特許第6205186号(P6205186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6205186-位置認識装置および位置認識方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205186
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】位置認識装置および位置認識方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/00 20060101AFI20170914BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01B17/00 B
   H01L21/68 F
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-132952(P2013-132952)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7582(P2015-7582A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−066559(JP,U)
【文献】 特開昭61−090073(JP,A)
【文献】 特開2007−010353(JP,A)
【文献】 特開2014−234424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 17/00 − 17/08
C09J 7/00 − 7/04
G01N 29/00 − 29/52
H01L 21/67 − 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面に超音波反射特性の異なる少なくとも2種類の接着剤層が同一面内で隣接した状態で積層された接着シートが、位置的に所定の法則性をもって被着体に貼付された被検査体の位置を検出する位置認識装置であって、
前記被検査体に向けて超音波を発信する超音波発信手段と、
前記同一面内で前記被検査体と前記超音波発信手段とを相対移動させる移動手段と、
前記被検査体によって反射された反射波を受信する受信手段とを備え、
前記受信手段は、前記超音波反射特性が異なることで生じる前記反射波の違いを検出して前記少なくとも2種類の接着剤層の境界の位置を認識可能に設けられていることを特徴とする位置認識装置。
【請求項2】
基材シートの一方の面に超音波反射特性の異なる少なくとも2種類の接着剤層が同一面内で隣接した状態で積層された接着シートが、位置的に所定の法則性をもって被着体に貼付された被検査体の位置を検出する位置認識方法であって、
超音波発信手段で前記被検査体に向けて超音波を発信する工程と、
前記同一面内で前記被検査体と前記超音波発信手段とを相対移動させる工程と、
前記被検査体によって反射された反射波を受信し、前記超音波反射特性が異なることで生じる前記反射波の違いを検出して前記少なくとも2種類の接着剤層の境界の位置を認識する工程とを実施することを特徴とする位置認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査体の位置を認識する位置認識装置および位置認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程において、半導体ウエハ(以下単に「ウエハ」という場合がある)の位置を認識する位置認識装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の位置認識装置は、外縁にノッチ(基準部)が形成されたウエハ(被着体)に両面粘着テープ(接着シート)が貼付された被検査体を保持する保持テーブルと、ウエハからはみ出る大きさの支持板を当該ウエハに両面粘着テープを介して貼合わせる貼合せローラと、ウエハの外縁と支持板の外縁とに跨ってレーザを照射する投光器と、ウエハおよび支持板で反射された反射光を受光する受光センサとを備え、反射光を基にウエハの中心位置とノッチの位置とを検出し、当該検出結果を基にウエハの位置を認識するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−269915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の位置認識装置では、被検査体に割れや損傷等が発生した場合、この割れや損傷等を基準部として検出してしまい、正確な位置認識が行えなくなってしまうという不都合がある。
【0005】
本発明の目的は、被検査体の位置認識精度を向上させることができる位置認識装置および位置認識方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の位置認識装置は、基材シートの一方の面に超音波反射特性の異なる少なくとも2種類の接着剤層が同一面内で隣接した状態で積層された接着シートが、位置的に所定の法則性をもって被着体に貼付された被検査体の位置を検出する位置認識装置であって、前記被検査体に向けて超音波を発信する超音波発信手段と、前記同一面内で前記被検査体と前記超音波発信手段とを相対移動させる移動手段と、前記被検査体によって反射された反射波を受信する受信手段とを備え、前記受信手段は、前記超音波反射特性が異なることで生じる前記反射波の違いを検出して前記少なくとも2種類の接着剤層の境界の位置を認識可能に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の位置認識方法は、基材シートの一方の面に超音波反射特性の異なる少なくとも2種類の接着剤層が同一面内で隣接した状態で積層された接着シートが、位置的に所定の法則性をもって被着体に貼付された被検査体の位置を検出する位置認識方法であって、超音波発信手段で前記被検査体に向けて超音波を発信する工程と、前記同一面内で前記被検査体と前記超音波発信手段とを相対移動させる工程と、前記被検査体によって反射された反射波を受信し、前記超音波反射特性が異なることで生じる前記反射波の違いを検出して前記少なくとも2種類の接着剤層の境界の位置を認識する工程とを実施することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のような本発明によれば、超音波反射特性が異なることで生じる反射波の違いを検出して被検査体の位置を認識するため、被着体に割れや損傷等が発生した場合でも、この割れや損傷等を基準部として検出してしまうことはなく、被検査体の位置を確実に認識することができ、被検査体の位置認識精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る位置認識装置を示す斜視図。
図2】位置認識装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、水平面内の軸とし、Z軸は、水平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な矢印AR方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0011】
図1において、位置認識装置1は、基材シートBSの一方の面に超音波反射特性の異なる少なくとも2種類の接着剤AD層、つまり、第1接着剤AD1層と第2接着剤AD2層とが同一面内で隣接した状態で積層された接着シートASが、位置的に所定の法則性をもって被着体としてのウエハWFに貼付された被検査体WKの位置を検出する装置である。
ここで、接着シートASは、ウエハWFの形状に合わせた円形形状に形成されるとともに、第1接着剤AD1層と第2接着剤AD2層とが隣接することで、当該接着シートASの中心SCを通り、当該接着シートASの一端から他端にまで達する直線状の境界CLを有している。接着シートASは、位置的に所定の法則性をもって、すなわち、基準部としてのノッチVNの中心VCとウエハWFの中心WCとを通る直線WL上に境界CLが重なるように、ウエハWFに貼付されている。
【0012】
位置認識装置1は、被検査体WKを支持する支持手段2と、接着シートASに超音波UWを発信する超音波発信手段3と、同一面内で被検査体WKと超音波発信手段3とを相対移動させる移動手段4と、被検査体WKによって反射された反射波を受信する超音波センサ等の受信機により構成された受信手段5とを備えている。
【0013】
支持手段2は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって被検査体WKを吸着保持可能な支持面21Aを有するテーブル21を備えている。
【0014】
超音波発信手段3は、圧電素子等の電歪振動子やニッケル振動子等の磁歪振動子等の図示しない超音波振動子を備え、テーブル21の上方に配置されている。
【0015】
移動手段4は、出力軸41Aでテーブル21を支持する駆動機器としての回動モータ41を備えている。
【0016】
以上の位置認識装置1において、被検査体WKの位置を認識する手順を説明する。
先ず、図示しない搬送手段によって、ウエハWFの中心WC(接着シートASの中心SC)がテーブル21の中心21Cに重なるようにするとともに、接着シートASを上方にして被検査体WKを支持面21A上に載置すると、支持手段2が図示しない減圧手段を駆動し、支持面21Aで被検査体WKを吸着保持する。次いで、超音波発信手段3が駆動し、接着シートASに向けて超音波UWを発信する。
【0017】
次いで、移動手段4が回動モータ41を駆動し、被検査体WKをR1方向に回転させる。そして、受信手段5は、図2(A)、(B)に示すように、第1接着剤AD1層から第2接着剤AD2層に切り替わった時点で、受信手段5で受信している反射波が第1反射波RW1から第2反射波RW2に変化する(例えば波長や反射量が低下する)ので、その位置データを図示しない制御手段に出力する。図示しない制御手段では、受信手段5からの位置データを基に、境界CLの位置を認識し、当該境界CLの位置が所定の位置となるようにして移動手段4が回動モータ41の駆動を停止する。このとき、境界CLのいずれか一方にノッチVNが配置されるので、被検査体WKの位置を認識することができる。なお、境界CLのいずれの一方にノッチVNが配置されているかは、第1接着剤AD1層と第2接着剤AD2層の超音波反射特性が解っているので、受信手段5が検出した反射波の変化パターンから判断することができる。
【0018】
以上のような実施形態によれば、超音波反射特性が異なることで生じる反射波の違いを検出して被検査体WKの位置を認識するため、ウエハWFに割れや損傷等が発生した場合でも、この割れや損傷等をノッチVNとして検出してしまうことはなく、被検査体WKの位置を確実に認識することができ、被検査体WKの位置認識精度を向上させることができる。
【0019】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0020】
例えば、超音波発信手段3と受信手段5とは、別体の独立した構成としてもよい。
また、超音波発信手段3で接着シートASの全面に超音波UWを発信し、その反射波を受信手段5で一度に検出してもよい。この場合、被検査体WKを回転させなくても境界CLの位置を特定することができるので、位置認識装置1の構成を簡易にすることができる。
【0021】
移動手段4は、被検査体WKに対して超音波発信手段3および受信手段5を回転させてもよいし、被検査体WK、超音波発信手段3、および受信手段5を同時に回転させてもよい。また、移動手段4は、被検査体WKに対して超音波発信手段3および受信手段5を前後方向に移動させてもよいし、被検査体WK、超音波発信手段3、および受信手段5を同時に移動させてもよい。
さらに、移動手段4は、回動モータ41をX、Y軸方向の両方へ移動可能とし、受信手段5の検出結果を基にテーブル21を回転させたり移動させたりして、被検査体WKを所定の位置に位置決めするようにしてもよい。
【0022】
また、被検査体WKは、接着シートASを下方にして支持面21A上に載置してもよい。
さらに、接着シートASが位置的に所定の法則性をもってウエハWFに貼付された被検査体WKとは、上記実施形態以外に、例えば、境界CLが直線WLに対し、ウエハWFの中心WCを中心として時計回転方向または反時計回転方向に、例えば10度、30度、45度、90度といった所定角度変移されたものでもよい。
【0023】
また、接着シートASおよび被着体の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。接着シートASは、例えば、接着剤AD層だけの単層のもの、基材シートBSと接着剤AD層との間に中間層を有するもの、基材シートBSの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートBSを接着剤AD層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよい。また、被着体としては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂板等、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASを機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の被着体に貼付することができる。
【0024】
また、接着剤AD層は、第1接着剤AD1層および第2接着剤AD2層を所定の方向に複数隣接させた構成としてもよいし、第1接着剤AD1層および第2接着剤AD2層以外の層を隣接させてもよい。さらに、例えば、矢印、V字、次第に狭幅する直線等の方位を示す狭幅部を有する平面形状、点、真円や楕円等の円、十字、多角形、文字、数字、図等の任意の平面形状の第1接着剤AD1層を囲うように第2接着剤AD2層を積層することで、境界を形成してもよい。
さらに、第1接着剤AD1層および第2接着剤AD2層は、同じ接着剤で異なる厚さに形成してもよい。この場合、上述の検出方法に加え、第1接着剤AD1層を透過してウエハWFとの境界面で反射した反射波と、第2接着剤AD2層を透過してウエハWFとの境界面で反射した反射波との検出時間差を認識することでも境界CLの位置を特定することができ、被検査体WKの位置を検出することができる。
【0025】
また、基準部は、ウエハWFの場合、オリエンテーションフラット等の方位マーク、ウエハWFに刻印された製造番号、回路パターン、カーフ、またはストリート等としてもよいし、ウエハWF以外の場合でも、所定の法則性をもって被着体の位置を特定できる目印となるものであれば何ら限定されるものではない。
【0026】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、受信手段は、超音波反射特性が異なることで生じる反射波の違いを検出して被検査体の位置を認識可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段および工程についての説明は省略する)。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0027】
1 位置認識装置
2 支持手段
3 照射手段
4 移動手段
5 受信手段
21A 支持面
AD1 第1接着剤
AD2 第2接着剤
AS 接着シート
BS 基材シート
RW1 第1反射波
RW2 第2反射波
WF ウエハ(被着体)
WK 被検査体
図1
図2