特許第6205048号(P6205048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205048厚さが変化する格子支持構造を有する保護装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205048
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】厚さが変化する格子支持構造を有する保護装置
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/015 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   A41D13/015
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-500877(P2016-500877)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公表番号】特表2016-517483(P2016-517483A)
(43)【公表日】2016年6月16日
(86)【国際出願番号】US2014021903
(87)【国際公開番号】WO2014159088
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】13/804,758
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100200920
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】カール ベーレント
(72)【発明者】
【氏名】オリバー マクラクラン
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06151714(US,A)
【文献】 特開2008−214841(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0030850(US,A1)
【文献】 米国特許第06432513(US,B1)
【文献】 登録実用新案第3085194(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00−13/12,20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護装置であって:
前面および反対の後面、内側縁および反対の外側縁、ならびに上縁および反対の下縁を有する衝撃シェルであって、前記衝撃シェルは、突出面を形成する前記衝撃シェルの後面から突出する一体型形成の構造格子をさらに備え、前記構造格子は内側部分、中間部分および外側部分を有し、前記構造格子は、前記衝撃シェルの後面から、前記内側部分に近接する第一の量および前記中間部分に近接する第二の量を突出し、前記第一の量は前記第二の量よりも少ない、前記衝撃シェルと;
前記衝撃シェルの前記後面および前記構造格子の前記突出面に近接する衝撃減衰構造であって、前記衝撃減衰構造は、前記衝撃シェルに取り付けられ、少なくとも前記内側縁および前記外側縁に近接する前記衝撃減衰構造と;
を備え
前記衝撃減衰構造は、後面および前面を備え、前記衝撃減衰構造の前面は、前記衝撃シェルの後面および前記構造格子の突出面に近接し、
前記構造格子の突出面は、前記衝撃減衰構造の前面と接し、前記衝撃シェルの後面から前記衝撃減衰構造の前面をオフセットする保護装置。
【請求項2】
前記衝撃シェルは、a)ポリプロピレン材料、b)スチレンブタジエン共重合体材料、およびc)炭素繊維系材料のうちから選択される少なくとも一種の材料から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項3】
前記構造格子は、前記衝撃シェルの下内側位置から上外側位置にかけて延在する第一組の要素と、前記衝撃シェルの下外側位置から上内側位置にかけて延在する第二組の要素とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項4】
前記第一組の要素が前記後面から突出する量は、前記後面の共通位置において、前記第二組の要素が前記後面から突出する量と共通であることを特徴とする、請求項3に記載の保護装置。
【請求項5】
前記第一組の要素および前記第二組の要素は、前記外側縁よりも前記内側縁づいて延在することを特徴とする、請求項3に記載の保護装置。
【請求項6】
前記構造格子の前記突出面は、前記後面から、前記構造格子の前記中間部分内で最大量を突出することを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項7】
前記構造格子の前記突出面は、前記上縁から前記下縁にかけて延在することを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項8】
前記構造格子の前記突出面は、前記衝撃シェルにおける前記内側縁または前記外側縁に延在しないことを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項9】
前記衝撃減衰構造は、前記後面の内側取り付け部および前記後面の外側取り付け部内の前記衝撃シェルの前記後面に取り付けられ、前記内側取り付け部は、前記内側縁および前記構造格子の最も内側の突起間に延在し、前記外側取り付け部は、前記外側縁および前記構造格子の最も外側の突起間に延在することを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項10】
前記構造格子は、前記衝撃シェルの前記前面を通して、視覚的に知覚できることを特徴とする、請求項1に記載の保護装置。
【請求項11】
保護装置であって:
前面および反対の後面、内側縁および反対の外側縁、ならびに上縁および反対の下縁を有する衝撃シェルであって、前記衝撃シェルの前記後面は、第一の曲線輪郭を有し、前記内側縁から前記外側縁にかけて、前記前面の方向において外方に延在し、前記第一の曲線輪郭は第一の直径を有する前記衝撃シェルと;
前記衝撃シェルと一体型形成される構造格子であって、前記衝撃シェルの前記後面から突出し、前記構造格子は、前記前面と反対方向において、前記後面から突出する複数の相互接続型リブ部材を備え、前記複数の相互接続型リブ部材は突出面を形成し、前記突出面は、第二の曲線輪郭を有し、前記衝撃シェルの内側縁から前記衝撃シェルの外側縁に向かって、前記衝撃シェルの前面の方向において外方に延在し、前記第二の曲線輪郭は第二の直径を有し、前記第二の直径は前記第一の直径よりも長い前記構造格子と;
前記衝撃シェルの前記後面と、前記構造格子の前記突出面とに近接する衝撃減衰構造と;
を備え
前記衝撃減衰構造は、後面および前面を備え、前記衝撃減衰構造の前面は、前記衝撃シェルの後面および前記構造格子の突出面に近接し、
前記構造格子の突出面は、前記衝撃減衰構造の前面と接し、前記衝撃シェルの後面から前記衝撃減衰構造の前面をオフセットする保護装置。
【請求項12】
前記構造格子は、前記構造格子の内側位置および前記構造格子の外側位置間において、前記内側位置または前記外側位置よりも、多くの量を突出することを特徴とする、請求項11に記載の保護装置。
【請求項13】
前記衝撃減衰構造は、発泡系材料であることを特徴とする、請求項11に記載の保護装置。
【請求項14】
前記衝撃減衰構造は、エチレン酢酸ビニル材料から形成されることを特徴とする、請求項11に記載の保護装置。
【請求項15】
記衝撃減衰構造は複数のチャンネルをさらに備えることを特徴とする、請求項11に記載の保護装置。
【請求項16】
前記衝撃減衰構造の前記後面上にある前記複数のチャンネルの一部は、前記複数の前記構造格子リブ部材の一部と位置合わせをすることを特徴とする、請求項15に記載の保護装置。
【請求項17】
前記複数のチャンネルは、前記衝撃減衰構造の後面から形成され、前記衝撃シェルの内側部分に近接する複数のチャンネルは、前衝撃シェルの外側部分に近接する前記チャンネルよりも深さが浅いことを特徴とする、請求項15に記載の保護装置。
【請求項18】
保護装置であって:
前面および反対の後面を有し、前記後面は、内側縁と反対の外側縁との間の前記前面に向かって湾曲する衝撃シェルと;
前記衝撃シェルの後面から突出する構造格子であって、突出面を形成し、前記突出面は、前記衝撃シェルの後面から、前記構造格子の内側部分および前記構造格子の外側部分よりも、前記構造格子の中間部分において多くの量を突出する前記構造格子と;
前記衝撃シェルの前記後面および前記構造格子の前記突出面に近接する衝撃減衰構造であって、前記衝撃シェルの前記後面および前記構造格子の前記突出面に近接する前面を有し、一部は、前記構造格子によって前記衝撃シェルの前記後面からオフセットされる前記衝撃減衰構造と;
を備える保護装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
保護装置は、従来、人体または物体が受ける衝撃力を制限するために使用される。保護装置は、衝撃力を散逸し、減衰するだけでなく、耐穿刺性または耐突刺性も有する。したがって、すね当て等の保護装置は、発泡性パディング等の衝撃減衰構造と組み合わせて外部衝撃シェルを利用する。衝撃シェルは、一般的に剛性の材料から形成されるので、穿刺や突刺に対して耐性があり、衝撃減衰構造において、より広範囲にわたって衝撃力を分散することもできる。
【発明の概要】
【0002】
本発明の実施態様は、衝撃シェルおよび衝撃減衰材を備える保護装置に係るものである。特に、衝撃シェルは、シェルの後側面上の格子構造を備え、シェルから突出するので、少なくともシェルの中間部分において、シェルの後面から衝撃減衰構造をオフセットできる、または離間できる。シェルの後面から突出する格子量は、格子が、シェルの中間部分から、内側部分および/または外側部分に向かって外方に延在すると、減少する。格子構造は、材料を減らしつつ、衝撃減衰特性を向上させ、構造強度を高める。
【0003】
この概要は、特許請求の範囲に記載した本発明の特徴を要約するものではあるが、その主要な特徴や本質的な特徴を特定することを意図するものでなく、本発明の技術的範囲を確定する手段として個別的に使用することを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の実施態様に係る例示的な保護装置の前面図である。
図2】本発明の実施態様に係るシェルの後面斜視図である。
図3】本発明の実施態様に係る、部分的に見えにくい例示的なシェルの前面斜視図である。
図4】本発明の実施態様に係る例示的な衝撃減衰構造の後面斜視図である。
図5】本発明の実施態様に係る衝撃減衰構造を備える保護装置を示す、図4の切断線5−5に沿った断面図である。
図6】本発明の実施態様に係るシェルを示す、図2の切断線6−6に沿った断面図である。
図7】本発明の実施態様に係るシェルを示す、図2の切断線7−7に沿った断面図である。
図8】本発明の実施態様に係るシェルを示す、図2の切断線8−8に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、添付図面に示す例示的な実施形態について本発明をさらに詳述する。なお、これら添付図面は参照によって本明細書に組み入れられる。
【0006】
本発明の実施形態の主題は、法定要件を満たす特異性をもって記載される。しかしながら、記述自体は本発明の技術的範囲の限定を意図するものではない。むしろ、発明者らは、特許請求された主題を他の方法で具現化もして、異なる構成要件または他の本技術あるいは将来の技術と併せて、本書類に記載の構成要件に類似する構成要件の組み合わせを備えることを考えた。
【0007】
本発明の実施形態は、衝撃シェルおよび衝撃減衰構造を備える保護装置に係るものである。特に、衝撃シェルは、シェルの後側面上の格子構造を備え、シェルから突出するので、少なくともシェルの中間部分において、シェルの後面から衝撃減衰構造をオフセットできる、または離間できる。シェルの後面から突出する格子量は、格子が、シェルの中間部分から内側部分および/または外側部分に向かって外方に延在すると、減少する。格子構造は、材料を減らしつつ、衝撃減衰特性を向上させ、構造強度を高める。
【0008】
したがって、第一の実施態様において、本発明は、前面および反対の後面、内側縁および反対の外側縁、ならびに上縁および反対の下縁を有する衝撃シェルを備える保護装置を提供する。衝撃シェルは、一体型に形成された構造格子も含み、衝撃シェルの後面から突出して、突出面を形成する。格子は、内側部分、中間部分および外側部分を有し、それぞれシェルの内側、中間および外側の部分と対応する。格子は、衝撃シェルの後面から、内側部分内で第一の量を、中間部分内で第二の量を突出する。本例において、第一の量は、第二の量よりも少ない。加えて、保護装置は、衝撃減衰構造を備え、衝撃シェルの後面と、格子の突出面とに近接している。衝撃減衰構造は、少なくとも内側縁および外側縁の付近にある衝撃シェルに取り付けられる。
【0009】
第二の実施態様において、本発明は、前面および反対の後面、内側縁および反対の外側縁、ならびに上縁および反対の下縁を有する衝撃シェルを備える保護装置を提供する。衝撃シェルの後面は、第一の曲線輪郭を有し、内側縁から外側縁まで、前面の方向において外方に延在する。第一の曲線輪郭は、第一の直径を有する。保護装置はさらに、衝撃シェルと一体型形成された構造格子を備え、衝撃シェルの後面から突出する。構造格子は、前面と反対方向において、後面から突出する複数の相互接続型リブ部材を備える。複数の相互接続型リブ部材は、突出面を形成している。突出面は、第二の曲線輪郭を有し、衝撃シェルの内側縁から衝撃シェルの外側縁に向かって、衝撃シェルの前面の方向において外方に延在する。第二の曲線輪郭は、第二の直径を有する。第二の直径は、第一の直径よりも大きい。保護装置は、さらに、衝撃シェルの後面および格子の突出面の付近に配置された、衝撃減衰構造を備える。
【0010】
第三の実施態様において、本発明は、後面の反対である前面を有する衝撃シェルを備える保護装置も提供する。後面は、内側縁と反対の外側縁との間の前面に向かって湾曲する。保護装置は、さらに、衝撃シェルの後面から突出し、突出面を形成する構造格子を備える。突出面が衝撃シェルの後面から突出する量は、構造格子の内側部分および構造格子の外側部分よりも、構造格子の中間部分におけるほうが多い。保護装置は、さらに、衝撃シェルの後面および格子の突出面の付近に配置された衝撃減衰構造を備える。衝撃減衰構造は、衝撃シェルの後面および格子の突出面の付近に、前面を有する。一部の衝撃減衰構造は、構造格子によって、衝撃シェルの後面からオフセットされる。
【0011】
本発明の実施形態の概略を簡単に記述したので、以下でより詳細に記述する。
【0012】
保護装置は、人体または物体の一つ以上の部分に対する保護を提供することができる。例えば、本明細書で開示される一つ以上の実施態様を実行する保護装置を利用して、体の様々な部位に対して、保護および/または力緩衝機能を提供することができる。例えば、すね当て、ニーパッド、ヒップパッド、腹部パッド、チェストパッド、ショルダーパッド、アームパッドおよびエルボーパッドがあるが、これらには限定されない。ゆえに、本明細書で開示される実施態様は、様々な場所における種々の状況下で有用であり得る。
【0013】
保護装置は、本明細書で開示するように、着用者の関連部分にかかる衝撃力の影響を減少するための製品である。例えば、本明細書で開示する特徴を利用するすね当てに関して、保護装置の使用によって、使用者は脛部上に伝わるエネルギーを感じることが減る可能性がある。知覚に関するこの変化は、様々な方法で達成することができる。例えば、衝撃点に加えられるエネルギーは、剛性の衝撃シェルを通す等して、より広い面積にわたって分散することができる。さらに、散逸/吸収材料は、衝撃力の一部を吸収および/または散逸するための圧縮性機能を付与することができる。
【0014】
図1は、本発明の実施態様に係る例示的な保護装置100の前面図である。本図において、保護装置とは、着用者の頸骨およびすね周りの脹脛部を衝撃力から保護することを意図するすね当てである。当業者によって理解されるように、すね当ては右脚向きおよび左脚向きで生産することができる。それゆえ、一つ以上の向きで図示されているが、詳述されたものと類似する概念を、逆向きに置き換えることができる。換言すれば、右のすね当てについて本明細書で開示する一方で、左右対称の向きを有する左のすね当ても想定される。さらに、本明細書において、人体解剖学的関係用語(例えば、内側、外側、上、下、後および前など)は、参照用に一般的な位置的用語として使用される。しかしながら、代替の実施態様では、人体に関する用語とは異なる意味合いで実施することもできる。換言すれば、保護装置の内側縁は、例示的な実施態様において、例えば、着用者側にある外側の相対位置に近接して配置される。
【0015】
保護装置100は、衝撃シェル101(以下「シェル」とも称する。)および衝撃減衰構造(図示せず)を備える。シェル101は、上縁106,反対の下縁108,内側縁110および反対の外側縁112によって部分的に定義することのできる外周部を備える。一般的な縁位置に基づき、保護装置の領域は、例えば、上外側部114,上内側部116,下内側部118,および下外側部120等を定義することができる。これらの各部分は、一般的な位置を基準にしており、保護装置100上の特定点ではない。後述のように、構造格子200(以下「格子」と称する。)の要素は、一つ以上の該領域の一般的な方向から、一つ以上の代替領域にまで延在するものとして記述することができる。
【0016】
すね当てには典型的であるように、保護装置100は、前面102の方向に(例えば、装着時の着用者に最も近い)後面から延在するように定義される一般的な曲線を有する。換言すれば、保護装置は、一般的に湾曲し、曲線の中心(例えば起点)が前側面ではなく後側面にあるようにする。したがって、保護装置は、装着時には、着用者の脚の一部に巻きつけることができる。
【0017】
シェル101は、例示的な実施態様において、剛性または半剛性の材料から形成され、保護装置の面積にわたって衝撃力を分散するのに効果的である。さらに、シェル101は、相手選手の靴の滑り止め等の物体によって及ぼされる突刺力に対して耐性機能を有する材料から形成される。ゆえに、シェル101は、衝撃力に耐えるのに十分な弾力性を有し、起こりうる突き刺しを屈撓させることもできる材料から製造される。シェル101の製造用に想定された材料は、ポリプロピレン材料、スチレンブタジエン共重合体材料、炭素繊維系材料、その他のポリマー系材料、金属材料、ラミネートおよび保護装置の製造において共通して利用されるその他の材料を含むが、これらには限定されない。例示的な実施態様において、スチレンブタジエン共重合体材料を利用して、透明シェルを提供することができるので、着用者は、保護装置を取り外さずに、シェルおよび衝撃減衰構造の前面の損耗およびダメージを検出可能となる。さらに、透明シェルによって、結合時にシェルと衝撃減衰構造との位置合わせが適切であるかの確認も可能になる。後述のように、衝撃減衰構造の一つ以上のチャンネルの位置合わせは、シェル上に格子のリブを伴い、例示的な実施態様において、透明シェルと可視的に位置合わせをすることができる。
【0018】
しかしながら、以下に記述するように、透明シェルの一部は、シェルの後側面にある材料を見えにくくするために覆うことができる。例えば、シェルと衝撃減衰構造との結合に使用される接着剤は、着色剤、塗料、染色、ラミネート、デカールおよびシェルに塗布される類のグラフィカル要素によって見えにくくすることができる。図1において、例示的に覆っている/見えにくくしている別の透明シェルの一部が示されているが、以下図3についてより詳細に記述されるように、傾斜面または見えにくくするためのその他のパターンは、シェルの内側側面および外側側面からシェルの内部/中間に向かって延在するよう実行することができる。
【0019】
図2は、本発明の実施態様に係るシェル101の後面104を見せるシェル101の後面斜視図である。図1で既に示したように、シェル101は、上縁106,下縁108,外側縁112および内側縁110を備える。
【0020】
さらに、シェル101は、格子200を備える。図示のように、格子200は、シェルの後面104から延在/突出する。突出する格子200から形成される表面は、突出面と呼ばれる。例示的な実施態様において、突出面は、衝撃減衰構造の前面と接し、シェル101の後面104から衝撃減衰構造の前面をオフセットする(例えば、間隔を空ける)。したがって、衝撃減衰構造は、格子200が後面104から十分量を突出できない位置で、後面104に接することができる。
【0021】
格子200は、第一のリブ202および第二のリブ204等の、複数のリブ(例えば要素)を備える。第一のリブ202は、一般的に、下外側方向から上内側方向に向かって延在して記述することができる。第二のリブ204は、一般的に、下内側方向から上外側方向に向かって延在して記述することができる。特定の向きや配置が示されているが、リブがいずれの大きさ、形状および向きであっても、任意の組み合わせで実行可能であり、格子を形成して、シェル用の構造支持体、および/またはシェル後面と衝撃を減衰する前面との間のオフセットを提供することができる。例示的な実施態様において、第一のリブ要素および第二のリブ要素が交差して、格子の一部を形成する。交点において、第一のリブ要素および第二のリブ要素はともに、後面から同量を突出する(類似するオフセットを作る)ことができる。
【0022】
格子200の形成は、シェル101の製造中に行われる。例えば、格子200は、例示的な実施態様において、成型(例えば、射出、圧縮など)および追加的な製造技術(例えば焼結、蒸着など)等の共通する製造過程において、シェル101と並行して形成される。それゆえ、格子200は、均一部分の単なる特徴であってもよく、シェル101の形成もする。したがって、格子200およびシェル101は、例示的な実施態様において、共通の材料から共通の製造作業において同時に形成される。
【0023】
シェル101は、内側部分206,中間部分208および外側部分210として特定されるいくつかの一般的な領域を備える。例示的な実施態様において、シェル101の該領域/部分のそれぞれは、上縁106から下縁108にわたって延在することができる。さらに、例示的な実施態様において、格子200は、中間部分208から内側〜外側方向において外方に、内側部分206および外側部分210内の位置まで延在する。格子200は、内側部分206および外側部分210内で終端する。格子の終端は、結果として、突出面214が後面104に下降していくときの、突出面214および後面104の集束に基づくことができる。図6図8でより詳細に述べるように、後面104の曲線は、突出面214の曲線と異なる(または、異なる焦点を有する)ことができる。二つの表面を定義する曲線に差異があると、例示的な実施態様において、格子200が中間部分208から外側/内側に延在するときに、格子200がシェル101内に没入してしまう。例示的な実施態様において、格子200は、保護装置の頚骨保護範囲を支持する後面内に没入する前に、シェルの外側縁よりもシェルの内側縁に近づいて延在する。
【0024】
図5において後述されるように、保護装置は、内側取り付け部216および外側取り付け部212を備えることができる。取り付け部は、格子200が後面104から突出しない、シェル101の後面104に沿った場所を設ける。取り付け部216および212は、例示的な実施態様において、衝撃減衰構造をシェル101に結合するための場所を設ける。
【0025】
図2は、シェル101の内側から外側側部まで水平に延在する切断線6−6を含む。切断線6−6は、以下図6の断面図において示される実施態様のための基準線である。図2は、内側部分206内で縦向きに延在する切断線7−7も含む。切断線7−7は、以下図7の断面図において示される実施態様のための基準線である。加えて、図2は、中間部分208内で縦向きに延在する切断線8−8を含む。切断線8−8は、以下図8の断面図において示される実施態様のための基準線である。
【0026】
図3は、本発明の実施態様に係る、部分的に見えにくい例示的なシェル300の前面斜視図である。シェル300は、上縁106,下縁108,内側縁110および外側縁112を備える。加えて、格子201は、透明部分306を通して可視である。格子201は、シェル300の後面から後方向に突出する。
【0027】
前述したように、シェル300は、前述した理由のため、一部で透明であることを可能にさせつつも、衝撃力を屈撓させて散らす剛性および弾力性を提供する材料から形成することができる。しかしながら、少なくとも、シェル300を衝撃減衰構造と結合するために利用できる(接着剤等)接合/結合機構のいくつかは、透明シェルを通して知覚する際に見栄えが良くない可能性があるので、結合機構に利用されるシェルの一部は見えにくい、または部分的に見えにくい場合がある。さらに、透明シェルを通過可能な紫外線エネルギーは、結合機構によって作られた接合部に悪影響を与える場合がある。それゆえ、放射線(日光等)が日光照射による影響を受ける可能性のある接着剤やその他の結合機構に与える衝撃を低減させるために、結合過程で利用されるシェルの部分は、見えにくくして、または部分的に見えにくくして、光の影響を制限することができる。
【0028】
シェル300は、透明部分306,見えにくい部分302および移行部分304を有して図示される。見えにくい部分302は、シェル300の外周部から生じ、中央領域に向かって内方に図示されている。見えにくい部分302は、少なくとも部分的に、シェルを衝撃減衰構造に結合する/取り付ける場所に対応する。移行部分304は、適用されたマスキング材料の傾斜面であり、透明部分306内に移行する。移行部分304を利用して、部分的に放射線源にフィルターをかけ、および/または見えにくい部分から透明部分への移行部の見栄えを美しくすることができる。
【0029】
「見えにくい」という用語を使用しているが、透明部分306に対する光の透過の低減が、「見えにくい」部分と考えられる。さらに、透明部分306,移行部分304および見えにくい部分302を組み合わせて図示しているが、どんな組み合わせ、または個別部分であっても、例示的な実施態様において任意の位置で実施することができる。
【0030】
図4は、本発明の実施態様に係る例示的な衝撃減衰構造400の後面斜視図である。衝撃減衰構造400は、上縁406,反対の下縁408,内側縁410および反対の外側縁412を備える。衝撃減衰構造400の後面416が図示されている。複数のチャンネル414は、後面416から凹設される。チャンネル414は、任意の位置、深さ、長さ、形状および組み合わせで配置することができる。図4では見えないが、以下図5について記述されるように、シェルは、衝撃減衰構造400の前面418に結合する。
【0031】
しかしながら、例示的な実施態様において、衝撃減衰構造400の後側面上にある一つ以上のチャンネルは、シェルの後側面上にある一つ以上の対応する格子リブに位置を合わせることができる。その結果、衝撃力をシェルの前面上で受けるとき、その衝撃力は、シェルおよび格子を通して、衝撃減衰構造400に移動することができる。格子が、衝撃減衰構造400とシェルの後面との間にオフセットを作ることで、シェルによる衝撃減衰構造400に対する衝撃力の移動先は、格子の突出面が衝撃減衰構造400に接する位置に集中する可能性がある。例えば、格子に対応する衝撃減衰構造400の一つ以上のチャンネルは、衝撃減衰構造400をチャンネルにおいて変形できる屈撓範囲を設け、衝撃減衰構造400を通して衝撃力を移動(し、衝撃減衰構造400によって少なくとも一部の衝撃力を吸収)する前に、少なくとも衝撃力の一部を吸収することができる。換言すれば、チャンネルは、固有変形性を発揮して、格子から加わる集中した力を、衝撃減衰構造のより広範囲にわたって分散することができる。
【0032】
上述したように、格子は、シェルの外領域に沿ったシェルの後面内で(例えば、内側部分および外側部分内で)終端することができる。しかしながら、対応するチャンネルは、衝撃減衰構造の(外領域の方向における)先を超えて延在することができる。対応する格子部分よりも大幅に長いチャンネルの延長によって、追加的利益を生むことができる。例えば、チャンネルは、衝撃減衰構造と着用者間との間に通気性を提供することができる。それゆえ、湿気および空気の換気を十分に行うため、一つ以上のチャンネルは、衝撃減衰構造の外周部まで延在することができる。
【0033】
図示されていないが、シェルの格子を形成するリブは、対応するチャンネルを有し、シェルおよび衝撃減衰構造が互いに結合するときに、リブと合わせた位置において衝撃減衰構造上に配置することができる。加えて、一つ以上のチャンネルは、衝撃減衰構造内に含むことができ、シェル格子のリブに対応しない構成とすることができる。非関連チャンネルは、軽量化、追加的通気性、可撓性および向上したフィット性を提供することができる。
【0034】
さらに、シェルの内側部分に近接するチャンネルは、シェルの外側部分に近接するチャンネルよりも深さ(凹量)が浅い構成も考えられる。例示的な実施態様において、衝撃減衰構造の内側部分の後面は、装着時の着用者の頚骨上に位置する。例えば、頚骨に近接する衝撃減衰材の体積が大きいほど、より良好な減衰性を発揮することができる。同様に、筋肉および肉(非骨格構造)とより接する衝撃減衰構造の外側部分上にあるチャンネルは、それほど衝撃減衰材を必要とせず、それゆえ、該部分においてより深い(より凹んだ)チャンネルを有することで、軽量化および向上した通気性を達成することができる。
【0035】
衝撃減衰構造400は、衝撃減衰構造に適した任意の材料から形成することができる。例えば、発泡材料は利用することができる。さらに、外層(例えば、「皮膚」)を有するラミネート材料は、発泡コアを囲むことができる。例示的な実施態様において、衝撃減衰構造400は、エチレン酢酸ビニル材料で形成される。しかしながら、前述のように、衝撃減衰構造に適したいずれの材料でも実施することができる。
【0036】
図4は、衝撃減衰構造400を通して内外側方向に水平に延在する切断線5−5を示す。切断線5−5は、図5の断面図に示される実施態様のための基準線である。
【0037】
図5は、本発明の実施態様に係る、図4の衝撃減衰構造400を備える保護装置500の断面図である。保護装置はさらに、格子203を有するシェル103を備える。格子203は、一つ以上の位置において、シェル103の後面および衝撃減衰構造400の前面間にオフセット502を作る。
【0038】
衝撃減衰構造400は、内側縁410および外側縁412を備える。衝撃減衰構造400はさらに、チャンネル414(および、個別的には図示されていないその他のチャンネル)を備える。図5に示すように、衝撃減衰構造400は、シェル103の後面に接し、内側縁410および外側縁412に近接する。例示的な実施態様において、接着剤(例えば、グルー、エポキシ、テープ等)は、各縁および格子の終端間のシェルの内側部分および外側部分に塗布することができる。結果として、シェルの後面および衝撃減衰構造の前面は、互いに結合する。例示的な実施態様において、衝撃減衰構造の前面は、格子の突出面と恒久的には結合しない。さらに、衝撃減衰構造の前面は、別の透明シェルの見えにくい部分がある位置においてのみ、シェルの後面と結合することができる。例えば、内側取り付け位置は、内側縁に近接する位置として定義することができ、シェルと衝撃減衰構造とを共に取り付けるのに適している。同様に、外側取り付け位置は、外側縁に近接する位置として定義することができ、シェルと衝撃減衰構造とを共に取り付けるのに適している。
【0039】
オフセット502は、衝撃減衰構造400の前面とシェル103の後面との間の離間距離を示す。例示的な実施態様において、オフセット502は、シェル103の後面からの格子の突起の高さに関係がある。それゆえ、以下図6図8について詳細に記述されるように、オフセットは、シェル103のさらに内側部分および/または外側部分よりも、シェル103の中間部分におけるほうが大きい構成も考えられる。
【0040】
図6は、本発明の実施態様に係るシェル101の、図2の切断線6−6に沿った断面600を示す。前述のように、シェル101は、内側縁110,外側縁112,前面102,後面104,格子200および突出面214を備える。
【0041】
ここで記述するように、突出面214は、例示的な実施態様において、後面104内に没入することができる。予測できる究極の形で没入する一つの方法は、シェルの後面104の一般的な曲線を有することで達成され、格子の突出面214の一般的な曲線よりも小さい第一の直径を持つ。後面104を定義する一般的な曲線は、近似曲線604を有し、格子の突出面を定義する一般的な曲線は、近似曲線602を有する。例えば、格子の曲線602およびシェルの曲線604が、共通軸線上に中心を置き、シェルの(内側と外側との)中間位置から後方向において、シェルの後面104に対して垂直に延在する場合、シェルの曲線604が格子の曲線602の直径よりも小さく、格子の曲線はシェルから延在する中心線軸線上の地点においてさらに後ろにあるときは、格子の曲線602が内側から外側方向において中心線軸線から離れて延在するほど、格子の曲線602はシェルの曲線604に交差しそうになるだろう。換言すれば、格子の曲線602がシェルの曲線604よりも大きいと、格子の曲線602は結果的にシェルの曲線604と交差することになる。三次元空間における交差によって、二つの表面は一つになる。
【0042】
中間部分における(結果としてより大きなオフセットとなる)追加的な格子材料は、衝撃力を受ける可能性の高い領域において、追加的な構造支持体を提供する。さらに、中間部分において隆起した格子も、シェル幅にわたる中程度の衝撃力の分散を良好にする。加えて、内側縁および外側縁において構造分散の必要性が低いので、該領域の格子において利用される材料を制限することで軽量化を図ることができる。それゆえ、シェル幅にわたって格子により作られた変形オフセットは、例示的な実施態様において、不変オフセットでは得られないであろう機能的利点を提供する。
【0043】
図7は、本発明の実施態様に係るシェル101の、図2の切断線7−7に沿った断面700を示す。前述のように、シェル101は,後面104,前面102および格子200を備える。格子200は、突出面214を形成し、後方向において、後面104から離れるように延在する。切断線7−7において、突出面214は、後面から第一の量702を突出する。第一の量702は、図8で後述される第二の量802と比較される。
【0044】
図8は、本発明の実施態様に係るシェル101の、図2の切断線8−8に沿った断面800を示す。前述のように、シェル101は、後面104,前面102および格子200を備える。格子200は、突出面214を形成し、後方向において、後面104から離れるように延在する。切断線8−8において、突出面214は、後面から第二の量802を突出する。
【0045】
図7における第一の量702は、図8における第二の量802よりも少ない。切断線7−7は、図2上において、切断線8−8よりも内側縁に近く、それゆえ、例示的な実施態様において、格子は、切断線8−8においてよりも、切断線7−7に近接する後面104に交差しそうである。換言すれば、格子構造は、格子が内側縁に向かって延在するときに後面104内に没入していくので、図7の第一の量702は、図8の第二の量よりも少ない。
【0046】
本明細書で開示された概念は、保護装置の概念を記述し、特にすね当てを図示したが、この概念は、あらゆる力減衰の応用に及ぶものである。さらに、ここで「近接」という用語が使用されている。近接は、近く、付近、ほぼ、などの位置感覚の反映を意図する空間用語である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8