(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置から前記第1の向きに前記第1の基準位置まで移動させ、更にその後、該第1の基準位置から前記第1の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第1の検出部が非検出状態であり、前記第2の検出部が検出状態である場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記第2の基準位置まで移動させた後、該第2の基準位置から前記第2の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項2及び請求項3のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記制御部は、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきか否かを表す第3の情報を更に参照可能であり、前記制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきであることを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置から前記第1の向きに前記第1の基準位置まで移動させ、更にその後、該第1の基準位置から前記第1の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中であることを表しており、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきでないことを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置で待機させるように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第1の検出部が非検出状態であり、前記第2の検出部が検出状態であり、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきでないことを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置で待機させるように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項5及び請求項6のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第1の検出部が非検出状態であり、前記第2の検出部が検出状態であり、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきであることを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記第2の基準位置まで移動させた後、該第2の基準位置から前記第2の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
ことを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2に開示されているHUD装置では、投射部から投射された表示像を反射鏡(反射板)にて反射し、当該反射鏡からの反射像をフロントガラス(フロントウインドシールド)に投影することにより、フロントガラス上に情報を表示する。運転者は、当該フロントガラスを視認して情報を把握する。フロントガラスにおける情報の表示位置は、運転者が操作ボタンを押下して反射鏡の回転角度を適宜変更することによって調整される。また、反射鏡の回転角度は、例えば駆動開始直後において反射鏡の回転角度が前回停止時における角度となるように制御される場合のように、HUD装置が備える制御部によって駆動が自動的に制御されて変更される場合も考えられる。
【0005】
当該HUD装置では、反射鏡の可動範囲の上限位置及び下限位置にストッパー及びリミットスイッチ(マイクロスイッチ)が設けられており、当該リミットスイッチのオンオフにより、可動範囲における限界位置に反射鏡が到達したことが検出されている。そして、限界位置に到達した場合には、反射鏡の動作が停止される。リミットスイッチから出力される検出信号は、上述した反射鏡の駆動の自動制御にも利用される。
【0006】
一方、HUD装置の中には、車両前方からの光を透過し、投射部から投射された表示像を反射することにより、車両前方の景色と表示像とを重畳させる半透明のコンバイナ(ハーフミラー、反射板)を備えるコンバイナ式のものがある。コンバイナ式の場合、運転者は、当該コンバイナを視認して情報を把握する。コンバイナは、回転可能に設けられており、当該コンバイナの回転角度が変更されることによって、コンバイナにおける情報の表示位置が調整される。
【0007】
また、近年では、コンバイナ式のHUD装置として、運転者がHUD装置を使用しない時にはコンバイナをインストルメントパネルの内空間に格納し、使用する時にだけコンバイナをポップアップ(展開)状態でインストルメントパネルの上方に露出させる構成を採用したポップアップ式のものも提案されている。
【0008】
このような構成のHUD装置においても、コンバイナの駆動を適切に制御することが求められている。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みて為されたものであり、反射板の駆動の制御性を向上したヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 制御部と、
該制御部により動作が制御される駆動部と、
棒状に延びる案内部と、
前記駆動部の駆動力により、前記案内部の長手方向に沿ってスライド移動する移動部と、
該移動部の移動に従って駆動される反射板と、
前記移動部が
、前記案内部の前記長手方向における
移動可能範囲の一端から、前記移動可能範囲の一端から前記移動可能範囲の他端に向かう第1の向きに移動した第1位置までの範囲である第1の範囲内に位置している場合に、検出状態であることを前記制御部に伝達し、当該場合以外には、非検出状態であることを前記制御部に伝達する第1の検出部と、
前記移動部が
、前記案内部の前記長手方向における
前記移動可能範囲の他端から、前記移動可能範囲の他端から前記第1の向きとは逆向きである第2の向きに移動した第2位置であって前記第1位置より前記第1の向き側に位置する第2位置までの範囲である第2の範囲内に位置している場合に、検出状態であることを前記制御部に伝達し、当該場合以外には、非検出状態であることを前記制御部に伝達する第2の検出部と、
を備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、
前記長手方向において前記第1の範囲から
前記第1の向きに前記移動部が移動する場合に、検出状態である前記第1の検出部が非検出状態となる前記移動部の位置を基準として把握される位置を第1の基準位置とし、
前記第1の向きに前記移動部が移動する場合に、非検出状態である前記第2の検出部が検出状態となる前記移動部の位置を基準として把握される位置を第2の基準位置として、前記駆動部を制御
し、
前記制御部は、
前記第1の検出部が検出状態で且つ前記第2の検出部が非検出状態である場合には、前記移動部が前記第1の基準位置よりも前記第2の向き側に位置していると把握し、
前記第1の検出部及び前記第2の検出部の双方が非検出状態である場合には、前記移動部が前記第1の基準位置と前記第2の基準位置との間に位置していると把握し、
前記第1の検出部が非検出状態で且つ前記第2の検出部が検出状態である場合には、前記移動部が前記第2の基準位置よりも前記第1の向き側に位置していると把握する
こと。
【0011】
上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、移動部が案内部の長手方向における所定の範囲内に位置しているか否かに従って検出/非検出状態が変化する2つの検出部からの出力に基づいて、案内部に対するスライド移動における移動部の第1の基準位置及び第2の基準位置を把握し、当該基準位置を用いて、移動部を駆動するための駆動部を制御する。このため、制御部は、2つの検出部の出力状態に基づいて、第1の基準位置及び第2の基準位置に対する移動部の位置を把握できる。
例えば、案内部の長手方向において第1の向きに移動部が移動する場合に、検出状態である第1の検出部が非検出状態となる移動部の位置を第1の基準位置とし、第1の向きに移動部が移動する場合に、非検出状態である第2の検出部が検出状態となる移動部の位置を第2の基準位置として、第1の基準位置から第1の向きとは反対側に移動部が移動した場合、及び第2の基準位置から第1の向きに移動部が移動した場合には第1の検出部及び第2の検出部の双方が非検出状態とならないように移動部を移動させる構成とすれば、制御部は、第1の検出部が検出状態で且つ第2の検出部が非検出状態である場合には、移動部が第1の基準位置よりも第1の向きとは反対側(後述する第2の向き側)に位置していると把握でき、第1の検出部及び第2の検出部の双方が非検出状態である場合には、移動部が第1の基準位置と第2の基準位置との間に位置していると把握でき、第1の検出部が非検出状態で且つ第2の検出部が検出状態である場合には、移動部が第2の基準位置よりも第1の向き側に位置していると把握できる。
このように、従来技術では、回転駆動される反射板(又は移動部)が可動範囲の限界位置に到達したことしか検出できなかったのに対して、上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置によれば、スライド移動する反射板の駆動制御に関して、2つの検出部の出力状態に基づいて第1の基準位置及び第2の基準位置を把握し、当該第1の基準位置及び第2の基準位置に対する移動部の位置を把握して駆動部を制御するため、反射板の駆動を適切に制御することができる。
【0012】
また、上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、案内部の長手方向において、第1の基準位置及び第2の基準位置の2つの基準位置を駆動部の制御に利用することができる。このため、例えば、任意の目標位置まで移動部を移動させる際に、当該目標位置を、第1の基準位置及び第2の基準位置の双方を基準として把握しておき、より好ましい基準位置を選択的に利用して移動部を移動させることができる。この際の選択基準としては、例えば、より目標位置に近い基準位置を選択したり、当該移動開始前の移動方向と一致する方向に存在する基準位置を選択したりすることが考えられる。このような構成によれば、反射板を精度よく短時間で目標位置まで移動させたり、運転者に違和感を与えることなく反射板を移動させたりすることができる。
【0013】
また、上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、第1の基準位置及び第2の基準位置を利用することで、可動範囲における限界位置(ストッパー位置)までの距離を把握できる。このため、従来技術で用いられていた、限界位置に設けられたリミットスイッチを省くことが可能となる。
【0014】
ところで、ヘッドアップディスプレイ装置の動作中に、例えばエンジンのクランキング等の影響により、駆動電源が一時的に途絶した後で、復帰する場合がある。このとき、反射板(コンバイナ)が展開状態である際にステッピングモータの励磁出力をオフしない制御則を採用するヘッドアップディスプレイ装置の場合、瞬断発生前の励磁出力位置と、制御部(マイクロコンピュータ)のリセット解除後に出力されるデフォルトの励磁位置とに位相差が生じると、ステッピングモータのマグネットの停止位置が変化するため、反射板の停止位置にズレが生じてしまう。このため、電源の瞬断が発生した場合、一旦原点となる位置まで反射板を移動させた後に、再び展開状態となる位置まで移動させる必要がある。ところが、従来のヘッドアップディスプレイ装置では、リミットスイッチによって可動範囲における限界位置に反射板が到達したことは検出できるが、調整操作により設定された現在の停止位置は把握することができない。このため、従来のヘッドアップディスプレイ装置では、電源の瞬断から復帰して駆動を再開した後に、瞬断発生前と同じ停止位置まで速やかに反射板を移動させることが困難であった。
これに対して、上記(1)の構成のヘッドアップディスプレイ装置によれば、第1の基準位置及び第2の基準位置に対する移動部の位置を把握して駆動部を制御できるため、瞬断からの復帰後、瞬断発生前の停止位置(目標位置)までの反射板の移動に要する時間を低減でき、且つ、反射板を精度よく目標位置まで移動させることができる。また、第1の基準位置及び第2の基準位置の2つの基準位置を駆動部の制御に利用することができるため、例えば、瞬断発生前における反射板の移動方向と同一方向に反射板を移動させ、第1の基準位置及び第2の基準位置のいずれか一方まで移動した後で目標位置まで移動させる構成とすれば、反射板の移動動作中に電源の瞬断が発生した場合であっても、運転者に違和感を与えることなく反射板の移動を再開させることができる。
【0015】
(2)
制御部と、
該制御部により動作が制御される駆動部と、
棒状に延びる案内部と、
前記駆動部の駆動力により、前記案内部の長手方向に沿ってスライド移動する移動部と、
該移動部の移動に従って駆動される反射板と、
前記移動部が前記案内部の前記長手方向における第1の範囲内に位置している場合に、検出状態であることを前記制御部に伝達し、当該場合以外には、非検出状態であることを前記制御部に伝達する第1の検出部と、
前記移動部が前記案内部の前記長手方向における前記第1の範囲と共通する範囲を有しない第2の範囲内に位置している場合に、検出状態であることを前記制御部に伝達し、当該場合以外には、非検出状態であることを前記制御部に伝達する第2の検出部と、
を備えるヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、
前記長手方向において前記第1の範囲から前記第2の範囲に向かう向きである第1の向きに前記移動部が移動する場合に、検出状態である前記第1の検出部が非検出状態となる前記移動部の位置を基準として把握される位置を第1の基準位置とし、
前記第1の向きに前記移動部が移動する場合に、非検出状態である前記第2の検出部が検出状態となる前記移動部の位置を基準として把握される位置を第2の基準位置として、前記駆動部を制御し、
各種情報を記憶する記憶部を更に備え、
前記制御部は、
前記第2の基準位置よりも前記第1の向き側に位置する目標位置から前記第1の基準位置までの前記長手方向における距離を第1の距離として前記記憶部に記憶させ、
該目標位置から前記第2の基準位置までの前記長手方向における距離を第2の距離として前記記憶部に記憶させ、
前記第1の基準位置から、前記第1の向きとは逆向きである第2の向きに第3の距離だけ離れた点を原点位置とし、
前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中であるか否かを表す第1の情報と、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中であるか否かを表す第2の情報と、を参照可能であり、
該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中であることを表しており、且つ、前記第1の検出部及び第2の検出部の双方が非検出状態である場合には、前記移動部を、前記第1の向きに前記第2の基準位置まで移動させた後、該第2の基準位置から前記第2の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御し、
一方、前記駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中であることを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記第1の基準位置まで移動させた後、該第1の基準位置から前記第3の距離だけ前記第2の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
こと。
【0016】
上記(2)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、第1の基準位置及び第2の基準位置に加えて、原点位置を更に把握し、また、第1の距離、第2の距離、及び第3の距離を記憶部に記憶させている。また、制御部は、第1の情報及び第2の情報を参照可能に構成されている。そして、制御部は、駆動開始後(電源の瞬断からの復帰後)、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中であることを表しており、且つ、第1の検出部及び第2の検出部の双方が非検出状態である場合には、即ち、原点位置から目標位置への移動中に瞬断が発生し、移動部が第1の基準位置と第2の基準位置との間に位置している場合には、移動部を、第1の向きに第2の基準位置まで移動させた後、第2の基準位置から第2の距離だけ第1の向きに移動させて、目標位置まで移動させる。一方、制御部は、駆動開始後、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第2の情報が、移動部が目標位置から原点位置へ移動中であることを表している場合には、即ち、目標位置から原点位置への移動中に瞬断が発生した場合には、移動部を、第2の向きに第1の基準位置まで移動させた後、第1の基準位置から第3の距離だけ第2の向きに移動させて、原点位置まで移動させる。これにより、移動部は、原点位置から目標位置への第1の向きの移動中に瞬断が発生した場合には、まず第1の向き側に移動し、第2の基準位置を基準として目標位置まで移動し、一方、目標位置から原点位置への第2の向きの移動中に瞬断が発生した場合には、まず第2の向き側に移動し、第1の基準位置を基準として原点位置まで移動する。このため、電源の瞬断の発生前後において移動部の移動の向きが変化しない。また、移動の向きが変化しないために瞬断発生後に移動すべき位置(目標位置又は原点位置)までの移動距離を短くできる。
この結果、反射板の移動中に瞬断が発生した場合であっても、運転者に違和感を与えることなく反射板を移動すべき位置まで移動させることができ、且つ、反射板を精度よく短時間で当該位置まで移動させることができる。
【0017】
(3) 上記(2)の構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置から前記第1の向きに前記第1の基準位置まで移動させ、更にその後、該第1の基準位置から前記第1の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
こと。
【0018】
上記(3)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、駆動開始後(電源の瞬断からの復帰後)、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第2の情報が、移動部が目標位置から原点位置へ移動中ではないことを表している場合には、即ち、原点位置と目標位置との間の移動中以外の時間帯(停止中の時間帯)に瞬断が発生した場合には、移動部を、第2の向きに原点位置まで移動させた後、原点位置から第1の向きに第1の基準位置まで移動させ、その後、第1の基準位置から第1の距離だけ第1の向きに移動させて、目標位置まで移動させる。これにより、例えば、原点位置と目標位置との間の移動中以外の時間帯である、移動部が目標位置にて停止していた時間帯に瞬断が発生した場合に、移動部を一旦原点位置まで移動させた後で、確実に目標位置まで再度移動させることができる。
この結果、電源の瞬断が発生した場合であっても、反射板を確実に目標位置まで移動させることができる。
【0019】
(4) 上記(2)及び(3)のいずれか1つの構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第1の検出部が非検出状態であり、前記第2の検出部が検出状態である場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記第2の基準位置まで移動させた後、該第2の基準位置から前記第2の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
こと。
【0020】
上記(4)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、駆動開始後、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第2の情報が、移動部が目標位置から原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第1の検出部が非検出状態であり、第2の検出部が検出状態である場合には、即ち、第2の基準位置よりも第1の向き側の位置で停止している場合に瞬断が発生した場合には、移動部を、第2の向きに第2の基準位置まで移動させた後、該第2の基準位置から第2の距離だけ第1の向きに移動させて、目標位置まで移動させる。これにより、例えば、移動部が目標位置で停止していた時間帯に瞬断が発生した場合に、移動部を原点位置まで移動させることなく、第2の基準位置を基準として目標位置まで移動させることができるので、目標位置までの移動距離を短くできる。
この結果、電源の瞬断が発生した場合であっても、反射板を確実に且つ迅速に目標位置まで移動させることができる。
【0021】
(5) 上記(2)〜(4)のいずれか1つの構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきか否かを表す第3の情報を更に参照可能であり、前記制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきであることを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置から前記第1の向きに前記第1の基準位置まで移動させ、更にその後、該第1の基準位置から前記第1の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
こと。
【0022】
上記(5)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきか否かを表す第3の情報を更に参照可能である。このため、制御部は、上記(5)の構成において、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第2の情報が、移動部が目標位置から原点位置へ移動中ではないことを表している場合に、更に、第3の情報を参照することによって、移動部が目標位置にて停止していた時間帯に瞬断が発生した場合であるか、或いは移動部が原点位置で停止している状態において通常通りに駆動が開始された場合であるかを判断することができる。そして、第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきであることを表している場合には、移動部が目標位置にて停止していた時間帯に瞬断が発生したと判断し、移動部を一旦原点位置まで移動させた後で、確実に目標位置まで再度移動させることができる。また、例えば、第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきではないことを表している場合には、移動部を原点位置又は第1の基準位置まで移動させて当該位置で停止させることも考えられる。
この結果、駆動開始時に反射板を適切な停止位置まで移動させることができる。
【0023】
(6) 上記(5)の構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中であることを表しており、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきでないことを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置で待機させるように、前記駆動部を制御する、
こと。
【0024】
上記(6)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、駆動開始後、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第2の情報が、移動部が目標位置から原点位置へ移動中であることを表しており、且つ、第3の情報が、ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきでないことを表している場合には、即ち、目標位置から原点位置への移動中に瞬断が発生した場合であって、且つ表示駆動すべきでない場合には、移動部を、第2の向きに原点位置まで移動させた後、該原点位置で待機させる。これにより、目標位置から原点位置への移動中に瞬断が発生した場合であって、当該瞬断から復帰した後に、目標位置まで移動する必要がない場合には、移動部を原点位置まで移動させて待機させることができる。このとき、電源の瞬断の発生前後において移動部の移動の向きが変化しない。
この結果、電源の瞬断が発生した場合であっても、運転者に違和感を与えることなく反射板を移動させることができる。
【0025】
(7) 上記(5)及び(6)のいずれか1つの構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第1の検出部が非検出状態であり、前記第2の検出部が検出状態であり、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきでないことを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記原点位置まで移動させた後、該原点位置で待機させるように、前記駆動部を制御する、
こと。
【0026】
上記(7)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、駆動開始後、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、第2の情報が、移動部が目標位置から原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第1の検出部が非検出状態であり、第2の検出部が検出状態であり、且つ、第3の情報が、ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきでないことを表している場合には、即ち、第2の基準位置よりも第1の向き側の位置で停止している場合に瞬断が発生した場合であって、且つ表示駆動すべきでない場合には、移動部を、第2の向きに原点位置まで移動させた後、該原点位置で待機させる。これにより、例えば、移動部が目標位置で停止していた時間帯に瞬断が発生した場合であって、当該瞬断からの復帰後に、目標位置まで移動する必要がない場合には、移動部を原点位置まで移動させて待機させることができる。
この結果、電源の瞬断が発生した場合であっても、適切な位置まで反射板を移動させることができる。
【0027】
(8) 上記(5)〜(7)のいずれか1つの構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記制御部は、該制御部の駆動開始後、前記第1の情報が、前記移動部が前記原点位置から前記目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、前記第2の情報が、前記移動部が前記目標位置から前記原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、前記第1の検出部が非検出状態であり、前記第2の検出部が検出状態であり、且つ、前記第3の情報が、当該ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきであることを表している場合には、前記移動部を、前記第2の向きに前記第2の基準位置まで移動させた後、該第2の基準位置から前記第2の距離だけ前記第1の向きに移動させるように、前記駆動部を制御する、
こと。
【0028】
上記(8)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、制御部は、駆動開始後、第1の情報が、移動部が原点位置から目標位置へ移動中でないことを表しており、且つ、第2の情報が、移動部が目標位置から原点位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、第1の検出部が非検出状態であり、第2の検出部が検出状態であり、且つ、第3の情報が、ヘッドアップディスプレイ装置が表示駆動するべきであることを表している場合には、即ち、第2の基準位置よりも第2の向き側の位置で停止している場合に瞬断が発生した場合であって、且つ表示駆動すべきである場合には、移動部を、第2の向きに第2の基準位置まで移動させた後、該第2の基準位置から第2の距離だけ第1の向きに移動させて、目標位置まで移動させる。これにより、例えば、移動部が目標位置で停止していた時間帯に瞬断が発生した場合であって、当該瞬断からの復帰後に、目標位置まで移動する必要がある場合には、移動部を原点位置まで移動させることなく、第2の基準位置を基準として目標位置まで移動させることができるので、目標位置までの移動距離を短くできる。
この結果、電源の瞬断が発生した場合であっても、反射板を確実に且つ迅速に目標位置まで移動させることができる。
【0029】
(9) 上記(2)〜(8)のいずれか1つの構成のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記駆動部を収容する筺体を更に備え、
前記反射板が、前記原点位置から、前記長手方向における前記第2の基準位置と前記目標位置との間に位置する動作基準位置への前記移動部の移動に伴って、前記筺体に格納した状態から該筺体から展開した状態に遷移し、且つ、前記動作基準位置よりも前記
第1の向き側への前記移動部の移動に伴って回転する、
こと。
【0030】
上記(9)の構成のヘッドアップディスプレイ装置では、反射板は、原点位置と動作基準位置との間における移動部の移動に伴って筺体に格納した状態と筺体から展開展開した状態との間で状態が遷移し、さらに、当該展開展開状態において、動作基準位置よりも第1の向き側への移動部の移動に伴って回転する。即ち、運転者がヘッドアップディスプレイ装置を使用しない時には反射板を筺体内部に格納し、使用する時にだけ反射板をポップアップ(展開)状態で筺体から露出させて回転可能とする、ポップアップ式のヘッドアップディスプレイ装置となる。また、第1の入力信号を受け付けると、移動部が原点位置から動作基準位置を通過して目標位置まで移動して、格納状態であった反射板が展開状態となり、第2の入力信号を受け付けると、移動部が現在位置から原点位置まで移動して、展開状態であった反射板が格納状態となる。
そして、上記(9)の構成のポップアップ式のヘッドアップディスプレイ装置は、上述した(2)〜(8)のいずれか1つの構成を含んでいるため、反射板の移動中に瞬断が発生した場合であっても、運転者に違和感を与えることなく反射板を目標位置まで移動させることができ、且つ、反射板を精度よく短時間で目標位置まで移動させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のヘッドアップディスプレイ装置によれば、反射板の駆動の制御性を向上したヘッドアップディスプレイ装置を提供できる。
【0032】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のHUD装置に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0035】
<装置の設置形態及び外観の説明>
図1は、HUD装置1を搭載した車両の車室内の外観の具体例を示す斜視図、
図2は、HUD装置1の外観を示す斜視図である。
【0036】
図1に示したHUD装置1は、運転席の前方のインストルメントパネルPに一部分が埋め込まれ、一部分が上方に露出した状態で設置されている。また、
図2に示すように、HUD装置1はコンバイナ(反射板)3を備えている。コンバイナ3はハーフミラーであり、表面に光反射面を有し、且つ背面側(フロントウインドシールドW側)から入射した光を透過する特性を有している。
【0037】
HUD装置1が表示する可視情報を含む光は、HUD装置1の本体内部からコンバイナ3に投射され、コンバイナ3の表面で反射した光の像が、この車両を運転する運転者の目の位置(
図3中の「アイポイント」の位置)に投影される。
【0038】
したがって、運転者は、HUD装置1のコンバイナ3で反射して投影された光の像と、フロントウインドシールド(窓ガラス)Wを通して見える前方の風景とを重ね合わせた状態で同時に視認することができる。HUD装置1が投影する光の像は、実際には存在しない位置に虚像として結像され運転者に視認される。コンバイナ3は、回転可能に設けられており、当該コンバイナ3の回転角度が変更されることによって、コンバイナ3における情報の表示位置が調整される。
【0039】
<装置構成の概要の説明>
図3は、
図1に示した車両におけるHUD装置1の断面構造の概要を示す縦断面図である。
図3に示すように、HUD装置1は、ベース2、コンバイナ3、光投影部4、カバー5、駆動部6、案内部10等を備え、これらの構成要素のほとんどはインストルメントパネルPの下方に配置されている。
【0040】
ベース2は、車体側に固定されており、移動可能な状態でコンバイナ3を支持している。HUD装置1は、ベース2を含んで構成される筺体(以下、単にベース2と称する場合がある。)の内部に各部材が収容されて構成される。コンバイナ3は、駆動部6の駆動力により、棒状に延びる案内部10の長手方向(
図3中の上下方向)に沿ってスライド移動可能に構成され、ベース2の内側に格納した格納位置と、
図3に示したようにベース2から展開した展開位置との間で位置を変えることができる。カバー5は、コンバイナ3がベース2の内側に格納した状態の時に、コンバイナ3の上方を覆うことができる。また、コンバイナ3は後述する機構を介して駆動部6と連結されており、駆動部6の駆動力により駆動される。
【0041】
インストルメントパネルPの下方に配置されている光投影部4は、様々な可視情報を表示可能な透過型の液晶表示パネル及びバックライトを備えている。液晶表示パネルの画面に表示される可視情報の像は、背面のバックライトにより照明される。この照明光により、可視情報を含む光の像が、
図3に示すようにインストルメントパネルPの開口部を経由して、コンバイナ3に投射される。そして、コンバイナ3の表面で反射した光が、アイポイントに向かって投影される。このアイポイントから見える可視情報は、例えば
図3に示すS1の位置に虚像として結像される。
【0042】
<機構部の説明>
図4は、
図3に示したHUD装置1においてコンバイナ3を動かすために設けられた機構部の3種類の状態を簡略化して示す側面図である。
図4において、
図4(A)はコンバイナ3がベース2に格納している状態を表している。
図4(B)及び
図4(C)は、コンバイナ3がベース2から展開した位置に移動した状態を表している。また、
図4(C)に示すように、コンバイナ3は、ベース2から展開した状態から、前方に向けて回転可能に構成されている。
【0043】
図4に示すように、コンバイナ3は、保持部材7に一体に保持されている。保持部材7は、移動部材8から突出したピン81を中心として回動可能に、移動部材(移動部)8に対して連結されている。移動部材8は、送りねじである案内部10により、ベース2に対して上下方向(展開方向/格納方向)に沿ってスライド移動できるように案内される。また、保持部材7からはボス71が突出しており、当該ボス71が、ベース2に形成された
図4中に点線で示す案内溝21により案内される。案内溝21は、
図4に示すように、下端から上端近傍までは上下方向に平行に延び、当該上端近傍から上端までは上下方向と交差する斜め方向に延びている。即ち、案内溝21は、上端近傍から上端までの間においては、案内部10に近付くように延びている。これにより、
図4(A)に示す位置から
図4(B)に示す位置まで上下方向に移動部材8が移動する際には、保持部材7は、同一姿勢で上下方向に移動し、一方、
図4(B)に示す位置から更に上方に向けて移動部材8が移動する際には、保持部材7は、前方に向けて回転する。即ち、
図4(A)に示す位置から
図4(B)に示す位置まで上下方向に移動部材8が移動すると、保持部材7に保持されたコンバイナ3が起立した姿勢のまま上下方向に移動し、一方、
図4(B)に示す位置から更に上方に向けて移動部材8が移動すると、コンバイナ3が前方に向けて回転する。このように、コンバイナ3は、移動部材8の移動に従って駆動される。
案内部10の下端及び上端、即ち移動部材8の移動可能範囲における下限及び上限には、移動部材8が当接可能な下限ストッパー10a及び上限ストッパー10bが配置されている。但し、本実施形態に係るHUD装置1では、これらストッパー及び当該ストッパーに設けられた検知用のスイッチ(図示せず。)は、後述するコンバイナ3の制御には利用されない。
【0044】
駆動部6は、ステッピングモータ62の他、歯車等の各種の構成要素を備えている。ステッピングモータ62は、後述するマイクロコンピュータ100によって動作が制御され、その回転駆動力により案内部10を回転させる。即ち、ステッピングモータ62の駆動力により、案内部10の長手方向に沿って移動部材8がスライド移動し、当該移動部材8の移動に従ってコンバイナ3が駆動される。
以下では、マイクロコンピュータ100がステッピングモータ62の駆動を制御して移動部材8を移動させ、コンバイナ3を駆動させる処理を、記載の簡略化のために、単に、マイクロコンピュータ100が移動部材8を移動させる、又はマイクロコンピュータ100がコンバイナ3を駆動させる、と記載する場合がある。
【0045】
また、案内部10の近傍には、マイクロスイッチSW1,SW2が配置されている。マイクロスイッチ(第1の検出部)SW1は、
図4に示すように、案内部10の下端部の近傍に配置されている。マイクロスイッチSW1は、検出ボタンを備えており、当該検出ボタンが移動部材8により押下されている場合にはオン信号を、それ以外の場合にはオフ信号をマイクロコンピュータ100に出力する。本実施形態に係る移動部材8には、
図4に示すように、上下方向に延びる平坦面を有する当接部83が形成されている。当接部83の平坦面は、マイクロスイッチSW1,SW2の検出ボタンの幅よりも幅広に形成されている。これにより、マイクロスイッチSW1は、移動部材8が案内部10における所定の範囲(第1の範囲)内に位置している場合に、当接部83が検出ボタンに当接して出力がオンとなる。即ち、マイクロスイッチSW1は、移動部材8が案内部10における第1の範囲内に位置している場合に、検出状態であること(オン信号)をマイクロコンピュータ100に伝達し、当該場合以外には、非検出状態であること(オフ信号)をマイクロコンピュータ100に伝達する。マイクロスイッチ(第2の検出部)SW2も同様に、案内部10の上端部の近傍に配置され、移動部材8が案内部10における所定の範囲(第2の範囲)内に位置している場合に出力がオンとなる。即ち、マイクロスイッチSW2は、移動部材8が案内部10における第2の範囲内に位置している場合に、検出状態であること(オン信号)をマイクロコンピュータ100に伝達し、当該場合以外には、非検出状態であること(オフ信号)をマイクロコンピュータ100に伝達する。尚、
図4に示すように、マイクロスイッチSW1,SW2は、第1の範囲と第2の範囲とが共通する範囲を有しないように配置されている。
以下、案内部10の長手方向である上下方向において上記第1の範囲から第2の範囲に向かう向きである上向きを第1の向きと称する場合がある。また、当該第1の向きとは逆向きである下向きを第2の向きと称する場合がある。
【0046】
<電気回路の構成>
図5は、HUD装置1の電気回路の構成を示すブロック図である。
図5に示した電気回路には、HUD装置1の制御を実施するマイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)100が備わっている。マイクロコンピュータ100は、制御部として機能し、所定のプログラムを実行することにより、HUD装置1の制御に必要な様々な機能を実現する。マイクロコンピュータ100の具体的な動作については後で説明する。
【0047】
図5に示すように、マイクロコンピュータ100の入力ポート及び出力ポートには、検出回路111、駆動バッファ112、インタフェース(I/F)113,115,119、電源部114、展開/格納スイッチ(UP/DOWNSW)116、調整スイッチ(ADJ.F SW,ADJ.R SW)117,118、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)120、及び表示駆動部130等が接続されている。EEPROM(記憶部)120は、不揮発性の書き換え可能なメモリであり、後述する各種のフラグ(展開フラグ、格納フラグ、点灯要求フラグ)や距離データ(第1の距離P1、第2の距離P2、第3の距離P3)等を格納するために用いられる。
【0048】
検出回路111は、HUD装置1の筐体内部に配置されているマイクロスイッチSW1,SW2が出力する電気信号を処理してマイクロコンピュータ100に与える。
【0049】
駆動バッファ112は、マイクロコンピュータ100から出力される制御信号に従ってステッピングモータ62の駆動を制御する。
【0050】
表示駆動部130は、マイクロコンピュータ100の制御に従って、光投影部4に備わる表示デバイスの表示を制御する。この表示デバイスは、具体的には透過型の液晶表示パネルである。マイクロコンピュータ100は、表示駆動部130を介して、液晶表示パネルの表示/非表示、表示する可視情報(文字、図形、画像等)の内容、表示濃度等を制御することができる。
【0051】
この液晶表示パネルを背面側から照明するためにバックライト131が備わっている。インタフェース113は、マイクロコンピュータ100から出力される制御信号に従って、バックライト131の通電を制御し、照明の点灯/消灯及び照明の明るさを制御することができる。
【0052】
電源部114は、車上バッテリー121から供給される直流電力(例えば、+12V。)に基づき、マイクロコンピュータ100等の回路の動作に必要な安定した直流電圧(例えば、+5V。)を生成し各回路に供給する。
【0053】
インタフェース115は、車両に備わっているイグニッションスイッチIGSのオンオフ状態を表す電気信号をマイクロコンピュータ100の入力ポートに与える。
【0054】
展開/格納スイッチ116は、運転者が操作可能な自動復帰型のスイッチであり、HUD装置1に展開及び格納の指示を与えるために使用される。ここで、展開とは、コンバイナ3が格納状態となる、後述する格納位置(原点位置)から、コンバイナ3が展開状態となる、後述する目標位置まで、移動部材8を移動させることを指す。一方、格納とは、現在の停止位置から、上記格納位置まで、移動部材8を移動させることを指す。HUD装置1が展開していない状態で運転者が展開/格納スイッチ116を押下すると、EEPROM120に保持されている展開フラグがオンされる。展開フラグがオンである場合、マイクロコンピュータ100は、移動部材8を、格納位置から目標位置まで移動させる処理を実行する。展開が完了し、移動部材8が目標位置に到達すると、展開フラグはオフされる。即ち、展開フラグは、移動部材8が格納位置(原点位置)から目標位置へ移動中であるか否かを表す第1の情報であり、マイクロコンピュータ100により参照可能に、EEPROM120に格納されている。また、HUD装置1が既に展開している状態で運転者が展開/格納スイッチ116を押下すると、格納フラグがオンされる。格納フラグがオンである場合、マイクロコンピュータ100は、移動部材8を、現在の停止位置(目標位置)から格納位置まで移動させる処理を実行する。格納が完了し、移動部材8が格納位置に到達すると、格納フラグはオフされる。即ち、格納フラグは、移動部材8が目標位置から原点位置へ移動中であるか否かを表す第2の情報であり、マイクロコンピュータ100により参照可能に、EEPROM120に格納されている。
【0055】
調整スイッチ117及び118は、運転者が操作可能なスイッチであり、HUD装置1使用時のコンバイナ3の傾きを調整するために利用される。調整スイッチ117はコンバイナ3の傾きをF側(フロント側、前側)に向けて調整する際に使用され、調整スイッチ118はR側(リア側、後側)に向けて調整する際に使用される。
【0056】
インタフェース119は、マイクロコンピュータ100と車両側の各種制御装置(ECU:Electric Control Unit)との間で通信を行うために利用される。例えば、エンジン回転速度、燃料残量、冷却水温、シフトポジション等の現在の車両状態を表すデータが、ほぼリアルタイムのデータとして車両側からマイクロコンピュータ100に入力される。また、ACC(Adaptive Cruise Control)機能のオンオフを表す信号等の車両の走行状態やHUD装置1による表示に必要な信号等が、車両側からマイクロコンピュータ100に入力される。本実施形態に係るHUD装置1では、ウェイクアップ動作中に展開/格納スイッチ116が押下されて展開指示が与えられた場合に、EEPROM120に保持されている点灯要求フラグがオンされる。また、本実施形態に係るHUD装置1では、ACC機能等、HUD装置1に表示コンテンツの表示要求がある場合にも、点灯要求フラグがオンされる。これは、ACC機能利用時には、HUD装置1による表示出力を実行するためである。即ち、点灯要求フラグは、HUD装置1による表示出力を実行するか否か(駆動するべきか否か)を表す第3の情報であり、マイクロコンピュータ100により参照可能に、EEPROM120に格納されている。
【0057】
<基準位置の説明>
図6は、マイクロスイッチSW1,SW2の出力と基準位置との関係を説明するための説明図、
図7は、マイクロスイッチSW1,SW2の出力と移動部材の位置との関係を示す表である。
【0058】
図6に示すように、本実施形態では、マイクロスイッチSW1は、下限ストッパー10aから所定の範囲(第1の範囲)内に移動部材8が位置している場合にオン信号を出力し、それ以外の場合にはオフ信号を出力する。また、マイクロスイッチSW2は、上限ストッパー10bから所定の範囲(第2の範囲)内に移動部材8が位置している場合にオン信号を出力し、それ以外の場合にはオフ信号を出力する。
【0059】
本実施形態に係るHUD装置1では、これら2つのマイクロスイッチの出力信号(検出状態)に基づいて、案内部10に対する移動部材8の基準位置を把握する。まず、上向き(展開方向)である第1の向きに移動部材8が移動する場合に、マイクロスイッチSW1の出力信号がオンからオフに変化する位置を基準として、当該位置から所定の距離だけ第1の向きに離れた点を、基準点1(第1の基準位置)とする。ここで、基準点1は、マイクロスイッチSW1の出力がオフに変化したと看做す点、即ちマイクロスイッチSW1のオフ確定点である。当該所定の距離は、マイクロスイッチSW1の検出ボタンの形状、移動部材8の当接部83の形状、出力信号の検出周期等を考慮して設定される。同様に、第1の向きに移動部材8が移動する場合に、マイクロスイッチSW2の出力信号がオフからオンに変化する位置を基準として、当該位置から上記所定の距離だけ第1の向きに離れた点を、基準点2(第2の基準位置)とする。基準点1は、マイクロスイッチSW2の出力がオンに変化したと看做す点、即ちマイクロスイッチSW2のオン確定点である。
【0060】
また、基準点1から、下向き(格納方向)である第2の向きに上記所定の距離だけ離れた点を原点位置とする。当該原点位置は、格納時における移動部材8の位置(格納位置)である。また、当該原点位置は、第2の向きに移動部材8が移動する場合に、マイクロスイッチSW1の出力がオフからオンに変化したと看做す点、即ちマイクロスイッチSW1のオン確定点でもある。
【0061】
そして、基準点2の上方側(第1の向き側)には、チルト開始位置(動作基準位置)が存在する。コンバイナ3は、移動部材8が格納位置とチルト開始位置との間で移動する場合には、起立した姿勢のまま上下方向に移動し(
図4(A)〜
図4(B))、移動部材8がチルト開始位置から更に上方側へ移動する場合には、前方に向けて回転する(
図4(B)〜
図4(C))。つまり、HUD装置1の使用時には、移動部材8がチルト開始位置の更に上方側における位置に停止している状態で、コンバイナ3に表示像が投影される。
【0062】
以上説明したように2つの検出部の出力状態に基づいて基準位置を定めることにより、基準位置に対する移動部の位置を把握できる。即ち、
図7に示すように、マイクロスイッチSW1の出力信号がオンで且つマイクロスイッチSW2の出力信号がオフである場合には、移動部材8が格納位置と基準点1との間(
図4及び
図6中のPOS.A)に位置していると把握できる。また、マイクロスイッチSW1及びマイクロスイッチSW2の双方の出力信号がオフである場合には、移動部材8が基準点1と基準点2の間(
図4及び
図6中のPOS.B)に位置していると把握できる。また、マイクロスイッチSW1の出力信号がオフで且つマイクロスイッチSW2の出力信号がオンである場合には、移動部材8が基準点2よりも上方(第1の向き側)(
図4及び
図6中のPOS.C)に位置していると把握できる。
【0063】
<装置の主要な制御動作の説明>
はじめに、HUD装置1の動作を概略的に説明する。
HUD装置1は、駆動開始後、ウェイクアップ動作として、移動部材8を格納位置にて待機させる。そして、展開/格納スイッチ116が押下される、又はACC機能等のコンバイナ3に表示されるコンテンツに関する入力がオンされると(即ち、点灯要求フラグがオンされると。)、移動部材8が、格納位置から前回設定時の停止位置である目標位置まで移動する。その後、コンバイナ3に表示像が投影されてHUD装置1による情報の呈示が開始される。このとき、運転者(運転者)は、調整スイッチ117及び118を用いてコンバイナ3の傾きを調整できる。HUD装置1の使用中に展開/格納スイッチ116が押下されると、移動部材8が格納位置まで移動する。
【0064】
HUD装置1は、動作中、調整スイッチ117及び118の押下が解除される毎に(或いは、押下が解除されてから所定時間経過する毎に。)、現在の移動部材8の停止位置を目標位置としてEEPROM120に記憶している。具体的には、
図6に示すように、基準点1から目標位置までの距離を第1の距離P1としてEEPROM120に記憶している。また、基準点2から目標位置までの距離を第2の距離P2としてEEPROM120に記憶している。また、基準点1から格納位置までの距離を第3の距離P3としてEEPROM120に記憶している。更に具体的には、第1の距離P1を示す情報として、移動部材8が基準点1から現在の停止位置まで移動する間にステッピングモータ62に入力した信号のステップ数を記憶させ、第2の距離P2を示す情報として、移動部材8が基準点2から現在の停止位置まで移動する間にステッピングモータ62に入力した信号のステップ数を記憶させ、第3の距離P3を示す情報として、移動部材8が基準点1から格納位置まで移動する間にステッピングモータ62に入力した信号のステップ数を記憶させている。
【0065】
<駆動開始後の処理ルーチン>
ところで、HUD装置の動作中に、例えばエンジンのクランキング等の影響により、電源部114からの駆動電圧が一時的に途絶した後、駆動を再開する場合がある。このような電源の瞬断は、移動部材8が回転開始位置の更に上方側に位置している通常時のみだけではなく、移動部材8が格納位置と目標位置との間で移動している間にも発生する場合がある。本実施形態に係るHUD装置1によれば、当該瞬断が発生した場合であっても、駆動を再開した後、コンバイナ3を適切に移動させることができる。以下では、駆動開始後における処理手順を説明する。
【0066】
図8は、HUD装置1における駆動開始後の処理ルーチンを示すフローチャートである。
図8に示す処理は、マイクロコンピュータ100が、例えばROM(Read Only Memory)である不揮発性の読み出し専用メモリに格納された制御プログラムを実行することにより実現される。尚、後述するように、
図8に示すフローチャートにおける制御則では、電源の瞬断からの復帰直後にマイクロコンピュータ100が制御を開始した場合を想定している。
【0067】
電源部114から駆動電圧が供給されると、ステップS11では、マイクロコンピュータ100は、EEPROM120を参照して、展開フラグがオンであるか否かを判定する。マイクロコンピュータ100は、展開フラグがオンである場合には、ステップS12の処理を実行し、展開フラグがオフである場合には、ステップS21の処理を実行する。
【0068】
ステップS12では、マイクロコンピュータ100は、マイクロスイッチSW1,SW2の出力信号に基づいて、移動部材8の現在の停止位置がPOS.Aであるか否かを判定する(
図4及び
図6参照。)。即ち、マイクロスイッチS1がオンであり、且つ、マイクロスイッチSW2がオフであるか否かを識別する。マイクロコンピュータ100は、停止位置がPOS.Aである場合には、ステップS13の処理を実行し、停止位置がPOS.Aでない場合には、ステップS15の処理を実行する。
【0069】
ステップS12でYESの場合は、コンバイナ3の展開開始直後に瞬断が発生し、移動部材8がPOS.Aにて停止している場合である。
このため、当該場合には、マイクロコンピュータ100は、ステップS13で、移動部材8を上向き(第1の向き)に基準点1まで移動させた後、続くステップS14で、移動部材8を基準点1から第1の距離P1だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる。
即ち、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置から目標位置へ移動中であることを表しており、且つ、マイクロスイッチS1がオン(第1の検出部が検出状態)であり、マイクロスイッチSW2がオフ(第2の検出部が非検出状態)である場合には、移動部材8を、第1の向きに基準点1(第1の基準位置)まで移動させた後、基準点1から第1の距離P1だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0070】
ステップS15では、マイクロコンピュータ100は、マイクロスイッチSW1,SW2の出力信号に基づいて、移動部材8の現在の停止位置がPOS.Bであるか否かを判定する(
図4及び
図6参照。)。即ち、マイクロスイッチS1,SW2の双方の出力がオフであるか否かを識別する。マイクロコンピュータ100は、停止位置がPOS.Bである場合には、ステップS16の処理を実行し、停止位置がPOS.Bでない場合には、ステップS17の処理を実行する。
【0071】
ステップS15でYESの場合は、コンバイナ3の展開中に瞬断が発生し、移動部材8がPOS.Bにて停止している場合である。
このため、当該場合には、マイクロコンピュータ100は、ステップS16で、移動部材8を上向き(第1の向き)に基準点2まで移動させた後、続くステップS18で、移動部材8を基準点2から第2の距離P2だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる。
即ち、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置から目標位置へ移動中であることを表しており、且つ、マイクロスイッチ(第1の検出部)S1及びマイクロスイッチ(第2の検出部)SW2の双方がオフ(非検出状態)である場合には、移動部材8を、第1の向きに基準点2(第2の基準位置)まで移動させた後、基準点2から第2の距離P2だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0072】
ステップS15でNOの場合は、コンバイナ3の展開中に瞬断が発生し、移動部材8がPOS.Cにて停止している場合である。
このため、当該場合には、マイクロコンピュータ100は、ステップS17で、移動部材8を下向き(第2の向き)に基準点2まで移動させた後、続くステップS18で、移動部材8を基準点2から第2の距離P2だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる。
即ち、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置から目標位置へ移動中であることを表しており、且つ、マイクロスイッチS1がオフ(第1の検出部が非検出状態)であり、マイクロスイッチSW2がオン(第2の検出部が検出状態)である場合には、移動部材8を、第2の向きに基準点2(第2の基準位置)まで移動させた後、基準点2から第2の距離P2だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0073】
一方、ステップS11でNOの場合、ステップS19で、マイクロコンピュータ100は、EEPROM120を参照して、格納フラグがオンであるか否かを判定する。マイクロコンピュータ100は、格納フラグがオンである場合には、ステップS20の処理を実行し、格納フラグがオフである場合には、ステップS21の処理を実行する。
【0074】
ステップS19でYESの場合は、コンバイナ3の格納中に電源の瞬断が発生した場合である。
このため、当該場合には、マイクロコンピュータ100は、ステップS20で、移動部材8を下向き(第2の向き)に基準点1まで移動させた後、当該基準点1で待機させる。
即ち、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、格納フラグ(第2の情報)が、移動部材8が目標位置から格納位置へ移動中であることを表している場合には、移動部材8を、第2の向きに基準点1(第1の基準位置)まで移動させた後、当該基準点1で待機させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0075】
ステップS19でNOの場合は、移動部材8がPOS.Cに位置しており、コンバイナ3に情報の呈示が行われている、HUD装置1の通常使用時に瞬断が発生した場合である。
このため、当該場合には、マイクロコンピュータ100は、ステップS21で、移動部材8を下向き(第2の向き)に格納位置(原点位置)まで移動させた後、続くステップS22で、移動部材8を格納位置から第3の距離P3だけ上向きに移動させ、基準点1まで移動させる。そして、その後、マイクロコンピュータ100は、ステップS24で、移動部材8を基準点1から第1の距離P1だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる。
即ち、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、格納フラグ(第2の情報)が、移動部材8が目標位置から格納位置へ移動中ではないことを表している場合には、移動部材8を、第2の向きに格納位置(原点位置)まで移動させた後、格納位置から第1の向きに基準点1まで移動させ、更にその後、基準点1から第1の距離P1だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0076】
以上説明した処理により、移動部材8は、原点位置から目標位置への第1の向きの移動中に電源の瞬断が発生した場合には、移動部材8が既にPOS.Cまで到達している場合を除き、まず第1の向き側に移動し、第1の基準位置及び第2の基準位置のいずれか一方を基準として目標位置まで移動する。一方、移動部材8は、目標位置から原点位置への第2の向きの移動中に電源の瞬断が発生した場合には、まず第2の向き側に移動し、第1の基準位置を基準として目標位置まで移動する。この結果、例えば後述する比較例に係る制御則のように、瞬断発生前の移動部材8の移動の向きに依らずに、移動部材8を原点位置まで一旦戻した後で目標位置まで移動させる場合と比較して、上述した制御則によれば、コンバイナ3の展開途中及び格納途中に電源の瞬断が発生したとしても、当該瞬断の発生前後でコンバイナ3の移動の向きが変化しないために、運転者に違和感を与えることなく、コンバイナ3を前回の停止位置まで移動させることができる。また、移動の向きが変化しないために目標位置までの移動距離を短くでき、且つ、基準とする位置から目標位置までの移動距離が短くなるために、コンバイナ3を精度よく短時間で目標位置まで移動させることができる。
【0077】
また、以上説明した処理により、移動部材8は、原点位置と目標位置との間の移動中以外の時間帯(コンバイナ3の角度調整範囲において停止中の時間帯)に瞬断が発生した場合に、一旦原点位置まで移動した後で、基準点1を基準として目標位置まで移動する。このため、コンバイナ3を確実に目標位置まで移動させることができる。
【0078】
尚、異なる制御則として、ステップS24の後、マイクロコンピュータ100が、移動部材8を、基準点1から第3の距離P3だけ下向きに移動させ、格納位置まで移動させる構成としても構わない。
即ち、この場合、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、格納フラグ(第2の情報)が、移動部材8が目標位置から格納位置へ移動中であることを表している場合には、移動部材8を、第2の向きに基準点1(第1の基準位置)まで移動させた後、基準点1から第3の距離P3だけ第2の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
この制御則によれば、移動部材8は、展開位置から格納位置に移動中に瞬断が発生した場合に、基準点1を基準として格納位置まで移動する。このため、目標位置までの移動距離を短くでき、コンバイナ3を確実に且つ迅速に目標位置まで移動させることができる。
【0079】
また、異なる制御則として、ステップS19でNOの場合に、マイクロコンピュータ100が、移動部材8を下向き(第2の向き)に基準点2まで移動させた後、当該基準点2から第2の距離P2だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成としても構わない。
即ち、この場合、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており、格納フラグ(第2の情報)が、移動部材8が目標位置から格納位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、マイクロスイッチ(第1の検出部)S1がオフ(非検出状態)であり、マイクロスイッチ(第2の検出部)SW2がオン(検出状態)である場合には、移動部材8を、第2の向きに基準点2(第2の基準位置)まで移動させた後、基準点2から第2の距離P2だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
この制御則によれば、移動部材8は、コンバイナ3の角度調整範囲において停止中の時間帯に瞬断が発生した場合に、原点位置まで移動することなく、基準点2を基準として目標位置まで移動する。このため、目標位置までの移動距離を短くでき、コンバイナ3を確実に且つ迅速に目標位置まで移動させることができる。
【0080】
<変形例>
上述説明したように、
図8に示すフローチャートにおける制御則では、電源の瞬断からの復帰直後にマイクロコンピュータ100が制御を開始した場合を想定していた。当該場合には、電源の瞬断からの復帰直後における処理である可能性を予め予測した処理フローにしておく必要がある。以下では、点灯要求フラグのオンオフを利用することにより、電源の瞬断からの復帰直後における処理であるか、或いは移動部材8が原点位置で停止している状態において通常通りに駆動が開始された場合における処理であるかに拘らず適用可能とした、実施形態の変形例に係る制御則について説明する。
【0081】
図9は、変形例における駆動開始後の処理ルーチンを示すフローチャートである。尚、
図9に示す変形例に係る制御則は、ステップS31〜ステップS34を追加した点で、
図8に示した制御則と相違する。その他のステップにおける処理に関しては同一であるので、同一のステップには同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
ステップS31、ステップS32、ステップS33では、マイクロコンピュータ100は、EEPROM120を参照して、点灯要求フラグがオンであるか否かを判定する。ステップS31では、マイクロコンピュータ100は、点灯要求フラグがオンである場合には、ステップS13の処理を実行し、点灯要求フラグがオフである場合には、ステップS34の処理を実行する。ステップS32では、マイクロコンピュータ100は、点灯要求フラグがオンである場合には、ステップS15の処理を実行し、点灯要求フラグがオフである場合には、ステップS21の処理を実行する。ステップS33では、マイクロコンピュータ100は、点灯要求フラグがオンである場合には、ステップS23の処理を実行し、点灯要求フラグがオフである場合には、ステップS34の処理を実行する。
【0083】
ステップS34では、マイクロコンピュータ100は、移動部材8を現在の停止位置である基準点1で停止させる。その後、マイクロコンピュータ100は、再度ステップS33の処理を実行する。
【0084】
ここで、上述した
図8に示した制御則では、HUD装置1の使用中において電源瞬断が発生した場合を想定していた。これは、異なる見方をすれば、HUD装置1の使用中であり、点灯要求フラグがオンである場合を想定していたとも看做すことができる。このため、
図9に示したフローにおいて、ステップS31〜S33の各ステップで常にYESの場合には、
図8に示した制御則の場合と同一の結果が得られる。
【0085】
これに対して、
図9に示したフローでは、点灯要求フラグがオフである間、マイクロコンピュータ100は、ステップS34の処理を繰り返し実行する。これにより、点灯要求フラグがオフであり、HUD装置1による表示出力を実行すべきでない間は、点灯要求フラグがオンされるまで、移動部材8が基準点1にて待機する。
【0086】
特に、ステップS19でNOである場合に、
図8に示した制御則では、コンバイナ3の角度調整範囲において停止中の時間帯に瞬断が発生したと看做して、移動部材8を、一旦原点位置まで移動させた後で目標位置まで移動させる。これに対して、
図9に示す変形例に係る制御則では、点灯要求フラグがオンである場合には、
図8に示した制御則と同様に、コンバイナ3の角度調整範囲において停止中の時間帯に瞬断が発生した場合であると看做して、移動部材8を、一旦原点位置まで移動させた後で目標位置まで移動させる。一方、点灯要求フラグがオフであり、コンバイナ3を展開させるべきではない場合には、移動部材8が原点位置で停止している状態において通常通りに駆動が開始された場合であると看做して、移動部材を下向き(第2の向き)に格納位置(原点位置)まで移動させた後、格納位置から上向き(第1の向き)に基準点1(第1の基準位置)まで移動させ、当該基準点1で停止させる。このように、変形例に係る制御則によれば、点灯要求フラグのオンオフを利用することにより、電源の瞬断からの復帰直後であるか、或いは移動部材8が原点位置で停止している状態において通常通りに駆動が開始された場合であるかに拘らず、コンバイナ3の駆動を適切に制御することができる。
【0087】
尚、異なる制御則として、ステップS19でYESの場合に、マイクロコンピュータ100が、点灯要求フラグがオンであるか否かを判定し、点灯要求フラグがオフである場合には、移動部材8を下向きに格納位置まで移動させた後、当該格納位置で待機させる構成としても構わない。このとき、点灯要求フラグがオンである場合には、例えば、
図9に示した処理と同様に、移動部材8を下向きに基準点1まで移動させた後、基準点1から第1の距離P1だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成とすればよい。
即ち、この場合、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置(原点位置)から目標位置へ移動中ではないことを表しており、格納フラグ(第2の情報)が、移動部材8が目標位置から格納位置へ移動中であることを表しており、且つ、点灯要求フラグ(第3の情報)がオフである場合には、移動部材8を、第2の向きに格納位置(原点位置)まで移動させた後、該格納位置で移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
この制御則によれば、目標位置から格納位置への移動中に瞬断が発生した場合であって、点灯要求フラグがオフであり、瞬断からの復帰後にコンバイナ3を展開させるべきではない場合には、移動部材8を原点位置まで移動させて待機させることができる。この結果、電源の瞬断の発生前後において移動部材8の移動の向きが変化しないため、運転者に違和感を与えることなくコンバイナ3を移動させることができる。
【0088】
また、異なる制御則として、ステップS19でNOの場合に、マイクロコンピュータ100が、点灯要求フラグがオンであるか否かを判定し、点灯要求フラグがオフである場合には、移動部材8を下向きに格納位置まで移動させた後、当該格納位置で待機させる構成としても構わない。このとき、点灯要求フラグがオンである場合には、例えば、
図9と同様に、移動部材8を下向きに基準点1まで移動させた後、基準点1から第1の距離P1だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成とすればよい。
即ち、この場合、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置(原点位置)から目標位置へ移動中ではないことを表しており、格納フラグ(第2の情報)が、移動部材8が目標位置から格納位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、マイクロスイッチ(第1の検出部)S1がオフ(非検出状態)であり、マイクロスイッチ(第2の検出部)SW2がオン(検出状態)であり、且つ、点灯要求フラグ(第3の情報)がオンである場合には、移動部材8を、第2の向きに格納位置(原点位置)まで移動させた後、該格納位置で待機させるように、ステッピングモータ62を制御する。
この制御則によれば、目標位置での停止中に瞬断が発生した場合であって、点灯要求フラグがオフであり、瞬断からの復帰後にコンバイナ3を展開させるべきではない場合には、移動部材8を原点位置まで移動させて待機させることができる。この結果、電源の瞬断が発生した場合であっても、適切な位置までコンバイナ3を移動させることができる。
【0089】
また、異なる制御則として、ステップS19でNOの場合に、マイクロコンピュータ100が、点灯要求フラグがオンであるか否かを判定し、点灯要求フラグがオンである場合には、移動部材8を下向きに基準点2まで移動させた後、当該基準点2から第2の距離P2だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成としても構わない。このとき、点灯要求フラグがオフである場合には、
図9に示した処理と同様に、移動部材8を下向きに基準点1まで移動させた後、基準点1で待機させる構成とすればよい。
即ち、この場合、マイクロコンピュータ100は、駆動開始後、展開フラグ(第1の情報)が、移動部材8が格納位置(原点位置)から目標位置へ移動中ではないことを表しており、格納フラグ(第2の情報)が、移動部材8が目標位置から格納位置へ移動中ではないことを表しており、且つ、マイクロスイッチ(第1の検出部)S1がオフ(非検出状態)であり、マイクロスイッチ(第2の検出部)SW2がオン(検出状態)であり、且つ、点灯要求フラグ(第3の情報)がオンである場合には、移動部材8を、第2の向きに基準点2(第2の基準位置)まで移動させた後、基準点2から第2の距離P2だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
この制御則によれば、コンバイナ3の角度調整範囲において停止中の時間帯に瞬断が発生した場合であって、瞬断からの復帰後、点灯要求がなく目標位置まで移動する必要がない場合には、移動部材8を、原点位置まで移動することなく、基準点2を基準として目標位置まで移動することができる。この結果、目標位置までの移動距離を短くでき、コンバイナ3を確実に且つ迅速に目標位置まで移動させることができる。
【0090】
<比較例>
前述した従来のHUD装置の構成である、可動範囲の上限位置及び下限位置にマイクロスイッチを設ける構成を、ポップアップ式のHUD装置に対して適用した例を比較例として
図10に示す。
図10は、比較例における機構部を簡略化して示す側面図である。変形例に係るHUD装置は、マイクロスイッチSW1,SW2の配置位置及び移動部材8の形状以外は上記実施例と同一の構成を有するので、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
比較例に係るHUD装置では、
図10に示すように、移動部材8の当接部83の平坦面が、マイクロスイッチSW1,SW2の検出ボタンの幅と同程度に形成されている。また、マイクロスイッチSW1,SW2は、移動部材8が下限ストッパー10a及び上限ストッパー10bに当接する限界位置に到達した場合に、オン信号を出力するように配置されている。
【0092】
このため、比較例に係るHUD装置では、
図4に示す実施形態の場合のように、マイクロスイッチSW1,SW2の出力信号に基づいて、所定の範囲を有するPOS.A〜POS.Cのいずれに移動部材8が位置するのかを識別することができない。即ち、比較例に係るHUD装置では、
図10に示すように、マイクロコンピュータ100は、上限位置及び下限位置のいずれか、若しくは当該限界位置の間に位置することしか把握することができない。したがって、電源の瞬断後に駆動が再開された場合、瞬断の発生前の移動部材8の移動の向きに依らずに、移動部材8を原点位置まで一旦戻した後で目標位置まで移動させる必要がある。この場合には、例えば展開途中に瞬断が発生すると、上向きに移動していた移動部材8が急に下向きに移動し始めるため、運転者に対して違和感を与えてしまう虞がある。また、この場合には、一旦原点まで移動した後で目標位置まで移動するために、目標位置までの移動距離が長くなり、コンバイナ3の移動に要する時間が長くなると共に停止位置の精度が悪化する虞がある。
【0093】
これに対して、実施形態に係る制御則によれば、コンバイナ3の展開途中及び格納途中に電源の瞬断が発生したとしても、当該瞬断の発生前後でコンバイナ3の移動の向きが変化しないために、運転者に違和感を与えることなく、コンバイナ3を前回の停止位置まで移動させることができる。また、移動の向きが変化しないために目標位置までの移動距離を短くでき、且つ、基準とする位置から目標位置までの移動距離が短くなるために、コンバイナ3を精度よく短時間で目標位置まで移動させることができる。
【0094】
<HUD装置1の作用及び効果の説明>
以下では、実施形態に係るHUD装置1について纏める。
【0095】
[1]実施形態に係るHUD装置1は、マイクロコンピュータ(制御部)100と、該マイクロコンピュータ100により動作が制御されるステッピングモータ62(駆動部)と、棒状に延びる案内部10と、ステッピングモータ62の駆動力により、案内部10の長手方向(上下方向)に沿ってスライド移動する移動部材(移動部)8と、移動部材8の移動に従って駆動されるコンバイナ(反射板)3と、が案内部10の長手方向における第1の範囲内に位置している場合に、オン信号(検出状態であること)を前記マイクロコンピュータ100に伝達し、当該場合以外には、オフ信号(非検出状態であること)を前記マイクロコンピュータ100に伝達するマイクロスイッチSW1(第1の検出部)と、移動部材8が案内部10の長手方向における第1の範囲と共通する範囲を有しない第2の範囲内に位置している場合に、オン信号(検出状態であること)をマイクロコンピュータ100に伝達し、当該場合以外には、オフ信号(非検出状態であること)をマイクロコンピュータ100に伝達するマイクロスイッチSW2(第2の検出部)と、を備えている。そして、マイクロコンピュータ100は、長手方向において第1の範囲から第2の範囲に向かう向きである第1の向き(上向き)に移動部材8が移動する場合に、オンであるマイクロスイッチSW1がオフとなる移動部材8の位置を基準として把握される位置を基準点1(第1の基準位置)とし、第1の向きに移動部材8が移動する場合に、オフであるマイクロスイッチSW2がオンとなる移動部材8の位置を基準として把握される位置を基準点2(第2の基準位置)として、ステッピングモータ62を制御する。
【0096】
[2]実施形態に係るHUD装置1は、各種情報を記憶するEEPROM(記憶部)120を更に備えている。そして、マイクロコンピュータ100は、基準点2よりも第1の向き側に位置する目標位置から基準点1までの距離を第1の距離P1としてEEPROM120に記憶させ、基準点1から、第1の向きとは逆向きである第2の向き(下向き)に所定の距離(第3の距離P3)だけ離れた点を原点位置(格納位置)とし、目標位置から基準点2までの距離を第2の距離P2としてEEPROM120に記憶させ、移動部材8が原点位置から目標位置へ移動中であるか否かを表す展開フラグ(第1の情報)と、移動部材8が目標位置から原点位置へ移動中であるか否かを表す格納フラグ(第2の情報)と、を参照可能であり、マイクロコンピュータ100の駆動開始後、展開フラグが、移動部材8が原点位置から目標位置へ第1の向きに移動中であることを表しており(オンであり)、且つ、マイクロスイッチSW1,SW2の双方の出力がオフである場合には、移動部材8を、第1の向きに基準点2まで移動させた後、基準点2から第2の距離P2だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御し、一方、駆動開始後、展開フラグが、移動部材8が原点位置から目標位置へ移動中ではないことを表しており(オフであり)、且つ、格納フラグが、移動部材8が目標位置から原点位置へ移動中であることを表している(オンである)場合には、移動部材8を、第2の向きに基準点1まで移動させた後、基準点1から第3の距離P3だけ第2の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0097】
[3]実施形態に係るHUD装置1では、マイクロコンピュータ100は、マイクロコンピュータ100の駆動開始後、展開フラグがオンであり、且つ、マイクロスイッチSW1の出力がオンであり、マイクロスイッチSW2の出力がオンである場合には、移動部材8を、第1の向きに基準点1まで移動させた後、基準点1から第1の距離P1だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0098】
[4]実施形態に係るHUD装置1では、マイクロコンピュータ100は、マイクロコンピュータ100の駆動開始後、展開フラグが、移動部材8がオンであり、且つ、マイクロスイッチSW1の出力がオフであり、マイクロスイッチSW2の出力がオンである場合には、移動部材8を、第2の向きに基準点2まで移動させた後、基準点2から第2の距離P2だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0099】
[5]実施形態に係るHUD装置1では、マイクロコンピュータ100は、マイクロコンピュータ100の駆動開始後、展開フラグがオフであり、且つ、展開フラグがオフである場合には、移動部材8を、第2の向きに原点位置まで移動させた後、原点位置から第1の向きに基準点1まで移動させ、更にその後、基準点1から第1の距離P1だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0100】
[6]変形例に係るHUD装置1では、マイクロコンピュータ100は、当該HUD装置1が駆動するべきか否かを表す点灯要求フラグ(第3の情報)を更に参照可能であり、マイクロコンピュータ100の駆動開始後、展開フラグがオフであり、且つ、展開フラグがオフであり、且つ、点灯要求フラグがオンである場合には、移動部材8を、第2の向きに原点位置まで移動させた後、原点位置から第1の向きに基準点1まで移動させ、更にその後、基準点1から第1の距離P1だけ第1の向きに移動させるように、ステッピングモータ62を制御する。
【0101】
[7]実施形態に係るHUD装置1は、ステッピングモータ62を収容する筺体(ベース2)を更に備えている。そして、コンバイナ3が、原点位置から、基準点2と目標位置との間に位置する動作基準位置(回転開始位置)への移動部材8の移動に伴って、筺体に格納した状態から筺体から展開した状態に遷移し、且つ、動作基準位置よりも第1の向き側への移動部材8の移動に伴って回転する。
【0102】
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態は、本発明の技術的範囲内で種々の変形や改良等を伴うことができる。
【0103】
例えば、実施形態では、移動部材8の位置を検出する検出部として接触式のマイクロスイッチSW1,SW2を用いているが、これらを光学センサ、磁気センサ等の非接触式のセンサに置き換えても構わない。
【0104】
また、実施形態では、移動部材8が原点位置から目標位置へ移動中であるか否かを表す第1の情報として、EEPROM120に記憶させた展開フラグを利用したが、この他の構成であっても構わない。例えば、実施形態における自動復帰型の展開/格納スイッチ116の代わりに位置保持型のスイッチを用い、当該位置保持型のスイッチからの出力信号がマイクロコンピュータ100に常時入力される構成として、マイクロコンピュータ100が、当該信号のオンオフに基づいて、移動部材8が原点位置から目標位置へ移動中であるか否かを識別する構成としても構わない。
【0105】
また、実施形態では、案内部10が上下方向に沿うように配置された構成としたが、案内部10の延在方向はこれに限らない。例えば、案内部10が水平方向に沿うように配置され、移動部材8が当該案内部10に沿って水平方向にスライド移動する構成としても構わない。
【0106】
また、実施形態では、チルト開始位置(動作基準位置)が基準点2の上方側(第1の向き側)に存在する構成としたが、基準点2の下方側(第2の向き側)に存在する構成としてもよく、或いは回転開始位置と基準点2とが同一であっても構わない。
【0107】
また、実施形態では、第1の向きに移動部材8が移動する場合に、マイクロスイッチSW1の出力信号がオンからオフに変化する位置を基準として、当該位置から所定の距離だけ第1の向きに離れた点を、基準点1(第1の基準位置)としたが、マイクロスイッチSW1の出力信号がオンからオフに変化する位置を基準点1としても構わない。これは、基準点2に関しても同様である。
【0108】
また、実施形態では、ステップS12でYESの場合(移動部材8がPOS.Aにて停止している場合)には、ステップS13で、移動部材8を上向きに基準点1まで移動させた後、続くステップS14で、移動部材8を基準点1から第1の距離P1だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成としたが、これに代えて、移動部材8を上向きに基準点2まで移動させた後、基準点2から第2の距離P2だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成としても構わない。
【0109】
また、実施形態では、ステップS15でNOの場合(移動部材8がPOS.Cにて停止している場合)には、ステップS17で、移動部材8を下向きに基準点2まで移動させた後、続くステップS18で、移動部材8を基準点2から第2の距離P2だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成としたが、これに代えて、移動部材8を下向きに格納位置まで移動させた後、格納位置から第3の距離P3だけ上向きに移動させ、基準点1まで移動させ、その後、基準点1から第1の距離P1だけ上向きに移動させ、目標位置まで移動させる構成としても構わない。
【0110】
また、実施形態では、表示器をHUD装置1(コンバイナ3)として説明したが、他の表示デバイス(TFT(Thin Film Transistor)パネル、OLED(Organic light-Emitting Diode)等)を用いた昇降制御を利用する表示器に適用しても構わない。