【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1に係る電流センサ100の原理図である。
図1(a)は電流バーの貫通方向から見た平面図であり、
図1(b)は
図1(a)の矢印A方向から見た側面図である。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、電流センサ100は、上下に2分割された環状の磁性体コア(下部磁性体コア10、上部磁性体コア20)を備えている。下部磁性体コア10は、更に2つの磁性体コア(10a、10b)に分割され、その分割された空間(以下、「第1ギャップ12」と称する)には、磁界検出用のホール素子30が設けられている。ホール素子30は、実際には下部磁性体コア10a及び10bと離間して設けられている。
【0025】
下部磁性体コア10及び上部磁性体コア20により形成される環状構造の中央部分には、被測定電流の流れる導体(電流バー32)が貫通するように設けられている。電流バー32を流れる電流Iにより、磁性体コア(10、20)内に環状の磁界Hが形成される。当該磁界Hを、ホール素子30により検出することにより、電流の大きさを測定することができる。
【0026】
下部磁性体コア10及び上部磁性体コア20としては、例えばパーマロイ、フェライト、高透磁率ナノ結晶材等の材料を用いることができる。このうち、高透磁率ナノ結晶材のような比較的柔らかい材料を用いる場合、下部磁性体コア10と上部磁性体コア20との対向する部分(符号15)における接触性が向上し、電流センサの特性が向上するという利点がある。なお、当該対向する部分(符号15)にのみ、高透磁率ナノ結晶材等の柔らかい材料を用い、他の部分にはより低コストな材料を用いる構成としてもよい。
【0027】
図2は、実施例1に係る電流センサ100の分解図である。電流センサ100は、下部磁性体コア10及び上部磁性体コア20を収容・固定するための、3つの筐体(下部筐体40、中部筐体50、上部筐体60)を備えている。また、ホール素子30は、配線基板34の表面から突出するように実装されており、当該配線基板34が、下部磁性体コア10の下側に実装される構成となっている。下部筐体40は、中部筐体50と係合し、下部磁性体コア10及び配線基板34を収容する。上部筐体60は、中部筐体50と係合し、上部磁性体コア20を収容する。
【0028】
図3は、下部筐体40の詳細な構成を示す斜視図である。下部筐体40は、ピン孔41、分離部42、ガイド部43、開口部44を有する。ピン孔41は、中部筐体50との係合を図るための構成であり、ここに中部筐体50のピン52(
図4に図示)が挿入されることで、下部筐体40と中部筐体50とが着脱自在に係合する。ピン孔41及びピン52は、下部筐体40と中部筐体50の係合を図るための構成の一例であり、これ以外の構成(例えば、ピンとピン孔の関係を逆にした構成)を用いてもよい。
【0029】
分離部42は、下部筐体40の内部の対向する2辺から、内側に向かって突出するように形成され、下部磁性体コア10a及び10bを隔離するための隔離構造である。下部磁性体コア10a及び10bは、それぞれ分離部42を隔てて収容され、分離部42により直接の接触が妨げられる。これにより、ホール素子30を配置可能な第1ギャップ12が形成される。分離部42の構成は、下部磁性体コア10a及び10bの接触を防止し、第1ギャップ12を形成することのできるものであれば、これ以外の構成を用いてもよい。
【0030】
ガイド部43は、下部筐体40の対向する2辺に、下部磁性体コア10a及び10bの形状に沿って形成された支持構造である。本実施例では、ガイド部43は、湾曲形状の下部磁性体コア10に合わせた湾曲形状のガイド部43aと、その内側に形成され、矩形形状の下部磁性体コア10に合わせた矩形形状のガイド部43bとを含む。本実施における下部磁性体コア10は、
図2に示すように断面が略円形状であるため、湾曲形状のガイド部43bに沿うように配置される。矩形形状の下部磁性体コア10を用いる場合については、
図8〜
図9の変形例において詳述する。このように、下部筐体40は、形状の異なる複数種類の下部磁性体コア10を収容可能となっている。
【0031】
開口部44は、下部筐体40の底面から側面にかけて形成されている。開口部44の幅は、ホール素子30が実装される配線基板34の幅に対応する大きさとなっており、これにより開口部44から配線基板34を下部筐体40の内側に挿入することが可能となっている。
【0032】
図4は、中部筐体50の詳細な構成を示す斜視図である。中部筐体50は、枠体51、ピン52、ガイド部53、分離部54、軸受部55、係合凸部56、係合枠部57を有する。枠体51は、下部磁性体コア10及び上部磁性体コア20における、互いに対向する部分を固定するための構成である。本実施例では、枠体51aには下部磁性体コア10aが、枠体51bには下部磁性体コア10bが、それぞれ挿入される。ピン52は、前述のように下部筐体40との係合を図るための構成である。
【0033】
ガイド部53は、下部磁性体コア10を環状構造に沿って支持するための支持構造である。分離部54は、ガイド部53の中央部に形成され、2つの下部磁性体コア(10a、10b)同士が接触することを抑制するための隔離構造である。このように、下部筐体40だけでなく、中部筐体50の側においても、下部磁性体コア10を支持・分離するための構成を有することにより、下部磁性体コア10をより効果的に固定することができる。
【0034】
軸受部55は、中部筐体50の外周部の一辺に形成されており、上部筐体60における軸受部62(
図5に図示)と交互に重なる構成となっている。ここに軸58を挿入することで、上部筐体60は中部筐体50に対し、回動可能に取り付けられる。
【0035】
係合凸部56及び係合枠部57は、軸受部55が形成された辺と対向する辺に形成されている。これらは、上部筐体60における係合枠部64及び係合凸部63(
図5、
図6に図示)に対応する位置に形成されている。中部筐体50の係合凸部56は、上部筐体60の係合枠部64と弾性的に係合し、中部筐体50の係合枠部57は、上部筐体60の係合凸部63と弾性的に係合する。このような、所謂スナップフィット構造により、中部筐体50と上部筐体60は互いに係合されている。なお、上記のスナップフィット構造は、中部筐体50及び上部筐体60を係合するための構成の一例であり、これ以外の構成を用いることも可能である。当該構造を、前記の回動可能な軸受部(55、62)と共に用いることで、中部筐体50と上部筐体60との間に収容される上部磁性体コア20の出し入れを容易に行うことができる。
【0036】
図5は、上部筐体60の詳細な構成を示す平面模式図である。上部筐体60は、ガイド部61、軸受部62、係合凸部63、係合枠部64を有する。このうち、ガイド部61以外の構成については、中部筐体50の構成にて説明した通りの構成となっている。ガイド部61は、下部筐体40におけるガイド部43と同様に、略円形状の上部磁性体コア20に合わせた湾曲形状のガイド部61aと、矩形形状の上部磁性体コア20に合わせた矩形形状のガイド部61bとを含む。湾曲形状のガイド部61aは、矩形形状のガイド部61bの外側に形成されており、本実施例における略円形状の上部磁性体コア20が嵌め込まれる形となっている。このように、上部筐体60も、下部筐体40と同様に、形状の異なる複数種類の上部磁性体コア20を収容可能となっている。
【0037】
図6(a)及び(b)は、実施例1に係る電流センサ100の外観斜視図である。下部筐体40及び中部筐体50は、不図示のピン52及びピン孔41により互いに着脱自在に固定されている。上部筐体60及び中部筐体50は、軸受部(55、62)及び軸58並びに係合部(56、57、63、64)により、互いに開閉自在かつ着脱自在に固定されている。下部筐体40の開口部44には、配線基板34が挿入されている。配線基板34の一部は、下部筐体40から外部に露出しており、当該露出部分に外部接続用の端子部36が形成されている。
【0038】
図7(a)〜(e)は、実施例1に係る電流センサ100の外観平面図であり、
図7(f)は
図7(d)のA−A線に沿った断面図である。詳細には、
図7(a)が上面図、
図7(e)が底面図、
図7(c)が正面図、
図7(b)及び(d)が側面図となっている。
図7(a)及び(e)に示すように、下部筐体40からは配線基板34の一部が露出している。また、
図7(b)及び(d)に示すように、中部筐体50及び上部筐体60は、互いに回動可能な取り付け構造と、その反対側の面に設けられたスナップフィット構造により、互いに係合されている。また、
図7(c)に示すように、本実施例では、上部磁性体コア20の一部が上部筐体60の外側に露出しており、当該上部筐体60の湾曲部分と、中部筐体50のガイド部53により形成される略円形状の空間に、被測定電流の流れる電流バー32を貫通することが可能となっている。このとき、電流バー32が中部筐体50のガイド部53により支持されることで、上部磁性体コア20との間に空隙ができるため、電流バー32と上部磁性体コア20の接触は抑制される。
【0039】
実施例1に係る電流センサによれば、中央部分に位置する中部筐体50が、下部筐体40及び上部筐体60と共に、それぞれの磁性体コア(下部磁性体コア10及び上部磁性体コア20)を収容する構成となっている。そして、3つの筐体は、互いに着脱自在に係合されている。このように、僅か3つの部材のみで磁性体コアの固定を行うことができるため、磁性体コアの着脱が容易であり、且つ汎用性に優れた電流センサを得ることができる。
【0040】
また、実施例1に係る電流センサによれば、上部筐体60が中部筐体50の一辺に回動可能に取り付けられ、その対向する辺に設けられた係合部(56、57、63、64)により、上部筐体60と中部筐体50とが係合する構成となっている。これにより、下部磁性体コア10を交換する際には、上部筐体60と中部筐体50をその都度分離する必要がないため、磁性体コアの着脱がより容易となる。また、係合部の構造をスナップフィット構造とすることで、着脱をより容易に行うことが可能となっている。
【0041】
また、実施例1に係る電流センサによれば、下部筐体40と上部筐体60とが、それぞれ異なる形状の磁性体コアに対応する支持構造(ガイド部43a、43b、61a、61b)を備えている。これにより、同一の筐体(40、50、60)で、複数種類の磁性体コアを使い分けることができるため、電流センサ100の汎用性をより向上させることができる。
【0042】
図8は、実施例1の変形例に係る電流センサ101aの分解図であり、磁性体コアとして略矩形の下部磁性体コア10a及び上部磁性体コア20aを使用した例である。
図9(a)〜(f)は、当該変形例に係る電流センサ101aの平面図及び断面図であり、
図7(a)〜(f)に対応するものである。また、本変形例では、付加的構成として弾性部材70を追加している。以下、これらの点について説明する。
【0043】
図9(e)に示すように、下部磁性体コア10a及び10bは、それぞれ角部が除去された略矩形形状の磁性体コアの一部であり、下部筐体40のガイド部43bに沿って配置されている。また、上部磁性体コア20aも、同様に角部が除去された略矩形形状の磁性体コアの一部であり、上部筐体60のガイド部61bに沿って配置されている。
【0044】
弾性部材70は、下部筐体40と下部磁性体コア10との間の空間、並びに上部筐体60と上部磁性体コア20との間の空間に、それぞれ配置されている。本変形例では、磁性体コアの一部を筐体と直接接触させずに、空隙に充填された弾性部材を介して両者が接触する構成となっている。弾性部材70の弾性力により、磁性体コア(10、20)が弾性部材70の反対側に押し付けられるため、磁性体コアを筐体に対しより強固に固定することが可能となる。特に、
図8に示すように、上部磁性体コア20の上面に弾性部材70を配置することにより、上部磁性体コア20を下部磁性体コア10の方向に押し付けることができる。これにより、上部磁性体コア20及び下部磁性体コア10の対向面における接触性を改善し、電流センサの特性を向上させることができる。
【0045】
弾性部材70としては、例えばウレタンゴムを用いることができる。弾性部材70は、下部筐体40と下部磁性体コア10との間の空間、または上部筐体60と上部磁性体コア20との間の空間の少なくとも1箇所に配置されていればよいが、
図8のように上部筐体60と下部筐体40の両者に配置することにより、磁性体コアの安定性を更に向上させることができる。なお、弾性部材70を用いる代わりに、接着剤等により磁性体コア(10、20)と筐体(40、60)とを固定してもよい。
【実施例2】
【0046】
実施例2は、測定用のホール素子を2つ用いた例である。
【0047】
図10は、実施例2に係る電流センサ101の原理図であり、実施例1の
図1に対応するものである。実施例2では、上部磁性体コア20が、下部磁性体コア10と同様に2つに分離されており、そのギャップ22に磁界測定用のホール素子30bが配置されている。以下、下部磁性体コア10におけるギャップ及びホール素子を、それぞれ第1ギャップ12及び第1ホール素子30aと称する。また、上部磁性体コア20におけるギャップ及びホール素子を、それぞれ第2ギャップ22及び第2ホール素子30bと称する。更に、第1ホール素子30aが実装される基板を第1配線基板34a、第2ホール素子が実装される基板を第2配線基板34bと称する。
【0048】
実施例2に係る電流センサ101では、2つのホール素子(34a、34b)を用いることにより、差動信号を取得することが可能となる。これにより、外部磁界による測定への影響等を抑制することができ、測定精度を向上させることができる。
【0049】
図11は、実施例2に係る電流センサの分解斜視図であり、実施例1の
図2に対応するものである。実施例2では、上部筐体60として、実施例1の下部筐体40と同一の部材を用いている。このため、上部筐体60は、
図3に示すように、ピン孔41、分離部42、ガイド部43、開口部44を有する。また、中部筐体50には、実施例1の中部筐体50と同一の部材が2つ用いられている。このうち、下側の第1中部筐体50aは、ピン52により下部筐体40と係合し、上側の第2中部筐体50bは、ピン52により上部筐体60と係合している。
【0050】
上部磁性体コア20a及び20bは、それぞれ第2中部筐体50bのガイド部53により支持されるとともに、分離部54により互いの接触が妨げられている。そして、上部磁性体コア20a及び20bの間の第2ギャップには、第2配線基板34bに実装された第2ホール素子30b(
図13に図示)が配置される。この状態で、上部磁性体コア20a及び20bは、第2中部筐体50bと上部筐体60との間に収納される。同様に、下部磁性体コア10a及び10bも、第1中部筐体50aと下部筐体40との間に配置される。この点については実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0051】
第1中部筐体50aと第2中部筐体50bとは、それぞれ対向する軸受部55と、当該軸受部55を貫通する軸58とにより、互いに回動可能に取り付けられる。また、軸受部55と反対側の辺には、それぞれ係合凸部56及び係合枠部57が形成されており、実施例1と同様のスナップフィット構造により、第1中部筐体50a及び第2中部筐体50bが係合可能となっている。前述のように、第1中部筐体50a及び第2中部筐体50bとは同一の部材であり、且つ軸受部55及び係合部(係合凸部56及び係合枠部57)がそれぞれ点対称となる位置に形成されているため、上記のような係合が可能となっている。
【0052】
図12(a)及び(b)は、実施例2に係る電流センサ101の外観斜視図であり、実施例1の
図6に対応するものである。下部筐体40及び第1中部筐体50aは、不図示のピン52及びピン孔41により互いに着脱自在に固定されている。上部筐体60及び第2中部筐体50bも、不図示のピン52及びピン孔41により互いに着脱自在に固定されている。また、第1中部筐体50aと第2中部筐体50bは、軸受部55及び軸58並びに係合部(56、57)により、互いに開閉自在かつ着脱自在に固定されている。
【0053】
下部筐体40の開口部44には、第1配線基板34aが挿入され、上部筐体60の開口部44には、第2配線基板34bが挿入されている。第1配線基板34a及び第2配線基板34bの一部は、それぞれ外部に露出しており、当該露出部分に外部接続用の端子部36が形成されている。
【0054】
図13(a)〜(e)は、実施例2に係る電流センサ101の外観平面図であり、
図13(f)は
図13(d)のA−A線に沿った断面図である。
図13(a)及び(e)に示すように、下部筐体40からは配線基板34の一部が露出している。また、
図13(b)及び(d)に示すように、第1中部筐体50a及び第2中部筐体50bは、互いに回動可能な取り付け構造と、その反対側の面に設けられたスナップフィット構造(56、57)により、互いに係合されている。また、
図13(c)に示すように、本実施例では、上部磁性体コア20が第2中部筐体50bと上部筐体60との間に収納されているため、実施例1と異なり上部磁性体コア20が外部に露出していない。これにより、電流バー32と上部磁性体コア20との接触をより確実に防止することができる。
【0055】
実施例2に係る電流センサ101によれば、第2中部筐体50bと上部筐体60との間に上部磁性体コア20を収納することにより、2つに分割された上部磁性体コア20の落下を防止し、固定することができる。これにより、2つのホール素子(30a、30b)を用いる電流センサにおいても、実施例1と同様に、少ない部材で磁性体コアの固定を行うことができる。その結果、磁性体コアの着脱が容易であり、且つ汎用性に優れた電流センサを得ることができる。
【0056】
また、実施例2に係る電流センサ101によれば、第1中部筐体50a及び第2中部筐体50bとして、実施例1における中部筐体50と同一の部材を用い、上部筐体60として実施例1における下部筐体40と同一の部材を用いている。このように、実施例1で用いたのと同一の部材を用いて、4つに分割された磁性体コア(10a、10b、20a、20b)の固定を行うことができるため、部品の汎用性に優れた電流センサを得ることができる。
【0057】
また、実施例2に係る電流センサ101によれば、第1中部筐体50aが第2中部筐体50bの一辺に回動可能に取り付けられ、その対向する辺に設けられた係合部(56、57)により、第1中部筐体50aと第2中部筐体50bとが係合する構成となっている。これにより、上部磁性体コア20及び下部磁性体コア10を交換する際に、全体を分解する必要がないため、磁性体コア(10、20)の着脱がより容易となっている。また、係合部(56、57)の構造をスナップフィット構造とすることで、着脱を更に容易に行うことができる。
【0058】
また、実施例2に係る電流センサ101によれば、下部筐体40と上部筐体60は共に2種類のガイド部(43a、43b)を有し、異なる形状の磁性体コアを収容可能となっている。実施例2では、
図13(e)のように、磁性体コアの形状を略円形状とした例を示したが、
図7(e)のように、磁性体コアの形状を略矩形状とすることも可能である。このように、下部筐体40及び上部筐体60を、複数種類の磁性体コアに対応する形状とすることで、実施例1と同様に部品の汎用性を向上させることができる。
【実施例3】
【0059】
実施例3は、磁気シールド部材を付加した例である。
【0060】
図14は、実施例3に係る電流センサ102の分解斜視図である。実施例3では、磁性体コア(10、20)として、実施例1の変形例で示した矩形形状の磁性体コアを用いているが、これ以外の形態の磁性体コアを用いてもよい。また、実施例3では、実施例1の変形例で示した弾性部材70を用いる構成となっているが、当該弾性部材70は用いない構成としてもよい。
【0061】
実施例3では、下部筐体40として、実施例1の下部筐体40と同一の部材を用いている。また、上部筐体として、実施例1の上部筐体60と同一の部材を用いている。実施例3では、上部磁性体コア20は2つに分割されていないが、実施例2のように、2つに分割された上部磁性体コア(20a、20b)を用いることも可能である。その場合は、上部磁性体コア20を収納するために、実施例2と同様の構成(上部筐体60及び第2中部筐体50b)を採用することができる。
【0062】
図14に示すように、実施例3では、2つのコの字形状の第1磁気シールド部材80a及び第2磁気シールド部材80bを用い、これらが電流センサの筐体(下部筐体40、中部筐体50、上部筐体60)の外周を覆うように取り付けられる。磁気シールド部材としては、例えば、パーマロイ、フェライト、高透磁率ナノ結晶材、洋白、冷間圧延鋼板等を用いることができる。
【0063】
図15(a)及び(b)は、実施例3に係る電流センサの外観図であり、実施例1の
図6(a)及び(b)に対応するものである。図示するように、第1磁気シールド部材80aは、電流センサ102における筐体の外周の一部を覆っている。また、第2磁気シールド部材80bは、電流センサ102における筐体の外周の一部と、第1磁気シールド部材80aの一部(端部)を覆っている。ここで、第1磁気シールド部材80a及び第2磁気シールド部材80bは、共に板金状に形成されている。そして、内側の第1磁気シールド部材80aから、外側の第2磁気シールド部材80bに対して作用する弾性力により、2つの部材同士は互いに係合されている。これにより、接着剤等を用いずに、磁気シールド部材同士を固定することが可能となっている。
【0064】
図16(a)〜(e)は、実施例3に係る電流センサ102の外観平面図であり、
図16(f)は
図16(d)のA−A線に沿った断面図である。
図16(c)及び(f)に示すように、第1磁気シールド部材80a及び第2磁気シールド部材80bは、互いにコの字状に組み合わされた構成となっている。
【0065】
実施例3に係る電流センサ102によれば、センサの外周に設けられた磁気シールド部材(80a、80b)により、外部磁界が測定へ与える影響を抑制することができるため、測定精度を向上させることができる。また、実施例3のように、湾曲板状(コの字形状)の磁気シールド部材(80a、80b)を2つ組み合わせて固定することで、磁気シールド部材の着脱が容易となるため、磁性体コア(10、20)の着脱を容易に行うことができる。これにより、汎用性に優れた電流センサを得ることができる。
【0066】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。