特許第6205037号(P6205037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205037
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ワーク搬送固定装置及び切断機
(51)【国際特許分類】
   B23D 55/04 20060101AFI20170914BHJP
   B23D 47/04 20060101ALI20170914BHJP
   B23D 33/02 20060101ALI20170914BHJP
   B26D 7/08 20060101ALI20170914BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B23D55/04 G
   B23D47/04 G
   B23D55/04 E
   B23D47/04 E
   B23D33/02 A
   B26D7/08 D
   B26D7/06 F
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-175285(P2016-175285)
(22)【出願日】2016年9月8日
(65)【公開番号】特開2017-71049(P2017-71049A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-199970(P2015-199970)
(32)【優先日】2015年10月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(73)【特許権者】
【識別番号】504279326
【氏名又は名称】株式会社アマダマシンツール
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鍛代 政孝
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−129585(JP,A)
【文献】 実開平6−31918(JP,U)
【文献】 特開平4−82615(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0017777(US,A1)
【文献】 米国特許第5353910(US,A)
【文献】 国際公開第2011/043238(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/099176(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0000358(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00−59/04,33/02,
B26D 7/02−7/08,
B27B 5/29,13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向の切断位置に位置決めしたワークの被切断部に対して切断加工を行う切断機に用いられ、ワークを前記搬送方向へ搬送して、前記切断機における基台に対して固定するワーク搬送固定装置であって、
前記切断位置の上流側に前記搬送方向へ移動可能に設けられ、前記搬送方向に直交する搬送幅方向に対向しかつワークを挟持する一対の搬送バイスジョーと、第1の前記搬送バイスジョーを前記搬送幅方向へ移動させる搬送移動シリンダと、第2の前記搬送バイスジョーを前記搬送幅方向へ変位させる搬送変位シリンダとを有した搬送バイス機構と、
前記切断位置の直下流側に設けられ、前記搬送幅方向に対向しかつワークにおける製品に相当する部分を挟持する一対の下流本体バイスジョーと、第1の前記下流本体バイスジョーを前記搬送幅方向へ移動させる下流本体移動シリンダと、第2の前記下流本体バイスジョーを前記搬送幅方向へ変位させる下流本体変位シリンダとを有した下流本体バイス機構と、を具備し、
前記下流本体変位シリンダの前記搬送幅方向の一方側の推力は、前記下流本体移動シリンダの前記搬送幅方向の他方側の推力と同程度に設定され
前記搬送変位シリンダが伸側のストローク端に達したときに第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面が位置する前記搬送幅方向の位置をバイス基準位置とし、第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面は、ワークの先端部側が曲がっている場合に、ワークにおける製品に相当する部分を一対の前記下流本体バイスジョーの協働により挟持したときに、ワークの先端部側の曲がりに応じて前記バイス基準位置に対し前記搬送幅方向の一方側又は他方側に位置するようになっていることを特徴とするワーク搬送固定装置。
【請求項2】
前記切断位置の直上流側に設けられ、前記搬送幅方向に対向しかつワークを挟持する一対の上流本体バイスジョーと、第1の前記上流本体バイスジョーを前記搬送幅方向へ移動させる上流本体移動シリンダと、第2の前記上流本体バイスジョーを前記搬送幅方向へ変位させる上流本体変位シリンダとを有した上流本体バイス機構を具備したことを特徴とする請求項1に記載のワーク搬送固定装置。
【請求項3】
前記下流本体変位シリンダにおける前記搬送幅方向の他方側のシリンダ室は、作動流体を供給する作動流体供給源に配管を介して接続され、前記配管の途中にノンリークバルブが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワーク搬送固定装置。
【請求項4】
前記下流本体変位シリンダにおける前記搬送幅方向の一方側のシリンダ室は、前記下流本体移動シリンダにおける前記搬送幅方向の他方側のシリンダ室に連通していることを特徴する請求項3に記載のワーク搬送固定装置。
【請求項5】
前記下流本体移動シリンダの前記搬送幅方向の一方側のシリンダ室及び前記下流本体変位シリンダの前記搬送幅方向の他方側のシリンダ室は、同じ圧力の作動流体が供給されるようになっており、前記下流本体変位シリンダの前記搬送幅方向の他方側のシリンダ室の断面積は、前記下流本体移動シリンダの前記搬送幅方向の一方側のシリンダ室の断面積と同程度に設定されている請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載のワーク搬送固定装置。
【請求項6】
搬送方向の切断位置に位置決めしたワークの被切断部に対して切断加工を行う切断機であって、
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のワーク搬送固定装置を具備したことを特徴とする切断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送方向の切断位置に位置決めされたワークの被切断部に対して切断加工を行う帯鋸盤又は丸鋸盤等の切断機に用いられ、ワークを搬送方向へ搬送して、切断機における基台に対して固定するワーク搬送固定装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、帯鋸盤等の切断機においては、所謂2バイス方式のワーク搬送固定装置に比べて、残材の寸法の短縮化及び高タクト動作による生産性の向上を図ることができる、所謂3バイス方式のワーク搬送固定装置が開発されている(特許文献1等参照)。ここで、2バイス方式のワーク搬送固定装置は、切断位置の上流側(搬送方向の上流側)に搬送方向へ移動可能に設けられた搬送バイス機構と、切断位置の直下流側(搬送方向の直下流側)に設けられた本体バイス機構又は切断位置に跨って設けられた割バイスタイプの本体バイス機構とを具備している。そして、従来の3バイス方式のワーク搬送固定装置の構成は、次の通りである。
【0003】
従来の3バイス方式のワーク搬送固定装置は、切断位置の上流側に搬送方向へ移動可能に設けられた搬送バイス機構を具備している。搬送バイス機構は、ワークを挟持する一対の搬送バイスジョーを有しており、一対の搬送バイスジョーは、搬送方向に直交する搬送幅方向に対向している。また、搬送バイス機構は、第1の搬送バイスジョー(一方の搬送バイスジョー)を搬送幅方向へ移動させる搬送移動シリンダと、第2の搬送バイスジョー(他方の搬送バイスジョー)を搬送幅方向へ変位(僅かに移動)させる搬送変位シリンダとを有している。ここで、搬送変位シリンダ(搬送変位シリンダのピストン)が搬送幅方向の一方側のストローク端に達すると、第2の搬送バイスジョーのバイス面が搬送幅方向のバイス基準位置に位置するようになっている。
【0004】
従来の3バイス方式のワーク搬送固定装置は、搬送バイス機構の他に、切断位置の直上流側(搬送方向の直上流側)に設けられた上流本体バイス機構を具備している。上流本体バイス機構は、ワークを挟持する一対の上流本体バイスジョーを有しており、一対の上流本体バイスジョーは、搬送幅方向に対向している。また、上流本体バイス機構は、第1の上流本体バイスジョー(一方の上流本体バイスジョー)を搬送幅方向へ移動させる上流本体移動シリンダと、第2の上流本体バイスジョー(他方の上流本体バイスジョー)を搬送幅方向へ変位させる上流本体変位シリンダとを有している。ここで、上流本体変位シリンダ(上流本体変位シリンダのピストン)が搬送幅方向の一方側のストローク端に達すると、第2の上流本体バイスジョーのバイス面が前記バイス基準位置に位置するようになっている。
【0005】
従来の3バイス方式のワーク搬送固定装置は、搬送バイス機構及び上流本体バイス機構の他に、切断位置の直下流側に設けられた下流本体バイス機構を具備している。下流本体バイス機構は、ワークにおける製品に相当する部分(ワークから取り出して製品になる部分)を挟持する一対の下流本体バイスジョーを有しており、一対の下流本体バイスジョーは、搬送幅方向に対向している。また、下流本体バイス機構は、第1の下流本体バイスジョー(一方の下流本体バイスジョー)を搬送幅方向へ移動させる下流本体移動シリンダと、第2の下流本体バイスジョー(他方の下流本体バイスジョー)を搬送幅方向へ変位させる下流本体変位シリンダとを有している。更に、下流本体変位シリンダ(下流本体変位シリンダのピストン)が搬送幅方向の一方側のストローク端に達すると、第2の下流本体バイスジョーのバイス面が前記バイス基準位置に位置するようになっている。
【0006】
ここで、下流本体変位シリンダの搬送幅方向の一方側の推力(第2の下流本体バイスジョーを押圧する力)は、下流本体移動シリンダの搬送幅方向の他方側の推力(第1の下流本体バイスジョーを押圧する力)よりも大きく設定されている。これは、一対の下流本体バイスジョーの協働によってワークにおける製品に相当する部分を挟持した際に、第2の下流本体バイスジョーのバイス面を前記バイス基準位置に位置させるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−79109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ワークの先端部が搬送幅方向の一方側(第1の下流本体バイスジョー側)又は他方側(第2の下流本体バイスジョー側)に弓形に曲がり(鼻曲がり)を生じていることがある。そして、ワークの先端部が搬送幅方向の一方側に弓形に曲がっている場合には、第2の下流本体バイスジョーのバイス面を前記バイス基準位置に位置させても、一対の下流本体バイスジョーの協働によってワークにおける製品に相当する部分を強固に挟持することができない。そのため、切断終了時に、ワークから取り出された製品が搬送幅方向へ移動して、鋸刃の歯先のチッピングが生じ、鋸刃の寿命(耐久性)の低下を招くことになる。
【0009】
一方、ワークの先端部が搬送幅方向の他方側に弓形に曲がっている場合には、一対の下流本体バイスジョーの協働によってワークにおける製品に相当する部分を挟持しても、第2の下流本体バイスジョーのバイス面を前記バイス基準位置に位置させることができない。そのため、切断終了時に、製品に搬送幅方向の一方側に大きな力が働き、製品が搬送幅方向へ移動して、前述と同様の問題が生じる。
【0010】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成からなるワーク搬送固定装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様は、搬送方向の切断位置に位置決めしたワークの被切断部に対して切断加工を行う切断機に用いられ、ワークを前記搬送方向へ搬送して、前記切断機における基台(本体フレーム)に対して固定するワーク搬送固定装置であって、前記切断位置の上流側(前記搬送方向の上流側)に前記搬送方向へ移動可能に設けられ、前記搬送方向に直交する搬送幅方向に対向しかつワークを挟持する一対の搬送バイスジョーと、第1の前記搬送バイスジョー(一方の前記搬送バイスジョー)を前記搬送幅方向へ移動させる搬送移動シリンダと、第2の前記搬送バイスジョー(他方の前記搬送バイスジョー)を前記搬送幅方向へ変位(僅かに移動)させる搬送変位シリンダとを有した搬送バイス機構と、前記切断位置の直下流側(前記搬送方向の直下流側)に設けられ、前記搬送幅方向に対向しかつワークにおける製品に相当する部分(ワークから取り出して製品になる部分)を挟持する一対の下流本体バイスジョーと、第1の前記下流本体バイスジョー(一方の前記下流本体バイスジョー)を前記搬送幅方向へ移動させる下流本体移動シリンダと、第2の前記下流本体バイスジョー(他方の前記下流本体バイスジョー)を前記搬送幅方向へ変位させる下流本体変位シリンダとを有した下流本体バイス機構と、を具備し、前記下流本体変位シリンダの前記搬送幅方向の一方側の推力(第2の前記下流本体バイスジョーを押圧する力)は、前記下流本体移動シリンダの前記搬送幅方向の他方側の推力(第1の前記下流本体バイスジョーを押圧する力)と同程度に設定され、前記搬送変位シリンダが伸側のストローク端に達したときに第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面が位置する前記搬送幅方向の位置をバイス基準位置とし、第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面は、ワークの先端部側が曲がっている場合に、ワークにおける製品に相当する部分を一対の前記下流本体バイスジョーの協働により挟持したときに、ワークの先端部側の曲がりに応じて前記バイス基準位置に対し前記搬送幅方向の一方側又は他方側に位置するようになっていることである。
【0012】
本発明の第1の態様によると、一対の前記搬送バイスジョーの間にワークの一部分を介在させた状態で、前記搬送変位シリンダの駆動により第2の前記搬送バイスジョーを前記搬送幅方向の一方側へ移動させて、第2の前記搬送バイスジョーのバイス面を前記バイス基準位置に位置させる。また、前記搬送移動シリンダの駆動により第1の前記搬送バイスジョーを前記搬送幅方向の他方側へ移動させる。これにより、一対の前記搬送バイスジョーの協働によりワークを挟持することができる。なお、一対の前記搬送バイスジョーの間にワークの一部分を介在させる前に、第2の前記搬送バイスジョーのバイス面を前記バイス基準位置に位置させてもよい。
【0013】
一対の前記搬送バイスジョーの協働によりワークを挟持した後に、前記搬送バイス機構を前記搬送方向へ移動させる。これにより、ワークを前記搬送方向へ搬送して、ワークの被切断部を前記切断位置に位置決めすることができる。このとき、ワークにおける製品に相当する部分は、一対の前記下流本体バイスジョーの間に介在している。
【0014】
ワークの被切断部を前記切断位置に位置決めした後に、前記下流本体変位シリンダの駆動により第2の前記下流本体バイスジョーを前記搬送幅方向の一方側へ移動させる。また、前記下流本体移動シリンダの駆動により第1の前記下流本体バイスジョーを前記搬送幅方向の他方側へ移動させる。これにより、一対の前記下流本体バイスジョーの協働によりワークにおける製品に相当する部分を挟持して、ワークを前記基台に対して固定することができる。ここで、ワークの先端部に曲がりがない場合には、第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面が前記バイス基準位置に位置することになる。ワークの先端部が前記搬送幅方向の一方側に弓形に曲がっている場合には、第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面が前記バイス基準位置を超えて前記バイス基準位置よりも前記搬送幅方向の一方側に位置することになる。ワークの先端部が前記搬送幅方向の他方側に弓形に曲がっている場合には、第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面が前記バイス基準位置よりも前記搬送幅方向の他方側に位置することになる。
【0015】
なお、一対の前記下流本体バイスジョーの協働によりワークにおける製品に相当する部分を挟持した後に、ワークの被切断部に対して切断加工を行って、ワークから製品を取り出すことができる。
【0016】
要するに、前述のように第2の前記下流本体バイスジョーのバイス面が前記バイス基準位置を超えて前記バイス基準位置よりも前記搬送幅方向の一方側に位置するようになっている。これにより、ワークの先端部が搬送幅方向の一方側に弓形に曲がっている場合でも、一対の前記下流本体バイスジョーの協働によってワークにおける製品に相当する部分を強固に挟持することができる。
【0017】
前述のように、前記下流本体変位シリンダの前記搬送幅方向の一方側の推力が前記下流本体移動シリンダの前記搬送幅方向の他方側の推力と同程度に設定されている。これにより、ワークの先端部が搬送幅方向の他方側に弓形に曲がっている場合でも、切断終了時に、製品に搬送幅方向の一方側に大きな力が働くことがない。
【0018】
本発明の第2の態様は、搬送方向の切断位置に位置決めしたワークの被切断部に対して切断加工を行う切断機であって、本発明の第1の態様からなるワーク搬送固定装置を具備したことである。
【0019】
本発明の第2の態様によると、本発明の第1の態様による作用と同様の作用を奏する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、前述のように、ワークの先端部が搬送幅方向の一方側に弓形に曲がっている場合でも、一対の前記下流本体バイスジョーの協働によってワークにおける製品に相当する部分を強固に挟持することができる。また、前述のように、ワークの先端部が搬送幅方向の他方側に弓形に曲がっている場合でも、切断終了時に、製品に搬送幅方向の一方側に大きな力が働くことがない。よって、本発明によれば、切断終了時に、ワークから取り出された製品が搬送幅方向へ移動することがなく、鋸刃の歯先の耐チッピング性を高めて、鋸刃の寿命(耐久性)の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る帯鋸盤の模式的な平面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る油圧ユニットを説明する図である。
図3図3は、図1におけるIII-III線に沿った拡大図である。
図4図4(a)は、図1におけるIVA-IVA線に沿った拡大図、図4(b)は、図1におけるIVB-IVB線に沿った拡大図である。
図5図5(a)(b)は、本発明の実施形態の作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意であって、「備えられる」と同義である。「備える」とは、直接的に備えることの他に、別部材を介して間接的に備えることを含む意であって、「設ける」と同義である。「切断位置」とは、切断加工が行われる搬送方向の位置のことをいう。なお、図面中、「FF」は、前方向(搬送方向)、「FR」は、後方向(搬送方向の反対方向)、「L」は、左方向(搬送幅方向の一方側)、「R」は、右方向(搬送幅方向の他方側)、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指してある。
【0023】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る帯鋸盤1は、無端状の鋸刃(帯鋸刃)Bを走行(循環走行)させつつ、搬送方向(前方向)の切断位置CPに位置決めされた棒状のワーク(金属ワーク)Wの被切断部Waに対して切断加工を行うものである。また、帯鋸盤1は、搬送方向に直交する搬送幅方向(左右方向)に延びた基台(本体フレーム)3と、この基台3の後側に設けられたかつ前後方向へ延びた支持フレーム5とを具備している。
【0024】
基台3は、その上面に、切断加工ヘッド(鋸刃ハウジング)7を昇降可能(上下方向へ移動可能)に備えており、この切断加工ヘッド7は、搬送幅方向へ延びている。また、切断加工ヘッド7は、その内部に、鋸刃Bを巻回して支持する一対の鋸刃ホイール(図示省略)を回転可能に備えている。
【0025】
支持フレーム5は、その上側(上面)に、ワークWを搬送方向へ移動可能に支持する搬送テーブル9を備えている。また、搬送テーブル9は、搬送方向へ間隔を置いて並んだ複数の搬送ローラ11を有しており、各搬送ローラ11は、搬送幅方向に平行な軸心(搬送ローラ11の軸心)周りに回転可能になっている。
【0026】
帯鋸盤1は、ワークWを搬送方向へ搬送して基台3に対して固定するワーク搬送固定装置13を具備している。以下、本発明の実施形態に係るワーク搬送固定装置13の具体的な構成について説明する。
【0027】
支持フレーム5は、その上面に、搬送方向へ延びた複数のガイドレール15を備えており、複数のガイドレール15は、それらの上側に、ワークWを搬送するための搬送バイス機構17を搬送方向及びその反対方向(前後方向)へ移動可能に備えている。換言すれば、搬送バイス機構17は、支持フレーム5に複数のガイドレール15を介して搬送方向及びその反対方向へ移動可能に設けられている。そして、搬送バイス機構17の具体的な構成は、以下の通りである。
【0028】
図1から図3に示すように、搬送バイス機構17は、支持フレーム5に複数のガイドレール15を介して搬送方向及びその反対方向へ移動可能に設けられた搬送バイスベッド(搬送スライダ)19を有しており、この搬送バイスベッド19は、上側を開放したU字形状を呈している。また、搬送バイスベッド19は、支持フレーム5の適宜位置に設けられた搬送バイスベッド用電動モータ(図示省略)とボールネジ(図示省略)、或いは油圧式の搬送バイスベッド用シリンダ(図示省略)等の駆動により搬送方向及びその反対方向へ移動するようになっている。そして、搬送バイスベッド19は、その上側に、ワークWを挟持する一対の搬送バイスジョー21,23を備えており、一対の搬送バイスジョー21,23は、搬送幅方向に対向している。一対の搬送バイスジョー21,23は、搬送テーブル9よりも上側に位置しており、第1の搬送バイスジョー(一方の搬送バイスジョー)21は、第2の搬送バイスジョー(他方の搬送バイスジョー)23よりも左側(搬送幅方向の一方側)に位置している。
【0029】
搬送バイスベッド19は、その左部に、第1の搬送バイスジョー21を搬送幅方向へ移動させる油圧式の搬送移動シリンダ25を備えている。搬送移動シリンダ25は、搬送バイスベッド19の左部に設けられたシリンダ本体27と、このシリンダ本体27内に左右方向(搬送幅方向)へ移動可能に設けられたピストン29と、基端部がピストン29に連結されかつ先端部が第1の搬送バイスジョー21に連結された作動ロッド31とを有している。また、シリンダ本体27内は、ピストン29によって左側シリンダ室(搬送幅方向の一方側のシリンダ室)33Lと右側シリンダ室(搬送幅方向の他方側のシリンダ室)33Rに区画されている。
【0030】
搬送バイスベッド19は、その右部に、第2の搬送バイスジョー23を搬送幅方向へ変位(僅かに移動)させる油圧式の搬送変位シリンダ35を備えている。搬送変位シリンダ35は、搬送バイスベッド19の右部に設けられたシリンダ本体37と、このシリンダ本体37内に左右方向へ移動可能に設けられたピストン39と、基端部がピストン39に連結されかつ先端部が第2の搬送バイスジョー23に連結された作動ロッド41とを有している。また、シリンダ本体37内は、ピストン39によって左側シリンダ室43Lと右側シリンダ室43Rに区画されている。更に、搬送変位シリンダ35(搬送変位シリンダ35のピストン39)が左方向のストローク端に達すると、第2の搬送バイスジョー23のバイス面23sがワークWを搬送するための基準となる搬送幅方向のバイス基準位置VPに位置するようになっている。
【0031】
ここで、搬送変位シリンダ35の左方向の推力(第2の搬送バイスジョー23を押圧する力)は、搬送移動シリンダ25の右方向の推力(第1の搬送バイスジョー21を押圧する力)よりも大きく設定されている。これは、一対の搬送バイスジョー21,23の協働によってワークWを挟持した際に、第2の搬送バイスジョー23のバイス面23sをバイス基準位置VSに位置させるためである。
【0032】
基台3は、その上面における切断位置CPの直上流側(搬送方向の直上流側)に、ワークWを基台3に対して固定するための上流本体バイス機構45を備えている。そして、上流本体バイス機構45の具体的な構成は、以下の通りである。
【0033】
図1図2、及び図4(a)に示すように、上流本体バイス機構45は、基台3の上面における切断位置CPの直上流側に設けられかつワークWを支持する上流本体バイスベッド(上流加工テーブル)47を有している。また、上流本体バイスベッド47は、その上側に、ワークWを挟持する一対の上流本体バイスジョー49,51を備えており、一対の上流本体バイスジョー49,51は、搬送幅方向に対向している。第1の上流本体バイスジョー(一方の上流本体バイスジョー)49は、第2の上流本体バイスジョー(他方の上流本体バイスジョー)51よりも左側(搬送幅方向の一方側)に位置している。
【0034】
上流本体バイスベッド47は、その左部に、第1の上流本体バイスジョー49を搬送幅方向へ移動させる油圧式の上流本体移動シリンダ53を備えている。上流本体移動シリンダ53は、上流本体バイスベッド47の左部に設けられたシリンダ本体55と、このシリンダ本体55内に左右方向(搬送幅方向)へ移動可能に設けられたピストン57と、基端部がピストン57に連結されかつ先端部が第1の上流本体バイスジョー49に連結された作動ロッド59とを有している。また、シリンダ本体55内は、ピストン57によって左側シリンダ室(搬送幅方向の一方側のシリンダ室)61Lと右側シリンダ室(搬送幅方向の他方側のシリンダ室)61Rに区画されている。
【0035】
上流本体バイスベッド47は、その右部に、第2の上流本体バイスジョー51を搬送幅方向へ変位させる油圧式の上流本体変位シリンダ63を備えている。上流本体変位シリンダ63は、上流本体バイスベッド47の右部に設けられたシリンダ本体65と、このシリンダ本体65内に左右方向へ移動可能に設けられたピストン67と、基端部がピストン67に連結されかつ先端部が第2の上流本体バイスジョー51に連結された作動ロッド69とを有している。また、シリンダ本体65内は、ピストン67によって左側シリンダ室71Lと右側シリンダ室71Rに区画されている。更に、上流本体変位シリンダ63(上流本体変位シリンダ63のピストン67)が左方向のストローク端に達すると、第2の上流本体バイスジョー51のバイス面51sがバイス基準位置VPに位置するようになっている。
【0036】
ここで、上流本体変位シリンダ63の左方向の推力(第2の上流本体バイスジョー51を押圧する力)は、上流本体移動シリンダ53の右方向の推力(第1の上流本体バイスジョー49を押圧する力)よりも大きく設定されている。これは、一対の上流本体バイスジョー49,51の協働によってワークWを挟持した際に、第2の上流本体バイスジョー51のバイス面51sをバイス基準位置VSに位置させるためである。
【0037】
基台3は、その上面における切断位置CPの直下流側(搬送方向の直下流側)に、ワークWにおける製品に相当する部分(ワークWから取り出して製品になる部分)Wfを基台3に対して固定するための下流本体バイス機構73を備えている。そして、下流本体バイス機構73の具体的な構成は、以下の通りである。
【0038】
図1図2、及び図4(b)に示すように、下流本体バイス機構73は、基台3の上面における切断位置CPの直下流側に設けられかつワークWにおける製品に相当する部分Wfを支持する下流本体バイスベッド(下流加工テーブル)75を有している。また、下流本体バイスベッド75は、その上側に、ワークWにおける製品に相当する部分Wfを挟持する一対の下流本体バイスジョー77,79を備えており、一対の下流本体バイスジョー77,79は、搬送幅方向に対向している。第1の下流本体バイスジョー(一方の下流本体バイスジョー)77は、第2の下流本体バイスジョー(他方の下流本体バイスジョー)79よりも左側(搬送幅方向の一方側)に位置している。
【0039】
下流本体バイスベッド75は、その左部に、第1の下流本体バイスジョー77を搬送幅方向へ移動させる油圧式の下流本体移動シリンダ81を備えている。下流本体移動シリンダ81は、下流本体バイスベッド75の左部に設けられたシリンダ本体83と、このシリンダ本体83内に左右方向(搬送幅方向)へ移動可能に設けられたピストン85と、基端部がピストン85に連結されかつ先端部が第1の下流本体バイスジョー77に連結された作動ロッド87とを有している。また、シリンダ本体83内は、ピストン85によって左側シリンダ室(搬送幅方向の一方側のシリンダ室)89Lと右側シリンダ室(搬送幅方向の他方側のシリンダ室)89Rに区画されている。
【0040】
下流本体バイスベッド75は、その右部に、第2の下流本体バイスジョー79を搬送幅方向へ変位させる油圧式の下流本体変位シリンダ91を備えている。下流本体変位シリンダ91は、下流本体バイスベッド75の右部に設けられたシリンダ本体93と、このシリンダ本体93内に左右方向へ移動可能に設けられたピストン95と、基端部がピストン95に連結されかつ先端部が第2の下流本体バイスジョー79に連結された作動ロッド97とを有している。また、シリンダ本体93内は、ピストン95によって左側シリンダ室99Lと右側シリンダ室99Rに区画されている。更に、下流本体変位シリンダ91(下流本体変位シリンダ91のピストン95)が左方向のストローク端に達すると、第2の下流本体バイスジョー79のバイス面79sがバイス基準位置VPを超えてバイス基準位置VPよりも例えば3〜10mmだけ左方向へ位置するようになっている。
【0041】
ここで、下流本体変位シリンダ91の左方向の推力(第2の下流本体バイスジョー79を押圧する力)は、下流本体移動シリンダ81の右方向の推力(第1の下流本体バイスジョー77を押圧する力)と同程度に設定されている。具体的には、下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89L及び下流本体変位シリンダ91の右側シリンダ室99Rは、同じ圧力の作動油(作動流体の1つ)が供給されるようになっている。そして、下流本体変位シリンダ91の右側シリンダ室99Rの断面積は、下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89Lの断面積と同程度に設定されている。「同程度」とは、下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89Lの断面積に対する、下流本体変位シリンダ91の右側シリンダ室93Rの断面積と下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89Lの断面積との差の割合が±5%以内であることをいう。換言すれば、「同程度」とは、下流本体移動シリンダ81の左方向の推力に対する、下流本体変位シリンダ91の右方向の推力と下流本体移動シリンダ81の左方向の推力との差の割合が±5%以内であることをいう。
【0042】
図2に示すように、帯鋸盤1は、搬送移動シリンダ25、搬送変位シリンダ35、上流本体移動シリンダ53、上流本体変位シリンダ63、下流本体移動シリンダ81、及び下流本体変位シリンダ91を駆動させるための油圧ユニット101を備えている。そして、油圧ユニット101の具体的な構成等は、次の通りである。
【0043】
搬送移動シリンダ25の左側シリンダ室33Lは、配管(回路)103の一端に接続されており、配管103の他端は、搬送移動シリンダ用方向制御弁105のAポートに接続されている。搬送移動シリンダ用方向制御弁105のPポートは、配管107の一端に接続されており、配管107の他端は、メイン配管109の途中に接続されている。そして、メイン配管109の一端は、作動油を供給するポンプ(作動流体供給源)111の吐出側に接続されており、ポンプ111の吸入側は、作動油を収容するタンク113に接続されている。また、搬送移動シリンダ25の右側シリンダ室33Rは、配管(回路)115の一端に接続されており、配管115の他端は、搬送移動シリンダ用方向制御弁105のBポートに接続されている。更に、搬送移動シリンダ用方向制御弁105のTポートは、配管117の一端に接続されており、配管117の他端は、メイン配管119の途中に接続されている。メイン配管119の一端は、タンク113に接続されている。
【0044】
前記の構成により、ポンプ111の駆動中に、搬送移動シリンダ用方向制御弁105を中立状態(図2に示す状態)からPポートとAポートを連通させかつTポートとBポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管103,107を介して搬送移動シリンダ25の左側シリンダ室33Lに供給されると共に、搬送移動シリンダ25の右側シリンダ室33R内の作動油が配管115,117及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第1の搬送バイスジョー21を右方向(搬送幅方向の他方側)へ移動させることができる。
【0045】
一方、ポンプ111の駆動中に、搬送移動シリンダ用方向制御弁105を中立状態からPポートとBポートを連通させかつTポートとAポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管107,115を介して搬送移動シリンダ25の右側シリンダ室33Rに供給されると共に、搬送移動シリンダ25の左側シリンダ室33L内の作動油が配管103,117及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第1の搬送バイスジョー21を左方向(搬送幅方向の一方側)へ移動させることができる。
【0046】
搬送変位シリンダ35の右側シリンダ室43Rは、配管121の一端に接続されており、配管121の他端は、搬送変位シリンダ用方向制御弁123のAポートに接続されている。搬送変位シリンダ用方向制御弁123のPポートは、配管125の一端に接続されており、配管125の他端は、メイン配管109の途中に接続されている。また、搬送変位シリンダ35の左側シリンダ室43Lは、配管127の一端に接続されており、配管127の他端は、搬送変位シリンダ用方向制御弁123のBポートに接続されている。更に、搬送変位シリンダ用方向制御弁123のTポートは、配管129の一端に接続されており、配管129の他端は、メイン配管119の途中に接続されている。
【0047】
前記の構成により、ポンプ111の駆動中に、搬送変位シリンダ用方向制御弁123を中立状態(図2に示す状態)からPポートとAポートを連通させかつTポートとBポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管121,125を介して搬送変位シリンダ35の右側シリンダ室43Rに供給されると共に、搬送変位シリンダ35の左側シリンダ室43L内の作動油が配管127,129及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第2の搬送バイスジョー23を左方向(搬送幅方向の一方側)へ移動させることができる。
【0048】
一方、ポンプ111の駆動中に、搬送変位シリンダ用方向制御弁123を中立状態からPポートとBポートを連通させかつTポートとAポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管125,127を介して搬送変位シリンダ35の左側シリンダ室43Lに供給されると共に、搬送変位シリンダ35の右側シリンダ室43R内の作動油が配管121,129及びメイン配管119を介してタンク113に排出されるようになっている。これにより、第2の搬送バイスジョー23を右方向(搬送幅方向の他方側)へ移動させることができる。
【0049】
上流本体移動シリンダ53の左側シリンダ室61Lは、配管131の一端に接続されており、配管131の他端は、上流本体シリンダ用方向制御弁133のAポートに接続されている。上流本体シリンダ用方向制御弁133のPポートは、配管135の一端に接続されており、配管135の他端は、メイン配管109の途中に接続されている。また、上流本体移動シリンダ53の右側シリンダ室61Rは、配管137の一端に接続されており、配管137の他端は、上流本体シリンダ用方向制御弁133のBポートに接続されている。更に、上流本体シリンダ用方向制御弁133のTポートは、配管139の一端に接続されており、配管139の他端は、メイン配管119の途中に接続されている。
【0050】
前記の構成により、ポンプ111の駆動中に、上流本体シリンダ用方向制御弁133を中立状態(図2に示す状態)からPポートとAポートを連通させかつTポートとBポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管131,135を介して上流本体移動シリンダ53の左側シリンダ室61Lに供給されると共に、上流本体移動シリンダ53の右側シリンダ室61R内の作動油が配管137,139及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第1の上流本体バイスジョー49を右方向(搬送幅方向の他方側)へ移動させることができる。
【0051】
一方、ポンプ111の駆動中に、上流本体シリンダ用方向制御弁133を中立状態からPポートとBポートを連通させかつTポートとAポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管135,137を介して上流本体移動シリンダ53の右側シリンダ室61Rに供給されると共に、上流本体移動シリンダ53の左側シリンダ室61L内の作動油が配管131,139及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第1の上流本体バイスジョー49を左方向(搬送幅方向の一方側)へ移動させることができる。
【0052】
上流本体変位シリンダ63の右側シリンダ室71Rは、配管141の一端に接続されており、配管141の他端は、上流本体変位シリンダ用方向制御弁143のAポートに接続されている。上流本体変位シリンダ用方向制御弁143のPポートは、配管145の一端に接続されており、配管145の他端は、メイン配管109の途中に接続されている。また、上流本体変位シリンダ63の左側シリンダ室71Lは、配管147の一端に接続されており、配管147の他端は、上流本体変位シリンダ用方向制御弁143のBポートに接続されている。更に、上流本体変位シリンダ用方向制御弁143のTポートは、配管149の一端に接続されており、配管149の他端は、メイン配管119の途中に接続されている。
【0053】
前記の構成により、ポンプ111の駆動中に、上流本体変位シリンダ用方向制御弁143を中立状態(図2に示す状態)からPポートとAポートを連通させかつTポートとBポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管141,145を介して上流本体変位シリンダ63の右側シリンダ室71Rに供給されると共に、上流本体変位シリンダ63の左側シリンダ室71L内の作動油が配管147,149及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第2の上流本体バイスジョー51を左方向(搬送幅方向の一方側)へ移動させることができる。
【0054】
一方、ポンプ111の駆動中に、上流本体変位シリンダ用方向制御弁143を中立状態からPポートとBポートを連通させかつTポートとAポートを連通させる。すると、作動油がメイン配管109及び配管145,147を介して上流本体変位シリンダ63の左側シリンダ室71Lに供給されると共に、上流本体変位シリンダ63の右側シリンダ室71R内の作動油が配管141,149及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第2の上流本体バイスジョー51を右方向(搬送幅方向の他方側)へ移動させることができる。
【0055】
下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89Lは、配管151の一端に接続されており、配管151の他端は、下流本体シリンダ用方向制御弁153のAポートに接続されている。下流本体シリンダ用方向制御弁153のPポートは、配管155の一端に接続されており、配管155の他端は、メイン配管109の他端に接続されている。また、下流本体移動シリンダ81の右側シリンダ室89Rは、配管157の一端に接続されており、配管157の他端は、下流本体シリンダ用方向制御弁153のBポートに接続されている。更に、下流本体シリンダ用方向制御弁153のTポートは、配管159の一端に接続されており、配管159の他端は、メイン配管119の他端に接続されている。
【0056】
下流本体変位シリンダ91の右側シリンダ室99Rは、配管161の一端に接続されており、配管161の他端は、配管151の途中に接続されている。配管161は、その途中に、ノンリークバルブ163を備えている。また、下流本体変位シリンダ91の左側シリンダ室99Lは、配管165の一端に接続されており、配管165の他端は、配管157の途中に接続されている。換言すれば、下流本体変位シリンダ91の左側シリンダ室99Lは、配管157,165を介して下流本体移動シリンダ81の右側シリンダ室89Rに連通している。
【0057】
前記の構成により、ポンプ111の駆動中に、下流本体シリンダ用方向制御弁153を中立状態(図2に示す状態)からPポートとAポートを連通させかつTポートとBポートを連通させる。また、ノンリークバルブ163を閉状態(図2に示す状態)から開状態に切り替える。すると、作動油がメイン配管109及び配管151,155を介して下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89Lに供給されると共に、下流本体移動シリンダ81の右側シリンダ室89R内の作動油が配管157,159及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。併せて、作動油がメイン配管109及び配管151,155,161を介して下流本体変位シリンダ91の右側シリンダ室99Rに供給されると共に、下流本体変位シリンダ91の左側シリンダ室99L内の作動油が配管157,159,165及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第1の下流本体バイスジョー77を右方向(搬送幅方向の他方側)へ移動させると共に、第2の下流本体バイスジョー79を左方向(搬送幅方向の他方側)へ移動させることができる。つまり、一対の下流本体バイスジョー77,79の協働によりワークWにおける製品に相当する部分Wfを挟持することができる(図1及び図4(b)参照)。
【0058】
その後、ノンリークバルブ163を開状態から閉状態(図2に示す状態)に切り替える。すると、下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89Lと下流本体変位シリンダ91の右側シリンダ室99Rとの連通状態が遮断される。また、前述のように、下流本体移動シリンダ81の右側シリンダ室89Rと下流本体変位シリンダ91の左側シリンダ室99Lが連通している。これにより、下流本体移動シリンダ81の右方向の推力と下流本体変位シリンダ91の左方向の推力とワークWの左右方向の反力との均衡状態を保ちながら、一対の下流本体バイスジョー77,79を下流本体バイスベッド75に対して移動不能に固定することができる(図4(b)参照)。
【0059】
一方、ポンプ111の駆動中に、下流本体シリンダ用方向制御弁153を中立状態(図2に示す状態)からPポートとBポートを連通させかつTポートとAポートを連通させる。また、ノンリークバルブ163を閉状態(図2に示す状態)から開状態に切り替える。すると、作動油がメイン配管109及び配管155,157を介して下流本体移動シリンダ81の右側シリンダ室89Rに供給されると共に、下流本体移動シリンダ81の左側シリンダ室89L内の作動油が配管151,159及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。併せて、作動油がメイン配管109及び配管157,159,165を介して下流本体変位シリンダ91の左側シリンダ室99Lに供給されると共に、下流本体変位シリンダ91の右側シリンダ室99R内の作動油が配管151,159,161及びメイン配管119を介してタンク113に排出される。これにより、第1の下流本体バイスジョー77を左方向へ移動させると共に、第2の下流本体バイスジョー79を右方向へ移動させることができる。
【0060】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0061】
一対の搬送バイスジョー21,23の間にワークWの一部分を介在させた状態で、搬送変位シリンダ35の駆動により第2の搬送バイスジョー23を左方向へ移動させて、第2の搬送バイスジョー23のバイス面23sをバイス基準位置VPに位置させる。そして、搬送移動シリンダ25の駆動により第1の搬送バイスジョー21を右方向へ移動させる。これにより、一対の搬送バイスジョー21,23の協働によりワークWを挟持することができる。なお、一対の搬送バイスジョー21,23の間にワークWを介在させる前に、第2の搬送バイスジョー23のバイス面23sをバイス基準位置VPに位置させてもよい。
【0062】
一対の搬送バイスジョー21,23の協働によりワークWを挟持した後に、搬送バイスベッド用電動モータ等の駆動により搬送バイスベッド19(搬送バイス機構17)を搬送方向(前方向)へ移動させる。これにより、ワークWを搬送方向へ搬送して、ワークWの被切断部Waを切断位置CPに位置決めすることができる。このとき、ワークWの一部分は、一対の上流本体バイスジョー49,51の間に介在し、ワークWにおける製品に相当する部分Wfは、一対の下流本体バイスジョー77,79の間に介在している。
【0063】
ワークWの被切断部Waを切断位置CPに位置決めした後に、上流本体変位シリンダ63の駆動により第2の上流本体バイスジョー51を左方向へ移動させて、第2の上流本体バイスジョー51のバイス面51sをバイス基準位置VPに位置させる。そして、上流本体移動シリンダ53の駆動により第1の上流本体バイスジョー49を右方向へ移動させる。これにより、一対の上流本体バイスジョー49,51の協働によりワークWを挟持して、基台3対して固定することができる。なお、ワークWの被切断部Waを切断位置CPに位置決めする前に、第2の上流本体バイスジョー51のバイス面51sをバイス基準位置VPに位置させてもよい。
【0064】
一対の上流本体バイスジョー49,51の協働によりワークWを挟持した後に、下流本体移動シリンダ81の駆動により第1の下流本体バイスジョー77を右方向へ移動させると共に、下流本体変位シリンダ91の駆動により第2の下流本体バイスジョー79を左方向へ移動させる。これにより、一対の下流本体バイスジョー77,79の協働によりワークWにおける製品に相当する部分Wfを挟持することができる。ここで、図1に示すように、ワークWの先端部に曲がりがない場合には、第2の下流本体バイスジョー79のバイス面79sがバイス基準位置VPに位置することになる。図5(a)に示すように、ワークWの先端部が左方向(搬送幅方向の一方側)に弓形に曲がっている場合には、第2の下流本体バイスジョー79のバイス面79sがバイス基準位置VPを超えてバイス基準位置VPよりも左方向に位置することになる。図5(b)に示すように、ワークWの先端部が右方向(搬送幅方向の他方側)に弓形に曲がっている場合には、第2の下流本体バイスジョー79のバイス面79sがバイス基準位置VPよりも右方向に位置することになる。
【0065】
一対の下流本体バイスジョー77,79の協働によりワークWにおける製品に相当する部分Wfを挟持した後に、ノンリークバルブ163を開状態から閉状態(図2に示す状態)に切り替える。これにより、下流本体移動シリンダ81の右方向の推力と下流本体変位シリンダ91の左方向の推力とワークWの左右方向の反力との均衡状態を保ちながら、一対の下流本体バイスジョー77,79を下流本体バイスベッド75に対して移動不能に固定することができる。
【0066】
ノンリークバルブ163を開状態から閉状態に切り替えた後に、一対の鋸刃ホイールの回転により鋸刃Bを走行(循環走行)させた状態で、切断加工ヘッド7を下降させる。これにより、ワークWの被切断部Waに対して切断加工を行って、ワークWから製品を取り出すことができる。
【0067】
要するに、前述のように第2の下流本体バイスジョー79のバイス面79sがバイス基準位置VPを超えてバイス基準位置VPよりも左方向に位置するようになっている。これにより、ワークWの先端部が左方向に弓形に曲がっている場合でも、一対の下流本体バイスジョー77,79の協働によってワークWにおける製品に相当する部分Wfを強固に挟持することができる。
【0068】
前述のように、下流本体変位シリンダ91の左方向の推力が下流本体移動シリンダ81の右方向の推力と同程度に設定されている。これにより、ワークWの先端部が右方向に弓形に曲がっている場合でも、切断終了時に、製品に左方向(搬送幅方向の一方側)に大きな力が働くことがない。
【0069】
前述のように、下流本体移動シリンダ81の右方向の推力と下流本体変位シリンダ91の左方向の推力とワークWの左右方向の反力との均衡状態を保ちながら、一対の下流本体バイスジョー77,79を下流本体バイスベッド75に対して移動不能に固定することができる。これにより、切断終了時に、製品が鋸刃Bの走行によって移動(変位)することを防止することができる。また、切断加工中に、ワークWに大きな負荷が働いても、ワークWにおける製品に相当する部分Wfを基台3に対して固定した状態に保つことできる。
【0070】
従って、本発明の実施形態によれば、前述のように、ワークWの先端部が左方向に弓形に曲がっている場合でも、一対の下流本体バイスジョー77,79の協働によってワークWにおける製品に相当する部分Wfを強固に挟持することができる。また、前述のように、ワークWの先端部が右方向に弓形に曲がっている場合でも、切断終了時に、製品に左方向(搬送幅方向の一方側)に大きな力が働くことがない。そのため、本発明によれば、切断終了時に、ワークWから取り出された製品が左右方向(搬送幅方向)へ移動することがなく、鋸刃Bの歯先の耐チッピング性を高めて、鋸刃の寿命(耐久性)の向上を図ることができる。
【0071】
特に、前述のように、切断終了時に、製品が鋸刃Bの走行によって移動(変位)することを防止できると共に、切断加工中に、ワークWに大きな負荷が働いても、ワークWにおける製品に相当する部分Wfを基台3に対して固定した状態に保つことできる。そのため、本発明によれば、鋸刃Bの歯先の耐チッピング性をより高めて、鋸刃の寿命のより一層の向上を図ることができる。
【0072】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、次のように種々の態様で実施可能である。ワーク搬送固定装置13の構成から上流本体バイス機構45を省略してもよく、この場合には、切断加工時に、一対の搬送バイスジョー21,23の協働によってワークWを挟持することになる。また、帯鋸盤1に適用した技術的思想を丸鋸盤(図示省略)等の別の切断機に適用してもよい。そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0073】
B 鋸刃
CP 切断位置
VP バイス基準位置
W ワーク
Wa 被切断部
Wf 製品に相当する部分
1 帯鋸盤
3 基台
5 支持フレーム
7 切断加工ヘッド
9 搬送テーブル
13 ワーク搬送固定装置
15 ガイドレール
17 搬送バイス機構
19 搬送バイスベッド
21 第1の搬送バイスジョー
23 第2の搬送バイスジョー
25 搬送移動シリンダ
35 搬送変位シリンダ
45 上流本体バイス機構
47 上流本体バイスベッド
49 第1の上流本体バイスジョー
51 第2の上流本体バイスジョー
53 上流本体移動シリンダ
63 上流本体変位シリンダ
73 下流本体バイス機構
75 下流本体バイスベッド
77 第1の下流本体バイスジョー
79 第2の下流本体バイスジョー
81 下流本体移動シリンダ
91 下流本体変位シリンダ
101 油圧ユニット
105 搬送移動シリンダ用方向制御弁
123 搬送変位シリンダ用方向制御弁
133 上流本体シリンダ用方向制御弁
143 上流本体変位シリンダ用方向制御弁
153 下流本体シリンダ用方向制御弁
163 ノンリークバルブ
図1
図2
図3
図4
図5