特許第6205191号(P6205191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205191
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】電子部品実装方法及び電子部品実装装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   H05K13/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-137149(P2013-137149)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-12181(P2015-12181A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】久保市 豪
(72)【発明者】
【氏名】高橋 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 輝
【審査官】 中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−176291(JP,A)
【文献】 特開2001−015998(JP,A)
【文献】 特開2005−203393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のテープフィーダから供給される電子部品を、搭載ヘッドの複数の吸着ノズルによって同時吸着し、吸着した電子部品を基板上の所定位置に装着する電子部品実装方法であって、
前記複数のテープフィーダを、当該テープフィーダ間のピッチが前記吸着ノズル間のピッチの整数倍(1倍を除く正の整数倍)となるように等間隔で配置し、
前記複数のテープフィーダを、前記吸着ノズルによって電子部品を同時吸着可能な複数のフィーダブロックにグループ化し、
前記フィーダブロック毎に異なる吸着ノズルの組を用いて連続して前記電子部品を吸着した後、吸着した前記電子部品を順次基板上の所定位置に装着することを特徴とする電子部品実装方法。
【請求項2】
前記吸着ノズルによって前記テープフィーダから電子部品を同時吸着可能な部品点数である最大同時吸着数を基準に、前記複数のテープフィーダを、電子部品を同時吸着可能な複数のフィーダブロックにグループ化することを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装方法。
【請求項3】
複数のテープフィーダから供給される電子部品を、搭載ヘッドの複数の吸着ノズルによって同時吸着し、吸着した電子部品を基板上の所定位置に装着する電子部品実装装置であって、
前記複数のテープフィーダは、当該テープフィーダ間のピッチが前記吸着ノズル間のピッチの整数倍(1倍を除く正の整数倍)となるように等間隔で配置されており、
前記複数のテープフィーダを、前記吸着ノズルによって電子部品を同時吸着可能な複数のフィーダブロックにグループ化するフィーダブロック作成手段と、
前記フィーダブロック作成手段で作成したフィーダブロック毎に、異なる吸着ノズルの組を用いて連続して前記電子部品を吸着する部品吸着手段と、を備え、
前記部品吸着手段で前記電子部品を吸着した後、吸着した前記電子部品を順次基板上の所定位置に装着することを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項4】
前記テープフィーダ間のピッチと前記吸着ノズル間のピッチとに基づいて、前記テープフィーダから前記吸着ノズルで前記電子部品を同時吸着可能な部品点数である最大同時吸着数を取得する最大同時吸着数取得手段を備え、
前記フィーダブロック作成手段は、隣り合う前記テープフィーダを、前記最大同時吸着数取得手段で取得した最大同時吸着数毎にグループ化して、複数のフィーダブロックを作成することを特徴とする請求項3に記載の電子部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置から供給された部品を、基板上に装着する電子部品実装方法及び電子部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品実装装置として、例えば特許文献1〜3に記載の技術がある。この技術は、複数の部品供給装置から供給される電子部品を複数の吸着ノズルで同時に吸着保持し、基板に装着するものである。ここでは、搭載ヘッドに装着された複数の吸着ノズルの間隔(ノズルピッチ)と、複数の部品供給装置の配置間隔(フィーダピッチ)とを一致させており、搭載ヘッドに装着したすべての吸着ノズルによって一度に電子部品を吸着可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−317999号公報
【特許文献2】特開2008−147313号公報
【特許文献3】特開2008−218721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図7に示すように、ノズルピッチとフィーダピッチとが一致しない場合、搭載ヘッドに装着された全ての吸着ノズルで一度に部品を吸着することはできない。このような場合、先ず、図7(a)に示すように複数の吸着ノズル(L1,L3,L5)で吸着可能な分だけ部品を同時吸着し、その後、搭載ヘッドを図7(b)に示す位置に移動すると共にフィーダの部品送りを行い、残りの複数の吸着ノズル(L2,L4,L6)で同フィーダから部品を同時吸着し基板に搭載するという吸着搭載シーケンスとなる。しかしながら、この場合、フィーダ送り時間の影響を大きく受けるため、生産性が悪い。
【0005】
そこで、図7(a)に示すように複数の吸着ノズル(L1,L3,L5)で吸着可能な分だけ部品を同時吸着したら、フィーダの部品送りを行っている間を利用して、吸着した分だけ部品搭載を実行するという吸着搭載シーケンスを繰り返すことも考えられる。ところが、この場合には、搭載ヘッドが部品供給部と基板との間を往復する移動距離が長くなってしまうため、実装動作において効率的ではない。
そこで、本発明は、効率的に部品の実装動作を行うことができる電子部品実装方法及び電子部品実装装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電子部品実装方法の一態様は、複数のテープフィーダから供給される電子部品を、搭載ヘッドの複数の吸着ノズルによって同時吸着し、吸着した電子部品を基板上の所定位置に装着する電子部品実装方法であって、前記複数のテープフィーダを、当該テープフィーダ間のピッチが前記吸着ノズル間のピッチの整数倍(1倍を除く正の整数倍)となるように等間隔で配置し、前記複数のテープフィーダを、前記吸着ノズルによって電子部品を同時吸着可能な複数のフィーダブロックにグループ化し、前記フィーダブロック毎に異なる吸着ノズルの組を用いて連続して前記電子部品を吸着した後、吸着した前記電子部品を順次基板上の所定位置に装着することを特徴とする。
上記電子部品実施方法は、さらに、吸着ノズルによって前記テープフィーダから電子部品を同時吸着可能な部品点数である最大同時吸着数を基準に、前記複数のテープフィーダを、電子部品を同時吸着可能な複数のフィーダブロックにグループ化することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る電子部品実装装置の一態様は、複数のテープフィーダから供給される電子部品を、搭載ヘッドの複数の吸着ノズルによって同時吸着し、吸着した電子部品を基板上の所定位置に装着する電子部品実装装置であって、
前記複数のテープフィーダは、当該テープフィーダ間のピッチが前記吸着ノズル間のピッチの整数倍(1倍を除く正の整数倍)となるように等間隔で配置されており、前記複数のテープフィーダを、前記吸着ノズルによって電子部品を同時吸着可能な複数のフィーダブロックにグループ化するフィーダブロック作成手段と、前記フィーダブロック作成手段で作成したフィーダブロック毎に、異なる吸着ノズルの組を用いて連続して前記電子部品を吸着する部品吸着手段と、を備え、前記部品吸着手段で前記電子部品を吸着した後、吸着した前記電子部品を順次基板上の所定位置に装着することを特徴とする。
【0008】
また、上記電子部品実装装置は、さらに、前記テープフィーダ間のピッチと前記吸着ノズル間のピッチとに基づいて、前記テープフィーダから前記吸着ノズルで前記電子部品を同時吸着可能な部品点数である最大同時吸着数を取得する最大同時吸着数取得手段を備え、前記フィーダブロック作成手段は、隣り合う前記テープフィーダを、前記最大同時吸着数取得手段で取得した最大同時吸着数毎にグループ化して、複数のフィーダブロックを作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、1サイクル内でフィーダ送り時間に影響を受けない同時吸着ペア(フィーダブロックとノズルブロック)を作成し、複数のフィーダブロックで連続同時吸着を行ってから基板上に部品を搭載することができる。このように、生産動作の最適化を図ることで、実装タクトタイムを短縮させることができ、効率的に部品の実装動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の電子部品実装装置を示す平面図である。
図2】搭載ヘッドの具体的構成を示す図である。
図3】電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】コントローラで実行する部品搭載処理手順を示すフローチャートである。
図5】本実施形態の動作を説明する図である。
図6】従来の部品実装動作を説明するフローチャートである。
図7】従来の部品実装動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明における電子部品実装装置を示す平面図である。
図中、符号1は電子部品実装装置である。この電子部品実装装置1は、基台10の上面にX方向に延在する一対の搬送レール11を備える。この搬送レール11は、回路基板5の両側辺部を支持し、搬送用モータ(図示せず)により駆動されることで回路基板5をX方向に搬送する。
【0012】
また、電子部品実装装置1は搭載ヘッド12を備える。この搭載ヘッド12は、下部に電子部品を吸着する複数の吸着ノズルを備え、X軸ガントリ13(搭載ヘッド12をX軸方向に移動可能に支持する支持体)及びY軸ガントリ14(X軸ガントリ13をY軸方向に移動可能に支持する支持体)により、基台10上をXY方向に水平移動可能に構成されている。
【0013】
図2は、搭載ヘッド12の一例を示す斜視図である。
搭載ヘッド12は、互いに独立して上下動する複数の吸着ノズル71を有し、各吸着ノズル71は、それぞれ電子部品72を真空吸着可能となっている。
各吸着ノズル71の上下動機構は同構造であって、Z軸モータ73を正逆回転すると、ナット74が送りねじ75に沿って上下動し、それに伴って吸着ノズルが上下動するようになっている。また、モータ76を回転することで、吸着ノズル71の下端部に真空吸着された電子部品72の水平方向の回転角度を補正することができるようになっている。
【0014】
なお、図2では吸着ノズル71を3本しか示していないが、本実施形態の搭載ヘッド12は最大6本の吸着ノズル71を装着可能となっている。
この電子部品実装装置1には、搬送レール11のY方向両側に、電子部品を供給する電子部品供給装置(テープフィーダ)15が装着される。ここで、テープフィーダ15は、フィーダバンク上に並列状態で装着可能となっている。フィーダバンク上には、Y方向に延在する複数のガイドレールが設けられており、このガイドレールの間にテープフィーダ15を挿入することで、テープフィーダ15のX方向の位置決めがなされるようになっている。そして、テープフィーダ15から供給された電子部品は、搭載ヘッド12の吸着ノズル71によって真空吸着され、回路基板5上に実装搭載される。
【0015】
また、部品供給装置15と回路基板5との間には、CCDカメラからなる認識カメラ21を配置する。この認識カメラ21は、電子部品の吸着位置ずれ(吸着ノズル71の中心位置と吸着した部品の中心位置とのずれ)や、吸着角度ずれ(傾き)を検出するために、吸着ノズル71で吸着した電子部品を撮像するものである。
また、搭載ヘッド12には、距離センサ22が取り付けられている。この距離センサ22は、センサ光により吸着ノズル71と回路基板5とのZ方向の距離(高さ)を測定する。
【0016】
さらに、搭載ヘッド12には、基板認識カメラ23が取り付けられている。基板認識カメラ23は基板上のマークや基板搭載後の電子部品の状態および、電子部品供給装置の供給位置に供給された電子部品の状態を撮像するものである。
また、電子部品実装装置1には、吸着する部品のサイズや形状に応じて、吸着ノズル71を交換するためのノズル交換装置16が設けられている。このノズル交換装置16内には複数種のノズルが保管、管理されている。
【0017】
本実施形態では、複数のノズルシャフトにそれぞれ装着されている吸着ノズル71により電子部品を同時吸着する。その際、吸着ノズル間のピッチとテープフィーダ間のピッチとの違いによって、すべての吸着ノズル71で電子部品を同時吸着できない場合には、電子部品を同時吸着可能な吸着ノズル71のグループ(ノズルブロック)と、そのノズルブロックで電子部品を同時吸着するテープフィーダ15のグループ(フィーダブロック)との組を作成し、複数回に分けて電子部品を同時吸着する。このとき、テープフィーダの部品送り時間の影響を受けないように、毎回異なるフィーダブロックから異なるノズルブロックを用いて電子部品を吸着する。電子部品を吸着したら、認識カメラ21によるビジョン認識を順次行なった後、認識結果に基づく搭載位置補正を行って電子部品を順次搭載する。
【0018】
図3は、電子部品実装装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
電子部品実装装置1は、装置全体を制御するCPU、RAM及びROMなどを備えるマイクロコンピュータからなるコントローラ30を備える。コントローラ30は、以下に示す各構成31〜35をそれぞれ制御する。
バキューム機構31は真空を発生し、不図示のバキュームスイッチを介して各吸着ノズル71に真空の負圧を発生させるものである。
【0019】
X軸モータ32は、搭載ヘッド12をX軸ガントリ13に沿ってX軸方向に移動させるための駆動源であり、Y軸モータ33は、X軸ガントリ13をY軸ガントリ14に沿ってY軸方向に移動させるための駆動源である。コントローラ30がX軸モータ32及びY軸モータ33を駆動制御することで、搭載ヘッド12はXY方向に移動可能となる。
Z軸モータ34は、各吸着ノズル71をZ方向に昇降させるための駆動源である。なお、ここではZ軸モータ34を1つしか図示していないが、実際は吸着ノズル71の数だけ設けられる。θ軸モータ35は、複数の吸着ノズル71を、各ノズルシャフトを中心にして同時回転させるための駆動源である。
【0020】
図4は、コントローラ30で実行する部品搭載処理手順を示すフローチャートである。この部品搭載処理は、テープフィーダ間のピッチが吸着ノズル間のピッチの2倍となるテープフィーダ(12mmテープフィーダ)を対象として、部品の同時吸着及び部品の搭載を行うための処理である。
【0021】
先ずステップS1で、コントローラ30は、基板に搭載する電子部品を供給するテープフィーダが、対象のテープフィーダ(12mmテープフィーダ又は、16mmテープフィーダ)であるか否かを判定する。ここでは、テープフィーダ間のピッチと吸着ノズル間のピッチとに基づいて最大同時吸着数が決定される。最大同時吸着数は、テープフィーダ15から吸着ノズル71で電子部品を一度に同時吸着できる最大の部品点数である。対象のテープフィーダの場合、図5に示すように、吸着ノズル71は6本等間隔に配置され、また、テープフィーダ25も6個等間隔に配置されている。そして、テープフィーダ間のピッチが前記吸着ノズル間のピッチの2倍のため、最大同時吸着数が3となる。なお、この最大同時吸着数3は、対象のテープフィーダの場合予め推奨値としてCPUに入力されていても良く、CPUが演算しても良い。
【0022】
そして、このステップS1で対象のテープフィーダではないと判定した場合にはステップS2に移行し、コントローラ30は、他のフィーダの部品搭載処理を実施して当該部品搭載処理を終了する。一方、前記ステップS1で、対象のテープフィーダであると判定した場合には、ステップS3に移行する。
ステップS3では、コントローラ30は、基板への電子部品の搭載点数が、搭載ヘッド12に装着可能な最大の吸着ノズル数(ここでは6)以上であるか否かを判定する。そして、搭載点数が6以上であると判断した場合にはステップS4に移行し、搭載点数が6未満であると判断した場合には、後述するステップS10に移行する。
【0023】
ステップS4では、コントローラ30は、フィーダ使用本数を6本に決定する。ここで、フィーダ使用本数とは、部品の吸着→搬送→装着の1サイクル内で部品吸着に使用するテープフィーダの本数である。
次にステップS5では、コントローラ30は、3本ずつテープフィーダ15をグループ化し、これを2個作成する。すなわち、使用する6本のテープフィーダのうち、隣り合う3本のテープフィーダを1つのグループ(フィーダブロック)とし、一方を第1フィーダブロック、もう一方を第2フィーダブロックとする。また、コントローラ30は、3本ずつ吸着ノズル71をグループ化し、これを2個作成する。ここでは、搭載ヘッド12に装着された6本の吸着ノズル71のうち、1本おきに選択した3本の吸着ノズル71を1つのグループ(ノズルブロック)とし、一方を第1ノズルブロック、もう一方を第2ノズルブロックとする。
【0024】
そして、ステップS6では、コントローラ30は、搭載ヘッド12を第1フィーダブロックの上方に移動し、第1フィーダブロックに属するすべてのテープフィーダから、第1ノズルブロックに属するすべての吸着ノズル71によって電子部品を同時吸着し、ステップS7に移行する。
ステップS7では、コントローラ30は、搭載ヘッド12を、第1フィーダブロックの上方から第2フィーダブロックの上方へ移動し、ステップS8に移行する。
【0025】
ステップS8では、コントローラ30は、第2フィーダブロックに属するすべてのテープフィーダから、第2ノズルブロックに属するすべての吸着ノズル71によって電子部品を同時吸着し、ステップS9に移行する。
ステップS9では、コントローラ30は、吸着ノズル71で吸着保持している電子部品を順次基板に装着し、部品搭載処理を終了する。
【0026】
ステップS10では、コントローラ30は、フィーダ使用本数を、基板への電子部品の搭載点数に決定する。
次にステップS11では、コントローラ30は、前記ステップS10で決定したフィーダ使用本数が3本以上であるか否かを判定する。そして、フィーダ使用本数が3本以上であると判定した場合にはステップS12に移行し、フィーダ使用本数が3本未満であると判定した場合には後述するステップS13に移行する。
【0027】
ステップS12では、コントローラ30は、フィーダブロックを2個作成し、前記ステップS6に移行する。このステップS12では、使用する3本以上6本未満のテープフィーダのうち、隣り合う3本のテープフィーダを第1フィーダブロックとし、残りのテープフィーダを第2フィーダブロックとする。また、コントローラ30は、ノズルブロックを2個作成する。ここでは、搭載ヘッド12に装着された6本の吸着ノズル71のうち、1本おきに選択した3本の吸着ノズル71を第1ノズルブロックとし、残りの吸着ノズル71を第2ノズルブロックとする。
【0028】
また、ステップS13では、コントローラ30は、フィーダブロックを1個作成する。ここでは、使用する3本未満のテープフィーダをそのまま第1フィーダブロックとする。また、コントローラ30は、ノズルブロックを1個作成する。ここでは、搭載ヘッド12に装着された6本の吸着ノズル71のうち、1本おきに選択した使用本数分の吸着ノズル71を第1ノズルブロックとする。
ステップS14では、コントローラ30は、搭載ヘッド12を第1フィーダブロックの上方に移動し、第1フィーダブロックに属するすべてのテープフィーダから、第1ノズルブロックに属する吸着ノズル71によって電子部品を同時吸着し、ステップS15に移行する。
【0029】
ステップS15では、コントローラ30は、吸着ノズル71で吸着保持している電子部品を順次基板に装着し、部品搭載処理を終了する
【0030】
次に、本実施形態の動作および効果について説明する。
複数のテープフィーダ15をフィーダバンク11に装着し、電子部品実装装置において電子部品の供給作動がなされると、テープフィーダ15はフィーダモータを駆動制御してキャリアテープを搬送方向に送り出す。これにより、部品吸着位置で、搭載ヘッド12の吸着ノズル71によって電子部品が吸着可能な状態となる。
【0031】
ここで、テープフィーダ15の幅は、キャリアテープの幅に応じて異なり、比較的幅の狭いテープフィーダ15の場合は、テープフィーダ15をフィーダバンクの各ガイドレールの間にそれぞれ挿入することができ、吸着ヘッド間のピッチとテープフィーダ間のピッチとが一致する。そのため、この場合には、6本すべての吸着ノズル71を同時に降下させることで、6本のテープフィーダから一度に電子部品を吸着することができる。
【0032】
これに対して、吸着ヘッド間のピッチとテープフィーダ間のピッチとが一致していない場合、例えばテープフィーダ15の幅の制約により、テープフィーダ15がガイドレールに1つおきに装着されている場合、テープフィーダ間のピッチは吸着ヘッド間のピッチの2倍となるため、6本すべての吸着ノズル71によって一度に電子部品を同時吸着することはできない。
このような場合、図5(a)に示すように、一度に同時吸着可能な吸着ノズル71は3本となる。したがって、この場合には、電子部品を3つずつ2回に分けて吸着し、その後、6本の吸着ノズル71に吸着した6つの電子部品を順次基板に装着するようにする。
【0033】
すなわち、電子部品の基板への搭載数が6点以上である場合(図4のステップS3でYes)、コントローラ30は、電子部品の吸着・搬送・装着の1サイクルで使用するテープフィーダ15を6本に決定する(ステップS4)。次に、コントローラ30は、隣り合う3本のテープフィーダを1つのフィーダブロックとし、当該フィーダブロックを2つ作成する(ステップS5)。すなわち、図5(a)に示す例では、テープフィーダa〜cを第1フィーダブロック、テープフィーダd〜fを第2フィーダブロックとする。また、吸着ノズルL1,L3,L5を第1ノズルブロック、吸着ノズルL2,L4,L6を第2ノズルブロックとする。
【0034】
そして、先ずコントローラ30は、X軸モータ32及びY軸モータ33を駆動制御して搭載ヘッド12を第1フィーダブロックに属するテープフィーダa〜cの部品供給位置まで移動し、次いでバキューム機構31を駆動制御してテープフィーダa〜cから電子部品を同時に真空吸着する(ステップS6)。このとき、図5(a)に示すように、第1ノズルブロックに属する吸着ノズルL1,L3,L5で電子部品を同時吸着することになる。
【0035】
次にコントローラ30は、吸着ノズルL1,L3,L5で電子部品を吸着したままの状態で、X軸モータ32及びY軸モータ33を駆動制御して搭載ヘッド12を第2フィーダブロックに属するテープフィーダd〜fの部品供給位置まで移動する(ステップS7)。そして、バキューム機構31を駆動制御してテープフィーダd〜fから電子部品を同時に真空吸着する(ステップS8)。このとき、第2ノズルブロックに属する吸着ノズルL2,L4,L6で電子部品を同時吸着することになる。これにより、図5(b)に示すように、6本すべての吸着ノズルL1〜L6で電子部品を吸着保持した状態となる。なお、この第2フィーダブロックでの部品吸着動作中、第1フィーダブロックに属するテープフィーダa〜cにおいてフィーダ送りが行われる。
【0036】
そして、コントローラ30は、6本の吸着ノズルL1〜L6で吸着した電子部品を、順次基板上に装着する(ステップS9)。このようにして、1サイクルが終了する。なお、この部品搭載動作中は、第2フィーダブロックに属するテープフィーダd〜fにおいてフィーダ送りが行われる。
【0037】
6つの電子部品を搭載し終わった時点で、基板への電子部品の搭載数が残り4点であるとすると(ステップS3でNo)、コントローラ30は、次の1サイクルで使用するテープフィーダ15を4本に決定する(ステップS10)。次いでコントローラ30は、使用する4本のテープフィーダからフィーダブロックを2つ作成する(ステップS12)。すなわち、図5(a)に示す例では、テープフィーダa〜cを第1フィーダブロック、テープフィーダdを第2フィーダブロックとする。また、吸着ノズルL1,L3,L5を第1ノズルブロック、吸着ノズルL2を第2ノズルブロックとする。
【0038】
そして、先ずコントローラ30は、X軸モータ32及びY軸モータ33を駆動制御して搭載ヘッド12を第1フィーダブロックに属するテープフィーダa〜cの部品供給位置まで移動する。このとき、テープフィーダa〜cは、前回のサイクルでの第2フィーダブロックの部品吸着動作中にフィーダ送りが行われており、電子部品が所定の部品供給位置にある状態となっている。すなわち、フィーダ送りを待つことなく部品吸着動作が可能な状態となっている。したがって、コントローラ30は、搭載ヘッド12をテープフィーダa〜cの部品供給位置まで移動した後、すぐに電子部品を真空吸着することができる。このとき、第1ノズルブロックに属する吸着ノズルL1,L3,L5で電子部品を同時吸着する。
【0039】
次にコントローラ30は、吸着ノズルL1,L3,L5で電子部品を吸着したままの状態で、X軸モータ32及びY軸モータ33を駆動制御して搭載ヘッド12を第2フィーダブロックに属するテープフィーダdの部品供給位置まで移動する(ステップS7)。このとき、テープフィーダdは、前回のサイクルでの部品搭載動作中にフィーダ送りが行われており、電子部品が所定の部品供給位置にある状態となっている。すなわち、フィーダ送りを待つことなく部品吸着動作が可能な状態となっている。したがって、コントローラ30は、搭載ヘッド12をテープフィーダdの部品供給位置まで移動した後、すぐに電子部品を真空吸着することができる。このとき、第2ノズルブロックに属する吸着ノズルL2で電子部品を同時吸着する。
【0040】
これにより、4本の吸着ノズルL1〜L3,L5で電子部品を吸着保持した状態となる。そして、コントローラ30は、4本の吸着ノズルL1〜L3,L5で吸着した電子部品を、順次基板上に装着する(ステップS9)。このようにして、1サイクルが終了する。
なお、上記の実施形態では、最大同時吸着数3を基準に、複数のテープフィーダを3個と3個のフィーダブロックや、3個と2個のフィーダブロックや、3個と1個のフィーダブロックにグループ化したが、ノズル数やピッチ間隔に応じて種々変更可能である。
【0041】
ところで、従来、使いかけのリールが残ることは部品管理上好ましくないと考えられており、所定のテープフィーダから部品がなくなるまで吸着搭載を実行し、その後、別のテープフィーダから吸着搭載を実行するようにしていた。
すなわち、吸着ノズル間のピッチとテープフィーダ間のピッチとが一致していない場合(例えば、テープフィーダ間のピッチが吸着ノズル間のピッチの2倍となる場合)、図7(a)に示すように複数の吸着ノズル(L1,L3,L5)で吸着可能な分だけ部品を同時吸着し、その後、搭載ヘッドを図7(b)に示す位置に移動して、残りの複数の吸着ノズル(L2,L3,L4)を用いて同テープフィーダ(a〜c)から部品を同時吸着した後、基板に搭載するという吸着搭載シーケンスを行うようにしていた。
【0042】
しかしながら、この場合、第1ノズルブロック(L1,L3,L5)で部品を吸着した後、フィーダブロック(a〜c)のフィーダ送りを待ってから、第2ノズルブロック(L2,L4,L5)で部品を吸着することになる。そのため、2回送りを必要とするフィーダなど、フィードに時間を費やしてしまう場合、フィーダ送り時間の影響を大きく受け、生産性が悪い。
そこで、図7(a)に示すように複数の吸着ノズルで吸着可能な分だけ部品を同時吸着した後、フィーダの部品送りを行っている間を利用して、吸着した分だけ部品搭載を実行するという吸着搭載シーケンスを繰り返すことも考えられる。この場合の吸着搭載シーケンスは、図6に示す手順により行われる。
【0043】
すなわち、基板に搭載する電子部品を供給するテープフィーダが、対象のテープフィーダ(12mmテープフィーダ)であると判断すると(図6のステップS21でYes)、基板への電子部品の搭載点数が、搭載ヘッド12に装着した吸着ノズルのうち、部品を同時吸着可能な吸着ノズル数(ここでは3)以上であるか否かを判定する(ステップS23)。
このとき、搭載点数が3以上であると判断した場合には、フィーダ使用本数を3本に決定し(ステップS24)、フィーダブロック及びノズルブロックを1個ずつ作成する(ステップS25)。ここでは、使用する3本のテープフィーダをそのまま第1フィーダブロックとし、搭載ヘッド12に装着された6本の吸着ノズルのうち、1本おきに選択した3本の吸着ノズルを第1ノズルブロックとする。
【0044】
そして、第1フィーダブロックに属するすべてのテープフィーダから、第1ノズルブロックに属するすべての吸着ノズルによって電子部品を同時吸着した後(ステップS26)、吸着保持した電子部品を基板上へ搬送し、順次基板に装着する(ステップS27)。
一方、搭載点数が3未満であると判断した場合には、フィーダ使用本数を、基板への電子部品の搭載点数に決定し(ステップS28)、フィーダブロック及びノズルブロックを1個ずつ作成する(ステップS29)。ここでは、使用する3本未満のテープフィーダをそのまま第1フィーダブロックとし、搭載ヘッド12に装着された6本の吸着ノズルのうち、1本おきに選択した使用本数分の吸着ノズルを第1ノズルブロックとする。
【0045】
そして、第1フィーダブロックに属するすべてのテープフィーダから、第1ノズルブロックに属するすべての吸着ノズルによって電子部品を同時吸着した後(ステップS26)、吸着保持した電子部品を基板上へ搬送し、順次基板に装着する(ステップS27)。
しかしながら、この場合には、搭載ヘッドが部品供給部と基板との間を往復する移動距離が長くなってしまうため、実装動作において効率的ではない。
【0046】
これに対して、本実施形態では、積極的にテープフィーダの使用本数を増やし、1サイクル内でフィーダ送り時間に影響を受けない同時吸着ペア(フィーダブロックとノズルブロック)を作成し、複数のフィーダブロックで連続同時吸着を行ってから基板上に部品を搭載する。したがって、上記のような非効率的な実装動作を解消し(サイクル数を減少し)、実装タクトタイムを短縮させることができるので、生産性を向上させることができる。
特に、LED基板のように搭載する部品が1種類の場合、部品管理が簡単であるため、同一部品のフィーダを増やすことにより生産性が上がるなら使いかけのリールが残るよりも良い。
このように、本実施形態では、生産動作の最適化を図ることができる。
【符号の説明】
【0047】
1…部品実装装置、5…回路基板、11…搬送レール、12…搭載ヘッド、13…X軸ガントリ、14…Y軸ガントリ、15…テープフィーダ(部品供給装置)、16…ノズル交換装置、21…認識カメラ、23…基板認識カメラ、30…コントローラ、31…バキューム機構、32…X軸モータ、33…Y軸モータ、34…Z軸モータ、35…θ軸モータ、71…吸着ノズル
図1
図2
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図4
図5
図6
図7