特許第6205145号(P6205145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205145
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20170914BHJP
   G01L 19/06 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01L9/00 301Z
   G01L19/06 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-50489(P2013-50489)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-178125(P2014-178125A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年12月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 倫久
(72)【発明者】
【氏名】高月 修
(72)【発明者】
【氏名】向井 元桐
(72)【発明者】
【氏名】住吉 雄一朗
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−090846(JP,A)
【文献】 特開2004−340846(JP,A)
【文献】 実開平03−061545(JP,U)
【文献】 特開平06−288851(JP,A)
【文献】 特開2004−085544(JP,A)
【文献】 特開2004−219205(JP,A)
【文献】 特開平10−185722(JP,A)
【文献】 米国特許第04972154(US,A)
【文献】 特開平06−137979(JP,A)
【文献】 特開平03−259750(JP,A)
【文献】 特開平06−288852(JP,A)
【文献】 特開2000−199725(JP,A)
【文献】 特開2002−168711(JP,A)
【文献】 特開2005−181066(JP,A)
【文献】 特開2011−114071(JP,A)
【文献】 特開2007−258670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32,27/00−27/02
H01L 27/20,29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧力を受圧するダイアフラムと、
前記ダイアフラムとの間でオイル等の絶縁性媒質が封入された受圧空間が形成され前記受圧空間内に半導体形圧力検出装置が設けられるベースと、
前記ベースに植設され前記半導体形圧力検出装置とボンディングワイヤを介して結線される複数の端子ピン及びアース端子ピンとを具備し、
前記ダイアフラムと前記ベースとからなる圧力検出部が一体的に装備される圧力センサであって、
前記ベース上には、前記半導体形圧力検出装置と、前記半導体形圧力検出装置の周囲位置又は側方位置に配置される除電板とが搭載されており
前記除電板は、前記ベースからの高さが前記半導体形圧力検出装置の前記ベースからの高さよりも低い位置に配置されており、
前記除電板は、アース用ボンディングワイヤを介して前記アース端子ピンに電気的に導通させてあり、
前記ベースからの高さ方向に沿って前記ダイアフラム側から前記ベースを見て、前記除電板は、前記半導体形圧力検出装置と重ならないように配置されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記アース用ボンディングワイヤの線径は他のボンディングワイヤの線径よりも大径にしてあることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記アース用ボンディングワイヤが複数本からなることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記除電板は、外郭形状が四角形状であって中央部に窓孔を有することを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記除電板は、外郭形状が八角形状であって中央部に窓孔を有することを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記除電板は、外郭形状が円形状であって中央部に窓孔を有することを特徴とする請求項1記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記除電板にはその一部にスリットが設けてあることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体形圧力検出装置を備えた圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の圧力センサは、冷凍冷蔵装置や空調装置に装備されて冷媒圧力を検知したり、産業用機器に装備されて各種の流体圧力の検知に使用されている。
半導体形圧力検出装置は、ダイアフラムで区画されてオイルが封入された受圧室内に配置され、受圧空間内の圧力変化を電気信号に変換して外部に出力する機能を備える。
ダイアフラムは可撓性の金属板であって、半導体形圧力検出素子との間で電位差が発生したり、封入されたオイルが静電気を帯びたりすると、半導体形圧力検出素子に不具合が生ずる場合がある。
【0003】
そこで、半導体形圧力検出素子とダイアフラムとの間に導電性部材を配置して、この導電性部材を電気回路のゼロ電位に接続することで除電を図るものが、下記の特許文献に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−302300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より簡素な構造の除電板を備え、受圧空間の高さ寸法を拡大する必要がない圧力検出センサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圧力センサは、ダイアフラムとベースとからなる圧力検出部が一体的に装備される圧力センサであって、ベース上には、半導体形圧力検出装置と、当該半導体形圧力検出装置の周囲位置又は側方位置に配置される除電板とが搭載されている。除電板は、ベースからの高さが半導体形圧力検出装置のベースからの高さよりも低い位置に配置され、除電板は、アース用ボンディングワイヤを介してアース端子ピンに電気的に導通している。また、ベースからの高さ方向に沿ってダイアフラム側からベースを見て、除電板は、半導体形圧力検出装置と重ならないように配置される。
【0007】
ボンディングワイヤは、アース用の線径を他よりも大径に構成する、あるいは複数本で構成することもできる。
【0008】
除電板は、外郭形状が四角形状であって中央部に窓孔を有している。また、外郭形状は八角形状や円形状とすることもできる。除電板の一部にスリットが設けられることもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の構成を採用することによって、静電気等の電磁気的ノイズに対する耐性に富んだ信頼性の高い圧力センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の圧力センサの断面図である。
図2】本発明の圧力センサの要部の平面図である。
図3】本発明の圧力センサの要部拡大平面図である。
図4】半導体形圧力検出素子と除電板の詳細を示す要部拡大断面図である。
図5】本発明の圧力センサの第1製造工程を示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図6】本発明の圧力センサの第2製造工程を示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図7】本発明の圧力センサの第3製造工程を示す説明図であって、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図8】本発明の圧力センサの他の実施形態を示す平面図である。
図9】本発明の圧力センサの更に他の実施形態を示す平面図である。
図10】本発明の圧力センサの更に他の実施形態を示す平面図である。
図11】本発明の圧力センサの更に他の実施形態を示す要部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2に示すように、圧力センサ1は段付の円筒形状のカバー10を有し、カバー10の大径の開口部に対向して流体流入管20が取り付けられる。カバー10の内部にはベース40が組み付けられ、流体流入管20を支持する取付部材30との間にダイアフラム50の外周部が挟み込まれる。
皿状のベース40とダイアフラム50で区画される受圧空間52にはオイル等の絶縁性の液状媒質が充填される。
ベース40の受圧空間52側の中央部には半導体形圧力検出装置60が搭載される。圧力検出装置60は、ガラス製の台座62とそれに貼付された圧力検出素子(半導体チップ)64とからなる。
【0012】
半導体形圧力検出装置60の周囲にはベース40を貫通する複数本の端子ピン70が位置する。端子ピン70はベース40に対してハーメチックシール74により絶縁封止されて起立する。
【0013】
端子ピン70と同様の構造をもつアース端子ピン72も設けられる。端子ピン70とアース端子ピン72は中継基板90に接続され、コネクタ92を介してリード線94に連結されて外部に出力される。半導体形圧力検出装置60と端子ピン70の間はボンディングワイヤ80で接続(結線)される。
【0014】
流体流入管20に導入される流体は流体導入室32内に入り、その圧力でダイアフラム50が変形し、受圧空間52内の媒質を加圧する。
半導体形圧力検出素子64はこの圧力変動を検知して電気信号に変換し、端子ピン70を介して電気信号を外部に出力する。
【0015】
本発明の圧力センサ1にあっては、半導体形圧力検出装置60を囲むように、除電板100がベース40上に取り付けてある。
【0016】
図2に示す除電板100は、外部形状が四角形状の平面形状を有し、内側に半導体形圧力検出装置60を収容する窓孔102を設けてある。
そして、除電板100とアース端子ピン72の間はアース用ボンディングワイヤ82で結線される。
【0017】
アース端子ピン72は電位ゼロの電気回路に接続されるものであり、半導体形圧力検出装置60の周囲に帯電する電位は除電板100を介して除電され、これにより半導体形圧力検出装置60の静電気帯電に起因する作動不良が防止される。
【0018】
本実施例にあっては、アース用ボンディングワイヤ82の線径は、他のボンディングワイヤ80に比べて大径のものを使用することにより、高い除電性能を備える。
【0019】
図3図4に拡大して示すように、半導体形圧力検出装置60は、ガラス製の台座部62の上面に圧力検出素子64が搭載された構造を有し、接着剤層62aにより金属製のベース40に固着される。
【0020】
除電板100は、例えば、セラミックス、ガラス等の無機材料、又はポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の耐熱性に富んだ絶縁層を設け、その片側の面に導電層110を形成した構造を有し、接着剤層100aを介してベース40上に固着される。導電層110の材料としては金、銅、アルミニウム、ニッケル等が代表的であるが、高電圧耐久性を得るためにタングステンやモリブデン等が高融点材料を用いることもできる。
【0021】
半導体形圧力検出装置60(圧力検出素子64)と端子ピン70の間はボンディングワイヤ80で結線され、除電板100の導電層110とアース端子ピン72の間は太径のアース用ボンディングワイヤ82により結線される。
【0022】
本発明の圧力センサ1に装備される板状の除電板100は、固着されるベース40の表面の基準高さ位置Hに対して、除電板100の表面高さ位置Hが半導体形圧力検出装置60のガラス製台座部62の表面高さ位置Hに比べて低くなるように構成されている。
これにより、受圧空間52の高さ寸法を従来の圧力センサのものと同様としたままで、除電板100を配設することが可能となり、圧力センサのサイズの変更を必要とすることなくオイル等の封入媒質の除電を効果的に発揮させることができる。
【0023】
本発明は以上のように、受圧空間52内の帯電を効果的に除去して半導体形圧力検出装置60の作動不良をより確実に防止することができる。
【0024】
次に、本発明の圧力センサの製造過程について説明する。
図5は、端子ピン70やアース端子ピン72に植設されたベース40をその受圧空間52側を上に向けて設置し、ベース40中央部に半導体形圧力検出装置60を固着する工程を示す。
半導体形圧力検出装置60の位置決めのために、この実施形態では、ベース40の中央部に凹部42を設けてある。半導体形圧力検出装置60は接着剤層によりベース40に固着される。
【0025】
図6は、半導体形圧力検出装置60の周囲に除電板100を固着する工程を示す。
除電板100は、中央部に窓孔102を有し、この窓孔102内に半導体形圧力検出装置60を収容する姿勢で導電層を上向きにした状態で除電板100を接着剤層100aによりベース40上に固着する。
図4に示すように、除電板100の受圧空間52側の高さ位置Hは、ガラス製台座部62の高さ位置Hに比べて低くなるように構成されている。
【0026】
図7は、半導体形圧力検出装置子60と端子ピン70及び除電板100とアース端子ピン72の間をボンディングワイヤ80とアース用ボンディングワイヤ82により結線する工程を示す。
圧力検出素子64と除電板100の上側の空間には何らの部材が存在しないので、この結線作業は通常のワイヤボンディングと同一の工程で容易に実施することができる。
【0027】
図8は、除電板の他の実施形態を示す。この実施形態の除電板200は、外部形状が八角形状で中央部に窓孔202を有するものである。
【0028】
図9は除電板のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の除電板300は、外部形状が円形形状で中央部に窓孔302を有するものである。
【0029】
図10は、除電板のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の除電板400は、中央部に窓孔402を有するとともに、一部にスリット404が設けてある。スリット404の位置は、アース端子ピン72の対角位置に設定される。
スリット404を設けることにより、確実な除電作用が得られる。
【0030】
図11に、本発明の更に他の実施形態を示す。
本実施形態にあっては、アース用ボンディングワイヤを複数本(この実施例では3本)のボンディングワイヤ282で構成してある。
各ボンディングワイヤは他の結線用ボンディングワイヤ80と同一のものを用いてあり、アース用に特別なワイヤを用意する必要はない。
この構成によっても除電作用はより確実に遂行される。他の構成は先の実施形態と同様である。
【0031】
除電板は、上記の各実施形態では半導体形圧力検出装置を取り囲む形状としているが、これに限るものではなく、矩形状の除電板としてそれを半導体形圧力検出装置の横(側方)に配置する形態とすることも可能である。
【0032】
本発明の圧力センサにあっては、半導体形圧力検出装置の周囲に又はその側方位置に除電板を設けてあるので、受圧空間内の静電気等の電磁気的ノイズによる影響を防止して、センサとしての信頼性を向上することができる。
また、除電板102は、使用環境のノイズレベルに応じて、受圧空間内への設置の有無を適宜に選択することが可能である。
また、除電板の高さ位置を半導体形圧力検出装置の高さ位置より低くすることにより、ワイヤボンディングの作業性を損なうことなく圧力センサの製造工程が簡素化され、サイズも従来のものと同様に保つことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 圧力センサ 10 カバー
20 流体導入部 30 取付部材
32 流体導入室 40 ベース
50 ダイアフラム 52 受圧空間
60 半導体形圧力検出装置 62 ガラス台座
64 検出素子 70 端子ピン
72 アース端子ピン 74 ハーメチックシール
80 ボンディングワイヤ 82 アース用ボンディングワイヤ
90 中継基板 92 コネクタ
94 リード線
100、200、300、400 除電板
102、202、302、402 窓孔
404 スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11