140 エアフォイル
142 内側側壁
144 ダイアフラム
146 シール
150 トレンチキャビティ
152 エンジェルウィング突起
154 ステータ突起
156 ホイールスペースキャビティ
158 内側表面
159 外側表面
162 入口
164 内部冷却流路
166 ポート
168 偏向構造
171 流れ矢印/主流路
172 流れ矢印
174 内側目標基準線/内側に照準された基準線
176 角
177 正の角度/負の角度
181 軸方向範囲
185 遠端
186 近端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7