(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施の形態1における呼気測定装置を、添付図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
<1.構成>
(呼気測定装置の概要)
図1は、呼気測定装置の一例であって、喘息検出に関連性がある呼気中に含まれる一酸化窒素を測定する呼気測定装置である。
本実施の形態の呼気測定装置は、
図1に示すように、ハンドル部1と、ハンドル部1とチューブ2によって接続された測定装置本体3とを備えている。
ハンドル部1は、使用者が呼気を吹込むために設けられており、使用者がハンドル部1を把持して呼気が吹き込まれる。このハンドル部1には、チューブ2の一端2aが接続され、また、このチューブ2の他端2bには、吹き込まれた呼気を測定するための測定装置本体3が接続されている。つまり、ハンドル部1はチューブ2を介して測定装置本体3に接続されている。測定装置本体3には、チューブ2の他端2bが接続される接続部3a(入口部の一例)が設けられている。ハンドル部1から吹き込まれた呼気は、チューブ2を介して接続部3aから測定装置本体3に吹き込まれる。
【0008】
(ハンドル部1)
図2は、ハンドル部1の断面図である。ハンドル部1には、
図2に示すように、ハンドル部本体4と、ハンドル部本体4の上方に装着されるマウスピース5と、このハンドル部本体4の下方に設けられた吸気孔6と、チューブ2の一端2aが接続されている接続部7とが設けられている。
この接続部7は、ハンドル部本体4の円筒部8と、円筒部8の内側に設けられた接続部材9とにより構成されている。また、吸気孔6は、円筒部8の周囲に円環状に複数個形成されている。
また、接続部材9は、円筒部8の内周よりも径小である径小部10を有している。
そして、径小部10の外周面と円筒部8の内周面の間に、チューブ2が配置されている。径小部10と円筒部8にて挟み込むことで、チューブ2がハンドル部本体4に固定されている。
【0009】
さらに、ハンドル部本体4には、吸気孔6とマウスピース5の吸気入口部11とを接続する第1吸気経路12及び第2吸気経路18と、マウスピース5の呼気排出部13とチューブ2の一端2aとを接続する排出経路19が形成されている。第1吸気経路12と第2吸気経路18の間には、本実施の形態の呼気測定装置で測定される成分(本実施形態では一酸化窒素)を大気から取り除くフィルター部15が設けられている。第1吸気経路12とフィルター部15の間には、第1ワンウェイバルブ14が設けられており、フィルター部15と第2吸気経路18の間には第2ワンウェイバルブ17が設けられている。なお、本実施の形態1においては、吸気入口部11と呼気排出部13は、同じ場所に形成されているが、それぞれを別々に設けても良い。
ここで、使用者が呼気を測定する手順に従い、ハンドル部1の説明を行う。
【0010】
まず、使用者は、
図1の状態で、呼気をハンドル部1に吹き込むために、ハンドル部1を構成している
図2のハンドル部本体4を手で握り、マウスピース5の呼気排出部13に口を付ける。そして、使用者は、呼気を測定装置本体3に吹き込むために、呼気排出部13に口を付けたままの状態で先ずは息を吸い込む。
使用者が息を吸い込むことで、ハンドル部本体4の吸気孔6から大気がハンドル部1に取り込まれる。取り込まれた大気は、第1吸気経路12を通り、第1ワンウェイバルブ14を通過し、フィルター部15へと流れ込む。
ここで、使用者がハンドル部本体4を手で握ったとしても、吸気孔6が手で塞がれることがないようにするために、この吸気孔6は、チューブ2の一端2aがハンドル部本体4に接続している側、具体的には、湾曲面16に形成されている。そして、湾曲面16は、チューブ2の一端2a側から他端2b側に向けて、円筒部8側から外周部20側に拡開するようにテーパ形状に形成されている。
【0011】
このような構成により、安定的に大気をハンドル部1に吸込むことが可能となり、再測定などを行う必要がなく、装置として操作性の良いものとなる。
次に、上述したフィルター部15に流れ込んだ大気は、フィルター部15に配置されている一酸化窒素除去剤により、その内部の一酸化窒素が除去される。
一酸化窒素が除去された大気は、第2ワンウェイバルブ17を通過し、第2吸気経路18を通り、マウスピース5の吸気入口部11へと流れ込み、使用者の体内へと吸込まれる。その後、使用者が呼気をマウスピース5の呼気排出部13に吹き込むと、排出経路19へと呼気が流れ込む。
このようにして、使用者がマウスピース5の呼気排出部13から吹き込んだ呼気は、排出経路19を経由し、次に接続部7に接続されているチューブ2を通過して、測定装置本体3へと流れ込み、呼気中の一酸化窒素が測定される。
【0012】
なお、排出経路19と第2吸気経路18は、同じ場所に形成されているが、それぞれを別々に設けても良い。
このように、使用者がハンドル部1を手で握って呼気を吹き込むのであるが、使用者は、自らの口にハンドル部1を引き付け、呼気を吹き込む。
(測定装置本体3)
図3は、本実施形態の呼気測定装置の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の測定装置本体3は、圧力センサ21と、流量調節器22と、チャンバ23と、ゼロガス生成器37と、入力ガス切替器31と、流量センサ43と、圧電ポンプ44と、測定部45と、表示部46と、電源スイッチ47と、メモリ49と、制御部48とを備えている。
【0013】
(圧力センサ21及び流量調節器22)
圧力センサ21は、チューブ2を介してハンドル部1から測定装置本体3に流入する呼気の圧力を測定し、圧力センサ21によって呼気が吹き込まれたか否かを判定することが出来る。
図4は、流量調節器22の構成図である。流量調節器22は、流入した呼気の流量を調整してチャンバ23へと供給する。流量調節器22は、呼気が流入する呼気流入部220と、呼気が流出する呼気流出部221と、呼気流入部220と呼気流出部221の間を連通する弁孔24と、弁孔24を開閉可能な駆動弁25と、駆動モータ26と、チャンバ23への流出側に設けられた流量センサ27とを有している。駆動弁25は駆動モータ26によって駆動されるように構成されており、流量センサ27は、流量調節器22下流の呼気量を監視する。又、駆動モータ26は、圧力センサ21及び流量センサ27による検知結果に基づいて制御部48によって制御される。
【0014】
すなわち、ハンドル部1からチューブ2を介して測定装置本体3に供給された呼気は、次に
図3及び
図4に示す圧力センサ21と流量調節器22によって流量を調整した状態で、チャンバ23に供給される。
具体的には、まず圧力センサ21によって呼気の圧力が検知され、呼気の流入が検出される。次に流量調節器22は流量センサ27によって検出された呼気の流量が多い場合には、駆動弁25によって弁孔24の開口度を小さくし、逆に流量センサ27によって検出された呼気の流量が少ない場合には、駆動弁25によって弁孔24の開口度を大きくする。このような制御によりチャンバ23に対する呼気の流入量を安定化することが出来る。
また、圧力センサ21と流量調節器22を接続する流路54には、後述するチャンバ23をバイパスするバイパス路53が接続されている。バイパス路53には、駆動弁52が配置されており、駆動弁52は制御部48の乾燥モード制御部140によって開閉制御される。
【0015】
(チャンバ23)
また、チャンバ23は
図5に示すように容器28の一端側に流量調節器22側からの流入口29が設けられている。また、この容器28内には蛇行経路30が形成され、この蛇行経路30の中間部分には
図3に示す入力ガス切替器31への流出口32が形成されている。さらに蛇行経路30の始点側と終点側にはそれぞれ吸排気孔33、34が形成されている。
容器28は略直方体形状であり、対向する略矩形状の平面(紙面手前側と奥側)と、2つの平面の間に、それらと略垂直に設けられた側面とを有している。
容器28は、測定装置本体3のハウジングの内面に載置されている。
図5では、容器28の対向する平面のうち一方の平面が28aとして示されている。そして、この平面28aを貫通する貫通孔によって吸排気孔33、34が形成されている。また、平面28aと略垂直に壁部28sが形成されており、この壁部28sによって蛇行経路30が形成されている。
吸排気孔33、34は、測定装置本体3の外部へと繋がっているため、チャンバ23内は常に大気開放されている。
【0016】
(入力ガス切替器31)
図6は、入力ガス切替器31の構成を示す模式図である。
入力ガス切替器31は
図6に示すように、呼気流入部310と、ゼロガス流入部311と、流出部312と、弁孔35と、駆動弁36と、弁孔38と、駆動弁39と、駆動部40とを有している。
呼気流入部310には、チャンバ23の流出口32から呼気が流入する。ゼロガス流入部311には、後述するゼロガス生成器37からNOゼロガスが流入する。流入した呼気又ゼロガスが、流出部312から流量センサ43(後述する)側へと流出する。
【0017】
弁孔35は、呼気流入部310と流出部312の間を連通している。駆動弁36は、弁孔35を開閉可能であり、駆動部40によって駆動される。弁孔38は、ゼロガス流入部311と流出部312の間を連通している。駆動弁39は、弁孔38を開閉可能であり、駆動部40によって駆動される。駆動部40は、制御部48によって制御されており、駆動弁36と駆動弁39のそれぞれの駆動を行う。
すなわち、弁孔35及び駆動弁36は、チャンバ23の流出口32から呼気が吸い出される経路に介在されており、駆動弁36及び駆動弁39は、
図7に示すゼロガス生成器37からの空気が吸い出される経路に介在させている。駆動部40によって駆動弁36と駆動弁39を駆動せることにより、チャンバ23内の呼気またはゼロガス生成器37からのNOゼロガスを選択的に流量センサ43側へと送ることが出来る。
【0018】
(ゼロガス生成器37)
図7は、ゼロガス生成器37の構成を示す図である。
ゼロガス生成器37は
図7に示すように、容器370と、容器370内に配置されたフィルター部42と、容器370の入力ガス切替器31とは反対側の端の開口370aに配置されたワンウェイバルブ41とを有している。ワンウェイバルブ41は、吸い込み時のみ開放する。フィルター部42は、大気の吸引方向においてワンウェイバルブ41の下流に設けられており、一酸化窒素を除去する。
【0019】
(流量センサ43、圧電ポンプ44及び測定部45)
図3に示すように、
図6に示す入力ガス切替器31の下流側には流量センサ43を介して圧電ポンプ44が設けられている。流量センサ43は、圧電ポンプ44を動作させた際に吸い込まれる気体の流量を計測する。
図8Aは、圧電ポンプ44の模式図を示した平面図である。
図8Bは、
図8AのAA間の矢示断面図である。
図8A及び
図8Bに示すように、圧電ポンプ44は、略円筒形状の筐体448を有しており、筐体448の上面中央に気体の出口445が設けられており、筐体448の下面中央に気体の入口444が設けられている。入口444は、流量センサ43を経由して入力ガス切替器31と接続されている。出口445は、測定部45と接続されている。
【0020】
また、圧電ポンプ44は、筐体448の内部の中央に配置されたポンプ室440と、ポンプ室440の一部(底面側)を形成するダイヤフラム441と、ポンプ室440の外側であってダイヤフラム441の下側に設けられた圧電素子442と、圧電素子442を下側から覆うように配置されたカバー部447と、カバー部447とポンプ室440の周囲に形成され、ポンプ室440と孔446を介して連通した流路443とを備えている。流路443は、詳細には、カバー部447及びポンプ室440の下面側、側面側、及び上面側であって、筐体448とカバー部447の間及び筐体448とポンプ室440の間に形成されている。
圧電素子442の振動によりダイヤフラム441が振動し、ポンプ室440の体積が増減することによって入口444から出口445に向かって流路443内を気体が移動する(
図8A及び
図8Bの矢印参照)。
【0021】
このように圧電ポンプ44では、圧電素子442の振動が気体のポンピング機能として作用するため、圧電素子442の振動によって呼気又はゼロガスが測定部45へと送りこまれる。詳しくは後述するが、圧電ポンプ44を動作させるために入力するパラメータとしては、圧電素子442を振動する振動周波数、印加電圧、及び印加電圧のデューティ比が挙げられる。これらのパラメータを適切な値とすることで、測定部45に送る流量の精度を向上することが出来、精度良く測定を行うことが出来る。尚、これらのパラメータの適切な値を導く制御については、後述する。
また、圧電ポンプ44の下流に測定部45が設けられている。この測定部45では一酸化窒素の量を検出し、その結果を表示部46に表示させる構成となっている。
そして、
図3に示すように、上述した以上の圧力センサ21、駆動モータ26、流量センサ27、駆動部40、流量センサ43、圧電ポンプ44、測定部45、表示部46、および電源スイッチ47は制御部48に接続されている。
【0022】
(制御部48)
図9は、制御部48の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の呼気測定装置の制御部48は、第1学習制御部100と、第2学習制御部110と、電圧デューティ比調整部120と、測定制御部130と、乾燥モード制御部140とを有している。
第1学習制御部100と、第2学習制御部110と、電圧デューティ比調整部120は、測定部45によって一酸化窒素濃度を測定する際に圧電ポンプ44を動作させるためのパラメータである振動周波数、駆動電圧、及びデューティ比を選定して設定する。測定制御部130は、設定されたパラメータに基づいて測定部45を制御して測定を行わせる。乾燥モード制御部140は、温度および気温等の条件に基づいて測定後に乾燥モードを実行する。
(第1学習制御部100)
第1学習制御部100は、圧電ポンプ44を動作させる第1の駆動周波数と、駆動電圧を算出する。第1学習制御部100は、所定の電圧を印加した状態で周波数を変更することにより、圧電ポンプ44の圧電素子の共振周波数を検出する。そして、第1学習制御部100は、上記所定の値の電圧及び共振周波数を用いて圧電ポンプ44を動作させた際に流量センサ43によって検出された流量と、目標流量を比較する。圧電ポンプ44を動作させる際には、入力ガス切替器31によってゼロガス生成器37からのNOゼロガスが圧電ポンプ44に送られる状態となっている。さらに、第1学習制御部100は、比較結果に基づいて、流量センサ43によって検出された流量が目標流量になるように上記所定の印加電圧の値を調整する。
第1学習制御部100は、以上のように求められた共振周波数を第1の駆動周波数として設定し、調整された印加電圧を駆動印加電圧として設定し、メモリ49に記憶する。
【0023】
(第2学習制御部110)
第2学習制御部110は、第1の駆動周波数及び駆動印加電圧に基づいて、第2の駆動周波数と駆動デューティ比を選定して設定する。
第2学習制御部110は、流量センサ43によって検出される流量に基づいて、駆動印加電圧のデューティ比を変化させて流量を一定に保ちながら第1の駆動周波数を所定の周波数間隔で変化させてデューティ比の変化を検出することによって、最も小さいデューティ比を選定する。
第2学習制御部110は、最も小さいデューティ比が選定された周波数を、第2の駆動周波数として設定し、選定されたデューティ比を駆動デューティ比としてメモリ49に設定する。
【0024】
(電圧デューティ比調整部120)
電圧デューティ比調整部120は、第2の駆動周波数、駆動印加電圧及び駆動デューティ比が設定された後、流量センサ43によって検出される流量が目標流量と異なるようになった場合、検出される流量が目標流量になるように第2の駆動周波数に基づいて駆動印加電圧及び駆動デューティ比を調整する。
すなわち、電圧デューティ比調整部120は、測定の際に、第2の駆動周波数、駆動印加電圧及び駆動デューティ比を用いて動作させた圧電ポンプ44によるチャンバ23内からの呼気の流量と目標流量値とを比較し、目標流量になるように印加電圧及びデューティ比を調整する。電圧デューティ比調整部120は、調整された駆動印加電圧及び駆動デューティ比を新たな駆動印加電圧及び駆動デューティ比としてメモリ49に設定する。
【0025】
(測定制御部130)
測定制御部130は、測定の際に、入力ガス切替器31、ゼロガス生成器37、及び測定部45等の制御を行う。具体的には、測定部45によるチャンバ23内の呼気中の一酸化炭素の濃度を測定した後に、入力ガス切替器31をゼロガス生成器37側に切り替えて、NOゼロガスにおける一酸化炭素濃度(ブランク値)を測定した後、呼気中の一酸化炭素濃度からブランク値を差し引き、一酸化炭素濃度の演算を行う。
【0026】
(乾燥モード制御部140)
乾燥モード制御部140は、温度取得部141と、湿度取得部142と、結露量算出部143と、駆動時間決定部144、実行判定部145と、実行部146と、を有する。
温度取得部141は、外気の温度を測定する温度センサ50から温度情報を取得する。湿度取得部142は、外気の湿度を測定する湿度センサ51から湿度情報を取得する。
結露量算出部143は、取得した温度および湿度に基づいて、結露量を算出する。駆動時間決定部144は、算出された結露量から、圧電ポンプ44を駆動する時間を決定する。
実行判定部145は、取得した温度を所定温度(例えば、30℃)と比較して所定温度以上であるか否かを判定し、所定時間以上の場合には、乾燥モードの実行を停止する。
実行部146は、取得した温度が所定温度よりも低い場合に、入力ガス切替器31の駆動部40を制御して弁孔35、38を駆動弁36、39で閉じ、駆動弁52を開放する。そして、実行部146は、駆動時間決定部144によって計算された駆動時間、圧電ポンプ44を駆動して、ハンドル部1から吹き込まれた呼気をチャンバ23をバイパスさせて圧電ポンプ44へと供給する。
【0027】
<2.動作>
図10は、本実施の形態の呼気測定装置の動作を示すフロー図である。
以上の構成において、呼気の測定を行うためにはまず、
図3の電源スイッチ47をオン状態とする(
図10のS1)。すると制御部48は
図6に示す入力ガス切替器31を初期状態とする(
図10のS2)。
この初期状態とは、駆動部40により駆動弁36、39を駆動し、弁孔35は駆動弁36で閉じ、弁孔38は開放された状態とする。
次に制御部48は圧電ポンプ44の動作設定(第1の動作設定モード)を行う(
図10のS3)。
【0028】
(第1の動作設定モード)
以下に、
図11を用いて圧電ポンプ44の動作設定について詳しく説明する。
図11は、本実施の形態の呼気測定装置の圧電ポンプ44の動作設定の制御を示すフロー図である。
尚、圧電ポンプ44自体は良く知られているように圧電素子442を例えば24〜28kHzで振動させ、その振動力で呼気を搬送する構成である。
このような圧電ポンプ44を用いた場合には、先ず、制御部48の第1学習制御部100は、圧電ポンプ44の電源をオン状態とし(
図11のS101)、次に圧電素子442に加える電圧を例えば6Vに設定し(
図11のS102)振幅を固定した上で周波数サーチを行う(
図11のS103)。
この周波数サーチでは、圧電素子442に、上述した24〜28kHz、6Vを例えば256Hzの間隔で順次供給し、第1学習制御部100は、この圧電素子442が共振する周波数を先ずは粗く仮選定する。次にこの粗く仮選定した周波数の上下256Hz間を、256Hzより細かい間隔、例えば20Hzの間隔で、更に6Vを順次供給し、この圧電素子442が共振する周波数が選定される。
【0029】
そしてこの周波数サーチによって圧電素子が共振する周波数が選定できると(
図11のS104)、次に、第1学習制御部100は、流量センサ43により流量を検出する。つまり、このときには
図6に示す弁孔38が開口しているので、圧電ポンプ44が駆動されると、ゼロガス生成器37のワンウェイバルブ41及び弁孔38を介して空気がこの圧電ポンプ44によって吸引されることになり、このときの流量が流量センサ43によって検出される。
そして、流量センサ43によって検出された流量が例えば3ml/秒の目標値よりも少ないときには、第1学習制御部100は、圧電素子に印加する電圧を上述した6Vから増加させる(
図11のS105、S106)。その後再び流量センサ43によって検出された流量が目標値になっているか、否かの判定が行われる(
図11のS107)。
【0030】
そして、流量センサ43によって検出された流量が目標値に到達すると、第1学習制御部100は、その印加電圧を、上記(
図11のS104)で選定した周波数(第1の駆動周波数)と共に
図3に示すメモリ49に記憶する(
図11のS107、S108)。
一方(
図11のS105)において、流量が目標値よりも小さくない場合には、第1学習制御部100は、再び流量と目標値が同じ値となっているか否かの判定を行う。流量と目標値が異なれば、第1学習制御部100は、圧電素子442に印加する電圧を上述した6Vから減少させる(
図11のS109、S110)。また、(
図11のS109)において流量と目標値が同じとなれば、第1学習制御部100は、その印加電圧を、上記(
図11のS104)で選定した周波数(第1の駆動周波数)と共に
図3に示すメモリ49に記憶する(
図11のS109、S111)。
【0031】
以上のようにして
図10における圧電ポンプ44の動作設定(S3)が行われる。
上述したように、動作設定S3では、周波数(第1の駆動周波数)と、印加電圧(駆動印加電圧)が設定される。尚、印加電圧のデューティ比については、50%に設定されており、後述するS205における圧電ポンプの動作設定の初期のデューティ比と同じ値に設定されている。
次に
図10のS4で示すセンサ環境安定待ち状態(1〜2分)を経て、測定準備完了状態となる。具体的には制御部48によって表示部46に呼気を吹き込んでください、との表示がなされる(
図10のS4)。
続いて、制御部48は表示部46に呼気を吹き込むことを指示する表示をした後、例えば3分間の内に圧力センサ21が圧力を検出したか、否かを検出する。つまり、この3分間の内にマウスピース5から呼気が吹き込まれなければ、圧力センサ21は圧力を検出せず、その結果として電源をオフの状態とする(
図10のS5、S6)。
また、この3分間の内にマウスピース5から呼気が吹き込まれれば、圧力センサ21は圧力を検出し、その結果として呼気の測定動作が実行される(
図10のS5、S7)。
【0032】
(測定動作)
次に、
図12を用いて呼気の測定動作(
図10のS7)について説明する。
呼気の測定動作時には、まず制御部48は、
図6に示す駆動部40により駆動弁36、39を駆動することで、弁孔35、38をそれぞれ閉じる(
図12のS201)。
そして、圧力センサ21で圧力を検出してから10秒間はこの状態を維持する(
図12のS202)。
この状態が維持されている10秒間には、流量調節器22に設けられている流量センサ27によって呼気の流量が検出され、それに基づき駆動モータ26を駆動制御される。この制御により流量調節器22を介して一定の流量でチャンバ23への呼気の供給が行われる(
図4参照)。具体的には、流量センサ27で流量を確認した状態で呼気は流入口29から蛇行経路30へと流入することとなる。このとき上述のように入力ガス切替器31が全閉状態となっているのでチャンバ23の流出口32は閉じられた状態となっており、このチャンバ23内に吹き込まれた呼気の一部は吸排気孔33、34から流出することになる。つまり、チャンバ23内に残存していた空気は吹き込まれた呼気によって排出された状態となっており、結果としてチャンバ23内は呼気で満たされた状態となっている。
【0033】
また、上記圧力センサ21で圧力を検出してから10秒が経過すると、制御部48は、流量調節器22の弁孔24を駆動弁25で閉鎖する(
図12のS203)。
つまり、制御部48が駆動モータ26を駆動することで弁孔24が駆動弁25によって閉鎖される。
次に制御部48は、入力ガス切替器31の駆動部40で駆動弁36を駆動することにより弁孔35を開放状態とする(
図12のS204)。
尚、このときは入力ガス切替器31の弁孔38は閉じられた状態となっている。
この状態で制御部48の第2学習制御部110は圧電ポンプ44の動作設定(第2の動作設定モード)を行う(
図12のS205)。
つまり、圧電ポンプ44の動作設定は上述のように電源スイッチ47をオン状態とした直後(
図10のS3)に行っていたが、その後の時間経過に伴い、第1の動作設定モードよりも精度の高い動作設定を行うために、S205において圧電ポンプ44の動作設定が再度行われる。
【0034】
(第2の動作設定モード)
以下に、
図13を用いて圧電ポンプ44の動作設定(第2の動作設定モード)について説明する。
具体的には、圧電ポンプ44の電源は既に(
図11のS101)でオン状態となっており、また、圧電素子に加える電圧も
図11の動作設定時に、適切な値(例えば6V)に設定されている。そのため、次には周波数を20Hzごとに切り替えて再度適切な駆動周波数を設定する。
このとき
図11において既に駆動周波数も設定しているので、第2学習制御部110は、その周波数の上下256Hzの中から以下のS301〜S316に基づきデューティ比を変えながら周波数を再選定する。ここで、測定時の目標流量は
図11で用いたときより低い値とし、例えば2ml/秒に設定される。そして、圧電素子442に印加する電圧のデューティ比が学習時の最大値50%に設定される(
図13のS301)。
【0035】
次に、第2学習制御部110は、流量センサ43により流量を検出する。このときには
図6に示す弁孔35が開口しているので、圧電ポンプ44が駆動されると、チャンバ23内の呼気が流出口32及び入力ガス切替器31の弁孔35を介して圧電ポンプ44へと吸引され、そのときの流量が流量センサ43によって検出される。
そして、第2学習制御部110は、デューティ比を変化させて流量一定制御を行う(
図13のS302)。例えば流量が目標流量より少ないときはデューティ比を1%ずつ増し、逆に流量が目標値より多いときはデューティ比を1%ずつ減じて目標流量となるようにする。この状態(流量一定制御が行われている状態)で
図11において既に設定された周波数より一定周波数ごと(例えば20Hzごと)に上下どちらかに変化させると、ピーク周波数に近づくほどデューティ比が減じられる。このことを利用してピーク周波数が再設定される。
【0036】
まず、第2学習制御部110は、既に設定された周波数より−20Hzの周波数にして(
図13のS303)、その際のデューティ比が減じられたか判定する(
図13のS304)。デューティ比が減じられた場合は、さらに第2学習制御部110によって−20Hzごとに周波数をずらされ、そのときのデューティ比がずらす前のデューティ比(+20Hzの周波数におけるデューティ比ともいえる)と比べて減じられたかの判定が繰り返される(
図13のS305,S306)。そして、第2学習制御部110は、デューティ比が減じられなくなる前の周波数の設定を圧電素子442がもっとも大きくふれる周波数であるとして検出し、デューティ比が減じられなくなる前の周波数を第2の駆動周波数として
図3のメモリ49に記録する(
図13のS307、S308)。
すなわち、第2学習制御部110は、周波数を−20Hz変更した際のデューティ比が変更する前の周波数におけるデューティ比と比較して減少しなかった場合には、その変更する前の周波数におけるデューティ比を、周波数を20Hzの間隔で変化させた際の最も小さいデューティ比として選定する。そして、その最も小さいデューティ比のときの周波数が、圧電素子442がもっとも大きくふれる周波数としてメモリ49に記録する。
【0037】
図13のS304でデューティ比が減じられないと判定された場合は、第2学習制御部110は、現状の周波数より+40Hz、つまり
図11において設定された周波数より+20Hzの周波数に変更し(
図13のS309)、再度デューティ比が減じられたか判定する(
図13のS310)。
図13のS310でデューティが減じられた場合は、第2学習制御部110はさらに+20Hzごとに周波数をずらしてデューティ比が減じられたかの判定を繰り返す(
図13のS311,S312)。そして、第2学習制御部110は、デューティ比が減じられなくなる前の周波数の設定が、圧電素子442がもっとも大きくふれる周波数であるとして検出し、それを
図3のメモリ49に記録する(
図13のS313、S314)。
すなわち、第2学習制御部110は、周波数を+20Hz変更した際のデューティ比が変更する前の周波数におけるデューティ比と比較して減少しなかった場合には、その変更する前の周波数におけるデューティ比を最も小さいデューティ比として選定する。そして、その最も小さいデューティ比のときの周波数を、圧電素子がもっとも大きくふれる周波数(第2の駆動周波数)としてメモリ49に記録する。
【0038】
第2学習制御部110は、
図13のS310でデューティ比が減じられないと判定した場合は、元の周波数((減じられないと判定した周波数から20Hz引いた周波数)、つまり
図11において設定された周波数が圧電素子442のもっとも大きくふれる周波数であると検出し、それを
図3のメモリ49に記録する(
図13のS315、S316)。
上記
図13のS305、S306の繰り返し、または
図13のS311、312の繰り返しは後述する時間内に収束させる必要があるので、第2学習制御部110は、
図11で設定された周波数から±256Hzの範囲内で周波数の設定を行う。尚、第2学習制御部110が圧電素子442の最も大きくふれる周波数をメモリ49に記録する際には、その周波数におけるデューティ比も記録される。
以上のように、圧電ポンプ44の動作設定として、最適な駆動周波数と、最適な駆動周波数の際のデューティ比が設定される。
【0039】
(電圧デューティ比制御)
このようにして動作設定としての最適な駆動周波数が求められると、次にはこの最適な駆動周波数を固定して流量を一定とさせるための最適な駆動電圧とそのデューティ比を設定するための電圧デューティ比制御が電圧デューティ比調整部120によって
図14のようにして行われる。
この電圧デューティ比制御は、一旦駆動電圧とそのデューティ比を設定した後も圧電ポンプ44動作時は常に流量センサ43によって検出された流量を監視して実行されており、例えば周辺の気流の変化による外乱の影響を受けた場合でも流量一定を保つために行われる。
例えば、電圧デューティ比制御は、S205における圧電ポンプの動作設定が実行された後、S206の呼気の測定を行う際には常に実行されており、流量が目標流量と一致していない場合には、駆動印加電圧及び駆動デューティ比が調整されて流量が目標流量と一致するよう制御が行われてから測定部45による測定が行われる。
【0040】
具体的にこの制御では、圧電素子442に印加される最適な電圧は
図11における第1の動作設定モードにおいて求められており、またデューティ比は
図13における第2の動作設定モードよって求められているので、先ず制御部48は圧電素子442に印加する電圧とデューティ比をそれらの値に設定する(
図14のS401)。
次に、電圧デューティ比調整部120は、その状態で流量センサ43によって検出された流量が目標値よりも小さくなっているか否かの判定を行い、目標値よりも小さくない場合には、次に、流量が目標値と等しいか否かの判定を行う(
図14のS402、S403)。
続いてこのS403において流量が目標値と等しければ設定が完了される(
図14のS404)。つまり、上述した最適な周波数と駆動電圧とデューティが動作設定されたことになり、この値がメモリ49に記憶される。いいかえると、S3において求められた駆動印加電圧(振幅)と、S205において求められた第2の駆動周波数と駆動デューティ比によって圧電ポンプ44が動作される。
【0041】
またS403において、流量が目標値と等しくなければ、次にS405において電圧デューティ比調整部120は駆動電圧のデューティ比が使用時の最低値(10%)か否かの判定を行う。このとき使用時の最低値(10%)を下回っていない場合は、デューティは1%減少させられ、制御処理は再びS402へと戻る(
図14のS406、S402)。
また、S405においてデューティが最低値を下回っていることが判定されれば、次に電圧デューティ比調整部120は駆動電圧の値が最低値か否かの判定を行う(
図14のS407)。
そして駆動電圧の値が最低値でなければ、電圧デューティ比調整部120は駆動電圧を0.1V減じ、制御処理は、再びS402へと戻る(
図14のS408、S402)。 またS407において駆動電圧の値が最低値であれば制御部48は表示部46にエラー表示をさせる(
図14のS410)。
【0042】
つまり、駆動電圧のデューティ比が最低値で駆動電圧の値も最低値となるときにはエラー処理を行うのである。
またS402において、流量センサ43によって検出された流量が目標値よりも小さくなっているときにはS411において電圧デューティ比調整部120は駆動電圧のデューティ比が使用時の最大値(40%)か否かの判定を行い、最大値でない場合は、デューティ比を1%増加し(
図14のS412)、流量センサ43によって検出された流量が目標値と等しいか否かの判定を行う(
図14のS413)。
そして、流量が目標値と等しければ設定が完了される(
図14のS414)。つまり、上述した最適な周波数(第2の駆動周波数)と、最適な駆動電圧と、最適なデューティが動作設定されたことになり、これらの値がメモリ49に記憶される(
図14のS414)。尚、使用時のデューティ比の設定範囲は、学習時のデューティ比の設定範囲より上限、下限ともそれぞれ10%のマージンを持たせ10%〜40%としている。
【0043】
S411において電圧デューティ比調整部120は、駆動電圧のデューティ比が使用時最大値であると判定した場合は、圧電素子442に印加する電圧の値を0.1V増加させる(
図14のS415)。
次に、電圧デューティ比調整部120は、その状態で流量センサ43によって検出された流量が目標値と等しいか否かの判定を行う(
図14のS416)。
そして、流量が目標値と等しければ設定が完了される(
図14のS417)。つまり、上述した最適な周波数(第2の駆動周波数)と、最適な駆動電圧と、最適なデューティが動作設定されたことになり、これらの値がメモリ49に記憶させられる(
図14のS417)。
またS416において流量が目標値と異なれば次に流量が目標値よりも小さいか否かの判定が行われ(
図14のS418)、小さい場合には制御処理は再びS415へと戻る。
【0044】
また、S418において流量が目標値よりも小さくなければ電圧デューティ比調整部120によって駆動電圧のデューティ比が1%減じられ(
図14のS419)、再び流量が目標値になっているか否かの判定が電圧デューティ比調整部120によって行われる(
図14のS420)。
そしてS420において流量が目標値に等しくなっていなければ、制御処理は、再びS19へと戻ることになる。またS20において流量が目標値と等しくなっていれば、設定が完了される(
図14のS421)。つまり、上述した最適な周波数(第2の駆動周波数)と、最適な駆動電圧と、最適なデューティ比が動作設定されたことになり、これらの値がメモリ49に記憶させる(
図14のS421)。
以上のような圧電ポンプ44の動作設定が行われる(
図12のS205)時間は例えば10秒間であって、実際に圧電ポンプ44によってチャンバ23内の呼気を全て測定部45に供給するのに要する時間は30秒かかる。従って、この30秒の内の前半の10秒で圧電ポンプ44の動作設定(第2の動作設定モード)が完了する。そしてこの動作設定後の数秒間に測定部45に供給される呼気から一酸化窒素濃度が検出される(
図12のS206)。
【0045】
そしてこの呼気の測定が完了すると、測定制御部130が、入力ガス切替器31の弁孔35を駆動弁36で閉じ、弁孔38は開放される(
図12のS207)。
そしてこの状態で、圧電ポンプ44により、ゼロガス生成器37のワンウェイバルブ41、一酸化窒素を除去するフィルター部42及び弁孔38を介して空気が吸引され、その空気の一酸化窒素濃度が測定部45で測定される(
図12のS208)。
そして、S206で測定した呼気から一酸化窒素濃度と、S208で測定した空気の一酸化窒素濃度から呼気の最終的な濃度計算が測定制御部130によって行われる(
図12のS209)。制御部48は、その演算結果を表示部46に表示させて測定が完了する(
図12のS210、S211)。
つまり、
図10において測定(
図10のS7)が終了する。
尚、チャンバ23には
図5に示すように蛇行経路30における入力ガス切替器31への流出口32の上流側と下流側に吸排気孔33、34をもうけているので、呼気を吹き込むときには、チャンバ23としての通気抵抗を小さくすることが出来る。またチャンバ23内の呼気を、圧電ポンプ44によって測定部45に供給するときの通気抵抗も小さくすることが出来る。
【0046】
(乾燥モード)
本実施形態における特徴点は、
図3に示す制御部48がこの測定(
図10のS7)の後に乾燥モード(
図10のS8)を実行し、その後動作を終了(
図10のS9)させることとしたことである。
すなわち、
図1からも理解されるように、ハンドル部1と測定装置本体3を接続したチューブ2の長さは、使用者の利便性を高める為に長く形成されている。しかもこのチューブ2は、測定装置本体3の外部に露出した状態となっている。そのため、マウスピース5から呼気を吹き込むとチューブ2内に結露が発生する場合がある。そして、この結露が原因で所定量の呼気をチャンバ23内に供給することが出来ず、その結果として測定が適切に行われなくなる虞がある。
【0047】
この点を更に説明すると、呼気は人体体温と同じ様に、例えば36度で湿度はほぼ100%となっている。この呼気がチューブ2内を進行している時に外気によって冷却されると、このチューブ2内に結露が発生する事になる。もちろん、一回の測定で発生する結露の量はわずかなものではあるが、複数回の測定を連続して行った場合には結露の量は多くなる。結露の量が多くなると、チューブ2内の開口面積を狭めるだけでなく、流量調節器22やチャンバ23へと結露が流出することになる。そこで本実施形態では、測定が終了する度に乾燥モード(
図10のS8)を実行させるように制御が行われる。このように測定のたびに毎回乾燥モードを実行させれば、上述のようにチューブ2内にわずかに発生している結露を除去すればよい状態となるので、チューブ2内の結露を出来るだけ低減でき乾燥させることが出来る。
【0048】
但し、チューブ2が露出する外気環境が低温でなければチューブ2内に発生する結露量はきわめて少ないものとなるので、換気を行う必要がない場合もある。そこで本実施形態に於いては
図3及び
図9に示すように制御部48の乾燥モード制御部140に外気温度を測定する温度センサ50と外気の湿度を測定する湿度センサ51を接続し、これらの温度センサ50と湿度センサ51の測定値を基に乾燥モード(
図10のS8)が実行される。
図15は、本実施の形態の呼気測定装置の乾燥モードにおける動作を示すフロー図である。
具体的にはこの乾燥モード実行時にはまず乾燥モード制御部140の温度取得部141が、温度センサ50によって測定された外気温度を取得し、湿度取得部142が、湿度センサ51によって測定された外気の湿度を取得する(
図15のS501)。
【0049】
そして、実行判定部145が、外気温が所定値(例えば30度)以下になっているか否かにより、結露量が所定値以上になったか否かを判定する(
図15のS502)。外気温が所定値(例えば30度)よりも高くなっている時には、制御処理はS509へと移行し、乾燥モードが終了する。
外気温度が所定値よりも高いときは、結露の発生がしにくい状態となっているのであえて圧電ポンプ44を駆動して換気を行わなくても、結露はチューブ2内壁面に接する空気に蒸発する。そのため、結露はハンドル部1外へと拡散流出し、その結果としてチューブ2内への結露が累積増加しない。
一方、外気温が低いと外気に露出するチューブ2の外表面も低温となり、それによりチューブ2内の温度も低下し、その結果として、上述した呼気(例えば36度、湿度ほぼ100%)はチューブ2内表面で冷却され、ここに結露が発生する。
【0050】
この結露発生量は外気温が低いと多くなるので、結露量算出部143がその外気温によって結露量を算出し、次に駆動時間決定部144がこの結露を乾燥させるためには圧電ポンプ44をどの程度稼動させ、ハンドル部1からチューブ2内に外気を流入させるかを計算する。
またこの計算時には湿度センサ51で測定した湿度も考慮されることになる。つまりハンドル部1からチューブ2内に流入させる外気の湿度が高い場合(例えば70%より大きい)には、チューブ2内表面に発生した結露が乾燥しにくくなる。そのため、上記外気の温度によって設定した圧電ポンプ44の駆動時間を長く設定する必要がある(例えば1.5倍)。このようにすることで圧電ポンプ44の駆動時間が決定され(
図15のS503)、その駆動時間はメモリ49に記憶される(
図15のS504)。
【0051】
また、結露発生量は、呼気の吹き込み方法、構成部品の形状(例えばチューブ径)等によっても影響を受けるため、外気温と結露発生量の関係を実験により求め、その結果に基づいて結露量が算出されてもよい。
このようにすることで、外気温のみで結露量を算出する場合よりさらに精度よく結露量を算出できる。そして、この結露量が所定の値を超えた場合は、上述したごとく乾燥モードを実行するようにすればよい。
【0052】
(結露量算出)
ここで、結露発生量を実験により求め、その結果に基づいて結露量算出部143が結露量を算出する具体的な一例を以下に示す。
結露量は、測定時に呼気を吹き込むことによって発生する結露発生量と、自然乾燥によって結露が減少する自然乾燥量との差によって算出される。
結露発生量は、外気の温度と湿度などを考慮した温湿度係数と基準となる所定の結露量の積として算出される。温湿度係数は実験的に以下のようにして算出すればよい。
【0053】
(温度係数の算出)
まず、外気温と外気の湿度とが、それぞれ所定の範囲に分割して区分される。例えば、外気温は、10℃以上17℃未満(区分Aとする)、17℃以上24℃未満(区分Bとする)、24℃以上(区分Cとする)の3つの区分に分類される。さらに外気の湿度は、70%以下(区分1とする)と70%より大きい(区分2とする)の2つの区分に分類される。この区分は、使用される環境や機器に求める検出精度などに応じて適宜選定すればよい。
そして、外気温の3つの区分と外気の湿度の2つの区分を組み合わせた6つの区分について、それぞれの区分において結露が最も発生しやすい条件、つまり外気温が最低温度であって、外気の湿度が最高湿度である環境下において実際に呼気を吹き込んで結露を発生させ、その量が測定される。
例えば、外気温区分Aかつ外気の湿度区分1(以降、区分A−1とする)であれば、外気温10℃、湿度70%の環境下において結露を発生させ、結露量が測定される。本実施形態においては、結露発生前と発生後の重量を測定し、その差を結露量とした。
同様にして、区分A−1から区分C−2(外気温区分Cかつ外気の湿度区分2)まで6つの区分についてそれぞれ結露量を得た後、その値を用いて温湿度係数の算出が行われる。温湿度係数は、例えば、区分C−1(外気温区分Cかつ外気の湿度区分1)を基準として、他の区分の結露量を区分C−1の結露量で割り算した値とする。つまり、この場合、計算に用いる結露量は、複数回測定をした値の平均値や最大値などを適宜選択して用いればよい。このようにして温湿度係数が算出できる。
【0054】
(自然乾燥量)
自然乾燥量は、外気の温度と湿度などを考慮した自然乾燥係数と所定の自然乾燥時間の積として算出される。自然乾燥係数は実験的に以下のようにして算出すればよい。
ここで、所定の自然乾燥時間とは、測定において呼気を吹き込んでからの経過時間である。
上述した温湿度係数を算出した場合と同様に、外気温と外気の湿度とが、それぞれ所定の範囲に分割して区分される。例えば、外気温は、10℃以上17℃未満(区分Aとする)、17℃以上24℃未満(区分Bとする)、24℃以上(区分Cとする)の3つの区分に分類される。さらに外気の湿度は1つの区分とし、外気の湿度によっては分類されない。この区分は、使用される環境や機器に求める検出精度などに応じて適宜選定すればよい。
そして、外気温の3つの区分について、それぞれの区分において結露を自然乾燥するのに最も不利な条件、つまり外気温が最低温度である環境下において実際に一定量の結露を発生させた状態から結露が消失するまで自然乾燥させ、その時間が測定される。
【0055】
例えば、外気温区分Aであれば、外気温10℃の環境下において結露を自然乾燥させ、結露が消失する時間(自然乾燥時間)が測定される。結露が消失したことは、本実施形態においては、目視によって確認したが、結露発生前との重量を比較することによって確認してもよい。
同様にして、区分Aから区分Cまで3つの区分についてそれぞれ自然乾燥時間を得た後、その値を用いて自然乾燥係数が算出される。自然乾燥係数は、実験時に発生させた一定の結露量をそれぞれの区分の自然乾燥時間で割り算した値とする。この場合、計算に用いる自然乾燥時間は、複数回測定をした値の平均値や最大値などを適宜選択して用いればよい。このようにして自然乾燥係数が算出できる。
以上のようにして算出した温湿度係数および自然乾燥係数を用いて、上述したように結露量を算出すればよい。
【0056】
すなわち、上述したように結露量は、前回測定時の結露量−自然乾燥量(自然乾燥係数×所定の自然乾燥時間)+今回測定時の結露発生量(温湿度係数×基準となる所定の結露量)の式で求めることが出来る。
ただし、前回測定時の結露量<自然乾燥量の場合の結露量は、今回測定時の結露発生量と等しくなる。
例えば、温度センサ50によって温度が20℃であると測定され、湿度センサ51によって湿度が65%であると測定された場合、そのときの温度および湿度は、区分B−1に該当する。
このときの、温湿度係数は、上記のように基準を区分C−1とした例では、(区分B−1での結露量)/(区分C−1での結露量)となる。また、基準となる所定の結露量は、区分C−1において結露が最も発生しやすい条件の環境(24℃、70%)下において実際に呼気を吹き込んで発生させた結露量である。
また、自然乾燥係数は、外気温区分Bにおいて求められた自然乾燥係数であり、所定の自然乾燥時間は、呼気を吹き込んでからの経過時間である。呼気の吹き込みは、圧力センサ21で検出される。
【0057】
(駆動時間算出)
次に、結露を乾燥する為に必要な圧電ポンプの駆動時間を実験により求め、その結果に基づいて制御部48の駆動時間決定部144は圧電ポンプの駆動時間を算出する。
具体的な一例を以下に示す。
圧電ポンプ44の駆動時間は、外気の温度と湿度などを考慮した駆動時間係数と、基準となる所定の駆動時間と、上記の結露量との積として算出する。駆動時間係数は実験的に以下のようにして算出すればよい。
【0058】
ここで、所定の駆動時間とは、基準となる区分において単位重量あたりの結露量を乾燥させることができる時間である。
まず、外気温と外気の湿度とが、それぞれ所定の範囲に分割して区分される。例えば、外気温は、10℃以上17℃未満(区分Aとする)、17℃以上24℃未満(区分Bとする)、24℃以上(区分Cとする)の3つの区分に分類される。さらに外気の湿度が、70%以下(区分1とする)と70%より大きい(区分2とする)の2つの区分に分類される。この区分は、使用される環境や機器に求める検出精度などに応じて適宜選定すればよい。
そして、外気温の3つの区分と外気の湿度の2つの区分を組み合わせた6つの区分について、それぞれの区分において結露を乾燥するのに最も不利な条件、つまり外気温が最低温度であって、外気の湿度が最高湿度である環境下において実際に圧電ポンプを駆動させて、乾燥時間を測定する。
【0059】
例えば、外気温区分Aかつ外気の湿度区分1(以降、区分A−1とする)であれば、外気温10℃、湿度70%の環境下において圧電ポンプを駆動させ、結露が消失する時間(乾燥時間)を測定する。結露が消失したことは、本実施形態においては、目視によって確認したが、結露発生前との重量を比較することによって確認してもよい。
同様にして、区分A−1から区分C−2(外気温区分Cかつ外気の湿度区分2)まで6つの区分についてそれぞれ乾燥時間を得た後、その値を用いて駆動時間係数が算出される。
駆動時間係数は、例えば、区分C−1(外気温区分Cかつ外気の湿度区分1)を基準として、他の区分の乾燥時間を区分C−1の乾燥時間で割り算した値とする。
この場合、計算に用いる乾燥時間は、複数回測定をした値の平均値や最大値などを適宜選択して用いればよい。このようにして駆動時間係数が算出できる。
【0060】
以上のようにして算出した駆動時間係数を用いて、上述したように圧電ポンプ44の駆動時間を算出すればよい。
すなわち、圧電ポンプ44の駆動時間は、駆動時間係数×基準となる所定の駆動時間×上記の結露量で求められる。
例えば、温度20度、湿度65%の場合、そのときの温度及び湿度は、区分B−1に該当する。このため、駆動時間係数は、(区分B−1の乾燥時間)/(区分C−1の乾燥時間)となる。また、基準となる所定の駆動時間は、基準となる区分C−1において単位重量あたりの結露量を乾燥させることができる時間である。
以上のようにして、圧電ポンプ44の駆動時間が求まった状態になると乾燥モード制御部140の実行部146は
図6に示す入力ガス切替器31の弁孔35,38を駆動弁36,39で閉じ、
図4に示す駆動弁52を駆動して開口状態とする(
図15のS505)。つまり、
図4に示す駆動弁52を開口状態にするとハンドル部1、チューブ2はバイパス路53によって流量調節器22の上流部を介して圧電ポンプ44に連結された状態となるので、圧電ポンプ44を駆動すれば、外気はハンドル部1、チューブ2、流量調節器22の上流部、及び圧電ポンプ44を介して測定装置本体3外へと排出される。
【0061】
つまり、本実施の形態の呼気測定装置は、乾燥モード実行時にはチャンバ23をバイパスしてハンドル部1、チューブ2を圧電ポンプ44に接続する構成とした。
この結果チューブ2内に発生していた結露は上記外気流によって乾燥される。この圧電ポンプ44の駆動は上述したポンプ駆動時間の間実行されることになり、これによりチューブ2内に発生していた結露は上記外気流によって乾燥される (
図15のS506、S507)。そして、この駆動時間が経過すると駆動弁52は閉じられた状態となり、また入力ガス切替器31の弁孔35は開状態、弁孔38は閉状態となる(
図15のS508)。
以上で乾燥モード(
図15のS508)は完了し、測定装置本体3の動作が終了する(
図10のS9と
図15のS509)。
【0062】
(実施の形態2)
図16は本発明の実施の形態2の呼気測定装置の制御方法を示すフロー図である。つまり上記実施の形態1では温度センサ50によって検出した外気温度が例えば、30度以下になった場合に圧電ポンプ44を駆動してチューブ2内の乾燥が行われるが、この実施の形態2では外気温度に関係なく測定が終了すると毎回乾燥モードが実行される。
具体的には、この乾燥モード実行時にはまず乾燥モード制御部140の温度取得部141が、温度センサ50によって測定された外気温度を取得し、乾燥モード制御部140の湿度取得部142が湿度センサ51によって測定された外気の湿度を取得する(
図16のS501)。
この結露発生量は外気温が低いと多くなるので、乾燥モード制御部140の結露量算出部143はその外気温によって結露量を算出する。次に、駆動時間決定部144はこの結露を乾燥させるためには圧電ポンプ44をどの程度稼動させ、ハンドル部1からチューブ2内に外気を流入させるかを計算する。またこの計算時には湿度センサ51で測定した湿度も考慮されることになる。
つまりハンドル部1からチューブ2内に流入させる外気の湿度が高い場合(例えば70%以上)には、上記外気の温度によって設定した圧電ポンプ44の駆動時間を長くする(例えば1.5倍)ように圧電ポンプ44の駆動時間が決定され(
図16のS503)、その駆動時間はメモリ49に記憶される(
図16のS504)。
【0063】
この状態になると乾燥モード制御部140の実行部146は
図6に示す入力ガス切替器31の弁孔35,38を駆動弁36,39で閉じ、
図4に示す駆動弁52を駆動して開口状態とする(
図16のS505)。つまり、
図4に示す駆動弁52を開口状態にするとハンドル部1、チューブ2はバイパス路53によって流量調節器22の上流部を介して圧電ポンプ44に連結された状態となるので、圧電ポンプ44を駆動すれば、外気はハンドル部1、チューブ2、流量調節器22の上流部、及び圧電ポンプ44を介して測定装置本体3外へと排出される。この結果チューブ2内に発生していた結露は上記外気流によって乾燥される。この圧電ポンプ44の駆動は上述したポンプ駆動時間の間実行されることになり、これによりチューブ2内に発生していた結露は上記外気流によって乾燥される (
図16のS506、S507)。そして、この駆動時間が経過すると駆動弁52は閉じられた状態となり、また入力ガス切替器31の弁孔35は開状態、弁孔38は閉状態となる(
図16のS508)。
以上で乾燥モード(
図10のS8)は完了し、測定装置本体3の動作が終了することになる(
図16のS509)。
【0064】
<主な特徴>
(1)
以上のように、本発明に係る実施の形態1、2に示す呼気測定装置は、ハンドル部1と、チャンバ23と、圧電ポンプ44(ポンプの一例)と、乾燥モード制御部140と、を備える。ハンドル部1は、呼気が吹き込まれる。チャンバ23は、吹き込まれた呼気が一時的に溜め込まれる。圧電ポンプ44は、チャンバ23内に溜め込まれた呼気を測定部45に供給する。乾燥モード制御部140は、測定部45による呼気の測定後に圧電ポンプ44を駆動して外気をハンドル部1から吸い込む乾燥モードを実行する。
これにより、検出精度を高めることができる。
すなわち、制御部48が、測定部45による呼気の測定後に圧電ポンプ44を駆動して外気をハンドル部1から吸い込む乾燥モードを実行する構成としたので、測定後に乾燥モードが実行され、その結果ハンドル部1の下流域への結露滞留が少なくなり、この結果として検出精度を高めることができる。
【0065】
(2)
本実施の形態の呼気測定装置では、乾燥モード制御部140は、温度センサ50から測定値を取得する温度取得部141を有する。乾燥モード制御部140は温度センサ50の測定値に基づき、乾燥モードを実行する。
これにより、温度によって変化する結露量に対して適切に乾燥モードを実行できる。
(3)
本実施の形態の呼気測定装置では、乾燥モード制御部140は、取得した温度センサ50の測定値が所定値よりも低いか否かを判定する実行判定部145を有する。温度センサ50の測定値が所定値よりも低い場合に乾燥モードを実行する。
外気温がある程度(例えば、30℃)以上の場合、結露が発生したとしても極微量であるため、乾燥モードを実行する必要がない。すなわち、所定値よりも低いか否かを判定することにより、余分に乾燥モードを実行する必要がなくなる。
【0066】
(4)
本実施の形態の呼気測定装置では、温度センサ50は外気の温度を測定する。
これにより、外気の温度に基づいて乾燥モードを実行できる。
(5)
本実施の形態の呼気測定装置では、乾燥モード制御部140は、温度取得部141と、結露量算出部143と、駆動時間決定部144と、を有する。温度取得部141は、温度センサ50から測定値を取得する。結露量算出部143は、温度センサ50の測定値に基づいてチューブ2内の結露量を算出する。駆動時間決定部144は、算出した結露量に応じて、外気をハンドル部1から吸い込む圧電ポンプ44の駆動時間を決定する。
これにより、結露量に基づいて乾燥モードの実行時間を制御できる。このため、濃度を表示した後に制御を終了するまでの時間を短くできユーザの利便性が向上する。
【0067】
(6)
本実施の形態の呼気測定装置では、乾燥モード制御部140は、温度取得部141と、湿度取得部142と、を有する。温度取得部141は、温度センサ50から測定値を取得する。湿度取得部142は、湿度センサ51から測定値を取得する。乾燥モード制御部140は、温度センサ50と湿度センサ51の測定値に基づき、乾燥モードを実行する。
これにより、温度及び湿度によって変化する結露量に対して適切に乾燥モードを実行できる。
(7)
本実施の形態の呼気測定装置では、乾燥モード制御部140は、温度センサ50の測定値が所定値よりも低い場合に乾燥モードを実行する実行判定部145を有する。乾燥モード制御部140は、湿度センサ51の測定値が所定値よりも高い場合に乾燥モードの時間を長くする。
外気温がある程度(例えば、30℃)以上の場合、結露が発生したとしても極微量であるため、乾燥モードを実行する必要がない。すなわち、所定値よりも低いか否かを判定することにより、余分に乾燥モードを実行する必要がなくなる。
また、湿度によって変化する結露量に対して適切に乾燥モードを実行できる。
【0068】
(8)
本実施の形態の呼気測定装置では、温度センサ50は、外気の温度を測定し、湿度センサ51は、外気の湿度を測定する。
これにより、外気の温度および湿度に基づいて乾燥モードを実行できる。
(9)
本実施の形態の呼気測定装置では、乾燥モード制御部140は、温度取得部141と、湿度取得部142と、結露量算出部143と、駆動時間決定部144と、を有する。温度取得部141は、温度センサ50から測定値を取得する。湿度取得部142は、湿度センサ51から測定値を取得する。結露量算出部143は、温度センサ50及び湿度センサ51の測定値に基づいてチューブ2内の結露量を算出する。駆動時間決定部144は、算出した結露量に応じて、外気をハンドル部1から吸い込む圧電ポンプ44の駆動時間を決定する。
これにより、温度および湿度により変化する結露量に基づいて乾燥モードの実行時間を制御できる。このため、濃度を表示した後に制御を終了するまでの時間を短くできユーザの利便性が向上する。
【0069】
(10)
本実施の形態の呼気測定装置では、乾燥モード制御部140は、乾燥モード実行時には、チャンバ23をバイパスしてチューブ2を圧電ポンプ44に接続する。
これにより、チャンバ23などを経由することになく結露を外部に排出できる。
(11)
本実施の形態の呼気測定装置の制御方法は、ハンドル部1と、チャンバ23と、圧電ポンプ44とを備えた呼気測定装置の制御方法であって、S7(測定工程の一例)と、S8(乾燥モード実行工程の一例)とを備える。ハンドル部1は、呼気が吹き込まれる。チャンバ23は、吹き込まれた呼気が一時的に溜め込まれる。圧電ポンプ44は、チャンバ23内に溜め込まれた呼気を測定部45に供給する。S7(測定工程の一例)は、圧電ポンプ44によって供給された呼気を測定部45によって測定する。S8(乾燥モード実行工程の一例)は、S7(測定工程の一例)の後に、圧電ポンプ44を駆動して外気をハンドル部1から吸い込む乾燥モードを実行する。
これにより、測定後に乾燥モードが実行され、その結果ハンドル部1の下流域への結露滞留が少なくなり、この結果として検出精度を高めることができる。
【0070】
(12)
本実施の形態の呼気測定装置の制御方法では、S8(乾燥モード実行工程の一例)は、S501(温度取得工程及び湿度取得工程の一例)と、S503(ポンプ駆動時間計算工程の一例)と、を有する。S503(ポンプ駆動時間計算工程の一例)は、S501(温度取得工程および前記湿度取得工程の一例)の測定結果に基づいて、チューブ2内の結露量を算出し、算出した結露量に応じて、外気を吸い込むために圧電ポンプ44を稼働させる時間を決定する。
これにより、温度および湿度により変化する結露量に基づいて乾燥モードの実行時間を制御できる。
【0071】
(13)
本実施の形態の呼気測定装置の制御方法では、S8(乾燥モード実行工程の一例)は、S502(温度判定工程の一例)と、S506及びS507(稼動工程の一例)と有する。S502(温度判定工程の一例)は、S501(温度取得工程の一例)の測定結果が所定値よりも低いことを判定する。S506及びS507(稼動工程の一例)は、S502(温度判定工程の一例)の判定結果に基づいて、外気を吸い込むために圧電ポンプ44を稼働させる。
このように所定値よりも低いか否かを判定することにより、余分に乾燥モードを実行する必要がなくなる。
(14)
本実施の形態の呼気測定装置の制御方法では、S8(乾燥モード実行工程の一例)は、S505(流路切り替え工程の一例)をさらに有する、
S505(流路切り替え工程の一例)は、チャンバ23をバイパスして、吹き込まれる呼気を圧電ポンプ44に供給するように流路を切り替える。
これにより、チャンバ23などを経由することになく結露を外部に排出できる。
【0072】
(他の実施の形態)
(A)
上記実施の形態では、圧電ポンプ44を用いていたが、他のモータによって駆動されるポンプを用いても良い。
(B)
また上記実施の形態1、2では、結露が最もよく発生し、測定結果に影響を及ぼすことが想定されるチューブ2内に発生する結露に注目した説明を行ったが、結露はそれ以外にハンドル部1、流量調節器22及びチャンバ23等にも発生することが考えられる。
したがって、ハンドル部1、チューブ2を介して吸い込まれた外気で、さらにハンドル部1、流量調節器22及びチャンバ23等の乾燥を行う構成としても良い。
この場合、結露発生量は、上記実施の形態1、2にて説明した条件に加えて、ハンドル部1、流量調節器22及びチャンバ23等において外気温と結露発生量の関係を実験により求め、その結果に基づいて制御部48は結露量を算出するようにしてもよい。このようにすることで、さらに精度よく結露量を算出できる。
【0073】
(C)
また、上記実施の形態1、2の呼気測定装置では、温度センサ50と湿度センサ51が設けられているが、温度センサ50と湿度センサ51が設けられておらず、ユーザが温度と湿度を呼気測定装置に入力してもよい。要するに、呼気測定装置が温度と湿度の値を取得できれば良い。
(D)
また、上記実施の形態1,2の呼気測定装置は、温度取得部141と湿度取得部142を有しているが、温度取得部141だけであってもよい。この場合、温度に基づいて乾燥モードが実行される。
【0074】
(E)
また、上記実施の形態1,2の呼気測定装置では、乾燥モードを実行する際に入力ガス切替器31の弁孔35、38を駆動弁36、39で閉じて駆動弁52を開いていたが、これに限らず、流量調節器22の弁孔24を駆動弁25で閉じて駆動弁52を開くように制御してもよい。
【0075】
(F)
また、上記実施の形態1、2では、ハンドル部1、チューブ2を介してチャンバ23に呼気が吹き込まれる構成として説明したが、本発明の構成は、これに限定されるものではない。つまり、例えばハンドル部1、チューブ2を設けずに、チャンバ23に呼気を吹き込む構成としてもよい。
この場合も、上述したように乾燥モード制御部140が、測定部45による呼気の測定後に圧電ポンプ44を駆動して乾燥モードを実行することによって、チャンバ23に吸い込まれた外気でチャンバ23等の乾燥を行うことができる。その結果、チャンバ23等への結露滞留が少なくなるので、検出精度を高めることができるのである。
すなわち、このような構成の呼気測定装置は、チャンバ23と、圧電ポンプ44(ポンプの一例)と、乾燥モード制御部140と、を備える。チャンバ23には、吹き込まれた呼気が一時的に溜め込まれる。圧電ポンプ44は、チャンバ23内に溜め込まれた呼気を測定部45に供給する。乾燥モード制御部140は、測定部45による呼気の測定後に圧電ポンプ44を駆動して外気を吸い込む乾燥モードを実行する。
【0076】
また、乾燥モード制御部140は、結露量算出部143と、駆動時間決定部144と、を有する。結露量算出部143は、温度センサ50および湿度センサ51の測定値に基づいて呼気測定装置内(測定装置本体3内)の結露量を算出する。算出した結露量に応じて、外気を吸い込む圧電ポンプ44の駆動時間を決定する。
また、温度センサ50のみの温度に基づいて、呼気測定装置内の結露量を算出してもよい。この場合、乾燥モード制御部140の結露量算出部143は、温度センサ50の測定値に基づいて呼気測定装置内の結露量を算出する。