【課題を解決するための手段】
【0024】
この課題の解決策は、ゲッター材料を含有するライナーの提供という本発明の基本的思想に基づいている。
【0025】
したがって本発明の第1の対象は、少なくとも1つの非付着性剥離層と、少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の少なくとも1つの層とを含む接着剤保護ライナーであり、このゲッター材料は、リチウム、ベリリウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、ケイ素、カリウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、カドミウム、インジウム、セシウム、バリウム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化銀、酸化インジウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化リン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、金属塩、金属水素化物、1価および多価のカルボン酸の無水物、亜ジチオン酸ナトリウム、カルボヒドラジド、アスコルベート、没食子酸、ゼオライト類、カーボンナノチューブ、活性炭、およびカルボジイミド類、ならびに前記物質の2種以上の混合物から選択される。
【0026】
このようなライナーは、保護すべき接着剤中に周囲から浸透物が侵入するのを防ぎ、かつ接着剤に含有されている浸透物およびライナーと接着剤の間に内包された浸透物をも結合できることが有利である。したがって接着剤自体もしくは接着剤を含む製品を別々に前処理、例えば乾燥する必要はない。
【0027】
片面または両面に接着材料がコーティングされた接着テープは、製造プロセスの最後に、たいていはアルキメデス螺旋の形のロールへと巻き付けられる。両面接着性接着テープの場合に接着剤が相互に接触するのを防ぐため、または片面接着性接着テープの場合に支持体上に接着剤が貼り付くのを防ぐため、巻き付ける前に接着テープをカバー材料(剥離材料とも言う)で覆い、このカバー材料と接着テープを一緒に巻き付ける。このようなカバー材料は、当業者にはライナーまたはリリースライナーの名称で知られている。ライナーは、片面接着性または両面接着性の接着テープのカバーのほかに、純粋な接着剤(転写式接着テープ)および接着テープ切片(例えばラベル)を覆うためにも用いられる。
【0028】
つまりライナーとは、接着剤を一時的に保護するために接着剤上に直に施され、一般的には接着剤を適用する直前に、簡単に剥がすことで取り除き得る抗付着性(非付着性)の表面を有するカバー材料のことである。
【0029】
さらにこのリリースライナーは、接着剤を使用前に汚さないようにしている。これに加え、接着テープを所望の(軽いまたは重い)力で繰り出せるように、リリース材料の種類および組成によりリリースライナーを調整することができる。両面が接着剤でコーティングされた接着テープでは、リリースライナーはさらに、繰り出す際に接着剤の正しい側を最初に露出させる働きをもつ。
【0030】
ライナーは、接着テープの構成要素ではなく、接着テープの製造、貯蔵、またはさらなる加工のための補助手段にすぎない。それだけでなくライナーは、接着テープ支持体とは異なり、接着材料層と固定的に結合するのではなく、結合は一時的なだけで、持続的ではない。
【0031】
本発明によるライナーは、少なくとも1つの非付着性剥離層を含んでいる。「非付着性」という概念は、本発明によれば、接着剤が、その用途において規定された適用下地に対して示す付着性より、および場合によっては接着剤に付属する支持材料に対して示す付着性より、剥離層が、カバーすべき接着剤に対して示す付着性の方が低いことを表している。
【0032】
非付着性剥離層の材料は、シリコーン、フッ素化シリコーン、シリコーンコポリマー、ロウ、カルバメート、フッ素ポリマー、およびポリオレフィン、または挙げた物質の2種以上から成る混合物を含む群から選択されることが好ましい。特に好ましくは、非付着性剥離層の材料はシリコーンおよびポリオレフィンから選択される。
【0033】
非付着性剥離層を形成する系は、非付着性物質が接着剤中にほとんど拡散しないように調整されることが好ましい。それでも場合によっては、非付着性コーティングからの物質が分析により検出されるかもしれないが、この物質は、機械的摩耗に由来すると考えられる。
【0034】
非付着性剥離層は、室温ではほとんど蒸気圧を示さないことが好ましい。
【0035】
非付着性剥離層はシリコーン系から成ることが好ましい。このようなシリコーン系の製造には、好ましくは架橋可能なシリコーン系が使用される。このような系には、架橋触媒と、いわゆる熱硬化可能な縮合架橋性もしくは付加架橋性のポリシロキサンとから成る混合物が属している。縮合架橋性のシリコーン系に関しては、しばしば架橋触媒としてジブチルスズジアセテートのようなスズ化合物が系中に含まれている。
【0036】
付加架橋性ベースのシリコーンベース剥離剤は、ヒドロシリル化により硬化させることができる。この剥離剤は一般的に下記の成分、すなわち
・アルケニル化されたポリジオルガノシロキサン(特に、末端にアルケニル基を有する直鎖状ポリマー)と、
・ポリオルガノ水素シロキサン架橋剤と、
・ヒドロシリル化触媒と
を含んでいる。
【0037】
付加架橋性のシリコーン系のための触媒(ヒドロシリル化触媒)としては、例えば白金または、例えばカールシュテット触媒(Pt(0)錯化合物)のような白金化合物が広く普及してきた。
【0038】
したがって熱硬化性の剥離コーティングはたいてい多成分系であり、典型的には下記の成分から成る。
【0039】
a)約80〜200個のジメチルポリシロキサン単位から成り、かつ鎖末端でビニルジメチルシロキシ単位により停止されている直鎖状または分枝状のジメチルポリシロキサン。典型的な代表物は、例えばDehesive(登録商標)921または610のような溶剤を含まず付加架橋性で末端にビニル基を有するシリコーンオイルであり、両方ともWacker−Chemie GmbHで市販されている。
【0040】
b)一般的にメチル水素シロキシ単位およびジメチルシロキシ単位から構成されており、鎖末端はトリメチルシロキシ基またはジメチル水素シロキシ基により飽和されている直鎖状または分枝状の架橋剤。この生成物クラスの典型的な代表物は、例えばWacker−Chemie GmbHで市販されている架橋剤V24、V90、またはV06のような、反応性Si−Hの含有率が高い水素ポリシロキサンである。
【0041】
c)M単位として、通常使用されるトリメチルシロキシ単位と共にビニルジメチルシロキシ単位も有しているシリコーンMQ樹脂。この群の典型的な代表物は、例えばWacker−Chemie GmbHで市販されている剥離力調節剤CRA(登録商標)17またはCRA(登録商標)42である。
【0042】
d)一般にカールシュテット錯体と呼ばれている例えば白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のようなシリコーンに溶ける白金触媒であり、これは例えばWacker−Chemie GmbHで触媒OLの名称で市販されている。
【0043】
さらに光活性触媒、いわゆる光開始剤も、UV硬化可能で陰イオン架橋性でエポキシドおよび/またはビニルエーテルをベースとするシロキサンもしくはいくらかアクリレートで修飾されたシロキサンのような、UV硬化可能なラジカル架橋性シロキサンと組み合わせて使用することができる。電子線硬化可能なシリコーンアクリレートも使用することができる。これに対応する系は、使用目的に応じて安定剤または流動助剤のようなさらなる添加剤を含むこともできる。
【0044】
シリコーン含有の系は、例えばDow Corning、Wacker、またはRohm&Haasで市販されている。
【0045】
例として、ポリジメチルシロキサン中の、ビニルポリジメチルシロキサンと、架橋剤「Crosslinker V24」、メチル水素ポリシロキサンと、触媒「Catalyst Ol」、白金触媒とを含む「Dehesive(登録商標)914」を挙げておく。この系は、Wacker−Chemie GmbHで入手可能である。
【0046】
さらに、例えば市場で入手可能な付加架橋性のシリコーンリリース系であるWacker−Chemieの「Dehesive(登録商標)940A」を付属の触媒系と共に使用することができ、このシリコーンリリース系は未架橋状態で塗布され、その後、塗布された状態で架橋される。
【0047】
挙げたシリコーンの中では付加架橋性シリコーンが最も大きな経済的価値がある。ただしこの系の望ましくない特性は、例えば重金属化合物、硫黄化合物、および窒素化合物のような触媒毒に対する弱さである(これについてはR. Dittmeyerらの「Chemische Technik, Prozesse und Produkte」、第5巻、第5版、Wiley-VCH、Weinheim、Deutschland、2005、第6章-5.3.2、1142頁(非特許文献1)を参照)。一般には電子供与体を白金触媒毒と見なすことができる(A. Colas、Silicone Chemistry Overview、Technical Paper、Dow Corning(非特許文献2))。これに基づき、ホスフィン類およびホスフィット類のようなリン化合物も白金触媒毒と見なすことができる。触媒毒が存在すると、シリコーン剥離塗料の異なる成分間での架橋反応がまったく、または少ない部分でしか起こらなくなる。したがって抗付着性シリコーンコーティングを製造する際には、接触毒、特に白金触媒毒の存在が厳しく回避される。つまり本発明によるライナーに含有されるゲッター材料は、白金触媒毒ではないことが好ましい。
【0048】
シリコーン系の特別な実施形態は、Wacker社から「Geniomer」の商品名で提供されているような、例えば尿素ブロックを有するポリシロキサンブロックコポリマー、または特にシリコーン接着剤を備えた接着テープに使用されるフルオロシリコーンから成る剥離系である。
【0049】
ポリオレフィン性の剥離層は、熱可塑性材料、非弾性材料から成ることも、弾性材料から成ることもできる。例えば、このような剥離層はポリエチレンベースであることができる。これに関し、約0.86g/cm
3〜1g/cm
3の実現可能な全密度範囲のポリエチレンを利用することができる。低密度のポリエチレンはたいていより低い剥離力をもたらすので、特定の用途には低密度のポリエチレンを提供することが好ましい。
【0050】
弾性特性を有する剥離層も、オレフィン含有エラストマーから成ることができる。その例には、ランダムコポリマーもブロックコポリマーも含まれる。ブロックコポリマーに関して例を挙げるなら、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレン、エチレンブロックコポリマー、ならびに例えばスチレンエチレン/ブチレンブロックコポリマーおよびスチレンエチレン/プロピレンブロックコポリマーのような、部分的および完全に水素化されたスチレンジエンブロックコポリマーである。
【0051】
さらにアクリレートコポリマーによっても、適切な剥離層を提供することができる。この様態の好ましい実施形態は、静的ガラス転移温度(示差熱量測定により確定された中間点ガラス転移温度)が室温未満のアクリレートポリマーである。このポリマーは、典型的には架橋されている。この架橋は、例えばブロックコポリマーにおいて実現されたような化学的または物理的な性質であることができる。
【0052】
本発明によるライナーの少なくとも1つの非付着性剥離層の層厚は、好ましくは0.5μm〜300μmである。この範囲には、剥離層材料(例えばシリコーン)から成る薄いコーティングも、完全に剥離層材料でできている支持体のないライナー(例えば適切なポリオレフィンから成るフィルム)も含まれている。
【0053】
非付着性剥離層は、溶液、エマルション、または分散系の状態でそのまま塗布バーを用いて施すことができる。この場合、使用された溶剤、乳化剤、もしくは分散剤は、後で市販の乾燥器内で蒸発させることができる。ノズルコーティング設備またはロールコーティング設備による溶剤なしのコーティングも適している。
【0054】
本発明によれば、非付着性層は印刷することもできる。これに関しては、従来技術に基づき凹版印刷法およびスクリーン印刷法が適している。ここでは回転式の印刷方法を適用するのが好ましい。さらに吹きつけによって非付着性コーティングを施すこともできる。これは回転式の噴霧方法において行うことができ、場合によっては静電気によって行ってもよい。
【0055】
非付着性剥離層の材料および任意に備えられる支持層の材料は、均質な材料として存在しなくてもよく、複数の材料の混合物から成っていてもよい。すなわち材料はそれぞれ、特性および/または加工を最適化するため、例えば樹脂、ロウ、軟化剤、充填剤、顔料、UV吸収剤、光安定剤、老朽化防止剤、架橋剤、架橋促進剤、消泡剤、脱気剤、湿潤剤、分散助剤、レオロジー添加剤、またはエラストマーのような1種または複数の添加剤と混合することができる。
【0056】
最も単純な場合、本発明によるライナーは、非付着性剥離層と、少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の層(以下に「ゲッター材料層」もしくは「ゲッター層」とも言う)とのみから成っている。さらなる一実施形態では、本発明によるライナーが少なくとも1つの支持層を含んでいる。この場合、非付着性剥離層は、支持層またはゲッター材料層の上に直に施すことができ、かつ支持層またはゲッター材料層を少なくとも部分的に覆うことができる。したがってゲッター材料層は、支持材料と剥離層の間に、および/または支持材料のうち剥離層でコーティングされた面の反対側に配置することができる。通常は、非付着性剥離層は、連続的な(間断のない)最外層として、支持材料の少なくとも接着剤に面する側に施されている。
【0057】
本発明によるライナーはさらに、支持層があるかどうかにかかわらず、両面に少なくとも部分的に非付着性の表面を有することができ、この非付着性の表面は、同じでもまたは異なっていてもよい。
【0058】
ライナーの支持材料として、紙、プラスチックコーティングされた紙、またはフィルムを使用することができ、これに関してはフィルム、特に寸法安定性のあるプラスチックフィルムまたは金属フィルムが好ましい。したがって少なくとも1つの支持層は、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、例えば2軸延伸ポリエチレンテレフタレートから、またはポリオレフィン、特にポリブテン、シクロオレフィンコポリマー、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、またはポリエチレン、例えば1軸延伸ポリプロピレン、2軸延伸ポリプロピレン、または2軸延伸ポリエチレンから成ることが好ましい。ポリエステルフィルムは、優れたバリア特性を有し、温度安定性をもたらし、かつ機械的安定性を高めるという利点を有している。したがって本発明によるライナーの少なくとも1つの支持層は、ポリエステルフィルム、例えば2軸延伸ポリエチレンテレフタレートから成ることがとりわけ好ましい。
【0059】
紙または不織布も支持材料として適している。
【0060】
好ましい一実施形態では、本発明によるライナーは、1種または複数の特定の浸透物、特に水蒸気および酸素に対するバリア層を含んでいる。本発明に従い、ライナーが、1種または複数の特定の浸透物に対するバリア機能を有する少なくとも1つの支持層を含む場合も好ましい。このようなバリア機能は、有機材料または無機材料から成ることができる。バリア機能を有する支持材料は、EP2078608A1(特許文献16)に詳細に示されている。
【0061】
特に好ましいのは、本発明によるライナーが少なくとも1つの無機バリア層を含むことである。無機バリア層として特に良く適しているのは、真空中で(例えば蒸着(Verdampfen)、CVD、PVD、PECVD、ALD(原子層堆積)により)または大気圧下で(例えば大気圧プラズマ、反応性コロナ放電、または火炎熱分解により)堆積させた金属窒化物または金属水窒化物(metallhydronitrid)、例えば、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、もしくはテルルの窒化物、さらにケイ素、ホウ素、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、およびテルルの酸化物、ならびに酸化インジウムスズ(ITO)である。さらなる元素でドープされた上述の様態の層も適している。
【0062】
特に好ましいのは、本発明によるライナーが、少なくとも1つの支持層と、1種または複数の特定の浸透物に対する少なくとも1つのバリア層とを含んでおり、その際、バリア層と支持層が直に重なった層として存在することである。無機バリア層を施すのに特に適した方法としては、支持層への温度負荷が小さいと同時に浸透をよく防ぐ層を実現できるハイパワーインパルスマグネトロンスパッタリングおよび原子層堆積法を挙げることができる。バリア機能を有する支持層もしくは支持層とバリア層から成る複合体の浸透バリアは、水蒸気に対して(WVTR)1g/(m
2・d)未満、および/または酸素に対して(OTR)1cm
3/(m
2・d・bar)未満であることが好ましく、この値は、それぞれの場合にライナー内で使用された支持層の厚さに対してであり、つまり特定の厚さに規格化されてはいない。これに関し、WVTRはASTM F−1249に基づき38℃および相対湿度90%で測定され、OTRはDIN53380の第3部に基づき23℃および相対湿度50%で測定される。
【0063】
本発明によるライナーはさらに、少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の層を少なくとも1つ含んでいる。
【0064】
「収着」とは、1種または複数の物質を、別の物質、本発明によればゲッター材料により選択的に取り込む工程のことである。その際、ゲッター材料による1種または複数の浸透性物質の収着は、例えば吸収または吸着によって行うことができ、吸着は化学吸着の形でも物理吸着の形でも行われ得る。
【0065】
「浸透性物質」とは、保護すべき接着剤中に、気体状または液体状の物質として侵入可能で、場合によっては固体状の物質としても侵入可能で、その後、接着剤を貫通し得る物質のことである。このような物質を以下では、本明細書で既に何度か出てきたように「浸透物」と呼ぶ。浸透物は、接着剤自体または周囲に由来する可能性があり、例えば接着剤でコーティングされた接着テープの支持材料に由来する可能性もある。接着剤もしくは接着テープ自体から来るのはたいてい、残留溶剤、残留モノマー、オイル、樹脂成分、軟化剤、および水のような低分子有機化合物である。周囲から来るのはたいてい水、揮発性有機化合物(VOC)、低分子炭化水素、および酸素である。「浸透性物質」と見なされるのは、特に下記の物質である。
【0066】
アセトニトリル、1−ブタノール、クロロベンゼン、クロロホルム(トリクロロメタン)、シクロヘキサン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、氷酢酸(酢酸)、無水酢酸、酢酸エチルエステル(酢酸エチル、酢酸エステル)、酢酸−nブチルエステル(n−ブチルアセテート)、酢酸−tert.ブチルエステル(t−ブチルアセテート)、エタノール、メタノール、n−ヘキサン、n−ヘプタン、3−ヘキサノン、2−プロパノール(イソプロパノール)、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール)、塩化メチレン(ジクロロメタン)、メチルエチルケトン(ブタノン)、メチルイソブチルケトン、ニトロメタン(ニトロカルボール)、n−ペンタン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、石油エーテル(軽ベンジン)、ベンジン、プロパノール、ピリジン(アジン)、tert−ブチルメチルエーテル、テトラクロロエテン(ペルクロロエテン)、テトラヒドロフラン、トルエン、トリクロロエタン、トリエチルアミン、キシレン、酸素、メタン、エタン、プロパン、プロペン、ブタン、ブテン、二酸化炭素、オゾン、二酸化硫黄、水。
【0067】
「ゲッター材料」とは、上で「収着」として定義した工程の意味において少なくとも1種の浸透性物質を選択的に取り込み得る材料のことである。したがってゲッター材料は、「ソーベント」または「収着剤」と呼んでもよい。ゲッター材料は、少なくとも水を収着する能力をもつことが好ましい。
【0068】
ゲッター材料層は、好ましくは、まとまりがあり、連続し、かつ間断のない層として形成される。ただしゲッター材料層は、不連続な層として存在していてもよく、または穴を有していてもよい。本発明に従い、粉末状のゲッター材料の全面的または断続的な層を支持材料上に施すことができ、続いて施された剥離層と、例えばホットロールのような、例えば熱的および/または機械的なプロセスにより、支持材料上で結合させることができる。断続的な層には、許容される浸透物はより容易に層を通過できるが、結合すべき浸透物はキャッチされるという利点がある。さらに、例えば粒子から成る断続的な層は、全面的で平滑な層より大きな表面積を有しており、したがってゲッター材料の収着力がさらに良く発揮される。
【0069】
ゲッター材料層の厚さは、特に、その時々の浸透物に対する所望の取り込み容量に応じて決まる。下限は、取り込み能力の高いゲッター材料の連続的な層、例えばカルシウム層の最小限の厚さとすることができ、その厚さは約20nmと見積もることができる。上限は、金属のゲッター材料、例えばバリウム−亜鉛合金から成るフィルムの、接着テープの巻き付けがいまだ可能な剛性のときの厚さとすることができる。このような層厚は約100μmと見積もることができる。
【0070】
ゲッター材料層は、好ましくは、純粋なゲッター材料から実施されている。それは例えば、ゲッター材料が蒸着またはスパッタリングされた層である。さらなる一実施形態では、少なくとも1種のさらなる材料がゲッター層内に分散して存在している。例えばこのさらなる材料は気体であり、つまりゲッター層は、発泡体として、特に開放気泡性の発泡体として存在することが特に有利である。これには、ゲッター層の活性表面積が特に大きいという利点がある。発泡金属の製造方法は、例えばDE102009020004A1(特許文献17)から知られている。固体状または液体状の材料も、ゲッター材料層内に分散して存在することができる。これは例えば、浸透物を取り込んで液化するゲッター材料、例えば塩化リチウムを、または遊離する気体、例えばバリウムと水が反応した際の水素を、結合する材料を形成し得る。ゲッター材料層が形成された後に再び除去される細孔形成剤も、ゲッター層内に分散した材料であり得る。これは例えば、ゲッター材料層を電気化学的に堆積させる際にまず最初は組み込まれ、しかし後に続くステップで再び溶出され、こうして多孔質のゲッター材料構造を後に残す有機材料であり得る。
【0071】
ライナー層内に分散して(分散相として)存在するゲッター材料は、本発明の意味における「少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の層」ではない。本発明による「少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の層」は、層が、実質的にゲッター材料自体により形成される場合、例えば層の唯一の材料としての、または分散系の連続相としてのゲッター材料により形成される場合にのみ存在する。本発明の意味においては、パーコレートした粒子も分散系の連続相と見なされる。「パーコレートした粒子」とは、粒子がまとまりのある領域もしくはクラスターを形成するように互いに相互作用している粒子のことである。パーコレーションの存在を直接的に認識することはできないので、代わりに分散系中のゲッター材料の重量分率が50%のときをパーコレーション閾値と定義する。
【0072】
本発明に従い、ゲッター材料は、リチウム、ベリリウム、ホウ素、ナトリウム、マグネシウム、ケイ素、カリウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、カドミウム、インジウム、セシウム、バリウム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化銀、酸化インジウム、酸化バリウム、酸化鉛、酸化リン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、金属塩、金属水素化物、1価および多価のカルボン酸の無水物、カルボヒドラジド、アスコルベート、没食子酸、ゼオライト類、カーボンナノチューブ、活性炭、およびカルボジイミド類、ならびに前記物質の2種以上の混合物から選択される。
【0073】
金属塩は、好ましくは、塩化コバルト、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸銅、亜ジチオン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、亜硫酸カリウム、過塩素酸マグネシウム、過塩素酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸リチウム、硫酸コバルトから選択される。
【0074】
金属水素化物は、好ましくは、水素化カルシウム、水素化ナトリウム、および水素化リチウムアルミニウムから選択される。
【0075】
1価および多価のカルボン酸の無水物は、好ましくは、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、およびメチルテトラヒドロ無水フタル酸から選択される。
【0076】
ゲッター材料は、その機能に対応して、好ましくは浸透物を含有しない、例えば水を含有しない材料として使用される。ただし本発明に従い、例えばCaSO
4・1/2H
2O(硫酸カルシウム半水和物)のような、既に部分的に浸透物により錯体形成された材料を使用することもできる。
【0077】
「カルボジイミド類」とは、一般式R
1−N=C=N−R
2の化合物のことであり、式中、R
1およびR
2は、有機残基、特にアルキル残基またはアリール残基であり、R
1およびR
2は同じでもまたは異なっていてもよい。
【0078】
好ましいのは、ゲッター材料が、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、バリウム、酸化バリウム、三酸化ホウ素、塩化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化リン、炭酸カリウム、水酸化カリウム、ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化亜鉛、カルボジイミド類、およびゼオライト類、ならびに前記物質の2種以上の混合物から選択されることである。これらの材料は、上述の浸透物の少なくとも1種に対する、および特に水に対する高い収着容量を有している。
【0079】
特に好ましいのは、ゲッター材料が、マグネシウム、カルシウム、鉄、バリウム、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、酸化銀、および酸化バリウム、ならびに前記物質の2種以上の混合物から選択されることである。これらのゲッター材料は、容易に、例えば真空コーティング法により、ライナーの当該層上に層状に堆積させることができ、高い収着力を示すという利点を提供する。
【0080】
本発明によるライナーのさらなる好ましい一実施形態では、ゲッター材料は、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、炭酸カリウム、硫酸銅、過塩素酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、およびゼオライト類、ならびに前記物質の2種以上の混合物から選択される。これらの材料は、再生可能なゲッター材料であることを特色とする。再生可能なゲッター材料とは、取り込んだ浸透物、例えば水を、特定の条件下で再び放出することができ、これにより改めて浸透物を取り込む能力をもつ状態になる物質のことである。これは、ゲッター含有のライナーから、接着剤との接触前に、場合によってはこの時点までに取り込んだ浸透物を、例えば乾燥によってほぼ取り除くという方法を可能にする。これによりライナーを使用する際には完全なゲッター容量が提供されることが有利である。
【0081】
とりわけ好ましいのは、ゲッター材料が、マグネシウム、カルシウム、鉄、バリウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、およびゼオライト類、ならびに前記物質の2種以上の混合物から選択されることである。これらの材料は、水およびそのほかの浸透物の取り込みに対して特に高い容量を有しており、大部分で再生可能であり、かつ非常に良好に層状にライナー内に組み込むことができ、例えば支持層上または非付着性剥離層上にコーティングすることができる。
【0082】
本発明によるライナーの特別な一実施形態では、ゲッター材料は、カルシウム、鉄、バリウム、塩化リチウム、塩化コバルト、および酸化カルシウム、ならびに前記物質の2種以上の混合物から選択される。これらの物質は、その光学的特性の変化により、例えば水の取り込みが増えるにつれて白(酸化カルシウム)または金属的な不透明な外見(カルシウム、バリウム)から透明な外見に変化することにより、または鉄の場合には茶色っぽく変色することにより、接着剤の浸透物含有率の逆推理を可能にする。つまり、ライナーの光学的外見に基づいて、まだゲッター容量の空きが認識できる間は、これは、保護すべき接着剤中に浸透物がまだまったく、またはせいぜい僅かにしか拡散していない印と見なすことができる。
【0083】
さらなる好ましい一実施形態では、ゲッター材料は、浸透物を化学吸着により結合する。このプロセスは、一般的に物理吸着より高い活性化エネルギーに基づいており、より遅く進行する。これに関して知られている例は、浸透物の水により水酸化カルシウムに転化される酸化カルシウムである。反応がより遅いので、ゲッター材料を周囲大気に当てた状態での短時間の取扱いが、取り込み容量の主な部分を既に失ってしまうことなく可能である。
【0084】
さらに、浸透物濃度が低くても既に高い有効性を示すゲッター材料が好ましい。これに基づき、浸透物が水の場合には、ゲッター材料の飽和水溶液により20℃および気圧1013mbarで20%未満の相対湿度が生じるようなゲッター材料を使用することが好ましい。浸透物濃度が低い場合の有効性という観点では、ゲッター材料は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、臭化リチウム、臭化亜鉛、塩化リチウム、臭化カルシウム、ヨウ化リチウム、および酢酸カルシウムを含む群から選択されることが好ましい。
【0085】
さらなる好ましい一実施形態では、非付着性剥離層の材料の、特に水蒸気に対する浸透物透過性が、それぞれ50μmの層厚に対して少なくとも100g/(m
2・d)、特に好ましくは少なくとも500g/(m
2・d)である。水蒸気に対する透過性もしくは浸透バリア(WVTR)は、ASTM F−1249に基づいて38℃および相対湿度90%で測定され、酸素に対する浸透バリアはDIN53380の第3部に基づいて23℃および相対湿度50%で測定される。剥離層材料の提示した浸透物透過性は、浸透物が、特に接着剤の側から、非常に迅速かつ効果的にゲッター材料層に到達するという点で有利である。したがって特に好ましくは、シリコーンまたはアクリレートをベースとする剥離層が使用される。
【0086】
本発明によるライナーのゲッター材料の総含有率は、ライナーのすべての層の総重量に対して0.5〜95重量%であることができる。含有率は、主に、その時々の1種/複数の浸透物に対する所望の取り込み容量に応じて決まる。
【0087】
例えば取り込み容量が少ししか必要なければ、場合によっては、取り込み容量の小さいゲッター材料を小さな層厚で使用するので十分である。したがって好ましい一実施形態では、ライナーが、ライナーの総重量に対して0.5〜5重量%のゲッター材料を含んでいる。この場合、乾燥剤含有マトリクスの厚さおよび面積がそれぞれの下限であり得ることが有利である。
【0088】
しかしながら、ライナーの取り込み容量が非常に大きい必要がある場合には、大きな厚さのゲッター材料層を使用しなければならず、その際にはゲッター材料も大きな取り込み容量を有することが望ましい。ただし費用または適合性の観点から望ましい場合には、取り込み容量の小さいゲッター材料を使用してもよい。したがって本発明によるライナーのさらなる好ましい一実施形態では、ライナーが、ライナーのすべての層の総重量に対して60〜95重量%のゲッター材料を含んでいる。
【0089】
大きな取り込み容量(最大限に取り込み可能な浸透物重量>ゲッター重量の25%)のゲッター材料は、それによりゲッター含有率を低く保つことができるので好ましい。これに関し、取り込み容量の確定は、浸透物の水蒸気に対しては、ゲッター材料を23℃および相対湿度50%で100時間貯蔵した後で行われ、または別の気体状浸透物の場合には、23℃の飽和大気中で行われる。貯蔵後のゲッターの浸透物含有率は、重量測定法で決定することができる。取り込み容量の観点では、ゲッター材料は、硫酸銅、酸化カルシウム、および塩化カルシウムを含む群から選択されることが好ましい。
【0090】
好ましい一実施形態では、本発明によるライナーは、支持層と、非付着性剥離層と、少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の層とから成る。つまりこの場合、ライナーはこの3つの層しか含まない。このことは、そのようなライナーが、より多層のライナーより柔軟であり、より多層のライナーの場合より層間固定が簡単に達成できるので有利である。それだけでなく、このようなライナーは、より少ない材料を使用して製造することができる。剥離層しか含まないライナーに比べ、さらに支持層を備えた実施形態は、剥離機能と機械的安定化機能を2つの層に切り離して存在させることができ、したがってそれぞれ特に適切な材料を選択できるという利点を有している。
【0091】
さらなる好ましい実施形態では、本発明によるライナーが、支持層と、非付着性剥離層と、少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の層と、さらなる層とを含んでいる。これは例えば異なる層の間の層間付着を改善するプライマー層、例えば印刷もしくは光線フィルターのような光学的に有効な層、またはさらなる剥離層であることができる。
【0092】
本発明によるライナーが透明である、つまりASTM D1003−00(手順A)に基づいて測定された透過率が50%超、好ましくは75%超であることが好ましい。透明なライナーにより、接着テープを適用する際により容易に位置決めすることができる。
【0093】
特に好ましいのは、本発明によるライナーがUV光を透過せず、つまりASTM D1003−00(手順B)に基づいて測定された波長領域200〜400nm内での透過率が、25%未満、好ましくは10%未満であることである。UVを透過しないライナーにより、UV光の影響による変化(例えば化学反応、老朽化、架橋)から接着剤を保護することができる。
【0094】
本発明のさらなる対象は、少なくとも片面および少なくとも一部が本発明によるライナーで覆われた接着剤である。この接着剤は、好ましくは感圧接着剤または活性化性接着剤および特に活性化性感圧接着剤である。
【0095】
凝固したフィルムが室温での乾燥状態で永続的に接着性かつ接着可能なままである接着剤を感圧接着剤と呼ぶ。感圧接着剤は、比較的弱い押圧力でも既に被接着下地との持続的な結合が可能であり、使用後には、実質的に残留物なく被接着下地から再剥離することができる。接着剤の貼付性は接着剤の付着特性に基づき、再剥離性は接着剤の凝集特性に基づく。
【0096】
本発明に従い、当業者は既知のすべての感圧接着剤を使用することができ、つまり例えば、アクリレートおよび/もしくはメタクリレート、ポリウレタン、天然ゴム、合成ゴム、スチレンブロックコポリマー組成物(不飽和ポリジエンブロックもしくは水素化ポリジエンブロック、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、その両方で構成されたコポリマーから成るエラストマーブロックならびに当業者に周知のさらなるエラストマーブロックを備える)、ポリオレフィン、フッ素ポリマー、および/またはシリコーンをベースとする接着剤を使用することができる。
【0097】
本明細書では、明示的に別の記載がなければ、アクリレートベースの感圧接着剤と言えばそれにより、明確に言及しなくてもメタクリレートベースの感圧接着剤ならびにアクリレートおよびメタクリレートをベースとする感圧接着剤が含まれるものとする。本発明の意味において、複数のベースポリマーの組合せおよび混合物も使用することができ、ならびに粘着樹脂、充填剤、老朽化防止剤、および架橋剤が添加された接着剤も使用することができ、この添加剤のリストは、単なる例として理解されるべきで、これに制限されるものではない。
【0098】
スチレンブロックコポリマー、ポリブチレン、ポリオレフィン、またはフッ素ポリマーをベースとする感圧接着材料は、水蒸気に対する浸透バリアが高く、かつ水分含有率が低いことを特色とするので好ましい。
【0099】
活性化性接着剤と見なされるのは、エネルギー入力、例えば化学線放射または熱によって貼り付く接着剤系である。
【0100】
熱活性化接着性の接着剤は、基本的に2つのカテゴリー、すなわち熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤(溶融型接着材料)および反応性で熱活性化接着性の接着剤(反応性接着材料)に分類することができる。両方のカテゴリーに分類できる接着剤、つまり反応性で熱可塑性で熱活性化接着性の接着剤(反応性溶融型接着材料)も含まれる。
【0101】
熱可塑性接着剤は、加熱すると可逆的に軟化し、冷却中に再び凝固するポリマーをベースとする。熱可塑性接着剤としては、特に、ポリオレフィンおよびポリオレフィンのコポリマーならびにその酸修飾された誘導体をベースとする、アイオノマーをベースとする、熱可塑性ポリウレタンをベースとする、ポリアミドならびにポリエステルおよびそのコポリマーをベースとする、さらにスチレンブロックコポリマーのようなブロックコポリマーをベースとする接着剤が有利であることが分かった。
【0102】
これに対し反応性で熱活性化接着性の接着剤は反応性成分を含んでいる。この反応性成分は「反応性樹脂」とも呼ばれ、反応性成分においては、加熱により架橋プロセスが開始され、この架橋プロセスは架橋反応の終了後に持続的で安定的な結合を保証する。このような接着剤は、弾性成分、例えば合成ニトリルゴムまたはスチレンブロックコポリマーも含んでいることが好ましい。このような弾性成分は、その高い流動粘度により、熱活性化接着性の接着剤に、加圧下でも非常に高い寸法安定性を付与する。
【0103】
放射線活性化接着剤も反応性成分をベースとする。この反応性成分には、例えばポリマーまたは反応性樹脂を含むことができ、この反応性成分においては、照射により架橋プロセスが開始され、この架橋プロセスは架橋反応の終了後に持続的で安定的な結合を保証する。このような接着剤は、上に示したような弾性成分も含んでいることが好ましい。
【0104】
好ましくは、エポキシド、オキセタン類、(メタ)アクリレート、または修飾されたスチレンブロックコポリマーをベースとする活性化性接着剤が使用される。
【0105】
好ましくは、接着剤は本発明によるライナーと接触する前の浸透物含有率が、1000ppm未満、特に好ましくは100ppm未満である。その際、ppmの表示は、調査した接着剤重量に対する、含まれている浸透物の総重量の関係を示している。浸透物含有率は、VDA277に基づき、ヘッドスペース・ガスクロマトグラフィを用いて決定することができ、または水の場合には、DIN EN ISO62(重量測定法、方法4)もしくはDIN53715(カール・フィッシャー滴定)に基づき、被検体を23℃および相対湿度50%で24時間貯蔵した後に決定することができる。接着剤が、ここに記載した浸透物含有率であれば、接着剤から拡散する浸透物によってライナーのゲッター材料の容量がさほど多く消費されることはなく、ライナーは、周囲からの浸透物からの保護カバーとしての機能をより良く果たすことができる。
【0106】
接着剤は、固定化すべき浸透物に対する浸透率が低いことが好ましい。浸透物としての水蒸気の場合、水蒸気浸透率(WVTR)は、50μmの接着剤厚に対し、好ましくは50g/m
2 day未満、特に好ましくは20g/m
2 day未満である。その際、WVTRは、ASTM F−1249に基づいて38℃および相対湿度90%で測定され、酸素浸透率(OTR)はDIN53380の第3部に基づいて23℃および相対湿度50%で測定される。
【0107】
接着剤の浸透率が低いことにより、周囲から接着剤を通り抜け、ゲッター材料含有のライナー内に拡散する浸透物はより少なく、したがってライナーは、その機能をより長く果たすことができ、またはゲッター材料をより少量にすることができ、これは、材料の使用を減らし、費用を節減する。
【0108】
本発明による接着剤は、接着テープとして形成されることが好ましい。つまり接着テープが、感圧接着剤または活性化性接着剤または特に活性化性感圧接着剤の少なくとも1つの層を含んでいる。この接着テープはさらなる層、例えば1つもしくは複数のさらなる接着剤層または支持材料を含むこともできる。
【0109】
好ましいのは、接着テープが接着剤の層しか含んでいないことである(転写式接着テープ)。なぜならこれにより、構造を単純に保つことができ、かつ材料の多彩性がより低いことにより、考慮すべきあり得る浸透物種の数を少なく保てるからである。さらに、接着テープからの浸透物がゲッター含有のライナーへと拡散するのを妨害する支持材料が無く、これにより接着テープから特に効率よく浸透物を取り除くことができる。
【0110】
接着テープの厚さには、すべての通常の厚さ、つまりおおよそ3μm〜3000μmが含まれ得る。好ましいのは25〜100μmの間の厚さである。なぜならこの範囲内では、接着力および取扱い特性が特に良くなるからである。さらなる好ましい範囲は3〜25μmの厚さである。なぜならこの範囲内では、カプセル化用途において、接着接合部の断面積が小さいことだけで、接着接合部を通って浸透する物質の量を少なく保つことができるからである。さらに、意外にもこのような小さな接着テープ厚は、ゲッターが充填されたライナーにより、浸透物をうまく取り除け得ることが示された。
【0111】
特に好ましいのは転写式接着テープである。なぜならこの場合、接着テープからの浸透物がゲッター含有のライナーへと拡散するのを妨害する支持材料が無く、したがって接着テープから特に効率よく浸透物を取り除け得るからである。
【0112】
本発明のさらなる対象は、本発明によるライナーで接着剤の少なくとも片面および少なくとも一部を覆うことを含む、接着剤を浸透物から保護するための方法である。
【0113】
例えば接着テープと本発明によるライナーから成る複合体を製造するために、接着テープの支持体またはライナーの片面に、接着テープの好ましくは感圧接着剤を、溶液または分散系または100%(例えば融体)の状態でコーティングまたは印刷し、あるいは共押出成形により複合体を製造する。代替策として、ラミネート加工による接着剤層もしくはライナーの転写により、複合体生成が可能である。1つまたは複数の接着剤層は、加熱または高エネルギー放射線により架橋することができる。
【0114】
このプロセスは、特定の浸透物が低濃度にしか、またはほぼまったく含まれていない環境で行われることが好ましい。例としては、相対湿度30%未満、好ましくは15%未満を挙げることができる。
【0115】
使用する自己接着剤は、特性を最適化するため、粘着性付与剤(樹脂)、軟化剤、充填剤、顔料、UV吸収剤、光安定剤、老朽化防止剤、架橋剤、架橋促進剤、またはエラストマーのような1種または複数の添加剤と混合することができる。
【0116】
接着材料層の量は、好ましくは1〜5000g/m
2、好ましくは10〜100g/m
2であり、この「量」とは、必要に応じて実施された水または溶剤の除去後の量のことである。
【0117】
本発明のさらなる対象は、接着剤保護ライナーに施すための、少なくとも1種の浸透性物質を収着する能力をもつゲッター材料の使用である。
【0118】
本発明のさらなる対象は、光電子部品
をカプセル化するための方法において接着テープの、および/または好気硬化型接着剤
の、および/または湿気硬化型接着
剤の少なくとも片面および少なくとも一部を覆うための、本発明によるライナーの使用である。
【0119】
本発明のさらなる対象は、ライナーで覆われた接着剤の浸透物含有率を表示するための、好ましくは酸化カルシウム、金属カルシウム、および/または塩化コバルトをゲッター材料として含有する、本発明によるライナーの使用である。この表示は、ライナーに含有されたゲッター材料の光学的特性の変化によって達成される。つまり、例えば酸化カルシウムは水との結合が進むにつれ、その色を白から透明へと変化させる。金属カルシウムも、その金属的な不透明な外見を失い、次第に透明になる。つまりゲッター材料が、まだ使い切られていない状態の光学的外見で認識できる間は、これは、保護すべき接着剤に浸透物がまだまったく、またはせいぜい僅かにしか拡散していない印と見なすことができる。