(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係るワーク曲げ角度測定装置11は、たとえば、第1のテーブルに設置された第1の金型と、第2のテーブルに設置された第2の金型とを用いて、ワークWに曲げ加工を施すプレスブレーキ1に設置されて使用されるものである。
【0018】
ここで、プレスブレーキ1について詳しく説明する。
【0019】
プレスブレーキ(ワーク曲げ加工機)1は、第1の型(たとえば、ダイD等の金型)と第2の型(たとえば、パンチP等の金型)とを用いて、板状のワークW(平板状のワークやワークの平板状の部位)を折り曲げ加工するものである。なお、金型として、工具鋼等の金属で構成されているものに限らず、セラミック等の非金属材料で構成されているものを採用してもよい。
【0020】
以下、説明の便宜のために水平な一方向をX軸方向とし、X軸方向に対して直交する水平な他の一方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向とに対して直交する方向(上下方向)をZ軸方向とする。X軸方向はプレスブレーキ1の左右方向であり、Y軸方向はプレスブレーキ1の前後方向になっている。
【0021】
プレスブレーキ1は、
図1で示すように、フレーム3に支持されている第1の型設置体(たとえば、下部テーブル)5と、第2の型設置体(たとえば上部テーブル)7と、クラウニング装置9と、メモリ13とCPUとを具備した制御装置(制御部)15とを備えて構成されている。
【0022】
下部テーブル5は、X軸方向に長く延びてフレーム3の前方下側に設けられており、上面が平面状になっている。この上面はクラウニング装置9によってクラウニングがなされるようになっている。たとえば、すなわち、下部テーブル5の上面は、クラウニング装置9の図示しないクラウニングシリンダによって、長手方向で中央が僅かに凸に弾性変形するようになっている。
【0023】
上部テーブル7は、フレーム3の前方上側で、図示しないリニアガイドベアリング等によってフレーム3に支持されている。また、上部テーブル7は、下部テーブル5から離れて設けられており、サーボモータ17等のアクチュエータ(油圧シリンダ等でもよい。)によって、図示しないボールネジを介して、Z軸方向(下部テーブル5に対して接近もしくは離反する方向)で移動位置決めされるようになっている。また、上部テーブル7の下面も、平面状になっており、下部テーブル5の上面と対向している。
【0024】
サーボモータ17は、上部テーブル7の左側と右側とに設けられている。左側のサーボモータ17Aと右側のサーボモータ17Bとは、ほぼ同期して駆動するようになっている。そして、一対のサーボモータ17(17A,17B)を駆動すると、上部テーブル7の下面が下部テーブル5の上面とほぼ平行な状態を保ったまま、上部テーブル7が下部テーブル5に対して移動するようになっている。また、サーボモータ17の駆動を停止し、サーボモータ17の回転出力軸が回転しないようにすることで(たとえば回転出力軸にサーボブレーキがかけられることで)、上部テーブル7が位置決めされこの位置が維持されるようになっている。
【0025】
なお、上部テーブル7を移動位置決めすることに代えてもしくは加えて、下部テーブル5をZ軸方向で移動位置決めする構成であってもよい。いずれにしても、上部テーブル7が下部テーブル5に対して接近・離反する方向で相対的に移動位置決め自在な構成であればよい。
【0026】
下部テーブル5には、たとえば、ダイホルダDHを介して、ダイDが、着脱自在にしかも一体的に設置されるようになっている。上部テーブル7には、たとえば、パンチホルダPHを介して、パンチPが、着脱自在にしかも一体的に設置されるようになっている。
【0027】
なお、Y軸方向では、上部テーブル7に設置されたパンチ(設置済みパンチ)Pの中心と、下部テーブル5に設置されたダイ(設置済みダイ)Dの中心とは、お互いに一致している。
図1では、上部テーブル7にはパンチPが設置されていないが、ワークWに曲げ加工するときには、上部テーブル7にパンチPが設置されるようになっている。
【0028】
図1では、各テーブル5,7のX軸方向の寸法に対して、ダイD(パンチP)の寸法が小さくなっており、ダイD(パンチP)が、X軸方向で各テーブル5,7の中央部に設置されているが、ダイD(パンチP)が、各テーブル5,7の端部側部に設置されていてもよいし、複数組のダイDとパンチPとが、X軸方向にならんで各テーブル5,7に設置されていてもよい。
【0029】
また、プレスブレーキ1にはバックゲージ(図示せず)が設けられている。バックゲージは、パンチPやダイD(下部テーブル5や上部テーブル7)の後側に設けられており、図示しないリニアガイドベアリングを介してフレーム3に支持されており、図示しないサーボモータ等のアクチュエータによってY軸方向でフレーム3に対して移動位置決め自在になっている。
【0030】
そして、上部テーブル7が上昇し設置済みパンチ(上部テーブル7に設置されているパンチ)Pが設置済みダイ(下部テーブル5に設置されているダイ)Dの上方で設置済みダイDから離れている状態で、ワークWをダイDに載置しワークWの一端部をバックゲージに突き当てて上部テーブル7を下降させると、ダイDの「V」字状の凹部とパンチPの「V」字状の凸部とでワークWが挟まれて、ワークWの曲げ加工(ワークWを塑性変形させる折り曲げ加工)がなされるようになっている。
【0031】
ここで、ワーク曲げ角度測定装置11について詳しく説明する。
【0032】
ワーク曲げ角度測定装置11は、金型(ダイDとパンチP)を用いて板状のワークWに曲げ加工を施すときに、ワークWの曲げ角度を測定する装置であり、カメラ19と制御部15とを備えている。なお、制御部15は、プレスブレーキ1の制御装置(制御部)15に設けられているものとする。
【0033】
カメラ19は、金型(たとえばダイD)に付されている金型識別情報21(
図4、
図8等参照)と、ワークの曲げ角度を測定するために金型(パンチP、ダイD)で曲げられているワークWとを撮影するようになっている(
図3、
図5等参照)。
【0034】
制御部15は、カメラ19で金型識別情報21を撮影した後(
図3参照)、ワークWの曲げ角度を測定するためにカメラ19でワークWを撮影して(
図5参照)、ワークWの補正前曲げ角度(曲げ角度の生データ)をもとめるようになっている。
【0035】
このため、制御装置15は、上記もとめた補正前曲げ角度を、金型識別情報21に対応させて記憶部(メモリ13)に予め記憶してある補正データを用いて補正することで、ワークの曲げ角度(実際にワークWが曲がっている角度;補正後曲げ角度)をもとめるようになっている。
【0036】
制御装置15での計算式による曲げ角度はある程度の精度を有するが、撮影で使用しているカメラ19のレンズの歪や光学系の収差による誤差から、実際の角度と理論式とでは誤差が発生する。このため、実際の角度と理論式が合致するように補正値表を各角度毎にデータベースを構築する運用となっている。
【0037】
曲げ条件が異なり、金型(ダイD)が異なると、ワークWが映る撮影部分が異なることとなる。(
図7参照)この場合、レンズの歪や光学系の収差の影響が異なることから、補正値表(ダイD1用)では合致せず、ダイD2用の補正値が必要となる。
【0038】
これとは異なる方法として、各曲げ条件(各ダイD)においてもワークWの撮影部分とカメラ19の相対位置・方向の関係が同じになるようにカメラ19を移動し、補正値表はひとつのものを使用する方法がある(
図6参照)。
【0039】
この場合、制御装置15が、金型識別情報21に対応させて、カメラ19(ワーク曲げ角度測定装置11;カメラ・レーザ光発生装置支持体25)の移動量(ΔY、ΔZ)をもとめ、移動させることで、ワークWの曲げ角度をもとめるようになっている。
【0040】
なお、カメラ19で金型識別情報21を撮影するときには、カメラ19は、カメラ19の撮影領域のうちの一部の撮影領域(第1のウインドウWD1)を使って、金型識別情報21を撮影する(たとえば、
図3参照)。また、ワークWの曲げ角度を測定するためにカメラ19でワークWを撮影するときには、カメラ19は、カメラの撮影領域のうちの他の一部の撮影領域(第2のウインドウWD2)を使って、レーザ光照射箇所(詳しくは後述)を撮影しワークWの曲げ角度を測定する(たとえば、
図5、
図7参照)。
【0041】
ワーク曲げ角度測定装置11には、カメラ19の他に、たとえばレーザ光発生装置23が設けられている(
図5等参照)。カメラ19とレーザ光発生装置23とは、カメラ・レーザ光発生装置支持体25に一体的に設けられている。
【0042】
カメラ・レーザ光発生装置支持体25は、たとえば、下部テーブル5に支持されており、この下部テーブル5の長手方向(X軸方向;上部テーブル7設置されたパンチPと下部テーブル5に設置されたダイDとで曲げられるワークWの曲げ線の延伸方向)とY軸方向とZ軸方向とで、移動位置決め装置27により、移動位置決め自在になっている。
【0043】
なお、カメラ・レーザ光発生装置支持体25がX軸方向等で移動位置決めされても、レーザ光発生装置23とカメラ19との相対的な位置関係には変化が無く、レーザ光発生装置23とカメラ19とはX軸方向で平行移動して位置決めされるだけであり、レーザ光発生装置23の姿勢やカメラ19の姿勢は一定であるものとする。
【0044】
側面視すると(X軸方向から見ると)、カメラ19とレーザ光発生装置23とは、下部テーブル5に設置されたダイDの斜め下方(Z軸方向ではダイの下方、Y軸方向ではダイの前側)に位置している。また、X軸方向では、カメラ19とレーザ光発生装置23とは、所定の僅かな間隔をあけて設けられている(
図2、
図3等参照)。
【0045】
レーザ光発生装置23は、
図5等で示すように、点光源から発する平面的な扇形状のレーザ光29、もしくは、線光源から発する矩形な平面状のレーザ光29を、斜め上方に向けて出射するようになっている。この出射されたレーザ光29は、曲げ加工がなされるワークW(たとえば、ワークWの厚さ方向の一方の面であって下側に位置している面)に照射されるようになっている。
【0046】
この照射によって、ワークWには直線状のレーザ光照射箇所31が形成される。このレーザ光照射箇所31をカメラ19で撮影すると、ワークWの曲げ角度に応じて、レーザ光照射箇所31の傾きが変化するようになっている(たとえば特開平3
−259705号公報参照)。
【0047】
上記傾きは、カメラ19の撮影領域(ウインドウ内;有効視野領域内)で水平方向に延びている仮想基準線に対する交差角度である。なお、ダイDの高さ等に応じて、
図7に斜線で示すように、カメラ19のウインドウを変更(参照符号WD2から参照符号WD3に変更)してもよい。この場合は前述したように、ウインドウ毎の補正値表を制御装置15にデータベースとして所有する必要がある。
【0048】
そして、カメラ19で撮影したレーザ光照射箇所31を、制御装置15の画像処理部で画像処理することで、レーザ光照射箇所31の傾きを測定して、ワークWの曲げ角度の生データ(補正前曲げ角度)を得るようになっている。この生データに対して、次に示す補正等をするによって、ワークWの曲げ角度(実際の曲げ角度;補正後曲げ角度)をもとめるようになっている。
【0049】
ここで、制御部15によってなされる上記補正等について説明する。
【0050】
制御部15のメモリ13には、金型情報テーブルが予め記憶されている。金型情報テーブルには、金型情報(たとえば金型識別情報であるID)と、金型(パンチP、ダイD)の形状等およびワークWの曲げ角度を測定するときの補正値とが対応づけられて記憶されている。この金型情報テーブルのうちで、金型識別情報とワークWの曲げ角度を測定するときの補正値と対応づけて記憶している部分を補正テーブル(補正表;補正値表)という。なお、金型のIDの他に、金型情報として、金型のV幅、金型高さ、金型角度、金型の長さ等の金型のサイズや、金型の形状を示す情報を採用してもよい。
【0051】
ところで、ワークWにおけるレーザ光照射箇所31をカメラ19で撮影して得たワークWの曲げ角度の生データでは、前述したように理論式に対し誤差が出てしまう。
【0052】
そこで、ワーク曲げ角度測定装置11では、曲げ角度の生データに対して上記補正をすることで、曲げ角度の生データの誤差を無くし、ワークWの正しい曲げ角度(補正後ワーク曲げ角度)をもとめるようになっている。
【0053】
ここで、金型AB(金型識別情報が「AB」)を用いて、平板状のワークWに90°の曲げ加工をする場合について具体的に説明する。金型情報テーブルには、金型識別情報「AB」と、金型ABのV幅「10mm」とこの金型の高さ情報がある。これにより、カメラ19の位置あるいは有効な撮影画面となるウインドウが決定される。また、金型情報テーブルには、金型識別情報が「AB」と、補正値「+0.5°」とが、対応づけられて記憶されているものとする。
【0054】
制御部15は、まず、カメラ19で金型ABの金型識別情報AB(21)を撮影する(
図3等参照)。
【0055】
続いて、プレスブレーキ1によってワークWに曲げ加工をすべく、プレスブレーキ1に設置されているダイDとパンチPとをD値(ワークの曲げ角度を90°にするためのD値)まで接近し終えたときに、
図5で示すように、レーザ光発生装置23からレーザ光29をワークWに向けて照射する。そして、ワークWのレーザ光照射箇所31をカメラ19で撮影してワークWの曲げ角度(補正前ワーク曲げ角度)をもとめる。
【0056】
このもとめた補正前曲げ角度が「90.0°」であった場合、補正値「+0.5°」を補正前曲げ角度「90.0°」に加えて、補正後ワーク曲げ角度「90.5°」をもとめる。
【0057】
これによって、ワークWの実際の正確な曲げ角度が90.5°であることがわかる。このもとめた90.5°の曲げ角度に基づいて、プレスブレーキ1は、たとえば、上記D値を補正し、ダイDとパンチPとをさらに接近させて、ワークWに更なる曲げ加工を施し、曲げ角度が90.0°になったワークWを得ることができる。なお、上記説明では、ワークWのスプリングバック量を「0°」であるものとしている。実際には、ワークWにスプリングバックが存在するので、このスプルングバックの量も加えて上記D値が決まるのである。
【0058】
次に、金型識別情報21について詳しく説明する。
【0059】
金型識別情報21は、ダイDの長手方向(V溝の延伸方向)で繰り返してならんで複数設けられている。
【0060】
金型識別情報21は、具体的には、
図8(a)で示すように、ダイDにラインタイプのマークを付加することで設けられている。
【0061】
ラインは、点の種類、線の長さや種類によって、数値や値として意味を持たせてある。たとえば、大丸マーク33は、金型識別情報21の始点を示している。また、2つの小丸マーク35は、金型識別情報21の終点を示している。また、3つの線マーク37は、その長さが金型識別情報21における数値を表している。
【0062】
1つの大丸マーク33、3つの線マーク37、2つの小丸マーク35が、この順で繰り返し付されていることになる。そして、金型識別情報21が、「始222終」をこの長手方向で繰り返してあらわしていることで、ダイDには、「222」という金型ID(金型識別情報)があらわされていることになる。
【0063】
これらのならんでいる複数組の金型識別情報のうちの1組の金型識別情報(「始222終」)を、カメラ19の視野範囲より小さい長さでマークする(設ける)ことで、カメラ19がX軸方向で任意の位置にあっても、他の条件を満たせば、金型識別情報21を読み取ることが可能となる。
【0064】
なお、金型識別情報21として、
図8(b)で示すように、単なる破線を使用してもよい。そして、破線の線部の長さや空隙部の長さを変えて、始点、終点および種々の金型識別情報をあらわしてもよい。
【0065】
また、金型識別情報のほかの他の情報(金型の高さ情報等)を含ませる場合には、
図9(a)で示すように、ラインを2列等の複数列にすれば、情報量を増やすことが可能になる。これによって、金型識別情報の他の金型の高さ等を含む金型情報を、ダイD等に付することができるようになる。さらに、金型識別情報等の金型情報として、
図9(b),(c)に示すように、正弦状のラインや矩形なパルス状のランや鋸歯状のラインを採用してもよい。さらに、複数のバーコード、複数のQRコード、複数のICチップを、1つの金型の長手方向に連続してならべても設けてもよい。
【0066】
ここで、プレスブレーキ1の動作を説明する。
【0067】
初期状態として、ダイDとパンチPとがプレスブレーキ1の所定の位置に設置されており、ワークWの加工データが制御装置15のメモリ13に入力されているものとする。
【0068】
上記初期状態において、バックゲージ等を用いてワークWをダイDの所定に位置に載置して図示しないスタートスイッチを押すと、制御装置15の制御の下、まず、移動位置決め装置27でカメラ19が所定の位置まで移動してダイDの金型識別情報21を撮影することで、制御装置15が金型識別情報21を取得する。
【0069】
この結果、ダイDがワークWの曲げに適した金型ではない場合には、アラームを発し、ダイDがワークWの曲げに適した金型である場合には、パンチPをダイDまでD値に基づいて接近させて、ワークWに曲げ加工をする。
【0070】
そして、パンチPをダイDにD値まで接近させてある状態で、移動位置決め装置27でワーク曲げ角度測定装置11を適宜移動し、ワークWの曲げ角度を測定し、この測定したものを補正し、ワークWの曲げ角度をもとめる。このもとめたワークWの曲げ角度に基づいて、ワークWにさらなる曲げ加工を施す。
【0071】
ワーク曲げ角度測定装置11によれば、カメラ19で金型識別情報21を撮影した後、ワークWを撮影してワークWの補正前曲げ角度をもとめ、このもとめた補正前曲げ角度を、金型識別情報21に対応させて記憶してある補正データを用いて補正することで、ワークWの曲げ角度をもとめるので、金型識別情報を手入力する手間を省くことができ、また、誤った金型識別情報を入力してしまうおそれが無くなり、ワークWの正確な曲げ角度を測定することができる。
【0072】
また、ワーク曲げ角度測定装置11によれば、ワークWの曲げ角度を測定するためのカメラ19で金型識別情報21を撮影するので、金型識別情報21を撮影するための専用のカメラが不要になり、装置の構成が簡素化されている。
【0073】
また、ワーク曲げ角度測定装置11によれば、金型識別情報21がダイDの長手方向で繰り返してならんで複数設けられているので、金型識別情報21を撮影するときにカメラ19を正確に移動位置決めする等の動作が不要になり、金型識別情報21を間違いなく早く確実に撮影することができる。
【0074】
すなわち、
図3で示すように、ダイDの一箇所に金型識別情報であるQRコード(バーコードでもよい)21Qを設けた場合であっても、このダイDがプレスブレーキ1のどこに設置されているのかの情報に基づいて、QRコード21Qの大まかな位置を特定することは可能である。QRコード21Qの正確な位置を割り出すには、QRコード21Qの取り付け位置の管理およびX軸方向におけるダイDの設置位置を正確に管理しなければならなくなる。たとえば、1900mmの長さのワークWを曲げる場合、600mmのダイD(パンチP)を4本持ってきて(あわせて2400mm)、おおよそプレスブレーキ1のセンターに取付ける。このとき、ダイD(パンチP)の長さはワークWの長さに対して、十分な長さがあるので、厳密に長手方向の設置位置を気にしないのが通常である。しかし、このような場合に、金型識別情報として1つのQRコード21Qを使用していると、読み取り位置がずれてしまい、カメラ19でQRコード21Qが読み取れないことが発生するおそれがある。一方、
図3で示すように、金型識別情報21AがダイDの長手方向で繰り返してならんで複数設けられていれば、カメラ19でQRコード21Qやバーコードで構成されている金型識別情報が読み取れないことが発生するという事態を回避することができる。
【0075】
さらに、ワーク曲げ角度測定装置11によれば、移動位置決め装置27でカメラ19を移動位置決めし、カメラ19でワークWの複数箇所を撮影してワークWの曲げ角度を複数箇所でもとめるので、ワークWの曲げ角度をより詳細に詳しくもとめることができる。また、ダイDが下部テーブル5の長手方向で複数並んで設置されている場合であっても、個々のダイD毎にワークWの曲げ角度をもとることができる。
【0076】
なお、ワーク曲げ角度測定装置11や移動位置決め装置27を、プレスブレーキ1に設置されたダイDの両側に、一対で設けることが望ましい(
図2参照)。
【0077】
すなわち、ワーク曲げ角度測定装置11や移動位置決め装置27を、ダイDやパンチPの中心面(ダイDやパンチPの中心を通りX軸方向とZ軸方向とに展開している平面)に対して対称に設けてもよい。この場合、一対のワーク曲げ角度測定装置11は、移動位置決め装置27によって同期して(X軸方向での位置を同じにして)移動位置決めされるようになっているものとする。
【0078】
ところで、
図5で示すように、制御装置15の制御の下、はじめに、カメラ19で広いウインドウWD4の領域の取り込むことで、金型識別情報21を認識し、続いて、この認識結果に応じて、カメラ19で狭いウインドウWD2の領域を取り込むことで、ワークWに生成されている直線状のレーザ光照射箇所31を認識し、ワークWの曲げ角度をもとめるようにしてもよい。この場合も、認識した金型識別情報21と補正テーブルとによって、ワークWの正確な曲げ角度がもとめられる。
【0079】
また、レーザ光照射箇所31がワークWだけでなく、ダイD等に形成されていても、ウインドウWD2の領域のみの画像を取り込むことで、ワークWのみに生成されている直線状のレーザ光照射箇所31を認識することができる。