特許第6205113号(P6205113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205113
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-185055(P2012-185055)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-44237(P2014-44237A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】大野 敦子
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−158169(JP,A)
【文献】 特開2001−337334(JP,A)
【文献】 特開2002−040442(JP,A)
【文献】 特開2005−189595(JP,A)
【文献】 特開2004−029140(JP,A)
【文献】 特開2010−060619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁基板と、前記第1絶縁基板上において画像を表示するアクティブエリアに配置されたスイッチング素子と、前記アクティブエリアにおいて前記スイッチング素子の上に配置されるとともに前記アクティブエリアの外側の周辺エリアに配置され前記周辺エリアに位置する第1表面及び前記第1表面よりも基板端側に位置する第1凹部を有する第1有機絶縁膜と、前記アクティブエリアにおいて前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備えた第1基板と、
第2絶縁基板と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と対向側において前記周辺エリアに配置された遮光層と、前記周辺エリアにおいて前記遮光層に重なり前記第1表面と対向する第2表面前記第1凹部と対向する第2凹部、及び、前記第1表面と対向する第3凹部を有する第2有機絶縁膜と、を備えた第2基板と、
前記周辺エリアにおいて前記第1表面と前記第2表面との間に介在する柱状スペーサと、
前記柱状スペーサを包含し前記第1表面と前記第2表面との間、及び、前記第1凹部と前記第2凹部との間に介在し、前記第3凹部に介在せず、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール材と、
前記シール材によって囲まれた内側において前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、
を備え、
前記第2有機絶縁膜は、前記第1表面と対向する位置で前記遮光層に重なり前記第1凹部と対向する第1位置及び前記シール材によって囲まれた内側の第2位置でそれぞれ前記遮光層を露出するカラーフィルタと、前記カラーフィルタを覆い前記第2表面を形成し前記第1位置で前記遮光層を覆い前記第2凹部を形成し前記第2位置で前記遮光層を覆い前記第3凹部を形成するオーバーコート層と、を含み、
前記第2凹部及び前記第3凹部において、前記カラーフィルタは形成されておらず、前記オーバーコート層は前記遮光層と直接接触している、液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1基板は、さらに、前記第1絶縁基板と前記第1有機絶縁膜との間に前記アクティブエリアから前記周辺エリアに亘って延在した無機絶縁膜を備え、
前記第1凹部は、前記無機絶縁膜まで貫通した、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記シール材は、前記第1凹部において前記第1有機絶縁膜及び前記無機絶縁膜と直接接触した、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記シール材は、閉ループ状である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記柱状スペーサは、前記第3凹部と前記第2凹部との間において、前記遮光層及び前記カラーフィルタと重畳する領域に位置している、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、パーソナルコンピュータなどのOA機器やテレビなどの表示装置として各種分野で利用されている。近年では、液晶表示装置は、携帯電話などの携帯端末機器や、カーナビゲーション装置、ゲーム機などの表示装置としても利用されている。
【0003】
このような液晶表示装置においては、画像を表示するアクティブエリアのセルギャップ(一対の基板間に保持された液晶層の厚み)を均一化することが重要である。近年では、セルギャップを形成するためのスペーサとして一方の基板上に柱状のスペーサを選択的に配置するとともにスペーサを所望の高さに精度良く形成する技術が確立され、セルギャップの均一化が図られている。
【0004】
液晶表示装置を製造する技術の一つとして、滴下注入法がある。この滴下注入法は、アレイ基板または対向基板の上のシール材で囲まれた領域内に液晶材料を滴下した後に、真空状態でアレイ基板と対向基板とを貼り合わせ、真空状態から大気圧状態に戻すことで、シール材で囲まれた領域内と外気圧との圧力差によって一対の基板が加圧され、シール材が潰れることで所定のセルギャップを形成する手法である。滴下注入法に適用されるシール材としては、紫外線硬化型の接着剤が広く使われているが、粘度が高いために印刷方式による塗布ではなく、ディスペンサを用いて描画する方式が採用されている。このような滴下注入法は、タクトタイムの短縮、材料の利用効率の向上などの利点を有している。
【0005】
近年、液晶表示装置の応答特性、配向特性、視野角特性等を改善するために、セルギャップを狭くする傾向にある。また、液晶表示装置の外形サイズを縮小する要望が高まっており、狭額縁化によりシール材の幅が狭くなる傾向がある。このような狭セルギャップ化及び狭額縁化は、シール材の塗布量の低減を招く。
【0006】
シール材の低量塗布は、シール材を押し出す圧力やシール材を描画する速度等の調整により実現している。しかしながら、上記の通り粘度が高い材料を適用しているため、この材料の粘度の安定性(環境温度)に左右された塗布量のバラツキや、シール材の泡噛み等により、シール材が塗布の途中で途切れるパターン切れ等の不良が発生し易く、製造歩留まりの低下を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−294799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本実施形態の目的は、製造歩留まりの低下を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態によれば、
第1絶縁基板と、前記第1絶縁基板上において画像を表示するアクティブエリアに配置されたスイッチング素子と、前記アクティブエリアにおいて前記スイッチング素子の上に配置されるとともに前記アクティブエリアの外側の周辺エリアに配置され前記周辺エリアに位置する第1表面及び前記第1表面よりも基板端側に位置する第1凹部を有する第1有機絶縁膜と、前記アクティブエリアにおいて前記スイッチング素子と電気的に接続された画素電極と、を備えた第1基板と、第2絶縁基板と、前記第2絶縁基板の前記第1基板と対向側において前記周辺エリアに配置された遮光層と、前記周辺エリアにおいて前記遮光層に重なり前記第1表面と対向する第2表面及び前記第1凹部と対向する第2凹部を有する第2有機絶縁膜と、を備えた第2基板と、前記周辺エリアにおいて前記第1表面と前記第2表面との間に介在する柱状スペーサと、前記柱状スペーサを包含し前記第1表面と前記第2表面との間、及び、前記第1凹部と前記第2凹部との間に介在し、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール材と、前記シール材によって囲まれた内側において前記第1基板と前記第2基板との間に保持された液晶層と、を備えた液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態の液晶表示装置を構成する液晶表示パネルの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、図1に示した液晶表示パネルの一画素におけるスイッチング素子を含む断面構造を概略的に示す図である。
図3図3は、本実施形態における周辺エリアの断面構造を概略的に示す図である。
図4図4は、比較例における周辺エリアの断面構造を概略的に示す図である。
図5図5は、本実施形態における周辺エリアの他の断面構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1は、本実施形態の液晶表示装置を構成する液晶表示パネルLPNの構成を概略的に示す図である。
【0013】
すなわち、液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、これらのアレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えている。これらのアレイ基板AR及び対向基板CTは、例えば、閉ループ状の(つまり、切れ目なく連続的な)シール材SEによって貼り合わせられている。シール材SEは、例えば、矩形枠状に形成されている。
【0014】
このような液晶表示パネルLPNは、シール材SEによって囲まれた内側に、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。つまり、シール材SEは、アクティブエリアACTの外側の周辺エリアPRAに配置されている。このアクティブエリアACTは、m×n個のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている(但し、m及びnは正の整数である)。
【0015】
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、第1方向Xに沿ってそれぞれ延出した複数のゲート配線G(G1〜Gn)及び補助容量線C(C1〜Cn)、第1方向Xに交差する第2方向Yに沿ってそれぞれ延出した複数のソース配線S(S1〜Sm)、各画素PXにおいてゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、各画素PXにおいてスイッチング素子SWに電気的に接続された画素電極PEなどを備えている。この画素電極PEは、各画素PXにおいて島状に形成されている。
【0016】
対向基板CTは、アクティブエリアACTにおいて、画素電極PEと液晶層LQを介して向かい合う共通電極CEを備えている。この共通電極CEは、複数の画素PXに亘って共通に形成されている。
【0017】
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。ゲートドライバGD及びソースドライバSDは、例えばその少なくとも一部がアレイ基板ARに形成され、駆動ICチップ2と接続されている。図示した例では、液晶表示パネルLPNを駆動するのに必要な信号源としての駆動ICチップ2は、液晶表示パネルLPNのアクティブエリアACTの外側において、アレイ基板ARに実装されている。各補助容量線Cには、駆動ICチップ2から補助容量電圧が供給される。共通電極CEには、駆動ICチップ2からコモン電圧が供給される。
【0018】
図示した例の液晶表示パネルLPNは、TN(Twisted Nematic)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、VA(Vertical Aligned)モードなどの主として縦電界を利用するモードを適用可能に構成されている。なお、本実施形態では、液晶表示パネルLPNに適用されるモードは上記の例に限らない。例えば、液晶表示パネルLPNは、IPS(In−Plane Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの主として横電界を利用するモードを適用可能に構成されても良い。横電界を利用するモードを適用した液晶表示パネルLPNでは、画素電極PE及び共通電極CEの双方がアレイ基板ARに備えられる。
【0019】
図2は、図1に示した液晶表示パネルLPNの一画素におけるスイッチング素子SWを含む断面構造を概略的に示す図である。ここでは、縦電界を利用するモードを適用した液晶表示パネルLPNの断面構造を例に説明する。
【0020】
すなわち、アレイ基板ARは、ガラス基板やプラスチック基板などの光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板10の対向基板CTに対向する側にスイッチング素子SW、画素電極PE、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第1配向膜AL1、柱状スペーサSPなどを備えている。
【0021】
ここに示したスイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)である。スイッチング素子SWは、トップゲート型あるいはボトムゲート型のいずれであっても良いが、図示した例では、トップゲート型を採用している。すなわち、スイッチング素子SWは、第1絶縁基板10の上に配置された半導体層SCを備えている。半導体層SCは、ポリシリコンやアモルファスシリコンや酸化物半導体などによって形成可能であるが、図示した例では、ポリシリコンによって形成されている。なお、第1絶縁基板10と半導体層SCとの間に絶縁膜であるアンダーコート層が介在していても良い。半導体層SCは、第1絶縁膜11によって覆われている。また、この第1絶縁膜11は、第1絶縁基板10の上にも配置されている。
【0022】
スイッチング素子SWのゲート電極WGは、第1絶縁膜11の上に形成され、半導体層SCの直上に位置している。ゲート電極WGは、ゲート配線Gと電気的に接続されている、あるいは、ゲート配線Gと一体的に形成されている。ゲート電極WGを含むゲート配線Gは、第2絶縁膜12によって覆われている。また、この第2絶縁膜12は、第1絶縁膜11の上にも配置されている。これらの第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12は、例えば、シリコン酸化物(SiOx)などの無機系材料によって形成されている。
【0023】
スイッチング素子SWのソース電極WS及びドレイン電極WDは、第2絶縁膜12の上に形成されている。ソース電極WSは、ソース配線Sと電気的に接続されている、あるいは、ソース配線Sと一体的に形成されている。ドレイン電極WDは、ソース配線Sから離間している。これらのソース電極WS及びドレイン電極WDは、それぞれ第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12を貫通するコンタクトホールを通して半導体層SCにコンタクトしている。ソース電極WSを含むソース配線S及びドレイン電極WDは、第3絶縁膜13によって覆われている。つまり、第3絶縁膜13は、スイッチング素子SWの上に配置されている。この第3絶縁膜13は、第2絶縁膜12の上にも配置されている。第3絶縁膜13には、ドレイン電極WDまで貫通したコンタクトホールCHが形成されている。このような第3絶縁膜13は、例えば樹脂材料によって形成された第1有機絶縁膜に相当する。上記の第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、及び、第3絶縁膜13は、アクティブエリアのみならず、周辺エリアにも延在している。
【0024】
画素電極PEは、第3絶縁膜13の上に形成されている。図示した例では、画素電極PEは、第3絶縁膜13の第1表面13Aに形成され、コンタクトホールCHを介してドレイン電極WDにコンタクトしている。この画素電極PEは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。画素電極PEは、第1配向膜AL1によって覆われている。
【0025】
柱状スペーサSPは、第3絶縁膜13の上に形成され、第1配向膜AL1によって覆われている。柱状スペーサSPは、例えば樹脂材料によって形成されている。
【0026】
一方、対向基板CTは、ガラス基板やプラスチック基板などの光透過性を有する第2絶縁基板30を用いて形成されている。この対向基板CTは、第2絶縁基板30のアレイ基板ARに対向する側に、遮光層31、カラーフィルタ32、オーバーコート層33、共通電極CE、第2配向膜AL2などを備えている。
【0027】
遮光層31は、アクティブエリアACTにおいて各画素PXを区画し、開口部APを形成するものであって、アレイ基板ARに設けられたゲート配線Gやソース配線S、スイッチング素子SWなどの配線部に対向している。
【0028】
カラーフィルタ32は、開口部APに形成され、遮光層31の上にも延在している。このカラーフィルタ32は、互いに異なる複数の色、例えば赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。例えば、赤色に着色された樹脂材料は赤色カラーフィルタとして赤色画素に対応して配置され、緑色に着色された樹脂材料は緑色カラーフィルタとして緑色画素に対応して配置され、青色に着色された樹脂材料は青色カラーフィルタとして青色画素に対応して配置される。異なる色のカラーフィルタの境界は、遮光層31に重なっている。
【0029】
オーバーコート層33は、カラーフィルタ32を覆っている。オーバーコート層33は、遮光層31やカラーフィルタ32の表面の凹凸を平坦化する。オーバーコート層33は、透明な樹脂材料によって形成されている。一部のカラーフィルタ(例えば、青色カラーフィルタ)や、遮光層31及びオーバーコート層33は、アクティブエリアのみならず、周辺エリアにも延在している。
【0030】
共通電極CEは、オーバーコート層33のアレイ基板ARと対向する側に形成されている。この共通電極CEは、透明な導電材料、例えば、ITOやIZOなどによって形成されている。共通電極CEは、第2配向膜AL2によって覆われている。
【0031】
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。このとき、アレイ基板ARと対向基板CTとの間には柱状スペーサSPにより、所定のセルギャップが形成される。図2に示した例では、柱状スペーサSPは、アレイ基板ARに形成されているが、対向基板CTに形成されていても良い。アレイ基板ARと対向基板CTとは、セルギャップが形成された状態でシール材によって貼り合わせられている。液晶層LQは、これらの第1配向膜AL1と第2配向膜AL2との間に形成されたセルギャップに封入された液晶分子を含む液晶組成物によって構成されている。
【0032】
アレイ基板ARの外面すなわち第1絶縁基板10の外面10Bには、第1偏光板PL1を含む第1光学素子OD1が配置されている。また、対向基板CTの外面すなわち第2絶縁基板30の外面30Bには、第2偏光板PL2を含む第2光学素子OD2が配置されている。
【0033】
このような構成の液晶表示パネルLPNに対して、その背面側には、バックライトBLが配置されている。バックライトBLとしては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0034】
図3は、本実施形態における周辺エリアPRAの断面構造を概略的に示す図である。
【0035】
アレイ基板ARにおいて、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、及び、第3絶縁膜13は、周辺エリアPRAに配置されている。第1絶縁膜11及び第2絶縁膜12については、図示しないが第1絶縁基板10の基板端まで延在している。
【0036】
第3絶縁膜13は、周辺エリアPRAにおいて第2絶縁膜12の上に配置され、略平坦な第1表面13Aを有している。また、第3絶縁膜13は、第1表面13Aよりも窪んだ第1凹部13Bを有している。この第1凹部13Bは、第1表面13Aよりも外側(つまり、基板端側)に位置している。
【0037】
図示した例では、第1凹部13Bは、第2絶縁膜12まで貫通している。つまり、周辺エリアPRAに位置する第2絶縁膜12は、第1凹部13Bにおいて第3絶縁膜13から露出している。なお、第1凹部13Bは、紙面の法線方向に延在し連続した溝状に形成されても良いし、部分的に形成されていても良い。このような第3絶縁膜13は、周辺エリアPRAにおいて、第1表面13Aと第1凹部13Bとの間に段差を形成している。
【0038】
対向基板CTにおいて、遮光層31、カラーフィルタ32、及び、オーバーコート層33は、周辺エリアPRAに配置されている。遮光層31は、図示しないが、第2絶縁基板30の基板端まで延在している。カラーフィルタ32及びオーバーコート層33は、周辺エリアPRAにおいて遮光層31と重なる第2有機絶縁膜に相当し、第1表面13Aと対向する第2表面33A及び第1凹部13Bと対向する第2凹部33Bを有している。
【0039】
図示した例では、カラーフィルタ32は、周辺エリアPRAにおいて、第1表面13Aと対向する位置で遮光層31に重なり、略平坦な表面32Aを有している。また、カラーフィルタ32は、第1凹部13Bと対向する位置で遮光層31を露出している。つまり、カラーフィルタ32は、第1凹部13Bと対向する位置で遮光層31まで貫通した凹部32Bを有している。表面32Aから凹部32Bまでの段差は、カラーフィルタ32の膜厚(例えば、1〜3μm)に相当する。このような周辺エリアPRAに配置されるカラーフィルタ32は、例えば、青色に着色された樹脂材料によって形成されているが、他の色に着色された樹脂材料によって形成されても良い。
【0040】
オーバーコート層33は、カラーフィルタ32を覆い、しかも、カラーフィルタ32から露出した遮光層31を覆っている。つまり、オーバーコート層33は、第1表面13Aと対向する位置でカラーフィルタ32の表面32Aに重なり、第1凹部13Bと対向する位置でカラーフィルタ32の凹部32Bに延在し、遮光層31に重なっている。これにより、オーバーコート層33は、第1表面13Aと対向する位置に略平坦な第2表面33Aを形成し、また、第1凹部13Bと対向する位置に第2表面33Aよりも窪んだ第2凹部33Bを形成している。第2表面33Aから第2凹部33Bまでの段差は、カラーフィルタ32の段差に応じて形成される。
【0041】
柱状スペーサSPは、上記したアクティブエリアのみならず、周辺エリアPRAにも配置されている。すなわち、周辺エリアPRAにおいては、柱状スペーサSPは、第1表面13Aと第2表面33Aとの間に介在している。アレイ基板ARに柱状スペーサSPを形成する場合、柱状スペーサSPは、第3絶縁膜13の第1表面13Aに配置され、対向基板CTに向かうにしたがって細くなるテーパー状に形成されている。このような柱状スペーサSPの上方には、遮光層31、カラーフィルタ32、及び、オーバーコート層33が積層されている。
【0042】
図示した例では、柱状スペーサSPは、第2表面33Aに接し、対向基板CTを支持している。このとき、第1表面13Aと第2表面33Aとの間には第1セルギャップGP1が形成され、第1凹部13Bと第2凹部33Bとの間には第1セルギャップGP1よりも大きな第2セルギャップGP2が形成される。つまり、第1セルギャップGP1が形成された領域の外側に、より大きな第2セルギャップGP2の領域が形成される。なお、液晶層LQが保持される領域(アクティブエリアを含む)では、略全体が第2セルギャップGP2となっている。
【0043】
シール材SEは、柱状スペーサSPを包含し、第1表面13Aと第2表面33Aとの間、及び、第1凹部13Bと第2凹部33Bとの間に介在し、アレイ基板ARと対向基板CTとを貼り合わせている。つまり、シール材SEは、液晶層LQ側で比較的小さな第1セルギャップGP1の基板間に介在し、基板端側で比較的大きな第2セルギャップGP2の基板間に介在している。
【0044】
なお、シール材SEが接着剤のほかにフィラーを含む場合には、柱状スペーサSPと第2表面33Aとの間にフィラー及び接着剤が噛み込む場合もあり得る。つまり、柱状スペーサSPは第2表面33Aに必ずしも接しているとは限らない。
【0045】
このような本実施形態によれば、周辺エリアPRAのシール材SEが塗布される領域において、アレイ基板ARは第1表面13A及び第1凹部13Bを有し、対向基板CTは第1表面13Aに対向する第2表面33A及び第1凹部13Bに対向する第2凹部33Bを有している。柱状スペーサSPは、第1表面13Aと第2表面33Aとの間に介在し、アクティブエリアACTと同等のセルギャップを形成している。その一方で、シール材SEは、第1表面13Aと第2表面33Aとの間、及び、第1凹部13Bと第2凹部33Bとの間にそれぞれ介在している。このため、第1凹部13B及び第2凹部33Bが形成されていない構成と比較して、シール材SEが塗布される領域の断面積を拡大することが可能となる。したがって、狭セルギャップ化及び狭額縁化の要求を満足しつつ、シール材SEの塗布量を増大することが可能となる。これにより、シール材SEの塗布量が安定化し、パターン切れ等の不良を抑制することが可能となる。このため、製造歩留まりの低下を抑制することが可能となる。
【0046】
また、シール材SEは、第1表面13Aと第1凹部13Bとの段差、及び、第2表面33Aと第2凹部33Bとの段差に接触するため、シール材SEのアレイ基板AR及び対向基板CTの双方との接触面積を拡大することが可能となる。したがって、シール材SEの塗布量の増大、及び、シール材SEの接触面積の拡大に伴い、アレイ基板ARと対向基板CTとを貼り合わせる強度を増強することが可能となる。
【0047】
また、第1凹部13B及び第2凹部33Bは、第1表面13A及び第2表面33Aよりも外側つまり液晶層LQが保持される領域とは反対側に位置している。このため、シール材SEを塗布した後にアレイ基板AR及び対向基板CTを貼り合わせた際、シール材SEの基板端側への拡がりを抑制することができ、狭額縁化が可能となる。また、大型基板から複数の液晶表示パネルを割断する際の割断線へのシール材SEのはみ出しを抑制することができ、割断不良の発生を抑制することが可能となる。
【0048】
次に、比較例を参照しながら、本実施形態の効果について説明する。
【0049】
図4は、比較例における周辺エリアPRAの断面構造を概略的に示す図である。
【0050】
この比較例は、アレイ基板ARが第1凹部13Aを有する一方で、対向基板CTは第1凹部13Bに対向する第2凹部を有していない構成に相当する。このような比較例において、シール材SEが塗布される領域の断面積は、例えば、2000μmである。
【0051】
これに対して、本実施形態では、対向基板CTが第2凹部33Bを有している。ここで、第2凹部33Bの寸法の一例を述べる。例えば、第2表面33Aから第2凹部33Bまでの段差が1.5μmであり、シール材SEの塗布断面積は、2400μmとなる。このため、本実施形態によれば、シール材SEの塗布量は、比較例に対して約20%増大することができた。このような本実施形態では、シール材SEのパターン切れが発生しなかった。
【0052】
次に、本実施形態の他の構成例について説明する。
【0053】
図5は、本実施形態における周辺エリアPRAの他の断面構造を概略的に示す図である。
【0054】
ここに示した構成例は、図3に示した構成例と比較して、対向基板CTが周辺エリアPRAにおいてシール材SEによって囲まれた内側に有機絶縁膜13と対向する第3凹部33Cを有する点で相違している。
【0055】
すなわち、対向基板CTにおいて、カラーフィルタ32は、周辺エリアPRAにおいて、略平坦な表面32A、第1凹部13Aと対向する凹部32B、及び、第1表面13Aと対向する凹部32Cを有している。つまり、カラーフィルタ32は、周辺エリアPRAにおいて柱状スペーサSPと重なる位置に形成される一方で、その外側及び内側にそれぞれ凹部32B及び凹部32Cを有している。これらの凹部32B及び凹部32Cは、遮光層31まで貫通している。
【0056】
オーバーコート層33は、カラーフィルタ32を覆い、しかも、カラーフィルタ32から露出した遮光層31を覆っている。つまり、オーバーコート層33は、第1表面13Aと対向する位置でカラーフィルタ32の表面32Aに重なり、第1凹部13Bと対向する位置でカラーフィルタ32の凹部32Bに延在して遮光層31に重なり、さらに、第1表面13Aと対向する位置でカラーフィルタ32の凹部32Cに延在して遮光層31に重なっている。これにより、オーバーコート層33は、第1表面13Aと対向する位置に略平坦な第2表面33Aを形成し、また、第1凹部13Bと対向する位置に第2表面33Aよりも窪んだ第2凹部33Bを形成し、さらに、第1表面13Aと対向する位置に第2表面33Aよりも窪んだ第3凹部33Cを形成している。
【0057】
柱状スペーサSPは、第1表面13Aと第2表面33Aとの間に介在している。このとき、第1表面13Aと第2表面33Aとの間には第1セルギャップGP1が形成され、第1凹部13Bと第2凹部33Bとの間には第1セルギャップGP1よりも大きな第2セルギャップGP2が形成され、第1表面13Aと第3凹部33Cとの間には第1セルギャップGP1よりも大きく第2セルギャップGP2よりも小さい第3セルギャップGP3が形成される。
【0058】
シール材SEは、柱状スペーサSPを包含し、第1表面13Aと第2表面33Aとの間、及び、第1凹部13Bと第2凹部33Bとの間に介在している。シール材SEで囲まれた内側には液晶層LQが保持されている。
【0059】
このような構成例においても、図3に示した配置例と同様の効果が得られる。
【0060】
加えて、画像表示に寄与しない周辺エリアPRAにおいて、液晶層LQが保持されたシール材SEの内側に第3凹部33Cを形成し、第1セルギャップGP1よりも大きな第3セルギャップGP3の領域を有することで、液晶層LQに気泡が発生したとしても、第3凹部33Cに気泡を収集することが可能となる。特に、液晶表示パネルLPNの製造方法として滴下注入法を適用した場合には、液晶材料の滴下量が不足気味の際に、外部から衝撃が加わることなどに起因して液晶層LQに気泡(低温気泡)が発生しやすい。このような気泡がアクティブエリアACTに存在することは許容されず、製造歩留まりの低下を招くことになるが、液晶層LQに発生した気泡を表示に寄与しない第3凹部33Cに収集することで、製造歩留まりの低下を抑制することが可能となる。また、滴下注入法を適用した場合に、液晶材料の滴下量が過剰であったとしても、第3セルギャップGP3が形成された領域に液晶材料の余剰分を収容することができ、滴下量のバラツキに起因したアクティブエリア内でのセルギャップのバラツキを抑制することができ、また、アクティブエリア内での表示ムラの発生を抑制することが可能となる。したがって、表示品位の劣化を抑制することが可能となる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態によれば、製造歩留まりの低下を抑制することが可能な液晶表示装置を提供することができる。
【0062】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0063】
上記の実施形態においては、一方の基板上にアクティブエリアを囲むように切れ目なくシール材を配置して、滴下注入法により液晶材料を滴下した後に一対の基板を貼り合わせる構成としたが、これに限られるものではない。例えば、一方の基板上に液晶注入口を形成しつつアクティブエリアを囲むようにシール材を配置して、真空注入法により一対の基板を貼り合わせる構成としても良い。
【符号の説明】
【0064】
LPN…液晶表示パネル AR…アレイ基板 CT…対向基板 LQ…液晶層
PE…画素電極 CE…共通電極 SW…スイッチング素子
13…第3絶縁膜 13A…第1表面 13B…第1凹部
32…カラーフィルタ 32A…表面 32B…凹部
33…オーバーコート層 33A…第2表面 33B…第2凹部
SP…柱状スペーサ
図1
図2
図3
図4
図5