(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
固定接点を有する固定片と、可動接点を有し、この可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容する第1ケースとを備えたブレーカーにおいて、
前記第1ケースの外側を覆う第2ケースをさらに備え、
前記可動片は、前記第1ケースの外方に延出された端子を有し、
前記端子が前記第1ケースから突出する基端部には、前記第2ケースとの接合力を強化する接合強化部が形成され、
前記接合強化部は、前記第2ケースに埋設されていることを特徴とするブレーカー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、樹脂ケースを構成するケース本体と蓋部材とは、共に樹脂材料によって形成されているので、超音波溶着によって互いに強固に接合し、両者の間で高い接合強度と気密性(密封性)が得られる。一方、固定片と共に電気回路を構成する可動片は、リン青銅等を主成分とする金属材料によって形成されている。金属材料と樹脂材料との接合強度は、樹脂材料同士の接合強度に比べて劣るため、可動片と樹脂ベース及びカバー部材との間では、十分な密着性が得られず、極めて温度及び湿度の高い雰囲気で長時間に亘ってブレーカーが使用される場合、熱応動素子等を収容する内部空間に水蒸気の他、例えば、ブレーカーの周囲環境から発生した気体等が侵入する虞がある。ブレーカーの内部空間に侵入した水蒸気等は、熱応動素子等を構成する金属に悪影響を及ぼすことが懸念される。
【0006】
また、近年、生産効率の向上を狙って、ブレーカーを回路基板に直接的に実装する形態が検討されており、さらには、ブレーカーの端子と回路基板のリードとの接続にリフロー方式のはんだ付けを用いることが検討されている。ところが、可動片と樹脂ベース及びカバー部材の間に生じた僅かな隙間からフラックスが侵入することがあり、上述した懸念の一因となっている。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ケースの気密性を高めて、熱応動素子等の金属への悪影響を防止することにより熱応動素子の正常な熱変形動作を維持し、良好な温度特性を得ることができるブレーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、固定接点を有する固定片と、可動接点を有し、この可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容する第1ケースとを備えたブレーカーにおいて、前記第1ケースの外側を覆う第2ケースをさらに備え、前記可動片は、前記第1ケースの外方に延出された端子を有し、前記端子が前記第1ケースから突出する基端部には、前記第2ケースとの接合力を強化する接合強化部が形成され、前記接合強化部は、前記第2ケースに埋設されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るブレーカーにおいて、前記接合強化部は、前記可動片が階段状に曲げられた段曲げを有することが望ましい。
【0010】
本発明に係るブレーカーにおいて、前記接合強化部は、前記基端部から前記可動片の厚さ方向に陥没する凹部を有することが望ましい。
【0011】
本発明に係るブレーカーにおいて、前記接合強化部は、前記基端部から前記可動片の厚さ方向に突出する凸部を有することが望ましい。
【0012】
本発明に係るブレーカーにおいて、前記接合強化部は、前記可動片を厚さ方向に貫通する貫通穴を有することが望ましい。
【0013】
本発明に係るブレーカーにおいて、前記接合強化部は、前記可動片の一部が切除された切り欠きを有することが望ましい。
【0014】
本発明に係るブレーカーにおいて、前記接合強化部には、樹脂皮膜が形成されていることが望ましい。
【0015】
本発明に係るブレーカーにおいて、前記接合強化部には、表面粗し処理が施されていることが望ましい。
【0016】
本発明の電気機器用の安全回路は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明の2次電池パックは、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記ブレーカーを製造するブレーカー製造方法であって、第1金型のキャビティ空間に樹脂材料を充填して、前記第1ケースを成形する1次成形工程と、前記可動片に前記接合強化部を形成する強化部形成工程と、前記1次成形工程によって成形された第1ケースに前記固定片、熱応動素子及び前記強化部形成工程によって前記接合強化部が形成された可動片を実装する実装工程と、前記実装工程によって前記固定片、可動片及び熱応動素子が実装された第1ケースを第2金型内に装填し、前記第2金型のキャビティ空間に樹脂材料を充填して前記第2ケースを成形する2次成形工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明のブレーカーによれば、可動片の端子が第1ケースから突出する基端部に、第2ケースとの接合力を強化する接合強化部が形成され、かつ接合強化部が、第2ケースに埋設されているので、端子の基端部が第2ケースに強固に接合される。これにより、第2ケースの気密性が向上し、熱応動素子等を収容する第1ケースの内部空間に水蒸気等が侵入することが防止される。従って、熱応動素子の正常な熱変形動作が維持され、良好な温度特性を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態によるブレーカーについて図面を参照して説明する。
図1はブレーカーの構成を示す。ブレーカー1は、外部の回路に接続される固定片2及び可動片4と、固定片2及び可動片4を収容する第1ケース7と、第1ケース7の外側を覆う第2ケース9を備えている。第1ケース7は、第2ケース9に埋設されている。第1ケース7の側壁からは、固定片2の端子22及び可動片4の端子41が第1ケース7の外方に延出され、第1ケース7の外部に突出している。固定片2の端子22及び可動片4の端子41は、第2ケース9の側壁から突出し、第2ケース9の外部に露出している。
【0022】
第1ケース7は、固定片2及び可動片4を収容する樹脂ベース71と、樹脂ベース71の上面に装着されるカバー部材72と、カバー部材72に埋設されたカバー片8等によって構成されている。第1ケース7の外側が第2ケース9によって覆われることにより、第1ケース7の内部空間の密閉性が高められる。
【0023】
第1ケース7の樹脂ベース71及びカバー部材72並びに第2ケース9は、例えば、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂により成形されている。上述した樹脂と同等以上の特性が得られるのであれば、樹脂以外の材料が適用されていてもよい。
【0024】
図2は、第2ケース9に収容されるブレーカー1の主要部10の構成を示している。ブレーカー1の主要部10は、固定接点21を有する固定片2と、先端部に可動接点3を有する可動片4と、温度変化に伴って変形する熱応動素子5と、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター6と、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を収容する第1ケース7等によって構成されている。
【0025】
固定片2は、リン青銅等を主成分とする金属板(この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの金属板)をプレス加工することにより形成され、樹脂ベース71にインサート成形により埋め込まれている。固定片2の一端には外部回路と電気的に接続される端子22が形成され、他端側には、PTCサーミスター6を支持する支持部23が形成されている。PTCサーミスター6は、固定片2の支持部23に3箇所形成された凸状の突起(ダボ)24aの上に載置されて、突起24aに支持される。固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル−銀合金の他、銅−銀合金、金−銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、メッキ又は塗布等により可動接点3に対向する位置に形成され、樹脂ベース71の上方に形成されている開口73bの一部から露出されている。端子22は樹脂ベース71の一端から外側に突き出されている。
【0026】
固定片2は、端子22、固定接点21及び支持部23の表裏両面において樹脂ベース71の外部に露出し、端子22と固定接点21との間及び固定接点21と支持部23との間において樹脂ベース71に埋設される。固定片2の支持部23の表面は、ケース7の内部の収容空間に露出し、突起24aを介してPTCサーミスター6と電気的に接触している。
【0027】
可動片4は、板状の金属材料をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。可動片4の材料としては、固定片2と同等のリン青銅等を主成分とするものが好ましい。この他、銅−チタン合金、洋白、黄銅などの導電性弾性材料を用いてもよい。可動片4の長手方向の一端には外部回路と電気的に接続される端子41が形成されて樹脂ベース71から外側に露出される。可動片4の他端(アーム状の可動片4の先端に相当)には可動接点3が形成されている。可動接点3は、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接の他、クラッド、かしめ(crimping)等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。なお、本出願においては、可動片4において、可動接点3が接合されている面(すなわち
図2において下側の面)を裏(うら)面、その反対側の面を表(おもて)面として説明している。他の部品についても表裏の関係は同様である。可動片4は、可動接点3と端子41の間に、挟持部42及び弾性部43を有している。挟持部42は、端子41と弾性部43との間で樹脂ベース71及びカバー部材72と当接し、樹脂ベース71及びカバー部材72に挟持される。挟持部42は、可動片4の短手方向に翼状に突出する突出部42aを有する。弾性部43は、挟持部42から可動接点3の側に延出されている。挟持部42において樹脂ベース71とカバー部材72によって裏表両面側から挟み込まれて可動片4が固定され、弾性部43が弾性変形することにより、その先端に形成されている可動接点3が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。
【0028】
図3及び
図4に示されるように、樹脂ベース71とカバー部材72には、可動片4の挟持部42と当接し、挟持部42を固定状態で保持する当接部74と当接部79がそれぞれ形成されている。本実施形態では、樹脂ベース71の収納部73の外縁から樹脂ベース71の外壁に亘る領域に当接部74が形成されている。当接部74は、
図2中、ケース7の底壁(内底面)の一部を構成する。また、カバー部材72において、可動片4を挟んで当接部74と対向する領域に当接部79が形成されている。当接部79は、
図2中、ケース7の天壁(内天面)の一部を構成する。挟持部42は、その裏面において樹脂ベース71の当接部74と当接し、その表面においてカバー部材72の当接部79と当接する。可動片4は、当接部74及び当接部79によって挟持部42の裏表両面から挟み込まれて、ケース7に対して固定される。本実施形態においては、挟持部42が可動片4の短手方向に翼状に突出する突出部42aを有するので、挟持部42が幅広く大きな領域でケース7の当接部74及び当接部79によって挟み込まれ、可動片4がケース7に対して強固に固定される。
【0029】
可動片4は、弾性部43において、プレス加工により湾曲又は屈曲されている。湾曲又は屈曲の度合いは、熱応動素子5を収納できる限り特に限定はなく、動作温度及び復帰温度における弾性力、接点の押圧力などを考慮して適宜設定すればよい。また、弾性部43の下面には、熱応動素子5に対向して一対の突起(接触部)44a,44bが形成されている。突起44a,44bと熱応動素子5とは接触して、突起44a,44bを介して熱応動素子5の変形が弾性部43に伝達される(
図3及び
図4参照)。
【0030】
図1,2に示されるように、可動片4の端子41が第1ケース7から突出する基端部41aには、第2ケース9と基端部41aとの接合力を強化する接合強化部45が形成されている。接合強化部45は、第2ケース9に埋設されている。接合強化部45が基端部41aと第2ケース9との接合力を強化することにより、第2ケース9の気密性が向上し、熱応動素子5等を収容する第1ケース7の内部空間に水蒸気等が侵入することが防止される。
【0031】
熱応動素子5は円弧状に湾曲した初期形状をなし、バイメタル、トリメタルなどの複合材料からなる。過熱により動作温度に達すると湾曲形状はスナップモーションを伴って逆反りし、冷却により復帰温度を下回ると復元する。熱応動素子5の初期形状は、プレス加工により形成することができる。所期の温度で熱応動素子5の逆反り動作により可動片4の弾性部43が押し上げられ、かつ弾性部43の弾性力により元に戻る限り、熱応動素子5の材質及び形状は特に限定されるものでないが、生産性及び逆反り動作の効率性の観点から矩形が望ましく、小型でありながら弾性部43を効率的に押し上げるために正方形に近い長方形であるのが望ましい。なお、熱応動素子5の材料としては、例えば、高膨脹側に銅−ニッケル−マンガン合金又はニッケル−クロム−鉄合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金をはじめとする、洋白、黄銅、ステンレス鋼など各種の合金からなる熱膨張率の異なる2種類の材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。
【0032】
熱応動素子5の逆反り動作により固定片2と可動片4との通電が遮断されたとき、PTCサーミスター6に流れる電流が増大する。PTCサーミスター6は、温度上昇と共に抵抗値が増大して電流を制限する正特性サーミスターであれば、動作電流、動作電圧、動作温度、復帰温度などの必要に応じて種類を選択でき、その材料及び形状はこれらの諸特性を損なわない限り特に限定されるものではない。本実施形態では、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム又はチタン酸カルシウムを含むセラミック焼結体が用いられる。セラミック焼結体の他、ポリマーにカーボン等の導電性粒子を含有させたいわゆるポリマーPTCを用いてもよい。
【0033】
第1ケース7を構成する樹脂ベース71及びカバー部材72は、それぞれ別個の第1金型(図示せず)によって成形される。樹脂ベース71は、固定片2をインサートして成形される。カバー部材72は、カバー片8をインサートして成形される。樹脂ベース71には、熱応動素子5及びPTCサーミスター6などを収容するための収納部73及び可動片4を収納するための開口73a,73bなどが形成されている。なお、樹脂ベース71に組み込まれた可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6の端縁は、収納部73の内部に形成されている枠によってそれぞれ当接され、熱応動素子5の逆反り時に案内される。また、樹脂ベース71は、可動片4の端子41を外部に露出させるための窓76を有する
【0034】
カバー部材72には、カバー片8がインサート成形によって埋め込まれている。カバー片8は、上述したリン青銅等を主成分とする金属板又はステンレス鋼等の金属板をプレス加工することにより形成される。カバー片8は、
図3及び
図4に示すように、可動片4の上面と適宜当接し、可動片4の動きを規制すると共に、カバー部材72のひいては筐体としてのケース7の剛性・強度を高めつつブレーカー1の小型化に貢献する。カバー片8には、可動片4の側に突出する突起82a、82bが形成されている。突起82bによって弾性部43が熱応動素子5の方向に押圧され、通電時における固定接点21と可動接点3との接触圧力が適正化される。
【0035】
図2に示すように、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6等を収容した樹脂ベース71の開口73a等を塞ぐように、カバー部材72が、樹脂ベース71の上面に装着される。樹脂ベース71とカバー部材72とは、例えば超音波溶着によって接合される。
【0036】
樹脂ベース71とカバー部材72との接合は、超音波溶着の他、例えば、樹脂ベース71とカバー部材72とを係合又は嵌合させることによっても実現できる。また、樹脂ベース71とカバー片8とが係合等される形態であってもよい。これらの場合、樹脂ベース71並びにカバー部材72及びカバー片8には、係合等のための凸部又は凹部若しくは孔が形成されていてもよい。樹脂ベース71とカバー片8とが係合される形態にあっては、カバー片8にて樹脂ベース71の収納部73及び開口73a,73b等の全域を覆うことにより、カバー部材72が省略されていてもよい。
【0037】
図3は、通常の充電又は放電状態におけるブレーカー1の動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、熱応動素子5は初期形状を維持し(逆反り前であり)、固定接点21と可動接点3は接触し、可動片4の弾性部43などを通じてブレーカー1の両端子22、41間は導通している。可動片4の弾性部43と熱応動素子5とは接触しており、可動片4、熱応動素子5、PTCサーミスター6及び固定片2は、回路として導通している。しかし、PTCサーミスター6の抵抗は、可動片4の抵抗に比べて圧倒的に大きいため、PTCサーミスター6を流れる電流は、固定接点21及び可動接点3を流れる量に比して実質的に無視できる程度である。
【0038】
図4は、過充電状態又は異常時などにおけるブレーカー1の動作を示している。過充電又は異常により高温状態となると、PTCサーミスター6が過熱され、動作温度に達した熱応動素子5は逆反りし、可動片4の弾性部43が押し上げられて固定接点21と可動接点3とが離反する。このとき、固定接点21と可動接点3の間を流れていた電流は遮断され、僅かな漏れ電流が熱応動素子5及びPTCサーミスター6を通して流れることとなる。PTCサーミスター6は、このような漏れ電流の流れる限り発熱を続け、熱応動素子5を逆反り状態に維持させつつ抵抗値を激増させるので、電流は固定接点21と可動接点3の間の経路を流れず、上述の僅かな漏れ電流のみが存在する(自己保持回路を構成する)。この漏れ電流は安全装置の他の機能に充てることができる。
【0039】
過充電状態を解除し、又は異常状態を解消すると、PTCサーミスター6の発熱も収まり、熱応動素子5は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部43の弾性力によって可動接点3と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、
図3に示す導通状態に復帰する。
【0040】
図5は、可動片4の構成を示している。可動片4は、端子41の基端部41aすなわち挟持部42から端子41の側に接合強化部45を有している。接合強化部45は、可動片4が階段状に曲げられた段曲げ46、可動片4を厚さ方向に貫通する貫通穴47及び可動片4の一部が切除された一対の切り欠き48を有している。接合強化部45には、段曲げ46、貫通穴47又は切り欠き48のうち、少なくともいずれか一つが形成されていればよい。
【0041】
段曲げ46は、可動片4の挟持部42と、端子41の先端部41bとを段違いに配置する。貫通穴47は、挟持部42と段曲げ46との間に設けられている。貫通穴47は、段曲げ46に対して端子41の先端部41b側に設けられていてもよく、段曲げ46が形成されている領域に貫通穴47の一部又は全部が設けられていてもよい。切り欠き48は、可動片4の端縁部に可動片4を貫通して設けられている。切り欠き48は、段曲げ46に対して端子41の先端部41b側に設けられている。切り欠き48は、段曲げ46又は貫通穴47に対して挟持部42の側に設けられていてもよく、段曲げ46が形成されている領域に切り欠き48の一部又は全部が設けられていてもよい。
【0042】
図6は、ブレーカー1の主要部10を示している。ブレーカー1の主要部10は、樹脂ベース71に可動片4等が収容され、カバー部材72が溶着されてなる。樹脂ベース71及びカバー部材72等によって構成される第1ケース7の側壁からは、固定片2の端子22及び可動片4の端子41が延出されている。
【0043】
可動片4の接合強化部45は、第1ケース7の外側に延出して形成されている。従って、接合強化部45に形成されている段曲げ46、貫通穴47及び切り欠き48は、第1ケース7の外側に突出している。ブレーカー1の主要部10は、第2ケース9を成形するための第2金型(図示せず)に装填(インサート)され、第2金型のキャビティ空間に樹脂が充填されることにより、第2ケース9が成形され、ブレーカー1が製造される。このインサート成形の際に、段曲げ46、貫通穴47及び切り欠き48を含む接合強化部45は、上記第2金型のキャビティ空間に収容されており、キャビティ空間に充填された樹脂に埋設される。
【0044】
図7は、ブレーカー1の平面図である。本実施形態において、第2ケース9は、第1ケース7の外側全体を覆っている。これにより、ブレーカー1の主要部10が、端子22の先端部22b及び可動端子41の先端部41bを除く領域で、第2ケース9によって密閉される。インサート成形の際に第1ケース7を保持する保持部が上記第2金型内に突出して設けられている場合には、保持部を除く領域が第2ケース9に覆われる。また、端子22の基端部22a及び端子41の基端部41aも、第2ケース9の内部に埋設されている。従って、端子41の基端部41aに設けられている接合強化部45も、第2ケース9の内部に埋設され、第2ケース9の外部に露出しない。
【0045】
ブレーカー1の主要部10を第2金型に装填し、第2ケース9を形成する工程においては、流動化した樹脂材料が可動片4の端子41の基端部41a等の周囲に流れ込む。このため、基端部41aにおける金属と樹脂との接合は、超音波溶着による挟持部42と第1ケース7との接合よりも強く、高い密閉性が得られる。
【0046】
第2ケース9による密閉効果を最大限に発揮させるためには、第2ケース9によって第1ケース7の外側全体が覆われているのが望ましい。しかしながら、ブレーカー1の主要部10に現れる樹脂同士(例えば、樹脂ベース71及びカバー部材72)の接合部及び樹脂(例えば、第1ケース7)と金属(例えば、固定片2、可動片4及びカバー片8)の接合部が、第2ケース9によって覆われていることにより、同等の密閉効果を得ることができる。一般に、樹脂と金属との接合強度は、樹脂同士の接合強度に比べて劣るため、少なくとも、樹脂と金属の接合部が第2ケース9によって覆われるように、ブレーカー1が構成されていてもよい。
【0047】
図3及び
図4によく示されるように、段曲げ46は、第2ケース9の内部に埋設されており、階段状に曲げられた段曲げ46の周辺には、第2ケース9を構成する樹脂が充填されている。これにより、第2ケース9の内部も段曲げ46に対応する階段状に形成されている。このような互いに対応する階段状の段曲げ46と第2ケース9とが、符合して噛み合うことにより、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化され、第2ケース9の気密性が向上し、熱応動素子5等を収容する第1ケース7の内部空間に水蒸気等が侵入することが防止される。例えば、ブレーカー1が機器の回路基板に組み込まれる際に、端子41に大きな外力が付与された場合であっても、第2ケース9の気密性が高く維持され、熱応動素子5等を収容する第1ケース7の内部空間に水蒸気等が侵入することが防止される。
【0048】
図1、
図3、
図4及び
図5に示されるように、貫通穴47は、第2ケース9の内部に埋設されており、貫通穴47には、第2ケース9を構成する樹脂が充填されている。これにより、第2ケース9を構成する樹脂のうち、可動片4の上方に充填された樹脂と、可動片4の下方に充填された樹脂とが、貫通穴47を介して一体的に連続する。従って、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化されると共に、第2ケース9の強度・剛性が向上する。
【0049】
本実施形態にあっては、
図6及び
図7に示されるように、貫通穴47の一部47aが第1ケース7の内部に設けられている。この貫通穴47の一部47aにも第2ケース9を構成する樹脂が充填され、第1ケース7と接合する。これにより、第1ケース7及び第2ケース9の強度・剛性が向上する。
【0050】
図1、
図3、
図4及び
図5に示されるように、貫通穴47と同様に、切り欠き48は、第2ケース9の内部に埋設されており、切り欠き48には、第2ケース9を構成する樹脂が充填されている。これにより、第2ケース9を構成する樹脂のうち、可動片4の上方に充填された樹脂と、可動片4の下方に充填された樹脂と、可動片4の側方に充填された樹脂とが、切り欠き48を介して一体的に連続する。従って、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化されると共に、第2ケース9の強度・剛性が向上する。
【0051】
上述した貫通穴47及び/若しくは切り欠き48と共に、又は貫通穴47及び/若しくは切り欠き48に替えて、接合強化部45の表面及び/又は裏面に、可動片4の厚さ方向に陥没する凹部が形成されていてもよい。凹部は、可動片4の厚さ方向に貫通することなく陥没し、有底の形態である。この場合、凹部に第2ケース9を構成する樹脂が充填され、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化される。
【0052】
同様に、貫通穴47、切り欠き48及び/若しくは上記凹部と共に、又は貫通穴47切り欠き48及び/若しくは上記凹部に替えて、接合強化部45の表面及び/又は裏面に、可動片4の厚さ方向に突出する凸部が形成されていてもよい。この場合、凸部の周辺に凸部と嵌合するように第2ケース9を構成する樹脂が充填され、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化される。
【0053】
図8には、ブレーカー1の製造方法が示される。ブレーカー1は、1次成形工程(S1)、強化部形成工程(S2)、実装工程(S3)、カバー溶着工程(S4)及び2次成形工程(S5)によって製造される。
【0054】
1次成形工程(S1)においては、第1金型のキャビティ空間に樹脂材料が充填され、樹脂ベース71及びカバー部材72が成形される。強化部形成工程(S2)においては、可動片4に接合強化部45が形成される。すなわち、プレス加工等によって、可動片4に段曲げ46、貫通穴47及び切り欠き48等が形成される。段曲げ46、貫通穴47及び切り欠き48等は、金属板を打ち抜いて可動片4を形成する際に同時に形成されてもよく、金属板から可動片4を打ち抜いた後、別途プレス加工等によって形成されてもよい。実装工程(S3)においては、1次成形工程(S1)によって成形された樹脂ベース71に固定片2、PTCサーミスター6、熱応動素子5及び強化部形成工程(S2)によって接合強化部45が形成された可動片4等が実装される。本実施形態にあっては、固定片2は、1次成形工程(S1)において樹脂ベース71にインサートされることにより樹脂ベース71に収容されるため、1次成形工程(S1)の一部と、実装工程(S3)の一部とは、同時に実行される。
【0055】
カバー溶着工程(S4)においては、実装工程(S3)にてPTCサーミスター6、熱応動素子5及び可動片4等が実装された樹脂ベース71に、カバー部材72が溶着され、第1ケース7が完成する。上述したように、樹脂ベース71とカバー部材72又はカバー片8とが係合等によって接合される形態にあっては、かかるカバー溶着工程(S4)の替わりに、カバー部材72又はカバー片8を樹脂ベース71に装着し係合させるカバー装着係合工程が適用される。そして、2次成形工程(S5)では、固定片2、可動片4及び熱応動素子5等が実装された第1ケース7が第2金型内に装填され、第2金型のキャビティ空間に樹脂材料が充填されて第2ケース9が成形される。
【0056】
(変形例)
図9は、可動片4の変形例である可動片4Aを示している。可動片4Aは、
図9においてハッチングで示される挟持部42から接合強化部45に亘る領域に樹脂皮膜49が形成されている点で可動片4とは異なる。樹脂皮膜49は、塗布又は印刷等の手法により、可動片4Aの表面及び/又は裏面に形成される。これにより、樹脂皮膜49は、可動片4Aの表面及び裏面に密着する。一方、樹脂皮膜49は、カバー溶着工程(S4)及び2次成形工程(S5)において、第1ケース7及び第2ケース9を構成する樹脂と強固に接合する。これにより、挟持部42と第1ケース7との接合力及び接合強化部45と第2ケース9との接合力が高められる。
【0057】
樹脂皮膜49は、可動片4表面又は裏面のいずれかに形成されていてもよい。また、樹脂皮膜49は、挟持部42から接合強化部45に亘る領域に形成されるのが望ましいが、少なくとも接合強化部45に形成されていればよい。さらに、樹脂皮膜49によって接合強化部45と第2ケース9との間で十分な接合力が得られる場合には、段曲げ46、貫通穴47及び/又は切り欠き48が適宜省略されていてもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態のブレーカー1によれば、可動片4の端子41が第1ケース7から突出する基端部41aに、第2ケース9との接合力を強化する接合強化部45が形成され、かつ接合強化部45が、第2ケース9に埋設されているので、端子41の基端部41aが第2ケース9に強固に接合される。これにより、第2ケース9の気密性が向上し、熱応動素子5等を収容する第1ケース7の内部空間に水蒸気等が侵入することが防止される。従って、熱応動素子5の正常な熱変形動作が維持され、良好な温度特性を得ることができる。
【0059】
接合強化部45が、可動片4が階段状に曲げられた段曲げ46を有するので、段曲げ46の周辺には、第2ケース9を構成する樹脂が充填される。これにより、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化され、第2ケース9の気密性が向上し、熱応動素子5等を収容する第1ケース7の内部空間に水蒸気等が侵入することが防止される。
【0060】
接合強化部45が、基端部41aから可動片4の厚さ方向に陥没する凹部又は基端部41aから可動片の厚さ方向に突出する凸部を有する構成においても、同様の作用効果が得られる。
【0061】
接合強化部45が、可動片4を厚さ方向に貫通する貫通穴47を有するので、かかる貫通穴47には、第2ケース9を構成する樹脂が充填される。これにより、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化されると共に、第2ケース9の強度・剛性が向上する。
【0062】
接合強化部45が、可動片4の一部が切除された切り欠き48を有するので、かかる切り欠き48には、第2ケース9を構成する樹脂が充填される。これにより、基端部41aと第2ケース9との接合力が強化されると共に、第2ケース9の強度・剛性が向上する。
【0063】
接合強化部45に樹脂皮膜49が形成されている構成によれば、接合強化部45と第2ケース9との接合力が高められ、第2ケース9の気密性が向上する。
【0064】
1次成形工程(S1)、強化部形成工程(S2)、実装工程(S3)及び2次成形工程(S5)を含むブレーカー製造方法によれば、本実施形態に係るブレーカー1を製造することができる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく、少なくとも、固定片2、可動片4及び熱応動素子5を収容する第1ケース7と、第1ケース7の外側を覆う第2ケース9とを備え、可動片4は、第1ケース7の外方に延出された端子41を有し、端子41が第1ケース7から突出する基端部41aには、第2ケース9との接合力を強化する接合強化部45が形成され、接合強化部45が、第2ケース9に埋設されていればよい。
【0066】
また、固定片2の端子22が第1ケース7から突出する基端部22aに、第2ケース9との接合力を強化する接合強化部が形成され、第2ケース9に埋設されていてもよい。すなわち、端子22の基端部22aに、段曲げ、貫通穴、切り欠き部及び/又は樹脂皮膜等が形成されていてもよい。この場合、端子22の基端部22aと第2ケース9との接合力が強化される。
【0067】
また、
図9においてハッチングで示される領域において、可動片4又は可動片4Aには、梨地加工等の表面粗し処理が施されていてもよい。このような表面粗し処理は、可動片4を構成する金属と、第1ケース7及び第2ケース9を構成する樹脂との接合力を高め、気密性の向上に寄与する。可動片4Aに表面粗し処理が施される場合には、可動片4Aを構成する金属と樹脂皮膜49との接合力を高め、気密性の向上に寄与する。
【0068】
段曲げ46、貫通穴47及び切り欠き部48の位置、大きさ、形状、個数は、ブレーカー1の大きさ、第2ケース9に要求される気密性等に応じて適宜設定することができる。
【0069】
また、樹脂ベース71とカバー部材72との接合手法は、超音波溶着に限られることなく、両者が強固に接合される手法であれば、適宜適用することができる。例えば、液状又はゲル状の接着剤を塗布・充填し、硬化させることにより、両者が接着されてもよい。また、ケース7は、樹脂ベース71とカバー部材72等によって構成される形態に限られることなく、2個以上の部品によって可動片4が挟まれて保持される形態であればよい。
【0070】
本実施形態では、PTCサーミスター6による自己保持回路を有しているが、このような構成を省いた形態であっても適用可能であり、安定した温度追従性と抵抗値を確保しつつ、ブレーカー1の小型化を図ることができる。また、可動片4をバイメタル又はトリメタル等によって形成することにより、可動片4と熱応動素子5を一体的に形成する構成であってもよい。この場合、一体化された可動片に伝熱部が形成されることになり、ブレーカーの構成が簡素化されて、さらなる小型化を図ることができる。
【0071】
また、特開2005−203277号公報に示されるような、挟持部42又はその近傍において、可動片4が端子41の側と可動接点3の側に構造的に分離されている形態に、本発明を適用してもよい。また、アームターミナルと可動アームとが溶接等によって固定されていてもよい。この場合において、挟持部42及び端子41は、固定片2等と共に樹脂ベース71にインサート成形されていてもよい。
【0072】
また、本発明のブレーカー1は、2次電池パック、電気機器用の安全回路等にも広く適用できる。
図10は2次電池パック100を示す。2次電池パック100は、2次電池101と、2次電池101の出力端回路中に設けたブレーカー1とを備える。
図11は電気機器用の安全回路102を示す。安全回路102は2次電池101の出力回路中に直列にブレーカー1を備えている。ブレーカー1を備えた2次電池パック100又は安全回路102によれば、優れた温度特性によって安全性を確保した2次電池パック100又は安全回路102を製造できる。