(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記包装材は、前記開封開始部付近に始端を有し、かつ前記包装材の前記一方の側部から前記一方の側部と向かい合う他方の側部に向かってほぼ直線状に延びる補強部を備えている請求項1ないし5のいずれかに記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、可視光透過性の可撓性プラスチックに可視光透過性の紫外線防止剤をコートした輸液容器用カバーである。このカバーにおいても効果を有するが、カバーを取り付ける操作を行わなければならない。
特許文献2の点滴容器包装袋1は、矩形状の合成樹脂シートに、下端辺1aに平行状の下部切裂き案内線2と、下部切裂き案内線2の上方に平行する下部上側切裂き案内線3と、上中央部1bに上部切裂き案内線4とを設け、表裏シートを接着、融着などによりシート体の四周辺を密封して袋体として形成し、好ましくは表裏シートの左右側辺と下辺の三辺を密封し、点滴容器6を袋内に収納した上で、他の一辺すなわち上辺を密封することにより密封してなっており、袋上中央部1bを切裂くことにより開口部5を形成でき、下部切裂き案内線2及び下部上側切裂き案内線3を切裂くことにより包装袋下側を開口できるものとなっている。
【0005】
この点滴容器包装袋1を使用するためには、下部切裂き案内線2の一方のノッチ7a側から幅方向に切裂いて袋の下部を開封する。次に、下部上側切裂き案内線3の一方のノッチ7b側から幅方向に切裂いて袋1の下部を切除し、開口下端部を形成する。その後、上部切裂き案内線4を上端から抉り取るように切裂いて開口部5を形成し、開口部5からフック部6aを露出させ、フック9などに引っ掛け、点滴容器6を吊下げることにより、投与可能となる。
投与準備のための操作が煩雑である。また、この点滴容器包装袋1では、フック部6aは、投与時、開口部5から露出するために、露出部もしくはその隙間より、光が点滴容器に当たる可能性があり、また、下部切裂き案内線2を用いて切裂いて袋の下部を開封した後は、包装袋より、点滴容器6を取り出し可能であり、取り出した状態にて、フック9に吊下げること、すなわち、包装袋がない状態での投与を可能としている。
【0006】
特許文献3のものは、輸液を収容する本体部21と、輸液を取り出すポート部22とを有する輸液容器20を収納する包装袋であって、前記包装袋がガスバリア層および遮光層を有する積層体からなり、前記包装袋に、輸液容器20の本体部21を収納したままポート部22を該包装袋の外部に露出させる開口を形成する弱化部2が形成されているバリア包装袋1である。
特許文献3の包装袋では、使用時に、弱化部2に沿って包装袋1を引き裂いて開口4を形成する作業を行い、さらに、形成した開口4から輸液容器20のポート部22を露出させる作業を行うことが必要である。特に、後者の形成した開口4から輸液容器20のポート部22を露出させる作業は、包装袋内に輸液を収容する本体部を移動させることが必要である作業が容易ではない。
【0007】
特許文献4の薬剤充填済み容器体を収容した包装体1は、遮光性を有しかつ密封された包装材2と、包装材2内に収納された薬剤を収納した容器体3とからなる。容器体3は、排出ポート32を有する。包装体1は、容器体3の両側部37,38との間に実質的に隙間が形成されない状態にて容器体3を収納する容器体収納部23と、容器体3を包装材2に固着する固着部29を有する。包装材2は、包装材2の側部であって、容器体3の排出ポート32より若干下方となる位置より上方かつ薬剤収納部34より下方となる部分に形成された開封用切欠部24を備える。包装体1は、包装体1を吊り下げるための上部に形成された懸垂孔5を有する。
しかし、特許文献4のものでも、開封用切欠部を排出口の先端より若干下方に位置させることにより、開封時における排出ポートとの引っかかりの解消を図ったが、開封時に包材が撓み真っ直ぐに開封できなかったり、やはり排出口に引っ掛かることがあった。さらに、開封後において、開封端が確認しにくく、開封されていることの確認も容易ではなかった。
そこで、本発明の目的は、投与準備のための操作が極めて簡単であり、かつ、投与時における容器体の薬液収納部に直接光があたることを確実に防止することができ、かつ、開封作業も容易であり、さらに、開封状態の確認、開封端の確認が容易である薬液充填済み容器体を収容した包装体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
【0009】
(
1) 遮光性を有しかつ密封された包装材と、該包装材内に収納された薬液を収納した容器体とからなる薬液充填済み容器体を収容した包装体であって、
前記容器体は、軟質容器本体と、前記軟質容器本体の中央付近下部に取り付けられた排出ポートと、前記軟質容器本体の薬液収納部内に収納された前記薬液とを備え、かつ、収納した薬液により膨らんだ状態となっており、
前記包装体は、前記容器体の両側部との間に実質的に隙間が形成されない状態にて前記容器体を収納する容器体収納部と、前記容器体を前記包装材に固着する固着部を有し、前記包装材は、前記容器体の前記排出ポートより所定長下方となる前記包装材の一方の側部に設けられた開封開始部と、前記包装体を吊り下げるための懸垂孔を有し、
さらに、前記包装材は、前記開封開始部を始端として、前記排出ポートの所定長下方を通り、前記一方の側部と向かい合う他方の側部に到達するように破断開封可能であり、かつ、前記開封開始部は、前記破断開封時に、前記排出ポートが切断の障害とならない位置に設けられており、さらに、前記開封開始部は、破断開封後において、前記排出ポートが開封後の前記包装材より露出せず、かつ、開封後の前記包装材を前記排出ポートの上部付近にて押圧したとき、開封端が広がる薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
2) 前記開封後の前記包装材を前記排出ポートの上部付近にて押圧したとき、少なくとも前記排出ポートの下面が、前記包装体の開封端より露出するものである上記(
1)に記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
3) 前記包装材は、前記開封開始部から
前記他方の側部もしくは
前記他方の側部付近まで延び、かつ、前記排出ポートより所定長下方に位置する破断誘導用帯状着色部を備えている上記(
1)または(
2)に記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
4) 前記包装材は、前記開封開始部と該開封開始部と向かい合う他方の側部部位とを結ぶ仮想線と前記排出ポートの下端間の距離Dが、10〜40mmである上記(1)ないし(
3)のいずれかに記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
5) 前記包装
材は、前記開封開始部より下方に形成された下端シール部を備え、前記仮想線と前記下端シール部の上縁間の距離Eは、前記距離Dと同等もしくはそれより短いものとなっている上記(
4)に記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
【0010】
(
6) 前記包装材は、前記開封開始部付近に始端を有し、かつ前記包装材の前記一方の側部から前記一方の側部と向かい合う他方の側部に向かってほぼ直線状に延びる補強部を備えている上記(1)ないし(
5)のいずれかに記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
7) 前記包装材は、前記開封開始部と向かい合うように、前記他方の側部に設けられた第2の開封開始部を備えている上記(1)ないし(
6)のいずれかに記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
8) 前記薬液充填済み容器体を収容した包装体は、前記容器体の上部シール部にて、前記包装材に固着する固着部を有している上記(1)ないし(
7)のいずれかに記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
9) 前記包装材は、引き裂くことが可能な易裂性包装材である上記(1)ないし(
8)のいずれかに記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
(
10) 前記遮光性は、難紫外線透過性かつ透明性を有するものである上記(1)ないし(
9)のいずれかに記載の薬液充填済み容器体を収容した包装体。
【発明の効果】
【0011】
本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体は、遮光性を有しかつ密封された包装材と、該包装材内に収納された薬液を収納した容器体とからなる薬液充填済み容器体を収容した包装体であって、前記容器体は、軟質容器本体と、前記軟質容器本体の
中央付近下部に取り付けられた排出ポートと、前記軟質容器本体の薬液収納部内に収納された前記薬液とを備え、かつ、収納した薬液により膨らんだ状態となっており、前記包装体は、前記容器体の両側部との間に実質的に隙間が形成されない状態にて前記容器体を収納する容器体収納部と、前記容器体を前記包装材に固着する固着部を有し、前記包装材は、前記容器体の前記排出ポートより所定長下方となる前記包装材の一方の側部に設けられた開封開始部と、
前記包装体を吊り下げるための懸垂孔を有し、さらに、前記包装材は、前記開封開始部を始端として、前記排出ポートの所定長下方を通り、前記一方の側部と向かい合う他方の側部に到達するように破断開封可能であり、かつ、前記開封開始部は、前記破断開封時に、前記排出ポートが切断の障害とならない位置に設けられており、さらに、前記開封開始部は、破断開封後において、前記排出ポートが開封後の前記包装材より露出せず、かつ、開封後の前記包装材を前記排出ポートの上部付近にて押圧したとき、開封端が広がるものとなっている。
【0012】
この薬液充填済み容器体を収容した包装体では、投与時における容器体の薬液収納部に直接光があたることを確実に防止することができる。さらに、包装材に設けられた開封開始部より包装体を破断する際、排出ポートが障害となることなく、容易に破断することができる。さらに、開封後の包装材を排出ポートの上部付近にて押圧したとき、包装材の開封端が広がるため、排出ポートの下面が確認しやすく、薬液排出用針の接続作業が容易である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体を図面に示した実施例を用いて詳細に説明する。
本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体1は、遮光性を有しかつ密封された包装材2と、包装材2内に収納された薬液36を収納した容器体3とからなる。そして、容器体3は、軟質容器本体31と、軟質容器本体31の下部に取り付けられた排出ポート6と、軟質容器本体31の薬液収納部34内に収納された薬液とを備え、かつ、収納した薬液36により膨らんだ状態となっている。そして、包装体1は、容器体3の両側部との間に実質的に隙間が形成されない状態にて容器体3を収納する容器体収納部と、容器体3を包装材2に固着する固着部29を有する。包装材2は、容器体3の排出ポート6より所定長下方となる包装材2の一方の側部21bに設けられた開封開始部24と、開封開始部24から一方の側部21bと向かい合う他方の側部21cもしくは他方の側部付近まで延び、かつ、排出ポート6より所定長下方に位置する破断誘導用帯状着色部26と、包装体を吊り下げるための懸垂孔5を有している。
【0016】
また、本発明の薬液充填済み容器体3を収容した包装体1は、遮光性を有しかつ密封された包装材2と、包装材2内に収納された薬液36を収納した容器体3とからなる。そして、容器体3は、軟質容器本体31と、軟質容器本体31の中央付近下部に取り付けられた筒状排出ポート6と、軟質容器本体31の薬液収納部34内に収納された薬液とを備え、かつ、収納した薬液36により膨らんだ状態となっている。そして、包装体1は、容器体3の両側部との間に実質的に隙間が形成されない状態にて容器体3を収納する容器体収納部23と、容器体3を包装材2に固着する固着部29を有する。そして、包装材2は、容器体3の排出ポート6より所定長下方となる包装材2の一方の側部21bに設けられた開封開始部24と、包装体1を吊り下げるための懸垂孔5を有する。さらに、包装材2は、開封開始部24を始端として、排出ポート6の所定長下方を通り、一方の側部21bと向かい合う他方の側部21cに到達するように破断開封可能である。そして、開封開始部24は、破断開封時に、排出ポート6が切断の障害とならない位置に設けられており、さらに、開封開始部24は、破断開封後において、排出ポート6が開封後の包装材2より露出せず、かつ、開封後の包装材2を排出ポート6の上部付近にて押圧したとき、開封端が広がるものとなっている。
【0017】
また、本発明の薬液充填済み容器体3を収容した包装体1は、遮光性を有しかつ密封された包装材2と、包装材2内に収納された薬液36を収納した容器体3とからなる。そして、容器体3は、軟質容器本体31と、軟質容器本体31の中央付近下部に取り付けられた筒状排出ポート6と、軟質容器本体31の薬液収納部34内に収納された薬液とを備え、かつ、収納した薬液36により膨らんだ状態となっており、包装体1は、容器体の両側部との間に実質的に隙間が形成されない状態にて容器体3を収納する容器体収納部23と、容器体を包装材2に固着する固着部29を有する。
前記包装体は、前記容器体の両側部との間に実質的に隙間が形成されない状態にて前記容器体を収納する容器体収納部と、前記容器体を前記包装材に固着する固着部を有する。包装材2は、容器体3の排出ポート6より所定長下方となる包装材2の一方の側部21bに設けられた開封開始部24と、包装体1を吊り下げるための懸垂孔5を有する。さらに、包装材2は、開封開始部24と開封開始部24と向かい合う他方の側部21cの部位とを結ぶ仮想線Lと排出ポート6の下端間の距離Dが、10〜40mmであり、仮想線Lと下端シール部21dの上縁間の距離Eは、距離Dと同等もしくはそれより短いものとなっている。
【0018】
図1および
図3に示す実施例の薬液充填済み容器体を収容した包装体を用いて本発明を説明する。
この薬液充填済み容器体を収容した包装体1は、包装材2と、包装材2内に収納された容器体3とを備える。
包装材2は、2枚のシートを積層し、その周縁部がシールされている。具体的には、包装材2は、上部シール部21a、側部シール部21b,21c、下部シール部21dを有する略矩形状のものとなっている。そして、包装材2内には、容器体3を収納する収納部23を有しており、この包装材2では、収納部23は、
図1に示すように、容器体3の両側部37,38との間に実質的に隙間が形成されない状態にて容器体3を収納する容器体収納部(容器体内部移動規制収納部)23となっている。このため、容器体3は、包装材2内において実質的に移動不能な状態にて収納されている。
【0019】
そして、包装材2は、包装材2の一方の側部21bの下部の側縁部に設けられた開封開始部24を備えている。特に、この実施例では、
図1に示すように、包装材2は、開封開始部24が設けられた一方の側部21bと向かい合う他方の側部21cに、開封開始部24と包装材2の縦中央部を介して向かい合うように設けられた第2の開封開始部25を備えている。また、開封開始部24,25は、包装材2内に容器体3を収納した状態にて、容器体3の排出ポート6より所定長下方となる位置に設けられている。このように向かいうように、開封開始部を2つ設けることが好ましいが、いずれか一方のみであってもよい。また、開封開始部24,25の位置は、容器体3の排出ポート6より包装体1の長手方向に、10〜30mm下方となる包装材2の側部21b、21cの側縁部に設けることが好ましい。
開封開始部24,25としては、
図1に示すような、開封用切欠部であることが好ましいが、スリット、外方に延出する耳部などであってもよい。切欠部としては、内縁が中央方向に突出する半円状のもの、また、中央方向を向く頂点を有する三角形状のものなどが好ましい。
【0020】
そして、包装材2は、容器体3の排出ポート6より所定長下方となる包装材2の一方の側部21bに設けられた開封開始部24と、開封開始部24から一方の側部21bと向かい合う他方の側部21cもしくは他方の側部付近まで延び、かつ、排出ポート6より所定長下方に位置する破断誘導用帯状着色部26を有している。帯状着色部26の上縁は、容器体3の排出ポート6より包装体1の長手方向に、10〜15mm下方となるように設けることが好ましい。
そして、
図1に示す実施例の包装体1では、破断誘導用帯状着色部26は、一方の開封開始部24と他方の開封開始部25間に設けられている。帯状着色部の形態としては、
図1に示すように、非連続的なもの、また、一方の側部端部から他方の側部端部まで連続するのもの、さらには、破線帯状のものなどであってもよい。特に、
図1に示すように、破断方向を誘導するような指標(具体的には、矢印)を有するものが好ましい。
また、帯状着色部26は、開封開始部24,25が、切欠部である場合、その幅よりも広いことが好ましい。
図1に示すものでは、開封開始部(切欠部)24,25は、帯状着色部26内となるように形成されている。このようにすることにより、開封開始部24,25を容易に見つけることができる。そして、この実施例の包装体1では、帯状着色部26は、包装体1の表側となるシートのみならず、裏側となるシートにも設けられている。このようにすることにより、包装体1を裏面側から見た状態においても、開封操作が容易なものとなる。
帯状着色部26は、包装材2のシート表面に印刷により形成することができる。帯状着色部26は、不透明着色部、透明着色部のいずれでもよい。着色部の色としては、視認容易な色であることが好ましく、例えば、オレンジ、黄色、ピンク、赤などが好ましい。帯状着色部26の幅(帯幅)は、3〜30mmであることが好ましい。特に、5〜10mmであることが好ましい。
【0021】
そして、
図3に示すように、2つの開封開始部24,25を結ぶ仮想線Lと排出ポート6の下端間の距離Dは、10〜40mmであることが好ましい。特に、距離Dは、10〜30mmであることが好ましい。このようにすることにより、包装材に設けられた開封開始部より包装体を破断する際、排出ポートが障害となることなく、容易に破断することができる。さらに、開封後の包装材を排出ポートの上部付近にて押圧したとき、包装材2の開封端42は、広がるように変形する。このため、開口面積が大きくなり、排出ポート6の下面の視認が容易となり、薬液排出用針の接続作業も容易である。また、包装材2は、通常は、
図6に示すように、開封開始部24から包装体1の横方向に直線的に引き裂かれるように破断する。しかし、何らかの事情により、破断途中で引き裂き方向が容器体3方向に変化した場合、
図8に示すように破断されることも考えられる。このような形態にて包装材2が、破断され開封したとしても、本発明の包装体1では、容器体3の排出ポート6より、開封開始部が所定長下方に位置するため、排出ポート6を含む容器体3が、露出することがない。このため、投与時における容器体の薬液収納部に直接光があたることを確実に防止することができる。
【0022】
本発明の薬液充填済み容器体3を収容した包装体1において、容器体3は、収納した薬液36により膨らんだ状態となっている。また、容器体3の軟質容器本体31中央付近下部に筒状排出ポート6が取り付けられている。さらに、排出ポート6は、
図1ないし
図3に示すように、容器本体31に固着された先端部が小径であり、薬液排出用針が接続される下端部が、大径のものとなっている。
包装体1は、一方の開封開始部24,25を始端42aとして、切断が開始される。そして、破断部(開口端42)は、向かい合う側部に、終端42bを有するものとなる。
そして、包装材2は、開封されることにより、開封端42(2枚のシートの切断端間)は、容器体3の下部の膨らみに対応して開く。しかし、切欠部24,25は、排出ポート6より所定長下方に位置しているため、開封後の包装材2より、排出ポート6は、露出しない。しかし、
図7に示すように、開封後の包装材2を排出ポート6の上部付近にて押圧したとき、容器体3の下部の膨らみ、排出ポートの形態に従って、包装材2の開封端42は、開く方向に変形する。包装材2としては、
図7に示すように、開封後の包装材2を排出ポート6の上部付近にて押圧したとき、包装体の開封端42より、排出ポート6の下面が露出するものであることが好ましい。
【0023】
さらに、
図3に示すように、仮想線Lと下端シール部21dの上縁間の距離Eは、上記仮想線Lと排出ポート6の下端間の距離Dと同等もしくはそれより短いものであることが好ましい。また、距離Eは、10〜40mmであることが好ましい。特に、距離Eは、5〜30mmであることが好ましい。このように、仮想線Lと下端シール部21dの上縁間の距離Eを短いものとすることにより、仮想線L部分における包装材2の開きが少なくなり、開封開始部を用いた切断が容易なものとなる。
包装材2としては、後述する容器体3に充填された薬液の安定性に応じて適切な遮光性を有する材料を種々選択して採用することができる。紫外線に対して不安定な薬液が充填されている場合は、見た目には透明であるが紫外光を遮断するものが好ましく、つまり、難紫外線透過性かつ透明性(可視光透過性)であることが好ましく、可視光に対して不安定な薬液が充填されている場合は、可視光も薬液が安定に保存するために必要な程度に遮断するものが好ましい。
包装材2としては、包装材の持つ遮光性が難紫外線透過性かつ透明性である場合は、難紫外線透過性かつ透明性を有する軟質シートからなる袋状のものが好ましく、この実施例では、周縁部に形成されたシール部21を有している。
【0024】
軟質シートは、難紫外線透過性として、450nmより短い波長の光(具体的には、290〜450nmの光)の透過率が低減されたものであることが好ましく、例えば、例えば、380nm以下の波長の透過率が4%以下であることが好ましく、特に波長320nm付近で1%以下であることが好ましい。また、シートは、透明性として、波長600nm以上の可視光の透過率が高いことが好ましく、例えば、波長600nm以上の透過率が55%以上であることが好ましく、特に80%以上であることが好ましい。
また、包装材2の遮光性が可視光領域も必要量遮断されたものである場合には、包装材を構成する軟質シートは、可視光領域遮光性として、450nm〜600nmの波長の光の透過率が収納された容器の状態が確認可能な程度に低減されたものであることが好ましく、例えば、波長600nmにおける透過率が55%〜80%であることが好ましく、特に70%〜80%であることが好ましい。
なお、収納された容器の状態を確認する必要のない場合には、包装材は、実質的に完全に遮光されたものであっても良い。
【0025】
包装材2に用いられるシートとしては、樹脂製基材層の一方の面に、紫外線吸収剤を含有した薄膜を有するもの、また、第1の樹脂層と第2の樹脂層の間に、紫外線吸収層を有する多層フィルムなどが用いられる。
紫外線吸収剤を含有した薄膜を有するシートは、樹脂基材層の表面に、紫外線吸収剤を被膜形成物質に含有させコーティングすることにより形成することができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、トリアリールトリアジン系化合物等が使用できる。また、被膜形成物質としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等の樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、シリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂などが使用される。また、基材層の形成材料としては、波長600nm以上における可視光の透過率が80%以上である樹脂が好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリブデン樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレイト樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニリデンフィルム、アセタール系樹脂フィルム、フッ素系樹脂等を使用することができる。
【0026】
さらに、包装材2は、開封開始部24からこの切欠部24が設けられた側部と向かい合う側部に向かって手で直線状に引き裂くことが可能な易裂性包装材であることが好ましい。上述した樹脂製基材層として、切欠部24が設けられた側部から向かい合う側部方向に延伸された1軸延伸フィルムを用いることにより、包装材に易裂性を付与することができる。易裂性包装材の樹脂製基材層としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂などの延伸配向性を有する樹脂の1軸延伸フィルムが好適である。
また、包装体に用いられるシートとしては、第1の樹脂層と第2の樹脂層の間に、紫外線吸収層を有する多層フィルムであってもよい。第1の樹脂層および第2の樹脂層の形成性材料としては、波長600nm以上の可視光の透過率が80%以上である樹脂が好ましく、具体的には、上述した基材層の形成材料が好適に使用できる。また、紫外線吸収層としては、上述した紫外線吸収剤を所定濃度で含有する樹脂層が好ましい。樹脂層形成材料としては、上述した基材層の形成材料および被膜形成物質が好適に使用できる。
なお、実質的に完全に遮光された包装材とする場合には、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム等の遮光層をフィルムの中間層として設けることができる。
【0027】
そして、上記のタイプのシートを用いる包装材においても、開封開始部24からこの切欠部24が設けられた側部と向かい合う側部に向かって手で直線状に引き裂くことが可能な易裂性包装材であることが好ましい。上述した第1の樹脂層と第2の樹脂層として、切欠部24が設けられた側部から向かい合う側部方向に延伸された1軸延伸フィルムを用いることにより、包装材に易裂性を付与することができる。易裂性包装材の第1の樹脂層と第2の樹脂層としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂などの延伸配向性を有する樹脂の1軸延伸フィルムが好適である。
【0028】
また、包装材に易裂性を付与する方法は、上述した1軸延伸フィルムを用いるものに限定されるものではなく、例えば、開封開始部24からこの切欠部24が設けられた側部と向かい合う側部に向かって延びる線状易裂性部を有するものであってもよい。この場合、包装材は、その全体が易裂性を有する必要はない。そして、線状易裂性部は、開封開始部24からこの開封開始部24と向かい合うように設けられた第2の開封開始部25に到達するものとなる。線状易裂性部は、例えば、紫外線吸収層ではない内部層に断続的かつ直線状に形成された欠損部により形成することができる。この断続的かつ直線状に形成された欠損部部分は、他の部分より強度が低いため、破断が容易となる。
また、包装材に用いられるシートの内側となる面に、密封のためおよび容器体との固着のための低融点樹脂層を設けることが好ましい。この低融点樹脂層は、シートの内側全面に設けてもよいが、ヒートシールされる部分もしくはその付近のみに設けてもよい。低融点樹脂層の形成材料としては、いわゆるホットメルト材料が用いられる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン(例えば、低分子ポリエチレン)やエチレン−酢酸ビニル共重合体のような低融点樹脂が用いられる。特に、上記の樹脂の一軸延伸フィルムが好ましい。具体的には、一軸延伸ポリプロピレンフィルム、一軸延伸ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0029】
薬液を充填した容器体3は、容器本体31と排出ポート6を備える。
容器体3は、上部シール部33、下部シール部35、側部(側部シール部)37,38、閉鎖空間となっている薬液収納部34,薬液収納部内に充填された薬液36と、上部シール部33に設けられた懸垂孔5を有する。排出ポート6は、下部シール部35により容器本体31に固定されて、薬液収納部34内と連通し、薬液を排出可能としている。
排出ポート6は、筒状部材61と、筒状部材61の下端側に下端開口(排出ポート)を密封するように配置された弾性部材63と、弾性部材63を固定するキャップ62(弾性部材支持部材)からなる。弾性部材は、薬液排出用針を刺通可能なものとなっている。排出ポート6は、容器本体31を構成するシート材間に挟持され、融着固定されている。
【0030】
容器本体31は、インフレーション成形法により筒状に成形されたもの、ブロー成形することにより作製されたもの、樹脂製の2枚のシートの周縁部を融着して形成したもの、樹脂製の1枚のシートを折り返すとともに周縁部を融着して形成したもの、樹脂を押し出し成形により筒状に形成したものの開口周縁を融着することにより作製したもの等のいずれでもよい。
容器本体31は、水蒸気バリヤー性を有することが好ましい。水蒸気バリヤー性の程度としては、水蒸気透過度が、50g/m
2・24hrs・40℃・90%RH以下であることが好ましく、より好ましくは10g/m
2・24hrs・40℃・90%RH以下であり、さらに好ましくは1g/m
2・24hrs・40℃・90%RH以下である。この水蒸気透過度は、JISK7129(A法)に記載の方法により測定される。
【0031】
このような容器本体31の形成材料としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。そして、使用する樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有していることが好ましい。
また、容器本体31は、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよい。
【0032】
容器体3に充填される薬液が含有する薬剤としては、どのようなものでもよいが、紫外線により分解もしくは劣化が生じるとされるものを用いる場合が有効である。そのような薬剤としては、例えば、ビタミンA 、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB12、ビタミンEおよびビタミンKの単独もしくは任意の複合物、オザグレルナトリウム、アムホテリシンB、シスプラチン、塩酸ラモセトロンなどが考えられる。なお、容器体3に充填される薬液は、上記の薬剤を含有する水性製剤であることが好ましい。
また、本発明の薬液を充填した容器体は、加熱滅菌処理した後に、包装材に封入することが好ましい。水性製剤を充填した容器体の加熱滅菌処理は、高圧蒸気滅菌法、水浴滅菌法、スプレー滅菌法(シャワー菌滅法)などのいずれの方法で行ってもよく、そのうちでも高圧蒸気滅菌法が好ましく採用される。
【0033】
そして、包装体1では、容器体3は、その両側部37,38(具体的には、側部シール部の側端)との間に実質的に隙間が形成されない状態にて包装材2内に収納されている。このため、容器体3は、包装材2内において実質的に移動不能となっており、包装材内での移動時の摩擦に起因する容器体のシール部でのシート切れの発生を防止し、また、包装材の開封後における排出ポートへの医療用排出用針の穿刺作業時のポートの逃げを防止し、刺針作業が容易なものとなっている。
そして、容器体3は、包装材2の容器体収納部内に収納されている。さらに、容器体3は、包装材2内に、容器体3の排出ポート6が、開封開始部24,25より所定長上方に位置するように収納されている。
【0034】
そして、本発明の包装体は、包装体を吊り下げるための上部に形成された懸垂孔5を有している。また、包装体1は、容器体3を包装材2に固着する固着部29を有している。
この実施例の包装体1では、懸垂孔5は、包装材2および容器体3の上部シール部33を貫通するように形成されている。具体的には、固着部29を形成するヒートシール部の中央部、言い換えれば、固着部29により一体化した包装材2と容器体3の上部シール部を打ち抜くように懸垂孔5が設けられている。このため、懸垂孔付近は、ハンガー等への吊り下げ時に耐用可能な十分な強度を有する。また、表現を変えれば、
図1に示す実施例の包装体1では、懸垂孔5の周縁部が固着部29となっている。
そして、懸垂孔5の周縁部に位置する固着部29は、包装材2の両面に設けられたものとなっている。これより、懸垂孔5は、包装体内と外部雰囲気を連通しない。よって、懸垂孔5を用いて、包装体1は、そのまま懸垂できるにもかかわらず、包装体内の容器体は外部雰囲気と隔離されており、製造時の状態を維持できる。包装後滅菌されている場合は滅菌雰囲気を維持する。また、固着部は、上述の懸垂孔5の周縁部に形成されたものに加えて、
図5に示す実施例の包装体1bが備えるような、上部シール部の両サイドに形成された固着部41を設けてもよい。
【0035】
そして、本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体は、例えば、以下のようにして製造することができる。容器体は、加熱滅菌処理した後に、包装材に封入する。水性製剤を充填した容器体の加熱滅菌処理は、高圧蒸気滅菌法、水浴滅菌法、スプレー滅菌法(シャワー菌滅法)などのいずれの方法で行ってもよく、そのうちでも高圧蒸気滅菌法が好ましく採用される。包装材2は、三方がシールされたもの(例えば、下端のみが開口したもの)を準備し、開口部より包装体内に容器体を第1の開封開始部24と第2の開封開始部25を結んだ仮想線および帯状着色部26が、収納された容器体3の排出ポートの下端面(医療用排出用針穿刺面)より所定長上方となるように挿入し、かつ、包装材2の懸垂孔用開口と容器体3の懸垂孔用開口を位置合わせする。そして、その状態を確保し、包装材2の外側かつ容器体3の懸垂孔用開口の周縁部に加熱型を当て、ヒートシールし、容器体3を包装材2に固着する固着部29を形成する。このようにして、本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体が製造される。
【0036】
次に、本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体の使用方法について、
図6および
図7を用いて説明する。本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体を準備し、
図6に示すように、包装材2に設けられた開封開始部24より、帯状着色部26の誘導方向に従って、包装材2を破断すると、一方の側部21bに形成される始端42aより他方の側部21cに形成される終端42b(図示する例では、第2の開封開始部)まで延びる破断端が形成され、それにより、包装材2の下部が切り取られ、
図6に示す状態となる。そして、帯状着色部26を二分するように、包装材2が、破断(切断)される。このため、容器体3側に残る包装材2の下端部には、帯状着色部26aが、残留するので、開封後の包装材2の下端を容易に認識できるとともに、包装体1が、開封されていることも容易に認識できる。
そして、
図7に示すように、開封後の包装材2を排出ポート6の上部付近にて押圧することにより、容器体3の下部の膨らみ、排出ポートの形態に従って、包装材2の開封端42は、開くように変形する。そして、排出ポート6に薬液排出用針を穿刺する。薬液収納部は、包装材に被包された状態を維持し、懸垂孔5を用いてハンガー等に吊り下げることにより、薬液投与可能となる。なお、この包装体1では、薬液投与中においても薬液収納部は、遮光性を有する包装材により被包されているので、薬液の劣化が生じにくい。
【0037】
本発明の薬液充填済み容器体を収容した包装体としては、
図4に示すような薬液充填済み容器体を収容した包装体1aであってもよい。
この包装体1aでは、包装材2aは、開封開始部24,25付近かつ一方の側部より他方の側部に向かってほぼ直線状に延びる補強部27を備えている。具体的には、帯状着色部26の上縁部分もしくは帯状着色部の上縁に近接する部分に設けられ、包装材2の一方の側部21bから向かい合う他方の側部21cに向かってほぼ直線状に延びる補強部27を備えている。上述した実施例の包装体1とこの実施例の包装体1aとの相違は、補強部27の有無のみであり、その他については、上述した記載を参照するものとする。上述した実施例の包装体1とこの実施例の包装体1aとの相違は、補強部の有無のみである。
さらに、
図4に示すものでは、包装材2aは、上記補強部27より所定長下方に位置し、帯状着色部26の下縁部分もしくは帯状着色部の下縁部に近接する部分に設けられ、包装材2aの一方の側部21bから向かい合う他方の側部21cに向かってほぼ直線状に延びる第2の補強部28を備えている。そして、第2の補強部28は、上述した補強部27とほぼ平行となるように設けられている。
補強部27、28としては、加熱により形成した線状の補強部、さらに、糸状の樹脂を融着させることにより形成した補強部など、包装材の他の部分より、強度が高いものであればどのようなものでもよい。
このように、2本の補強部27,28を設けることが好ましく、このようにすることにより、2本の補強部27,28間にて、開封開始部24と開封開始部25間を容易かつ確実に破断することができる。なお、補強部は、いずれか一本のみであってもよい。また、一本のみ設ける場合には、向かい合う開封開始部24付近かつその上部に一方の側部から他方の側部に向かってほぼ直線状に延びる補強部とすることが好ましい。