(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205314
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】頭皮ケア器
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20170914BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
A61H7/00 300G
A46B15/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-132247(P2014-132247)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-10443(P2016-10443A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年3月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 純子
(72)【発明者】
【氏名】石井 一也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勝彦
【審査官】
今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−061181(JP,A)
【文献】
特開2012−187219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A46B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、このフレームに収納される電動機と、この電動機の回転運動を伝達する伝達機構と、この伝達機構によって回転させられる回転機構部と、この回転機構部に連結された複数の回転施療子とを有する頭皮ケア器において、
前記回転施療子が、筒部と、この筒部の先端に一体に突設される複数の施療用突起とを有し、前記施療用突起が、先端側ほど細くなる突起基部と、この突起基部の先端に設けられた略柱状の突起先端部とを有し、
前記突起基部には、この突起基部の前記先端から前記筒部の中心側に向かって断面積が拡大する拡大肉厚部が形成されると共に、前記突起基部における前記筒部の径方向外側が、外側に向かって断面積が拡大せず、前記拡大肉厚部により複数の前記突起基部が、先端側ほど互いに離れるように形成されることを特徴とする頭皮ケア器。
【請求項2】
前記突起先端部の先端面に突設された複数の小突起を有し、前記複数の施療用突起の中央における前記筒部の先端面から前記小突起の先端までの長さに対して、前記突起基部の長さが3分の1以上、2分の1以下であることを特徴とする請求項1記載の頭皮ケア器。
【請求項3】
フレームと、このフレームに収納される電動機と、この電動機の回転運動を伝達する伝達機構と、この伝達機構によって回転させられる回転機構部と、この回転機構部に連結された複数の回転施療子とを有する頭皮ケア器において、
前記回転施療子が、筒部と、この筒部の先端に一体に突設される複数の略錐状の施療用突起とを有し、これらの施療用突起が、その軸方向が先端側ほど広がるように形成されることを特徴とする頭皮ケア器。
【請求項4】
前記筒部の中心軸に対し、前記施療用突起の外面における反中心軸側部分が平行か又は先端側ほどやや狭まるように形成されることを特徴とする請求項3記載の頭皮ケア器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の施療子を備えた頭皮ケア器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の頭皮ケア器としては、人体の頭皮と接触し、駆動源の駆動により動作される施術子の施術突起にて前記頭皮に刺激を付与する頭皮ケア器であって、施術子の施術突起が前回転軸を周回するように回転する頭皮ケア器がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−61181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施術子に設けられた複数の施術突起は、ある程度の高さが必要である。施術突起の高さが低すぎると、毛量の豊かな人が使用する場合、施術突起が地肌に良好に接することができないからである。しかしながら、施術突起の高さが高すぎると、施術突起が弾性変形した際にそれらの先端部同士が集まり、狭い領域にしか施術できず、施術子の可動範囲によっては、施術突起の先端部が殆ど動かない虞がある。施術突起同士の間隔を大きくすることで、この問題はある程度解消できるが、施術子の大きさが大きくなってしまうという別の問題が生じる。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、施療用突起の長さを確保しつつ、これらの施療用突起同士が触れ合い難いようにすることができる頭皮ケア器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の頭皮ケア器は、フレームと、このフレームに収納される電動機と、この電動機の回転運動を伝達する伝達機構と、この伝達機構によって回転させられる回転機構部と、この回転機構部に連結された複数の回転施療子とを有する頭皮ケア器において、前記回転施療子が、筒部と、この筒部の先端に一体に突設される複数の施療用突起とを有し、前記施療用突起が、先端側ほど細くなる突起基部と、この突起基部の先
端に設けられた略柱状の突起先端部とを有
し、前記突起基部には、この突起基部の前記先端から前記筒部の中心側に向かって断面積が拡大する拡大肉厚部が形成されると共に、前記突起基部における前記筒部の径方向外側が、外側に向かって断面積が拡大せず、前記拡大肉厚部により複数の前記突起基部が、先端側ほど互いに離れるように形成されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の頭皮ケア器は、請求項1において、
前記施療用突起の先端面に突設された複数の小突起を有し、前記複数の施療用突起の中央における前記筒部の先端面から前記小突起の先端までの長さに対して、前記突起基部の長さが3分の1以上、2分の1以下であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の頭皮ケア器は、フレームと、このフレームに収納される電動機と、この電動機の回転運動を伝達する伝達機構と、この伝達機構によって回転させられる回転機構部と、この回転機構部に連結された複数の回転施療子とを有する頭皮ケア器において、前記回転施療子が、筒部と、この筒部の先端に一体に突設される複数の略錐状の施療用突起とを有し、これらの施療用突起が、その軸方向が先端側ほど広がるように形成されることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の請求項4に記載の頭皮ケア器は、請求項3において、前記筒部の中心軸に対し、前記施療用突起の外面における反中心軸側部分が平行か又は先端側ほどやや狭まるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の頭皮ケア器は、以上のように構成することにより、前記施療子を人体に押し当てた際、前記施療用突起同士が触れにくくなるので、前記施療用突起が人体に皮膚を掴むようにして、良好に頭皮ケアを行うことができる。
【0011】
なお、複数の前記突起基部を、先端側ほど互いに離れるように形成することで、突起先端部同士の間隔を大きくして、前記施療用突起同士をより触れ難くすることができる。
また、
前記複数の施療用突起の中央における前記筒部の先端面から前記小突起の先端までの長さに対して、前記突起基部の長さが3分の1以上、2分の1以下であるから、前記拡大肉厚部による前記施療用突起の中央側への変形防止効果が得られる。
【0012】
また、本発明の請求項3に記載の頭皮ケア器は、以上のように構成することにより、前記施療子を人体に押し当てた際、前記施療用突起同士の先端が広がるように人体に当接するので、前記施療用突起が人体の皮膚をも掴むようにして、良好に頭皮ケアを行うことができる。
【0013】
なお、前記筒部の中心軸に対し、前記施療用突起の外面における反中心軸側部分を、平行か又は先端側ほどやや狭まるように形成することで、前記回転施療子の製造を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1を示す頭皮ケア器の底面を上側にした状態で上方から見た斜視図である。
【
図5】同上、前側から見た内部機構の斜視図である。
【
図6】同上、後側から見た内部機構の斜視図である。
【
図8】同上、前側駆動歯車群の要部の側面図である。
【
図10】同上、回転施療子の取付構造を示す断面図であり、(A)に対して(B)は歯車が180度回転した状態を示す。
【
図11】同上、往復施療子の取付構造を示す断面図であり、(A)に対して(B)は歯車が90度回転した状態、(C)は180度回転した状態、(D)は270度回転した状態を示す。
【
図12】同上、回転施療子と往復施療子の駆動を説明する説明図である。
【
図19】本発明の実施例2を示す施療子本体の正面図である。
【
図20】本発明の実施例3を示す施療子本体の正面図である。
【
図22】本発明の実施例4を示す頭皮ケア器の内部機構の、底面を上側にした状態で上方から見た斜視図である。
【
図23】同上、内部機構の上方から見た斜視図である。
【
図28】同上、回転施療子と往復施療子の駆動を説明する説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0016】
図1乃至
図18は実施例1を示している。1は、本発明の頭皮ケア器である。この頭皮ケア器1は、フレーム2と、電動機3と、この電動機3の回転運動を伝達する伝達機構4と、この伝達機構4に接続された施療子たる回転施療子5及び往復施療子6とを備えている。なお、前記電動機3と伝達機構4は、前記フレーム2に支持されている。また、前記伝達機構4は、回転機構部7と、この回転機構部7の回転を往復動に変換する変換機構部8とを備え、前記回転機構部7に複数の前記回転施療子5が接続され、前記変換機構部8に複数の前記往復施療子6が接続されている。
【0017】
図3等に示すように、前記電動機3は、歯車ケース14を介して、前側に駆動軸3Aを有し、この駆動軸3Aに駆動歯車15が設けられている。なお、前記電動機3、歯車ケース14及び駆動軸3Aは、前記フレーム2に対して前後方向に配置されている。また、前記駆動歯車15には、この駆動歯車15の回転を減速する減速機構16が接続されている。なお、前記電動機3の回転は、前記駆動軸3Aに至るまでの間に、前記歯車ケース14内で予め減速されている。また、以下、単に歯車と記したものは、平歯車である。
【0018】
前記減速機構16は、第一減速歯車17と第二減速歯車18とを備えている。前記第一減速歯車17は、歯数の多い大歯車部17Bと歯数の少ない小歯車部17Sとを一体に備えている。前記大歯車部17Bは、この大歯車部17Bより歯数が少ない前記駆動歯車15と噛み合い、前記小歯車部17Sは、この小歯車部17Sより歯数が多い第二減速歯車18と噛み合う。そして、これら第一及び第二減速歯車17,18の回転軸は、歯車カバー19により前後方向に軸支されている。そして、前記駆動歯車15、第一減速歯車17及び第二減速歯車18により、前後方向を回転中心とした上部減速歯車群20が構成されている。
【0019】
前記上部減速歯車群20の下方に、前記フレーム2に対して上下方向を回転中心とする上側中間伝達歯車21が回動自在に軸支されている。この上側中間伝達歯車21は、前記第二減速歯車と噛み合う冠歯車22が上部に設けられ、この冠歯車22の下部に歯車23が一体に設けられている。
【0020】
また、前記上側中間伝達歯車21の下方には、下側中間伝達歯車25が回動可能に軸支されている。この下側中間伝達歯車25は、歯数の少ない小歯車部25Sと歯数の多い大歯車部25Bとを有している。そして、前記小歯車部25Sは、前記歯車23と噛み合っている。なお、下側中間伝達歯車25の回転軸25Kは上下方向をなし、この回転軸25Kと前記回転機構部7の他の歯車の回転軸は平行であり、それら歯車は前記フレーム2等に回動可能に軸支されている。
【0021】
図2等に示すように、前記大歯車部25Bには、前記往復施療子6を駆動する後側駆動歯車26が噛み合っている。また、前記大歯車部25Bには、前記回転施療子5を駆動する前側駆動歯車群31が接続されている。そして、前記上部減速歯車群20、後側駆動歯車26及び前側駆動歯車群31により、前記電動機3の回転運動を伝達する前記伝達機構4が構成されている。
【0022】
以下、前記前側駆動歯車群31について説明する。この前側駆動歯車群31は、同一構成で相互に噛み合う左右一対の中央歯車32L,32Rを有し、一方の中央歯車32Rが前記大歯車部25Bと噛み合っている。また、外側左右の前記回転施療子5に対応して、左右に外側歯車33R,33Lが配置されている。なお、隣接する前記中央歯車32Lと外側歯車33Lとの間、及び中央歯車32Rと外側歯車33Rとの間に、それぞれ伝達歯車34L,34Rが配置されている。
【0023】
また、前記中央歯車32Lと中央歯車32Rは、同一構成である。同様に、前記外側歯車33Lと外側歯車33Rは、同一構成である。また、前記中央歯車32L,32Rと外側歯車33L,33Rの歯数は同じである。従って、前記中央歯車32L,32Rが一回転すると、前記外側歯車33L,33Rも一回転するように構成されている。更に、一対の前記中央歯車32L,32Rに対して、前記外側歯車33L,33Rは、斜め後側に位置する。具体的には、一対の前記中央歯車32L,32Rの中心を結ぶ仮想線を121、前記中央歯車32Lと外側歯車33Lの中心を結んだ仮想線を122、前記中央歯車32Rと外側歯車33Rの中心を結んだ仮想線を123とすると、仮想線121と仮想線122とがなす角度θ1、及び仮想線121と仮想線123とがなす角度θ2は、何れも5〜35度、好ましくは20度である。また、前記中央歯車32Rと大歯車部25Bと後側駆動歯車26は同一歯数であり、これらの回転中心が一直線上に並んでいる。更に、前記大歯車部25B、中央歯車32L,32R、及び外側歯車33L,33Rは、その回転軸が全て前記フレーム2の上下方向に向いており、全て平行である。
【0024】
従って、
図9において、前記大歯車部25Bが右回りに回転すると、これと噛み合っている前記中央歯車32Rは左回りに回転する。また、この中央歯車32Rと噛み合っている前記中央歯車32Lは右回りに回転する。また、前記伝達歯車34Rを介して前記中央歯車32Rに接続されている前記外側歯車33Rは、左回りに回転する。更に、前記伝達歯車34Lを介して前記中央歯車32Lに接続されている前記外側歯車33Lは、右回りに回転する。なお、前記大歯車部25Bが一回転すると、前記中央歯車32L,32R及び外側歯車33L,33Rが、何れも一回転する。
【0025】
更に、前記前側駆動歯車群31は、前記外側歯車33L,33Rの下部に、傘歯車35L,35Rをそれぞれ一体に設けている。そして、これらの傘歯車35L,35Rは、左右両側の前記回転施療子5,5を駆動する従動側傘歯車36L,36Rとそれぞれ噛み合っている。なお、これらの傘歯車35L,35R,36L,36Rは、歯筋がピッチ円錐の母直線と一致する直歯傘歯車である。また、前記傘歯車36L,36Rは、それぞれの中心軸線136L,136Rが、前記外傘歯車35L,35Rの中心軸線135L,135Rに対し、前記中央歯車32L,32Rに向かって角度θ傾斜している。なお、この角度θは、15度程度である。即ち、前記傘歯車36L,36Rの回転中心軸136L,136Rは、それぞれ前記中央歯車32L,32R側に向かって、左右方向内側後向きに傾斜している。なお、前記傘歯車35L,35Rが第一傘歯車であり、前記従動側傘歯車36L,36Rが第二傘歯車である。
【0026】
また、
図3及び
図8に示すように、前記従動側傘歯車36L,36Rの下部には、それぞれ鍔部36Tが周設され、前記フレーム2に設けた円形溝部(図示せず)内に、前記鍔部36Tが回動可能に支持されている。以上が前記前側駆動歯車群31の構成である。そして、前記上部減速歯車群20及び前側駆動歯車群31により、前記回転機構部7が構成されている。また、前記傘歯車35L,36Lにより施療子回転部9(9L)を構成すると共に、傘歯車35R,36Rにより施療子回転部9(9R)を構成している。
【0027】
次に、前記往復施療子6を接続した前記変換機構部8について説明する。
図11に示すように、前記後側駆動歯車26の下面には、この駆動歯車26の回転中心から偏心した位置に、カム突起41が設けられている。このカム突起41の先端部は球形状をなす。そして、前記往復施療子6を取り付ける中間取付体42は、前記カム突起41が係入するカム枠部43と、中間取付部44と、この中間取付部44から左右に突出した軸部45,45を一体に設けている。なお、前記カム枠部43は、左右方向に長く形成されており、その左右方向の内寸長さは、前記カム突起41の回転軌跡の外径D以上である。また、前記軸部45,45は、取付ケース46により回動可能に軸支されている。なお、前記カム突起41は、前記カム枠部43内に位置している。従って、前記後側駆動歯車26が回転すると、前記カム突起41が円運動し、このカム突起41の回転運動のうち、前後方向の動きのみを前記カム枠部43が抽出することで、前記中間取付体42が前記軸部45,45を中心に前後に揺動する。
【0028】
前記中間取付体42には、施療体47が取り付けられている。この施療体47は、横長の連結部48と、この連結部48の左右両端から突出して設けられた一対の取付部49,49を備えている。そして、前記連結部48の中央を、前記中間取付体42の中間取付部44に固定している。更に、前記取付部49,49に、それぞれ施療子本体51,51を連結している。そして、これらの施療子本体51,51と前記取付部49,49により、前記往復施療子6が構成されている。
【0029】
図1に示すように、施療子本体51は、前記取付部49に外装される円筒状の筒部55と、この筒部55の先端に突設された複数(3本)の施療用突起56とを有している。また、この施療用突起56は、略円柱状に形成されていると共に、その先端に複数(4個)の小突起57が設けられている。なお、前記施療子本体51は、エラストマーやシリコンゴム等の弾性材料から形成することができる。
【0030】
図13〜
図18に示すように、前記筒部55は下部に下円筒部101を有し、この下円筒部101の上部に上方に向かって僅かに縮径する縮小円筒部102が一体に設けられ、この縮小円筒部102の上面である筒部上面55Aに、
図14に示すように、複数の施療用突起56が相互に間隔を置いて且つ周方向等間隔に突設されている。また、前記施療用突起56の上部(先端)には略半球状の先端面56Aが形成され、この先端面56Aに前記小突起57が周方向等間隔に突設されている。なお、施療用突起56は中実である。
【0031】
前記施療用突起56の上部には、円柱状の突起先端部103が設けられると共に、前記施療用突起56の下部には、上端側(先端側)が細くなる突起基部104が設けられている。この突起基部104には、前記突起先端部103の下端で筒部55の中心側から筒部55の上面に向かって拡大する拡大肉厚部105を形成している。即ち、前記突起基部104の上端104Aから下の筒部55の中心側に向かって断面積が拡大する拡大肉厚部105が形成され、この拡大肉厚部105の分だけ前記突起基部104は前記突起先端部103に比べて太く形成されている。そして、
図13及び
図16に示すように、複数の前記突起基部104は、拡大肉厚部105により、先端側ほど互いに離れるように形成されている。なお、前記各施療用突起56,56,56の突起先端部103,103,103同士は、ほぼ平行である。
【0032】
また、前記各施療用突起56,56,56の中央における前記筒部上面55Aから前記小突起57の先端までの長さに対して、突起基部104の長さは3分の1以上、2分の1以下が好ましい。前記長さが3分の1未満であると、前記拡大肉厚部105による前記施療用突起56の中央側への変形防止効果が十分に得られなくなる場合があり、一方、前記長さが2分の1を超えると、基端側において前記施療用突起56同士の間隔が狭くなり、毛の間に入り難くなる場合があるためである。
【0033】
更に、前記拡大肉厚部105の左,右側部105S,105Sは、略直線状をなし、且つ前記施療用突起56の中心軸に対して斜設され、前記拡大肉厚部105の上縁105Uから、前記筒部上面55Aの外周に向かって、左,右側部105S,105Sの隔が狭くなるように形成されている。一方、前記施療用突起56の筒部55の外周側は、直線状に形成され、前記縮小円筒部102の上端側面と略連続するように形成されている。なお、前記筒部上面55Aの中央は、この筒部上面55Aの周囲55Sと略同一高さに形成されている。
【0034】
次に、前記回転施療子5の駆動機構について説明する。
図3及び
図10に示すように、前記中央歯車32L,32R及び外側歯車33L,33Rの下面には、これらの回転中心から偏心した位置に、カム受け部61が設けられている。これらのカム受け部61は、円筒部の内側により構成されている。
【0035】
前記回転施療子5は、取付軸65と、前記施療子本体51とからなる。そして、前記取付軸65の上部には、前記カム受け部61内に挿入されるカム部66が形成されている。なお、このカム部66は、球状に形成されている。また、前記取付軸65の下部に、前記施療子本体51を取り付ける取付部67が形成されている。
【0036】
図17及び
図18に示すように、前記筒部55の下面中央には前記取付軸65の取付部67を挿入する挿入孔111が形成され、この挿入孔111には周方向等間隔に複数(3箇所)の切欠き溝112が放射状に設けられている。また、前記挿入孔111の基端側には拡径部111Aが設けられ、この拡径部111Aの外面は球面の一部により形成されている。更に、前記拡径部111Aに対応して、前記取付部67に抜け止め部67Aを設けている。従って、前記取付部67を前記挿入孔111に挿入すると、前記抜け止め部67Aが前記拡径部111Aに係入し、抜け止め状態が得られる。
【0037】
更に、前記取付軸65の長さ方向略中央には、揺動係合部68が形成されている。この揺動係合部68は、上下の部分より太く形成され、その外面が略球面に形成されている。そして、前記揺動係合部68には、前記取付軸65の軸方向と直交するように、軸挿通孔69が貫通形成されており、この軸挿通孔69に支軸70が挿通されている。なお、
図10に示すように、前記軸挿通孔69は、その中央部が前記支軸70の直径より僅かに広く、且つ、中央部から外側に向かって内径が拡大する拡大部71,71が形成されている。即ち、前記軸挿通孔69は鼓状に形成されている。更に、前記揺動係合部68は、取付ケース72に形成された球面状の受け部73によって、揺動可能に支持されている。
【0038】
従って、前記中央歯車32L,32R及び外側歯車33L,33Rが回転すると、前記揺動係合部68を揺動の中心として、前記取付軸65の先端が円を描くように回転する。
【0039】
そして、上記の回転施療子5では、前記施療用突起56の突起基部104が先端側の突起先端部103より太く形成されているため、毛量の豊富な人に合わせて前記施療用突起56の高さを設定しても、回転運動の際に前記施療用突起56同士が弾性変形して中央側に集まり難く、複数の前記施療用突起56が間隔を保った状態で頭皮のケアを行うことができる。特に、前記突起基部104には中央側に前記拡大肉厚部105を設けたから、回転運動時において、前記施療用突起56の中央側への変形を抑制することができる。
【0040】
図10に示すように、前記回転施療子5を取り付ける前記取付ケース72は、前記支軸70の端部を挿入して取り付ける取付部たる支軸取付孔74を有する。なお、前記取付ケース72は、二分割された分割ケース72A,72Aからなり、支軸70と共に前記取付軸65を組み込んだ状態で、前記分割ケース72A,72Aを組み立ててなる。
【0041】
図12は、前記回転施療子5と往復施療子6の動作を説明する図面である。同図に示すように、対称面81を基準として、左右の前記中央歯車32L,32R同士、左右の前記外側歯車33L,33R同士、及び左右の前記往復施療子6,6同士は、面対称の位置にある。また、前記対称面81を表す線上において、前記歯車32L,32R,33L,33Rの中心と基準点82を結ぶ仮想線132L,132R,133L,133Rの長さは略等しく、且つ、前記対称面81を表す線に対して、左右の中央歯車32L,32Rの仮想線132L,132Lとのなす角度θ3は等しく、仮想線132L,132Lと左右の外側歯車33L,33Rの仮想線133L,133Rとのなす角度θ4は等しい。また、前述した通り、前記歯車32L,32R,33L,33Rの直径及び歯数は等しい。そして、角度θ4は角度θ3の2倍強である。具体的には、本実施例では、角度θ3を9度、角度θ4を21度とする。また、この角度θ4は、前記角度θ1及びθ2よりもやや大きい。なお、各支軸70は、前記仮想線132L,132R,133L,133Rの向きに沿って配置される。また、前記傘歯車36L,36Rの中心軸線136L,136Rは、前記仮想軸線133L,133Rを中心に角度θ傾斜している。
【0042】
そして、前記回転施療子5と往復施療子6は、前記対称面81の左右に位置する左側部分(第一部分)83Lと右側部分(第二部分)83Rが面対称となるように配置されていると共に、面対称状に動作する。具体的には、全ての前記回転施療子5,5,5,5は、前記仮想線132L,132R,133L,133Rの延長線上で、且つ前記基準点82から最も離れた位置に回転施療子5の先端が位置する基準位置に、同時に位置することができる。この際、前記往復施療子6,6の先端は、往復動する外側位置(後側位置)にある。ここから、前記電動機3が動作すると、前記左側部分83Lの回転施療子5,5の先端は、右回りに同一速度で回転し、右側部分83Rの回転施療子5,5の先端は、左回りに同一速度で回転する。回転施療子5,5が前記基準位置から90度回転した位置に「△」を付し、180度回転した位置に「○」を付し、270度回転した位置に「×」を付しており、360度回転して戻った基準位置に「●」を付している。また、往復施療子6にも対応する位置に「●」「△」「○」「×」を付した。即ち、前記回転施療子5,5が前記基準位置から90度回転した位置の「△」では、前記往復施療子6は中間位置、前記回転施療子5,5が180度回転した位置では、前記往復施療子6は内側位置(前側位置)、前記回転施療子5,5が270度回転した位置では、前記往復施療子6は中間位置、前記回転施療子5,5が360度回転した位置では、往復施療子6は外側位置となる。なお、左右の前記往復施療子6,6は、同一動作をなす。従って、前記回転施療子5と往復施療子6は「●」から「○」の間に相互の先端が近付くように駆動し、「○」から「●」の間に相互の先端が離れるように駆動する。
【0043】
上記のように、前記左側部分83Lと右側部分83Rで、前記施療子5,6は面対称形に配置されると共に、面対称状に動作する。
【0044】
そして、図示しないスイッチにより、前記電動機3を駆動し、頭皮に前記施療子5,6を当てると、前記回転施療子5の先端が円運動し、前記往復施療子6の先端が前後に往復動して、頭皮をマッサージすることができる。この際、中央の2つの回転施療子5,5が、あたかも両手の人差し指のように、左右外側の回転施療子5,5が、あたかも両手の中指のように、頭皮をマッサージすることができる。加えて、これら4つの回転施療子5,5,5,5から離れた位置の前記往復施療子6が、あたかも両手の親指のように頭皮をマッサージすることができる。この結果、前記回転施療子5と往復施療子6とが、前記回転施療子5の回転を伴いながら、相互に近寄ったり離れたりする動作を繰り返すので、全体として、あたかも手で頭皮を掴んで揉むようにしてマッサージを行うことができる。
【0045】
また、前記左側部分83Lと右側部分83Rで回転施療子5の先端が同期して逆方向に回転するため、頭皮に前記回転施療子5を当てた状態で前記頭皮ケア器1が揺れず、安定して円運動を行わせることができる。即ち、仮に全ての前記回転施療子5を同一方向に回転させた状態で頭皮に当てると、発生するトルクの反作用により、前記頭皮ケア器1を反回転方向に移動させる力が発生する。そして、これを抑えるためには、前記頭皮ケア器1が動かないように、使用者がしっかりと把持しなければならない。しかしながら、本実施例では、前記左側部分83Lと右側部分83Rで、前記回転施療子5が面対称状に駆動することで、前記頭皮ケア器1を移動させる力が打ち消されるため、容易に安定して把持することができる。
【0046】
このように本実施例では、フレーム2と、このフレーム2に収納される電動機3と、この電動機3の回転運動を伝達する伝達機構4と、この伝達機構4によって回転させられる回転機構部7と、この回転機構部7に連結された複数の回転施療子5,5とを有する頭皮ケア器1において、前記回転施療子5が、筒部55と、この筒部55の先端に一体に突設される複数の略円柱状の施療用突起56とを有し、これらの施療用突起56が、先端側ほど細くなる略錐状の突起基部104と、この突起基部104の先端
たる上端104Aに設けられた円柱状の突起先端部103とを有
し、突起基部104には、突起基部104の先端たる上端104Aから筒部55の中心側に向かって断面積が拡大する拡大肉厚部105が形成されると共に、突起基部104の筒部55の径方向外側が、外側に向かって断面積が拡大せず、拡大肉厚部105により複数の突起基部104が、先端側ほど互いに離れるように形成されるから、前記回転施療子5を人体に押し当てた際、前記施療用突起56同士が触れにくくなるので、これらの施療用突起56が人体の皮膚を掴むようにして、良好に頭皮ケアを行うことができる。
【0047】
また、複数の前記突起基部104が、先端側ほど互いに離れるように形成されるから、前記突起先端部103同士の間隔を大きくして、前記施療用突起56同士をより触れ難くすることができる。
更に、
施療用突起56の先端面56Aに突設された複数の小突起57を有し、複数の施療用突起56の中央における筒部55の先端面たる上面55Aから小突起57の先端までの長さに対して、突起基部104の長さが3分の1以上、2分の1以下であるから、拡大肉厚部105による施療用突起56の中央側への変形防止効果が得られる。
【0048】
更に
、前記突起基部104に、前記筒部55の筒部上面55Aの中央側に拡大肉厚部105を設けたから、前記施療用突起56の中央側への変形を抑制することができる。また、前記拡大肉厚部105が、前記突起基部104の周囲の2分の1以上、即ち拡大肉厚部105の左,右側部105S,105Sの間隔が突起基部104の周囲の2分の1以上であるから、中央側への前記施療用突起56の倒れを効果的に防止できる。
また、実施例上の効果として、前記拡大肉厚部105が凹状に湾曲しているから、前記突起基部104,104の間のスペースを確保し、毛量の多い人の使用に適したものとなる。また、前記取付軸65を挿入する挿入孔111には切欠き溝112が放射状に設けられているから、前記挿入孔111への取付軸65の挿入作業が容易になると共に、確実な取付状態が得られる。
【0049】
以下、他の実施例上の効果として、フレーム2と、このフレーム2に収納される電動機3と、この電動機3の回転運動を伝達する伝達機構4と、この伝達機構4によって回転させられる回転機構部7と、この回転機構部7に連結された複数の回転施療子5,5とを有する頭皮ケア器1において、前記回転機構部7が、複数の第一傘歯車たる傘歯車35L,35Rと、これらの傘歯車35L,35Rと噛み合う第二傘歯車たる従動側傘歯車36L,36Rとを有し、これらの従動側傘歯車36L,36Rの回転軸136L,136Rを前記傘歯車35の回転軸135L,135Rに対し傾斜させると共に、前記従動側傘歯車36L,36Rと前記回転施療子5,5を連結させたから、複数の前記回転施療子5,5の回転軸同士が傾斜するようにしても、確実に歯車同士を噛み合わせて円滑に前記回転施療子5,5を回転させることができる。
【0050】
また、複数の前記回転施療子5,5同士が内側を向くように、複数の第二傘歯車たる前記従動側傘歯車36L,36Rの回転軸136L,136Rを傾斜させたから、頭皮の湾曲形状に倣って前記回転施療子5,5の先端を頭皮に当てることができるので、頭皮ケア効果を向上させることができる。
【0051】
更に、複数の前記回転施療子5,5が面対称状に配列されると共に、面対称状となる前記回転施療子5,5の左側部分83Lと右側部分83Rとが、面対称に回転するから、頭皮に当てた回転施療子が回転しても、回転に伴って前記フレーム2を移動させようとする力が打ち消され、頭皮に対して前記フレーム2を移動させようとする力が発生せず、このフレーム2を容易に安定して保持することができる。
【0052】
また、実施例上の効果として、フレーム2と、このフレーム2に収納される電動機3と、この電動機3の回転運動を伝達する伝達機構4と、この伝達機構4に接続された施療子とを有する頭皮ケア器において、前記伝達機構4が、回転機構部7と、この回転機構部7の回転を往復動に変換する変換機構部8とを備え、前記施療子が、前記回転機構部7に接続されて回転運動を行う回転施療子5と、前記変換機構部8に接続されて往復運動を行う往復施療子6とを備えることで、従来に比べて人の手に近い動きでマッサージすることができるので、頭皮ケア効果を向上させることができる。
【0053】
また、前記回転施療子5及び往復施療子6を面対称状に配列すると共に、面対称状となる前記回転施療子5の第一部分である左側部分83Lと、第二部分である右側部分83Rとを、逆方向に回転させることにより、人が両手でマッサージをするのに近い動きでマッサージすることができるので、頭皮ケア効果を向上させることができる。
【0054】
更に、前記左側部分83Lと右側部分83Rとが、それぞれ複数の回転施療子5,5を有すると共に、前記左側部分83Lの回転施療子5,5同士及び前記右側部分83Rの回転施療子5,5同士を、それぞれ同一方向に回転させることにより、人が両手で行うマッサージにより近付けてマッサージすることができるので、頭皮ケア効果を向上させることができる。
【0055】
しかも、前記伝達機構4のうち、外側に設けられた回転施療子5,5を回転させるための部分である従動側傘歯車36L,36Rを、内側に設けられた回転施療子5,5を回転させる部分である中央歯車32L,32Rに対して内側に傾けて設けることにより、頭皮の湾曲形状に倣って前記回転施療子5,5の先端を頭皮に当てることができるので、頭皮ケア効果を向上させることができる。
【0056】
更に、実施例上の効果として、回転中心が前後方向の上部減速歯車群20と、回転中心が上下方向の前側駆動歯車群31及び後側駆動歯車26とを、上側中間伝達歯車21及び下側中間伝達歯車25で連結したことにより、前記フレーム2、ひいては前記頭皮ケア器1の小型化が可能となる。また、中央の前記回転施療子5,5に対して外側の前記回転施療子5,5を斜め後側に配置し、更に、従動側傘歯車36の回転中心を、前記中央歯車32L,32Rの回転中心に対して内側後向きに傾斜させたことにより、人の指に近いマッサージ感覚が得られる。また、前記変換機構部8を、前記後側駆動歯車26に設けたカム突起41と、このカム突起41が係入するカム枠部43と、このカム枠部43を軸支する取付ケース46とを有するように構成したことにより、回転運動を往復運動に変換する機構をコンパクト化することができる。更に、前記取付軸65の揺動係合部68の軸挿通孔69に支軸70を挿通したことで、前記取付軸65、ひいてはこれに取り付けられる前記施療子本体51が、その軸回りに回動するのが前記支軸70によって妨げられるので、マッサージ時に前記施療子本体51によって頭皮をしっかり掴んで効果的にマッサージすることができる。また、この際、前記揺動係合部68と軸挿通孔69との係合により、前記カム部66が前記中央歯車32L,32R及び傘歯車36L,36Rの下面に当接しないように支持するため、カム機構を構成する前記カム部66とカム受け部61との動作を円滑に行うことができる。
【実施例2】
【0057】
図19は本発明の実施例2を示しており、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。この例は、回転施療子5の変形例を示している。この例の施療子本体51は、複数(4本)の施療用突起56を有し、これらの施療用突起56は、略裁頭円錐形をなす。また、前記施療用突起56の中心軸56Lは、筒部55の中心軸55Lに対して外側に向くように斜設されている。これにより、複数の前記施療用突起56…同士は、それらの軸方向が先端側に向かって広がる。また、この例では、前記各施療用突起56は、それらの基端の直径寸法に対して、先端の直径寸法(先端面における直径寸法)を2分の1以下としている。
【0058】
また、前記各施療用突起56の外面における前記中心軸55Lの反対側(以下、反中心軸側部分)56H…は、互いに略平行である。そして、前記中心軸55Lを挟んで対向する前記反中心軸側部分56H,56H同士の間隔は、前記施療子本体51の最大外径寸法を有する下円筒部101より小さい。従って、前記下円筒部101の平面内に、全ての前記反中心軸側部分56H…が位置する。なお、前記筒部55の上面55Aの中央において、前記各施療用突起56…の基端(下端)間には間隔が設けられている。
【0059】
このように本実施例では、フレーム2と、このフレーム2に収納される電動機3と、この電動機3の回転運動を伝達する伝達機構4と、この伝達機構4によって回転させられる回転機構部7と、この回転機構部7に連結された複数の回転施療子5,5とを有する頭皮ケア器1において、前記回転施療子5が、筒部55と、この筒部55の先端に一体に突設される複数の略円錐状の施療用突起56とを有し、これらの施療用突起56が、その軸56Lの方向が先端側ほど広がるように形成されるから、前記回転施療子5を人体に押し当てた際、前記施療用突起56同士の先端が広がるように人体に当接するので、これらの施療用突起56が人体の皮膚をも掴むようにして、良好に頭皮ケアを行うことができる。
【0060】
また、前記筒部55の中心軸55Lに対し、前記施療用突起56の外面における反中心軸側部分56H…同士が互いに平行か又は先端側ほどやや狭まるように形成されるから、成形時の型抜きが容易となり、前記回転施療子5の製造を容易に行うことができる。なお、前記施療用突起56の外面における反中心軸側部分56H…同士が先端側ほどやや狭まるように形成する場合も、前記各施療用突起56…の軸方向、即ち前記各中心軸56L…同士は、先端側ほど広がるように、前記中心軸55Lに対して傾斜して形成される。
【0061】
また、実施例上の効果として、前記各施療用突起56が、略裁頭円錐形であるから、毛量の多い髪の毛内に挿入して先端を頭皮に当て易くなる。
【実施例3】
【0062】
図20〜
図21は本発明の実施例3を示しており、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。この例の施療子本体51は、複数(3本)の施療用突起56を有し、これらの施療用突起56は略裁頭円錐形をなす。また、3本の前記施療用突起56は、それらの中心軸56L…が筒部55の中心軸55Lに対して外側に向くように斜設されており、これにより、複数の前記各施療用突起56…同士は、それらの軸方向が先端側に向かって広がる。また、この例では、前記各施療用突起56は、それらの基端の直径寸法に対して、先端の直径寸法(先端面における直径寸法)を5分の4以下としている。
【0063】
また、前記各施療用突起56の先端面56Aに設けた小突起57の中心軸は、前記筒部55の中心軸55Lと同一方向をなす。なお、前記筒部55の中心軸55Lは、前記施療子本体51の中心軸である。
【0064】
このように本実施例では、回転施療子5が、筒部55と、この筒部55の先端に一体に突設される複数の略円錐状の施療用突起56とを有し、これらの施療用突起56が、それらの軸方向が先端側ほど広がるように形成されるから、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【0065】
また、実施例上の効果として、前記各施療用突起56が3本であるから、これらの施療用突起56…間の間隔を確保することができ、これにより、髪の毛の間に複数の前記施療用突起56を挿入し易くすることができる。また、前記各施療用突起56は、前記中心軸55Lに対して斜めになっているが、前記小突起57の中心軸が前記中心軸55Lと略平行であるから、複数(4本)の前記各小突起57の先端を頭皮に均一に当てることができる。
【実施例4】
【0066】
図22〜
図28は本発明の実施例4を示しており、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。この例は、電動機3を縦向きに配置し、歯車ケース14をその下部に配置すると共に、この歯車ケース14の下部から駆動軸3Aを下向きに突設している。なお、この駆動軸3Aは、図示しないフレームの上部で且つ前後方向一側(前側)に配置されている。
【0067】
前記駆動軸3Aには、駆動歯車15が設けられている。また、中間伝達歯車91は、歯数の多い大歯車部91Bと歯数の少ない小歯車部91Sとを有している。そして、歯数の多い前記大歯車部91Bは、前記駆動歯車15と噛み合っている。なお、前記中間伝達歯車91の回転軸91Kは、上下方向をなす。この回転軸91Kと回転機構部92の他の歯車の回転軸は平行であり、それら歯車はフレーム等に回動可能に軸支されている。
【0068】
図24等に示すように、前記中間伝達歯車91は、フレームの前後方向中央で且つ左右方向右側寄りに位置している。そして、前記中間伝達歯車91の小歯車部91Sの前後には、前記回転施療子5を駆動する前側駆動歯車群31F及び後側駆動歯車群31Bが接続されている。
【0069】
前記前側駆動歯車群31Fと後側駆動歯車群31Bは、前記回転施療子5の向きが異なるように構成したこと以外は同一構成である。詳述すると、前記中間伝達歯車91の小歯車部91Sは、前記前側駆動歯車群31Fと後側駆動歯車群31Bを構成する中央歯車32Lと噛み合っている。そして、前記前側駆動歯車群31Fと後側駆動歯車群31Bは、隣接する前記中央歯車32Lと中央歯車32Rとが噛み合っている。更に、前記前側駆動歯車群31Fと後側駆動歯車群31Bは、隣接する前記中央歯車32Lと外側歯車33Lとが噛み合っていると共に、隣接する前記中央歯車32Rと外側歯車33Rとが噛み合っている。また、前記中央歯車32L,外側歯車33L,中央歯車32R及び外側歯車33Rの回転中心が一直線上に並ぶことで、前後左右の4箇所に、施療子回転部9,9,9,9が設けられている。なお、前記外側歯車33L,33Rの中心軸線135L,135Rは、前記中間伝達歯車91の回転軸91Kと平行である。
【0070】
前記外側歯車33L,33Rには、それぞれ第一傘歯車である傘歯車35L,35Rが形成されている。また、これらの傘歯車35L,35Rには、それぞれ第二傘歯車である従動側傘歯車36L,36Rが噛み合うように設けられている。そして、前記従動側傘歯車36L,36Rは、それぞれの中心軸線136L,136Rが、前記傘歯車35L,35R(即ち、前記外側歯車33L,33R)の中心軸線135L,135Rに対し、中心点93に向かって傾斜している。なお、前記傘歯車35L,35Rの中心軸線135L,135Rに対する従動側傘歯車36L,36Rの中心軸線136L,136Rの傾斜角度は、15度程度である。即ち、前記前側駆動歯車群31F及び後側駆動歯車群31Bの前記従動側傘歯車36L,36R,36L,36Rの中心軸線136L,136R,136L,136Rは、下方において1点で交差する。そして、前記中間伝達歯車91、前側及び後側駆動歯車群31F,31Bにより、前記電動機3の回転運動を伝達する伝達機構94が構成され、前側及び後側駆動歯車群31F,31Bにより、前記回転機構部92が構成されている。
【0071】
図28は、前記回転施療子5の動作を説明する図面である。同図に示すように、対称面95を基準として、前記前側駆動歯車群31Fと後側駆動歯車群31Bは、前後方向に面対称となっている。同様に、対称面96を基準として、前記前側駆動歯車群31Fと後側駆動歯車群31Bは、それぞれ左右方向に面対称となっている。なお、前記対称面95と対称面96は、前記中心点93にて直交する。また、前記前側駆動歯車群31Fの右の外側歯車33Rと前記後側駆動歯車群31Bの左の外側歯車33Lの中心とを結ぶ仮想線97と、前記後側駆動歯車群31Bの右の外側歯車33Rと前記前側駆動歯車群31Fの左の外側歯車33Lの中心とを結ぶ仮想線98とが、前記中心点93において交差する。
【0072】
そして、前記回転施療子5は、前記対称面95の前後に位置する前側部分(第一部分)83Fと後側部分(第二部分)83Bが面対称となるように配置されていると共に、面対称状に動作する。同様に、前記回転施療子5は、前記対称面96の左右に位置する左側部分(第一部分)83Lと右側部分(第二部分)83Rが面対称となるように配置されていると共に、面対称状に動作する。具体的には、全ての前記回転施療子5,5,5,5の先端は、前記仮想線97,98の延長線上で、且つ前記中心点93から最も離れた位置である基準位置に、同時に位置することができる。ここから、前記電動機3が動作すると、前記前側部分83Fの回転施療子5,5,5,5の先端は、底面視で、右側が右回り、左側が左回りに同一速度で回転すると共に、後側部分83Bの回転施療子5,5の先端は、右側が左回り、左側が右回りに同一速度で回転する。なお、
図28において、前記回転施療子5,5が前記基準位置から90度回転した位置に「△」を付し、180度回転した位置に「○」を付し、270度回転した位置に「×」を付しており、360度回転して戻った基準位置に「●」を付している。
【0073】
上記のように、前記前側部分83Fと後側部分83Bで、前記回転施療子5,5,5,5は面対称形に配置されると共に、面対称状に動作する。同様に、前記左側部分83Lと右側部分83Rで、前記回転施療子5,5,5,5は面対称形に配置されると共に、面対称状に動作する。
【0074】
そして、図示しないスイッチにより、前記電動機3を駆動し、頭皮に前記施療子5を当てると、前記回転施療子5の先端が円運動して、頭皮をマッサージすることができる。この際、頭皮ケア器の前後左右において、回転施療子5,5が頭皮をマッサージすることができる。
【0075】
また、前記前側部分83Fと後側部分83Bとで回転施療子5の先端が同期して逆方向に回転すると共に、前記左側部分83Lと右側部分83Rとで回転施療子5の先端が同期して逆方向に回転するため、頭皮に前記回転施療子5を当てた状態で前記頭皮ケア器が揺れず、安定してマッサージを行わせることができる。
【0076】
なお、本実施例では、前記回転施療子5の施療子本体51が省略されているが、これらの施療子本体51は、上記各実施例のものと同一である。即ち、本実施例は、実施例1における施療子本体51以外の部分の違いについて述べただけで、施療子本体51自体の作用効果は、上記各実施例と同じである。
【0077】
実施例上の効果として、本実施例では、フレームと、このフレームに収納される電動機3と、この電動機3の回転運動を伝達する伝達機構94と、この伝達機構94によって回転させられる回転機構部92と、この回転機構部92に連結された複数の回転施療子5,5,5,5とを有する頭皮ケア器において、前記回転機構部92が、複数の第一傘歯車たる傘歯車35L,35Rと、これらの傘歯車35L,35Rと噛み合う第二傘歯車たる従動側傘歯車36L,36Rとを有し、これらの従動側傘歯車36L,36Rの回転軸136L,136Rを前記傘歯車35の回転軸135L,135Rに対し傾斜させると共に、前記従動側傘歯車36L,36Rと前記回転施療子5,5を連結させたから、複数の前記回転施療子5,5,5,5の回転軸同士が傾斜するようにしても、確実に歯車同士を噛み合わせて円滑に前記回転施療子5,5,5,5を回転させることができる。
【0078】
また、複数の回転施療子5,5,5,5が面対称状に配列されると共に、面対称状となる回転施療子5,5,5,5の前側部分(第一部分)83Fと後側部分(第二部分)83Bとが面対称に回転すると共に、面対称状となる回転施療子5,5,5,5の左側部分(第一部分)83Lと右側部分(第二部分)83Rとが面対称に回転するから、頭皮に当てた回転施療子5,5,5,5が回転しても、回転に伴って発生する頭皮ケア器を移動させようとする力が打ち消され、頭皮に対して頭皮ケア器を移動させようとする力が発生せず、頭皮ケア器を容易に安定して保持することができ、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0079】
更に、前記前側部分83Fと後側部分83Bとで、また、前記左側部分83Lと右側部分83Rとで、前記回転施療子5,5,5,5が面対称形に配置されているから、均一なマッサージ効果が得られる。また、前記電動機3を縦向きに配置すると共に前記駆動軸3Aを下向きにしたから、実施例1の冠歯車22が不要となり、前記伝達機構94を簡略化することができる。
【0080】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、施療用突起の数は2本以上あればよいが、施療効果などを考慮すると3本以上が好ましい。また、施療用突起は、取付軸の位置を固定し、この取付軸が回転するタイプのものに用いてもよい。また、実施例1では、往復施療子を左右一対設けたが、往復施療子を一つだけ設けてもよい。この場合、往復施療子は、対称面上に位置させることになる。また、上記各実施例では、伝達機構及び回転機構部を歯車により構成したが、その全部又は一部をスプロケットとチェーン、又はプーリーと無端状ベルト等により構成してもよい。また、上記各実施例では、施療子を面対称状に配置したが、面対称状に配置しなくてもよく、左側部分(第一部分)と右側部分(第二部分)にそれぞれ複数、好ましくは同数の回転施療子を配置し、互いに逆方向に回転駆動するようにしてもよい。更に、上記実施例では、回転施療子は、その端部に形成されたカム部が中央歯車又は傘歯車に形成されたカム受部と係合するように構成されるが、回転施療子を中央歯車又は傘歯車と一体的に構成しても良い。
【符号の説明】
【0081】
1 頭皮ケア器
2 フレーム
3 電動機
5 回転施療子
7 回転機構部
55 筒部
55A 上面(先端面)
55L 中心軸
56 施療用突起
56A 先端面
56H 反中心軸側部分
56L 中心軸
57 小突起
103 突起先端部
104 突起基部
104A 上端(先端)
105 拡大肉厚部