特許第6205092号(P6205092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許62050922つの斜め配向のテープを備えた織物材料並びにその製造方法および製造手段
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205092
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】2つの斜め配向のテープを備えた織物材料並びにその製造方法および製造手段
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/02 20060101AFI20170914BHJP
   D03D 23/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   D03D15/02 C
   D03D23/00
【請求項の数】22
【全頁数】84
(21)【出願番号】特願2013-549814(P2013-549814)
(86)(22)【出願日】2012年1月20日
(65)【公表番号】特表2014-507570(P2014-507570A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2012050820
(87)【国際公開番号】WO2012098209
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】11151534.2
(32)【優先日】2011年1月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513165067
【氏名又は名称】テープ ウィービング スウェーデン エービー
【氏名又は名称原語表記】TAPE WEAVING SWEDEN AB
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】110001575
【氏名又は名称】リングループ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ナンダン コカール
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−105632(JP,A)
【文献】 特開平02−041462(JP,A)
【文献】 特表2009−537691(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00743386(EP,A1)
【文献】 特開2004−353134(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0237760(US,A1)
【文献】 特開平06−346337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00−51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープを備えた布地であって、前記布地は、幅および長さを有し、テープの第1セットおよびテープの第2セットが、交差およびオーバーラップ方式にて配列されており、前記第1セットおよび前記第2セットの前記テープは、互いに構造的に接続されており、すべての前記テープが、個別の長さで提供されており且つ布地長さ方向に関して斜め配向にて配列されており、各テープの前記個別の長さは、前記布地の前記幅よりも長く且つ前記布地の前記長さよりも短く、前記布地は、さらに、前記布地の少なくとも中央部分に、前記第1セットおよび前記第2セットのオーバーラップするテープの少なくとも幾つかを互いに接続する複数の接続点または接続領域を備えており、前記接続点または接続領域は、同じ布地に付与されているということを除いて、互いに接続されていない、個別の点または領域として提供されている、布地。
【請求項2】
請求項1記載の布地において、前記テープの第1セットは、前記布地長さ方向に関して第1斜め配向にて互いに略平行に配列されており、前記テープの第2セットは、前記布地長さ方向に関して第2斜め配向にて互いに略平行に配列されている、布地。
【請求項3】
請求項1または2に記載の布地において、前記テープの第1セットは、平均して、前記布地長さ方向に関して第1斜め配向にて配列されており、前記テープの第2セットは、平均して、前記布地長さ方向に関して第2斜め配向にて配列されており、前記第1斜め配向および前記第2斜め配向は互いに非垂直であり、これにより、前記第1配向と前記第2配向との間に鋭角または鈍角が形成される、布地。
【請求項4】
請求項3記載の布地において、前記第1斜め配向の前記テープおよび前記第2斜め配向の前記テープは、20〜85度の範囲または95〜160度の範囲で互いに角度を成している、布地。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の布地において、前記接続点または前記接続領域が、スポット穿刺、スポット交絡、スポット接着、付着、融着およびスポット接合の少なくとも1つを用いて、オーバーラッピングするテープに設けられる、布地。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の布地において、前記接続点または前記接続領域が、前記布地にわたって均等に分配されている、布地。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の布地において、前記接続点または前記接続領域は、すべての前記テープに設けられている、布地。
【請求項8】
請求項7記載の布地において、前記接続点または前記接続領域は、前記第1セットおよび前記第2セットの前記テープの間の各オーバーラップに設けられている、布地。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の布地において、前記複数の接続点または接続領域が、1つまたは幾つかの真っ直ぐな接続線にて配列されており、少なくとも1つの前記真っ直ぐな接続線の各々が、複数の接続点または接続領域を備えている、布地。
【請求項10】
請求項9記載の布地において、少なくとも1つの前記真っ直ぐな接続線が、前記布地の長さ方向に延びている、布地。
【請求項11】
請求項9または10に記載の布地において、前記真っ直ぐな接続線の少なくとも幾つかは、互いに異なる方向に延びている、布地。
【請求項12】
請求項11記載の布地において、前記接続線の少なくとも幾つかは、前記第1セットおよび前記第2セットの前記テープに平行な方向に延びている、布地。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか一項に記載の布地において、前記テープの少なくとも幾つかは、開繊テープまたは延伸重合体テープのいずれかである、布地。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の布地において、少なくとも1つのテープが折られており、折られた前記テープは、前記布地の長さ方向に関して少なくとも2つの異なる斜め方向に延びている、布地。
【請求項15】
請求項14記載の布地において、少なくとも1つの前記折られたテープの折り目が、前記布地の一方の側に配列されており、これにより、少なくとも部分的に閉じられた長手方向縁が形成されている、布地。
【請求項16】
請求項14または15に記載の布地において、少なくとも2つの折られたテープの折り目が、前記布地の両側から所定の距離に配列されており、これにより、前記布地にスリット開口が形成されている、布地。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか一項に記載の布地において、前記布地は、さらに、前記テープの少なくとも幾つかの少なくとも一方の側に表面コーティングが付与されており、前記表面コーティングが、前記布地を粘着性にしている、布地。
【請求項18】
衝撃の緩和のための、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の布地の使用。
【請求項19】
請求項1乃至17のいずれか一項に記載の布地を備えた複合材料。
【請求項20】
請求項1記載の布地において、前記布地の長さ方向に延びる少なくとも1つの縁が、テープの自由端を備えて、連続的に開放された縁を形成している、布地。
【請求項21】
請求項1記載の布地において、前記布地の長さ方向に延びる少なくとも1つの縁が、折られたテープを備えて、連続的または非連続的に密封された縁を形成している、布地。
【請求項22】
請求項1記載の布地において、前記布地の長さ方向に延びる少なくとも1つの縁が、テープの自由端を備えて、連続的に開放された縁を形成しており、
前記布地の長手方向に延びる少なくとも1つの縁が、折られたテープを備えて、連続的または非連続的に密封された縁を形成している、布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示されている発明は、概ね、バイアス織物/布地およびそれらの製造に関する。特に,本発明は、2つの逆の斜め配向に組み込まれたテープを備えた斜め繊維織物(OFT)に関する。
【背景技術】
【0002】
「フラットヤーン」および「テープヤーン」などと呼ばれ、布地の長さ方向(または幅方向)に関してバイアス配向にある、ヤーン、トウ、ロービング、フィラメントを備えたシート様布地/織物材料は、既存の平組紐打ちプロセスによって平打ち組紐として直接的に製造可能である。バイアス布地はまた、例えば、円形織りプロセスによって製造された筒状織製材料を螺旋状に切断することによって間接的に取得することもできる。他の間接的な手法は、大きいフラットな織製材料の一部を斜めに切断することである。改良された織り方法によって間接的に製造可能なバイアス布地が、米国特許第6494235号にも開示されている。しかしながら、これらすべての直接的および間接的な方法から得られるバイアス布地は、実用に耐えるものではない。なぜなら、適切な構造上の健全性/安定性の欠如に起因して、取扱い/プロセスの最中に開口/隙間が生じるからである。この決定的で基本的な問題に対して、適切な解決策が必要である。なぜなら、バイアス布地は、多くの適用において、斜め方向の荷重に耐える必要があるからである。さらに、そのようなバイアス布地は性能が低い。なぜなら、それらのバイアス布地は、テープ、特に開繊および高延伸重合体テープを用いて製造されておらず、その結果、一または他のタイプのヤーン(即ち、「フラットな」ヤーンおよび「テープ」ヤーンなどと呼ばれる、トウ、ロービング、フィラメント)を備えたバイアス布地は、相対的に高いクリンプ率およびクリンプ角、平らでない表面、大きな目付、低いドレープ性、大きな厚み、低い繊維含有量、より少ない露出繊維、不適切な繊維分布に起因する多くの開口/隙間、一または他のタイプの、指摘されたヤーンの使用に起因する大きな取扱い困難性など有しているからである。従って、衝撃緩和、安全製品、複合材料といった多様な技術に適用するために、指摘された欠点を持たない、高性能で且つ機能的なバイアス布地/織物材料が必要である。改良されたバイアス布地はまた、産業上適用可能であるために、実用に耐える大きな幅および連続した長さが必要である。
【0003】
従って、通常の取扱い/プロセスの際における開口/隙間の発生に抵抗するための改良された性能および構造上の健全性のために、テープの開繊および高延伸重合体タイプを含むテープを備えた、多様な新規のバイアス布地材料が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、上述した従来技術の問題を軽減するテープを備えたバイアス布地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、添付の特許請求の範囲に規定された布地を用いて達成される。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、テープを備えた布地であって、テープの第1セットおよびテープの第2セットが、交差およびオーバーラップ方式にて配列されており、前記第1セットおよび前記第2セットの前記テープは、互いに構造的に連結されており、すべての前記テープが、布地長さ方向に関して斜め配向にて配列されており、前記布地は、さらに、前記布地の少なくとも中央部分に、前記第1セットおよび前記第2セットのオーバーラップするテープの少なくとも幾つかを互いに接続する複数の接続点または接続領域を備えている、布地が提供される。
【0007】
布地は、好ましくは細長く、即ち、幅よりも長い長さを有し、それにより、布地長さ方向が伸張方向に一致する。さらに、布地長さ方向は、好ましくは、布地が製造される際の製造方向に一致する。
【0008】
これにより、交差するテープのオーバーラップによって生成される単位四角形のいずれかの、等しいか等しくないか(メジャーなおよびマイナーな)のいずれかであり得る、2つの代表的な対角線のいずれかに関して相対的に逆方向に斜めに配向された2セットのテープとなる。さらに、2つの代表的な対角線の一方は、布地長さ方向に多かれ少なかれ平行であり得る。
【0009】
前記テープの第1セットは、好ましくは、前記布地長さ方向に関して第1斜め配向にて互いに略平行に配列されており、前記テープの第2セットは、好ましくは、前記布地長さ方向に関して第2斜め配向にて互いに略平行に配列されている。
【0010】
さらに、前記テープの第1セットは、平均して、好ましくは、前記布地長さ方向に関して第1斜め配向にて配列されており、前記テープの第2セットは、平均して、好ましくは、前記布地長さ方向に関して第2斜め配向にて配列されており、前記第1斜め配向および前記第2斜め配向は互いに非垂直であり、これにより、前記第1配向と前記第2配向との間に鋭角または鈍角が形成される。
【0011】
前記第1斜め配向および前記第2斜め配向は、好ましくは、20〜85度の範囲または95〜160度の範囲、さらに好ましくは40〜80度の範囲または100〜140度の範囲、最も好ましくは60〜80度の範囲または100〜120度の範囲で互いに角度を成している。
【0012】
前記接続点または前記接続領域が、好ましくは、スポット穿刺、スポット交絡、スポット接着、付着、融着およびスポット接合の少なくとも1つを用いて、オーバーラッピングするテープ領域/部分に設けられる。
【0013】
接続点および接続領域は、好ましくは、いかなる余分のヤーンなども用いることなく形成される。さらに、接続点/領域は、好ましくはフラットのままで配列され、これにより、布地の厚みが増加しない。これにより、接続点/領域は、余分なヤーンなどを含むことで布地表面に凹凸を形成することがない。
【0014】
前記接続点または接続領域は、好ましくは、前記布地にわたって均等に分配されている。
【0015】
前記接続点または前記接続領域は、好ましくは、すべての前記テープに設けられている。
【0016】
前記接続点または前記接続領域は、好ましくは、前記第1セットおよび前記第2セットの前記テープの間の各オーバーラップに設けられている。
【0017】
前記接続点または前記接続領域は、好ましくは、個別の点/領域を形成しており、同じ布地に付与されているということを除いて、互いに接続されていない。さらに、前記接続点または前記接続領域は、好ましくは、対応する四角形の間でそれらの対角線方向に沿って不連続であり、好ましくは、オーバーラップし、交差する布地のテープによって形成された四角形を互いに接続しない。
【0018】
前記複数の接続点または接続領域は、好ましくは、1つまたは幾つかの真っ直ぐな接続線にて配列されており、少なくとも1つの前記真っ直ぐな接続線の各々が、複数の接続点または接続領域を備えている。好ましくは、少なくとも1つ、好ましくは幾つかの前記真っ直ぐな接続線が、前記布地の長さ方向に延びている。また好ましくは、前記真っ直ぐな接続線の少なくとも幾つかは、異なる方向に延びている。また好ましくは、 前記接続線の少なくとも幾つかは、前記第1セットおよび前記第2セットの前記テープに平行な方向に延びている。好ましくは、前記接続領域は、1つまたは幾つかの点から、オーバーラップするテープの全領域をカバーする付着まで変化し得る。
【0019】
一実施形態によれば、前記テープの少なくとも幾つかは、開繊テープまたは高延伸重合体テープのいずれかである。
【0020】
さらに好ましくは、少なくとも1つのテープが折られており、折られた前記テープは、前記布地の長さ方向に関して少なくとも2つの異なる斜め方向に延びている。少なくとも1つの前記折られたテープの折り目は、前記布地の一方の側に配列され得るものであり、これにより、少なくとも部分的に閉じられた長手方向縁が形成される。少なくとも2つの折られたテープの折り目は、さらに、布地の異なる側に配列され得るものであり、これにより、布地の2つの側に、少なくとも部分的に閉じられた長手方向縁が形成される。さらに、少なくとも2つの折られたテープの折り目は、布地の長手方向縁から所定の距離に配列され得るものであり、これにより、前記布地にスリット開口が形成される。
【0021】
前記布地は、さらに、前記テープの少なくとも幾つかの少なくとも一方の側に表面コーティングが付与されており、前記表面コーティングが、前記布地を粘着性にしている。
【0022】
好ましくは、各テープの個別の長さは、布地の幅よりも長い。また好ましくは、各テープの個別の長さは、布地の長さよりも短く、好ましくは相当に短い。
【0023】
本発明の他の態様によれば、衝撃の緩和および安全な製品の少なくとも一方のための、上記布地の使用が提供される。
【0024】
本発明のさらに他の態様によれば、上記タイプの布地を備えた複合材料が提供される。
【0025】
本発明は、開繊および高延伸重合体タイプを含む、あらゆるタイプのテープを用いて直接的に製造できる新規なバイアス布地を提供し、好ましくは以下の特徴を、独立に或いはある種の組み合わせにて提供する。
【0026】
− テープの個別の長さが、布地長さ方向に関して2つの角度配向にて組み込まれている。
【0027】
− バイアス布地を構成するテープの個別の長さが、それらの組み込みの角度が布地の長手方向に関して等しいか否かに応じて、等しいか等しくないかのいずれかである。
【0028】
− テープの個別の長さが、バイアス布地の本体の幅よりも長い。
【0029】
− 個別のテープが、真っ直ぐな形体か、折られた真っ直ぐな形体のいずれかである。
【0030】
− バイアス織物材料が、その製造およびこれに続く取扱い/プロセスの際の開口/隙間の発生に抵抗するために、一次健全性/安定性に加えて、方向性をもって配向された二次構造上健全性/安定性を有している。
【0031】
− バイアス織物材料を構成するテープ、特に開繊および高延伸重合体タイプのテープが、均一な厚さ、小さな目付、より薄く且つより広い構造を提供し、「フラット/テープヤーン」などと呼ばれる従来のヤーン、トウ、ロービング、フィラメントと比べて、より多くの数の構成フィラメント/フィブリルを露出させる。
【0032】
− バイアス布地が、いずれかが開放された長手方向縁、または部分的に密封された両方の長手方向縁、または完全に密封された1つの長手方向縁を有している。
【0033】
− バイアス布地に、テープを切断することなく長手方向または横方向のいずれかに配向されたスリット、および関連の繊維不連続が設けられている。
【0034】
− バイアス布地内のビルトイン・スリットが、布地の長手方向軸に沿うか、或いは長手方向軸からオフセットするかのいずれかで配置されている。
【0035】
「フラット」ヤーンおよび「テープ」ヤーンなどと呼ばれるヤーン、トウ、ロービング、フィラメントに代えて、特に開繊および高延伸タイプのテープをバイアス布地に組み込むことの必要性は、織物の長さ方向および幅方向に関して2つの斜め方向に強度を呈する織物材料を利用可能とすることのみではなく、他の重要な性能、機能および商業上の利点を実現することでもある。よって、以下で「斜め繊維織物(Oblique Fibrous Textiles)」についてOFTとして通常参照される新規なバイアス布地がここに提供される。以下において、ここに開示されたOFTの特徴が、利用可能なバイアス布地とは技術的に異なることが明らかになるであろう。
【0036】
本発明と従来技術との材料に関する違い
前述の説明から、OFTの形体の織物材料が、各種の複合材料、衝撃緩和製品、安全製品(例えば、パラシュート、壁補強体)などの製造に適していることが明らかであろう。これらすべての技術的適用について、現在、ヤーン、ロービング、「フラット」ヤーン、テープヤーン、トウなどを含む織製材料が、編まれた材料および不織材料と比較してユニークな織り構造性能の利点の故に、広範に使用されている。平打ち組紐材料は、産業上/技術上の提供において一般的に好まれる大きな幅で実用的に製造することができず、そのため、その利用可能性もまたわずかである。しかしながら、織製材料は、経糸方向および緯糸方向(即ち、布地長さ方向および布地幅方向のそれぞれ)においてのみ強度を提供し、経糸方向および緯糸方向に関して斜め/角度/バイアス方向に力が作用すると、剪断変形を受ける。
【0037】
複合材料、衝撃緩和製品および安全製品は、異なる方向からの荷重に耐え得る製品を実現するために、相対的に異なる配向にて織製材料のシートを織ることによって製造される。しかしながら、そのような織製シートの異なる配向での織りは、より大きな織製シートから、より小さな部分を切断することを必須とする。かくして、バイアス配向切断織製シートは、不連続の材料となり、例えば航空機の胴部および翼部を建造する際に、例えば連続的インライン自動化プレプレギング、および製品の必要領域で繊維または布地構造のいずれかに不連続がないことが要求されるアイテムの製造の可能性が制限される。切断および織り作業の精度は作業者のスキルに依存するので、一貫した品質を産業上達成することは不可能である。さらに、環境に悪影響を与える多くの廃材の発生に加えて、製造時間、労働およびコストが、不連続プロセスにおいて増加する。今日、開口/隙間の発生に抵抗し、性能および機能を提供し、提示された問題を実用的な方法で解決するために使用できる適切な連続バイアス織物材料は存在しない。
【0038】
織物の長さ(または幅)方向に関して2つの斜め方向に強度を提供するバイアス織物材料の連続走行長さおよび実用上有益な幅を持つということから離れて、さらにOFTが満たさなければならない、性能及び機能に関する重要な技術上の要求がある。これら材料に関する要求は、利用可能な材料および以下に示すバイアス布地製造方法では満たすことができない。
【0039】
(a)OFTの均一に引っ張られた構成要素:特に技術上の適用を意図された布地において、他のものよりも相対的に強く引っ張られるフィラメント、ヤーン、トウ、ロービング、いわゆる「フラット」ヤーンおよび「テープ」ヤーンなどは、材料破損を引き起こす主な原因である。なぜなら、技術上の適用における布地は、異なる方向から各種の力を常に受けており、布地内で最も引っ張られる繊維は、ある荷重/力の下で最初に破断/破損するものである。そのような繊維破断は、最終的な布地破損の開始の引き金となる。なぜなら、強く引っ張られた次の繊維は、引き続いて荷重に耐えなければならず、繊維の破断が、最終的に完全な材料破損に行き着くまで進行するからである。複合材料、衝撃防護、パラシュートのような適用における、引っ張られた繊維を備えた布地の壊滅的な結果は、強調し過ぎるということがない。
【0040】
よく知られているように、織り、編み、および組紐打ちプロセスは、引っ張りおよび関連の問題を布地にもたらす。なぜなら、これら従来のプロセスに固有の動作設計は、投入繊維に対して、それらが首尾良く動作するように、また機械が首尾良く運転されるように、所定の張力が常にかかっていることを要求するからである。いつも、投入繊維は、大きなサイズの多くのパッケージ、例えばスプール、緒巻、コーン、チーズなどで供給されることが要求される。なぜなら、布地は、大きく且つ一定の連続長で製造されることを要求されるからである。そのような長い投入繊維は、各種の技術上および人的な理由により完全に制御することはできないので、その中に張力変動が常に生じている。
【0041】
かくして、既存の布地形成プロセスは、不均一に引っ張られた投入繊維で開始することが不可避であり、各種の移動する機械部品と繊維が相互作用するので、布地の製造中に投入繊維内に追加の張力が引き起こされる。そのような張力は、繊維の破断点に達するまで増加し続ける(これにより、繊維の不連続が布地の欠陥をもたらす)。かくして、布地の製造中にすべての繊維を常に等しい張力に維持することは、既存のプロセスにおいては不可能である。従って、材料の性能を改善するために、製造中にOFTの繊維内に追加の張力変動が引き起こされない、OFTを製造するための布地形成プロセスを持つことが望ましいであろう。そのようなプロセスを実用上可能とするために、布地製造のための条件として構成繊維が常に張力下にあることを必要とせずに、適切な形体にて個々の繊維材料の特定された個別の長さを連続的に用いてOFTを製造できるようにすべきである。本発明は、構成テープが完全に張力無しである革新的なOFTを得るための新規な方法および手段を提供する。
【0042】
(b)比較的小さな目付およびより薄いOFT:布地は今、前記技術への適用において、さらなる軽量化および改善されたドレープ性を達成することを求められている。例えば、複合材料の死重、即ち、伝統的な織製材料の織りクリンプのくぼみ内に集められた余分な母材の重量を低減することが、今、重要になってきている。この余分な母材は、まったく役に立たない。織りクリンプのくぼみ内のその集積は、伝統的なヤーンおよびいわゆる「フラットな」ヤーン/「テープ」ヤーン/トウ/ロービングが、ロービング/ヤーン/「フラットな」ヤーン/「テープ」ヤーン/トウの幅方向の繊維分布が不均一であることに起因して、その縁よりも中央が本来的に厚い(即ち、楕円様またはフラットな卵形/レーストラック様断面形状を有する)ために生じる。それら比較的狭い幅および厚い厚さの結果として、布地のクリンプ率およびクリンプ角は相当に大きくなる傾向がある。これは、布地が、クリンプの出っ張りおよびくぼみによって、比較的大きな目付、大きな平均厚さ、および平らでない表面を呈するからである。これらの欠点および他の欠点は、開繊テープ(以後、SFTと呼ぶ。)を用いてOFTを製造することによって克服することができる。なぜなら、そのようなテープは、その構造に起因して厚さが極めて均一であり、また相当に薄いので、クリンプ率およびクリンプ角を実質的に除去できるからである。SFTのようなテープを用いて製造されたOFTは、これまでに知られていない。
【0043】
(c)構造的に安定なOFT:利用可能なバイアス布地は、(織製布地のように)布地の長さ方向および幅方向に配向された繊維を有していないので、その構造は、製造中および取扱中に、長手方向および横方向に力が作用したときに通常起こるように、たとえ狭めたとしても、容易に開いてしまい、或いは隙間を形成してしまう。織製布地においては、経糸が緯糸に適切に組み込まれ/ロックインされていないと、織端側から経糸が容易に抜け出てしまい、中央部よりも織端に近いところで開口/隙間が生じてしまう。これに対して、バイアス布地においては、その長手方向側部に近接し且つ平行に走る、抜け出る材料が存在しないので、状況がまったく異なる。バイアス布地においては、布地の長手方向側部に代えて、布地の中央部で開口/隙間が発生する。例えば、2つの水平ロールを通過するときの自重によって、バイアス布地の、ある長さは、最初はその中央部において、容易に開口/隙間を形成する。バイアス布地の中央部における開口/隙間の形成は、その長手方向側部が閉じられ/密封されていたとしても発生する。なぜなら、バイアス布地の中央部の構成材料は横方向にシフトする傾向があり、バイアス布地はその中央部において最も垂れ下がっているからである。それ故、織製布地およびバイアス布地における開口/隙間の形成メカニズムが特徴的に異なっており、問題を解決するためには、それぞれに応じた異なる解決策が必要となる。
【0044】
さらに、上述したように、OFTを製造するためのテープの使用は有益であると考えられるが、その使用はまた、示されたヤーンのタイプ(即ち、ロービング、フィラメント、トウ、いわゆる「フラットな」ヤーンおよび「テープ」ヤーンなど)の使用と比較して、テープ間の接続の頻度が比較的低く、接続点が少ないということを意味する。なぜなら、そのようなテープは、示されたヤーンのいずれのタイプと比較しても幅が広いからである。テープの使用は、頻繁ではない、またはより少ないテープ間の接続を必然的に伴うから、それに応じて布地構造の安定性が低下し、取扱い/加工の際に開口/隙間が容易に形成されるであろう。かくして、テープで製造されたOFTは、実用上、使用することが困難である。
【0045】
従って、満足なOFTを得るためには、横方向のシフトおよび開口/隙間の形成に対する耐性を改善し、実用上有用なものとするために、ある追加的な、方向性をもって配向された、二次的な構造上の健全性/安定性を、その一次的な構造上の健全性/安定性から離れて、少なくともその中央部に付与することが必要となる。また、OFTが、その長さ方向および幅方向において構造上の同様な特徴を呈することも重要である。満足な製品、例えば衝撃緩和、複合材料等を実現するために、均一な厚さのOFTも必要である。これらすべての要求は、方向性をもって配向された一体化手順を介して、一次的な構造上の健全性/安定性に加えて、二次的な構造上の健全性/安定性をOFTに付与することによって満たされる。一次的な安定性は、OFT内のテープをプロセスが編成し、組立てる際の方法から自然に得られるであろうが、二次的な構造上の安定性は、加工されるテープ材料に応じた、繊維マイグレーションのためのスポット交絡/穿刺、スポット接着、付着、融着、スポット接合等の方法によって、OFTの厚さ方向における強度を追加的に付与し、開口/隙間の形成に対するOFTの耐性を改善する。OFTに付与された二次的な構造上の健全性/安定性は、開口/隙間の形成に対する低いレベルから高いレベルまでの耐性を提供するために方向性をもって配向され、好適な領域に付与され、所定の適用の要求に応じて、一点から、より大きな領域まで好適な寸法とすることできる。テープで作成され、構造上良好に統合され、および、二次的な健全性/安定性を介して安定しているOFTは、これまでに知られていない。
【0046】
(d)機能的なOFT:多少なりとも機能的なバイアス布地が、以前は利用可能ではなかった。長さ方向および幅方向における負荷耐性力が本来的に小さいことに起因して、OFTは、その使用機能を高める何らかの特徴を組み込むべきである。例えば、歴史的建造物の補強や急速展開形の耐衝撃車両などに容易且つ迅速に適用できるようにすべきである。例えばハンガーやスタジアムを覆うために、OFTを吊るすことが要求される適用において、OFTの使用を直接的且つ容易に促進することができるビルトイン構成を備えているべきである。また、加工中、例えばコーティング中にOFTを適切に案内するために、少なくとも1つの密封された線状の長手方向縁が設けられるべきである。従って、ここで開示されたOFTは、各種表面への接着を可能とする接着剤、密封された線状の長手方向縁、および、そこにバンドを通すことによって機械的な接続が可能となるビルトイン・スリットのような、好適な特徴を設けることによって、そのような機能的な問題に対処する。そのような機能性を提供するOFTは、以前は知られていなかった。
【0047】
また、SFTを含むOFTは、低い目付を示すだけでなく、より簡単で迅速な湿潤のために、テープの長さ方向に配向している極めて真っ直ぐで平行な構成フィラメントと、露出フィラメント数の増大を示す(これらの特性は、特に繊維がコーティング/埋め込まれる必要がある場合、多くの技術的応用のために不可欠な要件であると考えられている)。布地の製造条件として、SFTが絶え間ない張力を受けないようにSFTを用いてOFTを製造することによって、必要条件/要求を実質的かつ直接満たすことができる。
【0048】
さらに、高延伸/ストレッチ重合体フィラメントおよび高延伸/ストレッチ重合体テープ(以下、総称してHDPTと呼ぶ)の形態をとっている熱可塑性材料からなるOFTも、その非常に真っ直ぐで平行かつ均一に分散された成分分子鎖(これはSFTと同類とみなすことができる)ゆえに、膨大な負荷/力に耐えるものと考えることができる。例えば、HDPTを含むOFTは、布地の長さと幅に関して2つの斜め方向において衝撃荷重に耐えることができる。HDPTを用いて得られるOFTは、以前は知られていなかった。
【0049】
炭素繊維は、複合材料の製造において補強材として広範囲に使用されるが、ある種の重合体材料は、衝撃緩和アプリケーションに最適な材料である。このような重合体材料は、HDPTまたはSFTの形態で製造された高延伸重合体繊維のどちらかであり得る。
【0050】
SFTまたはHDPTあるいはそれらの組み合わせのいずれかを含むOFTと、OFTの製造方法および手段は、以前に知られていなかった。SFTまたはHDPTあるいはそれらの組み合わせを使用して製造したOFTの利点を説明するための背景と、業界におけるその実用的意義を以下に提示する。
【0051】
炭素繊維は、様々な布地目付を製造するために、ヤーン、ロービング、トウ、いわゆる「フラットな」ヤーンおよび「テープ」ヤーンなどの形態で使用される。例えば、現在の低目付では、通常、1kおよび3k(ここで、kは1000フィラメントを示す)のような低番手でトウを織ることによって織製布地が製造される。高番手トウは、それに対応して平らでない表面と平均布地厚みの増加を伴って、相応に重い目付布地を製造することになり、前述したように、複合材料の死重を高める観点から望ましくない。一方、低番手を使用して製造される布地は、前述した問題に加えて、高番手を使用して製造されるものより何倍も高価である。これらの欠点は、大きさでは相対的にだけ低くなっている。それゆえ、布地のコストを低減するためには、より高番手の比較的高価でない繊維を使用することが必要であると同時に、低目付で高性能な布地を実現することが必要である。
【0052】
同様に、布地の異なる目付を生成するために、異なる番手(テックス、デニール)の「フラットな」ヤーンの形態で、様々な重合体材料が使用されている。上述したように、重合体材料の「フラットな」ヤーンを使用して製造された布地は、相応に重い目付布地と、不均一な表面と、布地の増加した平均厚みを示し、したがって、相対的に低いパフォーマンスを有することとなる。
【0053】
トウ/ロービング/「テープ」ヤーン/「フラットな」ヤーンなどを構成するフィラメントは、利便性に対処するべく、それらを一緒に保持するために若干の捩れを与えられている。したがって、トウのフィラメントは、横方向にシフトするために多少の自由度を持っている。結果として、トウは、圧力を受けると、シリンダ上で曲げたときのようにそれらの断面形状が変化する。実際には、これらボビン形状のトウは、断面が円形または楕円形のいずれかであると一般的に見做されているヤーンとは異なり、「フラット」(断面がほぼ平坦楕円またはレーストラックとして概ね表される)になっている。一般的に「フラットな」テープ/「テープ」ヤーンと呼ばれるヤーン/ロービング/トウ/「テープ」ヤーン/「フラットな」ヤーンなどは、真に平らではないことが知られている。なぜなら、構成フィラメントにおける固有の不均等分布のゆえに、その断面の中間平坦領域でのいわゆる「フラットな」ヤーンの厚みが、端部よりも顕著に厚くなっているからである。
【0054】
さらに、ヤーン/ロービング/トウ/「テープ」ヤーン/「フラットな」ヤーンを構成するフィラメントは、トウの/「テープ」ヤーンの/「フラットな」ヤーンの長さ方向に直線的にかつ平行には走っておらず、繊維の内部に一定の十字交差が存在する。このようなフィラメントの偶然な配列は、これらの「フラットな」ヤーン内での張力変動の主な理由の一つである。また、圧力を受けたときに、どのように平坦で幅の広い「フラットな」ヤーンを製造することができるかには限界がある。ボビン上の「フラットな」ヤーンは、既に「フラット」であり最大に幅広である。したがって、このようなロービング、ヤーン、トウ、いわゆる「フラットな」ヤーンおよびテープヤーンなどは、一般的には「フラットな」ヤーン、「テープ」ヤーンなどと呼ばれる。すべての実用的な目的のために、これらの「フラットな」/「テープ」ヤーンが広範囲に使用され、そのまま処理される。即ち、例えば種々の用途に適用する布地を製造するための製織や組紐打ちのプロセスにおける従来のヤーンのように処理される。これらのプロセスは、このような「フラットな」 /「テープ」ヤーンを取り扱うために実質的に何ら変更を必要としない。十字交差した繊維/フィラメントと不均一な厚みを呈するこのような「フラットな」 /「テープ」ヤーンを用いて製造された布地は、それゆえの欠点を有すると共に上述したような問題とも関係している。
【0055】
開繊テープ(SFT)は、名前が示すように、「フラットな」ヤーンの構成フィラメント/繊維を開繊することにより製造される。結果として、テープ状の比較的薄い、より幅広の材料が得られる。繊維開繊の程度は、適用のニーズに応じて、また、達成されるべき布地の目付に応じて行われる。したがって、低い目付が望まれるほど、「フラットな」ヤーン(勿論、実用限界まで)のフィラメント/繊維を開繊する度合いが高くなる。このような開繊をすることにより、繊維の非常に均一な分布に起因して、より幅広で、より薄く、非常に均一な厚みの繊維テープとなる。かかる開繊操作の重要な結果として、「フラットな」ヤーン内での繊維/フィラメントの固有の内部十字交差またはマイグレーションと偽ねじれなどが排除され、フィラメント/繊維は、テープの長さ方向に高度に線形で並列配向になる。フィラメント/繊維のこのような高度に組織化された配列は、内部の捩れ、フィラメントの十字交差および不均一な繊維分布のような欠陥に起因する固有の張力変動からSFTを開放する。「フラットな」ヤーンの繊維を開繊するもう一つの非常に重要な成果は、成果物のSFTが、よく分散された繊維/フィラメントを有し、親の「フラットな」ヤーンより相対的に多くのフィラメント数を露出するとことである。薄く幅広のSFTは、その親の「フラットな」ヤーンに比べて極めて薄っぺらかつ繊細なものである。明らかにSFTは、ヤーンやロービングやトウやいわゆる「フラットな」ヤーンや「テープ」ヤーンなどとは構造的に異なる。したがって、「フラットな」 /「テープ」ヤーンを処理するのと同じようにSFTを取り扱い、処理することはできない。
【0056】
典型的には、ロービング/トウ/「フラットな」ヤーン/「テープ」ヤーンの番手と、そして実行された開繊の度合いのために、SFTの相対厚みは少なくとも50%低く、幅が少なくとも50%より大きく、露出したフィラメント数は親の「フラットな」 /「テープ」ヤーンのそれよりも少なくとも50%より大きくなる可能性がある。米国特許第3795944号、米国特許第5042122号、米国特許第5057338号、米国特許第4994303号、米国特許第5094883号、米国特許第5101542号、米国特許第5200620号、米国特許第6049956号、米国特許第6032342号および日本特許第3382603号には、ロービング/トウ/「フラットな」ヤーンなどのフィラメントを開繊するために特に開発された様々なプロセスの例が示されている。よって、SFTとヤーン、ロービング、トウ、「フラットな」 /「テープ」ヤーンなどは特徴的に構造的に異なっていることは当業者にとって明らかとなるであろうし、それ故に、これらは厚さ、目付、直線性および構成フィラメント/繊維の平行配置および露出フィラメント/繊維の数の観点から異なる特徴を呈する。
【0057】
前述したように、SFTは壊れ易く繊細な構造を有し、そのため、ロービング/トウ/「テープ」ヤーン/「フラットな」ヤーンに要求されるものよりも高度の注意と異なる取り扱い準備を必要とする。これは、いかなる取り扱い過誤もアンバランスな力も、SFTを破壊し、ヤーン、ロービング、トウ、「フラットな」/「テープ」ヤーンなどに戻すからである。明らかに、ヤーン、ロービング、トウ、「フラットな」/「テープ」ヤーンなどと同じ方法でSFTを処理することはできない。従って、SFTを用いて製造したOFTは、縦横に交差した繊維、捩れなどから自ずと解放され、従って固有の張力から解放され、しかもヤーン、ロービング、トウ、「フラットな」/「テープ」ヤーンなどからなる布地よりも相対的に低い目付と、より大きな表面均一性、平坦性と、小さい平均布地厚みを呈するために有利である。さらに、SFTを用いて製造したOFTは、比較的薄いために、比較的容易に所望の形状にドレープすることができる。さらに加えて、SFTを含むOFTは、よく分散し露出したフィラメント数を相対的により多く持っているので、コーティングまたは埋め込みに当たって、相応に繊維の湿潤をより高度により迅速に行うことが可能となる。最も重要なことはであるが、SFTは線形でよく分散した平行なフィラメント/繊維を含むため、これらを用いて製造されたOFTは、繊維形成プロセスが、OFT生産時の条件として、SFTに一定の張力を必要としないようなものである場合は、均一な張力を有することになる。
【0058】
さらに、その相対的な薄さと幅広のゆえに、SFTを組み込んだOFTは、実質的に平坦であって実質上クリンプがない。また、SFTの薄さと平坦性のために、OFTは低い平均厚みを有すことになり、実質的に死重マトリックスの蓄積がなくなる。結果として、複合材料の死重の問題が、完全に除去されないとしても、相当に低減される。SFTを組み込んだ複合材料は、マトリックスによってよく分散され露出したフィラメントの比較的高い湿潤(すなわち付着)のゆえに、パフォーマンスが向上することになる。マトリックスにフィラメントの数がより多く接着するため、複合材料が荷重/力を受けるときに、対応してマトリックスから繊維への負荷の分配と転移が増大し、その結果、パフォーマンスが向上することになる。
【0059】
SFTの上述した利点は、HDPTを使用した場合にも相応に認められる。重合体シートが極度に引っ張られ/延伸された場合、その分子鎖は、それに応じてシート/テープの長さ方向に極度に延伸され、真っ直ぐになり、平行に、十分に分散され、かつ配向される傾向にある。また、引っ張られ/延伸される工程の間、分子鎖は横方向に互いにスライドし、結果的に極端(マイクロメートルの単位で測定可能な)に薄いシートやテープとなる。こうしたHDPTは、透明(延伸された高分子材料の種類に応じて)でなければ、半透明になってしまうまで薄くすることができる。フィブリルと呼ばれるこれらの非常に線形な分子鎖は、このようにした超薄型HDPTの表面に発生する。実際、このようなフィブリルは直接普通の粘着テープに付着し、極めて微細なフィラメントとしてHDPTの表面から容易に剥離するもので、SFTおける露出された繊維に似たものと考えることがでる。分子鎖のこのような高い直線性に起因して、HDPTは比較的高い衝撃荷重に耐えることができる。
【0060】
SFTとHDPTの示された利点から実用性の範囲を拡大するために、比較的均一な厚さ、低目付、極めて真っ直ぐで平行な構成フィラメント/フィブリルで、よく分布され露出されたフィラメント/フィブリル数の多いテープと共にOFTを構成することのみならず、OFT製造時の条件として、SFTとHDPTの一定あるいは絶え間ない張力を必要としない織製プロセスを採用して行うことが当然望ましい。上述した特徴および機能、並びにその製造方法および手段、適用および利点は、以前に知られていなかった。
【0061】
本発明のOFTの新規性を明らかにするために、製造の様々な方法を通じて利用可能なバイアス材料について以下で言及する。後述から明らかになることであるが、これらの既知の布地やその製造方法は、本発明とは特徴的に異なるものである。
【0062】
本発明と従来技術とのプロセスに関する違い
OFTの製造には全く新しいアプローチが必要であることは前述した説明から明らであろう。既存の方法の限界については以下に説明する。
【0063】
平組紐打ちプロセスが、ヤーン、ロービング、トウ、「フラットな」/「テープ」ヤーンなどを斜めに組み込むことによって幅狭の布地を直接製造するが、その作動構成は、SFT、HDPTおよびそれらの組み合わせを含むテープを用いて、OFTを破壊/歪曲なしに製造することはできない。従って、組紐打ちプロセスについては、本発明の文脈において、さらに検討しても意味がない。
【0064】
その長さ(または幅)方向に関して斜め配向したヤーン、ロービング、トウまたは「フラットな」/「テープ」ヤーンなどのいずれかを含む布地片は、より大きい織製材料から斜めに切り出した部分より間接的に取得することができ、「バイアス」材料と呼ばれている。しかしながら、このような材料は、その長さおよび幅方向については強度が乏しく、構造的な開口/隙間が簡単にできてしまって、通常の取り扱いができない。また、よく知られているように、製織工程でそれらを処理するために経糸と緯糸に一定の張力が不可欠である。また、経糸および緯糸方向の緊張が等しくなることは決してない。従って、織製材料は、それらの各々を制御する織りプロセス変数によって誘導される経糸および緯糸方向における繊維の様々な張力差の影響を被り続ける。このような張力に関係する欠陥は、目に見えるもの(例えば、他のものと比較して異なるクリンプレベルともに「タイト」として現れる一つあるいはより多くの経糸または緯糸、延伸に起因するフラットな外観、破損/不連続/繊維引き抜きなどである)または特定できるもの(例えば、経糸又は緯糸の繊維の長さを測定し、熱/湿度/湿潤のある種の条件下での挙動を観察し、第1の繊維破断点まで布地に負荷を加えることなどによって)である。このような張力に関係する欠陥の影響は、それがインターレースによるヤーン、ロービング、トウまたは「フラットな」/「テープ」ヤーンなどの閉じ込めに起因して、織機から取り外された後であっても織製布地中に残り続ける。これらの固有の張力関連欠陥は、重要な技術的適用では許容できない。明らかに、大きな織製材料から得られた布地の斜めにカットされた「バイアス」片は、同じ張力関連欠陥や欠点を受け継ぎ、所望の技術的な適用において性能が劣る。最も重要なことであるが、このような
「バイアス」材料は、例えばその中間部分において、スポット交絡/ニードリング、接着、融合などによって付与される、二次構造的健全性/安定性を持たず、その取り扱いや処理を不可能となる。同様に、このような布地は全く機能的ではなくなる。
【0065】
さらに、このような布地「バイアス」材料は大きな織布から切り出しているので、小さくかつ領域が限られており、実用性と価値がほとんどないものを製造することになる。例えば、連続したインライン自動プレプレギングおよび繊維と布地構造の連続性を必要とするアイテムの生産を可能にし得ない。また、このようなバイアス材料では、織製布地の経糸と緯糸の間における90˚の関係は常に変更されないままとなる。大きな布地材料から片を切り出す取り扱いで重要な制限は、実用的に使用可能な連続した広いバイアス材料が利用できないことである。狭いストリップと片を切断し、それらを一緒に配置すると、依然として繊維の不連続と同時に布地構造の不連続性を有することとなる。また、バイアス片が切り出される織製材料が無駄になる。
【0066】
明らかに、織製材料は好ましいOFTとは特徴的に異なるものであり、既存の平坦製織プロセスはOFTを製造するために採用することはできない。
【0067】
伝統的な円形製織プロセスは、連続的なバイアス材料を得るための間接的な解決策を提供する。織製管状布地は、米国特許第4299878号に開示されるように螺旋状に切断することができる。螺旋状に切断された材料を開いて平坦に置くと、その長さ方向および幅方向に対して角度方向のヤーンを含む長尺材が得られる。しかし、円形製織プロセスの作動構成では、捩れやその他の変形を取り込むことなくテープを取り扱い、処理することができないので、ヤーン/ロービング/トウ/「フラットな」/「テープ」ヤーンなどだけを使用してこのような織製管状布地を製造することができるが、SFTとHDPTタイプを含むテープを使用しては製造することができない。これらの取り扱いには、以前から知られていない新しい技術を必要とする。また、円形製織プロセスは、ヤーン、ロービング、トウ、「フラットな」/「テープ」ヤーンなどが処理中に絶え間ない張力を必要とするため、螺旋状に切断される「バイアス」材料が張力に関係する欠陥を呈さない訳にはいかない。
【0068】
明らかに、円形の製織プロセスは、螺旋状に切断することによってバイアス材料を取得することができるOFTを製造するために、特にSFTやHDPTタイプのテープを取り扱うことができない。したがって、このプロセスをこれ以上検討することは無意味である。
【0069】
米国特許第6494235号は、「フラットな」ヤーンを含むバイアス布地を製造するための間接的な方法を説明している。記載されたバイアス布地は、従来の織製の手順を変更することにより、間接的に製造される。記載された修正織製プロセスは、おそらく、ヤーン/ロービング/トウ/「テープ」ヤーン/「フラットな」ヤーンなどを、困難を伴いながら処理できることを説明しているが、以下に記載するように、特にSFTとHDPTタイプのテープを処理することは疑いなく不可能である。さらに、バイアス材料は織製プロセスを用いて間接的に製造されるので、経糸と緯糸において固有の張力差があるであろう。「フラットな」ヤーンで構成され、伝統的な製織手順によって製造されるこのようなバイアス布地は、前述したように張力関連の欠陥や欠点を有することになり、技術的な適用には不向きである。前述した他のバイアス材料と同様に、そのようなバイアス材料は、二次的な構造的健全性/安定性も有しておらず、従って、それらは容易に開口/隙間が生じる傾向がある。また、機能的な特性をも有していない。
【0070】
米国特許第6494235号に記載されたバイアス布地を製造するための製織構成が、以下の理由で実行不能であることは当業者には明らかであろう。
【0071】
(a) それは、1つのだけのスプール/材料源から引き出した「フラットな」ヤーンを使用してバイアス布地を生成する。このように、経糸が一度に一つの長さで引き出されて2つの平行なベルトのニップに1つ1つ供給され、連続して循環的に作業ワープシートを作成するようになる。明らかに、経糸のセットアップが実行され、個々の「フラットな」経糸ヤーンは、満足のいく特性を有した繊維含有量の多い材料を得るために通常必要とされるように、決して互いに近接しない。従って、織製布地は緩んだ状態にあり、既に開口/隙間を呈することになる。さらに、すべての「フラットな」ヤーンは、たった1つの供給源から引き出されるため、バイアス布地を2つあるいはそれ以上の異なる材料で構成することはできないとともに、プロセスも効率的に行うことができない。
【0072】
(b)2つの離間したベルトドライブは、「フラットな」経糸の架橋長さを、自重でたるみから十分にぴんと張られた状態に保つことがまったくできない。ベルトの中間領域ではその把持力が入り口端側での把持力よりも相対的により低くなるため、2つのベルトドライブの中央部にぶら下がった「フラットな」経糸は、入り口端側よりも相対的により大きく垂れ下がる。その結果、「フラットな」経糸には別々の張力が掛けられ、様々な長さのものとなり、プロセスの操作を、実行不能にはならないとしても、困難なものとしてしまう。
【0073】
(c)2本のベルト間で保持された「フラットな」経糸は、開口動作時に引っ張られるるため、ベルトから滑り出てしまう傾向がある。杼口が閉じた後に経糸を水平にするための張力装置も具備されていない。結果として、「フラットな」縦糸は、杼口が閉じたときにだらりと垂れ下がったままであり、その後の操作に問題を引き起こし、特にその後の開口動作が困難となり、織製工程がそれ以上満足に進行しないこととなる。
【0074】
(d)「フラットな」ヤーン縦糸は、サイクルごとに布幅(流入する布地の織端から反対側までの)方向に流れることが必要であり、それぞれが開口装置によって持ち上げられるべき所定位置に入ってこなければならないので、開口動作のためにいかなるヘルド・アイにも挿通されていない。緩んで弛んだ「フラットな」経糸ヤーンが、それらに個別に必要な特定の開口動作位置に明確にくることは決してないので、これらは実際には達成できるものではない。したがって、開口動作構成が作動するときに、前記の垂直な「櫛」は、正しく整列されていない「フラットな」経糸ヤーンを引きちぎって、これらを適切に持ち上げないこととなる。開口動作過程で「フラットな」経糸が破損され/狭められ/変形され/もつれることのリスクは、このように避けられない。さらに、緩んだ「フラットな」経糸ヤーンは、それらの下に位置している開口装置に捕捉され、これにより、ヤーンを保持しながら駆動する2本のベルトから引き出されることになる。不適切な杼口は緯糸挿入を阻害し、織製に困難を引き起こし、プロセスを停止してしまう。
【0075】
(e)このプロセスでは、2つのベルトドライブの中で、「フラットな」経糸ヤーンの送り側から最も遠い(すなわち織端で)「フラットな」経糸は、続いて「フラットな」緯糸ヤーンとして使用される。この最後の「フラットな」経糸が作成された杼口に緯糸として引き出されるには、グリッパーに把持されなければならない。当初は、最後の「フラットな」経糸の位置を占めている「フラットな」緯糸が、本来的に緯糸グリッパーの緯糸引き抜き方向に対して直角の向きに配置されている。グリッパーが杼口に「フラットな」緯糸を引き抜くときに、緯糸の後端(正に経糸として機能する)は、対応する駆動ベルトのニップから抜け出すことになり、解放された「フラットな」緯糸ヤーンを制御することはなくなる。結果として、「フラットな」緯糸は、もつれ/捩れ/カールなどして、「フラットな」ヤーンに内在する固有の張力変動に起因して直ちに変形することによって織製を困難とし、その結果として「フラットな」ヤーンを平坦にかつ捩れずに組み込むことができなくなる。また、このような緯糸の長さは一定であり、経糸シートの幅と多かれ少なかれ等しくなる。したがって、経糸長さは、そのときに製造される布地の幅とほぼ等しくなる。
【0076】
(f)グリッパーによって保持されて「フラットな」緯糸ヤーンとして杼口に引き込まれるとき、90˚の角度でその方向を変更するべく「フラットな」経糸のために案内ピン/フィンガーが具備されているが、グリッパーがこれを杼口内に引き込むのでピンの周りで屈曲して、「フラットな」緯糸ヤーン(12欄、49〜52行にも示されている)にさらに捩れ/変形を引き起こす。ヤーンの一部が前の「供給」方向/配向(経糸として、緯糸の挿入方向に対して90˚である)に把持されたままになり、その残りの部分は、「杼口に引き込む」方向/配向に90˚曲げられることになるので、「フラットな」ヤーン緯糸もまた、グリッパー自身によって変形させられる。案内ピン/フィンガーを用いることに起因するこの問題を解決するには、その中でも提案されているが(「フィンガーを舌片に組み合わせる;12欄、53〜57行」)、それも実施不能である。提供される代替装置によって、「フラットな」緯糸ヤーンの前側における自由セグメントは、90˚の角度でその方向を変更するために、舌片によってピンの周りに巻かれる必要がある。「フラットな」緯糸のこの自由なセグメントが既に緯糸グリッパーにより保持されている場合、最早ピンの周りを包む/くるむ(横糸グリッパーから)ために自由ではないため、これをピンの周りで巻き付けを遂行することが不可能となる。自由なセグメントがグリッパーによって保持されていない場合、舌片がピンの周りで(90˚方向を変えるために)「フラットな」緯糸ヤーンを包んだ後、緯糸グリッパーは、「フラットな」緯糸の自由セグメントを受けて把持することができない。何故ならば、自由セグメントの向きは、もう以前のようにもはや緯糸グリッパーに対して直角にならないからである。また、ピンの周りに巻かれたときの「フラットな」緯糸ヤーンの自由セグメントを把持する位置は、グリッパーがこれに係合することができるときには、その前の真っ直ぐな(つまり包まれていない)位置からシフトする。その結果、グリッパーは、90˚曲がった姿勢で「フラットな」緯糸ヤーンの包まれた自由セグメントに係合することができず、製織を行うことができなくなる。さらに、「舌片」の包み動作は、「フラットな」緯糸ヤーンの損傷およびの変形の原因となる。
【0077】
(g)「フラットな」緯糸ヤーンを筬打ちするための既述の構成は、そこに記載されているように、開口バーに垂直に固定された「櫛」の組み合わせである。しかし、この構成は従来の往復動作で筬打ちを実行するので、挿入された「フラットな」緯糸ヤーンが織り前位置に向かって打たれる。このようなおさ打動作は、瞬時に横じわと緯糸テープの狭窄を引き起こし、従ってこれを損傷/変形させてしまう原因となるので、特にSFTとHDPTタイプのような脆い/繊細な緯糸テープを処理することはできない。明らかに、ここに記載した織製方法は、SFTとHDPTタイプを含むテープを取り扱うことはできない。
【0078】
(h)「フラットな」緯糸ヤーンが、プレカットされた「フラットな」経糸として既に存在するので、製造された織端は「タックイン」型である。しかし、「フラットな」緯糸の折り込まれた/タックインされた長さは、織端内側の僅かな距離であって、これにより、より多くの繊維が、製造された布地の残りの部分/本体よりも織端側に組み込まれるので、このような織端は織製材料に不均一な繊維分布を作り出してしまう。このような不均一な繊維分布は、容易に低い横糸/緯糸密度に結び付いて、これにより製造された織製布地に開口/隙間ができる。また、経糸と緯糸が同じ材料であるため、通常の織製時にタックイン織端を製造する際には慣行であるように、より高い緯糸パッキングを達成することを補償するために、織端で相対的に低い「フラットな」ヤーン番手を組み込む可能性はない。タックイン織端は、ヤーン/トウ/ロービング/「フラットな」/「テープ」ヤーンなどを使用して、それをそれ自体の隣接するものに折り畳むことで形成可能であるが、織端を作成するためのものと同じようにテープをそれ自体に折り畳むためには採用することができない。そうすることで、テープを皺にし/変形し、また織端を二倍に厚くしてしまう。
【0079】
(i)記載した巻取り装置は、最初に、製造されたばかりの織製布地を、置かれた「フラットな」ヤーン緯糸の幅方向に前進させ、次に、角度方向に布地を巻き、織り前へと続くが、前進/布地の長さ方向に直接ではない。明らかに、織り前に対して角度を成して実施される布地巻取りは、布地巻取りを非整合とし/オフセットし、したがって、製造された布地に作用する非平衡な力により、必然的に、製造された織製布地の構造上の変形を引き起こす。この欠点を克服するために、布地の長さ方向に余分なヤーンが組み込まれ、布地を巻き取るために、製造された布地をその長さ方向に強化する。しかし、このように余分なヤーンを含ませることは、布地に不均一な厚さを作り出してしまう。長手方向ヤーンが他の領域と比較してどこに伸びていようが、このような織製布地は比較的厚くなってしまう。さらに、これらの余分なヤーンを含ませることは、また直ちに、布地内で不均一な繊維分布を引き起こす。このようなヤーンが組み込まれる布地の領域は、このようなヤーンが含まれていない他の領域よりも高い繊維濃度を有することになる。これらの欠陥を有するバイアス材料は、技術的適用のために明らかに不適当であり、望ましくない。
【0080】
(j)記載された方法は、布地の幅方向に余分なヤーンを組み込むことはできず、これにより記載されたバイアス材料の機械的特性は、布地の幅方向と布地の長さ方向で異なるものとなる。このようにアンバランスな構造も望ましくない。
【0081】
明らかに、記載された、改良された織製プロセスでは、テープを使用してバイアス布地を製造することができない。また、このような改良された製織構成ではテープを取り扱うこともできず、また、バイアス材料に二次的な健全性/安定性を付与するためのいかなる手段も備えておらず、任意の機能を工作するためのいかなる手段も具備していない。したがって、それらを用いて製造された織製材料は、構造的な開口や隙間を阻止するための二次的な構造的健全性/安定性を有する構成ではなく、いかなる機能的な特徴も有していない。さらに、そこに記載されている織製布地は、「フラットな」ヤーンを用いて製造されるため、クリンプ頻度とクリンプ角度は、このような布地では比較的高いものとなる。結果的に、織りクリンプのくぼみにおけるマトリックスの蓄積は、前述したように望ましくない死重の問題を生じさせる。さらに、記載された「フラットな」ヤーンを用いて製造された布地は、より低い目付であることも、より小さい平均布地厚であることもできない。また、記載された作動上の構成および手順は複雑で煩雑であり、SFTとHDPTを含むいかなるタイプのテープの加工にも、明らかに適していない。
【0082】
いずれの場合においても、明らかに従来の織製の手順を踏襲している記載の方法は、織製工程中に互いに直角に相互配向されるただ一つの材料タイプの「フラットな」ヤーン経糸と緯糸を用いて織物材料を製造することができる。このような方法は、経糸と緯糸「フラットな」ヤーンが鈍角または鋭角関係のいずれかで相互に配向されるバイアス材料を直接製造するためには、実際には使用することができないという点で制限される。同様に、このようなプロセスは、本明細書に記載するように、折り畳まれたテープのような他の可能な構造を作り出すこともできない。
【0083】
米国特許第6494235号に記載された「フラットな」ヤーンは捩れがないと言われているが、このヤーンは、繊維の不均一な分布と張力変動を引き起こす繊維内部の縦横交差および繊維の捩れが必ずしもない訳ではない。これらの欠陥は、「フラットな」ヤーンの厚さを不均一にする。また、「フラットな」ヤーンを使用すると、増大され且つより迅速な湿潤のために十分に分散され、露出した繊維を、相対的に多数提供することができない。
【0084】
上記の米国特許第6494235号に記載された布地は、SFTとHDPTを含むテープではなく、「フラットな」ヤーンを使用していることが、一方向の複数枚のシートを含む多軸繊維ウェブが開示されている米国特許第6585842号(同一出願人に帰属し、本発明者の一人によるもの)からも明らかとなる。米国特許第6585842号に記載の織物材料は、トウを広げて一方向性シートを形成することにより製造される。前記シートは、次に、織物材料を得るために、互いに異なる向きに重ね合わせて一緒に接合される。トウを広げ、それらを異なる方向に重ね合わせて置くための、そこ記載された方法は、特にスプレッド繊維を取り扱うために設計されており、米国特許第6494235号に記載されたものとは明らかに異なっている。明らかに、米国特許第6494235号に記載された「フラットな」ヤーンは、SFTおよびHDPTタイプなどのテープではない。それ故、米国特許第6494235号に記載された織製方法および手段は、SFTとHDPTタイプを含むテープの取り扱いおよび処理には適していないこと、記載されたバイアス材料は、「フラットな」ヤーンを用いて製造されるものであって、SFTとHDPTタイプを含むテープを用いて製造されるものではないことは当業者にとって明らかであろう。
【0085】
ここで、米国特許第6585842号による布地がクリンプレスであり、例えば、絡み合わせ(織製によって)、輪の繋ぎ合わせ(編製によって)および撚り合わせ(組紐打ちによって)から由来する自然な一次構造上健全性/安定性を欠いていることを指摘することは関連性がある。自然な一次構造上健全性/安定性を欠いているバイアス布地は、剥離する(すなわち層が分離する)。二次構造上健全性/安定性の欠如は、力が布地上に作用したとき、布地の変形/歪み(すなわち開口や隙間)を発生させることになる。
【0086】
明らかに、SFTとHDPTタイプおよびその組み合わせ型を含むテープを含むOFTは、以前に知られていなかった。また、SFTとHDPTタイプを含むテープを使用してOFTを製造するための方法および手段も、以前は知られていなかった。
【0087】
米国特許第3426804号、米国特許出願公開第2005/0274426号は、バイアス布地を製造するために利用可能な方法を示す他の例である。これらの方法は、SFTとHDPTタイプを含むテープを処理できないことは、当業者にとってあまりにも明白であり、したがって、これ以上の検討を必要しない。
【0088】
米国特許第6450208号および国際公開第WO2006/075961号には、テープ状の経糸と緯糸を織るための方法が例示されている。米国特許第6450208号による織製材料は、サンドイッチ状やその他の特殊な構造のテープを含むものである。国際公開第WO2006/075961号に記載の織製材料は、部分的に安定化されたテープを含むものである。SFTまたはHDPTのいずれかを含み、二次構造的健全性/安定性を有する織製材料は、これらの文献からは知られていない。これらの文献によると、織製布地は、布地の長さ方向と幅方向に配向されたテープを含む。また、国際公開第WO2006/075961号には、緯糸テープが、布地の長さ方向に配向されて伸びる経糸テープに対して斜めに配向されている布地構造が開示されている。この布地構造を、バイアス布地やOFTであると勘違いしてはいけない。なぜなら、この布地構造は、対応して反対側のバイアス緯糸方向に配向されたいかなる繊維も有しておらず、結果として、このような布地は、前記バイアス方向に関していかなる負荷/力にも耐えることができないからである。これらの文献からは、OFTを製造するための方法および手段も、あるいはOFTも知られていない。これらの織製布地は、それぞれの布地の長さ方向と幅方向に配向したテープ状の経糸と緯糸をからなるので、このような織製布地の通常の取り扱いは、織製布地がその長手方向と横方向の負荷/力に耐えることができるため、困難を呈さない。従って、このような織製材料は、開口/隙間の進行に抗するために、その内部にいかなる二次構造的健全性/安定性も必要としない。
【0089】
本発明に従ったOFT形成プロセスの原則を技術的に正しい根拠に準拠させるためには、本発明の方法が技術的に織製と組紐打ちプロセスに不適合であると考えられるので、ここで織製と組紐打ちプロセスの幾つかの関連局面、およびそれらにより製造可能な布地構造の関連特性の側面を検討することも重要である。
【0090】
2D−製織プロセスは、二つに明確に定義されたヤーン/テープのセット、即ち、経糸(織物長さ方向に配向された)および緯糸(織物幅方向に配向された)を使用して織り交ざった材料を製造するために設計されている。その基本的な操作は、経糸と緯糸を互いに直交関係に織り交ぜるため、緯糸挿入が後に続く開口動作である。経糸は布地長さ方向に平行に現れる一方、緯糸は経糸と90˚の角度方向に現れる。開口操作は杼口を形成するが、これは経糸を使用して形成されたトンネルのようなものである。杼口の2つの開口平面は、製造されている布地の織端の両側に位置しており、これら開口の平面は、織り前に多かれ少なかれ垂直に配向されている。開口の方向に軸方向に見て、杼口は、採用される杼口の要素的および幾何学的な仕様に応じて、通常は平行四辺形/ひし形、または三角形に近似している。かくして、杼口の開口は、閉じた幾何学図形によって常時画成される。
【0091】
杼口の長さは、製造される布地の筬幅にほぼ等しい。さらに、杼口の開口は織端側にあるので、緯糸挿入は、必ず側部開口を使用して実行されなければならない。かくして、緯糸は、その長さ方向に配向されて、杼口の一方の開口から反対の開口へ向けて徐々に挿入される。緯糸の全長が、杼口に一度に置かれることはない。緯糸挿入に続いて、筬が緯糸を織り前位置に筬打ちする。当然のこととして、緯糸挿入と筬打ちは、二つの異なる動作であり、従って、これらの動作を遂行するためには異なる手段(前者はシャトルやレピアやプロジェクタイルまたは加圧流体のいずれかを必要とする一方、後者は筬が必要である)を必要とする。製造された織製材料の巻取りは、緯糸ヤーンの「直径」あるいは緯糸テープの幅に対応し、かくして、布地は緯糸の幅方向に不変的に進行する一方、経糸は、その長さ方向に引き出される。最後に、製織は、特定の長さの経糸供給のおかげで、織り交ぜられた材料を限定された長さで製造するように設計されている。したがって、一度経糸の供給された長さが織り込まれると、経糸の新しい一揃いが、前のもの(布地内でジョイントを生成する)に接合されるか再び新たにセットアップされる必要がある。いずれの場合においても、製織プロセスは、エンドレスの織製布地を製造することは技術的に不可能である。さらに、任意の時点で製造される織製材料の本体は、矩形(2つの長さ辺と2つの幅辺)で表されるような四角のものである。
【0092】
平組紐打ちプロセスは、製織プロセスと比較すると、一組のヤーン−組紐打ちヤーンを使用して、絡み合った材料を製造するために設計されている。その基本的な操作は、無限の経路にヤーンスプールを移動させ、それらの経路が、組紐の長さ方向に対して角度をもってヤーンを絡めるように互いに交差させるようになっている。このような作業を通じて、そして面ヤーン密度の観点から許容される組紐品質を得るために、組紐プロセスは、自然に収束レイアウト(スプール/パッケージ側の面ヤーン密度は、布地形成領域におけるよりも相対的に低い)を有する。さらに、組紐打ちプロセスは、本質的に組紐打ちヤーンが互いに一定の張力と一定の摩耗下に置かれる必要がある。組紐打ちヤーンの間このような磨耗作用は、その増加した近接/密度のために、互いに激しく接触する傾向がある特に布地形成領域では、組紐打ちヤーンはかなり破損するので、特に脆い繊維のタイプには有害である。
【0093】
このような収束レイアウトに係るもう一つの欠点は、組紐打ちプロセスは、フラットであろうと回転式のものであろうと、本質的に、変形(もみくちゃ、しわしわ、褶曲、襞など)を引き起こすことなくテープを扱うことができないことである。かくして、組紐打ちプロセスは、製織に比べると、その処理能力において比較的限られている。さらに、所定の組紐角度に関して、筬打ち動作が関与していないので(製織時のような)、組紐打ちプロセスは、ある点を超えて布地内でヤーンの比較的タイトなパッキングを可能にすることができない。平打ち組紐のすべての構成ヤーンは、互いに絡み合い、組紐長さ方向に一方の縁から反対側に連続して伸びながら自己ロックされた縁を形成する。しかし、この操作は、テープでは、それらにしわや変形をもたらさずに行うことは不可能である。組紐は、比較的幅広のである通常の織製材料に比べて、比較的狭い布地である。組紐のこのような狭さは、組紐打ちプロセス設計の自然な限界によるものである。全ての組紐打ちヤーンは、布地の先頭部から後端部まで連続して延在する。明らかに組紐打ちプロセスは、特定の長さのスプールから供給される組紐打ちヤーンのおかげで、絡み合った材料を有限の長さで製造するように設計されている。このように、ヤーンの供給された長さが組紐打ちされると、組紐打ちヤーンの新しい一組が前の一組に接合され、組紐で結び目を作り出するか、あるいは新しい一組ものを作り出す必要がある。従って、組紐打ちプロセスでエンドレスの組紐材料を製造することは技術的に不可能である。ここで再び、任意の時点で製造される平打ち組紐材料の本体は、矩形(二つの長さ辺と二つの幅辺)で表されるような四角である。
【0094】
製織と組紐打ちプロセスについての上記の説明から、これらのプロセスではSFTやHDPTタイプを含むテープを用いてOFTを作り出すことができないことは明らかであろう。
【0095】
本発明のさらなる特徴および利点
提示された技術的特徴に照らして、SFTやHDPTおよびその組み合わせも含むOFTからなるテープを利用可能なものとすることが有益であろうことは明らかである。これによってOFT
は、他に関連する有益な性能や機能の中でも、布地の長さ(または幅)方向に対して逆の斜め2方向に最大の強度と、好ましくは方向性をもって配向された幾らかの二次構造上健全性/安定性を提供し、通常の取扱い/処理中の開口/隙間の形成に改善された耐性が付与され、よって工業的に意味があり価値のあるものとなる。
【0096】
本発明は、建物や他の類似する構造体の大きな表面、大規模な移動パラボラアンテナや迅速に展開可能な熱/化学/放射線などのシールドや衝撃緩和製品など軽量かつ強固な部品を製造するための複合材料を強化することができるOFTを利用可能とする。美観のためのOFTの使用はもう一つの目的である。一言で言えば、新規なOFT布地は、軽量化とバイアス方向の性能が必要となる分野であればどこでも、非常に有益なものとなる。当然のことであるが、炭素と重合体材料だけでなく、所定の用途の要件に合わせて、有機、無機、合成された、金属および天然繊維のような他の材料、およびこれらの組合せを含むOFTも検討することができる。新規なOFTは、例えば異なる布地材料で撚ることによって、単独で又は他の適当な布地と組み合わせて使用することができる。このようなOFTは、プライ間に、または外装で、あるいは組み合わせて生成することができる。
【0097】
バイアス布地は、織製材料(ここでは経糸と緯糸が、それぞれの方向の荷重に耐えることができる)と比較して、布地の長さ方向と幅方向の強度が本来的に不足している。しかし、提供されるOFTは、この固有の問題を解決し、簡単に構造的な開口/隙間を生じないで扱うことができる改良されたバイアス布地を有利に提供する。そのようなOFTは、余分なヤーンなどを含んでいない。また、このバイアス布地には、少なくとも一時的に、他の表面に付着する能力を付与することもできるため、所望の位置に維持しつつ、引き続き取り扱い作業を行うことができ、その構造的特性を破壊/損なわない。好ましい実施形態では、OFTの両面は、適切なテープを使用することにより、他の材料又は本体の表面に、少なくとも一時的に、接着できるようになっている。これは、例えば補強としてOFTが他の材料上に、またはその逆にOFT上に他の材料が、互いに特定の配向位置で置かれなければならない場合、有用なものとなる。OFTは、多くの異なるタイプの適用で使用することができる。例えば、迅速かつ一時的に適切な材料のOFTの一枚あるいはそれ以上シートを、車両/建物上に貼り合わせて、衝撃の影響を緩和するためにこれらを被覆し、車両や建物(即ち、その乗員や居住者)を保護するために、非常に有用であろう。これは、OFTの接着性を他の表面に付与することにより促進されるが、それにはOFT自体に直接的に接着剤配合物を好適に含ませる(例えば、適切なテープを使用する)ことにより達成することができ、このようなOFTは、圧力や化学反応(水の添加を含む)または熱あるいはそれらの適切な組み合わせによって活性化することができる。
【0098】
また、OFTには、必要なときにOFTを他の表面に支持/取り付けるために、適当な帯状体がそれらを通過できるように、スリットを設けることも好ましい。スリットを組み込みむことで、独自にOFTを機能的にする。
【0099】
さらに、OFTには、例えば、アンローリングやプレプレギングのような後続の処理の間、信頼性と耐久性の高いOFTの案内と取り扱いのために、一つの完全封止された長手方向縁、あるいは一部が封止された長手方向両縁を備えることもできる。
【0100】
新規なOFTおよびその独自な製造方法並びに製造手段の好ましい実施形態を、以下の図面を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0101】
図1a-j】図1a-jは、OFTを製造するための方法における開始段階のステップを示す。
図2a-j】図2a-jは、OFTを製造するための方法における継続段階のステップを示す。
図3図3は、OFTの構造を例示する。
図4図4は、OFTを製造するための好ましい装置の本質的構成要素のレイアウトを示す。
図5a-b】図5a-bは、OFT製造装置の作業ベッドを例示する。
図6図6は、ベッドの両側のどちらかにおけるテープ供給スプールの構成を例示する。
図7a-d】図7a-dは、作業ベッドに対してテープ供給スプールを配置する様々な可能性を例示する。
図8図8は、テープホルダーとテープカッターの配置を例示する。
図9a-b】図9a-bは、テープを切断する様々な手法を例示する。
図10a-b】図10a-bは、スプールからテープを引き出すための装置を例示する。
図11図11は、テープグリッパーの主要な構成要素と取り付け構造を例示する。
図12a-b】図12a-bは、対応するテープ切断の手法に合致するようにグリッパーを固定する様々な様式を例示する。
図13図13は、テープ保持および敷設ユニットを例示する。
図14a-f】図14a-fは、置かれたテープの前端を変位させるための様々な構成に関連する詳細を例示する。
図15a-k】図15a-kは、製造されたOFTを一体化するための構成と、方向性をもって配向された一体化のいくつかの例を示す。
図16a-b】図16a-bは、巻取りのためOFTの前進を支援するための構成を例示する。
図17a-c】図17a-cは、三つの異なるOFTタイプを例示するが、この図において、テープは、布地の長さ(または幅)方向に関して二つの均等で逆の斜め方向に配向されており、テープによって相互に範囲を定められた角度は、それぞれ鋭角、直角および鈍角である。
図18a-b】図18a-bは、OFTを前進させ、収集/巻き取るための装置を例示する。
図19図19は、OFTを例示するが、この図において、テープは、布地の長さ(または幅)方向に関して二つの不均等で逆の斜め方向に配向されており、テープによって相互に範囲を定められた角度は、鈍角である。
図20a-e】図20a-eは、OFTを製造するためにテープを折り畳むための手順を例示するが、この図において、折り畳まれたテープは、一つの連続して閉じた長手方向縁を持つOFTを製造するために、布地の長さ(または幅)方向に関して二つの均等で逆の斜め方向に配向されている。
図21a-c】図21a-cは、一つの連続して閉じた長手方向縁を持つOFTの製造工程を例示する。
図22図22は、長手方向に配向されたスリットが、OFTの長手方向軸に沿って設けられているOFTを例示する。
図23a-e】図23a-eは、OFTの長手方向軸に沿った長手方向に配向されたスリットを有するOFTを得るための製造工程の例示する。
図24図24は、長手方向に配向されたスリットが、OFTの長手方向軸からオフセットして設けられているOFTを例示する。
図25図25は、横方向に配向されたスリットが、OFTの長手方向軸に沿って設けられているOFTを例示する。
図26a-j】図26a-jは、OFTの長手方向軸に沿って横方向に配向されたスリットを有するOFTを得るための製造工程を例示する。
図27a-e】図27a-eは、スリットを介して追加のバンド/テープを組み込むために、長手方向および横方向に配向されたスリット、並びに様々な代替のスリットを持つOFTを例示する。
図28a-c】図28a-cは、両方の長手方向縁が部分的に閉じられ、部分的に開いているOFTの三つの異なるタイプを例示する。
図29a-k】図29a-kは、両方の長手方向縁が部分的に閉じられ、部分的に開いているOFTを得るための1サイクルにおける製造工程を例示する。
図30a-c】図30a-cは、ある種の部品が隣接する位置にあって、鋭角、直角および鈍角の特定領域OFTを製造するための代替的な構成の平面図を例示する。
図31a-c】図31a-cは、特定領域鋭角OFTを得るための製造工程を例示する。
図32a-f】図32a-fは、特定領域OFT材料を代替的な方法で製造するための代替的な構成および対応する製造工程の平面図を例示する。
図33a-b】図33a-bは、テープ敷設ユニットが水平面内で旋回する代替的なOFT製造方法の平面図を例示する。
図34a-b】図34a-bは、テープ敷設ユニットが垂直面内で旋回する代替的なOFT製造方法の平面図を例示する。
図35a-b】図35a-bは、置かれた「テープ」の前端を角度変位させるための代替的な構成を例示する。
図36図36は、製造されたOFTを前方に進めるための代替的な構成を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0102】
OFTを製造するための方法および手段、同様にその製造可能なOFT構造に関する本発明の実施形態を、以下に説明する。しかしながら、種々の実施形態における特徴は、何か他のものが具体的に示されない限り、実施形態間で代替可能であり、様々な方法で組み合わせることができることを理解されたい。なお、明瞭化のために、図面に示される特定の構成要素の寸法は、本発明を実際に実施する場合の対応する寸法とは異なる可能性があることにも留意されたい。
【0103】
製造方法
SFTとHDPTを含む、OFTを含むテープの本発明による製造は、開始段階と継続段階が含まれる。開始段階に含まれる様々なステップは、最初に図1aから1jを参照しながら、そして継続段階に関わる様々なステップは、図2aから2jを参照しながら説明する。これらの図は、平面図であり、OFT製造の一形態を表している。
【0104】
開始段階
開始段階は、好ましくは以下のステップを含む:
(1)図1aに示すように、2つのテープ供給スプール(1a、1b)を、作業ベッド(2)の各側で、それらの軸間を規定の角度として位置決めする。
(2)図1bに示すように、スプール(1a)からベッド(2)に向けてテープ(3a)の指定された長さを引き出す。
(3)図1cに示すように、その供給スプール(1a)からテープ(3a)を切断する。
(4)図1dに示すように、切断テープ(3a)を作業ベッド(2)上に置く。
(5)図1eに示すように、スプール(1b)から作業ベッド(2)に向けてテープ(3b)の指定された長さを引き出す。
(6)図1fに示すように、その供給スプール(1b)からテープ(3b)を切断する。
(7)図1gに示すように、切断テープ(3b)を、作業ベッド(2)上のテープ(3a)の上から置く。
(8)図1hに示すように、スプール(1a)から作業ベッド(2)に向けてテープ(3a)の指定された長さを引き出す。
(9)図1iに示すように、その供給スプール(1a)からテープ(3a)を切断する。
(10)図1jに示すように、切断テープ(3a)を、テープ(3b)の上から、且つ作業ベッド(2)上に以前に置かれたテープ(3a)に隣接して平行に置き、生成された一次構造的完全性/安定性を適切な二次構造的健全性/安定性と一体化する。
【0105】
継続段階
図2aに示すように、継続段階の開始点は、最初の三つのテープが開始段階に記載の手順に従って置かれた後である。継続段階には、次の手順が含まれる。
(1)図2bに示すように、テープの前端(3a)を、その厚さ方向に移動させ、隣接するテープの移動されない前端に対して前面開口を形成する。
(2)図2cに示すように、スプール(1b)から作業ベッド(2)に向かってテープ(3b)の指定された長さを引き出す。
(3)図2dに示すように、その供給スプール(1b)からテープ(3b)を切断する。
(4)図2eに示すように、生成された前面開口の中、即ち、テープ(3a)の上で且つテープ(3a)の持ち上げられた前端の下に、テープ(3b)を置き、これを以前に置かれたテープ(3b)と隣接して平行に置き、テープ(3a)の持ち上げられた前端を元へ戻す。
(5)図2fに示すように、テープ(3b)の前端をその厚さ方向に移動させ、隣接するテープの変位されない前端に対して前面開口を形成する。
【0106】
(6)図2gに示すように、スプール(1a)から作業ベッド(2)に向かってからテープ(3a)の指定された長さを引き出す。
(7)図2hに示すように、その供給スプール(1a)からテープ(3a)を切断する。
(8)図2iに示すように、生成された前面開口の中、即ち、テープ(3b)の上で且つテープ(3b)の持ち上げられた前端の下にテープ(3b)を置き、これを以前に置かれたテープ(3a)と隣接して平行に置き、テープ(3b)の持ち上げられた前端を元へ戻す。
(9)一次構造的健全性/安定性を、適切な二次構造的健全性/安定性と一体化する。
(10)図2jに示すように、OFTを連続的に製造するため、置かれた好ましいテープの前端を、前もって決めたパターン順序でその厚さ方向に移動させ、隣接する変位されないテープに対して前面開口を形成し、切断テープ(3a)および(3b)を、生成された前面開口の中に、対応する方向から、以前に置かれたテープと隣接して平行に置き、対応するテープの持ち上げられた前端を元へ戻し、生成された一次構造的健全性/安定性を、好適な二次構造的健全性/安定性と一体化することで、継続段階の手順1−9をエンドレスに繰り返す。
【0107】
上記には列記されていないものの、開口/隙間の形成に抗するために、生成された構造を一体化するための手順と、製造されたOFTをロール状に巻き取るためにこれを前方に進める工程は、後述するように、プロセスの実用的な継続性を達成するべく適切な時点で遂行されることになる。OFTは、概略的に図3に示される。
【0108】
列記された手順は、一般的なガイダンスのためのものであり、必ずしも示された順序で実行する必要はない。例えば、開始段階は、代わりにテープ(3b)を引き出すことから始めることができる。また、実用的な効率を達成するために、新規なプロセスの記載されたステップにバリエーションを導入することができる。例えば、スプールからテープが引き出されている間に、置かれたテープの前端を変位させることができ、あるいは両方のスプールからのテープを同時に途中まで引き出すこともでき、あるいはロールなどに巻くため製造されたOFTが前方に進められている時に、引き出されたテープの切断を実行することもできる。
【0109】
代替的に、開始段階では、同じ斜め方向の2つのテープを最初に隣接して置くことができる。そして、前端の一つを、他の斜め方向のテープを受け取るために、前端が持ち上げられていない他のテープと協同して、その厚み方向に変位させて前面開口を生成することも可能である。この時点から、記載された継続段階が、既述の如く、最初に置かれた他の斜め方向の2つのテープの好ましい前端を変位させることにより、好適に始まる。
【0110】
方法についての前述の説明から、次の重要な新規性を即座に認めることができる:
(1)プロセスは、作業スプール(これは材料、タイプ、特性などが同一または異なるものいずれかであってもよい)のような本質的に2つのテープ供給源を使用する。
(2)プロセスは、織製や組紐打ちに関連する材料の伝統的なセットアップを伴わない。
(3)プロセスは、エンドレスである。即ち、プロセスは、スプールのようなテープの2つの供給源が自動または手動で補充される限り、新たなセットアップを新たに開始するために技術的に停止する必要がない。その代わりに、切断テープの長さは、連続的にマガジンに格納され、引き出され/供給されることができる。
【0111】
(4)プロセスは、織製工程の手順に従うことがない。何故なら:
(a)1つは経糸用で1つは緯糸用の2つだけの供給スプールを使用して織製を実行することは不可能である。
(b)経糸と緯糸の規定された一組がない。
(c)その厚み方向に変位させられる置かれたテープの前端は、布地のそれぞれ2つの長手方向縁に沿って現れ、これにより2つの長手方向縁の間に杼口が形成されない。
(d)規定された閉じた形状で生成されたいかなる杼口も存在せず、杼口の一方の開放側から反対の開放側に向けての横糸挿入が行われない。
(e)置かれたテープは緊張がなく、OFTの製造中に緊張状態に維持する必要がない。
(f)開始と継続の2つの製造段階がある。
【0112】
(5)プロセスは、組紐打ち工程の手順に従うことがない。何故なら:
(a)2つの固定されたスプールを使用して組紐打ちを実行することは不可能である。(2つの移動スプールを使用することによって、出されたテープは、絡み合うことなく、互いに捩れるのみとなる。)
(b)2つのスプールは、静止したままであり、いかなる無限軌道でも横切られることがない。
(c)テープは、互いに絶えず摩耗する状態にはない。
(d)テープは、布地端部間を連続的に延びてはいない。
(e)置かれたテープは緊張がなく、OFTの製造中に緊張状態に維持される必要がない。
(f)開始と継続の2つの製造段階がある。
【0113】
(6)プロセスは、開口/隙間や変形の形成に対する耐性向上のために、一次構造的健全性/安定性を好適な二次構造的健全性/安定性と一体化することを含む。
(7)製造されたOFTは、巻き取るため、テープの幅ではなくOFTの菱形パターンの長手方向対角線によって決められる距離だけ前方に進まされる。OFTは、巻き取るため、構成テープの幅方向には前進されない。
(8)プロセスは、異なる材料、タイプ、特性などのテープを随意に組み合わせることができる。
(9)プロセスは、テープをOFTに加工するための条件として、一定の張力で維持される必要がない。
【0114】
(10)プロセスは、置かれている一方向のテープを、製造されたOFTの本体から生じる他の方向の前に置かれたテープに一部関連付け、このテープの残りの部分は、その後に置かれる他の方向のテープに関連付けることなく置かれる。
(11)OFTを製造するために必要な各テープの長さは、布地幅とテープのOFTへの組込み角度と間の明確な関係によって支配される。
(12)プロセスは、OFTを製造する間、必要なテープのそれぞれの全長を一度に直接置き、置かれたこのようなテープは、OFTにおいて張力無しの状態で存在する。
【0115】
記載されたプロセスは、新規な織物材料を製造するために、水平方向の方式で行われることが好ましい。しかしながら、スペース上の制限がある場合は、記載された方法の精神から逸脱することなく、適切な手段を用いて傾斜方式又は垂直方式のいずれかでOFTを製造することができる。
【0116】
製織および組紐打ちの作業者にとって、記載したプロセスが、製織あるいは組紐打ちのプロセスで確立された原則や手法や操作に技術的に準拠していないことは十分に明らかであろう。また、ここに記載の新規な方法は、技術的な観点から、同時に製織および組紐打ちプロセスではない。これはまた、何ら技術的に製織および組紐打ちプロセスの両方を部分的に組み合わせたものでもない。技術的に製織および組紐打ちでもない記載された新規なプロセスは、それ自体がこのプロセスの新規性である。製織や組紐打ちプロセスと比較して、説明したプロセスの簡素さは、プロセスを、より実践的に適切かつ工業的に魅力なものとする。したがって、OFTを製造するために、新規な布地形成原理で動作する、好適な実用的装置を次に提示する。
【0117】
製造装置
SFTタイプおよびHDPTタイプおよび他のテープの種類および組み合わせを含むテープを用いたOFTを製造するための新規の実行可能な装置の好ましい実施形態が、図4を参照しながら説明される。図4は、全体の平面図である。
【0118】
OFTを製造するための新規な装置の本質的で異なる構成要素の相対位置が、図4に示される。この装置は、以下の構成を備える。
1.織物の形成物を支持するための構成(11)
2.テープを供給するための構成(12)
3.テープを切断するための構成(13)
4.テープをスプールから引き出すための構成(14)
5.切断されたテープを置くための構成(15)
6.置かれたテープの前端を変位させるための構成(16)
7.製造された材料を一体化するための構成(17)
8.製造された材料を前方に進めるための構成(18)
9.製造された材料をロールに集めるための構成(19)
【0119】
この装置のこれらの示された構成およびその特徴はそれぞれ、以下に個別に説明する。
1.織物の形成物を支持するための構成(11)
図4に示されるように、織物の形成物を支持するための構成(11)は、OFTの製造の中心である。図5aでは、例として、この構成(11)の基本的な構成要素が示されている。構成(11)は、一部が固定式であり(11a)、一端側に指状の突出部(11b)を備えた作業ベッド(11)を備えている。ベッド(11)は、図5bに示される可動式のベッド/プレート(11f)を支持している。プレート(11f)もまた、図5bに示されるように整合フィンガー(11g)を備えている。プレート(11f)は、OFTの前進動作を可能にして巻き取るために、ベッド(11a)の長手方向に、ベッド(11a)に対して往復できる。構成(11)はしたがって、固定部および可動部からなる。プレート(11f)の往復距離は、好適な駆動手段(図示せず)によって制御される。プレート(11f)が往復しなければならない距離は、OFTを製造するために用いられるテープの幅および構成(11)の長手方向に対するテープの配向の角度によって決まる。例えば、50ミリ幅のテープを用いる場合、プレート(11f)の往復距離は、テープの配向が60度の時は約100ミリ、テープの配向が45度の時は71ミリ、テープの配向が30度の時は58ミリとなる。認められるように、プレート(11f)の往復距離は常に、用いられるテープの幅よりも大きく、製造されたOFTが、ロールに巻くために前進しなければならない距離におおよそ対応している。したがって、構成(11)はまた、製造されたOFTを前方に進めて巻き取るのを補助する機能を果たす。
【0120】
固定式ベッド(11a)および可動式プレート(11f)はそれぞれ、フィンガー(11b)および(11g)もしくは類似の構成を備える。フィンガー(11b)およびフィンガー(11g)の高さは、好ましくは等しく、それにより、フィンガー(11b)およびフィンガー(11g)はともに、OFTがフィンガー(11b)およびフィンガー(11g)の上に製造されるための、均一な平面および連続した表面のブリッジを提供することができる。このように、OFTは、プレート(11f)の往復中その構成繊維が引っかかったり損傷したりもしくは引き抜かれることなく、プレート(11f)によって、摺動するように支持されることができる。あるいは、プレート(11f)のフィンガー(11g)の高さは、ベッド(11a)のフィンガー(11b)の高さよりも相対的に高くなり得る。OFTは、本質的に、固定式および可動式の構成部品からなる構成(11)のベッドの上に形成される。したがって、図5aおよび5bに示される構成(11)は、この新規なプロセスの織物の形成物の支持を構成している。構成(11)は二端を有し、それらは供給端(すなわちフィンガー(11b/11g)から最も遠い端部)および巻取り端(すなわちフィンガー(11b/11g)に最も近い端部)と見なしてもよい。
【0121】
プレート(11f)、フィンガー(11b)およびフィンガー(11g)の表面は、一平面上にあり、PTFEなどでコーティングするか、PTFEなどの好適なシートをその上に固定することによって得られる低摩擦性の表面であることが好ましい。後者の利点は、より容易でより早く、交換の費用がより少ないことである。含まれるその他すべての構成は物理的にこの構成(11)に関連し、この構成は、含まれるその他すべての構成を支持するよう、強固で安定していることが好ましい。ベッド(11a)は、必ずしも重い必要はなく、好適な軽量の複合材料を用いても製造され得る。ベッド(11a)およびプレート(11f)はまた、重さを減らすためだけではなく、真空圧力を用いることで可能になるような、それらの上に置かれたテープを取り外し可能に取り付けたままの状態にするために、有孔プレートを用いて作ることができる。このような構造は、構成(11)が、以下に示されるような特定の必要のために傾斜しているか垂直であることが好ましい場合に、本質的に有利になり得る。
【0122】
ベッド(11a)は、図5aおよび図5bに示されるように、水平に使用されるのが好ましい。ベッド(11a)のフロアからの高さは、作業者の便宜的要求によって、固定式もしくは昇降式にできる。製造フロアスペースの制限もしくは作業者のその他の特別な必要がある場合、ベッドは都合のよい傾斜に傾けられるか、もしくは(物理的にベッドに接続されるその他の構成とともに)垂直にさえ作られることができる。ベッド(11a)は、OFTの製造のためにベッドの上に2つの配向で斜めに置かれるテープの全体の長さを収めるのに好適な寸法を有する。構成(11)は、例えばOFTがフィンガー(11bおよび11g)の表面およびプレート(11aおよび11f)上を、巻き取られるために摺動して送り込まれる場合に、製造されたOFTの構成繊維が引っかかったり損傷したりするのを防ぐために、そのすべての縁が滑らかで円みがあるように組み立てられる。
【0123】
ベッド(11a)の2つの長手方向側部(11c)および(11d)には、構成(16)を支持するために、例えばネジ穴、凸部、凹部、スロット等の好適な装置(11e)が備えられており、それらの装置は、図5aに示されるように、置かれたテープの前端を変位させるのに好適である。これらの構成(16)は、後に説明されるが、作業上の理由でベッド(11a)の側面(11cおよび11d)に位置されることが好ましく、後に説明される。
【0124】
通常は、幅の違うOFTが製造されるのが好ましいため、幅が、好適に変更でき、また所望の製造の開始に先駆けて設定されるように作られたベッド(11a)およびプレート(11f)を有することは有利であると考えられる。そのようなベッドの幅の変更は、モジュール構造によって実現されることができる。例えば、ベッド(11a)およびプレート(11f)は、お互いに隣接して配置され、ベッド(11a)およびプレート(11f)の好ましい幅を得るため結合されることができるよう、異なる幅の好適な長手方向の部分に作られることができる。ベッド(11a)の幅を変更する可能性を有することの別の利点がある。例えば、作業者は、注意が必要とされる場合、製造中に容易に材料に接近することができる。広いベッドの上で製造される比較的狭い幅の材料は、明らかに届きにくい。いかなる場合も、後に明確になるが、構成(11)の合計作業幅は、ベッド(11a)と側面(11c)および(11d)に取り付けられた2つの構成(16)を合わせた幅となる。
【0125】
代替の構成には、コンベヤーベルトが使用されてもよく、それにより、好適な幅のコンベヤーベルトの上部が、OFTをその上で製造するために、ベッド(11a)および往復プレート(11f)の上で使用することができる。一方、コンベヤーベルトの下部は、ベッド(11a)の下を通過する。そのようなコンベヤーベルトは、一対の好適なロールによって回転することができ、ロールの一方はベッド(11a)の供給端に取り付けられ、そして他方はOFT巻取り端に取り付けられる。コンベヤーベルトを使用することの利点は、コンベヤーベルトは、好ましい増量もしくはステップで連続的に動かされることができる点である。しかしながら、コンベヤーベルトの主な欠点は、コンベヤーベルトは、その幅方向に(長いスパンにわたって)湾曲する傾向があり、それゆえコンベヤーベルトの表面が平面に保たれることが難しい点である。ベルトを均等に両側部の長手方向に引っ張られた状態にすることはまた困難であり、製造中にOFTを湾曲させる原因となり得る。
【0126】
別の代替の構成には、もし好ましいならば、ペーパーシート等が連続的に供給端から、大ロールから供給され、プレート(11f)およびその上で直接製造されるOFTの上を通過することができる。このように、供給された紙はまた、OFTがロールに巻かれる時、OFTの層の間のインターリーブ材としても直接的に機能することができる。この紙は、ポリマーフィルムおよびラミネート紙のような、他の材料と置き換えできる。
【0127】
2.テープを供給するための構成(12)
図4には、例として、新規なOTF材料を製造するためのテープを供給するのに好ましい、構成(12)の相対位置が示されている。図6に示されるように、2つのテープスプール(12a)および(12b)が、先に説明された構成(11)の側方に配置される各シャフト/ホルダー/チャック(12c)および(12d)に取り付けられる。これらの両スプールの軸はそれぞれ、構成(11)の2つの長手方向側部に対して斜めに保持される。図6に示されるスプール(12a)および(12b)の軸によって作られるこれらの両角度θは、均等または不均等であるが、OTFに組み込まれるべきテープの所望の傾斜に従って、逆の傾斜方向であることが好ましい。2つの軸のそれぞれは、スプールを取り付け、取り外しする便宜上、フロアから実際的に便利な高さに保持するのが好ましい。
【0128】
スプール(12a)および(12b)の軸は、図7aから図7dに例示されるように、構成(11)の頂面に対して異なる関係で保持されることができる。図7aから図7dには、説明のために、1つのスプールのみ示す。スプール軸Aの位置は、構成(11)の頂面の上(図7aおよび7b)、同じ高さ(図7c)、または下(図7d)のいずれかであり得る。そのようなスプールの位置決めの可能性は、出口案内ロール(12e)の位置を、構成(11)の表面に関して一定に保持することができるため、可能なのである。図7aおよび図7bに例示されるように、テープはスプール(12a)から、スプールの‘下’もしくは‘頂上’側部のいずれかから引き出すことができ、その間軸Aは構成(11)の頂面の上にとどまっている。図6に示されるように、スプールを構成(11)の横に配置する必要はない。構造的な理由およびフロアスペースの理由により、スプールは、構成(11)のベッドの上もしくは下のいずれかに配置できる。また、スプールの軸は、構成(11)の表面に対して平行もしくは斜めであり得る。そのようなスプールの位置決めの可能性によって、必要とされるスペースの制限、作業、および作業上の便宜性を考慮して、作業フロアの所要面積の節約および接近容易性が独自に提供される。いかなる場合も、推測できるように、スプール(12a)および(12b)からのみテープを引き出すことは必要ではない。特定の長さに切断されたテープはまた、好適なマガジンに蓄積し、OFTの連続した製造のために供給することができるためである。
【0129】
スプール(12a)および(12b)はそれぞれ、図6に示されるように、シャフト/チャック(12c)および(12d)に取り付けられ、好適なペデスタル(図示せず)に固定される。これらのペデスタルは、ベースプレートに固定されるか、もしくは構成(11)(図示せず)から延在し得る2つのアームに取り付けることができる。アームの内側端は構成(11)に接続でき、これらのアームの外側端は、ホルダー/チャック(12c)および(12d)を支持するためのペデスタルを支えることができる。アームは、スプール(12a)および(12b)が、必要に応じて、構成(11)から近くまたは遠くに容易に位置決めできるように、テレスコピック式であることが好ましい。ペデスタルは、スプール(12a)および(12b)の軸の角度が直接的に、そして容易に調節され、設定されるように、ペデステルがそれぞれ所望の位置に個別に旋回され、別々に係止されるような方法で、アームに取り付けることができる。あるいは、アームの内側端は、ギアのような、一方のアームの動きが他方のアームの対応する動きを生起する方法で、好適に接続することができる。アームを所望の位置に係止する手段は、好適に配置することができる。
【0130】
テープを構成(11)の方向に繰り出すためのスプール(12a)および(12b)の回転は、利用可能な従来の電気、機械、空気圧等のシステムによって制御できる。
【0131】
構成(12)の本質は上記したが、特別な必要およびオートメーションに関する特定の他の特徴は、次に考察する。
【0132】
時々、プレプレグおよびタッキーのような、特別なテープ材料を加工することが好まれる場合がある。そのようなテープは通常、スプールで巻きとられたテープの層がお互いに付着するのを防ぐフォイルとともに供給される。そのようなフォイルテープを扱うために、追加のペデスタルが、ベースプレートもしくはアーム(もしくはその延長部)に固定できる。それにより、スプール(12a)および(12b)によって繰り出された廃フォイルの集合を、動作スプールの近くにそれぞれ取り付けられた他のスプールの上に直接巻きとることができる。
【0133】
粉状の物質を含むテープを加工する場合、必要であれば、好適な吸引部を、粉末の連続した除去に適した位置に取り付けることができる。同様に、もし濡れたテープを加工する場合は、好適な乾燥ヒーター/送風機を適切な位置に取り付けることができる。
【0134】
オートメーションを可能にするために、スプールチェンジャーを組み込むことができる。例えば、ロボットアームが新しいスプールをマガジンからつかみ、各ペデスタルから突出しているシャフト/チャック(12c)および(12d)の上に取り付けことができる。別の方法は、作動するスプールが消耗しかけた場合、そのスプールをシャフト/チャック(12c)および(12d)が、直接受け取れる位置に移動できるマガジンの中に、スプールを方向性をもって配置することである。さらに別の方法は、ペデスタルに多方向に固定された例えば4つもしくは6つのシャフト/チャックを備えたペデスタルを有することである。ペデスタルを角度的に回転することにより、シャフト/チャックに取り付けられたスプールは、所望の動作位置に移動することができる。さらに、使い切ったスプールに新たなスプールを補給する別の方法は、追加のペデスタルに新たなスプールを装荷し、そして、回転し、動作位置まで移動することである。新たなスプールは、‘動作中もしくは活動中’のスプールが作動している間‘非動作中もしくは受動中’の位置において、ペデスタルのシャフト/チャックに前もって装荷することができる。作動するスプールが消耗したとき、追加のペデスタルが自動的に位置に移動することができる。どのタイプの自動化されたスプールチェンジャーを使用しても、どのテープ材料、タイプ、形状、性質等を用いてもOTFは製造することができる。また、そのような交換は、任意にそしてどのような順序でも達成でき、それにより、無限で多様なOTFが、容易にそして直接的に製造できる。
【0135】
あるいは、先に示したように、特定の長さに切断されたテープが、連続的にマガジンに蓄積され、構成(11)の上に置かれるために好適に提供され得る。
【0136】
3.テープを切断するための構成(13)
新規なOTFが特定の別々の長さのテープのみを用いて製造されるため、スプール(12a)および(12b)から引き出されるテープを切断するための装置を含むことが不可欠となる。図4には、例として、テープを切断するための構成(13)の相対位置が示される。したがって、図8に示されるように、例示された切断装置は、カッター(13a)および(13b)、そしてまたクランプ手段(13c)および(13d)を含む。これらの両カッター部は、好適に配置され、構成(11)の横に配置されるのが好ましい。さらに、カッター(13a)および(13b)は、出口ロール/バー(12e)の近傍に位置する。これらのカッターは、必要であれば往復できる。さらに、カッター(13a)および(13b)は、スプール(12a)および(12b)によって繰り出されるテープの長さ方向に対しての所望の斜め位置に回転/旋回および係止できるように取り付けられる。図9aに示されるように、テープの切断縁(13e)は、テープの長さ方向に対して90度である。図9bには、テープの長さ方向に対して傾斜した、テープの切断縁(13f)が示される。そのような傾斜した切り口は、OFTの対応する長手方向縁に沿って配向した、傾斜して置かれたテープの切断縁を有することが好ましい。
【0137】
このテープを切断するための構成(13)は、図8のように、カッター(13a)および(13b)に加えて、引き出されたテープの前端を(後続の操作のために)適切な位置で保持し、また、カッター(13a)および(13b)がテープを確実に切断するために、クランプ(13c)および(13d)も含む。これらのクランプ(13cおよび13d)はまた、カッター(13aおよび13b)と全く同じように、対応して回転/旋回することができ、また適切な位置に係止することができる。
【0138】
切断装置(13a)および(13b)は、接触タイプ(例えば機械式、加熱式)もしくは非接触タイプ(例えばレーザー式)のいずれかであることが好ましい。切断装置のタイプは、OFTの製造に使用されるタイプの材料の組成によって選択する。
【0139】
4.テープをスプールから引き出すための構成(14)
それぞれのスプールからテープを引き出す上で好適な、構成(14)の相対位置が、図4に示されている。本質的に、例えば動作スプール(12a)および(12b)といった、2つのテープ供給源が、OFTを製造する上で好適であるため、この構成(14)は、同時に動作する2部を備える。説明するために、一部の動作のみ、図10aおよび10bに例示される。
【0140】
図10aおよび10bに示されるように、この構成は、下記に説明するように、テープを把持/クランプするためのグリッパーブロック(14b)が上に固定される直線駆動部材(14a)を本質的に備える。テープグリッパー(14b)は、OFTを製造するためのスプール(12b)から引き出されるテープの長さを規定する、2つの所望の位置の間にある直線駆動部材(14a)によって、前後に動かすこと(すなわち往復運動)ができる。これらの2つの位置は、製造されるOFTの所定の幅について不変である。このように、グリッパー(14b)は、スプール(12b)から排出されるテープの前端を平坦な状態で把持し、直線状に引き出す。
【0141】
テープをスプールから引き出すために、図10aおよび10bに示されるように、グリッパーブロック(14b)は、一対のホルダー(13d)に向かって移動し、適切な場所に保持され、一対のホルダー(13d)によって提供されるテープのフリーな前端を受け取る。このとき、カッター(13b)は、移動するグリッパー(14b)の通路から離される。グリッパー(14b)が、提供されたテープの前端を保持した後、グリッパー(14b)は構成(11)の方向に向かって動かされ、それによって、テープはスプール(12b)から引き出される。グリッパー(14b)は、好適な電子機械式/空気圧式の駆動ユニット(14a)を介して往復される。テープは通常、OFTを製造するために、スプール(12a)および(12b)のような、2つの対向して配置された供給源から、各グリッパーによって交互に引き出される。
【0142】
引き出されたテープが、次に説明されるテープを置く構成によって、後続の処理のために通路に設置されるのを可能にするために、グリッパーブロック(14b)および一対のホルダー(13b)は、それらが従来の方式を介して昇降できる方法(図示せず)で取り付けられ、そしてそれにより、それらの間で保持される引き出されたテープを対応して昇降する。したがって、グリッパーブロック(14b)および一対のホルダー(13b)は、テープをスプールから引き出す際、比較的低い高さにあり、そして好適なテープ長さが引き出された後は、比較的高い高さにある。このように、引き出されたテープは、次に説明されるテープを置く構成(15)によって受け取られるために上昇する。あるいは、引き出されたテープをシフト/偏向させるだけのための構成は、テープを構成(15)の好適な把持通路に設置すると考えることができる。
【0143】
図11には、テープの前端を平坦な状態で把持するための構成が例示される。このユニットは本質的に、ベース部材(14c)およびクランプ部材(14e)を備え、それらはそれぞれグリッパーの上下リップを形成する。ベース部材(14c)は、スロット(14d)のような、プレート(14h)上の好適な位置にそれを設置し固定するための、好適な装置を有する。上部リップ(14e)は、その脚部(14f)を介して軸(14g)の周りを旋回し、利用可能な空気圧式、機械式、電子機械式等の装置のような好適なトリガー部材(図示せず)を介して脚部(14f)を適切な位置及び瞬間に好適に動かすことにより、下部リップ(14c)に関して、口部を開閉するために、動かすことができる。説明したグリッパーアセンブリ全体は、軸(14i)の周りを旋回できる方法で、駆動ブロック(14b)に固定される。
【0144】
下部リップ(14c)および上部リップ(14e)は、平坦な状態のテープ幅の範囲を受け取るのに十分な長さがある。このように、同じグリッパーを、テープ幅の広範囲に用いることができる。リップ(14c)および(14e)は、グリッパーの口部を形成し、テープをスプール(12a)および(12b)から引き出す際、テープを常に平坦な状態で保持する。下部リップ(14c)の頂面は、一対のホルダー(13d)(図10に示される)によって保持され提供されるテープのフリーな前端を容易におよび直接受け取ることができる高さに、好適に設置される。
【0145】
リップ(14c)および(14e)は、常に接近し、構成(11)の方向に、スプールからテープを協働して引き出す。このテープの引き出し方向は、それぞれの供給スプール軸に対して好ましくは90度である。したがって、各直線駆動ユニット(14)の長手方向側部は、構成(11)に対して、対応するスプール(12a)および(12b)から引き出されるテープと同じ角度を張る。
【0146】
説明したグリッパーの独自の特徴は、軸(14i)の周りの所望の位置に旋回でき、図12aおよび12b(図11に示される装置の平面図)に示されるように、好適な構成(図示せず)によって係止できることである。グリッパーアセンブリを旋回できることは、図12aに示されるように、直線状(θ1)に、すなわちテープ長さ方向に対して切断角度が90度に切断されるテープ、もしくは、図12bに示されるように、ある角度(θ2)で、すなわちテープ長さ方向に対して切断角度が90度以外で切断されるテープを受け取るのに有利である。そのような構成によって、テープの切断縁およびグリッパー基部(14c)とクランプ(14e)の前側部は平行に維持され、それにより、テープの切断側部の完全なグリッピングが確実になる。図12aおよび12bはまた、同じグリッパーが異なるテープ幅T1およびT2を把持する能力を表す。
【0147】
説明した、所定のOFTを製造するための構成(14)によって引き出されるテープの長さは常に、製造されるOFTの本体の幅よりも長いことが、ここで指摘されてもよい。
【0148】
5.テープを置くための構成(15)
図4では、上記した一対のユニット(14)によって好適な長さのテープが引き出された際、テープを構成(11)の上に置くのに好適な一対の構成(15)の相対位置が例示される。示されるように、2つの構成(15)のそれぞれは同一のものであり、構成(11)のどちらかの側部に配置され、OFTを製造するために、それぞれが、好ましくは交互に、引き出されたテープを置く。
【0149】
構成(15)の構造的な特徴は、図13に例示される。その前部は、2つの前方に延在するフィンガー(15c)および(15c´)を有するフォークもしくはヨーク(15a)状である。ステム(15b)は、フォーク(15a)の後側に延在する。ステム(15b)は、ユニット(15)が、好適な構成を介して案内されるような方法で直線的に往復できるような、摺動する態様で(図示せず)支持され、拘束される。あるいは、フォーク(15a)は、往復するのに好適な方法で、直線駆動源に直接接続することができる。さらに、ユニット(15)は、その配向を、テープをOFTに組み込む所望の角度に適合させるのに好適な位置(図示せず)に旋回でき、係止できる方法で取り付けられる。配向できることとは別に、ユニット(15)はまた、OFTへの組み込み角度によって用いられ得る、異なる長さのテープに一致する新たな位置にユニット(15)を移動させるための好適な構成(図示せず)を備える。構成(11)に置くための長さの異なるテープを保持するために、フォーク(15a)は、テレスコピックタイプであることが好ましい。伸ばしたテープを有する織物を製造する必要があれば、例えば空気圧式の装置によって、テープを伸ばすために延長/伸張する、テレスコピック式のヨークを作ることができる。
【0150】
図13に示されるように、フィンガー(15c)および(15c´)の下側には、クランププレート(15d)および(15d´)がそれぞれ存在する。これらのクランププレート(15d)および(15d´)は、アクチュエータ(15e)および(15e´)にそれぞれ好適な方法で連結しており、それにより、これらのプレートは、テープ幅の範囲を直接受け取り把持するために、それぞれのフィンガーに向かって(閉位置)もしくは離れて(開位置)、個別に引き出すことができる。この動作により、テープを、2つの把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)の間で幅方向に把持することが可能になる。
【0151】
把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)は、前項で説明した構成(14)によって引き出されたテープを、以下のように把持し、キャッチする。構成(15)は、構成(14)によって引き出されたテープが、特に構成(15の)把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)およびフォーク(15a)からの、いかなる障害にも遭遇することなく上昇できるように、引き込まれる。構成(14)から引き出されたテープは、把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)が、開モードでテープを受け取ることができる高さに上昇する。把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)を開位置に有する構成(15)は、引き出されたテープに向かって寸行する。テープの前縁が、把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)の前縁と同じ垂直平面にある場合、クランププレート(15d)および(15d´)は、それぞれユニット(15e)および(15e´)によって閉モードになる。引き出されたテープは、このように、把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)によって保持される。テープは、グリッパーリップ(14cおよび14e)から、リップを開くことによって解放され、ユニット(15)の把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)によって把持された後に、供給源から切断される。
【0152】
ユニット(15)によって保持されるテープは、フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)を開くことによって、事前に置かれたテープに隣接して平行に置かれた後、解放される。必要であれば、フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)からのテープの解放/除去は、ユニット(15)が引き戻された際にテープを数か所で押す/保持することによってテープを好適な位置に保つための押さえ棒を好適に組み込むことにより、補助できる。
【0153】
一対のユニット(15)は、動作中、同じ高さにあることが好ましい。これらのユニット(15)はそれぞれ、好ましくはこれらのユニット(15)のそれぞれに保持されるテープの長手方向縁の一方が、構成(11)の方向を向くような方法で配向される。ユニット(15)はそれぞれ、テープ長さ全体を、構成(11)のベッドの上に一度に置く。OFTに組み込むために、テープがユニット(15)によって構成(11)のベッドの上に搬送され解放された時点で、テープに張力はかかっていない。したがって、この新規なOFTの形成方法および手段は、OFTの製造中、条件としてテープが絶えず引っ張られることを必要としない。
【0154】
ヨーク(15a)およびステム(15b)は、管材および複合材料のような比較的軽量な材料で作られるのが望ましい。ヨーク(15a)の往復によって、フィンガーに保持されるテープの不当に激しい振動/動揺を引き起こさないことも重要である。把持フィンガー(15c、15d)および(15c´、15d´)の長さは、異なる幅のテープを直接受け取るのに十分な長さがある。比較的幅広のテープを用いる利点は、OFTの生産速度が対応して上昇することである。
【0155】
代替の、好ましさの程度が比較的低い方法では、1つのユニット(15)のみ、説明した方法で使うことができ、それにより、2つのスプールによって供給される個々のテープを把持し、2つの対応する方向から構成(11)のベッドの上にテープを連続的に置くための2つの異なる位置の間で交互に揺動される。さらに好ましさの程度が比較的低い構成では、1つのユニット(15)のみを、1つのテープ供給源からのみテープを把持するための、説明した方法で使うことができる。それにより、単一のユニット(15)が、2つの対応する方向から構成(11)のベッドの上にテープを置くために、2つの異なる位置の間で交互に揺動する。しかし、これらの方法は両方とも、非効率的且つ複雑であり、ゆえに望ましくない。
【0156】
6.置かれたテープの前端を変位させるための構成(16)
図4には、置かれたテープの前端をその厚さ方向に変位させるための一対の構成(16)の相対位置が示される。2つの構成(16)はそれぞれ、図5aを参照して先に示されたように、構成(11)の2つの長手方向側部に配置される。この一対の構成(16)は、OFTを製造するための構成(11)のベッドの上に置かれた、選択したテープの前端を変位させるのに好適である。一対の構成(16)は、同一に作動し、正面の開口を作成するために、選択した置かれたテープの前端をテープの厚さ方向に変位させる。図14aから14cに示される構成(16m)および図14dから14fに示される構成(16n)はそれぞれ、テープの前端を変位させる手段の2例である。他の可能性は、後ほど記載する。
【0157】
図14aに示されるように、構成(16m)は、複数のスロット(16b)を有するハウジング(16a)を備える。ハウジング(16a)の表面は、繊維がその上を、例えば平らでない縁に引っ掛かる/挟まれることなく摺動できるように、滑らかで平面状であることが好ましい。もし必要であれば、ハウジング(16a)の表面に、PTFEのような低摩擦性の材料で被覆することができる。スロット(16b)は、直列に、2つの隣接するスロットの対向する側部が一列に(16c)生じるような方法で配置される。さらに、各スロット(16b)の軸(16d)は、ハウジング(16a)の長手方向側部に関して角度Φであり、この角度は向かい合うテープの幅方向の角度に対応する。
【0158】
各スロット(16b)は、好ましくは湾曲した頂部を有するブロック(16e)を含む。ブロック(16e)は、各スロット(16b)との滑り嵌めを有することが好ましい。ブロック(16e)の幅は、加工されるテープの幅よりも狭いことが好ましい。これらのブロックは、滑らかで、PTFEのような低摩擦性の材料で被覆されることが好ましい。これらのブロック(16e)の機能は、その上にあるテープの前端を、テープの厚さ方向に変位させることである。これらのブロック(16e)はそれぞれ、利用可能な機械式、空気圧式、もしくは電子機械式の装置によって、OFTに作成される構造的なパターンにしたがって、独立してもしくは好適なグループにまとまって往復できる。ブロック(16e)の頂側は、スロットの頂面およびハウジング(16a)の表面が図14aのブロック(16e´)によって図示されるように平坦になるよう、完全にスロット(16b)の内部に引き込むことができる。ハウジング(16a)は、穴(16f)のような、ハウジングを図5aに示される好適な装置(11e)を介して構成(11)に取り付けるための好適な装置を有する。
【0159】
代替の構造では、ブロックの幅を、所望するように、範囲内で、要求されるプレートを加えるもしくは取り去ることで変えることができるように、ブロック(16e)は、一体物である代わりに、好適なプレートを結合することによって作成することができる。好適な、先の丸いフィンガー/ピン/棒/プレートもまた、例えば比較的幅の狭いテープを加工するときに、ブロックの代わりに使用することができる。あるいは、ヒンジで連結された蓋状の構成を、ハウジングの頂側に備えることができる。フリップして開かれた際は、その構成はテープの前端を変位させ、押して閉じられた際は、ハウジングの表面と同じ高さになり、テープの前端が摺動するのを可能にするために平面を提供する。
【0160】
ブロック(16e)の頂側は、図14bに示されるようにテープ(T1)の前端がブロック(16e)によってテープの厚さ方向に変位される際、少なくとも、接線のような最小限の接触が達成されるように、湾曲しているのが好ましい。あるいは、平らなプレート/ブロックもまた、その上にあるテープの前端をテープの厚さ方向に変位させるのに用いることができる。ブロック(16e)の頂部がハウジング(16a)の表面に現れた際、テープ(T2)の対応する前端が、上方へ変位されたテープ(T1)の前端よりも下に現れる。変位されないテープ(T2)の残置される前端に対して、テープ(T1)の前端の選択的変位の結果として、OFTを製造するための構成(15)を用いてテープを構成(11)の上に容易に且つ直接置くための入口を得る正面の開口を作成することが可能になる。テープの前端を前記のように変位させることにより、置かれたテープを横方向(すなわち幅方向)に動かすことができる。これは、横糸が常に軸方向もしくは長さ方向に動く、織りに関連した横糸の挿入とは異なる。
【0161】
図14bに示される1つおきのブロック(16e)のみを、交互のテープの前端を変位させるために上昇させるだけで十分であることも、ここで指摘してもよい。これは、OFTは前進するため、テープの前端もまた、新たなテープの前端を変位させるために再び上昇できる隣のブロックに前進するためである。
【0162】
最も多くの種類および材料がある比較的固いテープは、説明したブロック(16e)の動作によって、満足に加工できる。しかし、柔軟、薄弱、および脆弱/壊れやすい等の特定の種類のテープを加工する際は、特に新しいテープが、形成された正面の開口に入った場合に、変位されたテープがそれぞれのブロックから離脱する可能性があり、それによってOFTの製造が難しくなる。この問題は、例えば、図14cに示されるようなユニット(16m)の上に設置される吸引ユニット(16h)を組み込むことにより克服される。吸引ユニット(16h)は、ブロック(16e)がスロット(16b)内に引き戻された後、テープの前端を上昇した位置に維持する。ブロック(16e)はこのように、テープの前端を吸引ユニット(16h)に供給する働きをする。吸引ユニット(16h)および前端変位ユニット(16m)は、好適な構成(16)を一緒に構成するのが好ましい。要求されたように自動的にオンオフできる吸引動作は、ユニット(16h)を、好適な負の空気圧源(図示せず)に、個別にもしくは好適なグループのいずれかで機能するニップル(16i)を介して接続することにより可能になる。
【0163】
吸引ユニット(16h)は、完全に突出したブロック(16e)の少し上および近傍に位置されるのが好ましい。吸引圧力は、何らかの方法で構成(11)のベッドの上にあるテープの前端を保持するのにちょうど十分であれば良い。テープの前端が所望のブロック(16e)を作動させることによってテープの厚さ方向に変位される際、上昇したテープの前端が吸引ユニット(16h)に引き付けられ、一次的にその位置に保持できる。突出したブロックは、続いて、完全な正面の開口を形成するためにハウジング(16a)に引き込まれ、先に説明したように、新たなテープがこの開口に入ることができる。置かれる予定のテープが正面の開口に入ると、そして好ましくは、テープが先に置かれたテープの近隣に平行して置かれる前に、吸引ユニット(16h)は、好適な構成(図示せず)を介して下降するのが好ましく、負の空気圧がテープの前端をフリーにするために遮断されると共に、引き入れられたブロック(16e)の上に保持されたテープの前端を押すのが好ましい。この方法によって、変位されたテープの離脱を防ぐことができ、それにより、OFTの満足な製造が保証される。あるいは、個々の吸引ユニットを直接、ブロック(16e)の使用をともなうことなく、テープの前端を持ち上げたり降ろすのに用いることができる。
【0164】
さらに別の前端変位構成が、図14dから14fに例示される。この構成では、複数のクランプ(16n)が、テープの前端を変位させるのに用いられる。本質的に各クランプは、固定クランプジョー(16u)を支持する本体(16r)、可動クランプジョー(16s)、およびジョー(16s)を動かすコネクター(16t)を備える。コネクター(16t)は、好適なアクチュエータ(図示せず)によって制御される。一連のクランプ(16n)は、図14eに示されるように、支持アーム(16x)および(16y)に固定される。アーム(16y)に固定されたクランプは、アーム(16x)に固定されたクランプに関して反転している。これらのクランプすべての分布は、好ましくは、図14eに示されるように、相対的に交互であり均一であることができる。示される配置において、下アーム(16y)が構成(11)(図14eおよび14fには図示せず)の長手方向側部に固定され、静止状態を保つ一方、上アーム(16x)は、ピボットについて直線的もしくは角度的に、上下に移動することができる。好ましくは、クランプ(16n)の幅は、加工されるテープの幅よりも狭い。
【0165】
テープの前端(図14eおよび14fには図示せず)は、図14eから推察できるように、一平面上の開位置に配置される、交互のクランプジョー(16s)および(16u)によって支持される。ジョー(16sおよび16u)によって提供される均一な一平面は、テープの前端が、1つのクランプから次のクランプへ(OFTが前進した時に)妨げられることなく摺動することと、ジョー(16sおよび16u)の間にクランプされることを可能にする。すべてのテープが各クランプ(16n)によって個別にクランプされると、上アーム(16x)は、図14fに示されるように、上方に動かされ、それにより、各クランプにクランプされたテープの前端は、これに対応して厚さ方向の上方に動かされる。固定式の下アーム(16y)に固定された各クランプにクランプされたテープの前端に関連して、上方に動かされた前端は、図14fから推察できるように、テープ(16z)を受け取ることのできる正面の開口を形成する。
【0166】
あるいは、テープの前端は、示した構造(16m)および(16n)を好適に変更することにより、隣接したテープに関して下方に変位できる。
【0167】
いかなる場合も、製造されたOFTがロールに巻くために前進すると、テープのフリーな前端もまた、対応して前進し、ブロック(16e)/クランプ(16n)に関して位置を変える。したがって、構成(16)により、独自に、テープの前端が構成要素ブロック/クランプに関して位置を変えることができるようになる。明らかに、いかなるテープのフリーな前端も、同じブロック(16e)/クランプ(16n)によって変位されることはない。したがって、テープの前端の各変位は、異なるブロック/クランプによって為され、これは、同じ経糸がずっと同じヘルドによって制御される織りプロセスの開口動作とは、独自に技術的にそして特徴的に異なるものである。
【0168】
現時点で理解できるように、正面の開口を作成するために、置かれたテープの前端を変位させるための説明した動作は、織物に見られるような、ひし形や三角形のような閉じた幾何学形によって定義できるいかなる杼口も形成しない。
【0169】
当業者は、現時点で、機械的なグリッピング、ピンチング、クリッピング、クランピング、フッキング、磁気作用、化学接着、空気圧式ブローイング、真空グリッピング、電気的剥離、磁気的剥離等の他の方法を、テープの個々の前端の厚さ方向への好適な変位を達成するため、およびテープの前端を変位された位置に維持するために、単独もしくは好適に組み合わせて利用可能であることを理解できる。テープの前端を変位させるかもしくは維持するためにどの方法が採用されるかは、加工されるテープ材料のニーズおよび種類によって決まる。いかなる場合も、変位されたテープおよび変位されないテープの前端は、それらの間に置かれるテープが占有位置からの剝れおよび離脱を引き起こさないよう、しっかりと保持される。そのような機能的な信頼性は、OFTを製造するための、トラブルのない動作を保証する。
【0170】
当業者にとっては、比較的速いスピードでのOFTの製造を達成するために、テープの前端の変位を実用上可能な限り小さく保つことが重要であることは明らかである。小さな変位は、相対的に、要する時間がより少ないためである。テープの前端の変位は、(織りの際に生じるような)正面の開口を通過する必要のあるグリッパーが存在しないため、置かれるテープの厚みを明確に受け取るのにちょうど十分な大きさまで小さくできる。SFTおよびHDPTテープが比較的細いならば、前端は、相対的に非常に小さい距離で変位されるのが好ましい。このプロセスはしたがって、テープのフリーな前端が、比較的小さな距離のみで変位される必要があり、それによって、テープは、経糸が杼口である場合に織りプロセスで生じるようないかなる張力にもさらされないという、独自の可能性をもたらす。また、置かれる予定の新たなテープが正面の開口にあるわずかな距離に入った直後、変位されたテープの前端が元の位置に戻ることができるため、合計作業時間は大幅に削減される。形成された開口は、織りプロセスでの杼口と異なるため、前端は、新たなテープが構成(11)のベッドにある先のテープの近くに隣接して置かれるまで上昇位置に保たれる必要がない。
【0171】
ブロック(16e)/クランプ(16n)は、利用され得る他のあらゆる装置のように、所望の対応する一次的な構造上の健全性/安定性のあるパターンをOFTに作成するために、テープの前端を選択的に変位させる好適なプログラムを介して、規則的な手順もしくは不規則な手順のいずれかで動作できる。明らかに、そのような可能性によって、一次的な構造上の健全性/安定性のあるパターンを、左側および右側のスプールから引き出されたテープに、独自に作成することができる。したがって、OFTの左半分にある一次的な構造上の健全性/安定性のあるパターンは、OFTの右半分にある一次的な構造上の健全性/安定性のあるパターンと、完全に異なることができる。
【0172】
現時点で、構成(16)およびその動作は、織りプロセスに関連した杼口構成および動作とは技術的に異なることが、十分に明らかである。
【0173】
7.製造された材料を一体化するための構成(17)
図4には、構成(11)の上に配置される一対の構成(17)の相対位置が示されている。この構成(17)は、例示であるが、本発明に関わるOFTを製造する際、構成(11)のベッドに置かれた、交差して重複しているテープを一体化するのに好適である。一体化の動作は、OFTの作成された一次的な構造上の健全性/安定性は、長さおよび幅方向に配向された繊維材料がないので長手方向および横方向に弱いため、このプロセスに好適である。このような一体化のステップは、後続の取扱い/加工動作での開口/隙間の形成に耐えるために、重複しているテープの間を相互接続し、二次的な構造上の健全性/安定性をOFTに提供する上で好ましい。相互接続は、接続ポイントおよび接続エリアの形状であることが好ましい。OFTの一体化は、図15aおよび15bに示されるユニット(17a)および(17b)によって達成される。一体化は少なくとも、製造されたOFTの中間部分で行われるのが好ましい。中間部分は最初に開口/隙間が生じるためである。
【0174】
一対のユニット(17a)および(17b)は、同じ動作をし、図15を参照して説明される。図15aおよび15bに説明される構造は一例である。ユニット(17a)および(17b)は、「V」形状に組み合わされるのが好ましい。それらの間の角度は、OFTに組み込まれるテープの角度と一致する。構成(17)を、単一部品構造の代わりに、示されるような分離構造に有するのが好ましい。これは、分離構造であれば、同じ部品の相対位置を、テープのOFTへの組み込み角度に対応して容易に変えることができるので、同じ部品を使用できるためである。
【0175】
ユニット(17a)および(17b)はそれぞれ、図15aおよび15bには全体の集合体として示されるが、本質的に、より小さな個別ユニットを備えたモデュラー構造(図示せず)である。これらの棒状のユニット(17a)および(17b)は、ベッド(11a)上の製造されたOFTの、置かれたばかりのテープを、それぞれ、交互に押圧するのが好ましい。棒状のユニット(17a)および(17b)の幅は、加工されるテープの幅より広くないことが好ましい。ユニット(17a)および(17b)は、好適な構成(図示せず)によってそれぞれのアクチュエータに接続されるステム(17c)および(17d)を有するのが好ましい。全体の構成は、最終的に、構成(11)のメインフレームに接続される。そのような構造を介して、ユニット(17a)および(17b)は常に、ベッド(11a)との一定の位置関係を維持する。
【0176】
さらに、ユニット(17a)および(17b)は、加熱/接合要素(例えば加熱、赤外線、および超音波)、ニードリング要素(例えばかぎ状およびとげのあるワイヤー)、繊維交絡要素(例えば圧縮ガスおよび液体用ノズル)、接着剤/付着剤塗布要素、流体スプレー要素、もしくは振動要素等のいずれかを組み込んで構成されるのが好ましい。そのような要素は、個別に、そしてそれらの配向が必要によって容易に再配置できるような方法で組み込まれる。これらの要素を1つまたはそれ以上用いることにより、交差し重複したテープは追加的に接続され、そしてそれにより、製造されたOFTは二次的な構造上の健全性/安定性を、少なくとも中間部分で与えられ、厚さ方向で効果的に一体化され、そして後続の取扱いのために構造的に安定化される。置かれた交差し重複したテープの間の結束/相互接続を達成するために、ユニット(17a)および(17b)において採用される要素の選択は、加工されるテープ材料の種類および最終用途の必要による。一体化ユニット(17)は、したがって、機械、化学、加熱等のうち少なくとも1つの種類の二次的な構造上の健全性/安定性をOFTに提供するのが好ましい。
【0177】
説明されたOFTの一体化構成は、好適な方向で最大限の二次的な構造上の健全性/安定性が達成される一方で、繊維/フィブリルがさらされ得る破壊が最小限になるよう、方向性をもって配向されるのが好ましい。方向性をもって配向された一体化構成は、ユニット(17aおよび17b)に、好適な要素(加熱、接合、ニードリング、交絡、接着剤/付着剤塗布、スプレー、振動等)を所望の配向に組み込むことによって達成される。そのような方向性をもって配向された一体化手順を介して、重複しているテープ間の相互接続のエリアは、重複しているテープの(点のような)比較的小さなエリアから、大きなエリア(重複エリア全体のような)に変わることができる。
【0178】
接続地点もしくは接続エリアは、1つもしくは複数の真っ直ぐな連結ラインに、方向性をもって配向されるのが好ましい。真っ直ぐな連結ラインはそれぞれ、複数の接続地点もしくは接続エリアを備えるのが好ましい。接続地点もしくは接続エリアは、少なくとも布地の長さ方向に延在するのが好ましい。しかし、テープの2つの斜め方向の、異なる方向および置かれたテープに平行な方向への延長は有益であり得る。接続エリアは、重複しているテープの、1つもしくは複数個の地点から、相互接続している全体のエリアに変わるのが好ましい。
【0179】
そのような相互接続はしたがって、所望の方向に(例えばOFTの長さ方向に関して)、対応して配向され、単直線、双直線、もしくは多方向タイプのいずれかであることができる。OFTが受ける後続のプロセスを把握しているので、一体化は、そのプロセスの予想される力の方向に合わせられた好適な方向性をもった配向で行うことができる。もし、OFTが開口/隙間を生じるのを防ぐために高い抵抗が要求されるのであれば、そのときは重複エリア全体が、ボンディングなどによって相互接続できる。一次的な構造上の健全性/安定性に加え、そのような二次的な構造上の健全性/安定性を介して、通常の取扱い/加工に耐えるのに十分な強度がOFTに実現される。結果として、開口/隙間の発生に対する抵抗が強化され、同時に、OFTを構成するテープの機械的な特性およびOFT自体の機械的な特性が劣化しない。
【0180】
さらに、行われる一体化の種類(例えば穿針および交絡)によって、好適な凹みまたは空洞が、ニードリング、流体噴射などが適切に機能するのを可能にするため、ユニット(17a)および(17b)の下側の凹みまたは空洞に一致するように、構成(11)に、適切な形状および位置で備えることができる。ユニット(17a)および(17b)および構成(11)の動作は一定の相対位置関係を持つため、好適な凹みおよび空洞が、要求されるように、そして要求された時に構成(11)の所定の位置に置き換えおよび固定することができる、異なるプレートに機械加工できる。
【0181】
ユニット(17a)および(17b)それぞれの構造は、異なる幅のテープを直接加工するために、同じユニットが再配置できて便利にすることができるように、ユニットがモデュラーであるのが好ましい。さらに、ユニット(17a)および(17b)は、例えば、PTFEのような非付着性および低摩擦性の好適な材料で被覆されるのが好ましい。ユニット(17a)および(17b)はまた、クリーニング、設定変更等のために容易にはずすことのできる好適なシューを備えることができる。これらのシューはまた、その下にあるテープとの適切な接触を保証するために、好適にスプリング負荷をかけることができる。さらに、これらのシューの底は、硬性または柔性のいずれかの種類であることができ、そして平らであるか、または加圧印象、熱型押などを介してパターンもしくはロゴを作成するために好適にデザインされているかのいずれかである。
【0182】
構成(11)上でOFTを形成するためにテープが置かれた後、それぞれのユニット(例えば17a)は、重複エリアの少なくともいくつかを相互接続することで、置かれたテープおよびそれと関連するテープを一体化するために、製造されたばかりのOFTのセクションで起動される。もう1つの方向からの次のテープは、OFTを形成するために構成(11)に置かれ、そしてもう一方のユニット(17b)はそのとき、新たに関連したテープを前に説明したように一体化するために、製造されたばかりのOFTのセクションで起動される。あるいは、2方向からのテープを、OFTを構成(11)上に次々に形成するために置くことができ、そしてそのとき、ユニット(17a)および(17b)は、二次的な構造上の健全性/安定性を与えるべくそれらを一体化するため、製造されたOFT上で同時に起動させることができる。同様に、ユニット(17a)および(17b)は、一体化の手順を行った後、相次いでもしくは同時に、製造されたOFTから離すことができる。
【0183】
認められるように、説明した一体化の手順を介して、製造されたOFTは、好ましくはテープの所望の重複エリアのみで、製造されたOFTの厚さ方向に、その構成テープを独自に相互接続させ、そしてそれによって、一次的な構造上の健全性/安定性に加え、幾らかの付加的な二次的な構造上の健全性/安定性もしくは結束が与えられる。結果として、テープの厚さ方向に、幾らかの材料の流れができる。例えば、もし繊維材料のテープが用いられ、ニードリング一体化構成が採用された場合、そのときはいくらかの繊維が、どこで一体化が行われようとも、上下のテープ厚さ方向の間を流れる。同様に、もしスポット接着/付着が行われると、そのときは接着剤/付着剤の流れが、OFTの厚さ方向に生じる。そのような材料(繊維、接着剤、付着剤等)の流れは、幾らかの二次的な構造上の相互接続性/結束を、テープの厚さ方向に提供し、それによって、後続のプロセスおよび取扱いの必要のために、OFTを付加的構造的に安定的/一体的にする。材料の流れはまた、テープ間の相互接続性が達成された時、例えばポリマー性材料のテープもしくはポリマー性および非ポリマー性材料を備えた繊維性のテープのいずれかが、溶融によって熱的に一体化できるように用いられる時に生じる。この場合、いくらかの溶解したポリマー性材料の流れが厚さ方向に生じ、どこで熱的な一体化が行われようとも、上下のテープをともに溶融する。同様に、もし、例えば付着剤が一体化に用いられるとすれば、接触しているテープの表面の間の接続性は、付着性を介してテープの厚さ方向に達成される。同様に、もし付着剤を有するテープが用いられると、上下の厚さ方向に置かれたテープの結合を助けるために、付着剤が圧力(または、もしそう要求されれば熱/水等)によって活性化でき、それによって二次的な構造上の健全性/安定性をOFTに与える。そのような付着剤はまた、一部は一体化のために、そして一部は後にOFTを他の表面に接着するために活性化できる。
【0184】
上記したOFTの一体化は、必要な適所で行われるのが好ましく、そこは必ずしもOFT全体にわたっていなくてもよい。例えば、OFTの中間部分のみでもしくは特定のパターン化された方法で一体化を行うことで十分であり得る。OFTの最終の用途もしくは使用用途によって、OFTの縁で一体化するのもまた好ましい可能性がある。さらに、一体化の程度もまた、必要によって行うことができる。例えば、ニードリングエリアおよび接合エリアは、比較的小さくそして大きくできる。一体化はまた、予想される力の方向に一体化するために方向性をもって配向できる。
【0185】
したがって、図15cから15kには、説明した一体化ユニット(17)を介して達成可能な、方向性をもって配向された二次的な構造上の健全性/安定性の異なる形状の数例が示される。図15cおよび15dはそれぞれ、OFTの長手方向および横方向に配向された直線状の一体化を示しており、そのような構造的な健全性/安定性は、OFTの中間部分の、テープが重複しているいくらかの領域/エリアにおいて実現される。図15は、両配向におよび所望の領域で協働して実現される二直線状の一体化を示す。図15fおよび15gは、異なる様式で二配向された、長手方向および横方向の直線状の一体化構成の組み合わせを示す。図15hは、OFTの所望の場所における多方向の一体化を示す。図15iおよび15jはそれぞれ、OFTの選択領域における、単一および複数のスポット一体化を示す。図15kは、付着ボンディングなどによって可能な、大きな重複エリアが相互接続される、別の多方向タイプの一体化されたOFTを表す。
【0186】
推測できるように、説明した一体化プロセスは、二次的な構造上の健全性/安定性を、好ましくはテープの所望の重複エリアのみで、OFTに長さ及び幅方向に等しく与え、そして、OFTを加工および取り扱う際、開口/隙間の形成に耐えるための付加的な強度をOFTにもたらす。説明した一体化の手順によって、余分な長手方向のヤーンをOFTに含める必要がなくなる。それにより、先に説明したOFTへの不均等な繊維の配布およびOFTの不均等な厚さのような、余分なヤーンを組み込むことに付随する欠点は取り除かれる。説明した一体化の手順を介した二次的な構造上の健全性/安定性を有するバイアス布地は、以前は知られていなかった。
【0187】
8.製造された材料を前方に進めるための配列(18)
製造されたOFTは、布地長さ方向の配向に組み込まれた繊維材料(ヤーン/フィラメント)を備えていないので、製造されたOFTは、その変形や損傷を引き起こすことなく布地長さ方向および幅方向に引っ張ることができない。従って、張力無しの方式でOFTを供給し、その後の取扱いおよび輸送のためにロールに巻くために前方に積極的に進めることが好ましくなる。
【0188】
図4には、構成(11)の上に配置された構成(18)の相対位置が示されている。図16aおよび図16bに例示されたこの構成(18)は、(図5a−bに示されている)構成(11)と協働してOFTの前進動作を助ける上で好適である。構成(18)は、本質的に3つの要素で構成されており、第1要素(18a)が図16aに示されており、他の2つの要素(18c)および(18e)が図16bに示されている。OFTの前進は、図16aおよび図16bに示されたこれらの要素(18a、18b、18e)および図5aおよび図5bに示された構成(11)(即ち、固定式ベッド(11a)および往復式プレート(11f))によって協働にて達成される。図16aおよび図16bに示された要素(18a、18c、および18e)の構造は例示である。従って、プレート形体の要素(18a、18b、および18e)を設けることに代えて、好適に配列されたバーを用いて実現することも可能であり、往復式プレート(11f)に押し付けられるべき、OFTと接触するそれらの領域を、好適に小さく/大きくする。要素(18a、18c、および18e)をモジュール構造とすることは、一体構造よりも好ましい。なぜなら、要素(18a、18c、および18e)の角度部分が、置かれたテープの角度と容易に合致し得るからである。モジュール構造もまた、不均等な角度でテープを組み込んだOFTを製造する際に有益である。
【0189】
要素(18a)上の「V」形状の突出部は、OFTの本体に既に組み込まれている以前に置かれたテープに近い2つの方向からテープを置くための好適なクリアランスを提供する。
【0190】
要素(18a、18c、および18e)には、図16aおよび図16bに示されているように、好適なステム(18b、18d、および18f)を設けることができる。これらのステムの目的は、要素(18a、18c、および18e)をそれぞれのアクチュエータ(図示せず)に接続することにある。アクチュエータは、それらを上昇および降下させて、OFTを押して前進させ、前進させた後にOFTを解放する。ステムの長さおよび数は、他の作動システムの設計に依存する。要素(18a、18c、および18e)は、好適な構造(図示せず)を介して最終的に往復式ベッド(11f)に接続され、これにより、それらの間に一定の位置関係が常に維持される。
【0191】
要素(18a)がOFTの本体に押し付けられながら、要素(18cおよび18e)が、OFTの本体から自由に延びているテープ上に押し付けられる。OFT材料および延びているテープを往復式ベッド(11f)上に押し付けることは、製造されたOFTを巻取りユニットに向けて確実に前進させるためのみならず、OFTの本体から自由に延びるテープを制御された方式にて確実に前進させるためにも好ましい。要素(18cおよび18e)の作用無しでは、OFTの本体から自由に延びるテープは、制御されていない方式にて引っ張られ、それらの方向性の喪失および位置の変化がもたらされ、ひいては、プロセスの後続の工程において問題が生じる。特に、置かれたテープの前端の、構成(16)による変位が問題である。要素(18a、18c、および18e)は、所望のシーケンスにて、同時にまたは独立に作動することができる。
【0192】
要素(18a、18c、および18e)は、プレート形体であるか、バー形体であるかを問わず、必ずしもフラットである必要はない。OFTに面する側は、均一な突出部を有することができ、これらの突出部は、全面接触を行うこと無しに、OFT上に均一な圧力を付与することができる。そのような構造は、要素(18a、18c、および18e)が降下され、および上昇されるようなときに、OFTおよびOFTの本体から自由に延びるテープの横方向変位を防止する。OFTと要素(18a、18c、および18e)の間の空気は、平明構造の場合よりも、非平面構造において容易に逃げ、これにより、持ち上げる際に真空が形成されることがない。
【0193】
要素(18a、18c、および18e)上の突出部は、滑らかな表面を有することができ、その上、好ましくは、PTFEのような非付着性材料のコーティングを備えることもできる。これらの突出部は、また、好適に穿孔されることができ、または溝を設けることができ、これにより、OFTおよびOFTの本体から自由に延びるテープを押圧するために要素が降下されるときに、OFTとこれらの要素(18a、18c、および18e)との間の空気を容易に逃すことができ、これにより、OFTおよび自由に延びるテープを持ち上げること無く、要素(18a、18c、および18e)の上昇を容易とすることができる。
【0194】
代替的に、要素(18a、18c、および18e)は、好適な空気圧をOFT上に付与する構成と置き換えることができる。そのような構成は、非接触式構造として考えられ、降下させおよび上昇させる必要がない。
【0195】
制御された方式での巻取りのためにOFTを前方に進めるため、要素(18a、18c、および18e)は、スライド構成(図示せず)に支持されており、往復式プレート(11f)に好適に接続されている。そのような構成を介して、要素(18a、18c、および18e)は、往復式プレート(11f)の位置に対応する往復位置を規定する。かくして、要素(18a、18c、および18e)は、OFTおよび往復式プレート(11f)の上に置かれるとき、巻取りのためにOFTを前方に進めるため、往復式プレート(11f)と同等に且つ同時に動かされることができる。同様に、往復式プレート(11f)の引き込みの際に、上昇された要素(18a、18c、および18e)は、プロセスの後続サイクルのための正しい位置に配置するため、往復式プレート(11f)と同等に且つ同時に後退させることができる。
【0196】
上記部品に加えて、図18aに示されているように、押圧プレート/バー(19k)が組み込まれている。このプレート(19k)は、構成(11)のフラットな固定領域、即ち、ベッド(11a)上で且つ突出フィンガー(11b)の近傍にわたって配置されている。このプレート(19k)の目的は、構成(11)の固定領域に対してOFTを押し付けて、前進させたOFTを定位置に保持し、OFTをロールに巻くためにOFTの前進動作を共同で助けた後に要素(18a、18c、および18e)および往復式プレート(11f)を引き込む際に、OFTが引き戻されることを防止することにある。かくして、押圧プレート(19k)は、要素(18a、18c、および18e)がOFTの表面から上昇/牽引される前に作動され、前進させたOFTを固定領域に対して押し付ける。プレート(19k)は、製造されたOFTの前進動作を果たすために、要素(18a、18c、および18e)がOFTをベッド(11f)上に押し付けた後、OFTから上昇/牽引される。
【0197】
前述の説明は、(OFTの本体が全幅を獲得した後の)継続フェーズ中のOFTの前進動作を記述した。しかしながら、OFTの製造が最初に開始フェーズにて始動するとき、OFTの本体は、長手方向および横方向に成長を開始する。OFTの比較的小さな本体からの発行テープを取り扱うために、ある種の構造的な特徴が暫定的に必要とされる。但し、好ましいのであれば、手動で対応することもできる。これは、本質的に、要素(18a、18c、および18e)までの好適な延長部を含む。かくして、要素(18a、18c、および18e)は、連結/接続アームを介して、同様であるが好適に寸法付けられた暫定的な要素に最初に接続することができる。これらの暫定的な要素の目的は、OFTの成長する本体と反対の方向に延びるテープの前進動作を助けることである。OFTの本体がひとたびその全幅を獲得し、構成(11)の巻取り側を通過すると、これらの延長部を除去することができ、延びているテープがカットする。そして、前進させたOFTは、好ましくはロールに巻かれる。
【0198】
OFT前進方法の新規な特徴は、以前に指摘したように、OFTが前方に進められる距離が、使用されるテープの幅よりも大きいことである。この特有の状況は、OFT内のテープの組込み角度から生じる。OFTの構成テープによって画成される角度は、図17a〜図17cに示されているように、鋭角、直角、または鈍角のいずれでもあり得る。かくして、同じ幅のテープについては、鋭角関係(図17aのx゜)にあるOFT組込みテープの前進距離は、L1であり、この距離は、テープが直角関係(図17bのy゜)に組み込まれる場合のL2よりも大きく、および、テープが鈍角関係(図17cのz゜)に組み込まれる場合のL3よりも大きい。かくして、同じテープ幅については、OFTを前進させるための距離は、OFT内のテープの組込み角度に応じて変化する。
【0199】
OFTを前進させるための距離は、大凡、交差およびオーバーラップするテープによって形成される「四角形/平行四辺形/菱形」の長手方向の対角線(布地長さ方向に平行なもの)の長さに対応する。
【0200】
9.製造された材料をロールに集めるための構成(19)
OFTは取り扱いのために一体化されているけれども、織製材料のような、その長さ方向に配向された繊維を組み込んだ布地と比べて、ときどき、長手方向における強度が比較的小さいことがある。前で指摘したように、製造されたOFTは、好適なパッケージへの収集に際して、例えばロールに巻くようなときに、慎重に取り扱う必要がある。さらに、OFTは、テープの個別の長さを用いて製造されるので、巻取り距離はできるだけ短く維持することが好ましく、これにより、OFTは、開口/隙間を形成したり、緩んだりすることがない。従って、OFTのロールは、OFTの全本体幅が形成される点にできるだけ近い場所で製造されることが好ましい。また、OFTが多かれ少なかれ直線経路を進行することを確保することも重要であり、これにより、そのスキューを防止し、また、以降の取り扱いや意図された適用のために満足なパッケージおよび品質が得られる。
【0201】
図4には、構成(11)のOFT巻取り側に配置された、構成(19)の相対位置が示されている。この構成(19)は、例示されたものであるが、製造されたOFTを張力無しの方式で巻き取るものである。図18aは、構成(19)の異なる部分を示しており、構成(19)は、主として、出口案内ロール(19a)、J字形トレイ(19b)、および巻取りシャフト(19g)を備えている。図18bは、構成(11)と仕上げロール(19n)との間の、OFTによって追従された経路を示している。
【0202】
出口ロール(19a)の軸は、構成(11)の巻取り側縁に平行である。また、それは、好ましくは、ベッド(11a)の上面の下方に配置されており、これにより、製造されたOFTが、ベッド(11a)から、出口ロール(19a)上を接線方向に好適に通過することができる。
【0203】
出口ロール(19a)の下方に吊下げられたJ字形トレイ(19b)は、図18aに示されているように、出口ロール(19a)に平行に延びている。それは、好ましくは、好適なシートメタルを用いて製造される。J字形トレイ(19b)の頂部側は、ベッド(11a)の前端に枢着されており(図示せず)、図18aの挿入図に示されているように、上方に傾けられて、好適な角度位置θで係止され得る。傾斜の角度は、製造されるOFTの剛性および目付に依存するであろう。かくして、比較的柔軟で低い目付のOFTが、対応する異なる角度の傾斜を有する。J字形トレイ(19d)の出口側は、好適な湾曲形状に直接的に付形されるか、或いは好適に湾曲された部材(好適な管のような)に固定されて、OFTに緩やかで滑らかな出口(19m)を提供する。さらに、J字形トレイ(19b)の深さは、製造されるOFTの剛性および目付に応じて変化させることができる。
【0204】
J字形トレイ(19b)の表面は、できるだけ滑らかであることが好ましく、また、PTFTのような低摩擦性/抗付着性材料でコーティングされていることが好ましい。好ましくは、OFT(19m)を直線状に案内するために、2つの端板(19cおよび19c’)がJ字型トレイ(19b)に固定される。これら端板(19cおよび19c’)の位置は、製造されるOFTの幅に応じて変更可能である。この方法で、OFTの長手方向縁は、その経路の中に直線状に案内された状態に維持される。もし好ましいようであれば、案内リングなどを出口ロール(19a)に装着してOFT(19m)の経路を制御することも可能である。OFT(19m)を直線状経路に保持するための更なる制御を実行するために、J字形トレイ(19b)上の好適な場所に追加の端板を設けることも可能である。代替的に、有孔シートメタルを用いてJ字形トレイを作成して、その一方の側から好適な真空圧力を付与することで、OFT(19m)をその他方の側に押し付けて保持するようにしても良い。
【0205】
1つのJ字形トレイ(19b)を使用することで十分と考えられるが、もし好ましいようであれば、より大きなプロセス制御のために、追加のJ字形トレイをタンデムで設けることもできる。そのような状況においては、OFTは、1つのトレイを通過すると、ロールに巻かれる前に次のトレイに進む。
【0206】
製造されたOFT(19m)を巻き取るために、考慮すべき2つの重要なファクターがある。(a)OFT(19m)にはその長さ方向および幅方向に実質的に張力が付与されないこと、および(b)OFT製造プロセスは、技術的に言えば、エンドレスであること。これらの状況においては、製造されたOFT(19m)を、張力無しの状態で、特定の長さのロールへと次々に巻き取るための好適なシステムを備えることが好ましい。
【0207】
従って、図18aに示されているように、軸(X)周りに回転可能な中間シャフト(19f)に固定された2つのアーム(19eおよび19e’)を備えた新規なOFT巻取りシステム(19s)が設けられている。アーム(19eおよび19e’)の端部が、図18aに示されているように、シャフト(19g)および(19h)を担持している。これらのシャフト(19g)および(19h)の各々は、好適な駆動構成(図示せず)を介してそれぞれの軸(Y)および(Z)周りに回転させることができ、アーム(19eおよび19e’)のそれぞれの側に着脱自在である。かくして、シャフト(19g)および(19h)の、J字形トレイ(19b)に関する位置は、中間シャフト(19f)をその軸(X)周りに180°回転させることにより交換可能である。
【0208】
まず初めに、図18b(挿入図)に示されているように、シャフト(19g)は、好ましくは、J字形トレイ(19b)の出口端(19d)の上方に配置され、これにより、製造されたOFT(19m)は、多かれ少なかれ、シャフト(19g)に対して上下方向に接線方向となる。OFT(19m)の先端は、シャフト(19g)に装着されたコアに接着され、次に、シャフト(19g)は、好適な駆動手段(図示せず)を介して適切な方向に漸次回転される。シャフト(19g)の回転は、OFT前進構造(18a、18c、および18e)および往復式プレート(11f)の動きに同期している。シャフト(19g)に装着されたコア上にOFT(19m)が巻き取られるにつれて、OFTロール(19n)の直径が増加する。製造されたOFTを、製造されるロールに対して、常に上下方向に接線方向に維持するために、巻取りユニット(19s)は、好適な増分にて、J字形トレイ(19b)から徐々に引き離される。好適なオーバーライド・クラッチ(図示せず)が、シャフト(19g)への駆動手段に組み込まれ、製造されたOFT(19m)の如何なる引張りも防止される。そのような巻取り構成(19s)は、製造されたOFT(19m)のその自重による垂れ下がりを排除し、これにより、張力無しの巻取りを可能とする。
【0209】
OFT(19m)の予め設定された長さがロール(19n)に巻かれると、OFTの製造が、一時的に減速されるか、停止され、シャフト(19g)が好適な駆動手段を介して回転され、OFT(19m)の幾らかの長さが巻き解される。そして、中間シャフト(19f)が180°回転され、巻き解されたばかりのOFT(19m)およびインターリーブのフィルム/フォイル(19p)が、軸(Z)の位置から、軸(Y)の巻き取り位置へと延びるようになる。フィルム/フォイル(19p)は、適切な場所にてその供給ロール(19q)から切除され、OFT(19m)の下面を、その下に接触するように存在する新しいコアに露出させる。シャフト(19h)に装着された新しいコアは、現在、シャフト(19g)の以前の位置を占めており、シャフト(19f)を回転させる前にその上に付与された好適な接着剤を介して、巻き解されたOFTに付着している。そして、OFTは、好適な場所で切断され、これにより、製造されたロールを取り外すことができる。
【0210】
フィルム/フォイル(19p)は、好ましくは、OFTの張力無しの巻取りのために、前進させたOFTの長さに対応するフィルム/フォイルの好適な長さを常に搬送する積極的な供給構成の中を通される。その供給源(19q)から来るフィルム/フォイル(19p)は、また、新しいコアに付着され、OFT製造が再び開始される。この手順によって、OFT(19m)の製造が、張力が加えられることなく、且つ、OFT(19m)のミスアライメントが引き起こされることなしに継続する。また、テープをおき、布地を前進させる工程を、既述の巻取り手順に関連して好適に減速することにより、OFT製造の連続性を、比較的高い生産性を達成するためのプロセスを停止することなしに達成できる。
【0211】
OFTの層が、製造中のOFTロール(19n)内で互いに付着することを防止するために、好適な材料から成るインターリーブ・フィルムまたはフォイル(19p)がロール(19q)から供給される。フィルム/フォイル(19p)を一対のロール(図示せず)のニップ間を通すことができ、これらのロールを回すことにより、それに対応して、フィルム/フォイル(19p)の好適な測定長さを繰り出すことができる。そのような構成を通して、OFTおよびフィルム/フォイル(19p)の巻取りが等しくなり、OFT(19m)に張力が加えられない。ロール(19n)内のOFT層間にインターリーブ・フィルム/フォイル(19p)を組み込むことにより、巻き解されたOFTもまたフィルム/フォイル(19p)によって支持されるので、OFTの以降の取扱いがより安全となる。
【0212】
装置および布地製造の作用
上述したOFT形成装置の各種のシステムは、以前に説明した開始および継続フェーズを備えた方法に従って全体として協働する。構成テープが、張力無しの状態で、布地長さおよび幅方向に関して角度配向にて生じる、OFTの製造は、以下の概説により当業者に明らかとなるだろう。
【0213】
以下に概説する装置の作用は、全般的なものであり、例示に過ぎない。状況の必要に応じて、異なる方法に修正することができる。以下で説明する作用は、好適なプログラムを用いて実行できるものであり、テープが交互に互いに交差およびオーバーラップするOFT構造の生成に関する。OFT形成装置は、2つの方向からテープを置くための、2つの同じセットの作用構成を備えているので、以下の説明では、一方の構成セットに他方よりも重きをおいて説明する。これらは、左側および右側の構成セットと考えることができる。図4は、OFT形成装置の全体を示している。
【0214】
作用ベッド(11)の幅は、好適に製造されるOFT(19)の幅に応じて準備される。左側および右側のテープスプール(12)は、それらの各々のシャフト/チャックに装着され、OFT(19)に組み込まれるべきテープの所望の角度配向に応じて位置決めされる。テープの先端は、2つのスプール(12)から引き出され、出口ロール上で案内され、位置決めのために各々の保持クランプに供給される。カッター(13)が、テープ内の好適な所望切断角度に応じて位置決めされる。
【0215】
開始フェーズ
左側のスプールからのテープが、構成(14)によって引き出される。構成(14)のグリッパーが、引き出されたテープを保持する。テープ敷設構成(15)は、引き出されたテープの前端および後端をそのフィンガーが把持する位置に移動され、その後、該テープはカッター(13)で切断される。テープ敷設構成(15)は、その後、テープを搬送するベッド(11)の方向に移動される。規定された端位置に到達すると、構成(15)は、テープを解放してベッド(11)上に置き、これにより、張力無しの状態でテープが生じる。置かれたテープの前端は、右側のスプールにより近く、右側の構成(16)の前端変位要素上に支持される。テープ敷設構成(15)は、その後、その開始位置に退避される。既述の手順は、各々の右側の構成で実施され、これにより、右側のテープが、左側のスプールに面するその前端が左側の構成(16)の前端変位要素の上に支持されるように、以前に置かれたベッド(11)上の左側のテープの上に置かれる。
【0216】
左側のテープは、続いて、以前に置かれた左側のテープに近接して平行に置かれ、且つ、置かれた右側のテープの上に置かれる。これらの置かれたテープは、上方および下方のテープによって形成されたオーバーラップ領域にて、構成(17)によって好適に一体化され、構成(11)および(18)によって一緒に前方に進められる。これら3つのテープを置くことによって、プロセスの開始フェーズが完了する。
【0217】
継続フェーズ
右側テープスプールに面する、最初に置かれた左側テープの前端が、右側の構成(16)によってその厚さ方向に変位される。今はもう、そのスプールから引き出され、右側テープ敷設構成(15)のフィンガーによって把持されている右側テープは、切断されてベッド(11)に向けて動かされ、無張力状態にて、以前に置かれた右側テープに近接して平行に置かれ、これにより、部分的に、最初に置かれた左側テープの下となり、且つ、部分的に、次に置かれた左側テープの上となり、これにより右側テープは、以前に置かれたテープと一緒になる。置かれたテープの残余部分は、ベッド(11)の上に曝されて置かれる。左側テープの変位された前端は、ベッド(11)上のその初期位置に戻される。
【0218】
次に、左側テープスプールに面する、最初に置かれた右側テープの前端が、左側の構成(16)によってその厚さ方向に変位される。今はもう、そのスプールから引き出され、左側テープ敷設構成(15)のフィンガーによって把持されている左側テープは、切断されてベッド(11)に向けて動かされ、無張力状態にて、以前に置かれた左側テープに近接して平行に置かれ、これにより、部分的に、最初に置かれた右側テープの下となり、且つ、部分的に、次に置かれた右側テープの上となり、これにより右側テープは、以前に置かれたテープと一緒になる。置かれたテープの残余部分は、ベッド(11)の上に曝されて置かれる。右側テープの変位された前端は、ベッド(11)上のその初期位置に戻される。
【0219】
これらの置かれたテープは、オーバーラップ領域にて構成(17)によって好適に一体化され、構成(11)および(18)によって一緒に前方に進められる。
【0220】
製造されたOFTを前方に進めることによって、テープは、製造されたばかりのOFTの本体から、構成(16)のテープ前端変位要素に関して新しい地位まで延在する。かくして、次に置かれた左側および右側テープの前端は、今や、各々の側の以前のテープを変位させた構成(16)の左側および右側の前端変位要素上に支持されている。
【0221】
置かれた左側および右側テープの前端が交互に変位され、2つのそれぞれの側からの新しいテープが、以前に説明したように置かれ、一体化され、前方に進められる。
【0222】
さらなるテープが置かれると、OFTの本体は、その所望の最大幅に達するまで長手方向および横方向の両方に成長し、そうすると、OFTの本体は正方形に似ており、この正方形においては、その2つの対向する隅部がOFTの長手方向中央に位置しており(即ち、OFTの長さ方向を向いており)、他の2つの対向する隅部がOFT長手方向縁に位置している(即ち、OFTの幅方向を向いている)。この時点からのプロセスの継続は、既述の手順にて、OFTの本体を(横方向または幅方向ではなく)長手方向にのみ成長させる。その結果、OFT本体の形状は、正方形から六角形様に変化し、OFTの2つの長手方向縁は、六角形の2つの平行な辺となる。OFTの本体は、かくして、いかなる時点においても長方形様ではない。
【0223】
この発明によるOFT形成の既述のプロセスは、テープが、2つの方向から置くために利用可能とされている限り、止まること無く継続できる。OFT形成装置において、使い尽くしつつあるスプールを新しいもので自動的に補給するのも一つのオプションであるが、その他には、例えば、好適なマガジンの中に、ある種の方法で、連続的に好ましい長さに切断されたテープを貯蔵し、各テープの端部をテープ敷設構成(15)に自動的に提供しても良い。
【0224】
当業者において、この発明によるOFT形成装置に含まれる既述の工程が、当該プロセスを実行するためのプログラムに好適に組み込めることは、今や明らかであろう。当該装置は、織りプロセス、編みプロセス、平組紐打ちプロセス、および不織プロセスにおいて使用されると考えられるようなコンポーネントを使用しない。さらに、OFT形成装置は、比較的、非常に小数で簡単な作用コンポーネントを備えている。既述のOFTプロセスおよびその製造装置は、それを効率的且つ生産的にするために、この新規なプロセスの上述の原理および手順から逸脱することなく、多くの異なる方法で修正することができる。それらはまた、次述するように、汎用性のために修正することができる。
【0225】
異なる布地構造を製造するためのプロセスおよび装置の変更
上述の説明は、構成(11)の長手方向側に関して等しい角度で組み込まれた2つの方向のテープの交互で、また他の交差およびオーバーラップパターンを有するOFTを製造するために使用され得る、新規なプロセスの基本的な概要を、3つのスタイルに当てはめている。
【0226】
a)図17aに示されているように、テープが、それらの間に鋭角(x°)を画成している。
【0227】
b)図17bに示されているように、テープが、それらの間に90°(y°)を画成している。
【0228】
c)図17cに示されているように、テープが、それらの間に鈍角(z°)を画成している。
【0229】
2つの供給テープの角度を、構成(11)の長手方向側に関して異ならせることにより、図19に示されているように、等しくない角度にあるテープの、交互で、また他の交差およびオーバーラップを有するOFTを製造可能である。そのような「等しくない角度」のOFTもまた、上述したように3つの異なるスタイルにて製造することができ、テープが相互に鋭角を画成する場合、直角を画成する場合、および鈍角を画成する場合のそれぞれである。テープは、構成(11)の長手方向側に関して等しくない角度に置かれているので、2つの方向のテープの長さもまた等しくない。
【0230】
上記したOFT形成プロセスの作動原理内で、そして以下に説明するOFT形成装置および動作への特定の改良によって、テープは、全体的に新しいOFT製品を直接作成するために折ることができる。ここで、そのような変更によって、1)単一のテープが折られ、同時に2つの斜め方向に置かれるため、および2)上記したOFT構造と比較して特徴的に異なるOFT構造が製造できるため、という2つの理由のために、これらの態様を検討することが重要である。
【0231】
特定の動作の、および装置の変更は、テープが置かれる際もしくは好ましくはテープが構成(11)に置かれた後のいずれかに、テープの折りに本質的に関わる。好適な方法にしたがって、テープを折るための作動原理は、図20aから20dに示される。まず、図20aに示されるように、ベッド(11)に真っ直ぐに置かれるテープ(T)は、上下端を、基準側P1およびP2にそれぞれ有する。テープ(T)の下端(X)は、テープ折りユニット(G)のグリッパーに保持され、図に指示されるように前後に回転することができる。もし好ましいならば、折りユニット(G)はまた、折り動作中のテープのあらゆる長さ変更を補うために、軸方向に往復できる(図20aから20dには図示せず)。1つ以上のテープ折りユニット(G)が、プロセスに、そして必要があれば異なる方向から採用できる。次に、図20bに示されるように、フラットフィンガー(F)を、テープ(T)上の位置に持って行き、テープが好適に折られる地点でテープを押圧/保持する。そして、フィンガー(F)は、図20bに示されるように、構成(11)のベッド上でテープ(T)を押圧し、保持する。そして、テープ折りユニット(G)は、図20cに示されるように、回転してテープ(T)の端(X)を、基準側P1から対向する基準側P2に輸送し、それによって、テープ(T)はフラットフィンガー(F)の縁で折られる。そして、折りユニット(G)のグリッパーは、テープ(T)の端(X)を放す。テープの折りが完了した後、フラットフィンガー(F)は、図20dに示されるように、折られたテープ(T)および折られる必要のある後続のテープを受け取るためにP1の最初の位置に戻った折りユニット(G)の間から除去される。そして、テープの折り目は、必要があれば、折りじわをつけるために押圧される。したがって、同じ真っ直ぐなテープが折れ、そして2つの逆の方向に同時にそしてOFTの2つの長手方向縁の間で真っ直ぐに延在する。
【0232】
あるいは、簡素な従来型のピックアンドプレースロボットを、テープを折るために据え付けることもできる。さらに、別の方法は、図13を参照して、左グリッパー(15cから15d)に代えて、テープ方向変更ピンが、およそ45度の配向(図示せず)で固定されるように、テープ置きユニット(15)の構造を改良することである。グリッパー(15cから15d)は、延長アームを介して、ステム(15b)の後端に固定できることで、テープの後端/終端を保持し、テープをステム(15b)に対して平行に維持する。テープの前端/先端が、右側のグリッパー(15c´から15d´)に保持された時、テープは、その後端/終端が、ステム(15b)から延長するアームに配置/固定されるグリッパー(15c´から15d´)に保持されながら、方向変更ピンで回転する。このように、2つのグリッパーの間で把持されるテープは、事前に90度で折られて生じ、そして構成(11)のベッドに直接置くことができる。したがって、前述のように、同じテープが、2つの逆の方向に同時にそしてOFTの2つの長手方向縁の間で延在する。
【0233】
上述のテープ折りステップを含めることにより、図20eに示される特徴的に異なるOFT構造が作成される。図20eに示されるOFTは、一方の長手方向縁が完全に閉じられて/封じられているという点で独特である。そのようなOFTの製造の主要なステップは、図21aからcに示され、それらは自明である。所定の長さのテープは、置かれ、中間点で折られることにより、図21aに示されるように、2つの異なるそして逆の方向に生じる。解説すると、折られたテープは、その半分が上り勾配、残りの半分が下り勾配になるよう生じる。第一のテープの下り勾配の/下部前端はしたがって、テープの供給スプールに対面し、前端変位構成(図21aには図示せず)の第一要素の上に載る。第一の下り勾配のテープの下部前端はそれから、テープの厚さ方向に変位され、そして次の/第二のテープが、第一の置かれたテープの上り勾配の半分に平行に、近接して置かれ、そしてテープの上り勾配の半分が第一のテープの下り勾配の半分の下に生じるように折られる。2つのテープの折り目は、図21bに示されるように、真っ直ぐな長手方向縁を形成する。重複したテープを一体化した後、製造された材料は、置かれた第二のテープの下り勾配の前端がテープの供給スプールに対面し、前端変位構成(図21bには図示せず)の前端変位ブロック/クランプの上に載るように進められる。次のサイクルでは、第二の下り勾配のテープの下前端がそれから、テープの厚さ方向に変位され、第三のテープが第一の置かれたテープの上り勾配の半分に平行に、近接して置かれ、そしてそのテープの上り勾配の半分が第二のテープの下り勾配の半分の下に生じるように折られる。3つのテープの折り目は、図21cに示されるように、真っ直ぐなそして閉じられた/封じられた長手方向縁を形成する。交差し重複したテープを一体化した後、製造された材料は、置かれた第三のテープの下り勾配の前端が、次の前端変位ブロック/クランプの構成(図21cには図示せず)の上に載るように進められる。
【0234】
説明した手順を続けることにより、下り勾配のテープの数は構成(11)の長手方向に増え、OFTの本体もまた、好適な幅に達するまで、対応して増える。上述したように、該当する下り勾配のテープの前端は、構成(16)のブロック/クランプによって変位され、新しいテープが置かれ、折られる。ここで推測できるように、説明したステップを連続的に繰り返すことで、図20eに示されるような、1つの閉じられた/封じられた長手方向縁を有するOFTをもたらす。説明したOFTの構成は、1つのテープ供給源および装置のコストを大幅に直接的に削減する1セットの特定の動作構成のみを用いて製造されることもまた明白である。また、同じテープが同時に二方向に折られた状態とされるので、OFTの製造は大幅に増大する傾向にある。製造されたOFTの1つの重要な特徴は、折られたテープの厚さおよびOFT本体の厚さが同じままということである。
【0235】
当業者にとっては、上述した折り動作の原理を介して、そして更なる好適な改良によって、もし左右側のテープ供給源および動作構成の両方が用いられるならば、そのときは、前述したように、テープを構成(11)の長手方向および横方向に折ることによって、以下のような異なるOFT構造が製造できる。
【0236】
1)2セットの折られたテープを組み込み、それによってスリット/開口がOFTの本体内に生成される、以下のようなOFT:
a)スリット/開口がOFTの長さ方向(「垂直」)に配向され、そのようなスリットが図22に示されるようにOFTの長手方向軸に沿って生じ、その主要な製造ステップは図23aから23eに図示され、自明である。したがって、何本かの全長テープが先に示されたように(図23a)置かれた後、後続のテープが左側(図23b)および右側(図23c)に向かって折られる。全長テープは次に、両側(図23dおよび23e)から必要な回数だけ置かれ、それによって、図22に示されるような長手方向軸に沿った垂直のスリットを有するOFTが製造される。
【0237】
b)前述したステップと同様のステップの後、スリット/開口がOFTの長さ方向(「垂直」)に配向され、そのようなスリットが図24に示されるようにOFTの長手方向軸からオフセットして生じる。
【0238】
c)スリット/開口が図25に示されるようにOFTの幅方向(「水平」)に配向される。このタイプのOFTを製造する際、置かれたテープは、折りユニットを好適な配向に組み込むことによって、所望の方向に折られる。一連のステップが図26aから26mに図示され、それらは自明であり、特定のテープが、(もし直接供給されず、折られたテープとして挿入されないならば)あらかじめ置かれたその配向のテープの上に一時的部分的に生じ、それから折られることを示す以外は、詳細な説明を必要としない。図26fおよび26iから推測できるように、最後に置かれたテープは、図示されるように、折られる前に、あらかじめ置かれたその配向のテープの上に一時的部分的に生じたが、折られるように直接的に示されている。
【0239】
d)スリット/開口は、図27aに示されるように、布地の長さ(すなわち垂直)および幅(すなわち水平)の両方に配向される。
【0240】
スリット/開口は、布地を、繊維タイプもしくは非繊維タイプのいずれかである追加のテープ/バンドに、追加のテープ/バンドをスリット/開口に通すことによって、機械的に接続するのに用いられてもよい。そのような構成の例は、図27bからeに図示される。そのような構造は、多軸構造を構成する。
【0241】
2)2セットの折られたテープを組み込み、それによって、図28aから28cに示されるように、折り目が、3つの異なる様式で両長手方向縁に沿って断続的に生じるOFTであり、その主要な製造ステップは図29aから29kに図示され、それらは自明であり、さらに詳述しない。これらの図29aから29kは、部分的に封じられた両長手方向縁を製造する1つのサイクルを表す。図28aから28cは、2つの長手方向縁が部分的に閉じ、部分的に開いているOFTを示す。図28aのOFTは、長手方向縁の外に突出しているテープ端を有する。図28bのOFTは、角度をもって切断されたテープ端を有し、切断されたテープ端はOFTの長手方向縁に沿うようになっている。図28cのOFTは、テープ端をOFTの長手方向縁内に有する(すなわち、テープ端はOFT縁の外に突出しない)。
【0242】
ここで、上記したOFTの「垂直」および「水平」スリット/開口は、布地長さもしくは幅方向に関して、直列もしくは平行に生じることができることが指摘されてもよい。さらに、そのような「垂直」および「水平」スリット/開口の頻度は、所定の長さの布地に、規則的もしくは不規則的に有することができる。
【0243】
異なる材料を用いてOFTを製造する可能性
当業者にとっては、説明した方法および装置が、以下の選択肢の中から1つかそれ以上もしくは異なるテープ材料の組み合わせを備えたOFTを製造するために採用できることは明らかである。
(i)繊維材料(織物リボン/バンド/ネット、天然およびポリマー/合成繊維、有機繊維/フィラメントおよび無機繊維/フィラメント、金属繊維/フィラメント/ワイヤー、および紙および紙ベースのものを含む)、
(ii)非繊維材料(ポリマーフィルム/シート、金属フォイル、ベニア、熱・圧力・光および音に反応する(例えば、特定のメモリおよび電気信号、オーディオおよび画像記録メディア等を生成するための)材料およびいずれか2つもしくはそれ以上の種類の組み合わせ等、
【0244】
(iii)構造様式(不透明、半透明、透明、着色、平滑表面、表面模様つき、摩擦表面、均一縁、不均一縁、平行縁、非平行縁、可変幅、有孔、型押し、波状、粉状の化学製剤の有無、ナノカーボン粒子の含有を含めた被覆および注入形体、接着ベアリング、強固な、柔軟な、硬質の、軟質の、電導/絶縁、熱伝導/遮断、光伝導、乾燥した、湿った、付着性/粘性、およびいずれか2つもしくはそれ以上の種類等の組み合わせ、単層タイプ、規則的もしくは不規則な繊維/フィブリルの配向を有する二層以上のタイプ、平行な、方向性をもって配向された、無作為に配向された繊維を備えた層を有するもしくは有しないサンドイッチタイプ、好適に接続された異なる材料、構造および幅の組み合わせタイプ)および
(iv)テープ幅(両斜め方向に等しい、もしくは両斜め方向に等しくない、もしくはこれら2つの種類の組み合わせ、均一、可変、およびいずれか2つもしくはそれ以上の種類等の組み合わせ)。さらに、そのようなテープは、単層、二層もしくはそれ以上のタイプ、および上記した好適な異なる材料、構造および幅を組み合わせた種類であることができる。
【0245】
OFTの形成と関連する従来のプロセスとの間の特徴的な技術上の違い
すべての織物業の当業者、特に織りおよび組紐打ちプロセスに関わる当業者にとっては、本明細書で説明したOFT形成プロセスは、織りおよび組紐打ちプロセスの確立された原理に、先に示した理由および以下の理由から、技術的に対応していないことは明らかである。
【0246】
織りプロセスの主要な特徴と比較して、OFT形成プロセスは以下の点で異なる。
・根本的な「横糸挿入が後に続く開口」動作が伴わない。
・経糸および緯糸のような、決められた投入材料の組み合わせがなく、したがってその設定が行われない。
・経糸(90度)および緯糸(0度)が永続的な関係を持つ織りプロセスに発生するような、布地を構成する材料間の固定した関係がない。
・布地−幅方向に形成されるトンネルもしくは杼口の閉じた幾何学的な形状がない。
・いかなる杼口においても、緯糸のような材料の増分挿入がない。
・筬打ちを必要としない。
・OFTの長手方向縁の間に直線状の布地落ちがない。
・テンプルを使用するような、布地幅の延長を必要としない。
・置かれたテープの幅方向に巻き取る/巻くために、製造された布地が前進しない。
・布地の長さおよび幅方向もしくは巻き取り中のいずれかに伴う布地の引張りがない。
・布地のいかなる構成材料も、経糸および紐打ちヤーンのように、最初から最後まで連続して延びるものではない。
・いかなる長さの布地の製造においても、材料を結合する必要がない。
【0247】
平組紐打ちプロセスの主要な特徴と比較して、OFT形成プロセスは以下の点で異なる。
・2セットの投入テープが同時に引き出されない。
・いかなるテープスプールも横断しない。
・スプールが横断するためのエンドレス・トラック/通路がない。
・製造中、布地とテープ供給スプールとの間にテープの連続性がない。
・供給スプールから布地形成域にて投入テープ材料が角度的に収束しない。
・テープの組み込み角度を変えるための、スプール平面と布地形成平面との距離の変更がない。
・OFTの長手方向縁間に直線状の布地落ちがない。
・布地の幅および長手方向の整合を維持するために、布地がそこを通過する加圧ローラーがない。
・2つの投入テープで維持されるべき連続した引張りがない。
・布地縁の連続した自己結束がない。
・布地を構成するテープが、最初から最後まで、連続して延びるものではない。
・いかなる長さの布地の製造においても、材料を結合する必要がない。
【0248】
OFT形成プロセスのその他の新規な特徴は、以下のとおりである。
・布地の製造は、継続段階が続く開始段階にテープを置くことを伴う。
・置かれた各テープ長さのおよそ半分が布地を形成する一方、残りの半分が布地の本体から自由に延在し、(OFT本体の全幅に)露出した状態とされる。
・布地本体内のおよび布地本体から延長するテープは、布地の対向する長手方向縁側部の間で、引張りのない状態のままとされる。
・OFT本体から延在する一配向の所望のテープの自由端は、OFTを形成するため、他の配向のより新しいテープを受け取るために変位される。
・所望のテープの自由端は、新規な機能性OFTを生成するために折ることができる。
・OFT本体は、最初に、全幅に達するまで長手方向および横方向に成長し、その後は長手方向のみに成長する。
・製造された布地の本体は、平行する長手方向縁が、他の残りの辺よりも多く延在する、伸張した六角形もしくは台形(完全に封じられた/閉じられた一長手方向縁を有するOFT)に似ている。
・柔らかい/繊細なタイプから強固な/硬質なタイプまで、いかなる種類の材料も、変更を要さず加工できる。
・異なる構成材料のOFTを、新たな製造設定をするためにプロセスを止めることなく、対応する材料スプールに変更するだけで、製造することができる。
・1つの連続的に封じられた縁、もしくは2つの非連続的に封じられた縁、もしくは連続的に開いた縁を有するOFTを製造できる。
・垂直もしくは水平もしくはそれらを組み合わせたスリットを有するOFTを製造できる。
【0249】
OFT形成プロセスのその他の有用性
前述したOFT形成プロセスは、テープの前端変位構成(16)を、相互に対向する形体に組み込む。それらは構成(11)の2つの長手方向側部に配置され、それにより、それらは互いに平行に生じる。しかし、それらはまた、構成(11)の2つの隣接する側部に沿って配置することができるか、もしくは構成(11)のベッド自体に好適に組み込むことができ、それによって、それらはお互いに角度をなして生じる。そのような角度は、図30aから30cに平面図で示されるように、鈍角(x度)もしくは直角(y度)もしくは鋭角(z度)であることができる。そのような、OFT形成プロセスの特定の構成の再配置および好適な改良によって、対応する角度でテープを備えた特定の長さおよび幅の布地が、直接製造できる。
【0250】
そのような改良されたOFT形成装置は、例えば、壊れやすく脆いといった、加工が難しい特定の材料(例えば、ホウ素、セラミックおよび金属皮膜の繊維)のテープのバッチ製造において極めて有用である。これらのおよび他のそのような繊維材料は、壊れやすさ/脆さのために、従来の方法では布地材料に加工するのが難しい。さらに、これらの繊維材料は、炭素、ガラス、ポリマーおよび金属のような他の繊維と比べて大量生産されず、従来の織物加工に通常必要とされる長いものは、普通は入手できない。改良されたOFT形成装置はしたがって、そのような特別な材料を用いた特定の面積の布地を製造するのに有用である。
【0251】
ホウ素、セラミックおよび金属皮膜の繊維のような材料の、特別の目的で作られた布地は、特定の用途のために、比較的非常に少量および特定用途向け寸法(長さおよび幅)で必要であり、従来のプロセスによる製造では、実施困難であり、不経済であり、および損傷を受けやすい。さらに、ホウ素、セラミックおよび金属皮膜の繊維のような材料は比較的極めて高額であるため、それらの製造時の無駄を、もし完全になくならないとしても、最小限にしなければならない。
【0252】
このような状況では、OFT形成プロセスの原理は、有利に採用することができる。図31aからcは、特定の面積の布地を製造するために改良された構成を例示し、そこではテープの前端変位構成(16aおよび16b)が隣接するように配置され、それらの間に鋭角を作る(図31a)。図31bから推測できるように、各方向からの第一のテープが、テープ置き構成(15aおよび15b)によって構成(11)にひとつずつ置かれ、第二の(短い)テープが第一の(長い)テープの上に載る。次に、第一の長いテープの前端が、構成(16b)および、以前に置かれた第一の短いテープに隣接して平行に置かれ一部は第一の長いテープの下に置かれる第二の短いテープによって変位される。それに続いて、第一の短いテープの前端は、構成(16a)および、以前に置かれた第一の短いテープに隣接して平行に置かれ一部は第一の長いテープの下に置かれる第二の短いテープによって変位され、図31bに示される布地をもたらす。置かれたテープの前端を好適な方法で変位させ、長短のテープを対応して置くことでプロセスを続けると、図31cに示される特定の面積の布地材料がこのように直接製造される。
【0253】
製造されるべき所望の布地材料の面積は規定されているため、前進するおよび巻く構成を含める必要がない。製造された材料の構造は、例えば前述した好適な一体化方法によって、もしくは好適な接着テープを四辺に固定することで、結合することができる。
【0254】
説明したOFT形成プロセスが有利に活用できる別の可能性がある。この可能性によって、テープは、一対もしくは二対の互いに対向して配置されたテープを置くための構成(15)を用いることにより、構成(11)の四方向から置くことができる。したがって、一対の互いに対向したテープを置くための構成(15a´および15b´)を用いる際、それは最初に、例えば図32aの破線に示されるように、構成(11)の長手方向側部に平行に位置させることができ、そしてテープを布地の長さ方向に対応して構成(11)に置き、予め構成させることができるため、テープは図32aに示されるように対向して設置されるテープ前端変位構成(16aおよび16b)の間に生じる。それから、この一対のテープを置くための構成(15a´および15b´)は、図32aの(15aおよび15b)に示される隣接位置に、構成(11)の端方向からテープを置くために動かすことができる。左側のテープ置き構成(15a)に面する奇数の予め構成されたテープの前端、および右側のテープ置き構成(15b)に面する偶数の予め構成されたテープの前端は、構成(16aおよび16b)によって、同時に変位されることができる。図32bに示されるように、各側から1つの一対の交差方向テープが、対向する各端部から1つ、予め構成されたテープの中間まで、形成された正面の開口の中に同時に置くことができる。
【0255】
次に、左側のテープ置き構成(15a)に面する偶数の予め構成されたテープの前端、および右側のテープ置き構成(15b)に面する奇数の予め構成されたテープの前端は、構成(16aおよび16b)によって、同時に変位することができる。図32cに示されるように、各側から1つの一対の交差方向のテープが、対向する各側部から1つ、形成された正面の開口の中に、以前に置かれたテープの近隣に平行に、同時に置くことができる。
【0256】
図32dに示されるように、説明したプロセスは繰り返すことができ、テープ置き構成(15aおよび15b)のストロークの長さは、各テープを置いた後、好適な特定の面積の布地材料が製造されるまで、好適に短縮/縮小される。
【0257】
別の代替の可能性としては、テープを置くための構成(15)は、構成(11)の各四辺、および、前述のラインで製造された特定の面積の布地に、永久的に配置することができる。ここでは、一方の、テープを置くための互いに対向する一対の構成が、構成(11)に、一方の方向でテープを置き、予め構成するよう機能し、もう一対は、後続して、他方の方向からのテープの仕込みを実行するため、テープを置くための構成は、隣接する位置に動かさなくてもよい。
【0258】
ここで推測できるように、それらの間に鋭角または直角または鈍角を作る構成テープを用いた特定の面積の布地材料の製造は、一対の交差方向テープが対向する方向から同時に置かれるため、比較的短い時間で達成できる。またここでも、前進および巻取り構成を組み込む必要がない。得られた材料の構造は、例えば好適な接着テープを四辺に固定することにより、互いに保持できる。
【0259】
第一の方向のテープのグループを置き、それから続けて、第二の方向のテープを置くために、それらの前端を変位させて、OFTを製造する可能性もまた存在する。その間、次のグループの第一の方向のテープは同時に置かれ、より大きな特定の面積のOFTを製造するプロセスにいくらか継続性を与える。
【0260】
説明したOFT形成プロセスはまた、各角度方向のテープがお互いに近接して近くに置かれず、所望の距離だけ離れて置かれる、トレリス構造を製造するのにも採用できる。二方向のテープの重複する領域を好適に一体化することにより、安定した開いたOFT構造を直接製造することができる。
【0261】
さらに、トレリス構造の開口は、テープの重複および交差によって形成されるいずれかの単位四辺形の、一方または両方の代表対角線方向に配向される、繊維タイプもしくは非繊維タイプのテープ/バンドを受け入れることができ、その結果、二方向よりも多く配向されるテープを有する布地ができる。そのような構造は、多軸構造を構成する。
【0262】
説明したOFTプロセスの原理に続いて、当業者であれば、例えば、図32eおよび32fに示されるような三方向のテープを備える布地を製造するために、OFTプロセスの原理を有利に改良し、利用することができる。該布地は、機械性能、ドレーピング、およびシェーピング等を向上させるために、例えば他の布地と組み合わせて用いることができる。
【0263】
改良の可能性
前述した、OFTを製造するための様々な構成は、作動原理を図示するための例である。当業者にとっては、1つまたはより多くの説明した構成が、OFTを製造するための規定の状況に適合するように改良できることは明らかであろう。特定の構成がどのように変更/改良できるかを図示するため、いくらか例を以下に示す。
【0264】
(a)テープを置くための構成:図13に示される直線状に往復運動する構成(15)の代わりに、斜めに往復運動する構成を用いることができる。図33aに示される平面図では、アーム(15a)の一端が、点(P)に枢着されることにより、アーム(15a)は、適当な駆動構成(図示せず)によって、水平面内で揺動されることができる。アーム(15a)は、スプール(12a)から引き出されるテープ(12a´)を把持するために、一対の適当なフィンガー(15c)を、その両端側に備える。したがって、図33bに示されるように、アーム(15a)がベッド(11)に向かって揺動される際、一対のフィンガー(15c)の間に保持されるテープ(12a´)を、ベッド(11)に、ベッド(11)の長さ(もしくは幅)方向に関して好適な斜め配向で置くことができる。プロセスの次のサイクルでは、アーム(15b)は、スプール(12b)からのテープを、自らの一対のフィンガーにて受け取り、保持されたテープを好適な角度配向でベッド(11)に置くためにベッド(11)に向かって水平面内で揺動されるであろう。
【0265】
同様に、別の代替の方法は、図34aおよび34bに示されるように、垂直面内で揺動することができるアームを有する。構成(11)のベッドの上に配置される一対のアーム(15)(一方のアームのみ、図34aおよび34bに側面図で示される)は、一対のフィンガー(15c)に保持されるテープを構成(11)のベッドに置くために、図34bに示されるように、枢軸点(R)を中心に上下に回転することができる(構成(11)のベッドには、一対のフィンガー(15c)が当たるのを防ぐための好適な凹み(図示せず)が設けられている)。表示された図34aおよび34bでは、アーム(15)の構成が180度動くように示される一方で、例えば90度動くように、代替的に配置することも可能であり、その場合は、スプール(12)の軸は構成(11)のベッドに直角であろう。このタイプの構成は、スプール(12)およびグリッパー(14b)を用いてテープ(14a)を引き出すそれぞれの手段がベッド(11)に好適に位置決めできるため、所要床面を節約するのに有利になり得る。
【0266】
テープを置くための別の構成では、アーム(15a)を支点で支持することができ、それによって、アーム(15a)にて置かれるテープの配向をアームの相対角度位置を変えることによって変更できるか、もしくは、アーム(15a)に支持されるフィンガー(15c)が、互いについて、例えば異なる/対向する方向に相対的に変位することができ、それによって、フィンガー(15c)にて置かれるテープの配向を変えることができる。いずれの場合も、生じるOFT布地は、相対的に異なる角度に組み込まれた少なくとも一配向方向のテープを備える。
【0267】
(b)置かれたテープの前端を変位させるための構成:置かれたテープの前端を、構成(16m)のブロック(16e)/クランプ(16n)によって、図14bおよび14fに示されるように直線状に変位させる代わりに、点(S)で枢着されるアーム(16h)を、テープの前端を斜めに変位させるのに使うことができる。図35aに示されるように、適当に間隔をあけた一連のクランプ(16k)は、ベッド(11)に生じるテープの対応する選択した前端を個別に支持するために、アーム(16h)に備えることができる。適当に整合する間隔をあけた一連のクランプ(16k´)は、ベッド(11)に固定される。点(S)で枢着されたアーム(16h)は、適当な駆動構成(図示せず)を介して、垂直面内で揺動させることができる。したがって、図35bに示されるように、クランプ(16k)を支えるアーム(16h)がベッド(11)から離れて揺動される際、テープの前端(図示せず)は、その厚さ方向に変位することができ、それにより、ベッド(11)に固定されるため静止したままであるクランプ(16k´)に保持されるテープとで正面の開口を作成する。揺動するアーム(16h)の自由端により近く固定されるクランプの方が、枢着端により近く固定されるクランプよりも、構成(11)の頂面に関してより大きく変位されるため、置かれたテープの前端が対応して様々に変位する。しかしながら、そのようなテープの前端の様々な変位は、置かれるテープの厚さを受け入れるためにはほんの小さな正面の開口の隙間だけで十分であるため、いかなる製造上の困難も引き起こさない。
【0268】
別の代替手段は、置かれたテープの好適な前端を、クランプしたテープを後方に(すなわちOFTの本体に向かって)屈曲/湾曲させるためにベッド(11)の上を水平面に揺動することができるアームに固定された一組の適当なクランプ構成によって保持することである。そのような各斜め方向のテープの後方への屈曲/湾曲は、V字形状の布地落ち位置の各側部まで交互に為すことができる。
【0269】
さらに別の代替手段は、複数のクランプを有する一対のシャフトを有することであろう。クランプは、一対のシャフトのいずれか一方に取り付けられる。これらのシャフトはそれぞれ、構成(11)の2つの長手方向側部のそれぞれに生じるテープの前端をこうして個別に制御することができる。これらのシャフトはそれぞれ、構成(11)の上に置かれ、その軸の周りに回転することができ、それによってクランプされたテープの前端を上下させる。
【0270】
さらに別の代替手段は、例えばエンドレスチェーン/ベルトを横断するように配置された前端変位ブロック/クランプを有することであろう。その結果、それらのブロック/クランプは、OFTが前進する際に、前端を変位させるために必要なだけ、テープの前端に係合したまま、ある箇所まで動き、それからそれらの前端を放し、新たに置かれたテープの新たな前端に再び係合するために、反対の箇所まで空の状態で横断する。
【0271】
(c)スプールからテープを供給するための構成:スプール(12a)および(12b)を、図6および8に示されるようにベッド(11)の側部に角度を付けて配置する代わりに、それらはまた、図33aに示されるように、ベッド(11)の端側に位置させることができる。この構成によって、2つのスプール(12a)および(12b)を、それらの軸が、ベッド(11)の長手方向側部に直角になった状態で有することができる。したがって、それらから引き出されるテープは、ベッド(11)の対応する長手方向側部に平行になる。この構成は、例えば、このセクションの事項(a)で図33aからbを参照して上記した揺動アーム(15aおよび15b)がテープをベッド(11)に置くために採用される場合に、用いることができる。この構成を介して、OFT形成装置の幅は比較的小さく作ることができる。
【0272】
(d)テープをマガジンから供給するための構成:好適な長さのテープをスプールから引き出す代わりに、あらかじめ切断されたテープを、テープを置くための構成(15)に対してテープを絶え間なく利用可能にする適当なマガジンに収容することができる。そのようなマガジンは、例えば、あらかじめ切断されたテープを保持しテープ置き構成(15)に呈するためのクランプをその両端側に有する回転ドラム形状、または、あらかじめ切断されたテープを定義された順で運び、そこからテープを適当な手段によって持ち上げ、テープ置き構成(15)に呈することができるコンベヤーベルトの形状、または、テープが片側から連続的に積まれ、反対側から摩擦車等によってテープ置き構成(15)に呈するために引き出される適当な容器の形状であることができる。これらのおよび他の、あらかじめ切断されたテープを絶え間なく供給する構成によって、OFTの生産プロセスは技術的にOFTをエンドレスで製造することができる。
【0273】
(e)OFTを前進させるための構成:図5aおよび5bを参照して先に説明した、構成(11)の可動および静止部品は、図36に示されるように改良することができる。OFTの本体およびOFTの本体から延長するテープの前端は、可動部品Mの上に生じる。それらは対応する適当な押圧部品によって、OFTを前進させるための可動部品Mに対して押圧することができる。静止部品Vは、可動部品Mの「V」字形状の部品と合致する。「V」の角度は、テープによって規定される角度に対応することが望ましい。この構成では、可動部品Mは、構成(11)の巻取り側のより近くに配置され、静止部品Vは、供給側のより近くに配置される。可動および静止部品MおよびVはそれぞれ、OFTの製造および前進のための1つの平面/水平面を共通して提供するための作業ベッドを形成するために、好適に支持することができる。
【0274】
プロセスの変更の可能性
当業者にとっては、説明した、テープを用いたOFT生産プロセスを、SFTおよびHDPTだけでなく、天然、合成、有機、無機、金属、ポリマー等の材料の、ヤーン、トウ、「フラット」ヤーン、紐、糸、撚糸等の他の繊維および非繊維材料も用いて、OFTを製造するための特定の異なる方法で改良できることは、直ちに明らかになる。
【0275】
例えば、先に説明したように、好適なテープの全長を、正面の開口から事前に置かれたテープに近接して平行に一度に直接置く代わりに、1つのOFTが、テープ、トウ、「フラット」ヤーン等を開口の片側から反対側に引き出すことで代替的に製造することができ、それから、事前に置かれたテープ、トウ、「フラット」ヤーン等の近くに平行して置くことができる。
【0276】
説明したプロセスが変更できる別の方法は、特定の面積のOFT布地を製造する場合である。一斜め方向のすべてのテープは、最初に互いに近接して置くことができ、それからもう一方向のテープを、はじめに置かれたテープの前端の、ベッド(11)の片側のみからの好適な変位、および適当に行われる一体化を実行することによって、連続して置くことができる。
【0277】
さらに、プロセスが改良できる別の方法は、延長したテープ端を対応する長手方向縁側部で折り、テープの折られた部分と同じ斜め配向にある別のテープに(例えば熱溶接、接着、付着等によって)結合されることである。そのようなテープとテープの結合は、OFTの本体内で(すなわち、長手方向縁から好適な距離で)行うことができる。もしそのようなテープ端の結合処理が両長手方向縁のより近くで連続的に行われるならば、両OFT側部に完全に閉じた長手方向縁を形成することができる。しかし、OFTにテープの切れ目が生じ、また、OFTはテープの結合部でより厚くなる。
【0278】
さらに、プロセスが改良できる別の方法は例えば、棒針を、構成(18)および(19)同士の間、すなわち製造されたOFT材料を前進させるための構成と、製造されたOFT材料をロールに集めるための構成との間の適当な個所に含めることである。このように、OFT材料は、ロールに巻きとられる前に、棒針によってループ編みされる。そのような棒針を用いることで、OFT材料は、ロールに巻かれる前に、長さもしくは幅もしくはこれらの両方向に追加的にループ編みすることができる。そのようなループ編みは、例えば4つの近接するテープの間に形成される隙間/開口、すなわち4つのテープに囲まれる開口で為すことができ、それによって、ループ編みのヤーンは布地の表面で浮き上がる。
【0279】
使用
当業者にとっては、本明細書に記載した新規なOFTが、独特の構造的な特徴を有し、したがって、性能、材料特性、および製品の美観の向上を実現するために、独立してもしくは他の布地と組み合わせて用いることができることは明白である。したがって、1つまたはそれ以上の開示されたOFTを組み込む製品は、現時点で達成が可能なものより、対応する独特のさらなる向上を示す。例えば、異なる方向で強さを得る/付与するために、織ったり、美観のためにOFTを織りの頂部に組み込んだり、ドレープ性および性能等の向上のために対象を包み、または覆つたりすることで、OFTを、個別にもしくは他の材料と組み合わせて用いることができる。
【0280】
さらに、OFTを製造するための説明した方法および手段が、テープのみを加工することに限定されないことは明白である。それはさらに特定のタイプのトウ、ロービング、「フラット」ヤーン、「テープ」ヤーン等を加工するために、好適に改良することができる。そのような材料を用いたOFTは、要求性能が比較的低い用途に使うことができる。
【0281】
説明した方法及び手段は、類似のもしくは非類似の材料のテープを用いたOFTを等しく製造することができ、それによって、異なる性質のOFTを直接生産することができる。
【0282】
OFTは、説明した方法および手段によって連続的に製造することができるため、OFTの製造を、例えば積層もしくは被覆ユニットと組み合わせることが可能になり、それによって、製造されたOFTは直接加工され、その後続の製品に変換されることができる。例えば、OFTは接着剤成分もしくはフィルムもしくはパターン等で、一面もしくは両面を連続的に被覆することができる。
【0283】
説明した方法および手段は、フラットなOFTを製造するのに限定されない。それはまた、「傘」のような起伏のある形状を有するOFTを製造するのにも採用される。輪郭が形成された特定のOFTを製造するために、好適な湾曲した形状のOFTを直接得るための説明した手順に従って、構成(11)のベッドを対応して付形することができ、そして、異なる長さのテープを引き出し、付形されたベッドに置くことができる。OFTを整った形状で入手できることは、高性能な商品を、より速く費用効率よく製造するのに直接役立つ。
【0284】
上述の記載から推測できるように、本明細書で開示される発明は、SFTおよびHDPTタイプを含めた、多数の用途および製品のためのテープを備える複数の独特のタイプのOFTを入手可能にする。様々な新規な詳細は、その主旨から離れることなく、多くの異なる方法で変更できる。これらのOFTは、性能、材料の性質/機能、および美観を向上させるために、個別にもしくは他の材料と組み合わせて用いることができる。したがって、上述の記載は、本発明の基本思想を図示したのみであり、以下に記載する請求項を限定するものではない。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図1h
図1i
図1j
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図2h
図2i
図2j
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8
図9a
図9b
図10a
図10b
図11
図12a
図12b
図13
図14a
図14b
図14c
図14d
図14e
図14f
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図15f
図15g
図15h
図15i
図15j
図15k
図16a
図16b
図17a
図17b
図17c
図18a
図18b
図19
図20a
図20b
図20c
図20d
図20e
図21a
図21b
図21c
図22
図23a
図23b
図23c
図23d
図23e
図24
図25
図26a
図26b
図26c
図26d
図26e
図26f
図26g
図26h
図26i
図26j
図27a
図27b
図27c
図27d
図27e
図28a
図28b
図28c
図29a
図29b
図29c
図29d
図29e
図29f
図29g
図29h
図29i
図29j
図29k
図30a
図30b
図30c
図31a
図31b
図31c
図32a
図32b
図32c
図32d
図32e
図32f
図33a
図33b
図34a
図34b
図35a
図35b
図36