特許第6205303号(P6205303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205303針整列装置及びそれを用いた針の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205303
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】針整列装置及びそれを用いた針の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20170914BHJP
   A61M 5/158 20060101ALI20170914BHJP
   B21G 1/08 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B65G47/14 A
   A61M5/158 500B
   B21G1/08
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-86740(P2014-86740)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-205748(P2015-205748A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩一
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−034596(JP,U)
【文献】 特開昭63−173005(JP,A)
【文献】 特開平07−010292(JP,A)
【文献】 特開平06−278849(JP,A)
【文献】 実開昭59−065529(JP,U)
【文献】 特開昭58−006840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00 − 47/32
A61M 5/158
A61M 5/32
B21G 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針を整列させる針整列装置において、
ベース部材と、
上記ベース部材に着脱可能に載置され、所定の間隔で針を配列させる複数の配列用凹溝が互いに平行に形成されたホルダと、
上記ベース部材において上記ホルダに対して平行に設けられた案内部材と、
上記案内部材に沿って一方の方向に移動しながら投入口から上記ホルダの上に上記針を投入可能な投入箱と、
上記投入口の周縁に設けられ、上記一方の方向と反対側に向かって該投入口から離れるにつれて上記ホルダの上面との間隔が大きくなるガイド面とを備えている
ことを特徴とする針整列装置。
【請求項2】
請求項1に記載の針整列装置において、
上記ガイド面と上記ホルダの上面との隙間の最小値は、上記針の直径よりも小さい
ことを特徴とする針整列装置。
【請求項3】
請求項2に記載の針整列装置において、
上記配列用凹溝の深さは、該配列用凹溝に上記針が嵌まり込んだときに、該針の上記ホルダの上面からの最大高さが0以上であり、かつ上記ガイド面と上記ホルダの上面との隙間の最小値よりも小さくなるように設定されている
ことを特徴とする針整列装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の針整列装置において、
上記配列用凹溝の最大深さは、上記針の半径よりも大きい
ことを特徴とする針整列装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の針整列装置において、
上記ホルダは、表面処理装置の処理室内に載置可能なカセットに複数重ねた状態で収容可能に構成されている
ことを特徴とする針整列装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の針整列装置において、
上記投入箱の内部の上記投入口の上方には、該投入箱が上記案内部材に沿って走行するのに連動して駆動され、上記針を撹拌させる撹拌ローラが設けられている
ことを特徴とする針整列装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の針整列装置を用いた針の製造方法において、
上記針が配列されていない空の上記ホルダを上記ベース部材に載置し、
上記投入箱を上記案内部材の開始位置に配置し、
上記投入箱を上記案内部材に沿って移動させながら、上記投入口へ上記針を供給すると共に、該投入口から出てくる針を上記ガイド面と上記ホルダの上面との間の隙間に挟んだまま滑らせ、
上記隙間に挟まれた上記針を上記配列用凹溝のところで該配列用凹溝に1本ずつ嵌まり込ませるようにして上記案内部材の終点位置まで移動させる
ことを特徴とする針の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射針のような針に表面処理を行うために針を所定の間隔で並べる針整列装置及びそれを用いた針の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、注射針のような針は、管内の輸液量を確保するためにある程度の外径が必要とされるが、同時に刺すときの痛みを低減させるために表面平滑化を図る必要がある。このため、特許文献1のようにプラズマ処理を利用した針の先端の加工方法が知られている。また、例えば、特許文献2のようなベース部上面に複数の溝が形成されたレーザー加工機を用いることも行われている。
【0003】
いずれの場合も針の先端に適切かつ効率的に表面処理を行うには、多数の針の先端を所定の位置に正確に並べる必要がある。しかし、多数の針を手で並べるのは効率的ではない。
【0004】
一方、棒状部材を配列させる装置としては、例えば特許文献3のように、ベースにマガジンを固定し、そのマガジンの下端部に上面の溝が形成されたスライド板をスライドさせ、マガジン内の棒状部材を溝の上に並べるものが知られている。
【0005】
また、特許文献4のように、アジテータローラを回転させながらホッパ内の棒状部品を整列通路内に供給する配列送り装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5354827号公報
【特許文献2】特開平2−63689号公報
【特許文献3】実開昭58−192832号公報
【特許文献4】特開平6−144409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3のような方法では、溝に確実に1本ずつだけ嵌め込むようにすると、溝の深さを深くせざるを得ず、溝の加工が大変な上、溝に嵌まった棒状部材を取り出すのが難しいという問題がある。
【0008】
また、特許文献4のものでは、自重を利用して棒状物品を配列通路に1本ずつ配列させることができても、ホルダの上面に所定間隔で配列させるのは難しい。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、先端の処理が必要な針をホルダ上に簡単かつ確実に整列させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明では、投入箱が案内部材に沿って進みながら針を投入口から供給するようにした。
【0011】
具体的には、第1の発明では、針を整列させる針整列装置を前提とし、
上記針整列装置は、
ベース部材と、
上記ベース部材に着脱可能に載置され、所定の間隔で針を配列させる複数の配列用凹溝が互いに平行に形成されたホルダと、
上記ベース部材において上記ホルダに対して平行に設けられた案内部材と、
上記案内部材に沿って一方の方向に移動しながら投入口から上記ホルダの上に上記針を投入可能な投入箱と、
上記投入口の周縁に設けられ、上記一方の方向と反対側に向かって該投入口から離れるにつれて上記ホルダの上面との間隔が大きくなるガイド面とを備えている。
【0012】
上記の構成によると、投入箱を案内部材に沿って一方の方向に移動させることで投入口から出てくる針がホルダに設けた配列用凹溝に配列される。また、ガイド面とホルダ上面との間の隙間の大きさを調整することで、配列用凹溝に確実に針の供給が可能となる。
【0013】
第2の発明では、第1の発明において、
上記ガイド面と上記ホルダの上面との隙間の最小値は、上記針の直径よりも小さい。
【0014】
上記の構成によると、配列用凹溝がないホルダの上面では、針が飛び出さず、配列用凹溝が下方に来たときのみ針が配列用凹溝に嵌まり込むので、確実かつ簡単に針を1本ずつ配列させることができる。
【0015】
第3の発明では、第2の発明において、
上記配列用凹溝の深さは、該配列用凹溝に上記針が嵌まり込んだときに、該針の上記ホルダの上面からの最大高さが0以上であり、かつ上記ガイド面と上記ホルダの上面との隙間の最小値よりも小さくなるように設定されている。
【0016】
上記の構成によると、配列用凹溝に針が確実に嵌まり込み、その状態で投入箱をスムーズに進行方向に進め、次の針を準備させることができる。また、1つの配列用凹溝に2本以上の注射針が配列されることはない。
【0017】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記配列用凹溝の最大深さは、上記針の半径よりも大きい。
【0018】
上記の構成によると、いったん配列用凹溝に嵌まり込んだ針が意図せず飛び出すのを防ぐことができる。
【0019】
第5の発明では、第1から第4のいずれか1つの発明において、
上記ホルダは、表面処理装置の処理室内に載置可能なカセットに複数重ねた状態で収容可能に構成されている。
【0020】
上記の構成によると、ホルダ及びカセットを利用して多数の針を正確に整列させた状態で一度に処理室内に運べるので、極めて効率がよい。
【0021】
第6の発明では、第1から第5のいずれか1つの発明において、
上記投入箱の内部の上記投入口の上方には、該投入箱が上記案内部材に沿って走行するのに連動して駆動され、上記針を撹拌させる撹拌ローラが設けられている。
【0022】
上記の構成によると、撹拌ローラを用いることで、大規模な振動装置等を用いて針を下方へ送り込む必要がなくなり、針整列装置が小型化される。
【0023】
第7の発明では、第1から第6のいずれか1つの発明の針整列装置を用いた針の製造方法において、
上記針が配列されていない空の上記ホルダを上記ベース部材に載置し、
上記投入箱を上記案内部材の開始位置に配置し、
上記投入箱を上記案内部材に沿って移動させながら、上記投入口へ上記針を供給すると共に、該投入口から出てくる針を上記ガイド面と上記ホルダの上面との間の隙間に挟んだまま滑らせ、
上記隙間に挟まれた上記針を上記配列用凹溝のところで該配列用凹溝に1本ずつ嵌まり込ませるようにして上記案内部材の終点位置まで移動させる構成とする。
【0024】
上記の構成によると、投入箱をその開始位置から終点位置までの間に進ませながら、配列用凹溝に1本ずつ針を確実かつ簡単に嵌め込むことができる。
【0025】
また、上記針が配列された上記ホルダを上記カセットに該針の先端が同じ方向に向くように並べる工程を含んでいてもよい。こうすれば、針を所定の間隔で確実に配列させることができ、針の先端の表面処理を確実に行うことができる。
【0026】
さらに、複数の上記ホルダを収容した上記カセットを上記表面処理装置の処理室内に載置し、該針の先端の表面処理を行ってもよい。こうすれば、正確に配列させた多数の針を処理室内に配置して確実に針の先端の加工を行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、案内部材に沿って投入箱を進ませながら針を投入口から送り出し、ホルダの配列用凹溝に嵌め込んでいくようにしたので、先端の処理が必要な針をホルダ上に簡単かつ確実に整列させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る針整列装置を示す図2のI−I線断面図及びその一部拡大図である。
図2】針整列装置を示す平面図である。
図3図2のIII方向拡大矢視図である。
図4】針整列装置を示す正面図である。
図5】カセットを示す分解斜視図である。
図6】ホルダの一部を拡大して示し、(a)が正面図で、(b)が側面図である。
図7】注射針の先端にプラズマスパッタリングを行う様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
図1図4は、本発明の実施形態の針整列装置1を示し、この針整列装置1は、例えばステンレス鋼板で構成されたベース部材2を備えている。本実施形態では、ベース部材2は、例えば一対の平板よりなるが、一枚の平板や三枚以上の平板で構成してもよく、自重等で撓んでしまわないような剛性があればよい。
【0031】
ベース部材2の上面には、一定の間隔を空けて平行に案内部材としての一対のレール部材3が設けられている。本実施形態では、レール部材3は、ベース部材2に対し、取付ボルト3aで取り付けられている。レール部材3も自重等で撓んでしまわないような剛性を必要とし、ベース部材2上の正確な位置に平行に設けられる必要がある。
【0032】
一対のレール部材3の間には、例えば矩形板状のホルダ保持部4が、調整ボルト4a,4bによって高さを調整可能にベース部材2に取り付けられている。例えば、幅方向一方側を高くし、注射針50の一端がそろうようにしてもよい。このホルダ保持部4の上面には、矩形状のホルダ収容部4cが形成され、その長手方向両端に固定用プレート4dが取付ボルト4eにより取付可能となっている。取付ボルト4eは、固定用プレート4dに形成した長孔4fに挿通され、長孔4fを利用して固定用プレート4dが長手方向にスライド移動可能となっている。なお、図3では、固定用プレート4dを省略している。ホルダ保持部4には、ホルダ収容部4cの側壁のない側に抜け止め用プレート4gが着脱可能に設けられ、取付ボルト4eを締め付けることで、ホルダ5の正面を押さえ付け、取り外すことで、ホルダを正面側へ引き出せるようになっている。
【0033】
このようにして、ホルダ収容部4cに平板状のホルダ5が脱着可能に載置できるようになっている。図6にも示すように、このホルダ5の上面には、所定のピッチpで注射針50を配列させる複数の配列用凹溝5aが互いに平行に形成されている。配列用凹溝5aのピッチpは、後工程で使用する表面処理装置としてのプラズマスパッタ装置(図示せず)の性能、注射針50の外径等によって設定されている。配列用凹溝5aは、ホルダ5の上面の幅方向両側に周囲よりも若干高い隆起部5bに形成されている。隆起部5bを設けることで、配列用凹溝5aに配列された注射針50を取り出しやすくなっている。なお、図2図5については、長手方向中央の配列用凹溝5aは省略しているが、中央部分も等間隔で設けられている。ホルダ5の長手方向両端には、図5に示すカセット30に積み重ねた状態で嵌め込むための貫通孔5cが形成されている。
【0034】
図1及び図6に拡大して示すように、本実施形態では、配列用凹溝5aの形状は、加工のしやすさから底の角度αが約90度の直角二等辺三角形となっているが、これに限定されず、曲面を含んでいてもよい。しかし、その溝の深さH1は、注射針50の半径R(R=直径D/2)よりも大きい必要がある(H1>R)。底の角度αが鋭角だと、加工がしにくい上に深さH1を深くしても注射針50の高さを低くできない。一方で、注射針50の取り出しやすさ等を考えると、深さH1が深すぎるのは望ましくない。
【0035】
針整列装置1は、一対のレール部材3に沿って白抜き矢印に示す方向に移動しながら投入口6cからホルダ5の上に注射針50を投入可能な投入箱6を備えている。図1に示すように、投入箱6は、レール部材3と略平行に延びる一対のサイドプレート6aを有し、この一対のサイドプレート6a間を投入口6cの上方に配置された幅方向かつ垂直方向に延びる垂直板6bが繋いでいる。
【0036】
また、投入箱6の内部には、図1の正面から見て上方に向かって投入箱6の進行方向へ傾く傾斜面7aを有するスライダ7が設けられている。投入口6cは、このスライダ7の先端側と、垂直板6bの下方のガイド部8の下端との間の隙間で構成されている。なお、この投入口6cに向かう隙間の傾く方向は、図1の傾きに限定されず、反対向きであったり、場合によっては垂直であってもよい。なお、投入箱6の進行方向は、図1等に示すように、一方の方向のみとなっている。
【0037】
投入口6cの周縁には、投入箱6の進行方向と反対側に向かって投入口6cから離れるにつれてホルダ5の上面との間隔が大きくなるガイド面8aが形成されている。そして、ガイド面8aとホルダ5の上面との隙間の最小値H2は、針50の直径Dよりも小さい(H2<D)。
【0038】
垂直板6bの進行方向側の面とスライダ7の傾斜面7aとの交点よりも若干上方の垂直板6bの下端には、撹拌ローラ9が配置されている。図2に示すように、この撹拌ローラ9は、中心軸9aの一方の端部に回転一体に設けられたリンクローラ9bを有する。このリンクローラ9bの外周は、進行方向側に配置された第1走行ローラ10の外周に当接している。このため、図4に示すように、投入箱6が白抜き矢印で示す進行方向に進んで第1走行ローラ10がレール部材3上を図4で時計回りに回転するのに合わせてリンクローラ9bが反時計回りに回転され、撹拌ローラ9が回転すると、投入箱6内の注射針50が撹拌させられ、詰まりが防止されながら投入口6c側へ自重で送り込まれるようになっている。
【0039】
進行方向と反対側のサイドプレート6aの外側には、第2走行ローラ11が設けられている。さらに、サイドプレート6aの下端には、図1及び図3に示すように、上下方向に支持軸を有する例えば合計4つの第3走行ローラ12がそれぞれ設けられている。これら第1〜第3走行ローラ10,11,12により、投入箱6が安定してレール部材3に沿って走行するように構成されている。なお、本実施形態では、投入箱6の自重によって上下方向の安定性を実現しているが、レール部材3側に投入箱6の上下方向の移動を規制する手段を設けてもよい。
【0040】
図5に示すように、複数枚のホルダ5は、プラズマスパッタ処理装置の処理室に配置可能なカセット30に積層して収容可能となっている。カセット30は、ステンレス鋼板等で構成されたカセット本体31を有し、その収容部内に一対の積層用ポール32が設けられている。積層用ポール32の間隔は、ホルダ5の貫通孔5cの間隔と同一であり、その外径は、貫通孔5cの内径よりも若干小さくなっている。
【0041】
そして、注射針50の先端50aがカセット本体31の側壁のない方向に向くように何層にも層状に蓄積されたホルダ5の上から平板状の上蓋33で覆うようになっている。カセット本体31の長手方向外側には、一対の蓋用ポール34が垂直に設けられている。上蓋33に設けた蓋側貫通孔33aを積層用ポール32に挿通すると共に、切欠33bを外側から蓋用ポール34で押さえ込んだ状態で、蓋用ナット35を締め付けることで、上蓋33が固定されるようになっている。
【0042】
次に、本実施形態に係る針整列装置1を用いた注射針50の製造方法について説明する。
【0043】
まず、所定長さとなるように、先端50aが斜めに切断された中心が空洞の注射針50を形成しておく。
【0044】
そして、予め取付ボルト4eを緩め、一対の固定用プレート4d及び抜け止め用プレート4gをずらしておく。また、投入箱6に必要な注射針50を先端50aが例えば正面側に向くように並べておく。
【0045】
次いで、注射針50が配列されていない空のホルダ5をベース部材2に設けたホルダ保持部4のホルダ収容部4cに載置した後、一対の固定用プレート4d及び抜け止め用プレート4gで固定する。
【0046】
次いで、投入箱6をレール部材3の開始位置Aに配置する。
【0047】
次いで、投入箱6をレール部材3に沿って進行方向に向かって移動させる。すると、第1走行ローラ10が回転し、それによって撹拌ローラ9が回転される。これにより、図1に示すように、注射針50が撹拌しながらスライダ7の傾斜面7aに沿って投入口6c側へ重力により供給される。このように撹拌ローラ9を用いることで、大規模な振動装置等を用いて注射針50を下方へ送り込む必要がなくなり、針整列装置1が小型化されている。
【0048】
そして、投入口6cから注射針50が出てくると、ガイド面8aとホルダ5の上面との間の最小の隙間H2よりも注射針50の直径Dが大きいので、注射針50はそれ以上飛び出さず、挟まれたまま投入箱6が進行方向に向かって進む。
【0049】
次いで、図1に示すように、隙間H2に挟まれた注射針50を配列用凹溝5aのところで配列用凹溝5aに1本ずつ嵌まり込ませる。このようにしながら、投入箱6をレール部材3の終点位置Bまで移動させ、全ての配列用凹溝5aに注射針50を1本ずつ嵌め込む。配列用凹溝5aに注射針50が嵌まり込んだときの注射針50のホルダ5の上面からの最大高さをH3とすると、H3は、0以上でかつH2よりも小さくなっている(0≦H3<H2)。配列用凹溝5aの深さH1がこのように設定されているので、投入箱60の移動が配列用凹溝5aに嵌まり込んだ注射針50に邪魔されない上に、1つの配列用凹溝5aに2本以上の注射針50が配列されることはない。
【0050】
次いで、終点位置Bにある投入箱6を取り除き、注射針50が整列されたホルダ5を、図5に示すように注射針50の先端50aがカセット30の正面に向くように貫通孔5cに積層用ポール32を挿通するようにして並べていく。
【0051】
上記作業を所定回数繰り返し、複数枚のホルダ5が積層された後、カセット30の上蓋33の切欠33bを蓋用ポール34に嵌め込み、蓋用ナット35で押さえ付ける。
【0052】
次いで、複数のホルダ5を収容したカセット30をプラズマスパッタ処理装置の処理室(真空室)内に載置し、注射針50の先端50aにプラズマスパッタ処理を行う。
【0053】
このとき、図7に示すように、注射針50の周囲に負極バイアス効果によるプラズマが衝突する。具体的には、プラズマから放たれたイオンは、注射針50の表面に沿って加速する。注射針50の先端50aには、スパッタリング効果が及び、注射針50の先端50aの先鋭化形成と形状の修正が行われる。それぞれの注射針50の配列ピッチpを同一にすることにより、その先端50aをほぼ均等に同時に処理することができる。
【0054】
このように、本実施形態では、簡単な構造で、注射針50が傾斜面7aに沿って投入口6cへ送り込まれ、投入口6cから出てくる注射針50がホルダ5に設けた配列用凹溝5aに配列される。
【0055】
したがって、本実施形態に係る針整列装置1によると、先端50aの処理が必要な注射針50をホルダ5上に簡単かつ確実に整列させることができる。
【0056】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0057】
すなわち、上記実施形態では、注射針50の先端50aにプラズマスパッタ処理を行う例について示したが、注射針以外の針治療の針、縫合用の針等でもよく、また、プラズマスパッタ処理以外のレーザー加工を行ってもよい。
【0058】
上記実施形態では、案内部材は、ベース部材2側に設けた一対のレール部材3としたが、例えば、ベース部材2側に設けたホルダ5に対して平行な複数のローラとしてもよい。そして、この複数のローラに投入箱6側の水平な面を摺接させるようにするとよい。
【0059】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明は、針の先端にプラズマスパッタ処理などの表面処理を行うために所定の間隔で並べる針整列装置及びそれを用いた針の製造方法について有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 針整列装置
2 ベース部材
3 レール部材(案内部材)
3a 取付ボルト
4 ホルダ保持部
4a,4b 調整ボルト
4c ホルダ収容部
4d 固定用プレート
4e 取付ボルト
4f 長孔
4g 抜け止め用プレート
5 ホルダ
5a 配列用凹溝
5b 隆起部
5c 貫通孔
6 投入箱
6a サイドプレート
6b 垂直板
6c 投入口
7 スライダ
7a 傾斜面
8 ガイド部
8a ガイド面
9 撹拌ローラ
9a 中心軸
9b リンクローラ
10 第1走行ローラ
11 第2走行ローラ
12 第3走行ローラ
30 カセット
31 カセット本体
32 積層用ポール
33 上蓋
33a 蓋側貫通孔
33b 切欠
34 蓋用ポール
35 蓋用ナット
50 注射針(針)
50a 先端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7