特許第6205095号(P6205095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205095疎水性カンプトテシン誘導体の医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205095
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】疎水性カンプトテシン誘導体の医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4745 20060101AFI20170914BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20170914BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 41/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170914BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   A61K31/4745
   A61K47/24
   A61K47/12
   A61K47/34
   A61K45/00
   A61K41/00
   A61P35/00
   A61P43/00 121
   A61K9/107
【請求項の数】17
【全頁数】50
(21)【出願番号】特願2014-540166(P2014-540166)
(86)(22)【出願日】2012年11月2日
(65)【公表番号】特表2014-532727(P2014-532727A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】US2012063447
(87)【国際公開番号】WO2013067449
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年9月14日
(31)【優先権主張番号】61/555,084
(32)【優先日】2011年11月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514090315
【氏名又は名称】タイワン リポサム カンパニー、エルティーディー.
(73)【特許権者】
【識別番号】514090142
【氏名又は名称】ティーエルシー バイオファーマシューティカルズ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】カン、ペイ
(72)【発明者】
【氏名】ハング、チアハング
(72)【発明者】
【氏名】ホング、キーラング
(72)【発明者】
【氏名】ツェング、ヤン−ロング
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ユン−フ
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−512714(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101283983(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102018670(CN,A)
【文献】 特表2008−519045(JP,A)
【文献】 Journal of Controlled Release,2008年,Vol.127,p.231-238
【文献】 Nanomedicine: Nanotechnology, Biology, and Medicine,2005年,Vol.1,p.77-84
【文献】 European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics,2006年,Vol.64,p.261-268
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00−33/44
A61K9/00−9/72
A61K47/00−47/69
A61P1/00−43/00
A61K41/00
A61K45/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のミセルであって、前記ミセルの各々は医薬組成物を有し、前記医薬組成物は、
少なくとも1つの疎水性カンプトテシン誘導体または前記誘導体の薬学的に許容される塩と、
少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)抱合型リン脂質とを有し、
前記疎水性カンプトテシン誘導体または前記疎水性カンプトテシン誘導体の薬学的に許容される塩に対する前記PEG抱合型リン脂質のモル比が、0.45:1〜1.5:1であり、
前記疎水性カンプトテシン誘導体は、TLC388HCl、TLC1988HCl、及びそれらの混合物からなる群から選択される、ミセル。
【請求項2】
請求項1記載の複数のミセルであって、さらに、少なくとも1つのpH調整剤を有する、ミセル。
【請求項3】
請求項2記載の複数のミセルにおいて、前記pH調整剤は酒石酸である、ミセル。
【請求項4】
請求項2記載の複数のミセルにおいて、前記pH調整剤はクエン酸である、ミセル。
【請求項5】
請求項1記載の複数のミセルであって、さらに、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体を有する、ミセル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の複数のミセルにおいて、前記疎水性カンプトテシン誘導体または前記疎水性カンプトテシン誘導体の前記薬学的に許容される塩に対する前記PEG抱合型リン脂質のモル比は約0.60:1〜約1.00:1である、ミセル。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか記載の複数のミセルにおいて、前記疎水性カンプトテシン誘導体または前記疎水性カンプトテシン誘導体の前記薬学的に許容される塩に対する前記PEG抱合型リン脂質のモル比は約0.70:1〜約0.90:1である、ミセル。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか記載の複数のミセルにおいて、前記医薬組成物は、約4未満のpHを有するものである、ミセル。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか記載の複数のミセルにおいて、前記PEG抱合型リン脂質は、リン脂質部分に抱合した約1,000〜約20,000ダルトンの分子量を有するPEG部分を有するものである、ミセル。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか記載の複数のミセルにおいて、前記PEG抱合型リン脂質はPEG−DSPE抱合体である、ミセル。
【請求項11】
請求項10記載の複数のミセルにおいて、前記PEG−DSPE抱合体はメトキシルPEG−DSPE抱合体である、ミセル。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか記載の複数のミセルにおいて、前記ミセルは約40nm未満の粒径を有するものである、ミセル。
【請求項13】
請求項1記載の複数のミセルにおいて、前記医薬組成物は、
TLC388HCl、またはTLC388HClの薬学的に許容される塩から成る群から選択される少なくとも1つの化合物と、
メトキシルPEG−DSPE抱合体と、
クエン酸とを有し、
前記TLC388HCl、またはTLC388HClの薬学的に許容される塩に対する前記メトキシルPEG抱合型リン脂質のモル比は、約0.45:1〜約0.9:1である、ミセル。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか記載の複数のミセルであって、さらに、1またはそれ以上の抗癌剤を有する、ミセル。
【請求項15】
請求項14記載の複数のミセルにおいて、前記抗癌剤は電離放射線である、ミセル。
【請求項16】
請求項14記載の複数のミセルにおいて、前記抗癌剤はアントラサイクリン抗生物質、DNA合成阻害剤、アルキル化剤、抗葉酸剤、または代謝阻害剤である、ミセル。
【請求項17】
請求項14記載の複数のミセルにおいて、前記抗癌剤は標的癌療法に用いる抗癌剤である、ミセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2011年11月3日付け出願米国出願第61/555,084号の優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、1つ又はそれ以上の疎水性カンプトテシン誘導体を含む医薬組成物および癌細胞の増殖の阻害又は抑制におけるそれらの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カンプトテシン((S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1H−ピラノ[3’4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H、12H)−ジオン))("CPT")[Camptothecin((S)−4−ethyl−4−hydroxyl−1H−pyrano−[3’4’:6,7]indolizino[1,2−b]quinoline−3,14(4H,12H)−dione))("CPT")]及びその誘導体は、広範囲の抗癌活性を有する強力なトポイソメラーゼI阻害剤として知られている。しかしながら、係る化合物は、水溶性が低く、生物学的利用能および貯蔵安定性が減少している。さらに、これらの化合物は、貧血、好中球減少症および/または血小板減少症をもたらし得る骨髄抑制などの重度の有害反応を有する。したがって、CPTおよびその誘導体の臨床応用が制限されている。
【0004】
上記で概説した欠点を考慮すると、薬物の溶解性を改善し、貯蔵寿命および安定性を延長し、副作用を低減した、CPTおよびその誘導体の医薬組成物を提供する必要がある。
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、以下のものがある(国際出願日以降国際段階で引用された文献及び他国に国内移行した際に引用された文献を含む)。
(先行技術文献)
(特許文献)
(特許文献1) 米国特許出願公開第2008/0193509号明細書
(特許文献2) 米国特許出願公開第2008/0213385号明細書
(特許文献3) 国際公開第01/85131号
(特許文献4) 米国特許出願公開第2004/0247624号明細書
(特許文献5) 米国特許出願公開第2010/0166843号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも1つのCPT誘導体又は前記CPT誘導体の薬学的に許容される塩と、モル比(リン脂質:CPT)約0.45:1又はそれ以上のポリエチレングリコール(PEG)が抱合(conjugate)したリン脂質とを含む医薬組成物に向けられている。前記CPT誘導体またはその薬学的に許容される塩は、前記PEG部分が約1,000〜約20,000ダルトンの範囲の分子量を有する、PEG抱合型リン脂質体と、ミセルを形成する。
【0006】
本発明はまた、それを必要とする被験者の癌細胞を阻害する方法であって、該被験者に本明細書記載の医薬組成物の有効量を投与することを含むものである、方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示し、当該説明とともに本発明の原理を説明する役を果たす。
図1図1は、CM315組成物の粒度分布を示す。
図2図2は、CM316組成物の粒度分布を示す。
図3図3は、ヒト造血前駆細胞に対する遊離TLC388 HCl、トポテカン(Topotecan)、およびリポテカン(登録商標)(Lipotecan(登録商標))の毒性効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
上記および本開示全体を通して用いられる場合、以下の用語は、特に明記しない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである。
【0009】
本明細書で使用する場合、当該文脈が明確に否定しない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数形の意味を含む。
【0010】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、持続時間などのような測定可能な値に言及する場合、断りのない限り、特定した値から、±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%,更により好ましくは±0.1%の変動を、係る変動が、CPT誘導体の投与量に応じて適切なように、包含することを指す。本明細書で使用する場合、範囲に言及する場合、別に特定されない限り、「約」という用語は、特定した値から、±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%,更により好ましくは±0.1%の変動を、係る変動が、投与量に応じて適切なように、包含することを指す。
【0011】
「ミセル」は、通常、閉鎖された区画を定義する、単一の単分子層で構成された球状の容器として定義される。界面活性剤および脂肪酸のような両親媒性分子は、極性溶媒中で、自然に、ミセル構造を形成する。ミセルは、通常ナノメートル範囲の粒径を持つ球形の形状を有する。ミセルの形成は、水性環境からの疎水性部分の除去と水分子との水素結合ネットワークの再確立により、該システムにおける自由エネルギーを減少させることによって推進される。ミセルでは、極性両親媒性分子の配列があり、該構造の前記親水性部分(すなわち、頭部)が外面を形成し、前記疎水性部分(すなわち、尾部)が媒体から離れて、内部に存在する。ミセルは、二層構造を持たず、小胞(vesicles)またはリポソームとは見なされない。本発明の化合物は、ミセルと会合した場合、前記区画内でミセル膜に結合しているか、またはミセルの外側表面に結合しているかのいずれかである。
【0012】
「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩を含む。「薬学的に許容される酸付加塩」は、生物学的有効性および前記遊離塩基の特性を保持し、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及び例えば、酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸等と形成される塩を指す。
【0013】
本明細書で使用する「有効量」は、例えば、塊,痛み、体重減少などの癌の症状および徴候を減少させるのに十分である医薬組成物の投与量を含む。
【0014】
用語「阻害する」及び「抑制する」は、癌の増殖を遅らせるか又は、止めることを含む。
【0015】
用語「癌」は、悪性新生物、つまり組織の異常な塊、正常組織の成長を越え、非協調的である、組織の成長であって、その変化を誘発した刺激の停止後に同じ過剰な様式で持続する、成長として、最も広範な一般的な定義で考慮されるべきである。本発明の製剤を投与することによって治療する癌のタイプの例は、肝臓癌、前立腺癌、大腸癌および神経膠腫を包含するが、これらに限定されない。
【0016】
用語「疎水性」は、水と混ざらないか又は結合しない傾向がある、または水に溶解し得ないことを含む。
【0017】
ここで使用される用語「治療する」、「治療した」または「治療」は、予防(例えば予防薬)、緩和、および治癒的用途や結果を含む。「被験者」という用語は、癌または他の疾患を有する脊椎動物を含む。好ましくは、前記被験者は哺乳動物、好ましくはヒトを含む、温血動物である。
【0018】
用語「電離放射線」は、従来のがん治療の治療分野で採用されているもので、例えばX線のみならず放射性核からの、例えばアルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線などの、化学結合のイオン化に十分なエネルギーを持つ、光子を含む。前記放射線は、高LET(linear energy transfer,線エネルギー付与)または低LETである。LETは、当該距離の単位長さ当たりの伝達されるエネルギーである。高LETは、高密度電離放射線と言われ、低LETは、低密度電離放射線と言われている。高LETの代表的な例は、中性子およびアルファ粒子である。低LETの代表的な例は、X線及びガンマ線である。X線及びγ線の両方を含む低LET放射線は、最も一般的には、癌患者の放射線療法のために使用される。前記放射線は、通常、外来患者ベースで実施される、外部放射線療法のためか、または、前記腫瘍に非常に近接またはその内側に配置される放射線を使用する内部放射線療法のためかに使用される。内部放射線療法の場合、当該放射源は、通常、インプラントと呼ばれる小さなホルダーに封入されている。インプラントは、細いワイヤ、カテーテルと呼ばれるプラスチックチューブ、リボン、カプセル、又はシーズの形態である。前記インプラントは、体内に直接置かれる。内照射療法は、入院が必要である。前記電離放射線源は、放射線の単位用量として提供され、好ましくはX線管であるが、それは、多くの利点を提供するからである、例えば、便利な調節可能な投与量であって、その線源は、容易に、オンとオフし得、廃棄問題が最小限である等である。放射線の単位用量は、グレイ(Gy)で測定される。前記電離放射線源は、また、放射性同位元素、例えば、固体放射性同位体源(例えば、ワイヤ、ストリップ、ペレット、シード、ビーズなど)、又は液体放射性同位体充填バルーンを含む。後者の場合、前記バルーンは、体管腔または血流中に前記バルーンから放射性同位体物質が漏れるの防止するように特別に構成されている。さらに、電離放射線源は、ペレットまたは液体のような放射性同位体物質を受容するための容器を、カテーテル本体内に含む。放射性同位体物質はα、βおよびγ線を放出するように選択する。通常、αおよびβ放射線は、すぐに周囲の組織によって吸収され、治療中の体管腔の壁を越えて実質的に浸透しないので、好ましい。従って、治療領域に隣接する、心臓および他の器官の偶発的照射は実質的に除外し得る。投与される単位の総数は、電離放射線を用いる治療の当業者によって治療的に有効であると決定された量になるであろう。この量は、前記被験者と、治療中の悪性腫瘍または新生物とのタイプによって異なる。前記量は異なるが、患者は、数週間にわたって約30〜75Gyの投与量を受ける。
「アルキル」という用語は、指示された数の炭素原子を有する、1価の飽和脂肪族炭化水素基を指す。例えば、「C1〜6アルキル」または「炭素数1〜6のアルキル」または「Alk1〜6」は、その構造中に1〜6個の炭素を含有する任意のアルキル基を指すことになる。「C1〜20アルキル」は、1から20個の炭素を有する任意のアルキル基を指す。アルキルは、直鎖(すなわち、線状)または分枝鎖である。低級アルキルは、1〜6個の炭素のアルキルを指す。低級アルキル基の代表例は、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、アミル、sec−ブチル、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等を含む。高級アルキルは、7個及びそれ以上の炭素のアルキルを指す。これらは、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなど及びこれらの分枝変異体を含む。前記の基は、選択的に、本発明の範囲内に入る化合物の製造を有意に妨害せず、前記化合物の有効性を低下させない位置に置換基で置換される。前記アルキルは、選択的に、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノから成る群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換される。
【0019】
用語「アルキレン」は、好ましくは、1〜8個の直鎖状(線状)または分岐した炭素原子を有する2価の飽和脂肪族炭化水素基を指す。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、n−プロピレン(−CHCHCH−)などの直鎖の基及びイソ−プロピレン(−CHCH(CH)−)又は(−CH(CH)CH−)などの分枝基によって例示される。
【0020】
用語「アルコキシ」は、Rがアルキルである式RO−の1価の基を指す。低級アルコキシは、1〜6個の炭素原子のアルコキシ基を指す。高級アルコキシは、7個又はそれ以上の炭素原子のアルコキシである。代表的な低級アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、イソペンチルオキシ、アミルオキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、tert−ペンチルオキシなどを含む。高級アルコキシ基は、本明細書に記載された高級アルキル基に対応するものを含む。前記基は、選択的に、本発明の範囲内に入る化合物の製造を有意に妨害せず、前記化合物の有効性を低下させない位置に置換基で置換される。前記アルコキシは、選択的に、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノから成る群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換される。
【0021】
用語「シクロアルキル」は、環を形成する3個又はそれ以上の炭素を有する1価脂環式飽和炭化水素を指す。既知のシクロアルキル化合物は、最大30個又はそれ以上の炭素原子を有するが、通常、環内に3〜7個の炭素原子が存在するであろう。後者は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルを含む。前記基は、選択的に、本発明の範囲内に入る化合物の製造を有意に妨害せず、前記化合物の有効性を低下させない位置に置換基で置換される。前記シクロアルキルは、選択的に、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノから成る群から独立して、選択される1〜5個の置換基で置換される。
【0022】
用語「ヒドロキシカルボニル」は、式−C(O)OHを有する1価の基である。
【0023】
用語「低級アルコキシカルボニル」は、Alkが低級アルキルである、−C(O)OAlkを有する1価の基である。
【0024】
用語「低級アルコキシカルボニルオキシ」は、Alkが低級アルキルである、式−C(O)OAlkを有する1価の基である。
【0025】
用語「糖」または「糖残基」は、単糖、二糖、オリゴ糖又は多糖の任意のヒドロキシ基から水素を1個除去して形成される1価の基を指す。二糖、オリゴ糖又は多糖の一部である単糖単位は、5員環形態(フラノース)または6員環形態(ピラノース)として存在するDまたはL異性体である。単糖類の代表的な例は、グルコース、フルクトース、マンノース、およびガラクトースを含む。二糖類の代表的な例は、ラクトース、マルトースおよびスクロースを含む。オリゴ糖は、共に連結した3〜20個の単糖単位、より好ましくは共に連結した3〜15個の単糖単位を含む。オリゴ糖類の代表的な例は、マルトテトラオースおよびシクロデキストリンを含む。多糖類の代表的な例は、アミロース、デンプンおよびセルロースを含む。
【0026】
用語「リン糖酸(phosphosugar)」または「リン糖酸残基」は、単糖又は単糖がエーテル結合を介してリン酸に連結されているリン酸のいずれかのヒドロキシ基から水素の除去により形成される1価の基を指す。前記単糖は五員環形態(フラノース)または6員環形態(ピラノース)として存在するDまたはL異性体である。単糖類の代表的な例は、上記に記載されている。
【0027】
用語「低級アルコキシカルボニルオキシ」は、Alkが低級アルキルである、式−C(O)OAlkを有する1価の基である。
【0028】
用語「低級アルキルカルボニルアミノ」は、Alkが低級アルキルである、式−NHC(O)Alkを有する1価の基である。
【0029】
用語「置換低級アルキルアミノメチル」はAlkが置換された低級アルキルである、式−CHNHAlkを有する1価である。置換された低級アルキルアミノメチルの代表例は、(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、(ビス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、および(2−ヒドロキシエチルアミノ)メチルを含む。
【0030】
「ハロ」置換基は、クロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロから選ばれた1価のハロゲン基である。「ハロゲン化」化合物は、一つ又はそれ以上のハロ置換基で置換されたものである。クロロが好ましい。
【0031】
「1−ナフチル」または「2−ナフチル」は、それぞれナフタレン構造の1−または2−位から水素の除去によって形成された基である。基は、選択的に、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ホルミル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で置換される。
【0032】
「フェニル」は、ベンゼン環から水素を除去することによって形成された基である。前記フェニルは、選択的に、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ホルミル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換される。
【0033】
「環状アミノ」は、1個以下の窒素、酸素、または硫黄のような追加のヘテロ原子を有する、1価の飽和5−、6−、または7員環状アミン環である。代表的な例は、例えば、1−ピロリジノ、1−ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ等を含む。これらは、置換または非置換である。置換される場合、それらは、低級アルキル、低級シクロアルキル、ヒドロキシ低級アルキル、フェニル(置換または非置換)、ベンジル(置換または非置換)、アミノカルボニルメチル、低級アルキルアミノカルボニルメチル、アミノ、モノ−又はジ低級アルキルアミノ、または環状アミノから選択した、2個以下の置換基を有する。
【0034】
「1価の基」は単結合を介した基の結合を指す。
【0035】
「2価の基」は、二重結合を介した基の結合を指す。
【0036】
「ヘテロ原子」は、窒素、酸素、硫黄、又は、窒素または硫黄の任意の酸化型を指す。
【0037】
「シアノ」は、1価−CN基を指す。
【0038】
「ニトロ」は、1価−NO基を指す。
【0039】
「アミノ」は、1価−NH基を指す。
【0040】
「ホルミル」は、1価−CHO基を指す。
【0041】
「トリ低級アルキルシリル」は、低級アルキル基が同一又は異なる3個の低級アルキル基で置換された1価のシリル基を指す。
【0042】
「低級アルキルカルボニルオキシメチル」は、一価の−CHC(O)(低級アルキル)基である。
【0043】
「置換ビニル」は、一つ又はそれ以上のCH基が、アルキル、ハロ、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノ、からなる群から独立して選択される、1〜3個の置換基で置換されている置換−CH=CH基を指す。
【0044】
「ヒドロキシ」は、1価のOHを指す。
【0045】
「炭素環」は、3〜18員環で、すべての該環原子が炭素で、完全に飽和、部分的に飽和、または不飽和(つまり本質的に、芳香族性)である、1価または2価の基を指す。前記炭素環基は、単結合または二重結合を通して、飽和、部分飽和、または不飽和環を介して結合される。炭素環基は、2,3、または4個の環を含有して縮合し、該縮合環は、独立して、飽和、部分飽和、又は不飽和である。炭素環式基の例は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、およびテトラセニルを含む。前記基は、選択的に、本発明の範囲内に入る化合物の製造を有意に妨害せず、前記化合物の有効性を低下させない位置に置換基で置換される。前記基は、選択的に、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ホルミル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノ、糖残基、及びリン糖酸残基からなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換される。
【0046】
「カルバモイルオキシ」は、式R1314NC(O)O−(すなわちアミノカルボニルオキシ)の1価の基であって、R13とR14は、窒素原子と一緒に環状アミノを形成し、またはR13およびR14は、それぞれ独立して水素、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、アミノ低級アルキル、低級シクロアルキル、フェニル(置換または非置換)、またはベンジル(置換または非置換)であるものである。例は、アミノカルボニルオキシ、メチルアミノカルボニルオキシ、ジメチルアミノカルボニルオキシ、[4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノ]カルボニルオキシ、1−モルホリノカルボニルオキシ、1−ピロリジニル、1−ピペラジンカルボニルオキシ、及び当業者によって認識され、または本明細書に記された、他の例を含む。
【0047】
「複素環式」は、環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含む3〜10員環基の1価または2価の基であり、完全に飽和、又は部分的に飽和または不飽和(すなわち本質的に芳香族性)である。複素環は、単結合または二重結合を介して炭素原子またはヘテロ原子を通して結合される。前記複素環のヘテロ原子、例えばNは、選択的にN−オキシドとして存在し得、又は、Sは、選択的にスルホキシドまたはスルホンとして存在し得る。
【0048】
「5員複素環」は、環中に少なくとも1個のヘテロ原子を含む5員環の1価または2価の基であり、完全に飽和、部分的に飽和、または不飽和(すなわち本質的に芳香族性)である。前記複素環は二つまたはそれ以下のヘテロ原子を含有するであろう。前記複素環は、単結合または二重結合を介して炭素原子またはヘテロ原子を介して結合される。一つだけのヘテロ原子を有する不飽和の5員複素環の代表例は、2−または3−ピロリル、2−又は3−フラニル、および2−または3−チオフェニルを含む。対応する部分飽和または完全飽和基は、3−ピロリン−2−イル、2−又は3−ピロリジニル、2−または3−テトラヒドロフラニル、および2−または3−テトラヒドロチオフェニルを含む。2個のヘテロ原子を有する代表的な不飽和の5員複素環基は、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリルなどを含む。対応する完全飽和および部分的飽和基も含まれる。前記基は、選択的に、本発明の範囲内に入る化合物の製造を有意に妨害せず、前記化合物の有効性を低下させない位置に置換基で置換される。前記環は、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルボニルアミノ、糖残基、及びリン糖酸残基からなる群から選択される1または2個の置換基で置換される。
【0049】
「6員複素環」は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む1価又は2価の6員環の基であり、完全飽和、部分飽和または不飽和(つまり、本質的に芳香族性)である。前記複素環は二つ以下のヘテロ原子を含有する。前記複素環は、単結合または二重結合を介して炭素原子またはヘテロ原子を通して結合される。一つだけのヘテロ原子を有する不飽和6員複素環の代表例は、2−、3−、または4−ピリジニル、2H−ピラニル、および4H−ピラニルを含む。対応する部分飽和または完全飽和基は2−、3−、または4−ピペリジニル、2−、3−、または4−テトラヒドロピラニルなどを含む。2個のヘテロ原子を有する代表的な不飽和6員複素環基は、3−または4―ピリダジニル、2−、4−、または5−ピリミジニル、2−ピラジニル等を含む。前記対応する完全飽和および部分的飽和基も含まれる、例えば、2−ピペラジン。前記基は、選択的に、本発明の範囲内に入る化合物の製造を有意に妨害せず、前記化合物の有効性を低下させない位置に置換基で置換される。前記環は、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルボニルアミノ、糖残基、及びリン糖酸残基からなる群から選択される、1または2個の置換基で置換される。
【0050】
「縮合2−、3−、または4−環複素環」は、隣接環が1対の原子、炭素原子を共有する点で、多核である1価又は2価の基である。これは、例えば、窒素、酸素または硫黄などの非炭素原子を有する点で、環の少なくとも一つは、複素環式であろう。前記環システムは、9〜18の炭素原子を含有する。前記複素環は、単結合または二重結合を介して環の一つの炭素原子またはヘテロ原子を通して結合される。2環式複素環システムは、前記環に含まれる9又は10個の原子を有することになる。係る2−環システムの例は、キノリン、イソキノリン、プリン、インドリジン、4H−キノリジン、3H−ピロリジン、クマラン、クマリン、イソクマリン、4−メチルクマリン、3−クロロ−H−メチルクマリン、クロモン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、インドールなどを含む。3環システムは、12〜14原子が環に含まれることになる。係る3環システムの例は、カルバゾール、アクリジンなどを含む。4環縮合システムは16〜18個の原子が、前記環に含まれることになる。係る4環システムの例は、イソテバインなどを含む。前記基は、選択的に、本発明の範囲内に入る化合物の製造を有意に妨害せず、前記化合物の有効性を低下させない位置に置換基で置換される。前記基は、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、フェニル、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルボニルアミノ、糖残基、及びリン糖酸残基からなる群から独立して選択される、1〜5個の置換基で置換される。
【0051】
他の化学用語は、標準テキスト及び辞書からの手引きで当業者によって理解されるように、その標準的な意味が与えられる。この開示全体で使用される標準的な命名法の下では、置換基の末端部分を最初に述べ、次いで、その結合点に向かって隣接する官能基を述べる。従って、例えば、「アミノカルボニル」基は、−C(O)NH基を指し、「低級アルコキシメチル」基は−CH(低級アルコキシ)基を指し、「アミノ低級アルコキシ」基は、−(低級アルコキシ)アミノ基を指す、等。
【0052】
一態様において、本発明は、疎水性CPT誘導体又は前記CPT誘導体の薬学的に許容される塩と、ポリエチレングリコール(PEG)を抱合(conjugate)したリン脂質と、を含む医薬組成物を提供する。前記PEG部分は、約1,000〜約20,000ダルトンの分子量を有し、リン脂質部分に抱合される。前記PEG抱合型リン脂質は、前記CPT誘導体と、または,前記誘導体の薬学的に許容される塩とを、約0.45:1を超えるモル比で混合させてミセルを形成する。本発明のCPT誘導体の医薬組成物は、均一なミセル粒径、狭い粒径分布、長期保存安定性、改善された溶解性および低減された副作用を有する。
【0053】
本発明の別の態様は、被験者における癌細胞の増殖を阻害する方法に向けられ、該被験者に本明細書に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含み、それによって被験者における癌の症状および徴候が低減される。前記被験者の癌細胞は、選択的に、1種又はそれ以上の、放射線、従来の化学療法、および標的癌治療の一つ又はそれ以上の単位用量を含むが、これらに限定されない抗がん剤に曝露される。
【0054】
カンプトテシン誘導体
本発明における使用に適したカンプトテシン誘導体は、疎水性カンプトテシン誘導体である。疎水性カンプトテシン誘導体は、例えば、カンプトテシン((S)−4−エチル−4−ヒドロキシ−1H−ピラノ[3’4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H、12H)−ジオン))の一つ又はそれ以上の官能基にポリマーを添加することにより、従来の方法で形成される。前記疎水性カンプトテシン誘導体は、大体カンプトテシントと同程度活性であり得る。前記疎水性CPT誘導体の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7875602号明細書の式(I)の化合物および(II)の化合物を含む。
【0055】
式(I)のカンプトテシン誘導体は、次の通りである。
【0056】
【化1】
【0057】
Wは、アルキル−C(O)−、または、RY−LC(O)であり、但し、Wがアルキル−C(O)−である場合、R、R、R、R、またはRのうちの少なくとも一つがニトロであり;
Lは結合または直鎖アルキレン(1〜8)基であって、選択的に低級アルキル又は置換された低級アルキルで置換され、前記直鎖状のアルキレン基の、1個または2個のメチレン(−CH−)単位は、選択的にO、S又はNHで置換され;
Yは=NO−、−N(H)O−、=N−、−NR−、O、S、または結合であり;
RはH、アルキル、または置換されたアルキルであり;
は、選択的に置換された炭素環、複素環、又は縮合2−、3−または4環複素環であり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、トリ低級アルキルシリル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、低級アルキルカルボニルアミノ、低級アルキルカルボニルオキシメチル、選択的に置換された低級アルキルカルボニルオキシメチル、置換ビニル、1−ヒドロキシ−2−ニトロエチル、アルコキシカルボニルエチル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、ベンゾイルメチル、ベンジルカルボニルオキシメチル、低級アルキルイミノメチル、または低級アルコキシメチルであり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、CHNR(RとR各々は独立して、H、1〜6個の炭素数のアルキル、選択的に置換されたフェニル、ヒドロキシ低級アルキル、またはアミノ低級アルキル、またはモノ−またはジアルキルアミノ低級アルキル、またはRおよびRは−N−と一緒に環状アミノ−を表す)、CH(Rは、低級アルコキシ、シアノ、アミノ低級アルコキシ、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルチオ、アミノ低級アルキルチオ、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ低級アルキルチオ)、NR1011(R10とR11の各々は、独立して水素、低級アルキル、フェニル、ヒドロキシ低級アルキル、又はアミノ低級アルキル、又はR10及びR11は−N−と一緒に環状アミノを表す)、トリアルキルシリル、ジアルキルアミノアルキル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル又は低級アルキルカルボニルアミノ、又はRはRと一緒にフラン、ジヒドロフランまたは1,4−オキサジン−2−オンであり、そして、
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、カルバモイルオキシ、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、または低級アルキルカルボニルアミノ、またはRはRと一緒にフラン、ジヒドロフランまたは1,4−オキサジン−2−オンであり、RはRと一緒にメチレンジオキシであり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、トリアルキルシリル、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、または低級アルキルカルボニルアミノ、または、RはRと一緒にメチレンジオキシであり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、または低級アルキルカルボニルアミノであり;そして
は、選択的に置換された炭素環、複素環、または縮合2−、3−または4環複素環である。
【0058】
いくつかの実施形態では、WはRY−L−(O)−である。
【0059】
一般式(I)によって記載されるように、前記活性カンプトテシン誘導体に組み込まれるR基は、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ホルミル、低級アルキルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、ベンジルオキシ、選択的に置換されたピペラジノ、低級アルコキシカルボニル、および低級アルキルカルボニルアミノから成る群から独立して選択される、1〜5個の置換基で選択的に置換されたフェニル;ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノから成る群から独立して選択される、1〜5個の置換基で選択的に置換された、縮合2−、3−、または4−環複素環システム;ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノから成る群から独立して選択される1〜4個の置換基で選択的に置換された、1−又は2−ナフチル;又は、1または2個の窒素原子を含有する、5または6員複素環であって、その環が、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から選択される1または2個の置換基で選択的に置換されている複素環を含む。好ましい実施態様において、Rは、少なくとも一個のカルボニル、アミド、トリフルオロメチル、ハロゲン、ニトロ、ニトロソ、スルホニル、スルフィニル、ホスホリル、またはオキソ基で置換される。他の実施形態では、Rは、O−キノン、セミキノン、フルオレン、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ベンズアミド、ニコチンアミド、ベンゾトリアジンオキシド、フラン、チオフェン、オキサゾール、またはチアゾールであって、上述の基の各々は置換又は非置換である。
【0060】
他の実施形態では、Rは芳香族である。
【0061】
好ましくは、R、R、R、R、R、またはRの少なくとも一つは、電子親和性部分を含み、前記電子親和性部分は、(i)ニトロ、(ii)1つまたはそれ以上のカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、ニトロ、スルホニル、スルフィニル、ホスホリル、オキシドまたはシアノ基を有する炭素環式または複素環式芳香族部分で;(iii)2つまたはそれ以上のヘテロ原子を含有する複素環式芳香族部分;または(iv)金属錯体;または(v)金属が共有結合で炭素に結合している有機金属基である。
【0062】
炭素環または複素環芳香族の電子親和性部分は、合計5〜15個の環原子を有する、1〜3個の環を含む。前記ヘテロ原子はN、S、OおよびPから成る群から選択される。好ましくは、前記炭素環または複素環芳香族の電子親和性部分は、1〜2個の環を含むが、一つの環が現在最も好ましい。代表的な炭素環芳香族電子親和性部分は、1つ又はそれ以上のニトロ、ハロゲン、カルボニルまたはスルホニル置換基を含むフェニル及びナフチル基を含むが、ニトロ置換フェニルが好ましい炭素環式芳香族電子親和性部分である。代表的な複素環式芳香族電子親和性部分は、1つ又はそれ以上のカルボニル、トリフルオロメチル、ハロゲン、ニトロ、スルホニル、スルフィニル、ホスホリル、オキシドまたはシアノ基を有するが、好ましくは、少なくとも一つのニトロ基を有する、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ベンズアミド、ニコチンアミド、ベンゾトリアジンオキシド、フラン、チオフェン、オキサゾールおよびチアゾールを含む。
【0063】
金属錯体電子親和性部分は、好ましくはPt2+、Co3+、Fe2+、Fe3+,Pd2+、Cu2+、Ti4+、またはZr4+を金属として、2つのサブグループ:(a)上記した炭素環式及び複素環式芳香族電子親和性部分の金属錯体及び(b)窒素、炭素、又は硫黄を含む二座配位子の金属錯体に分類される。二座配位子の金属錯体は、式−BMに対応し、Bは、窒素、炭素または硫黄を含む二座配位子であり、Mは金属であり、Xは、Cl」又はOAcのようなアニオン性配位子であり、kは1〜4である。
【0064】
有機金属電子親和性部分は、脂肪族または芳香族水銀基である。水銀を含有する物質を組み込んだ放射線増感剤の調製および使用は、Shenoyet al,Cancer Investigation,10(6):533−551(1992)及びBruce et al,Radiation Res.,24:473−481(1965)に記載されている。
【0065】
式(I)の化合物に含めるのに特に適している電子親和性部分は、O−キノン、セミキノン、フルオレン、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ベンズアミド、ニコチンアミド、ベンゾトリアジンオキシド、フラン、チオフェン、オキサゾール、及びチアゾールを含むが、上述の基の各々は、置換または非置換である。好ましい実施態様において、Rは、この群から選択される。
【0066】
特に好ましい実施形態において、腫瘍細胞を放射線に感作させる方法は、以下からなる群から選択されるカンプトテシン系化合物を使用している。
【0067】
【化2】
【0068】
【0069】
【0070】
他の実施形態では、前記電子親和性部分は、以下の構造を有する2−ニトロイミダゾール−1−イルまたは3−ニトロ−1,2,4−トリアゾール−1−イル基であるRを含む。
【0071】
【化3】
【0072】
、R20は、ハロ、アルキル、または置換されたアルキルである。
【0073】
前記電子親和性部分は、直接に、カンプトテシンのC5、C7、C9、C1O、C11,C12、またはC20位置の炭素の1つに取り付けられるか、または、リンカーを介して間接的に結合される。前記リンカー、Lは、選択的に1個又はそれ以上の酸素、硫黄又は窒素原子により中断される、1〜8個の炭素数の任意のアルキレン基であるが、好ましいリンカーは、(CHまたは、−(T)−X−であり、Xは、O、S、−NR−、または結合であり;Tは独立してCRR、mは0〜3の整数;nは1〜3の整数であり、RおよびRの各々は、独立して、水素、低級アルキル、及び置換低級アルキルである。
【0074】
特に好ましい態様では、カンプトテシン誘導体の−20位の置換に含まれる、WO−は、以下からなる群から選択される。
【0075】
【化4】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
式(II)のカンプトテシン誘導体は、次の通りである。
【0080】
【化5】
【0081】
Xは、O、S、−NR−、または結合であり;
Yは、=NO−、−N(H)O−、=N−、−NR−、O、S;または共有結合であり;
Tは独立してCRR’であり;
RおよびR’の各々は、独立して、水素、C1〜4アルキル、及び置換されたC1〜4アルキルから選択され;
nは0〜8の整数であり;
は、選択的に置換された複素環式、アリール、またはヘテロアリールであり;
但し,Xは結合またはCHであり、nは、1,2または3であるとき、Yは、Rに結合している場合、酸素ではない;そして
但し、Xは結合またはCHであり、nは、1,2または3であり、そしてRは、少なくとも1個の窒素原子を含む複素環である場合、Yは前記窒素原子に直接結合していなく;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル,ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、トリ低級アルキルシリル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、低級アルキルカルボニルアミノ、低級アルキルカルボニルオキシメチル、選択的に置換された低級アルキルカルボニルオキシメチル、置換ビニル、1−ヒドロキシ−2−ニトロエチル、アルコキシカルボニルエチル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシメチル、ベンゾイルメチル、ベンジルカルボニルオキシメチル、低級アルキルイミノメチル、または低級アルコキシメチルであり、
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル,ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、CHNR(RおよびRはそれぞれ独立してH、1〜6個の炭素のアルキル、選択的に置換されたフェニル、ヒドロキシ低級アルキル、アミノ低級アルキル、またはモノもしくはジアルキルアミノ低級アルキルであり、またはRおよびRは、それが結合している窒素と一緒に環状アミノを表す)、CH(Rは、低級アルコキシ、CN、アミノ低級アルコキシ、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルチオ、アミノ低級アルキルチオ、又はモノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ低級アルキルチオである)、NR1011(R10およびR11の各々は、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、ヒドロキシ低級アルキル、又はアミノ低級アルキルであり、またはR10及びR11は、それらが結合している窒素と一緒に環状アミノを表す)、トリアルキルシリル、ジアルキルアミノアルキル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、または低級アルキルカルボニルアミノであり、またはRはR一緒に、フラン、ジヒドロフラン、または1,4−オキサジン−2−オンであり、
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル,ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、カルバモイルオキシ、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、または低級アルキルカルボニルアミノであり、またはRはRと一緒にメチレンジオキシであり、
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル,ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、または低級アルキルカルボニルアミノであり、
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RY−L−C(O)O−、シアノ、ニトロ、アミノ、トリアルキルシリル、ハロゲン化低級アルキル,ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、O−キノン、置換された低級アルキルアミノメチル、または低級アルキルカルボニルアミノであり、
は、選択的に置換された複素環、アリール、またはヘテロアリール基であり、またはRYは一緒にNR基を形成し、R、R、及びそれらが結合している窒素は環状アミンまたはイミド環を形成する。
【0082】
一実施形態では、R、R、またはRの一つが(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、(ビス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、および(2−ヒドロキシエチルアミノ)メチルからなる群から選択される。
【0083】
好ましい実施形態において、Rは、(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、(ビス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、および(2−ヒドロキシエチルアミノ)メチルからなる群から選択される。
【0084】
別の態様において、Rは、(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、(ビス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、および(2−ヒドロキシエチルアミノ)メチルからなる群から選択され;Rは、水素、ジメチルアミノ、アミノ、またはニトロであり;Rは、水素、ヒドロキシ、または4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノカルボニルオキシ;または、RはRと一緒に、メチレンジオキシであり;Rは、水素であり;または、RはRと一緒には、メチレンジオキシでありそしてRは水素である。別の実施形態において、Rは、(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、(ビス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、および(2−ヒドロキシエチルアミノ)メチルからなる群から選択され;Rは、水素であり;RはRと一緒にメチレンジオキシでありそしてRは水素である。
【0085】
さらに別の実施形態において、Rは、(トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル(ビス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ)メチル、および(2−ヒドロキシエチルアミノ)メチルからなる群から選択され、そしてR、R、R及びRの各々は水素である。
【0086】
好ましい実施形態では、Rは芳香族である。
【0087】
好ましい実施形態では、Xは共有結合である。さらに、Yは、=NO−または−N(H)0−であることがが好ましく、さらにより好ましくは、nは1であり、R及びR‘のそれぞれは独立してメチルまたは水素である。さらに好ましい態様において、Rは、好ましくは、1〜4個の芳香環を有する、置換または非置換の炭素環である。置換もしくは非置換の炭素環は、9−フルオレニルであり、好ましくは、少なくとも一つのニトロ基で置換されている。前記化合物の一実施形態では、Rは以下である。
【0088】
【化6】
【0089】
好ましい実施形態では、前記疎水性カンプトテシン誘導体は、以下からなる群から選択される。
【0090】
【化7】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
別の好ましい実施形態において、式(II)の化合物は、以下のRまたはRを含み、
【化8】
【0095】
20はハロ、アルキル、又は置換アルキルである。
【0096】
更なる式(II)の好ましい実施形態において、RY−(T)X−(O)O−は以下である。
【0097】
【化9】
【0098】
【0099】
【0100】
特定のCPT誘導体が特に好ましく、例えば、式(II)の化合物であって、Rは水素であり;RはCHNR(RおよびRのそれぞれは、独立してH、1〜6個の炭素原子のアルキル、選択的に置換されたフェニル、ヒドロキシ低級アルキル、アミノ低級アルキル、またはモノ−もしくはジアルキルアミノ低級アルキルであるか、またはRおよびRが−N−と一緒に、環状アミノ−を表現する)、NR1011(R10およびR11の各々はそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、フェニル、ヒドロキシ低級アルキル、又はアミノ低級アルキル、又はR10及びR11は、−N−と一緒に環状アミノを表す)、またはジアルキルアミノアルキルであり;Rは低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、カルバモイルオキシ、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニル、糖残基、リン糖酸残基、又はRはRと一緒にメチレンジオキシであり、Rは水素であるかまたはRと一緒にメチレンジオキシであり;そしてRは水素であるものである。
【0101】
より好ましくは、RはCHNRであり(RとRの各々は低級アルキルである)、Rは、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルカルボニルオキシであり、そしてRは水素である。この化合物の特に好ましい実施形態では、RはCHN(CHであり、および/またはRがヒドロキシである。
【0102】
同様に、式(II)の好ましい化合物は、次の特長がある:Rは水素、低級アルキルまたはハロゲン化低級アルキルであり;Rは、水素又は低級アルキルであり;Rは低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、カルバモイルオキシ、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルコキシカルボニル、糖残基、リン糖酸残基、又はRはRと一緒メチレンジオキシ;Rは、水素であるかRと一緒にメチレンジオキシであり;そしてRは水素である。
【0103】
好ましくは、Rは、水素であり、Rはカルバモイルオキシで、Rは水素である。さらにより好ましくは、Rは、低級アルキル、特にエチルであり、そしてRは4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノカルボニルオキシである。
【0104】
本発明の他の実施形態では、Rは水素であり、Rは4−(1−ピペリジノ)−1−ピペリジノカルボニルオキシである。
【0105】
本発明の他の実施形態において、Rは水素であり、Rは水素であり。Rは、tert−ブトキシカルボニルオキシである。
【0106】
本発明のさらに別の好ましい化合物は式(II)のものであり、Rは低級アルキルである;Rは、水素であり;Rは、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、または低級アルキルカルボニルオキシであり、;Rは、水素であり;そしてRは水素である。
【0107】
好ましくは、Rはエチルであり、Rはヒドロキシである
本発明のさらに別の好ましい化合物は、式(II)のものであり、R、R、RおよびRは、水素であり、Rはアミノまたはニトロである。式(II)の代替化合物は、以下の置換基を有する:Rは、トリ低級アルキルシリルであり;Rは、水素であり;Rはヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルコキシカルボニルオキシ、糖残基、リン糖酸残基、カルバモイルオキシまたは低級アルキルカルボニルオキシ;Rは、水素であり;そしてRは、水素である。
好ましくは、Rはt−ブチルジメチルシリルであり、Rはヒドロキシである。
【0108】
前記リンカー、L、は、炭素数1〜8の任意のアルキレン基であって、選択的に1個又はそれ以上の酸素、硫黄又は窒素原子により中断されていて、好ましいリンカーは(CH)m又は−(T)n−X−で、Xは、O、S、−NR−、または結合であり;Tは独立してCRR‘であり;。mは0〜3の整数であり;nは1〜3の整数であり、RおよびR’の各々は、独立して、水素、アルキル、および置換されたアルキルから選択される。
【0109】
さらに別の好ましい実施形態では、TLC388HC1として知られている本発明のカンプトテシン誘導体は、以下の異性体を含む。
【0110】
【化10】
【0111】
TLC388HC1はジアステレオマーであり、モル比約2:1の(S、S)及び(S、R)異性体を含む。本明細書において使用する場合、用語「S」または「R」は、R/Sシステムと呼ばれ、参照分子を関与することなく、その立体配置によって、光学異性体に名前を付ける方法である。これは、各キラル中心を、それぞれの原子番号に基づいて、カーン・インゴルド・プレローグ順位則(Cahn Ingold Prelog priority rules)に従い、そのリガンドは優先順位が割り当てられている、システムに従ってRまたはSと標識するものである。このシステムは、一分子中の各キラル中心を標識する(また、これは、キラル中心を含まないキラル分子へ拡張する)。該化合物が2つのキラル中心を有する場合、それは、例えば(S、R)異性体対(S、S)異性体として、標識され得る。
【0112】
本明細書に開示された疎水性のCPT誘導体は、遊離ヒドロキシルまたはアミン基を有する既知カンプトテシン系化合物を適切な電子親和性部分と反応させることにより、電子親和性グループを種々の方法を用いてCPTのC、C、C、C10、C11、C12またはC20炭素のいずれかにリンクすることで、調製される。本発明のCPT誘導体の調製方法は、米国特許第7875602号明細書に記載されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0113】
好ましい実施形態では、前記カンプトテシン誘導体はTLC388HC1、TLC1988HClおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0114】
本実施形態の別の群では、前記CPT誘導体は、式(V)の化合物を含むが、これは、米国特許第6350756号明細書に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
【化11】
【0116】
RはR−O−(CH2)−、mは1〜10の整数であり、そして,Rは、
ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ホルミル、低級アルキルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、ベンジルオキシ、選択的に置換されたピペラジノ、低級アルコキシカルボニル、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で選択的に置換されたフェニル;
ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、低級アルキルカルボニル、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で選択的に置換された、縮合2−、3−または4−環複素環システムであり、
ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、ヒドロキシカルボニル、低級アルキルカルボニル、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1〜4個の置換基で選択的に置換された、1−又は2−ナフチルであり;
1または2個の窒素原子を含有し、その環は、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノから選択される、1または2個の置換基で選択的に置換された、5または6員複素環であり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義されている)、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、トリ低級アルキルシリル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルボニルアミノ、低級アルキルカルボニルオキシメチル、置換ビニル、1−ヒドロキシ−2−ニトロエチル、アルコキシカルボニルエチル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシメチル、ベンゾイルメチル、ベンジルカルボニルオキシメチル、または低級アルコキシメチルであり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義の通り)シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、CHNRを(各RおよびRの各々は、独立してH−,炭素数1〜6のアルキル、選択的に置換されたフェニル、ヒドロキシ低級アルキル、アミノ低級アルキル、またはモノ−ジアルキルアミノ低級アルキル、またはRおよびRは−N−と一緒に環状アミノを表す)、CH(Rは、低級アルコキシ、CN、アミノ低級アルコキシ、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルチオ、アミノ低級アルキルチオ、又は、またはモノ−もしくはジ−低級アルキルアミの低級アルキルチオ)、又はNR1011(R10及びR11の各々は、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、ヒドロキシ低級アルキル、又はアミノ低級アルキル、又はR10及びR11は、−N−と一緒に環状アミノを表す)、ジアルキルアミノアルキル、低級アルキルカルボニルオキシ低級アルキルカルボニルアミノであり;そして
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義の通り)シアノ、ニトロ、アミノ低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、カルバモイルオキシ、低級アルキルカルボニルオキシ、または低級アルキルカルボニルアミノ、又はRはRと一緒にメチレンジオキシであり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義されている)、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、またはである低級アルキルカルボニルアミノであり;そして
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義されている)シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、または低級アルキルカルボニルアミノである。
【0117】
実施形態のさらに別の群では、前記CPT誘導体は、米国特許第6403604号明細書に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、式(VI)を含む。
【0118】
【化12】
【0119】
RはRN−(CHであり、mは、2であり、
はNと一緒に(a)1個以下の追加の窒素、酸素または硫黄原子をその環に有する、5−、6−、7−員環状アミンを形成し、その環は、他の炭素環又は複数の環に縮合し、得られた縮合環システムは、選択的に、2個までの置換基で置換されており、該置換基は、以下、低級アルキル、低級シクロアルキル、ヒドロキシ低級アルキル、フェニル、置換されたフェニル(ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、カルボニル、ヒドロキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、ベンジルオキシ、選択的に置換されたピペリジノ、低級アルコキシカルボニル、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換された)、ベンジル、置換ベンジル(ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、カルボニル、ヒドロキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、ベンジルオキシ、選択的に置換されたピペリジノ、低級アルコキシカルボニル、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から独立して選択される1〜5個の置換基で置換された)、アミノカルボニルメチル、低級アルキルアミのカルボニルメチル、アミノ、モノ−又はジ−低級アルキルアミノ、環状アミノ、又はハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、および低級アルキルカルボニルアミノからなる群から選択された1〜2個の置換基で置換された、5−または6員の複素環から選択されたものである、前記環状アミン又は(b)5−または6員環状イミド環を形成成し;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義されている)、シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、トリ低級アルキルシリル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルボニルアミノ、低級アルキルカルボニルオキシメチル、置換ビニル、1−ヒドロキシ−2−ニトロエチル、アルコキシカルボニルエチル、アミノカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシメチル、ベンゾイルメチル、ベンジルカルボニルオキシメチル、または低級アルコキシメチルであり、
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義の通り)シアノ、ニトロ、アミノ、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、CHNR(RおよびRの各々は、独立してH−,炭素数1〜6のアルキル、選択的に置換されているフェニル、ヒドロキシ低級アルキル、アミノ低級アルキル、またはモノ−ジアルキルアミノ低級アルキル、またはRおよびRは−N−と一緒に、1個以下の窒素、酸素、硫黄原子を有し、選択的に他の一つ又は複数の炭素環に縮合している、飽和5−、6−、または7員環状アミン環を表す)、CH(Rは、低級アルコキシ、CN、アミノ低級アルコキシ、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルチオ、アミノ低級アルキルチオ、または、モノ−もしくはジ−低級アルキルアミの低級アルキルチオ)、又はNR1011(R10及びR11の各々は、独立して、水素、低級アルキル、フェニル、ヒドロキシ低級アルキル、又はアミノ低級アルキル、又はR10及びR11が−N−と一緒に1個以下の追加の窒素、酸素または硫黄原子を有し、選択的に、他の炭素環又は複数の環に縮合している5−、6−、7−員環状アミン環を表す)、ジアルキルアミノアルキル、低級アルキルカルボニルオキシ、低級アルキルカルボニルアミノであり;そして
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義の通り)シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、カルバモイルオキシ、低級アルキルカルボニルオキシ、又は低級アルキルカルボニルアミノ、又はRはRと一緒にメチレンジオキシであり;
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義の通り)シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、又は低級アルキルカルボニルアミノであり;そして
は、水素、ハロ、低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシ、RC(O)O(Rは上記で定義の通り)シアノ、ニトロ、アミノ、アミノ低級アルキル、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、ホルミル、低級アルコキシカルボニル、低級アルキルカルボニルオキシ、又は低級アルキルカルボニルアミノである。
【0120】
PEG−抱合リン脂質
本発明によれば、PEG部分を含み、好ましくは約1,000〜約20,000ダルトンの分子量を有し、リン脂質部分に抱合する、PEG−抱合リン脂質は、ミセル形成両親媒性脂質として使用される。前記PEG抱合前記リン脂質は、前記CPT誘導体と混合され、ミセルを形成し、前記CPT誘導体またはその薬学的に許容される前記誘導体の塩を安定化させる。好ましくは、前記PEGリン脂質抱合体のPEG部分は、約1,000〜約10,000ダルトンの分子量を有する。より好ましくは、前記PEGリン脂質抱合体のPEG部分は、約2,000〜約5,000ダルトンの分子量を有する。前記PEG部分は、直鎖、分枝(「デンドリマー」又は「スター」を含む)であり、アミノ、カルボキシル、アシル、スルホニル、または低級アルコキシ末端、例えばでメトキシルポリエチレングリコール(mPEG)で誘導体化され得る。PEGの異なるタイプの組合せも(例えば、分枝PEGと線状PEGと)使用される。
【0121】
本明細書において使用されるPEG抱合型リン脂質の該リン脂質部分は、天然または合成されたリン脂質、例えば、ホスファチジルエタノールアミン(例えば、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、1−パルミトイル−2−オレイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、およびジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE);ホスファチジルコリン(例えば卵黄ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、およびジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)など);ホスファチジルセリン;ホスファチジルイノシトール;スフィンゴリン脂質;水素添加リン脂質(例えば水素化ホスファチジルコリン(HSPC);など;およびそれらの組み合わせを含む。本明細書において使用されるPEGへの抱合用に特に好ましいリン脂質は、DSPE、DPPE、DMPE、DOPE、及びPOPEおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0122】
一実施形態では、前記PEG抱合型リン脂質は、PEG−DSPE抱合体であり、好ましくは、1,2−ジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン−メチルポリエチレングリコール−2000、(mPEG2000−DSPE)等のメトキシルPEG−DSPEである。mPEG2000−DSPEの化学構造を以下に示す。
【0123】
【化13】
【0124】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、少なくとも一つのCPT誘導体または前記誘導体の薬理学的に許容される塩と;少なくとも一つのPEG−抱合リン脂質とを含む。前記疎水性カンプトテシン誘導体又は前記疎水性カンプトテシン誘導体の前記薬学的に許容される塩に対する前記PEG抱合型リン脂質のモル比は、約0.45:1より大きい。
【0125】
CPTに対するリン脂質のモル比
CPT誘導体に対するリン脂質のモル比は、前記医薬組成物中のCPT誘導体の安定性を向上させる上で重要な役割を果たす。好ましい実施形態では、前記PEG抱合型リン脂質は、前記CPT誘導体と、約0.45:1(脂質:CPT誘導体)より大きいモル比で混合される。さらにより好ましくは、CPT誘導体に対する前記リン脂質のモル比は、約0.60:1〜約1.00:1で,更に好ましくは、約0.70:1〜約0.90:1である。他の実施形態では、CPT誘導体に対するリン脂質のモル比は、約0.75対1より大きく、好ましくは、約0.75:1〜約1.00:1である。前記リン脂質を前記CPT誘導体と、本明細書に記述のモル比で混合することにより、このように形成されたミセルは、平均直径約40nm未満、より特に約20nm未満、さらにより特に約15nmを有する。
【0126】
pH調節剤
本発明の医薬組成物は、好ましくは酸性である。TLC388HC1ような本発明の特定のCPT誘導体は、アルカリ性環境で不安定である。好ましい実施形態において、本発明の前記医薬組成物は、pH約4.0未満を有する。より好ましい実施形態において、前記医薬組成物のpHは、約3〜約4の間である。前記医薬組成物は、酸性pHを維持し、CPT誘導体を安定化するのに、一種又はそれ以上のpH調節剤を含む。前記pH調節剤は、任意の薬理学的に許容される、緩衝液であり得、以下:シュウ酸、エチレンジアミン四酢酸、マレイン酸、アスパラギン酸、リン酸塩、アスパラギン緩衝液、グリシン、ピルビン酸、ピロリン酸、マロン酸、フタル酸塩、フマル酸、酒石酸、クエン酸塩、フランカルボン酸、β−アラニン緩衝液、β:β‘−ジメチルグルタル酸、ギ酸、乳酸、γ−アミノ酪酸、バルビツール酸、安息香酸、コハク酸、Eε−アミノカプロン酸、酢酸、プロピオン酸、リンゴ酸、ピリジン、ヒスチジン、カコジル酸、炭酸、ヒドロキシイミダゾール、グリセロールリン酸、エチレンジアミン、イミダゾール、砒素酸、2,4,6−コリジン、1−、2−、又は4−メチルイミダゾール、N−エチルモルホリン、ベロナール、バルビタール、2,4−ジメチルイミダゾール、モルホリン、N−エチルモルホリン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、4−アミノピリジン、セリン、ホウ酸、アンモニア、エタノールアミン、エフェドリン、ヒドロキシプロリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ロイシン、トリメチルα−アラニン、n−プロピルアミン、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピペリジン、p−トルエンスルホン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)、グリシルグリシン、GTA緩衝液、グッド(Good)緩衝液、例えばMES緩衝液、ビス−トリス緩衝液、ADA緩衝液、PIPES緩衝液、ACES緩衝液、MOPSO緩衝液、BES緩衝液、MOPS緩衝液、TES緩衝液、HEPES緩衝液、DIPSO緩衝液、TAPSO緩衝液、POPSO緩衝液、HEPPSO緩衝液、EPPS緩衝液、トリシン緩衝液、ビシン(Bicine)緩衝液、TAPS緩衝液、CHES緩衝液、CAPSO緩衝液、及びCAPS緩衝液の一つ又はそれ以上を含む。好ましくは、前記pH調節剤は、一つ又はそれ以上の以下:クエン酸塩、フマル酸、ジエタノールアミン、トリス(Tris)、グリシン、酢酸、コハク酸、酒石酸、炭酸、イミダゾール、及びマレイン酸を含む。
【0127】
本発明の医薬組成物は、さらに、マンニトール、グリセリン、ブドウ糖、ショ糖、および/またはトレハロースなどの少なくとも1種の凍結保護剤を含む。一つの好ましい凍結保護剤はマンニトールである。
【0128】
いくつかの実施形態において、本発明はまた、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、ビヒクル、前記活性成分用の媒体、またはこれらの組み合わせを含む医薬組成物を提供する。
【0129】
一実施形態において、前記医薬組成物は、TLC388 HC1またはTLC388 HCLの薬学的に許容される塩と、メトキシルPEG−DSPE抱合体と、クエン酸とを含んでいて、前記メトキシルPEG抱合型リン脂質は、TLC388HC1またはTLC388 HCLの薬学的に許容される塩と、モル比約0.45:1〜約0.9:1で混合される。
【0130】
ミセルを調製する方法は、例えば、メタノール−蒸発法及び共沈法など、当該技術分野で知られている。前記メタノール蒸発法において、適切なモル比で前記CPT誘導体と、PEGリン脂質抱合体とを、本明細書に記載されるように、メタノールに溶解する。次いで、前記混合物を適切な緩衝液と混合し、前記メタノールを真空蒸発で、またはその逆にして除去する;そして混合物は、選択的に滅菌および/または凍結乾燥される。前記共沈法では、適切なモル比で前記CPT誘導体と、PEGリン脂質抱合体とを、本明細書に記載されるように、適切な有機溶媒に溶解し、次いで、該混合物は、貧溶媒に注入し、沈殿物を形成し、前記有機溶媒を真空乾燥により除去する。このようにして得られた粉末は、適切な緩衝液に溶解し、得られた水性溶液は、選択的に濾過して滅菌され、および/または凍結乾燥される。前記調製の詳細は以下の実施例に記載されている。
【0131】
本発明の医薬組成物は、癌疾患を患う被験者の癌細胞を阻害する方法で使用する。本発明の医薬組成物は、癌細胞を阻害し、正常な組織または細胞、特に骨髄細胞に対する毒性を減少させることが見出されている。
【0132】
癌細胞を阻害し、癌を治療する方法
本発明の別の態様は、被験者の癌細胞の増殖を阻害または遅延させる方法であって、被験者に本明細書に記載の医薬組成物の有効量を投与することを含み、それによって被験者における当該癌の症状および徴候が低減される方法に向けられる。前記方法は、選択的に、電離放射線、従来の化学療法又は標的癌治療のような1つ又はそれ以上の抗がん剤に被験者の癌細胞を暴露する工程を含む。
【0133】
前記医薬組成物は、選択された投与様式に適した任意の形態に構成される。好ましくは、前記医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内注射などの非経口投与用に調剤する。例えば、本発明の医薬組成物は、凍結乾燥粉末の形態であって、更に、注射用に、滅菌水、生理食塩水又は他の適切な流体等の水溶液中に希釈又は再構成する。他の医学的に許容される投与の経路は、経口、経皮、直腸または吸入等を含む。
【0134】
前記医薬組成物または本発明の化合物の投与量は、実施形態に従って、当業者によって決定することができる。単位用量または複数用量形態が企図され、それぞれが特定の臨床的状況において利点を提供する。本発明によれば、投与される化合物または医薬組成物の実際の量は、治療中の被験者の年齢、体重、状態および他の併存疾患に応じて変え得、医療専門家の裁量に依存する。
【0135】
一実施形態では、本発明の方法は、前記医薬組成物を、電離放射線、例えば、EGFR(上皮成長因子受容体)及びVEGF(血管内皮増殖因子)拮抗薬等の標的癌療法、又は従来の化学療法などの1つまたはそれ以上の抗癌剤と共に同時投与することを含む。
【0136】
従来の化学療法の例は、アントラサイクリン抗生物質、DNA合成阻害剤、アルキル化剤、抗葉酸剤は、代謝阻害剤等を含むが、これらに限定されない。
【0137】
アントラサイクリン系抗生物質の例は、ドキソルビシン(doxorubicin)、エピルビシン(Epirubicin)、ミトキサントロン(Mitoxanthrone)などを含むが、これらに限定されない。
【0138】
DNA合成阻害剤の例は、マイトマイシン(mitomycin)C,5−FU(5−フルオロウラシル)、カペシタビン(capecitabine)、イリノテカン(irinotecan)塩酸塩、チミタック(thymitaq)等を含むが、これらに限定されない。
【0139】
アルキル化剤の例は、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、ミトキサントロン(mitoxantrone)などを含むが、これらに限定されない。
【0140】
代謝阻害剤の例は、エトポシド(etoposide)、ロットレリン(rottlerin)などを含むが、これらに限定されない。
【0141】
葉酸拮抗薬の例は、ノラトレキシド(Nolatrexed)などを含むが、これらに限定されない。
【0142】
下記の実施例は、更に本発明を説明する。これらの実施例は単に本発明を例示することを意図しており、限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0143】
カンプトテシン誘導体の医薬組成物の調製
1.1カンプトテシン誘導体
次の式を有するTLC388ベースを使用して前記医薬組成物を調製した。
【0144】
【化14】
【0145】
前記TLC388ベースの化学名は、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−9−ヒドロキシ−4−O−[(±)−2−(2’’,4’’,5’’,7’’−テトラニトロ−9’’−フルオレニリデンアミノオキシ)プロピオニル]−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン((S)−10−[(dimethylamino)methyl]−4−ethyl−9−hydroxy−4−O−[(±)−2−(2’’,4’’,5’’,7’’−tetranitro−9’’−fluorenylideneaminooxy)propionyl]−1H−pyrano[3’,4’:6,7]indolizino[1,2−b]quinoline−3,14−(4H,12H)−dione)である。TLC388ベースは、その固定分子量850.7のために前記医薬組成物を調製するのに使用した。これでモルによるCPT誘導体の正確な定量化が可能になった。
【0146】
次式を有するTLC1988 HClを使用して、CM1901及び1903医薬組成物を調製した。
【0147】
【化15】
【0148】
TLC1988 HClの化学名は、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−9−ヒドロキシ−4−O−[2−メチル−2−(2’’,4’’,5’’,7’’−テトラニトロ−9’’−フルオレニリデンアミノオキシ)プロピオニル]−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]iインドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン,1塩酸塩((S)−10−[(dimethylamino)methyl]−4−ethyl−9−hydroxy−4−O−[2−methyl−2−(2’’,4’’,5’’,7’’−tetranitro−9’’−fluorenylideneaminooxy)propionyl]−1H−pyrano[3’,4’:6,7]indolizino[1,2−b]quinoline−3,14−(4H,12H)−dione,monohydrochloride)である。
【0149】
1.2メタノール−蒸発法
前記医薬組成物は、以下に示すように、メタノール−蒸発法により調製した。
1.種々のモル比でTLC388ベース(又はTLC1988HCl)と、mPEG2000−DSPEとを、表1に示すようにメタノールに溶解した;
2.工程1の混合物を1:1の体積比で、マンニトールと、酒石酸とを含有する緩衝液と混合した;
3.工程2の混合物中のメタノールを、50〜55℃の水浴でローターボトルを(11〜21cmHg圧)を用いて、少なくとも30分間真空蒸発によって除去した。
4.工程3の混合物は、0.22μmの膜を使用して滅菌濾過し、次いでその後の分析用に凍結乾燥した。
【0150】
別の経路は、次の順序で行われた。
1.種々のモル比でTLC388ベース(又はTLC1988 HCl)と、mPEG2000−DSPEとを、メタノールに溶解した;
2.工程1の混合物中のメタノールを、50〜55℃の水浴でローターボトルを(11〜21cmHg圧)を用いて、少なくとも30分間真空蒸発によって除去した;
3.工程2の混合物を1:1の体積比で、マンニトールと酒石酸とを含有する緩衝液と混合した;
4.工程3の混合物は、0.22μmの膜を使用して滅菌濾過し、次いでその後の分析用に凍結乾燥した。
1.3共沈法
前記医薬組成物は、以下に示すように、共沈法により調製した。
1A.種々のモル比でTLC388ベースとmPEG2000−DSPEとを、メタノールなどの適切な有機溶媒に溶解した;
2A.工程1Aの混合物を、貧溶媒中に注入して,沈殿を形成した;
3A.工程2Aの混合物は、濾過および真空乾燥し、溶媒を除去し、中間体粉末を形成した;
4A.工程3Aの中間体粉末は、マンニトールおよびクエン酸を含む緩衝液に溶解した;
5A.工程4Aの混合物を無菌ろ過し、次いで凍結乾燥した。
【実施例2】
【0151】
前記医薬組成物の溶解度
本発明の医薬組成物の溶解度は、前記ミセルの粒径とその分布の点で評価した。
【0152】
リン脂質対CPT誘導体の種々のモル比の前記医薬組成物の評価を行った。試験の結果を表1に要約する。
【0153】
【表1】
【0154】
前記医薬組成物のミセル粒径(流体力学的直径)は、ZetasizerNANO−ZS90(Malvern Instruments社)を、Zetasizer Software6.20と共に使用して、動的光散乱(dinamic light scattering,DLS)により測定した。前記医薬組成物は、通常の生理食塩水で,室温において50〜200kcpsの計数率を提供する濃度に希釈された。Z−平均直径は、3回の測定から得た。
【0155】
表1の結果は、ミセル粒径40nm未満を得るには、リン脂質対CPT誘導体の最低モル比は、約0.45より大きいことを示す。
【0156】
また、TLC1988 HClの水溶解度は,mPEG2000−DSPE製剤で10mg/mLに増加した。
【0157】
種々のリン脂質対CPT誘導体モル比の前記医薬組成物の粒径分布の評価を行った。その結果を図1及び図2に示す。
【0158】
図1は、前記CM315組成物の粒径分布グラフである。前記CM315組成物のミセル粒径は、40nm未満であり、前記粒径分布グラフは、CM315組成物が、約15nmに一つの主要なピークを持つ、狭い粒径分布を有することを示す。
【0159】
図2は、前記CM316組成物の粒径分布グラフである。前記CM316組成物のミセルの粒径は40nmを超えており、前記粒径分布グラフは、複数のピークを有する広い粒径分布を示す。主要ピークは、200nmより大きい所にある。
【0160】
これらの結果は、リン脂質対CPT誘導体のモル比が約0.45より大きい、医薬組成物は、ミセル粒径40nm未満及び狭い粒径分布を有することを示す。
【実施例3】
【0161】
安定性に対するpH調整剤及びpHの影響
TLC388 HClおよびTLC1988 HClはアルカリ条件で不安定であることが知られている。種々のpH調節剤及びpHの評価を行い、前記医薬組成物にとって適切なpH範囲およびpH調整剤を決定した。
【0162】
酒石酸またはクエン酸を前記医薬組成物に添加し、該混合物を2週間、40℃でインキュベートした。インキュベーション2週間後の医薬組成物の安定性を、表2〜4に要約する。
【0163】
【表2】
【0164】
【表3】
【0165】
【表4】
【0166】
この結果は、本発明の医薬組成物に適したpH範囲は、pH約4.0未満であることを示す。また、クエン酸および酒石酸は、本発明の医薬組成物に適したpH調整剤である。
【実施例4】
【0167】
細胞毒性アッセイ
4.1 細胞株および培養条件
ヒト肝癌細胞株Hep3B、HepG2、HepG2/2.2.15、Huh−7およびSK−HEP−1、ヒト神経膠芽腫細胞株RG−2、およびヒト前立腺癌細胞株DU145は、DMEM(米国ユタ州Logan,HyClone Laboratories)中に維持した。ヒト前立腺癌細胞株LNCaPは、RPMI−1640培地(米国ミズーリ州St,Louis、Sigma−Aldrich社)中に維持した。培養培地は、10%熱不活性ウシ胎児血清(米国ユタ州Logan,HyClone Laboratories)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(米国カリフォルニア州、Carlsbad、Invitrogen社)、1mMピルビン酸ナトリウム(米国ユタ州Logan,HyClone Laboratories)及び1mML−グルタミン(米国ユタ州Logan,HyClone Laboratories)で補充した。ヒト前立腺癌細胞株PC−3は、HamのF−12K培地(米国カリフォルニア州Carlsbad、Invitrogen社)中に、前記培養培地中に記載したのと同じ培地サプリメントを用いて維持したが、但し前記ウシ胎児血清濃度は、7容量%に減少した。癌細胞は、5%CO含有加湿インキュベーター(米国、Nuaire社)中、37℃に維持した。
【0168】
4.2 スルホローダミンBアッセイ(Sulforhodamine B,SRB)アッセイ
該SRBアッセイは、癌細胞の生存率を測定するために使用された。プレート・ウェル中の癌細胞は、1×PBS(リン酸緩衝食塩水)でリンスし、1×トリプシン−EDTA(米国カリフォルニア州、Carlsbad、Invitrogen社)で処理した。前記培地を添加して前記トリプシン−EDTAを希釈した。該剥離癌細胞を遠心分離により採集し、1mlの培養培地に懸濁した。細胞懸濁液10μlを計数室に分注し、該細胞密度を、顕微鏡で決定した。懸濁液198μl中の細胞を、ウェル当たり適切な細胞密度で、96ウェル細胞プレート(ニューヨーク州Rochster,Nunc社)上に播種し、一昼夜、細胞培養インキュベーター中でインキュベートした。
【0169】
4.3テスト組成
我々は、以下のCPT誘導体医薬組成物の抗癌活性を評価した。
1.非水溶性CPT誘導体である、TLC388 HCl(台湾、Scino−Pharm Taiwan Ltdから入手した);
2.水溶性CPT誘導体である、トポテカンは、陽性対照として使用される(中国 Wuhan Yuancheng Technology Development Co.,Ltd,から市販);及び、
3.リポテカン(登録商標)(表1のCM382組成物は、PEG抱合型リン脂質およびCPT誘導体をモル比0.7で含む)。
【0170】
TLC388 HClおよびトポテカンは、DMSO(米国ミズーリ州St,Louis、Sigma−Aldrich社)に溶解し、クエン酸5mM(米国ニュージャージー州、J.T.Baker社)で所望の濃度に希釈した。リポテカン(登録商標)は、無菌のddHOに溶解し、クエン酸5mMで所望の濃度に希釈した。
【0171】
中間プレートは、薬剤の希釈用に設定した。クエン酸5mMを遊離TLC388HClおよびトポテカン希釈用に使用し、ddHOをリポテカン(登録商標)希釈用に使用した。次いで前記細胞に、遊離TLC388 HClまたはリポテカン(登録商標)2μlを、以下の濃度:0、0.0008、0.003、0.012、0.049、0.195、0.781、3.125、12.5および50μモル/mlで加えた。各濃度は、3重反復で試験し、癌細胞と共に、24時間、48時間および72時間37℃でインキュベートした。DMSOの最高濃度は、この試験では0.05%であった。
【0172】
インキュベーション期間の終わりに、冷50%TCA(w/v)(米国ミズーリ州St,Louis、Sigma社)を50μl添加し、10%TCAの最終濃度にすることにより細胞は固定され、さらに、4℃で60分間インキュベートした。上清を廃棄し、前記プレートを滅菌水で5回洗浄し、空気乾燥した。スルホローダミンBの1%酢酸(ドイツSeelze、Fluka社)中0.4%(w/v)溶液(SRB、米国ミズーリ州St,Louis、Sigma社)100μlを、続いて各ウェルに添加し、室温で30分間、インキュベートした。染色後、未結合の色素を、1%酢酸で除去し、前記プレートを再度風乾した。各ウェルの結合ステインを10mMトリズマ塩基(カナダオンタリオ州Burlington、Bioshop社)100μlで可溶化し、該吸光度を540nmで自動化プレートリーダー(Anthos2001、Anthos Labtec Instrument)を用いて測定した。
【0173】
4.3 データ解析
前記グラフとデータは、SigmaPlot10.0ソフトウェアおよびMicrosoft(登録商標) Excel 2002により分析した。
【0174】
4.4 結果
表5、表6は、リポテカン(登録商標)、TLC388 HCl及びトポテカンの50%阻害濃度(IC50)値及び増強係数(IC50TLC388 HCl/IC50リポテカン(登録商標))を示す。
【0175】
【表5】
【0176】
【表6】
【0177】
表5、表6に示すように、リポテカン(登録商標)は、TLC388塩酸よりも肝細胞癌、前立腺癌および神経膠腫の癌細胞を阻害するのに効果的である。更に、リポテカン(登録商標)は大腸癌細胞を阻害するのに有効である。
【実施例5】
【0178】
骨髄抑制の評価
ヒト骨髄細胞に対する前記医薬組成物の効果のインビトロ評価を行った。
【0179】
プロトコル:赤血球系(CFU−E、BFU−E)と、顆粒球−単球(CFU−GM)と、多分化能系列(CFU−GEMM)のクローン原性前駆体は、組換えrhSCF(50ng/mL)、rhIL−3(10ng/mL、rhGM−CSF(10ng/mL)、及びrhEpo(3U/mL)を含むメチルセルロース系培地(R&D System社)に設定された。
【0180】
TLC388HClおよびトポテカンをDMSOで希釈し、リポテカン(登録商標)を、滅菌水で希釈して、適切な作業ストック濃度を提供した。これらの作業ストック溶液は、次いで、上述のメチルセルロース系コロニー・アッセイ培地に添加した。コロニー・アッセイ培地は、培養培地あたり2×10個の細胞で3重反復に設置された。
【0181】
同型培養培地は、5%CO中37℃で14〜16日間、インキュベートした。この後で、培養培地中で得られたコロニーは、粒径および形態に関して研究主幹による評価を受けた。
【0182】
図3はTLC388HCl、トポテカンおよびリポテカン(登録商標)(TLC388HCl組成物)のヒト赤血球前駆細胞および骨髄前駆細胞に対する毒性を示す。遊離TLC388HClのIC50値は、赤芽球コロニー形成細胞(CFC類)では、9.3nMであり、骨髄CFC類では9.8nmであった。トポテカンのIC50値は、赤血球CFC類では11.8nMであり、骨髄CFC類では8.7nmであった。リポテカン(登録商標)のIC50値は、赤血球CFC類で12.5nMであり、骨髄CFC類で11.5nmであった。この結果は、ヒト赤血球前駆細胞および骨髄前駆細胞に対するリポテカン(登録商標)の毒性作用が遊離TLC388HClおよびトポテカンよりも低かったことを示す。
【0183】
このデータは、本発明の組成物である、リポテカン(登録商標)が、肝癌、前立腺癌および神経膠腫細胞株などの種々の癌細胞株に対する抗がん効果が増加し、赤血球および骨髄CFC類などの骨髄細胞に対する毒性が低いことを示す。
【0184】
本明細書において、範囲が分子量などの物理的特性、又は化学式などの化学的特性のために使用される場合、その中の特定の実施形態のすべての組み合わせ及び副組合せが含まれることを意図する。
【0185】
当業者は、多くの変更および修正が、本発明の好ましい実施形態に対してなされ得、そのような変更および修正が本発明の精神から逸脱することなくなされ得ることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内に入るような全ての等価な変更を包含することが意図される。
図1
図2
図3