(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205177
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】コンピュータ装置
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
G06F1/16 312J
G06F1/16 313
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-112012(P2013-112012)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-232368(P2014-232368A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】504147195
【氏名又は名称】株式会社エーティーワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】大村 高史
【審査官】
宮下 誠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2008/0266815(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0084673(US,A1)
【文献】
特開2006−066476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同様の寸法構成の複数のハウジングを有し、各ハウジングにより各々サーバユニットやドライブユニットを構成し、前記ハウジングを互いに連結した状態で、所定のキャビネットに収納して成るコンピュータ装置であって、
一対の前記ハウジングを連結するための連結部材を備え、前記連結部材の係合部材が前記ハウジングの側面に係合して、一対の前記ハウジングが互いに連結固定され、
一対の前記ハウジングは、互いに横方向に長く連結されてキャビネットに収納され、ラックマウントサーバとして用いられるとともに、前記横方向の連結に代えて、一対の前記ハウジングを、互いに開口部同士を対面させて連結し、キャビネットに収納されてブレードサーバとして用いることが可能であることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、サーバユニットとドライブユニットを各々構成して、一体に互いに連結し、又は一対のサーバユニット同士を一体に連結して成る請求項1記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記サーバユニット内には、複数台の記憶装置を組み合わせて運用するRAID回路が設けられている請求項2記載のコンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、規格化されたユニットから成り、サーバとして用いられるコンピュータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンピュータ装置のサーバは、規格により定められた寸法の筐体内にCPUや、一時記憶装置その他の半導体メモリ、ハードディスクメモリ、その他周辺回路、及び冷却装置等が収納されて構成されている。一つの筐体内に収められたサーバユニットは、所定形状のラックキャビネットに複数収納されて、全体として一つのホストコンピュータ等として用いられる。
【0003】
ラックキャビネットにサーバユニットを実装する構造として、特許文献1,2に開示されているように、収納用のラック内に平たいサーバユニットを複数段に収納するラックマウント式の収納構造がある。ラックマウント式のサーバを搭載するラックキャビネットは、IEC規格(International Electrical Commission)/EIA規格(The Electrical Industries Association)に規定された19インチラックキャビネットが主流となっており、サーバユニットを収納するための支柱の左右間口寸法を451mm、搭載における高さ寸法を1U(1EIA)=44.45mmという単位で規定されている。
【0004】
さらに、より高密度に多数のサーバユニットを設置する構造として、特許文献3,4に開示されているように、平たいサーバユニットを縦にして、水平方向にサーバユニットをキャビネットに挿入するブレードサーバとがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−48548号公報
【特許文献2】特開2012−73978号公報
【特許文献3】特開2008−3737号公報
【特許文献4】特開2009−32068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1〜4に開示されたサーバとして用いられるコンピュータ装置は、ラック内に収納されるサーバユニットの増大により、より高密度に収納されることが望まれ、限られたスペースや、多様化したニーズの設置態様に対応できない場合があった。また、複数のサーバから成るコンピュータ装置は、サーバに接続されるハードディスクドライブ等の記憶装置のスペースも必要であり、大きなコンピュータシステムやデータセンター等のコンピュータ装置の場合、極めて多くのサーバユニットがキャビネットに実装されて配置され、より広い設置スペースを必要とし、スペース効率の向上が望まれていた。
【0007】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、サーバユニットを小型化し、キャビネットへの実装形態を自由に選択可能なコンピュータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、同様の寸法構成の複数のハウジングを有し、各ハウジングにより各々サーバユニットやドライブユニットを構成し、前記ハウジングを互いに連結した状態で、所定のキャビネットに収納して成るコンピュータ装置である。
【0009】
前記ハウジングの側面には、一対のハウジングを連結するための連結溝が形成され、前記連結溝に、前記一対のハウジングを連結するための連結部材の係合部材が係合して互いに連結固定されるものである。
【0010】
前記ハウジングは、サーバユニットとドライブユニットを各々構成して、一体に互いに連結し、又は一対のサーバユニット同士を一体に連結して成るものである。さらに、前記サーバユニット内には、複数台の記憶装置を組み合わせて運用するRAID回路が設けられているものである。
【0011】
前記ハウジングは、互いに横方向に長く連結されてキャビネットに収納され、ラックマウントサーバとして用いられる。さらに、前記ハウジングは、前記横方向の連結に代えて互いに開口部同士を対面させて連結し、キャビネットに収納されてブレードサーバとして用いることが可能なもので
ある。
【発明の効果】
【0012】
この発明のコンピュータ装置は、同一の筐体構造のサーバユニットにおいて、キャビネットへの実装形態を適宜選択することができ、用途や設置環境に応じた構成とすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明のコンピュータ装置の斜視図である。
【
図2】この実施形態のコンピュータ装置の分解斜視図である。
【
図3】この実施形態のコンピュータ装置の連結状態での側方から見た部分破断斜視図である。
【
図4】この実施形態のコンピュータ装置の連結状態での部分破断斜視図である。
【
図5】この実施形態のコンピュータ装置の連結状態でのラックに収納する状態の斜視図である。
【
図6】この実施形態のコンピュータ装置の他の連結状態を説明する分解斜視図である。
【
図7】この実施形態のコンピュータ装置の他の連結状態を説明する斜視図である。
【
図8】この実施形態のコンピュータ装置の他の連結状態を説明する斜視図である。
【
図9】この実施形態のコンピュータ装置の他の連結状態の連結部材を示す斜視図である。
【
図10】この実施形態のコンピュータ装置の他の連結状態の固定状態を示す斜視図である。
【
図11】この実施形態のコンピュータ装置を他の連結状態で、ブレードサーバ式に収納する状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明のコンピュータ装置の一実施形態について、
図1〜
図11を基にして説明する。このコンピュータ装置10は、複数のサーバユニット12やドライブユニット14から成る。サーバユニット12は、
図1、
図2に示すように、一般的なラックマウント式のキャビネット幅に、2個の同寸法のユニットが収納可能な寸法に構成されている。サーバユニット12の外形寸法は、一般的なラックマウント式サーバの筐体の幅1/2・奥行き1/2で、高さは従来のラックマウント式筐体と等しい大きで構成されている。さらに、サーバユニット12と外形寸法が等しく内部にハードディスクドライブ等の外部記憶装置とその制御回路や冷却ファン等を収容したドライブユニット14が隣接して連結可能に設けられている。
【0015】
サーバユニット12とドライブユニット14は、直方体状の金属板により形成されたハウジング15,16により構成されている。ハウジング15,16は、
図2に示す連結部材18連結部材18により互いに連結され、その状態でラックマウント式のサーバの規格に合致し、ラックマウント式のキャビネットに収納可能な形状となる。
【0016】
サーバユニット12のハウジング15は、金属板により扁平な直方体状に形成され、
図1等において説明上、カバー部材を外して上方の側面が開口した状態を示している。ハウジング15内には、CPUや一時記憶装置が搭載された主回路基板21や、電源装置20、及び主回路基板21に設けられた冷却ファン等の冷却装置部22等が収納されて固定されている。主回路基板21には、複数台のハードディスクや半導体記憶装置を組み合わせて運用するための図示しないRAID(Redundant Arrays of Independent
Disks)回路が設けられた回路基板23も搭載することができる。ハウジング15内の前面側には、ユニット前面12aから着脱自在にハードディスクドライブ等の記憶装置24が取り付けられている。
【0017】
ドライブユニット14のハウジング16も、ハウジング15と同じ大きさで金属板により同様の構造に構成され、ユニット前面14a側の内部には、ハードディスクドライブや半導体記憶素子等の大容量の記憶装置26が前面から着脱自在に取り付けられ、その他図示しない各種制御回路等が固定されている。さらに、ハウジング15,16内には、各ユニットや電子素子を繋ぐ図示しない配線が施され、ハウジング15,16の外側面には、内部の配線が接続される図示しないコネクタの入出力コネクタ取付部が設けられ、図示しない外部配線のプラグと接続可能に形成される。
【0018】
ハウジング15,16の連結部分は、
図2〜
図4に示すように、互いに対面する側面15a,16aには、中央部に配線を通すための開口部15b,16bが互いに対面する位置に設けられている。側面15a,16aの、前面12a,14a側とハウジング15,16の背面側には、開口部からU字状に切除されたU字状の連結溝27と連結溝28が設けられている。連結溝27,28は、各ハウジング15,16の上面側の開口縁から底面に向かって所定長さに形成されている。さらに、ハウジング15,16の側面15a,16aの上縁部には、後述するように、互いの開口部を合わせるようにして一体化する際に用いられるL字状の連結溝34が、側面15a,16aに2箇所、側面15a,16aと対面図する他方の側面には3箇所形成されている。連結溝34は、ハウジング15,16の開口縁から底面に向かいその後ユニット前面12a,14a側に向かって底面と平行に一定長さに形成されている。
【0019】
連結部材18の中央部には、側面15a,16aの開口部15b,16bに対面する位置に開口部18bが形成され、配線が通過可能に設けられている。さらに、連結部材18には、ハウジング15,16の側面15a,16aの、正面側と背面側の連結溝27と連結溝28に対面して、連結溝27,28内に嵌合可能な係合部材30が、正面側と背面側の表裏の4箇所に突設されている。係合部材30は、頭部が連結溝27,28の溝幅よりも大きく、頭部の下の軸部が溝幅より僅かに小さい径のキノコ状に形成されている。
【0020】
ハウジング15,16の左右の端部には、各々図示しないラックに挿入する際の持ち手となる保持部32が突設されている。そして、ハウジング15,16には、
図5に示すように、それらを一体化してラックに搭載する際に、一体化するためのコ字状の枠部材36が取り付けられる。
【0021】
次に、この実施形態のサーバユニット12やドライブユニット14をラックマウント式のキャビネットに収納する場合について説明する。
図1〜
図5に示すように、各ハウジング15,16を連結部材18により一体に連結し、
図5に示す枠部材36を取り付けて、サーバユニット12とドライブユニット14の結合ユニットを完成させる。この状態で、上面の開口部に図示しないカバー部材を取り付けて覆い、一般的な規格寸法のラックキャビネットに収納可能な外形寸法となる。このようにして連結した、2つのユニット12,14は、一般的な規格寸法のラックキャビネットの一つの収納段内に収納される。なお、このコンピュータ装置10は、奥行きが1/2であるので、キャビネットの奥行きも1/2にすることができ、キャビネット全体の体積を、一般的なラックマウント式キャビネットの1/2とすることができる。
【0022】
なお、サーバユニット12とドライブユニット14は必ずしも互いに一対で連結されなければならないものではなく、サーバユニット12同士を同様に連結して、2台のサーバユニットをラックキャビネットの1段に収納するようにしても良い。
【0023】
次に、この発明のサーバユニット12をブレードサーバの収納形式で、
図11に示すようにブレードサーバ用キャビネット44に収容する場合について、以下に説明する。
【0024】
先ず、
図6に示すように、ハウジング15,16の側面15a,16aに形成された開口部15b、16bに閉鎖板38を取り付けて、各開口部15b,16bを閉鎖する。そして、
図7、
図8に示すように、ハウジング15,16の開口部を合わせるようにしてハウジング15,16を閉じる。この後、
図9、
図10に示すように、ハウジング15,16の一方の正面の幅と等しい間隔に先端部が形成されたコ字状の枠部材40を背面側から取り付けて、互いに連結固定する。連結方法は、
図9に示すように、枠部材40の内側に設けられた係合部材42を用いて連結される。係合部材42は、側面15a,16aのL字状の連結溝34に各々嵌合するもので、枠部材40の幅方向に2本ずつ、互いに対向する1辺につき各々3箇所に突出している。係合部材42の形状は、頭部が連結溝34の溝幅よりも大きく、頭部の下の軸部が溝幅より僅かに小さい径のキノコ状に形成されている。これにより、各係合部材42をハウジング15,16の各側面の連結溝34に嵌合して、互いに開口部同士が対面したハウジング15,16を分離不能に連結することができる。
【0025】
この場合も、サーバユニット12とドライブユニット14は必ずしも互いに一対で連結されなければならないものではなく、サーバユニット12同士を同様に連結して、2台のサーバユニットを
図11に示すようにブレードサーバ用キャビネット44に収納されるブレードサーバユニット46として収納しても良い。
【0026】
この実施形態のコンピュータ装置10によれば、従来の一般的な規格の1/2の幅でサーバユニット12を構成することができ、しかも、サーバユニット12同士又はドライブユニット14と連結することにより、2台のユニットで従来の1段分のラックキャビネットを使用することになり、スペース効率の良いコンピュータ装置10を構成することができる。同様に、ブレードサーバ形式でブレードサーバ用キャビネット44に収納する場合も、高さ寸法等を従来の1/2以下に抑えることができ、全体として体積を抑えることができ、多数のサーバユニットを連結したコンピュータ装置10のスペース効率を高いものとすることができる。
【0027】
なお、この発明のコンピュータ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、寸法の規格は適宜設定可能なものであり、従来の規格の1/4の寸法にしても良く、同様の寸法構成のハウジングによりサーバユニットやドライブユニットを構成し、これらを横方向に又は互いに対面させるように連結して所定のキャビネットに収納可能にしたものであればよい。
【符号の説明】
【0028】
10 コンピュータ装置
12 サーバユニット
14 ドライブユニット
15,16 ハウジング
18,40 連結部材
20 電源装置
21 主回路基板
22 冷却装置部
24,26 記憶装置
27,28,34 連結溝
30,42 係合部材