(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子および前記発光素子から出射された光を監視するための受光素子が基板上に配置された光電変換装置と、光ファイバーとの間に配置され、前記発光素子と前記光ファイバーの端面とを光学的に結合するための光レセプタクルであって、
前記発光素子から出射された光を入射させる第1光学面と、
前記第1光学面から入射した光を、前記基板に沿った方向に反射させる反射面と、
前記反射面で反射した光の一部を出射させる出射領域および前記出射領域から出射した光を入射させる入射面を有する凹部と、
前記出射領域に配置され、前記反射面で反射した光を前記受光素子に向かうモニター光と前記光ファイバーの端面に向かう信号光とに分離し、前記モニター光を前記受光素子に向けて反射させ、前記信号光を前記凹部に出射させる、一部材で形成された光分離部と、
前記光分離部で分離した前記モニター光を前記受光素子に向けて出射させる第2光学面と、
前記光分離部から出射された後、前記入射面から入射した前記信号光を前記光ファイバーの端面に向けて出射させる第3光学面と、を有し、
前記光分離部は、前記反射面で反射した光を透過させ、前記凹部に出射させる複数の分割透過面と、前記分割透過面に接続され、複数の前記分割透過面と異なる領域に形成され、前記反射面で反射した光を前記第2光学面に向けて反射させる複数の分割反射面と、前記分割反射面の傾斜方向において、前記分割透過面および前記分割反射面を接続する分割段差面と、を有し、
前記分割透過面は、前記反射面で反射した光の光軸に対する垂直面であり、
前記分割反射面は、前記反射面で反射した光の光軸に対する傾斜面であり、
前記分割段差面は、前記反射面で反射した光の光軸に対する平行面であり、
前記分割透過面と、前記分割反射面および前記分割段差面とは、マトリックス状となるように前記分割反射面の傾斜方向である第1の方向と、前記分割反射面に沿い、かつ前記第1の方向に直交する第2の方向とにおいて交互に配置されている、
光レセプタクル。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
[実施の形態1]
(光モジュールの構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光モジュール100の断面図である。
図1では、光レセプタクル300内の光路を示すために光レセプタクル300の断面へのハッチングを省略している。
【0016】
図1に示されるように、光モジュール100は、発光素子220を含む基板実装型の光電変換装置200と、光レセプタクル300とを有する。光モジュール100は、光レセプタクル300に光ファイバー400が接続されて使用される。光電変換装置200および光レセプタクル300は、接着剤(例えば、熱/紫外線硬化性樹脂)などの公知の固定手段によって固定される。そして、光レセプタクル300は、光電変換装置200と光ファイバー400との間に配置された状態で、発光素子220と光ファイバー400の端面410とを光学的に結合させる。
【0017】
光電変換装置200は、半導体基板210、発光素子220、受光素子230および制御部240を有する。
【0018】
発光素子220は、半導体基板210上に配置されており、半導体基板210の表面に対して垂直方向にレーザー光Lを出射する。発光素子220は、例えば垂直共振器面レーザー(VCSEL)である。
【0019】
受光素子230は、半導体基板210の発光素子220が配置されている面と同一面上に配置されており、発光素子220から出射されたレーザー光Lの出力(例えば、強度や光量)を監視するためのモニター光Lmを受光する。受光素子230は、例えばフォトディテクターである。
【0020】
制御部240は、半導体基板210の発光素子220および受光素子230が配置されている面と同一面上に配置されており、図外の配線を介して発光素子220および受光素子230と電気的に接続されている。制御部240は、受光素子230によって受光されたモニター光Lmの強度や光量に基づいて、発光素子220から出射するレーザー光Lの出力を制御する。
【0021】
光レセプタクル300は、第1光学面310および発光素子220が対向し、かつ第2光学面340および受光素子230が対向するように、光電変換装置200の上に配置されている。光レセプタクル300は、光透過性の材料からなり、例えば射出成形により一体として製造される。光レセプタクル300は、光電変換装置200の発光素子220から出射された光Lを第1光学面310から内部に入射させ、光Lをモニター光Lmと信号光Lsとに分離する。そして、光レセプタクル300は、モニター光Lmを第2光学面340から光電変換装置200の受光素子230に向けて出射させ、信号光Lsを第3光学面350から光ファイバー400の端面に向けて出射させる。
【0022】
本実施の形態の光モジュール100は、光レセプタクル300の構成に主たる特徴を有する。そこで、光レセプタクル300については、別途改めて詳細に説明する。
【0023】
前述のとおり、光レセプタクル300には、光ファイバー400が接続される。光ファイバー400は、シングルモード方式またはマルチモード方式の光ファイバーである。
【0024】
(光レセプタクルの構成)
図2Aは、光レセプタクル300の平面図であり、
図2Bは、光レセプタクル300の底面図である。
図1および
図2に示されるように、光レセプタクル300は、略直方体形状の部材である。光レセプタクル300は、光通信に用いられる波長の光に対して光透過性を有する材料を用いて形成される。そのような材料の例には、ポリエーテルイミドや環状オレフィン樹脂などの透明な樹脂が含まれる。光レセプタクル300は、例えば射出成形により一体として製造されうる。
【0025】
まず、この直方体の6つの面(天面、底面、正面、背面、右側面および左側面)を基準として、光レセプタクル300の形状について説明する。以下の説明では、光レセプタクル300の光ファイバー400側の面を「右側面」として説明する。なお、光レセプタクル300を射出成形により製造する場合には、右側面および左側面に型抜きのためにテーパを形成してもよい。
【0026】
図1および
図2Bに示されるように、底面には、四角錐台形状の第1凹部360が形成されている。第1凹部360は、発光素子220、受光素子230および制御部240を収容する空間である。第1凹部360の底面は、半導体基板210の表面と平行である。第1凹部360の底面には、発光素子220に対向するように第1光学面310が形成されており、受光素子230に対向するように第2光学面340が形成されている。なお、第1凹部360の形状は、特に限定されず、例えば直方体形状であってもよい。
【0027】
また、天面には、五角柱形状の第2凹部370および略五角柱形状の第3凹部380が直方体の長手方向に並んで形成されている。第2凹部370の内面の一部は、反射面320として機能する。一方、第3凹部380の内面の一部は光分離部330(入射領域)として機能し、光分離部330に対向する内面は入射面381として機能する。なお、第2凹部370の形状は、反射面320を所定の位置に配置することができれば、特に限定されない。また、第3凹部380の形状も、光分離部330および入射面381を所定の位置に配置することができれば、特に限定されない。
【0028】
さらに、右側面には、光ファイバー400を接続するための、筒形状の光ファイバー取付部390が設けられている。光ファイバー取付部390は、円柱形状の第4凹部391と、第4凹部391の底面に形成された円柱形状の第5凹部392とを有する。第4凹部は、光ファイバー400の端部に取り付けられた円筒形状のフェルール420を装着するための部位である。光ファイバー400の端部は、フェルール420を取り付けられた状態で光ファイバー取付部390(第4凹部391)に挿入されることで、半導体基板210の表面と平行に配置される。第5凹部392の底面には、装着された光ファイバー400の端面410と対向するように、第3光学面350が形成されている。第3光学面350の中心軸は、光ファイバー400の端面410の中心軸に一致している。
【0029】
次に、光レセプタクル300の光学的な構成要素について説明する。
【0030】
図1および
図2に示されるように、光レセプタクル300は、第1光学面310、反射面320、光分離部330、第2光学面340、入射面381および第3光学面350を有する。
【0031】
第1光学面310は、光レセプタクル300の底面側に、発光素子220と対向するように配置されている。本実施の形態では、第1光学面310は、凸レンズ面である。第1光学面310は、発光素子220から出射された光Lを光レセプタクル300内に入射させる。このとき、第1光学面310は、入射した光Lをコリメート光Lに変換する。そして、第1光学面310によって変換されたコリメート光Lは、反射面320に向かって進行する。第1光学面310の中心軸は、発光素子220の発光面(および半導体基板210の表面)に対して垂直である。第1光学面310の中心軸は、発光素子220から出射された光Lの光軸と一致することが好ましい。
【0032】
反射面320は、光レセプタクル300の天面側に形成された傾斜面である。反射面320は、光レセプタクル300の底面から天面に向かうにつれて、光ファイバー400に近づくように傾斜している。本実施の形態では、反射面320の傾斜角度は、第1光学面310から入射した光Lの光軸に対して45°である。反射面320には、第1光学面310から入射したコリメート光Lが、臨界角より大きな入射角で内部入射する。反射面320は、入射した光Lを半導体基板210の表面に沿う方向に全反射させる。
【0033】
光分離部330(第3凹部380の入射領域)は、複数の面からなる領域であり、光レセプタクル300の天面側に配置されている。光分離部330は、反射面320で反射したコリメート光Lを受光素子230に向かうモニター光Lmと、光ファイバー400の端面410に向かう信号光Lsとに分離する。信号光Lsは、第3凹部380に出射される。本実施の形態の光モジュール100は、光レセプタクル300の光分離部330に主たる特徴を有する。そこで、光分離部330については、別途改めて詳細に説明する。
【0034】
第2光学面340は、光レセプタクル300の底面側に、受光素子230と対向するように配置されている。本実施の形態では、第2光学面340は、凸レンズ面である。第2光学面340は、光分離部330で分離したコリメート光Lを収束させて受光素子230に向けて出射する。これにより、モニター光Lmを受光素子230に効率良く結合させることができる。第2光学面340の中心軸は、受光素子230の受光面(半導体基板210)に対して垂直であることが好ましい。
【0035】
入射面381は、光レセプタクル300の天面側に配置されており、光分離部330で出射された信号光Lsを光レセプタクル300内に再度入射させる。本実施の形態では、入射面381は、光分離部330で分離した信号光Lsに対する垂直面である。これにより、光ファイバー400の端面410に向かう信号光Lsを屈折させることなく光レセプタクル300内に入射させることができる。
【0036】
第3光学面350は、光レセプタクル300の右側面側に、光ファイバー400の端面410と対向するように配置されている。本実施の形態では、第3光学面350は、凸レンズ面である。第3光学面350は、入射面381から光レセプタクル300内に入射した信号光Ls(コリメート光L)を収束させて光ファイバー400の端面410に向かって出射する。これにより、信号光Lsを光ファイバー400の端面410に効率良く結合させることができる。第3光学面350の中心軸は、光ファイバー400の端面410の中心軸と一致していることが好ましい。
【0037】
本実施の形態の光レセプタクル300では、発光素子220から出射した光Lを、第1光学面310によって光束径が一定のコリメート光(平行光)に変換して入射させるため、コリメート光のみを扱うことができる。これにより、光レセプタクル300にコリメート光L,Ls,Lmの進行方向への寸法誤差が生じたとしても、光ファイバー400の端面410および受光素子230への光量と、光ファイバー400および受光素子230への入射光の集光点の位置とを確保することができる。この結果、光学性能を維持しながら、光レセプタクル300に要求される寸法精度を緩和して製造容易性を向上させることができる。
【0038】
次に、光分離部330の構成について説明する。
図3および
図4は、光分離部330の構成を示す図である。
図3Aは、光分離部330の斜視図であり、
図3Bは、光分離部330の平面図である。
図4Aは、
図1において破線で示される領域の部分拡大断面図であり、
図4Bは、光分離部330の光路を示す部分拡大断面図である。
図4Bでは、光レセプタクル300内の光路を示すために光レセプタクル300の断面へのハッチングを省略している。
【0039】
図3および
図4に示されるように、光分離部330は、複数の分割反射面331と、複数の分割透過面332と、複数の分割段差面333と、複数の端面334とを有する。分割反射面331と、分割透過面332および分割段差面333とは、マトリックス状となるように第1の方向および第1の方向に直交する第2の方向において交互に配置されている。ここで「第1の方向」とは、後述の分割反射面331の傾斜方向である(
図3に示される矢印D1参照)。また、「第2の方向」とは、分割反射面331に沿い、かつ第1の方向に直交する方向である(
図3に示される矢印D2参照)。
【0040】
分割反射面331は、反射面320で反射した光Lの光軸に対する傾斜面である。分割反射面331は、光レセプタクル300の天面から底面に向かうにつれて光ファイバー400に近づくように傾斜している。本実施の形態では、分割反射面331の傾斜角は、反射面320で反射した光Lの光軸に対して45°である。複数の分割反射面331は、同一平面上に配置されている。また、分割反射面331は、第1の方向および第2の方向に所定の間隔で配置されている。第1の方向において隣り合う分割反射面331の間には、分割透過面332および分割段差面333が配置されている。一方、第2の方向において隣り合う分割反射面331の間には、分割透過面332、分割段差面333および一対の端面334が配置されている。第1の方向および第2の方向における分割反射面331間の間隔は、特に限定されない。本実施の形態では、第1の方向および第2の方向における分割反射面331間の間隔は、同じである。
【0041】
分割透過面332は、分割反射面331と異なる位置に形成された、反射面320で反射した光Lの光軸に対する垂直面である。分割透過面332も、第1の方向および第2の方向に所定の間隔で配置されている。複数の分割透過面332は、第1の方向において互いに平行に配置されており、第2の方向において同一平面上に配置されている。
【0042】
分割段差面333は、反射面320で反射した光Lの光軸に平行な面であり、分割反射面331と分割透過面332とを接続している。分割段差面333も、第1の方向および第2の方向に所定の間隔で配置されている。複数の分割段差面333は、第1の方向において互いに平行に配置されており、第2の方向において同一平面上に配置されている。
【0043】
端面334は、反射面320で反射した光Lの光軸に平行な面であり、かつ分割透過面332および分割段差面333に垂直な面である。端面334は、分割透過面332および分割段差面333の第2の方向の両端に配置されており、分割透過面332および分割段差面333の両端と分割反射面331を接続している。複数の端面334は、第1の方向において同一平面上に配置されており、第2の方向において互いに平行に配置されている。
【0044】
分割透過面332および分割段差面333の間には、稜線が形成される。第1の方向において隣接する複数の稜線は、互いに平行に配置されている。また、第2の方向において隣接する複数の稜線は、同一の直線上に配置されている。本実施の形態では、分割透過面332および分割段差面333のなす角度のうち、小さい角度は、90°である。また、分割透過面332および分割反射面331のなす角度のうち小さい角度は135°である。また、分割段差面333および分割反射面331のなす角度のうち小さい角度も、135°である。すなわち、分割透過面332および分割段差面333は、同じ形の長方形に形成されている。
【0045】
図4Bに示されるように、分割反射面331には、反射面320で反射した光Lが、臨界角より大きな入射角で内部入射する。分割反射面331は、入射した光Lを第2光学面340に向けて反射させて、モニター光Lmを生成する。一方、分割透過面332は、反射面320で反射した光Lを透過させ、光ファイバー400の端面410に向かう信号光Lsを生成する。信号光Lsは、第3凹部380に出射される。このとき、分割透過面332は光Lに対して垂直面であるため、信号光Lsは屈折しない。なお、分割段差面333および端面334は光Lの入射方向に平行に形成されているため、分割段差面333および端面334には光Lは入射しない。
【0046】
光分離部330で生成される信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、特に限定されない。信号光Lsとモニター光Lmとの光量比は、光分離部330に入射する光Lに対する分割透過面332および分割反射面331の面積比に比例する。たとえば、
図4Bに示される断面の分割透過面332と平行な方向における、分割透過面332の寸法d1と、分割反射面331の寸法d2との比率を1:1と仮定する。この場合、信号光Lsおよびモニター光Lmは、光分離部330に入射する光を100%とした場合に50%ずつ生成される。
【0047】
次に、第1の方向および第2の方向の両方向において交互になるように、分割反射面331および分割透過面332を配置する理由について説明する。
【0048】
前述のとおり、
図3Aは、本実施の形態に係る光レセプタクル300の光分離部330の斜視図である。一方、
図5は、比較用の光分離部330’の斜視図である。
図6Aは、比較用の光分離部330’を用いて信号光Lsを生成した場合の仮想平面Sにおける信号光Lsのビームスポット形状のシミュレーション結果である。
図6Bは、本実施の形態に係る光分離部330を用いて信号光Lsを生成した場合の仮想平面Sにおける信号光Lsのビームスポット形状のシミュレーション結果である。本シミュレーションでは、
図1に示されるように入射面381の近くに仮想平面Sを設定した。
【0049】
図5に示されるように、比較用の光分離部330’は、分割反射面331および分割透過面332が分割反射面331の傾斜方向にのみ交互に配置されている点で、本実施の形態に係る光分離部330と異なる。比較用の光分離部330’を用いると、
図6Aに示されるように、ビームスポットは、縞模様となる。
【0050】
これに対し、本実施の形態に係る光分離部330を用いると、
図6Bに示されるように、ビームスポットは、マトリックス模様となる。なお、第3光学面350の平面視形状が円形であるため、光ファイバー400の端面410に到達する信号光Lsの断面の外形は、円形となる。また、本実施の形態に係る光分離部330を用いた場合のビームスポットは、マトリックス模様となるため、比較用の光分離部330’を用いた場合と比較して、発光素子220の角度強度分布の影響を受けにくくなる。
【0051】
(効果)
以上のように、実施の形態1に係る光レセプタクル300は、発光素子220から出射されたレーザー光Lを、反射面320によって半導体基板210の表面に沿って反射させた上で、分割反射面331による反射および分割透過面332による透過によってモニター光Lmと信号光Lsとに分離する。モニター光Lmについては、第2光学面340から受光素子230に向けて出射させ、信号光Lsについては、進行方向を変えることなく、第3光学面350から光ファイバー400の端面410に向けて出射させる。よって、光レセプタクル300は、発光素子220から出射された光を監視するモニター光Lmを取得しつつ、光ファイバー400の端面410における信号光Lsの方向を半導体基板210に沿った方向にすることができる。また、光レセプタクル300は、発光素子220の角度強度分布の影響を受けにくい。
【0052】
(変形例)
実施の形態1に係る光レセプタクル300では、第1光学面310が入射した光をコリメート光に変換したが、第1光学面310は入射した光をコリメート光以外の光に変換してもよい。
【0053】
図7は、実施の形態1の変形例1〜3に係る光モジュール100の断面図(光路図)である。
図7Aは、第1光学面310が、レーザー光Lを進行するにつれて光束径が漸増するように変換する場合における、光モジュール100の光路図である。
図7B,Cは、第1光学面310が、レーザー光Lを進行するにつれて光束径が漸減するように変換する場合における、光モジュール100の光路図である。
図7A〜Cでは、光レセプタクル300内の光路を示すために光レセプタクル300の断面へのハッチングを省略している。これらの変形例に係る光レセプタクル300および光モジュール100は、発光素子220から出射された光Lの光レセプタクル300内での光束径が、実施の形態1の光レセプタクル300および光モジュール100と異なる。なお、実施の形態1の光レセプタクル300および光モジュール100と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
図7Aに示されるように、変形例1に係る光モジュール100では、第1光学面310が、レーザー光Lを進行するにつれて光束径が漸増するように、レーザー光Lを変換するようになっている。このような構成は、実施の形態1の構成に対して、第1光学面310(凸レンズ面)の正のパワー(屈折力)を弱くすることなどによって実現されうる。これにより、信号光Lsを進行にともなって拡径させることができるため、第3光学面350上に異物の付着や傷の形成が生じている場合であっても、第3光学面350上における信号光Lsに対する異物/傷の面積占有率を低減することができる。これにより、第3光学面350上の異物/傷が結合効率に与える影響を有効に緩和することができる。
【0055】
また、
図7Bに示されるように、変形例2に係る光モジュール100では、第1光学面310が、レーザー光Lを進行方向に向かうにつれて光束径が漸減するように光束を変換するようになっている。このような構成は、実施の形態1の構成に対して、第1光学面310(凸レンズ面)の正のパワー(屈折力)を強くすることなどによって実現されうる。
【0056】
さらに、
図7Cに示されるように、変形例3に係る光モジュール100では、第3光学面350に到達する前に光Lが効果的に収束されているため、光Lをパワー(屈折力)の小さい第3光学面350で収束させればよい。
【0057】
また、実施の形態1に係る光レセプタクル300では、第1光学面310、第2光学面320および第3光学面350が曲率を有するレンズ面である場合を示したが、第1光学面310、第2光学面320または第3光学面350は、曲率を有さない平面であってもよい。
【0058】
図8は、実施の形態1の変形例4〜6に係る光モジュール100の断面図(光路図)である。
図8Aは、第1光学面310が平面の場合における、光モジュール100の光路図である。
図8Bは、第2光学面320が平面の場合における、光モジュール100の光路図である。
図8Cは、第3光学面350が平面の場合における、光モジュール100の光路図である。
図8A〜Cでは、光レセプタクル300内の光路を示すために光レセプタクル300の断面へのハッチングを省略している。
【0059】
図8Aに示されるように、変形例4に係る光モジュール100では、第1光学面310が平面に形成されている。この場合、例えば、反射面320は、凹面鏡として機能できるように形成される。
【0060】
また、
図8Bに示されるように、変形例5に係る光モジュール100では、第2光学面340が平面に形成されている。この場合、第2光学面340から出射された一部の光が、受光素子230の受光面に到達しないおそれがある。しかしながら、受光素子230が発光素子220から出射された光Lを監視するうえでは、大きな問題とはならない。
【0061】
さらに、
図8Cに示されるように、変形例6に係る光モジュール100では、第3光学面350が平面に形成されている。第1光学面310や反射面320などにより、第3光学面350に到達する直前の光Lが効果的に収束されている場合は、第3光学面350が平面に形成されていてもよい。
【0062】
[実施の形態2]
(光モジュールの構成)
実施の形態2に係る光レセプタクル600および光モジュール500は、レンズアレイ型であり、監視を伴う光送信の多チャンネル化に対応できる点において、実施の形態1に係る光レセプタクル300および光モジュール100と異なる。なお、実施の形態1の光レセプタクル300および光モジュール100と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図9は、実施の形態2に係る光モジュール500の断面図である。
図9では、光レセプタクル600内の光路を示すために光レセプタクル600の断面へのハッチングを省略している。
図10は、実施の形態2に係る光レセプタクル600の構成を示す図である。
図10Aは、光レセプタクル600の平面図であり、
図10Bは、底面図であり、
図10Cは、右側面図である。
【0064】
図9に示されるように、実施の形態2に係る光モジュール500は、光電変換装置700および光レセプタクル500を有する。実施の形態2に係る光モジュール500では、光ファイバー400は、多芯一括型のコネクター610内に収容された状態で公知の取付手段を介して光レセプタクル600に取り付けられている。
【0065】
光電変換装置700は、複数の発光素子220と、複数の受光素子230と、制御部240を有する。複数の発光素子220は、半導体基板210上に一列に配列されている。
図9では、複数の発光素子220は、紙面の手前側から奥側に向かって一列に配列されている。一方、複数の受光素子230は、複数の発光素子220の配列方向と平行になるように、半導体基板210上に一列に配列されている。複数の発光素子220および複数の受光素子230は、互いに対応するように同一間隔で配置される。複数の受光素子230は、対応する発光素子220の出力などを監視するためのモニター光Lmを受光する。
【0066】
光レセプタクル600は、このような光電変換装置700および光ファイバー400の構成に応じて、各発光素子220および各光ファイバー400間の光路と、各発光素子220および各受光素子230間の光路を確保するように形成されている。具体的には、光レセプタクル300は、複数の第1光学面310、複数の第2光学面340および複数の第3光学面350が、発光素子220ごとのレーザー光Lの光路を確保するように、
図9の紙面における前後方向(
図10A,Bにおいては、上下方向)に配列されている。また、光レセプタクル300は、反射面320および光分離部330が複数の発光素子220から出射されるレーザー光Lの光路を確保することができる大きさに形成されている。
【0067】
(効果)
以上のように、実施の形態2に係る光モジュール500は、実施の形態1の効果に加え、監視を伴う光送信の多チャンネル化に対応することができる。
【0068】
(変形例)
実施の形態1の変形例と同様に、実施の形態2に係る光レセプタクル600でも、第1光学面310は入射した光をコリメート光以外の光に変換してもよい。
【0069】
図11は、実施の形態2の変形例1〜3に係る光モジュール500の断面図(光路図)である。
図11Aは、第1光学面310が、レーザー光Lを進行するにつれて光束径が漸増するように変換する場合における、光モジュール500の光路図であり、
図11Bは、第1光学面310が、レーザー光Lを進行するにつれて光束径が漸減するように変換する場合における、光モジュール500の光路図であり、
図11Cは、第1光学面310が、レーザー光Lを進行するにつれて光束径が漸減するように変換する場合における、光モジュール500の光路図である。
【0070】
図11Aに示されるように、変形例1に係る光モジュール500では、第1光学面310が、レーザー光Lを進行方向前方に向かうにしたがって光束径が漸増するように光束を変換するようになっている。また、
図11Bに示されるように、変形例2に係る光モジュール500では、第1光学面310が、レーザー光Lを進行方向前方に向かうにしたがって光束径が漸減するように光束を変換するようになっている。さらに、
図11Cに示されるように、変形例3に係る光モジュール500では、第3光学面350に到達する前に光Lが効果的に収束されているため、光Lを第3光学面350で収束させる必要性がない。
【0071】
なお、特に図示しないが、実施の形態2においても実施の形態1と同様に、第1光学面310、第2光学面340または第3光学面350は、平面であってもよい。
【0072】
また、上記各実施の形態の光レセプタクル300,600において、反射面320および分割反射面331上に、光反射率が高い金属(例えば、Al,Ag,Auなど)の薄膜などの反射膜を形成してもよい。部品点数の削減を優先させたい場合には、実施の形態1,2のように、全反射のみを利用した構成を採用することが好ましい。