特許第6205296号(P6205296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205296自動車用のインストルメントパネルを有するアセンブリ及びニーエアバッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205296
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】自動車用のインストルメントパネルを有するアセンブリ及びニーエアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/206 20110101AFI20170914BHJP
   B60R 21/215 20110101ALI20170914BHJP
【FI】
   B60R21/206
   B60R21/215
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-62816(P2014-62816)
(22)【出願日】2014年3月25日
(62)【分割の表示】特願2011-207512(P2011-207512)の分割
【原出願日】2008年2月15日
(65)【公開番号】特開2014-111460(P2014-111460A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年4月17日
【審判番号】不服2016-12517(P2016-12517/J1)
【審判請求日】2016年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ワラット ニコ
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー マーカス
【合議体】
【審判長】 島田 信一
【審判官】 平田 信勝
【審判官】 一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−75138(JP,A)
【文献】 特開2005−186675(JP,A)
【文献】 特開2005−324608(JP,A)
【文献】 特開平9−123857(JP,A)
【文献】 特開2000−280850(JP,A)
【文献】 特開平10−217882(JP,A)
【文献】 特開平9−132102(JP,A)
【文献】 特開2004−352012(JP,A)
【文献】 特開2007−331655(JP,A)
【文献】 特開2004−196026(JP,A)
【文献】 実開平6−20148(JP,U)
【文献】 特開平7−215157(JP,A)
【文献】 特開平6−40302(JP,A)
【文献】 特開2001−239858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/206
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のインストルメントパネル(10)に装着可能なニーエアバッグアセンブリにおいて、
保持状態でハウジング(22)の中に収容され、動作時には前記インストルメントパネル(10)の下側部分と乗員の膝脛骨部分(43)との間で膨張するニーエアバッグ(32)と;
前記インストルメントパネル(10)の下側部分と面一となる車室側表面を有し、当該インストルメントパネル(10)に連結される成形部品(20)とを備え、
前記成形部品(20)の前記車室側表面が略水平になるように配置されるとともに、当該車室側表面にニーエアバッグ(32)の出口開口が形成され、前記成形部品(20)と前記インストルメントパネル(10)との境界が車内の乗員から視認できないように構成され、
前記ハウジング(22)は、前記インストルメントパネル(10)とは独立して、前記成形部品(20)に対して形成され、
前記ニーエアバッグは(32)は、乗員側が高くなるように湾曲した形態で展開し、
前記成形部品(20)は、前記インストルメントパネル(10)に脱着可能に係止される構造であり、これによって、前記インストルメントパネル(10)の構造を変更することなく他のタイプの成形部品と取り替え可能に構成したことを特徴とするニーエアバッグアセンブリ。
【請求項2】
前記成形部品は、クリップ状連結部品によって前記インストルメントパネルに係止されることを特徴とする請求項1に記載のニーエアバッグアセンブリ。
【請求項3】
前記成形部品は、自動車の横方向に延びる支柱(50)に対して直接連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のニーエアバッグアセンブリ。
【請求項4】
前記成形部品が、プラスチックの射出成形品又は深絞り(ディープ・ドロウン)品であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のニーエアバッグアセンブリ。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記成形部品と一体成形されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のニーエアバッグアセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記成形部品に連結された別部材であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のニーエアバッグアセンブリ。
【請求項7】
前記成形部品(20)は、前記乗員の足元にあるフットウェルの天井部分の少なくとも一部を形成することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載のニーエアバッグアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段部分に示されているように、自動車用のインストルメントパネルを有するアセンブリ及びニーエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なタイプのアセンブリとしては、例えば米国特許US6217059B1(特許文献1)又は米国特許出願US2002/0171231A1(特許文献2)に開示されている。ここで、エアバッグを収容したハウジングは、インストルメントパネルの下側部分の内側に配置され、これに対して強固に固定されている。ハウジングのエアバッグ用開口が保護されるべき車両乗員、すなわち運転手又は助手席乗員の膝脛骨部分に対向して配置され、基本的にはインストルメントパネルの表面に平行に配置される。動作時には、保護されるべき乗員の膝脛骨部分とインストルメントパネルの間にニーエアバッグが膨張する。ニーエアバッグは、本来は車両乗員、特にシートベルトを装着していない車両乗員の骨盤が前方に移動するのを防ぐものであり、正面衝突の際に前方に移動するのを防ぐ。
【0003】
自動車の安全に関するコンセプトにおいてニーエアバッグの重要性は地域ごとに異なる。特にアメリカにおいては、シートベルトの装着が法的な義務でなく、むしろシートベルトを着用する方が少ないような地域においては、自動車の安全に関するコンセプトにおけるニーエアバッグの重要性は非常に高い。ヨーロッパにおいては逆に、シートベルトの着用が法的に義務づけられており、自動車の安全コンセプトにおけるニーエアバッグの重要性はしばしば低く、又はニーエアバッグユニットの比重を軽減して他の安全装置に重きを置くこともある。
【0004】
このことは、アメリカにおいてはニーエアバッグを備えた同様のタイプの車両が提案され場合が多いのに対し、ヨーロッパではニーエアバッグを備えない場合が多いという意味である。
【0005】
これにより、同様のタイプの車両に異なるインストルメントパネルを備えるような開発及び製造が要求される。インストルメントパネルのサイズや複雑さが異なるため、コストの大きな非常に大きな開発及び製造の負荷がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許6217059B1号公報
【特許文献2】米国特許出願2002/0171231A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この点を出発点とし、ニーエアバッグを備える場合とを備えない場合の異なるタイプの自動車に対しても、開発及び製造の時間及びコストを減少させるような汎用タイプの組立品の向上を本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を有する組立品によって解決される。すなわち、本発明は、自動車用のインストルメントパネル(10)と;保持状態でハウジング(22)の中に収容され、動作時にはインストルメントパネル(10)の下側部分と乗員の膝脛骨部分(43)との間で膨張するニーエアバッグ(32)とを備えたニーエアバッグアセンブリにおいて、前記ハウジング(22)は、前記インストルメントパネルの下側部分と面一となるように連続的に連結された成形形部品(20)の上又は中に配置され、前記成形部品(20)は、前記乗員の足元にあるフットウェルの天井部分の少なくとも一部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハウジングはインストルメントパネル内部又はその上に配置されることなく、インストルメントパネルの下側部分に続く成形部品上に配置される。通常は、この成形部品は、少なくとも車両乗員用に設けられたフットウェルの上壁部分の全面部分を形成する。ニーエアバッグのハウジングがインストルメントパネルの一部ではなく、連結されていないため、その車両がニーエアバッグを装備している場合でも装備していない場合でも、それにかかわらず、同じ構造のインストルメントパネルを常時使用することができる。唯一必要このことは、二つの異なる成形部品を用意することであるが、非常に小さくまたインストルメントパネルに比べて非常に簡素である。さらに、いつも同じ成形部品を使用することも可能であり、ニーエアバッグを装備しない車両の場合には、ハウジングの開口部分を覆うカバーを使用する。このようなプロセスはさらにシンプルになり、本発明に係るハウジングの開口を車両の乗員から見えない部分に配置することができ、ギャップ見えることに起因する時間及びコストを避けることが可能となる。
【0010】
エアバッグが膨張している間、すなわちエアバッグを膨張させるガス発生器が作動状態にあるとき、周知のように大きな力が発生するため、しばしば、ハウジングを形成する成形部品が自動車のラテラルストラットに直接リンクさせることが好ましい。
【0011】
ギャップを形成しないために、成形部品はインストルメントパネルに連結されるべきである。シンプルな構造のために、必要な連結部品の少なくとも一部はクリップ状態であることが好ましい。
【0012】
ニーエアバッグを収容するハウジングは、成形部品に連結される別部材とすることができ、又は、ハウジングは成形部品と一体的に成形することができる。
【0013】
従属クレームによって示される他の実施例については、添付図面を参照してさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、自動車の車室の前方部分を通った長手方向の断面を示す概略図である。
図1a図1aは、図1の構造におけるニーエアバッグを除いた他の例を示す。
図2図2は、図1の構造においてニーエアバッグが膨張した状態を示す。
図3図3は、インストルメントパネルの下側部分を示し、成形部品及びステアリングコラムが斜視図によって示される。
図4図4は、図3に示す構造の他の斜視図である。
図5図5は、図3及び図4の成形部品を示す。
図6図6は、図5の成形部品を方向Aからに下ろした様子を示す。
図7図7は、本発明の第二の実施例に係るインストルメントパネルと成形部品の下側部分を示す側面図である。
図8図8は、ニーエアバッグが展開した状態の図1に示す構造を示し、ニーエアバッグの上端部がキャプチャーテープによってハウジングに接続されている。
図9図9は、図8に示す構造においてニーエアバッグが完全に膨張した状態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、自動車の助手席側の概略断面を示す。車両シート19の前方にはインストルメントパネル10が配置され、その下にはフットウェル50が設けられている。通常のシートポジションでは、乗員の膝脛骨42はインストルメントパネル10の下側部分の前方に位置する。膝脛骨部分42は、インストルメントパネル10から離れて配置される。
【0016】
図2からわかるように、正面衝突の際にガス発生器30によって膨張するニーエアバッグ32が設けられている。ニーエアバッグ32の少なくとも一部は、最大展開時に、乗員の膝脛骨部分42とインストルメントパネル10の下側部分との間に位置する。特に、運転手又は助手席乗員がシートベルト締めていない時には、骨盤の前方移動がニーエアバッグ32によって防がれる。さらに、繊細な膝脛骨部分42がインストルメントパネル10に衝突することが回避される。
【0017】
図1及び図2からわかるように、ニーエアバッグユニットのハウジング22は、成形部品20上に配置され、当該成形部品はインストルメントパネル10の下側部分から車両の前方に延び、少なくともフットウェル60の天井部分の一部を形成する。成形部品20は、通常はプラスチックによる射出成形部品であり、基本的に水平方向に配置される。ハウジング22は成形部品20と一体成形することができ、又は成形部品20と強固に連結された別部材とすることができる。フットウェルクラッディング18は、成形部品20の後ろ側部分につながる。
【0018】
インストルメントパネルと比較して、成形部品20は小さく、機械的に簡素な構造となっている。これは、エアバッグユニット(図1)を備えた場合及びエアバッグユニットを備えない場合(図1a)において、製造コストが若干高くなることだけを意味する。これにより、一方、ニーエアバッグを備えた車両とニーエアバッグを備えない車両において単一及び同一のタイプを使用することが容易となる。第一の車両タイプの最終組み立て工程においては、成形部品20の第一のタイプを搭載し、第二の車両タイプにおいては成形部品の第二のタイプをインストルメントパネル12連結することだけが必要である。仮に、ニーエアバッグユニットを備えたバージョンが選択された場合、一般的に装備されているフロントエアバッグのセンサーシステムと同じシステムに対して接続することができる。
【0019】
図3から図6は、成形部品20の第一の実施例を示し、図3及び図4はインストルメントパネル10の下側部分に成形部品20が搭載された要素を示し、図5及び図6は成形部品が搭載されていない状態を示す。ここで、ニーエアバッグは運転席側のニーエアバッグであることが分かる。成形部品20の構造は、図5及び図6を用いて説明される。
【0020】
前方エッジの領域には、ラッチング要素26が設けられ、これによって成形部品20がインストルメントパネル10に対して固定される。ラッチング要素26の直ぐ後ろにはハウジング22が設けられ、単一部品として成形部品20に形成され、その中にニーエアバッグとガス発生器が収容される。ハウジング22は後ろ側において、後方開口部をカバーするカバー24を連続的に備えている。ガス発生器及びニーエアバッグは、この後方開口部を介して搭載される。基本的には、この後方カバー24の反対側ニーエアバッグの出口開口部であり(図示せず)、カバー要素によって閉鎖される。このカバー要素は、成形部品20と一体的に成形することができ、破断線によって包囲することができる。
【0021】
ハウジング22の隣には固定穴23が設けられ、当該固定穴には搭載状態のときにネジが貫通し、インストルメントパネル10に対してネジ留めされる。ラッチング要素26とともに、インストルメントパネル10に対して成形部品20を十分に且つ安定して固定することが可能となる(図3参照)。固定要素は基本的にハウジング22を包囲し、エアバッグが膨張したときに生じる力が吸収されるようになっている。成形部品20自体の剛性により、形成部品の後ろ側の部分には固定要素を更に設ける必要がない。
【0022】
これにより、特に図3及び図4に示すように、成形部品をインストルメントパネル12搭載することが極めて容易となり、まず、ラッチング要素26を備えた成形部品20を、もともと車両に搭載されているインストルメントパネル10の上に係止し、その後これらのネジ留めする。このようなモジュール構造により、もともとニーエアバッグを備えていない車両に対してニーエアバッグを取り付けることが可能となる。もともと搭載されているニーエアバッグを備えない成形部品を、ニーエアバッグユニットを備えた成形部品に交換することだけが必要であり、ガス発生器を既存のセンサーシステムに接続するだけでよい。上述した成形部品20は、フットウェル60の天井部分又はその一部を形成し、成形部品20は換気用の貫通孔28を備える。
【0023】
図7は本発明の第二の実施例を示す。ここで、成形部品20は完全に水平方向に延び、ニーエアバッグ32の出口開口は水平面内に配置される。これにより、インストルメントパネル10の下側部分と成形部品20との移行部分(境目)は車両の乗員からは見えないため、比較的広いギャップの設けることができる。成形部品20は自動車のラテラルストラット50から直接続くことができ、好ましくは直接連結される。これにより、ニーエアバッグが膨張したときに生じる力が、インストルメントパネル10に対してストレスの与えることなく、直接ラテラルストラットに導かれる。本発明は助手席乗員用のニーエアバッグを使用しており、インストルメントパネル10のグローブコンパートメント14が確認される。成形部品20は、プラスチックによる射出成形又は深絞り(ディープ・ドロウン)とすることができる。
【0024】
図8a及び図9に示すように、ニーエアバッグ32の外側を走るキャプチャーテープを備えることができ、これがインストルメントパネル10と車両の乗員の膝脛骨部分412との間におけるニーエアバッグのポジションを助ける。このようなキャプチャーテープ34は、特に図7に示すような特定の実施例において必要であり、ニーエアバッグ32の出口開口は乗員の膝脛骨部分42からかなり離れた位置に配置される。
【0025】
符号の説明
10:インストルメントパネル
14:グローブコンパートメント
15:ウィンドスクリーン
17:車両床
18:フットウェルクラッディング
19:車両シート
20:成形部品
22:ハウジング
23:固定穴
24:後方カバー
26:ラッチング要素
28:貫通孔
30:ガス発生器
32:ニーエアバッグ
34:キャプチャーテープ
40:乗員
42:膝脛骨部分
50:ラテラルストラット
60:フットウェル
図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9