特許第6205022号(P6205022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アマダの特許一覧

<>
  • 特許6205022-レーザ加工ヘッド 図000002
  • 特許6205022-レーザ加工ヘッド 図000003
  • 特許6205022-レーザ加工ヘッド 図000004
  • 特許6205022-レーザ加工ヘッド 図000005
  • 特許6205022-レーザ加工ヘッド 図000006
  • 特許6205022-レーザ加工ヘッド 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6205022
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】レーザ加工ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/142 20140101AFI20170914BHJP
【FI】
   B23K26/142
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-127626(P2016-127626)
(22)【出願日】2016年6月28日
【審査請求日】2017年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和隆
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 準一
(72)【発明者】
【氏名】松本 了
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−52679(JP,A)
【文献】 特開2015−202511(JP,A)
【文献】 特開2014−24117(JP,A)
【文献】 特開2004−306106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 − 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振器から発振されたレーザ光を集光する集光レンズを内部に備えると共に先端部にノズルを備え、かつ前記集光レンズを保護する保護ガラスを内部に備えたレーザ加工ヘッドであって、ワークのレーザ加工位置から前記ノズル内へ侵入したスパッタを外部へ排出するために、前記保護ガラスと前記ノズルとの間において、前記レーザ光の光軸に対して交差する方向へのクロスジェットを形成するためのクロスジェット形成手段を備え、前記クロスジェット形成手段に備えた下側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法よりも上側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法が小さいことを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、上下のクロスジェット流入開口部の幅は等しく、かつ上側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法は、下側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法の1/9〜8/9であり、望ましくは3/9であることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、前記クロスジェット形成手段において、偏平状の高速エアの流れを形成するためのノズルプレートの上面は三方向を立上り面によって規制された平面流路に形成してあり、かつ前記高速エアの流れに沿う方向の立上り面は高速エアの流れ方向に平行に形成してあることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載のレーザ加工ヘッドにおいて、前記ノズルプレートの前記平面流路に対する高速エアの吹出し口の断面形状は長穴状であって、この吹出し口の長手方向の寸法は、前記平行な立上り面の間隔にほぼ等しく、長手方向に対して直交する方向の幅寸法は、前記ノズルプレートの前記平面流路の約1/2であることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ加工ヘッドにおいて、前記クロスジェット形成手段を下部に備えた開口ブロックの上部に、リング状のアパーチャを備え、前記開口ブロックに備えた半円形状の内面に対して、前記アパーチャの内周面は内側に突出した状態に備えられていることを特徴とするレーザ加工ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ発振器から発振されたレーザ光を集光する集光レンズを内部に備えると共に先端部にノズルを備え、かつ前記集光レンズを保護する保護ガラスを内部に備えたレーザ加工ヘッドに関する。さらに詳細には、ワークのレーザ加工位置から前記ノズル内に侵入したスパッタを、レーザ光と交差する方向へ吹き飛ばすクロスジェットを形成するクロスジェット形成手段を備えたレーザ加工ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ発振器から発振されたレーザ光を、レーザ加工ヘッド内に備えた集光レンズによって集光してワークへ照射する。このように、ワークへレーザ光を照射してワークのレーザ加工を行うとき、レーザ加工位置からスパッタが飛散してレーザ加工ヘッド内へ侵入することがある。そして、レーザ加工ヘッド内に備えた保護ガラスにスパッタが付着し汚染されると、保護ガラスが加熱され損傷することがある。そこで、レーザ加工ヘッド内にエアの高速流であるクロスジェットを生起させ、このクロスジェットによって、侵入したスパッタを外部へ排出することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−200827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の構成は、レーザ加工ヘッドに備えた保護ガラスとノズルとの間に、ノズルから内部に侵入したスパッタを、外部へ吹き飛ばすクロスジェットを形成するクロスジェット形成手段を備えた構成である。前記クロスジェット形成手段は、上下二段のクロスジェット通路の天井壁にクロスジェットノズルを備えた構成である。
【0005】
そして、前記クロスジェットノズルからクロスジェットガスを噴射することにより、前記クロスジェット通路の入口側から外気を吸い込む二次流れを発生させるものである。この二次流れによってエアーカーテンを形成し、このエアーカーテンによって、ノズルからレーザ加工ヘッド内へ飛散侵入したスパッタを外部へ吹き飛ばす構成である。
【0006】
上記構成によれば、レーザ加工位置から飛散侵入したスパッタを外部へ吹き飛ばすことができるものの、ときとして、スパッタが保護ガラスに付着することがあり、さらなる改良が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、レーザ発振器から発振されたレーザ光を集光する集光レンズを内部に備えると共に先端部にノズルを備え、かつ前記集光レンズを保護する保護ガラスを内部に備えたレーザ加工ヘッドであって、ワークのレーザ加工位置から前記ノズル内へ侵入したスパッタを外部へ排出するために、前記保護ガラスと前記ノズルとの間において、前記レーザ光の光軸に対して交差する方向へのクロスジェットを形成するためのクロスジェット形成手段を備え、前記クロスジェット形成手段に備えた下側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法よりも上側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法が小さいものである。
【0008】
また、前記レーザ加工ヘッドにおいて、上下のクロスジェット流入開口部の幅は等しく、かつ上側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法は、下側のクロスジェット流入開口部の上下間隔寸法の1/9〜8/9であり、望ましくは3/9である。
【0009】
また、前記レーザ加工ヘッドにおいて、前記クロスジェット形成手段において、偏平状の高速エアの流れを形成するためのノズルプレートの上面は三方向を立上り面によって規制された平面流路に形成してあり、かつ前記高速エアの流れに沿う方向の立上り面は高速エアの流れ方向に平行に形成してある。
【0010】
また、前記レーザ加工ヘッドにおいて、前記ノズルプレートの前記平面流路に対する高速エアの吹出し口の断面形状は長穴状であって、この吹出し口の長手方向の寸法は、前記平行な立上り面の間隔にほぼ等しく、長手方向に対して直交する方向の幅寸法は、前記ノズルプレートの前記平面流路の約1/2である。
【0011】
また、前記レーザ加工ヘッドにおいて、前記クロスジェット形成手段を下部に備えた開口ブロックの上部に、リング状のアパーチャを備え、前記開口ブロックに備えた半円形状の内面に対して、前記アパーチャの内周面は内側に突出した状態に備えられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、クロスジェットの風速を大きくすることができ、レーザ加工ヘッド内に侵入したスパッタを効果的に外部へ排出することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るレーザ加工ヘッドの断面説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る主要部分の断面説明図である。
図3】開口ブロック、バッファプレート及びノズルプレートを示す斜視説明図である。
図4】バッファプレートの平面図である。
図5】ノズルプレートの平面図である。
図6】第1流路と第2流路における流入開口部の隙間の関係と風速の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るレーザ加工ヘッド1について説明するに、図1にはレーザ加工ヘッド1が断面した状態でもって図示されている。レーザ加工ヘッド1は加工ヘッド本体3を備えており、この加工ヘッド本体3内には、レーザ発振器(図示省略)から発振されたレーザ光を集光する集光レンズ(図示省略)が備えられている。そして、上記加工ヘッド本体3の先端部にはノズル5が着脱交換自在に備えられている。
【0015】
そして、前記加工ヘッド本体3内であって、前記集光レンズと前記ノズル5との間には、レーザ加工位置からノズル5を経てレーザ加工ヘッド1内へ飛散侵入したスパッタから前記集光レンズを保護する保護ガラス7が備えられている。より詳細には、前記加工ヘッド本体3には、上下方向は勿論のこと、一側方向(例えばレーザ加工の進行方向の反対側の方向)に大きく開口した開口部9Aを備えた開口ブロック9(図3参照)を備えている。
【0016】
すなわち、前記開口ブロック9は、図3に示すように、上下方向及び一側方向の三方向に開口した形態である。そして、レーザ光が下方向へ透過する部分は半円形状の穴部9Bに形成してあり、この穴部9Bに前記開口部9Aの対向した側壁面9Cが接続してある。そして、前記開口ブロック9の上面には、アパーチャホルダ11が取付けてある。このアパーチャホルダ11には、ガラスホルダ13を介して前記保護ガラス7が着脱交換可能に備えられている。
【0017】
前記アパーチャホルダ11の中央部には、レーザ光が透過自在な貫通穴15が上下方向に形成してあり、この貫通穴15内にはリング状のアパーチャ17が備えられている。このアパーチャ17の中心位置は、半円形状の前記穴部9Bの軸心と一致して備えられている。そして、前記アパーチャ17の半径は、前記穴部9Bの半径より小さく形成してある。
【0018】
したがって、アパーチャ17の内周面17Aは、図2に示すように、前記穴部9Bの半円形状の内面9Fに対して内側に突出した状態に備えられている。よって、前記穴部9Bの内面9Fに沿ってヒュームやスパッタの一部が上昇する傾向にある場合、保護ガラス7に対するヒュームやスパッタの付着を効果的に抑制し得るものである。また、前記アパーチャ17は、ワークのレーザ加工位置から前記保護ガラス7へ直接飛散するスパッタを絞る作用をなすものである。したがって、保護ガラス7に対するスパッタの付着を効果的に抑制し得るものである。
【0019】
前記開口ブロック9の下側であって、前記開口部9Aの反対向には、レーザ光の光軸、換言すれば、前記穴部9Bの軸心に対して交差する方向(直交する方向)へのクロスジェット(高速エアの流れ)を形成するためのクロスジェット形成手段19が備えられている。このクロスジェット形成手段19の全体的構成は、前記特許文献1に記載のクロスジェット形成手段と類似した構成である。しかし、主要部の構成は相違するものである。
【0020】
より詳細には、前記開口ブロック9における前壁部9Dには、前記特許文献1に記載の構成と同様の流体通路21が形成してある。そして、この流体通路21には、前壁部9Dの端面に連通したノズル孔23が形成してある。上記ノズル孔23の断面形状は、加工上の問題から円形状に形成してある。そして、前記開口ブロック9における前壁部9Dの端面には、バッファプレート25が取付ねじ等を介して備えられている。
【0021】
前記バッファプレート25は、前記ノズル孔23から噴出される断面円形状のエアの流れを、全体的に均等な流れに形成する作用をなすものであって、図4に示すように、前記ノズル孔23に連通したチャンバー25Aは、断面矩形状(長穴状)の空間に形成してある。ところで、前記開口ブロック9における前壁部9Dの下面に、前記チャンバー25Aに相当する空間を備える場合には、前記バッファプレート25を省略することができるものである。
【0022】
前記バッファプレート25の下面には、前記ノズル孔23から噴出され、前記チャンバー25Aを経て噴出されるエアを、偏平状のクロスジェットとして、図2において右方向へ噴出するノズルプレート27が密着して備えられている。このノズルプレート27の大きさは、前記バッファプレート25の大きさとほぼ同一である。そして、このノズルプレート27の上面には、偏平状の高速エアの流れを形成するために、三方向を立上り面31A,31B,31Cによって規制された平面流路29が備えられている。
【0023】
より詳細には、クロスジェットの流れ方向(図2,5に示す矢印Aの方向)の両側に位置する立上り面31A,31Cは、クロスジェットの流れ方向に平行に形成してある。そして、上記両立上り面31A,31Cの間隔寸法LAは、前記チャンバー25Aの長手方向の寸法LBとほぼ等しく形成してある。そして、前記ノズルプレート27における前記端部側の立上り面31Bは、前記バッファプレート25におけるチャンバー25Aの長手方向の一方の内側縁25Bとほぼ一致してある。
【0024】
前記ノズルプレート27における前記立上り面31Bから開口端縁31Dまでの幅寸法は、前記チャンバー25Aにおいて、長手方向に対して直交する方向の幅寸法Wの約2倍に形成してある。換言すれば、前記平面流路29における出口側(図5において上側)の約1/2は、前記バッファプレート25によって開口部の上下間隔が狭くなった状態にある。したがって、ノズルプレート27における開口端縁31Dのクロスジェット噴出口33は、前記平面流路29の底面、両側の立上り面31A,31C及びバッファプレート25によって規制された矩形状を呈するものである。このクロスジェット噴出口33の上下方向の開口寸法は、前記立上り面31A,31Cの高さ寸法に等しく、1mm以下に形成してある。
【0025】
前記クロスジェット形成手段19の下側には、レーザ光が下方向へ透過自在な貫通穴35を備えた第1流路板37が、前記ノズルプレート27と適宜の間隔を保持して備えられている。そして、前記第1流路板37の下側には、適宜間隔を保持して第2流路板39が備えられている。前記ノズルプレート27と前記第1流路板37との間には第1流路41が形成してある。そして、第1流路板37と第2流路板39との間には第2流路43が形成してある。
【0026】
前記第1,第2の流路41,43は、前記第1流路板37を間にして上下に離隔してある。そして、第1,第2の流路41,43は、クロスジェットの流れ方向(前記矢印A方向)の反対側に入口開口部を有している。この第1,第2の流路41,43の開口部に対応した位置には、外気を吸引する際のガイド板45が上方向に指向して配置してある。そして、反対側の排出口には排風板45が配置してある。前記構成において、上側の流路41におけるクロスジェット流入開口部の上下方向の間隔寸法は、図2に示すように、下側の流路43におけるクロスジェット流入開口部の上下方向の間隔寸法よりも小さく構成してある。
【0027】
そして、前記第2流路板39の下側には、前記ノズル5を備えたノズルホルダ47が備えられている。
【0028】
以上のごとき構成において、ワークにレーザ光を照射してレーザ加工を行うと、レーザ加工位置において発生したヒュームやスパッタの一部がレーザ加工ヘッド3内に侵入し、保護ガラス7に付着することがある。そこで、ノズル孔23から高圧エアを噴出し、クロスジェット形成手段19において高速エアを偏平状に噴出して、スパッタ等を吹き飛ばすものである。上述のように、クロスジェット形成手段19において高速エアを噴出すると、負圧が生成されて、第1,第2の流路41,43に大量の外気が吸引され、この外気によってスパッタ等が吹き飛ばされるものである。
【0029】
ところで、前記特許文献1に記載のごとき構成においては、丸穴であるノズル孔23からノズルプレート27へ高圧エアを噴出する構成であり、しかも上下の第1,第2の流路41,43における開口部の間隔寸法はほぼ等しいものであったから、外気の吸引効果が小さく、スパッタ等を吹き飛ばす効果は小さなものであった。
【0030】
そこで、外気の吸引が効果的に行われ、スパッタ等を効果的に吹き飛ばすために、種々の実験を行い、上側の第1流路41における開口部の上下間隔を、下側の第2流路43における開口部の上下間隔よりも小さくすると、前記クロスジェット形成手段19から噴出されるクロスジェットの流速が大きくなることを見出した。
【0031】
すなわち、上側の第1流路41における開口部の上下間隔と下側の第2流路43における開口部の上下間隔とを種々変更して、クロスジェット形成手段19の下流側の所定位置に配置した風速形によって風速を計測したところ、図6に示す結果が得られた。
【0032】
図6から明らかなように、下側の第2流路43における開口部の隙間を0にすると、上側の第1流路41の隙間が変化しても、風速は25m/s以下であった。この結果からも、下側の第2流路43と上側の流路41を備えることは必要である。そして、下側の第2流路43における開口部の隙間を3mm,6mm,9mmに変えると共に、上側の第1流路41における開口部の隙間を0mm〜8mmに調節すると、下側の開口部の隙間9mmで、上側の開口部の隙間3mmの場合には、風速は29m/s以上となり望ましいものであった。なお、図6より明らかなように、上下の流路41,43における開口部の隙間の関係は、1/9〜8/9が望ましく、より望ましくは3/9である。
【0033】
ところで、前記構成においては、クロスジェット形成手段19にはバッファプレート25が備えられており、このバッファプレート25には、チャンバー25Aが備えられている。したがって、ノズル孔23から噴出された高圧エアは、前記チャンバー25A内において、平面流路29に対して均等な圧力分布として供給されることになる。したがって、クロスジェット形成手段19から偏平状に噴出されるクロスジェットの速度分布は全体的にほぼ等しくなり、保護ガラス7方向へ飛散するスパッタやヒュームを効果的に吹き飛ばすことができるものである。
【0034】
以上のごとき説明より理解されるように、本実施形態によれば、クロスジェット形成手段19にはチャンバー25Aを形成したバッファプレート25が備えられている。そして、外気を吸引する上側の第1流路41における開口部の隙間を、下側の第2流路43における開口部の隙間より小さくしてある。したがって、クロスジェット形成手段19から噴出されるクロスジェットを高速で保持でき、レーザ加工ヘッド内の保護ガラス7方向へ飛散するスパッタ等を効果的に吹き飛ばすことができるものである。
【符号の説明】
【0035】
1 レーザ加工ヘッド
3 加工ヘッド本体
5 ノズル
7 保護ガラス
9 開口ブロック
11 アパーチャホルダ
17 アパーチャ
19 クロスジェット形成手段
23 ノズル孔
25 バッファプレート
25A チャンバー
27 ノズルプレート
29 平面流路
31A,31B,31C 立上り面
31D 開口端縁
33 クロスジェット噴出口
37 第1流路板
39 第2流路板
41 第1流路
43 第2流路
【要約】
【課題】保護ガラス方向へ飛散するスパッタ等を吹き飛ばすクロスジェット形成手段を備えたレーザ加工ヘッドを提供する。
【解決手段】レーザ発振器から発振されたレーザ光を集光する集光レンズを内部に備えると共に先端部にノズル5を備え、かつ前記集光レンズを保護する保護ガラス7を内部に備えたレーザ加工ヘッドであって、ワークのレーザ加工位置から前記ノズル5内へ侵入したスパッタを外部へ排出するために、前記保護ガラス7と前記ノズル5との間において、前記レーザ光の光軸に対して交差する方向へのクロスジェットを形成するためのクロスジェット形成手段19を備え、前記クロスジェット形成手段19に備えた下側のクロスジェット流入開口部43の上下間隔寸法よりも上側のクロスジェット流入開口部41の上下間隔寸法が小さい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6