特許第6205301号(P6205301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205301
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】水処理方法及び水処理設備
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/44 20060101AFI20170914BHJP
   B01D 65/06 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 65/10 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 61/08 20060101ALI20170914BHJP
   B01D 65/02 20060101ALI20170914BHJP
   G01N 33/18 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   C02F1/44 D
   C02F1/44 A
   B01D65/06
   B01D65/10
   B01D61/08
   B01D65/02 500
   G01N33/18 F
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-78823(P2014-78823)
(22)【出願日】2014年4月7日
(65)【公開番号】特開2015-199020(P2015-199020A)
(43)【公開日】2015年11月12日
【審査請求日】2016年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(73)【特許権者】
【識別番号】000154727
【氏名又は名称】株式会社片山化学工業研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】505112048
【氏名又は名称】ナルコジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】藤井 匡
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 功
(72)【発明者】
【氏名】小西 嘉雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅敏
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−050810(JP,A)
【文献】 特開2009−022886(JP,A)
【文献】 特開2002−307058(JP,A)
【文献】 特表2005−533638(JP,A)
【文献】 特開2007−196126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00 − 71/82
C02F 1/44
G01N 21/75 − 21/83
G01N 33/00 − 33/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理方法であって、
前記分離膜に付着した微生物の量を推定する推定工程を有し、
前記推定工程は、前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させる試薬反応工程と、該試薬反応工程の後に膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定工程とを含むことを特徴とする水処理方法。
【請求項2】
前記試薬反応工程では、被処理水を2〜30回循環させる請求項1記載の水処理方法。
【請求項3】
前記推定工程の後には、前記分離膜に付着した微生物を減らすべく、殺菌剤を含む被処理水を前記膜ユニットへ送る殺菌工程を有する請求項1又は2に記載の水処理方法。
【請求項4】
逆浸透膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理方法であって、
前記逆浸透膜に付着した微生物の量を推定する推定工程を有し、
前記推定工程は、前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させる試薬反応工程と、該試薬反応工程の後に濃縮水における前記検知用物質の量を測定する濃縮水測定工程又は前記試薬反応工程の後に膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定工程とを含むことを特徴とする水処理方法。
【請求項5】
前記試薬反応工程では、被処理水を2〜30回循環させる請求項4記載の水処理方法。
【請求項6】
前記推定工程の後には、前記逆浸透膜に付着した微生物を減らすべく、殺菌剤を含む被処理水を前記膜ユニットへ送る殺菌工程を有する請求項4又は5に記載の水処理方法。
【請求項7】
分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理設備であって、
前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されており、
循環された膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定部を備えていることを特徴とする水処理設備。
【請求項8】
逆浸透膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理設備であって、
前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されており、
循環された被処理水を膜分離した濃縮水における前記検知用物質の量を測定する濃縮水測定部、又は、循環された膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定部を備えていることを特徴とする水処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理方法及び水処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上記の水処理方法においては、水処理に伴って分離膜に微生物が付着し、付着した微生物量の増加に伴って膜の目詰まりが生じること、即ち、いわゆるバイオファウリングが生じることが知られている。
【0003】
そして、膜に付着した微生物量を推定すべく、例えば、微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を被処理水に加え、試薬を含有する被処理水を膜ユニットに送ることにより試薬を微生物と反応させて検知用物質を生成させ、該被処理水を膜分離して得られた濃縮水又は透過水における検知用物質の量を測定する工程を含む水処理方法が知られている。
【0004】
この種の水処理方法としては、例えば、微生物と反応することにより蛍光を発する試薬を用い、該試薬が微生物と反応することにより生成した蛍光を発する検知用物質の量を濃縮水や透過水において測定する工程を含むものが提案されている(特許文献1)。
【0005】
斯かる水処理方法においては、濃縮水又は透過水における検知用物質の量を測定する工程によって、分離膜に付着した微生物量を推定することができる。即ち、蛍光の強度を指標にして検知用物質の量を測定することにより、分離膜に付着した微生物量を推定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−533638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、斯かる水処理方法においては、試薬を含む被処理水を単に膜分離しただけでは、試薬のごく一部のみが膜に付着した微生物と反応することから、試薬から生じた検知用物質の蛍光の強度と分離膜に付着した微生物量とが必ずしも相関せず、十分な信頼性で微生物量を推定できないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点等に鑑み、分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理において分離膜に付着した微生物量を十分な信頼性で推定できる水処理方法を提供することを課題とする。また、分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理において分離膜に付着した微生物量を十分な信頼性で推定できる水処理設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に係る水処理方法は、分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理方法であって、
前記分離膜に付着した微生物の量を推定する推定工程を有し、前記推定工程は、前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させる試薬反応工程と、該試薬反応工程の後に膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
上記構成からなる水処理方法によれば、前記試薬反応工程において、膜分離前の被処理水へ濃縮水と透過水とを返送することにより前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるため、濃縮水又は透過水に含まれる未反応の試薬を分離膜に付着した微生物と反応させることができる。これにより、分離膜に付着した微生物と反応せずにいったん膜ユニットを経た試薬を膜ユニットで微生物と反応させることができる。従って、試薬から生成する検知用物質の量が十分なものとなることから、分離膜に付着した微生物量を十分な信頼性で推定できる。
【0011】
本発明の水処理方法は、逆浸透膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理方法であって、
前記逆浸透膜に付着した微生物の量を推定する推定工程を有し、
前記推定工程は、前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させる試薬反応工程と、該試薬反応工程の後に濃縮水における前記検知用物質の量を測定する濃縮水測定工程又は試薬反応工程の後に膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の水処理方法においては、前記試薬反応工程にて、被処理水を2〜30回循環させることが好ましい。
【0013】
本発明の水処理方法は、前記推定工程の後に、前記分離膜に付着した微生物を減らすべく、殺菌剤を含む被処理水を前記膜ユニットへ送る殺菌工程を有することが好ましい。
【0014】
本発明の水処理設備は、分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理設備であって、
前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されており、
循環された膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定部を備えていることを特徴とする。
【0015】
本発明の水処理設備は、逆浸透膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理設備であって、
前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とをすべて返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されており、
循環された被処理水を膜分離した濃縮水における前記検知用物質の量を測定する濃縮水測定部、又は、循環された膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定部を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の水処理方法及び水処理設備は、分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理において分離膜に付着する微生物量を十分な信頼性で推定できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第一実施形態の水処理設備の概略を表した概略図。
図2】第二実施形態の水処理設備の概略を表した概略図。
図3】被処理水の循環回数に対する、R値/O値の比を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る水処理設備の第一実施形態について、図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は、第一実施形態の水処理設備の概要を示す図である。
【0019】
第一実施形態の水処理設備1は、分離膜を有する膜ユニット3によって被処理水を膜分離する水処理設備であって、
前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニット3へ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とを返送することによって、前記膜ユニット3を経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されており、
循環された膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定部8を備えているものである。
【0020】
第一実施形態の水処理設備1は、例えば図1に示すように、被処理水を貯める被処理水槽2と、分離膜を有し被処理水を濃縮水と透過水とに分離する膜ユニット3と、前記被処理水槽2から膜ユニット3に被処理水を供給する被処理水供給管4とを備えている。そして、第一実施形態の水処理設備1は、被処理水槽2に貯められた被処理水を被処理水供給管4を経由させて膜ユニット3へ送り、分離膜を有する膜ユニット3によって濃縮水及び透過水を得るように構成されている。
また、第一実施形態の水処理設備1は、被処理水を加圧するポンプP、設備内における水の流れを制御する複数の弁を備えている。ポンプPや弁については、後述する。
【0021】
第一実施形態の水処理設備1は、通常運転時には、試薬や検知用試薬を含まない被処理水を膜ユニットによって膜分離する水処理を行い、濃縮水と浄化された透過水とを得るように構成されている。
第一実施形態の水処理設備1においては、水処理に伴って膜ユニット3の分離膜に微生物が付着し、分離膜の目詰まり(バイオファウリング)が生じ得る。
【0022】
前記試薬を含む前の被処理水としては、特に限定されず、例えば、電子部品製造工場などから排出される工場排水や下水処理排水などの排水、又は、海水、工業用水、水道水、井水、河川水などが採用される。
【0023】
前記濃縮水は、例えば、水分が蒸発されて、残分が廃棄処理されることとなる。また、前記濃縮水は、例えば、下水又は河川へ放流される。また、前記濃縮水は、例えば、再処理して利用される。
一方、前記透過水は、例えば、純水、生産用水、飲料水、工業用洗浄水などの用途で使用される。
【0024】
そして、第一実施形態の水処理設備1は、例えば、通常運転を停止したとき、通常運転を開始するとき、通常運転において膜分離した被処理水の量が所定量に達したとき、通常運転の時間が所定時間に達したとき、分離膜に付着した微生物によって分離膜の目詰まりが生じ膜ユニット3の圧力損失が基準値以上になったとき、通常運転において生じた透過水の導電率が設定値を上回ったときに、試薬を含む被処理水を膜ユニットへ送って膜分離し、濃縮水と透過水とを得つつ、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させて検知用物質を生成させるように構成されている。
さらに、第一実施形態の水処理設備1は、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とを返送する返送部(後述)を備え、該返送部5、6によって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されている。
【0025】
なお、第一実施形態の水処理設備1は、通常運転を停止した後に、分離膜に付着した微生物の量を検知用物質の量の測定によって推定すべく、後述する推定工程を自動的に所定時間行うように構成されていてもよい。
また、第一実施形態の水処理設備1は、通常運転を開始する前に、分離膜に付着した微生物の量を検知用物質の量の測定によって推定すべく、後述する推定工程を自動的に所定時間行うように構成されていてもよい。第一実施形態の水処理設備1においては、通常運転を開始する前に、通常運転によって得られる透過水の水質を所望の水質にするために、通常、被処理水を循環させる。このような被処理水の循環操作を利用して、後述する推定工程を行うことによって、通常運転前の操作を効率的なものとすることができる。
【0026】
第一実施形態の水処理設備1は、図1に示すように、上述した被処理水槽2と、膜ユニット3と、被処理水供給管4とを備えている。さらに、第一実施形態の水処理設備1は、膜ユニット3の分離膜で濃縮された濃縮水を被処理水槽2へ返送する濃縮水返送管5と、膜ユニット3の分離膜を透過した透過水を被処理水槽2へ返送する透過水返送管6とにより構成された返送部を備えている。また、第一実施形態の水処理設備1は、膜ユニット3で膜分離される被処理水に試薬を加える試薬添加部7(試薬添加タンク)を備えている。
【0027】
そして、第一実施形態の水処理設備1は、試薬を前記分離膜に付着した微生物と反応させるべく、被処理水槽2から被処理水供給管4を介して膜ユニット3へ被処理水を送りつつ、試薬タンク7から被処理水に試薬を添加するように構成されている。また、前記試薬を含む被処理水を膜ユニット3にて膜分離して濃縮水と透過水とを得つつ、濃縮水返送管5を経由させて濃縮水を被処理水槽2へ返送し、しかも、透過水返送管6を経由させて透過水を被処理水槽2へ返送するように構成されている。そして、濃縮水と透過水とを被処理水槽2に返送することによって、膜ユニット3を経た試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されている。
【0028】
即ち、第一実施形態の水処理設備1は、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させるときには、返送部としての濃縮水返送管5から被処理水槽2へ濃縮水を返送し、且つ、返送部としての透過水返送管6から被処理水槽2へ透過水を返送するように構成され、しかも、濃縮水と透過水とを被処理水槽2で混合し、被処理水槽2内で混合された水を被処理水供給管4へ送るように構成されている。
【0029】
第一実施形態の水処理設備1によれば、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させるときに、膜分離前の被処理水へ濃縮水と透過水とを返送することにより前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を所定時間循環させるため、濃縮水又は透過水に含まれる未反応の試薬を分離膜に付着した微生物と十分に反応させることができる。これにより、分離膜に付着した微生物と反応せずに膜ユニットを経た試薬を膜ユニットで微生物と反応させることができる。従って、試薬から生成する検知用物質の量が十分なものとなる。
【0030】
前記被処理水槽2は、図1に示すように、内部に被処理水を貯めるように形成され、被処理水を膜ユニット3へ供給すべく、貯められた被処理水を被処理水供給管4へ送るように構成されている。
また、前記被処理水槽2は、図1に示すように、濃縮水返送管5を経由した濃縮水を内部に貯めることができるように構成され、しかも、透過水返送管6を経由した透過水を内部に貯めることができるように構成されている。即ち、前記被処理水槽2は、返送された濃縮水と返送された透過水とを混合するように構成されている。
【0031】
前記被処理水供給管4は、被処理水槽2から送られた被処理水を膜ユニット3へ供給するように構成されている。
前記被処理水供給管4には、例えば図1に示すように、被処理水を加圧するポンプPが取り付けられている。該ポンプPにより、加圧された被処理水を膜ユニット3へ送ることができる。
【0032】
前記膜ユニット3は、分離膜を有し、被処理水供給管4から送られた被処理水を濃縮水と透過水とに膜分離するように構成されている。
【0033】
前記膜ユニット3が有する分離膜としては、例えば、逆浸透膜(RO膜)、限外ろ過膜(UF膜)、精密ろ過膜(MF膜)などが挙げられる。
なお、前記膜ユニット3としては、従来公知の一般的なものが採用される。
【0034】
前記返送部は、上述したように、濃縮水返送管5と透過水返送管6とを備え、濃縮水及び透過水を膜分離前の被処理水に返送し、試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されている。
【0035】
前記濃縮水返送管5は、膜ユニット3で得られた濃縮水を被処理水槽2へ送るように構成されている。
また、前記濃縮水返送管5の途中には、図1に示すように、濃縮水を設備外へ排出する濃縮水排出用配管11が取り付けられている。濃縮水排出用配管11は、一端側が濃縮水返送管5に取り付けられ、濃縮水返送管5を経た濃縮水を他端側へ送ることにより、設備外へ濃縮水を排出するように構成されている。
また、前記濃縮水返送管5及び前記濃縮水排出用配管11の途中には、図1に示すように、それぞれ濃縮水返送用弁A及び濃縮水排出用弁Bが取り付けられている。
【0036】
そして、前記水処理設備1は、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させるときには、上述した2つの弁を操作する(即ち、弁Aを開け、弁Bを閉じる)ことにより、濃縮水返送管5を介して膜ユニット3で得られた濃縮水を被処理水槽2へ返送するように構成されている。
なお、前記水処理設備1は、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させないとき(例えば、通常運転時など)には、上述した2つの弁を操作する(即ち、弁Aを閉じ、弁Bを開ける)ことにより、濃縮水返送管5及び濃縮水排出用配管11を介して膜ユニット3で得られた濃縮水を設備外へ排出するように構成されている。
【0037】
前記透過水返送管6は、膜ユニット3で得られた透過水を被処理水槽2へ送るように構成されている。
また、前記透過水返送管6の途中には、図1に示すように、透過水を設備外へ排出する透過水排出用配管12が取り付けられている。透過水排出用配管12は、一端側が透過水返送管6に取り付けられ、透過水返送管6を経た透過水を他端側へ送ることにより、設備外へ透過水を排出するように構成されている。
また、前記透過水返送管6及び前記透過水排出用配管12の途中には、図1に示すように、それぞれ透過水返送用弁C及び透過水排出用弁Dが取り付けられている。
【0038】
そして、前記水処理設備1は、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させるときには、上記の2つの弁を操作する(即ち、弁Dを閉じ、弁Cを開ける)ことにより、透過水返送管6を介して膜ユニット3で得られた透過水を被処理水槽2へ返送するように構成されている。
なお、前記水処理設備1は、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させないとき(例えば、通常運転時など)には、上記の2つの弁を操作する(即ち、弁Cを閉じ、弁Dを開ける)ことにより、透過水返送管6及び透過水排出用配管12を介して膜ユニット3で得られた透過水を設備外へ排出するように構成されている。
【0039】
前記返送部は、試薬をより十分に反応させることができるという点で、濃縮水及び透過水を膜分離前の被処理水に返送することによって、試薬を含む被処理水を1.5分間以上で1回循環させるように構成されていることが好ましい。また、前記返送部は、試薬を十分に反応させ且つ時間を節約できるという点で、試薬を含む被処理水を20分以内で1回循環させるように構成されていることが好ましい。
なお、循環の回数は、設備内に存在し設備内で循環する水の量と、設備内の水における単位時間あたりの流量(流速)とから、算出する。
【0040】
前記試薬タンク7は、例えば図1に示すように、被処理水供給管4内の被処理水に試薬を添加するように構成されている。なお、前記試薬タンク7は、被処理水槽2内に試薬を送るように構成されていてもよい。
【0041】
前記試薬としては、水中で生育し得る微生物と反応することにより検知用物質を生成するものであれば、特に限定されない。
【0042】
前記試薬としては、例えば、微生物と反応することにより蛍光を発する検知用物質を生成する蛍光試薬が挙げられる。
前記蛍光試薬としては、例えば、レザズリン、リン酸4−メチルウンベリフェリル、リン酸ピラニンなどが挙げられる。
【0043】
前記試薬としては、検知しやすい蛍光を発する検知用物質を生成するという点で、前記蛍光試薬が好ましい。
【0044】
前記蛍光試薬は、微生物との反応前の量に換算して、膜分離前の被処理水に所定濃度含まれ得る。例えば、前記蛍光試薬としてのレザズリンは、微生物との反応前の量に換算して、設備内において循環する水に5〜50ppb含まれることが好ましく、10〜20ppb含まれることがより好ましい。
【0045】
第一実施形態の水処理設備1は、試薬が添加された被処理水を2〜30回循環させるように構成されていることが好ましく、2〜20回循環させるように構成されていることがより好ましい。
即ち、第一実施形態の水処理設備1は、膜分離前の被処理水に試薬を添加したときの膜分離前の被処理水と濃縮水と透過水との総量に対して、合計量で2〜30倍の濃縮水及び透過水を被処理水へ返送するように構成されていることが好ましい。
換言すると、第一実施形態の水処理設備1は、設備内で1回循環する理論上の水量に対して、2〜30倍量の濃縮水及び透過水を被処理水へ返送するように構成されていることが好ましい。なお、設備内で1回循環する理論上の水量は、試薬を膜分離前の被処理水に添加したときに設備内に存在する膜分離される水の量である。
なお、第一実施形態の水処理設備1は、試薬が添加された被処理水を2〜30回循環させるための総循環時間が3〜60分間となるように構成されていることが好ましく、5〜30分間となるように構成されていることがより好ましい。
【0046】
第一実施形態の水処理設備1は、循環された膜分離前の被処理水における検知用物質の量を前記被処理水測定部8によって測定することにより、分離膜に付着した微生物量を推定するように構成されている。
【0047】
前記被処理水測定部8は、例えば図1に示すように、膜分離前の被処理水を被処理水槽2へ送る被処理水測定用配管8aと、該被処理水測定用配管8aの途中に取り付けられ試薬が微生物と反応することにより生じる検知用物質の量を測定する被処理水測定器8bとを備えている。
【0048】
そして、前記被処理水測定部8は、膜分離前の被処理水の一部を取り出し、被処理水中の検知用物質の量を測定するように構成されている。
即ち、前記被処理水測定部8は、分離膜に付着した微生物と試薬とを被処理水の循環によって反応させた後に、被処理水測定用配管8aによって被処理水槽2へ被処理水を送りつつ、膜分離前の被処理水における検出用物質の量を測定するように構成されている。
【0049】
前記被処理水測定用配管8aの途中には、被処理水返送用弁Eが取り付けられている。
そして、前記被処理水測定部8は、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させるべく被処理水を循環させているときには、斯かる弁Eの操作によって被処理水測定用配管8a中の被処理水の移送を止めるように構成されている。
又は、前記被処理水測定部8は、分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させるべく被処理水を循環させているときにも、斯かる弁Eの操作によって被処理水を被処理水測定用配管8aを介して被処理水槽2へ送るように構成されていてもよい。
さらに、前記被処理水測定部8は、被処理水の循環を止め分離膜に付着した微生物と試薬とを反応させた後には、斯かる弁Eの操作によって被処理水を被処理水測定用配管8aを介して被処理水槽2へ送りつつ、膜分離前の被処理水における検知用物質の量を被処理水測定器8bによって測定するように構成されている。
【0050】
前記被処理水測定器8bは、循環された後の膜分離前の被処理水における検知用物質の量を測定するように構成されている。具体的には、前記被処理水測定器8bは、例えば図1に示すように、検知用物質を含む膜分離前の被処理水の一部を被処理水測定用配管8aによって取り出し、被処理水における検知用物質の量を測定するように構成されている。
【0051】
前記被処理水測定器8bとしては、例えば、試薬として上述した蛍光試薬が採用されたときには、蛍光強度を測定する蛍光強度測定器が採用される。該蛍光強度測定器としては、例えば、市販されている一般的な蛍光光度計が利用される。
【0052】
前記水処理設備1は、図1に示すように、前記分離膜に付着した微生物を減らす殺菌剤を膜分離前の被処理水に添加する殺菌剤添加部10をさらに備えていることが好ましい。
【0053】
前記殺菌剤添加部10は、例えば図1に示すように、殺菌剤を含む殺菌剤含有液体を内部に貯め、該殺菌剤含有液体を被処理水供給管4中の被処理水へ送る殺菌剤添加用タンク10aを備えている。
そして、前記水処理設備1は、被処理水測定器8bによって測定した検知用物質の量が所定量を超えたときに、殺菌剤添加部10の殺菌剤添加用タンク10aから殺菌剤含有液体を被処理水供給管4中の被処理水へ送るように構成されている。
【0054】
また、前記水処理設備1は、例えば、膜ユニット3の圧力損失値が初期圧力損失値の1.05〜1.20倍に達したときに、殺菌剤添加部10の殺菌剤添加用タンク10aから殺菌剤含有液体を被処理水供給管4中の被処理水へ送るように構成されていてもよい。
又は、前記水処理設備1は、例えば、膜ユニット3の圧力損失値が殺菌剤による殺菌処理後の圧力損失値の1.05〜1.20倍に達したときに、殺菌剤添加部10の殺菌剤添加用タンク10aから殺菌剤含有液体を被処理水供給管4中の被処理水へ送るように構成されていてもよい。
【0055】
一方、前記水処理設備1は、例えば、殺菌剤添加用タンク10aから一定量の殺菌剤含有液体を被処理水供給管4中の被処理水へ送りつつ、被処理水測定器8bによって測定した検知用物質の量が所定量を超えたとき、膜ユニット3の圧力損失値が初期圧力損失値の1.05〜1.20倍に達したとき、又は、膜ユニット3の圧力損失値が殺菌剤による殺菌処理後の圧力損失値の1.05〜1.20倍に達したときに、殺菌剤添加用タンク10aから被処理水へ送る殺菌剤含有液体の量を増加させるように構成されていてもよい。
【0056】
なお、前記殺菌剤添加部10は、殺菌剤添加用タンク10aから殺菌剤含有液体を被処理水槽2へ送るように構成されていてもよい。
【0057】
前記殺菌剤としては、酸化系殺菌剤、又は、非酸化系殺菌剤が挙げられる。
【0058】
前記酸化系殺菌剤としては、例えば、過酸化物、ハロゲンのオキソ酸塩、結合ハロゲン化合物、ハロゲン化スルファミン酸化合物などが挙げられる。
【0059】
前記過酸化物は、ペルオキシド構造(−O−O−)、過カルボン酸構造(−C(=O)−O−O−)、又は過酸化物イオン(O2−)を有する化合物である。
【0060】
前記ハロゲンのオキソ酸塩としては、例えば、塩素のオキソ酸塩、臭素のオキソ酸塩などが挙げられる。
前記塩素のオキソ酸塩としては、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩などが挙げられる。前記臭素のオキソ酸塩としては、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩などが挙げられる。
前記次亜塩素酸塩としては、例えば、次亜塩素酸カルシウム(さらし粉)、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウムなどが挙げられる。
【0061】
前記結合ハロゲン化合物としては、例えば、クロラミン−T(N−クロロ−4−メチルベンゼンスルホンアミドのナトリウム塩、クロラミン−B(N−クロロ−ベンゼンスルホンアミドのナトリウム塩、N−クロロ−パラニトロベンゼンスルホンアミドのナトリウム塩、トリクロロメラニンのナトリウム塩又はカリウム塩、モノクロロメラニンのナトリウム塩又はカリウム塩、ジクロロメラニンのナトリウム塩又はカリウム塩、トリクロロイソシアヌール酸、モノクロロイソシアヌール酸のナトリウム塩又はカリウム塩、ジクロロイソシアヌール酸のナトリウム塩又はカリウム塩、モノクロロヒダントイン若しくはモノブロモヒダントイン若しくはその5,5−アルキル誘導体、1,3−ジクロロヒダントイン若しくは1,3−ジブロモヒダントイン若しくは1−ブロモ−3−クロロヒダントイン若しくはその5,5−アルキル誘導体などが挙げられる。
前記ハロゲン化スルファミン酸化合物としては、例えば、N−モノクロロスルファミン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、N,N−ジクロロスルファミン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などの塩素化スルファミン酸化合物が挙げられる。また、例えば、N−モノブロモスルファミン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、N,N−ジブロモスルファミン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などの臭素化スルファミン酸化合物が挙げられる。
なお、結合ハロゲン化合物としては、上記のものに限定されず、一般的な結合ハロゲン化合物(安定化ハロゲン化合物)を採用することが可能である。
【0062】
一方、前記非酸化系殺菌剤としては、特に限定されないが、例えば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール)などが挙げられる。
【0063】
前記殺菌剤としては、過酸化物、ハロゲンのオキソ酸塩、結合ハロゲン化合物、ハロゲン化スルファミン酸化合物、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド(DBNPA)、及び、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール(ブロノポール)からなる群より選択された少なくとも1種が好ましい。
【0064】
次に、本発明に係る水処理設備の第二実施形態について、図面を参照しつつ詳しく説明する。図2は、第二実施形態の水処理設備の概要を示す図である。
【0065】
第二実施形態の水処理設備1’は、逆浸透膜を有する膜ユニット3’によって被処理水を膜分離する水処理設備であって、
前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニット3’へ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とを返送することによって、前記膜ユニット3’を経た前記試薬を含有する被処理水を循環させるように構成されており、
循環された被処理水が膜分離された濃縮水を測定する濃縮水測定部9、及び、循環された膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定部8を備えているものである。
【0066】
第二実施形態の水処理設備1’は、分離膜として逆浸透膜が採用されている点、濃縮水測定部9をさらに備え濃縮水測定部9が濃縮水における検知用物質を測定するように構成されている点以外は、第一実施形態の水処理設備と同様に構成されている。
また、第二実施形態の水処理設備1’においては、第一実施形態で行われる操作と同様な操作が行われる。
なお、第二実施形態の水処理設備1’における逆浸透膜は、前記試薬及び前記検知用物質のいずれも透過しない分離膜である。具体的には、第二実施形態の水処理設備1’における逆浸透膜は、前記試薬及び前記検知用物質のいずれも透過しない分離膜であれば、限外ろ過膜として市販されているものをも包含するものである。
【0067】
前記濃縮水測定部9は、例えば図2に示すように、濃縮水における検知用物質の量を測定する濃縮水測定器9aを備えている。該濃縮水測定器9aは、被処理水が循環された後の濃縮水における検知用物質の量を測定するように構成されている。
即ち、前記濃縮水測定部9は、検知用物質を含む濃縮水を濃縮水返送管5内に流しつつ、濃縮水における検知用物質の量を前記濃縮水測定器9aによって測定するように構成されている。
【0068】
前記濃縮水測定器9aとしては、上述した被処理水測定器8bと同様のものが挙げられる。
【0069】
続いて、本発明に係る水処理方法の第一実施形態について説明する。
【0070】
第一実施形態の水処理方法は、分離膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理方法であって、
前記分離膜に付着した微生物の量を推定する推定工程を有し、前記推定工程は、前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とを返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させる試薬反応工程と、該試薬反応工程の後に膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定工程とを含むものである。
【0071】
第一実施形態の水処理方法は、例えば、図1に示した水処理設備1を用いて実施することができる。
【0072】
第一実施形態の水処理方法は、試薬を含まない被処理水を膜ユニットによって膜分離し浄化された透過水を少なくとも得る浄化工程と、該浄化工程によって分離膜に付着した微生物の量を推定する前記推定工程とを有する。
【0073】
前記浄化工程では、試薬を含まない被処理水を膜ユニットによって膜分離する水処理を行い、濃縮水と浄化された透過水とを得る。
【0074】
前記浄化工程においては、水処理に伴って膜ユニット3の分離膜に微生物が付着し、分離膜の目詰まり(バイオファウリング)が生じ得る。
【0075】
前記水処理方法においては、前記浄化工程によって分離膜の目詰まりが生じると、例えば膜ユニット3の圧力損失を指標にして分離膜の目詰まりの程度を判断し、分離膜の目詰まりの程度が比較的大きくなった後に、分離膜に付着した微生物の量を推定すべく、前記推定工程を行う。
【0076】
前記推定工程においては、上述した操作などを採用することができる。即ち、前記推定工程は、上述した操作などを採用して、前記試薬反応工程と、前記被処理水測定工程とを行うことにより実施できる。
【0077】
例えば、前記試薬反応工程においては、微生物と反応することにより検知用物質を生成する試薬を前記分離膜に付着した微生物と反応させるべく、被処理水槽2から被処理水供給管4を介して膜ユニット3へ被処理水を送りつつ、試薬タンク7から被処理水に試薬を添加する。また、前記試薬反応工程においては、前記試薬を含む被処理水を膜ユニット3にて膜分離して濃縮水と透過水とを得つつ、濃縮水返送管5を経由させて濃縮水を被処理水槽2へ返送し、しかも、透過水返送管6を経由させて透過水を被処理水槽2へ返送する。そして、濃縮水と透過水とを被処理水槽2に返送することによって、膜ユニット3を経た試薬を含有する被処理水を循環させる。
【0078】
前記試薬反応工程においては、被処理水を2〜30回循環させることが好ましく、被処理水を2〜20回循環させることがより好ましい。
即ち、前記試薬反応工程においては、該工程開始時の前記濃縮水と前記透過水と前記膜分離前の被処理水との総量に対して、前記濃縮水及び前記透過水の合計返送量を2〜30倍にすることが好ましい。
換言すると、前記試薬反応工程においては、該工程を行うための水処理設備内で1回循環する理論上の水量に対して、2〜30倍量の濃縮水及び透過水を被処理水へ返送することが好ましい。なお、設備内で1回循環する理論上の水量は、試薬を膜分離前の被処理水に添加したときに設備内に存在する膜分離される水の量である。
このようにして前記試薬反応工程を行うことにより、分離膜に付着した微生物と試薬とをより確実に反応させることができるという利点がある。
【0079】
前記試薬反応工程においては、試薬をより十分に反応させることができるという点で、濃縮水及び透過水を膜分離前の被処理水に返送する時間が1.5分間以上であることが好ましく、5分間以上であることがより好ましい。即ち、循環1回あたりの時間が1.5分以上であることが好ましい。
また、試薬反応工程では、試薬を十分に反応させ且つ時間を節約できるという点で、濃縮水及び透過水を膜分離前の被処理水に返送する時間が30分間以下であることが好ましく、20分間以下であることがより好ましい。即ち、循環1回あたりの時間が30分間以下であることが好ましい。
【0080】
前記被処理水測定工程においては、例えば、被処理水槽2から送られる膜分離前の被処理水の一部を取り出し、微生物と反応することによって生成した被処理水中の検知用物質の量を測定する。
即ち、前記被処理水測定工程においては、例えば、被処理水測定用配管8aによって被処理水槽2へ膜分離前の被処理水を送りつつ、被処理水測定用配管8a中を流れる膜分離前の被処理水における検出用物質の量を測定する。
【0081】
第一実施形態の水処理方法においては、前記推定工程の後に、前記分離膜に付着した微生物を減らすべく、殺菌剤を含む被処理水を膜ユニット3へ送る殺菌工程を行うことが好ましい。
前記殺菌工程を行うことにより、水処理に伴って分離膜に付着した微生物を減らすことができるという利点がある。
【0082】
第一実施形態の水処理方法によれば、上述したように、水を所定時間循環させること、又は、所定の水量を循環させることによって、分離膜に付着した微生物と試薬とを十分に反応させることができる。これにより、微生物を分離膜から除去するために必要な殺菌剤の量を精度良く把握することができる。従って、前記水処理方法によれば、殺菌剤の使用量を必要最小限に抑えることができ、また、分離膜の殺菌剤による劣化を確実に防止できる。
【0083】
第一実施形態の水処理方法においては、通常、前記推定工程を行った後に、前記浄化工程を再び行う。なお、前記殺菌工程を行った場合には、通常、該殺菌工程の後に、前記浄化工程を再び行う。
【0084】
さらに、本発明に係る水処理方法の第二実施形態について説明する。
【0085】
第二実施形態の水処理方法は、逆浸透膜を有する膜ユニットによって被処理水を膜分離する水処理方法であって、
前記逆浸透膜に付着した微生物の量を推定する推定工程を有し、前記推定工程は、前記微生物と反応して検知用物質を生成する試薬を前記微生物と反応させるべく、前記試薬を含む被処理水を前記膜ユニットへ送り濃縮水と透過水とに膜分離し、膜分離前の被処理水に濃縮水と透過水とを返送することによって、前記膜ユニットを経た前記試薬を含有する被処理水を循環させる試薬反応工程と、該試薬反応工程の後に濃縮水における前記検知用物質の量を測定する濃縮水測定工程又は試薬反応工程の後に膜分離前の被処理水における前記検知用物質の量を測定する被処理水測定工程とを含むものである。
【0086】
第二実施形態の水処理方法は、例えば、図2に示した水処理設備1’を用いて実施することができる。また、第二実施形態の水処理方法は、前記濃縮水測定工程以外は、第一実施形態の水処理方法と同様にして行うことができる。
【0087】
第二実施形態の水処理方法においては、前記被処理水としては、除濁処理が施された被処理水が好ましい。
前記除濁処理とは、逆浸透膜による膜分離よりも粗いろ過処理である。
該除濁処理としては、精密ろ過膜(MF膜)処理、限外ろ過膜(UF膜)処理、砂ろ過処理などが採用される。
【0088】
前記濃縮水測定工程は、例えば上述した操作などを採用して行うことができる。
具体的には、前記濃縮水測定工程においては、例えば、検知用物質を含む濃縮水の一部を濃縮水返送管5内の濃縮水から取り出し、濃縮水における検知用物質の量を前記濃縮水測定器9aによって測定する。
【0089】
上記実施形態の水処理設備及び水処理方法は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の水処理設備及び水処理方法に限定されるものではない。
また、一般の水処理設備及び水処理方法において用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
【実施例】
【0090】
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0091】
図2に模式的に示した水処理設備を用いて、分離膜に付着した微生物の量を推定する推定工程を行うことにより、水処理方法を実施した。
【0092】
<水処理設備>
・設備内において循環する水の総量:5,000L
・膜ユニット:分離膜として逆浸透膜を有する膜ユニット
【0093】
<推定工程>
・被処理水:電子部品製造工場から排出される排水の生物処理水
・流速(流量):25m/hに設定
・試薬:蛍光試薬(レザズリン Resazurin)
微生物と反応後にレゾルフィン(Resorufin)となる
設備内において循環する水における濃度が15ppbとなるように被処理水に1回添加
・循環回数:0〜10回(設備内における水量と流量とから算出)
・試薬の量及び検知用物質の量の測定(O値及びR値)
(O値)
試薬に特有の光波長(634nm)における蛍光信号強度を測定した値:
微生物と反応する前の試薬の量の指標とした
(R値)
試薬から生成した検知用物質に特有の波長(583nm)における蛍光信号強度を測定した値:
微生物と反応することによって生成した検知用物質の量の指標とした
(R値/O値の比)
上記のO値に対するR値の比を、分離膜に付着した微生物量の指標とした。
【0094】
(試薬を含む被処理水を循環させた後のO値及びR値)
試薬を含む被処理水を0〜10回循環させた後の上記O値及びR値を、図2における被処理水測定器(8b)にて測定した。
【0095】
(参考測定値1)
試薬を添加していない被処理水における上記のO値及びR値を、図2における被処理水測定器(8b)にて測定した。
【0096】
(参考測定値2)
試薬を添加した被処理水を膜分離し、循環させる前の濃縮水における上記のO値及びR値を、図2における濃縮水測定器(9a)にて測定した。
【0097】
「試験条件1」
膜ユニットを次亜塩素酸Na水溶液によって洗浄した直後の水処理設備を用いて推定工程を実施した。
【0098】
「試験条件2」
上記の試験条件1のごとく膜ユニットを洗浄した後、通常運転で水処理を行い、微生物が分離膜にある程度付着した水処理設備を用いて、推定工程を実施した。
【0099】
上述のごとき試験条件で、推定工程を行い、分離膜に付着した微生物の量を評価した結果を表1に示す。また、表1において、被処理水の循環回数に対する、R値/O値の比をグラフ化したものを図3に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
表1及び図3において、例えばR値/O値の比から把握されるように、試薬を含む被処理水を循環させることによって、分離膜に付着した微生物の量を十分な信頼性で推定できる。
なお、参考測定値1から把握されるように、試薬を含まない被処理水においてもO値及びR値の測定値が+となった原因は、O値及びR値の測定において検出する光の波長と同じ波長の光を発する何らかの物質が、もともと被処理水に含まれているためであると考えられる。参考測定値1のR値及びR値/O値の比に対して、循環後のR値及びR値/O値の比をそれぞれ比較することにより、被処理水を循環させることによって、検知用物質の量を確実に測定できることが把握される。
【符号の説明】
【0102】
1、1’:水処理設備、
2:被処理水槽、3:膜ユニット、4:被処理水供給管、5:濃縮水返送管、6:透過水返送管、7:試薬タンク、
8:被処理水測定部
8a:被処理水測定用配管、 8b:被処理水測定器、
9:濃縮水測定部、 9a:濃縮水測定器、
10:殺菌剤添加部、10a:殺菌剤添加用タンク、
11:濃縮水排出用配管、 12:透過水排出用配管、
A:濃縮水返送用弁、 B:濃縮水排出用弁、 C:透過水返送用弁、 D:透過水排出用弁、 E:被処理水返送用弁。
図1
図2
図3