【実施例1】
【0024】
以下、本発明の実施例1について、
図1〜
図16に基づいて説明する。1は本発明の精米器である。この精米器1は、精米器本体2と、糠受容器3と、精米容器4と、精米体5と、蓋体6とを有して構成される。
【0025】
前記精米器本体2は、上外殻体7とこの上外殻体7の底部を塞ぐ下外殻体8とで構成される外殻体9を有する。それら上外殻体7と下外殻体8は合成樹脂などからなる。また、前記上外殻体7の中央から後方には、上方が開放した有底円筒凹状の収納凹部形成部7Bが設けられている。また、この収納凹部形成部7Bの底部中央には、貫通孔7Cが形成されると共に、この貫通孔7Cを囲んで筒状部7Dが突設されている。
【0026】
合成樹脂からなる前記収納凹部形成部7Bの内周面及び底面には、内装部材10が配置されている。この内装部材10は、円筒状の側面部10Aと、中央が開口した底面部10Bとを一体に有している。そして、前記側面部10Aと収納凹部形成部7Bとの間には、断熱空間11が設けられている。前記内装部材10は、熱良導性金属等からなる。なお、熱良導性とは、収納凹部形成部7Bに用いる材料より熱伝導率が高いことを示す。そして、前記内装部材10と収納凹部形成部7Bの底面中央部によって、収納凹部7Aが形成されている。また、内装部材10の上縁には、鍔部10Cが周設され、この鍔部10Cの外縁には、該鍔部10Cを上下から挟むようにシリコンゴムやエラストマー樹脂などからなるシール部材18が設けられている。
【0027】
また、前記側面部10Aの外周には、加熱ヒータたる線状ヒータ12が間隔をおいて巻装されている。このように、前記線状ヒータ12は、前記収納凹部7Aの周りを囲んでいる。なお、前記線状ヒータ12は、前記断熱空間11内に収納されている。また、前記収納凹部形成部7Bの上部には、段部7Eが周設され、この段部7Eの上面に前記シール部材18が固定されている。
【0028】
前記外殻体9の内部には、駆動機構13が収容されている。この駆動機構13は、前記下外殻体8に固定された金属製のフレーム14と、このフレーム14に取り付けられるベアリングケース15と、前記フレーム14に取り付けられる電動機16と、前記フレーム14の後部に軸支される一次従動軸17と、前記フレーム14を貫通して下方に延びる前記電動機16の回転軸に取り付けられる小プーリ(図示せず)と、前記フレーム14を貫通して下方に延びる前記一次従動軸17の下端に取り付けられる大プーリ19と、これらの小プーリと大プーリ19との間に掛け渡される無端状の駆動ベルト20と、前記ベアリングケース15を貫通して上方に延びる前記一次従動軸17の上端に取り付けられる一次接続部21とを有して構成される。
【0029】
なお、前記フレーム14の後部には、凹状の軸受嵌入部14Aが形成されると共に、この軸受嵌入部14Aを覆うようにして、前記フレーム14の上面に前記ベアリングケース15が取り付けられる。そして、このベアリングケース15の中央上部には、ベアリング22が嵌入固定されると共に、前記軸受嵌入部14Aにも別のベアリング23が嵌入固定されている。そして、これらの上下一対のベアリング22,23により、前記フレーム14及びベアリングケース15を貫通する前記一次従動軸17は、その中心軸が垂直方向となるように回動自在に軸支されている。また、前記一次接続部21は、前記貫通孔7Cから前記収納凹部7A内に露出する。
【0030】
前記収納凹部7Aには、米から取り除かれる糠を受けるための前記糠受容器3が着脱可能に挿入される。この糠受容器3は、ほぼ有底円筒状に形成され、合成樹脂製の容器上部24と容器下部25との間に熱良導性金属板を筒状に形成した伝熱部26が設けられている。前記容器下部25の底部25Aの中央には、前記収納凹部7Aの貫通孔7Cに対応してこの貫通孔7Cと同軸的に貫通孔25Bが形成されると共に、この貫通孔25Bから上方に延びて前記一次接続部21と後述する二次接続部39の外周を覆うように、筒状部25Cが形成されている。
【0031】
また、前記伝熱部26は2枚の熱良導性金属板27,27をプレスなどにより略半円状に成形し、これらの金属板27,27における周方向の縁同士を合成樹脂製の帯状連結部28,28により連結して筒状に形成してなる。なお、前記各金属板27,27は、プレスされる前には平板状をなす。このように、板状の前記熱良導性金属板27,27を用いて前記伝熱部26を形成することで、前記糠受容器3を容易且つ安価に製造することができる。また、
図5に示すように、前記各金属板27,27の上下には、係合受け部たる係合孔29が複数穿設されている。前記容器上部24の下縁と前記容器下部25の上縁には、それぞれ前記各金属板27,27の上縁と下縁を挿入する縁連結部30,30を設けている。これらの縁連結部30,30は、
図6に示すように、外板部30Aと内板部30Bとの間に、前記金属板27を挿入する隙間30Cを設け、前記内板部30Bの外面に前記係合孔29に係止する係止突起31が設け、この係止突起31に対応して、前記外板部30Aに開口部32を設けている。なお、前記容器下部25の上縁の前記縁連結部30は、
図6と上下が逆になる。
【0032】
従って、前記各金属板27,27の上縁と下縁を上下の前記各縁連結部30,30の隙間30C,30Cに挿入し、前記係合孔29に前記係止突起31を係止することにより、前記容器上部24と前記各金属板27,27と前記容器下部25とを連結一体化することができる。
【0033】
前記糠受容器3には、米を収容するための前記精米容器4が着脱可能に挿入される。なお、この精米容器4は金属製である。前記精米容器4は、略円筒状の網状部34と、この網状部34の下部に固定された底部材35と、前記網状部34の上部に固定された上縁部材36と有する。前記底部材35の中央には、上方に突出した軸受筒部35Aが形成されている。前記網状部34には、米粒を通さず且つ糠を通す程度の大きさの孔が多数形成されている。
【0034】
また、前記底部材35には、前記精米容器4を前記糠受容器3に対して位置決めさせると共に、取り除かれた糠等が前記貫通孔7Cから前記精米器本体2内に侵入するのを防ぐための、短円筒状に形成された筒状部35Bが設けられる。そして、前記底部材35を貫通して、二次従動軸38が、その中心軸が垂直となるように、前記軸受筒部35Aに対して回動自在に軸支されている。更に、前記二次従動軸38の上端側は、断面が正六角形に形成されている。また、前記二次従動軸38の下端には、前記一次接続部21に対応して二次接続部39が取り付けられている。そして、前記一次接続部21と二次接続部39とで、前記一次従動軸17の回転を前記二次従動軸38に伝達するカップリング40が構成される。
【0035】
また、
図9等に示すように、前記精米容器4の開口上縁部たる容器上部24の上端には鍔部24Aが周設され、この鍔部24Aの外縁から下方に短筒状の垂設部24Bが周設されている。そして、前記糠受容器3内に前記精米容器4を挿入した状態で、容器上部24の垂設部24Bの下端が前記シール部材18の上面に当接する。
【0036】
前記精米容器4内の二次従動軸38には、前記精米容器4内の米を撹拌する前記精米体5が着脱可能に取り付けられる。この精米体5は、前記二次従動軸38に係合した状態では、前記精米容器4の内部に位置する。そして、前記精米体5は、前記二次従動軸38の上端側に係合した状態で、該二次従動軸38と同軸となる軸体41と、この軸体41の下部からこの軸体41の軸方向に対して放射方向に突出して設けられた撹拌部42とで構成される。また、前記撹拌部42は、ステンレス鋼等によって形成され、先端部42Aは上向きで先鋭に形成されている。
【0037】
なお、本実施例の精米器1では、最小精米量は約0.18L(1合)、最大精米量は約0.54L(3合)である。
【0038】
前記収納凹部7Aは、前記糠受容器3及び精米容器4を収納する収納部であって、前記収納凹部7Aは、上部に開口部43を有し、この開口部43に前記蓋体6が開閉可能に取り付けられる。具体的には、前記蓋体6はヒンジ部44により、精米器本体2の後部に開閉可能に枢着されている。なお、前記開口部43の周囲には、蓋受部たる平坦な開口上面部43Aが設けられている。
【0039】
また、前記開口部43の左右には、前記精米器本体2の左右内周面を切り欠いて、係合凹部45,45が形成されている。また、これらの係合凹部45,45に係合する係合部たる取手46,46が、前記糠受容器3の上部左右に設けられている。
【0040】
一方、前記精米容器4の前記上縁部材36には、弦状の把持部47が揺動自在に取り付けられる。
【0041】
図5に示すように、前記糠受容器3の容器上部24における前記鍔部24Aの内周面24Cには、複数の突起51が周方向等間隔に設けられおり、これらの突起51の内面と容器上部24の内面とが面一に形成されている。また、前記各突起51の縦方向の左右縁部52,52は平行に形成され、突起51の上端は上方に向かった幅狭になるように形成されている。なお、この例では、突起51の上端は山形に形成されている。
【0042】
更に、前記突起51,51間に設けられた凹部面53は、上から下に向かって前記糠受容器3の内面側に向かうように傾斜している。このように、前記凹部面53が前記糠受容器3の内側に向かって低くなるように形成されることで、糠が前記凹部面53に溜まりにくく、また、溜まったとしても容易に除去することができる。
【0043】
なお、前記容器上部24は、上述のように、前記突起51,51や凹部面53を複数有するような複雑な構造となる。従って、金属板をプレスして糠受容器全体を製造するのは困難である。しかしながら、前述の通り、前記容器上部24を合成樹脂で形成すれば、複雑な構造であっても、容易に製造することができる。従って、前記糠受容器3の上部を合成樹脂製の前記容器上部24とし、この容器上部24の下方に熱良導性金属板27,27からなる前記伝熱部26を設けることで、製造性と熱伝導性を両立させることができる。
【0044】
前記精米容器4の上縁36Aには、前記糠受容器3の複数の前記各突起51に対応して、隣り合う前記各突起51,51間に係入する係入凸部54が下向きに設けられる。この例では、周方向において略180度対向する位置に、前記係入凸部54を設けている。この係入凸部54は、山形をなす斜辺部55,55を有し、製造においては、前記上縁36Aの幅方向中央側に、切込み56を形成し、この切込み56と上縁36Aの外縁との間の部分をプレスすることにより、山形をなす斜辺部55,55を成形している。
【0045】
前記精米器本体2及び蓋体6には、前記精米容器4内の米に水分を供給する給水手段61が設けられている。そして、前記線状ヒータ12により精米容器4を加熱し、前記給水手段61により前記精米容器4内の米に水分を供給することにより、米粒中のGABAを富化させることができる。
【0046】
前記給水手段61は、前記精米器本体2に倒立状態で着脱可能に取り付けられる水タンク62と、前記精米器本体2内に設けられ前記水タンク62から供給された水を蒸発させる蒸気ユニット72と、この蒸気ユニット72で生成した蒸気を前記糠受容器3と蓋体6とで囲まれる空間に供給する蒸気経路64とを有する。
【0047】
前記水タンク62は、透明なタンク本体65と、このタンク本体65の開口部66に着脱自在に設けられたキャップ67とを備える。前記精米器本体2の左側面上部には、前記水タンク62を上下方向から着脱自在に装着する取付凹部68が設けられ、この取付凹部68の底面68Aに前記キャップ67に接続する押圧突起69が突設されている。なお、この押圧突起69内には、液体通路(図示せず)が設けられている。
【0048】
また、取付凹部68は、前記開口上面部43Aに上部が開口すると共に、前記上外殻体7の側面上部に側面開口部68Bを有し、側面開口部68Bより幅広な内側面68Cが設けられている。従って、平面視において、取付凹部68は内側面68Cより側面開口部68Bが幅狭に形成されている。
【0049】
前記水タンク62のタンク本体65は、前記取付凹部68の平断面と略同一の平断面の部分を有すると共に、前記内側面68Cに対応する幅広な側面部65Aを有する。また、前記タンク本体65の側部には、前記側面開口部68Bから外部に突出する中空な膨出部65Bが設けられている。そして、前記タンク本体65の底部65Cと膨出部65Bとの間には、下傾斜部65Dが設けられる。また、
図2に示すように、前記底部65Cは閉成状態の前記蓋体6に覆われ、前記膨出部65Bは外部に露出する。また、取付状態で前記底部65Cは、前記開口上面部43Aの上に突出する。また、前記膨出部65Bの上部には、指掛け部たる上傾斜部65Eが設けられている。なお、前述した通り、前記水タンク62は倒立状態で前記取付凹部68に取り付けられるので、底部65C及び下傾斜部65Dが上方に位置し、前記上傾斜部65Eが下方に位置する。そして、前記タンク本体65は、前記底部65Cから前記開口部66に向かって僅かに幅狭になるように形成されている。
【0050】
このように、前記取付凹部68に前記水タンク62を装着した状態で、この水タンク62の側部である膨出部65Bが前記精米器本体2の側部から突出するので、膨出部65Bの上傾斜部65Eに指を掛けて持ち上げることで、前記水タンク62の取り外しを簡便に行うことができる。一方、前記取付凹部68に取り付けた状態で、前記底部65Cが前記開口上面部43Aと面一になる場合、押し込む位置によっては、使用者の指の皮が前記水タンク62と取付凹部68との間に軽く挟まる虞がある。しかしながら、前記取付凹部68に取り付けた状態で、前記底部65Cが前記開口上面部43Aの上に突出するから、前記精米器本体2に触ることなく、即ち、指を前記水タンク62と取付凹部68との間に挟んだりすることがないようにして、前記底部65Cを押して前記水タンク62を前記取付凹部68に押し込むことができる。
【0051】
前記精米器本体2内には、ポンプ71と、前記蒸気ユニット72とが設けられている。
図8に示すように、これらポンプ71と蒸気ユニット72はブラケット73に取り付けられている。また、前記ポンプ71の吸込口71Aは、管路たるチューブ74により、前記押圧突起69の下部と連結されている。一方、前記ポンプ71の吐出口71Bは、管路たるチューブ74Aにより、前記蒸気ユニット72の流入口72Aと連結されている。更に、前記ブラケット73の上部には終端接続部75が突設され、この終端接続部75と前記蒸気ユニット72の流出口72Bとが、管路たるチューブ74Bにより接続されている。そして、前記チューブ74Bと前記終端接続部75が、本体側蒸気経路76である。
【0052】
前記蒸気ユニット72は、内部に流路(図示せず)を備えると共に、この流路を流れる水を加熱して蒸発させる蒸発ヒータ77が設けられている。この蒸気ユニット72の蒸発ヒータ77は電熱ヒータであり、前記ヒータ77の端子77A,77Aが前記蒸気ユニット72の上部の左右に突設されている。
【0053】
従って、前記ポンプ71が作動すると、前記水タンク62内の水が吸引されて、前記流入口72Aから前記蒸気ユニット72内に送り込まれ、送り込まれた水が前記蒸気ユニット72内で蒸発し、その蒸気が前記チューブ74Bを通って前記終端接続部75に送られる。
【0054】
図4に示すように、前記終端接続部75は、前記開口上面部43Aの左前側に突設され、前記取付凹部68に近接している。また、前記開口上面部43Aの右前側には、蓋開閉検出スイッチ78が設けられている。
【0055】
前記蓋体6は、蓋本体81と、この蓋本体81の下面に着脱自在に設けられた内蓋82とを有する。前記内蓋82は略円板型をなし、この内蓋82の周囲には2箇所の突出部83,84が周方向外側に突設されている。一方の突出部83は、前記終端接続部75に対応し、他方の突出部84は、前記蓋開閉検出スイッチ78に対応して設けられている。そして、前記他方の突出部84の先端側下面には、前記蓋体6を閉めた際に前記蓋開閉検出スイッチ78を操作して押す押圧部84Aが設けられている。
【0056】
また、前記内蓋82の周囲には、環状のパッキン85が着脱自在に設けられている。このパッキン85は、前記内蓋82の外縁部82Aに着脱自在に外嵌するコ字形の外嵌部86と、前記糠受容器3の鍔部24Aの上面に当接する舌片部87と、前記精米容器4の前記上縁部材36の上縁36Aの上面に当接する内縁部88とを一体に有する。
【0057】
また、
図9等に示すように、内蓋82の下面には短筒状の押え部82Bが設けられ、蓋体6を閉じた状態で、この押え部82Bと前記上縁部材36の上縁36Aとの間に前記内縁部88が挟まれる。また、前記糠受容器3の鍔部24Aの内側には、短筒状の押え部24Dが突設され、蓋体6を閉じた状態で、前記押え部24Dと前記内蓋82の外縁部82Aの下面との間に前記内縁部88が挟まれる。
【0058】
このようにして前記蓋体6を閉めると、前記パッキン85により、前記糠受容器3と精米容器4の上部開口がシールされる。
【0059】
また、前記蓋本体81の下面には、リング状の当接枠部91が形成され、この当接枠部91には前記2箇所の突出部83,84が係合する2箇所の係合凹部92,93が設けられている。なお、
図9に示すように、前記蓋本体81に前記内蓋82を取り付けた状態で、前記当接枠部91の下面が前記パッキン85の外嵌部86の上面に当接する。
【0060】
更に、前記蓋本体81の中央側には、弾性体からなる略円柱状の蓋固定部材94が突設されている。そして、この蓋固定部材94を挿入する挿入孔95が、前記内蓋82に穿設されている。また、前記蓋固定部材94には、前記挿入孔95に係脱可能な凹溝状の係止部94Aが周設されている。更に、前記蓋本体81の下面には、短筒状の係合壁部91Aが突設され、一方、前記内蓋82の上面には、前記係合壁部91Aが係入する短筒状の係合受け壁部82Cが突設されている。
【0061】
そして、前記挿入孔95に前記蓋固定部材94の先端側を挿入し、前記突出部83,84を対応する前記係合凹部92,93に係入すると共に、前記係合壁部91Aの外側に短筒状の前記係合受け壁部82Cを遊嵌し、前記蓋固定部材94の係止部94Aを前記挿入孔95に係止することにより、前記蓋本体81の下面に前記内蓋82を位置決め状態で取付固定することができる。
【0062】
前記蓋本体81と内蓋82との間には、蓋体側蒸気経路101が設けられている。そして、この蓋体側蒸気経路101と前記本体側蒸気経路76とにより、前記蒸気ユニット72で生成した蒸気を前記糠受容器3と蓋体6とで囲まれる空間に供給する前記蒸気経路64を構成している。
【0063】
前記蓋体側蒸気経路101は、前記突出部83の先端下面に、前記蓋体6を閉めた時に前記終端接続部75に接続する始端接続部102を有する。この始端接続部102は、略L字状の曲管103の先端に設けられ、この曲管103の基端に金属製パイプ等からなる管路104を連結している。また、この管路104は、前記内蓋82の上面に固定され、半径方向に配置されている。更に、前記管路104の端部には、略L字形の曲管105を接続し、内蓋82の中央に透孔82Dを設け、この透孔82Dに前記曲管105の終端開口105Aを固定し、該終端開口105Aを内蓋82の下面に臨ませている。この場合、この内蓋82の中心は、前記糠受容器3の中心に位置する。
【0064】
なお、前記曲管103,105は、シリコンゴムやエラストマー樹脂等の弾性部材からなり、接続状態で前記始端接続部102が前記終端接続部75に密着して気密性を確保することができる。
【0065】
前記精米器本体2の前側上面2Aと前記開口上面部43Aとの間に、前記蓋体6の厚さに対応した段部107を設ける。前記開口上面部43Aは、前記前側上面2Aより一段低く形成されている。そして、前記蓋体6を閉めることにより、この蓋体6の上面と前記前側上面2Aとが略面一となる。
【0066】
また、前記段部107の中央上部には、左右方向に長いロックボタン108が揺動可能に枢着されている。更に、前記蓋体6の前側縁には、前記ロックボタン108に係止する係止爪部109が突設されている。前記ロックボタン108は、図示しない付勢手段により係止爪部109に係止する方向に付勢されており、前記ロックボタン108の前側を押すことにより、このロックボタン108がロック解除方向に回転し、前記係止爪部109との係止が解除され、手動で前記蓋体6を開くことができる。
【0067】
また、前記精米器本体2と蓋体6との間に、位置決め部が設けられている。この位置決め部として、位置決め凹部111,111を前記蓋本体81の前側縁の左右に形成し、これらの位置決め凹部111,111が係合する位置決め凸部112,112を前記段部107に設けてなる。
【0068】
従って、前記蓋体6を閉めると、この蓋体6の前側左右で、前記位置決め凹部111,111と位置決め凸部112,112とが係合し、これにより、前記蓋体6の前側が前記開口上面部43Aに対して位置決めされ、前記終端接続部75に前記始端接続部102が正しく接続されると共に、前記蓋開閉検出スイッチ78を前記押圧部84Aが押す。
【0069】
このようにして、終端接続部75に前記始端接続部102が接続されることにより、前記蒸気ユニット72から前記蓋体6の下面中央の前記終端開口105Aに至る前記蒸気経路64が連通する。
【0070】
そして、上述した通り、前記精米器本体2に、前記水タンク62と蒸気ユニット72と本体側蒸気経路76とを設け、前記蓋体6に前記蓋体側蒸気経路101を設け、前記本体側蒸気経路76と蓋体側蒸気経路101とで前記蒸気経路64を構成し、前記水タンク62と蒸気ユニット72と蒸気経路64とで、前記給水手段61を構成することで、前記蓋体6に前記給水手段61の蓋体側蒸気経路101のみが形成されることになり、前記蓋体6を軽く容易に開閉させることができる。また、前記給水手段61中において、液体状の水の殆どが、前記精米器本体2に存在するので、前記蓋体6を開閉しても、水がこぼれにくくすることができる。更に、前記水タンク62から蒸気ユニット72迄の水の経路を短くすることができるので、前記給水手段61の経路中の残水を減らすことができる。また、前述した通り、前記位置決め凹部111,111と位置決め凸部112,112とによって、前記精米器本体2と蓋体6、ひいては前記精米器本体2に設けられた前記本体側蒸気経路76の終端接続部75と、前記蓋体6に設けられた前記蓋体側蒸気経路101の始端接続部102とが正確に位置合わせされるので、前記蒸気経路64を経由して水蒸気を確実に米粒に供給することができる。また、前記蓋体側蒸気経路101の終端開口105Aを前記糠受容器3の中央で開口させることで、水蒸気を前記精米容器4内の米粒に均等に供給することができる。
【0071】
前記蓋体6は、前記ヒンジ部44により、
図3及び
図4に示す全開位置で保持される。この全開位置では、前記内蓋82が上を向き、垂直に対して略10〜20度程度後方に傾いた状態で保持される。そして、全開位置で下側となる前記パッキン85の内縁部88には、中央側に延設した延長部88Aを設け、この延長部88Aにより露受部を構成している。また、前記延長部88Aの内端縁には、遮蔽部89を設け、この遮蔽部89が前記延長部88Aと内蓋82の下面との間を軽く塞ぐように縦方向に形成されている。
【0072】
従って、前記蓋体6を全開し、前記内蓋82の内面に付着した水滴が該内面に伝わって落下すると、前記内蓋82の内面と延長部88Aとの間に溜まり、外部に漏れることがない。なお、前記遮蔽部89の上縁は内蓋82の内面に軽く接するが、前記遮蔽部89の左右の縁と前記押え部82Bの内周面との間には米粒より狭い隙間があり、この隙間を水が通ることができる。また、前記遮蔽部89の上縁も、前記内蓋82の内面に密着している訳ではないので、前記遮蔽部89の上縁と前記内蓋82の内面との間を水が通過可能である。この場合、前記内蓋82の外縁部82Aに前記パッキン85の外嵌部86が密着して外嵌しているため、溜まった水が前記内蓋82の外面側に漏れることがない。
【0073】
一方、前記延長部88Aの内側は、前記遮蔽部89により塞がれているから、精米中の米が前記延長部88Aの内部に侵入することを防止できる。
【0074】
図12に示すように、前記前側上面2Aには、操作部121が設けられている。この操作部121には、運転/停止スイッチ122と、通常精米スイッチ123と、GABA精米スイッチ124と、量スイッチ125と、仕上げタイマースイッチ126が設けられている。前記通常精米スイッチ123を押すことにより、「通常精米」モードにおける精白度を、「3分搗き」「5分搗き」「七分搗き」「胚芽米」「白米」から選択することができる。なお、「3分搗き」は、古くなった白米を再精米する場合にも選択される。また、前記GABA精米スイッチ124を押すことにより、GABAが富化された玄米(GABA玄米)を作るモード、即ち「GABA」モードと、GABA玄米を精米してGABAが富化された白米(GABA白米)を作るモード、即ち「GABA精米」モードを選択することができる。また、前記仕上げタイマースイッチ126を押すことにより、「GABA」モードにおけるGABA玄米の仕上がり時間、又は「GABA精米」モードにおけるGABA白米の仕上がり時間を選択することができる。
【0075】
使用においては、前記精米容器4の二次従動軸38に前記精米体5を取り付けた後、前記精米容器4内に所定量の米を収容する。また、前記糠受容器3を前記精米器本体2の収納凹部7Aに取り付ける。この際、前記カップリング40を構成する前記一次接続部21は、前記筒状部7Dから上方が露出すると共に、前記筒状部25Cによって外周側方が覆われる。そして、前記精米体5が取り付けられると共に米が収容された前記精米容器4を、前記糠受容器3の内側に装着する。この際、前記カップリング40を構成する前記二次接続部39が、前記筒状部25C内に挿入されて前記一次接続部21と係合すると共に、前記筒状部25Cが、前記筒状部35Bの上部外側を僅かな間隔を隔てて覆うように装着される。これによって、精米によって玄米から分離して糠受容器3に入った糠が、前記筒状部25Cの上端の開口から漏洩するのを抑制することができる。また、前記筒状部35Bの下端内面が、前記筒状部7Dの上端外面を僅かな間隔を隔てて覆う。これによって、前記精米容器4は、前記筒状部7D、即ち前記精米器本体2に対して位置決めされる。
【0076】
そして、前記糠受容器3内に前記精米容器4を装着すると、前記糠受容器3の鍔部24Aの内周面24Cに設けられた突起51,51の間に、前記精米容器4の上縁36Aの係入凸部54が係入することにより、前記糠受容器3に対して前記精米容器4が回り止め状態で位置決めされる。
【0077】
また、前記蓋体6を閉めると、この蓋体6の始端接続部102が、前記精米器本体2の終端接続部75に接続される。また、前記蓋体6を閉めると、前記蓋体6の押圧部84Aが前記蓋開閉検出スイッチ78を押すことで、図示しない制御手段が、前記蓋体6が閉成状態であることを検出する。この場合、前記蓋体6の位置決め凹部111,111が前記精米器本体2の位置決め凸部112,112に係合することにより、前記蓋体6の前側が前記精米器本体2に正しく位置決めされる。なお、前記精米器1は、前記蓋体6が閉じていることを条件に駆動し、この蓋体6が開いた状態では駆動しない。
【0078】
このようにして、前記収納凹部7Aの上部の開口部を前記蓋体6によって閉じた後、図示しない電源コードを交流電源に接続すると、電源が投入される。
【0079】
そして、精米する玄米の量に対応して量スイッチ125を操作し、通常精米スイッチ123を操作して精米度を選択した後、前記運転/停止スイッチ122を操作すると、前記制御手段からの制御信号により駆動回路を介して前記電動機16が駆動する。そして、前記駆動機構13により、前記精米体5を回転させることで、前記精米容器4内の米が攪拌されて、米の粒と前記精米容器4とが擦れ合い、これによって米は精米される。なお、精米によって玄米から分離した糠は、前記網状部34を通過した後、前記糠受容器3に貯められる。
【0080】
次に、本発明の特徴構成の一つである「GABA」モード及び「GABA精米」モードにおける制御等について説明する。なお、これらの制御は、前記精米器本体2に内蔵された、図示しない制御回路等の制御手段により行われる。
【0081】
まず、「GABA」モードの場合、前記GABA精米スイッチ124を操作し、「玄米」を選択する。なお、この場合は、精米容器4内に玄米を入れておく。また、前記仕上げタイマースイッチ126を操作し、GABA玄米の仕上がり時間を選択する。本実施例では、設定時間Ta,Tb,Tcとして、5時間,7時間,9時間の何れかを選択することができる。
【0082】
この後、前記運転/停止スイッチ122を押すと、「GABA」モード、即ちGABAの富化動作が開始する。「GABA」モードでは、
図15に示すように、前記線状ヒータ12は開始からオンとなり、温度が上限温度t
1まで上昇するとオフとなり、オフ後、温度が下限温度t
2まで下降するとオンとなる。このように、前記線状ヒータ12は、上限温度t
1と下限温度t
2との間でオンとオフを繰り返す。なお、本実施例では、上限温度t
1は110℃、下限温度t
2は90℃である。この前記線状ヒータ12への通電は、前記設定時間Ta,Tb,Tcから所定時間Tdを引いた時間だけ行われる。本実施例では、所定時間Tdは2.5時間である。即ち、設定時間Ta=5時間で設定すれば、前記線状ヒータ12は2.5時間通電し、設定時間Tb=7時間で設定すれば、前記線状ヒータ12は4.5時間通電し、設定時間Tc=9時間で設定すれば、前記線状ヒータ12は6.5時間通電する。設定時間Ta,Tb,Tcの残りの2.5時間は、前記線状ヒータ12に一切通電しない。即ち、設定時間Ta,Tb,Tcの最後の所定時間Tdは、非加熱時間である。
【0083】
なお、前述した通り、前記線状ヒータ12は、前記内装部材10の外周に巻装されている。そして、前記精米容器4と内装部材10の間には、前記糠受容器3が設けられているため、この糠受容器3が前記精米容器4内の玄米を加熱する妨げになる虞がある。しかしながら、前述した通り、前記糠受容器3が熱良導性金属板を筒状に形成した伝熱部26を有するから、前記線状ヒータ12が発した熱は、前記内装部材10から前記糠受容器3の熱良導性の伝熱部26を経由して、前記糠受容器3内の空間に伝わる。これによって、前記精米容器4内の玄米が効率的に加熱されるので、玄米に含まれるGABAを効率的に富化することができる。
【0084】
前記蒸発ヒータ77は、
図14に示すように、「GABA」モードでの動作開始から、停止時間T
1の通電停止と通電時間T
2の通電を所定回数N
1だけ繰り返す。本実施例では、停止時間T
1=1分、通電時間T
2=1分、N
1=30回である。即ち、前記蒸発ヒータ77は、1分の休止と1分の通電を交互に30回繰り返す。従って、前記蒸発ヒータ77による休止と加熱は、(T
1+T
2)×N
1=1時間繰り返す。
【0085】
前記ポンプ71は、
図14に示すように、「GABA」モードの動作開始から、停止時間T
3の停止と駆動時間T
4の駆動を所定回数N
1だけ繰り返す。本実施例では、停止時間T
3=1分間54秒、駆動時間T
4=6秒、N
1=30回である。即ち、前記ポンプ71は、1分54秒の停止と6秒の駆動を交互に30回繰り返す。従って、前記ポンプ71による休止と駆動は、(T
3+T
4)×N
1=1時間繰り返す。なお、T
1+T
2=T
3+T
4であり、(T
1+T
2)×N
1=(T
3+T
4)×N
1である。また、T
2>T
4であり、望ましくはT
2>>T
4である。従って、前記蒸発ヒータ77が充分加熱された後、前記ポンプ71によって、前記水タンク62内の水が、前記蒸気ユニット72に送られることになる。そして、前記蒸気ユニット72に送られた水は、全て確実に蒸発する。更に、前記蒸気ユニット72で生成された高温の水蒸気は、前記本体側蒸気経路76及び蓋体側蒸気経路101を経由して、前記蓋体6の内蓋82の中央に設けられた終端開口105Aから、前記精米容器4内に供給される。
【0086】
前記駆動機構13は、
図13及び
図14に示すように、「GABA」モードの動作開始から、所定時間T
5,T
6,T
7の経過後に、それぞれ攪拌時間T
8だけ駆動する。本実施例では、動作開始から、所定時間T
5=20分経過後と、所定時間T
6=40分経過後と、所定時間T
7=60分経過後に、それぞれ攪拌時間T
8=3秒間駆動し、前記精米体5が回転する。従って、前記精米容器4内で水分供給されながら加熱された玄米が、前記精米体5の回転により撹拌され、蒸気による水分が均一に供給される。更に、前記駆動機構13は、動作開始から、設定時間Ta,Tb,Tcから攪拌時間T
9を引いた時間が経過すると駆動し、駆動時間T
9経過後に停止する。本実施例では、T
9=3秒である。従って、本実施例では、動作開始から4時間59分57秒(又は6時間59分57秒,8時間59分57秒)経過した時点で、前記駆動機構13が3秒間駆動し、前記精米体5が回転する。
【0087】
なお、T
5=(T
1+T
2)×N
2=(T
3+T
4)×N
2、T
6=(T
1+T
2)×2×N
2=(T
3+T
4)×2×N
2、T
7=(T
1+T
2)×3×N
2=(T
3+T
4)×3×N
2である。但し、N
2は2以上の自然数である。即ち、前記精米体5は、前記蒸発ヒータ77のN
2回目の通電終了、及び前記ポンプ71のN
2回目の駆動終了と同時に回転する。
【0088】
上記のように、加熱ヒータである前記線状ヒータ12による玄米の加熱と、前記ポンプ71による玄米への高温蒸気の供給と、前記精米体5による玄米の撹拌とを行い、更に、玄米の加熱後、所定時間Tdの間、自然冷却させることにより、GABAを多く含んだ玄米が仕上がる。
【0089】
次に、「GABA精米」モードの場合、前記GABA精米スイッチ124を操作し、「白米」を選択する。なお、この場合も、精米容器4内に玄米を入れておく。また、前記仕上げタイマースイッチ126を操作し、GABA白米の仕上がり時間を選択する。本実施例では、設定時間Ta,Tb,Tcとして、5時間,7時間,9時間の何れかを選択することができる。
【0090】
前記線状ヒータ12,前記蒸発ヒータ77及び前記ポンプ71の作動は、前述した「GABA」モードと同一である。
【0091】
駆動機構13は、
図16に示すように、GABA精米の開始から、所定時間T
5,T
6,T
7の経過後に駆動時間T
8だけ駆動する。この例では、開始後、所定時間T
5=20分経過後と、所定時間T
6=40分経過後と、所定時間T
7=60分経過後に、それぞれ駆動時間T
8=3秒間駆動し、前記精米体5が回転する。更に、前記駆動機構13は、動作開始から、設定時間Ta,Tb,Tcから精米所要時間T
10を引いた時間が経過すると駆動し、精米所要時間T
10経過後に停止する。なお、精米所要時間T
10は、米の量によって変動する。仮に、精米所要時間T
10が10分であった場合、本実施例では、動作開始から4時間50分(又は6時間50分,8時間50分)経過した時点で、前記駆動機構13が10分間駆動し、前記精米体5が回転して米を精米する。
【0092】
以上のように本実施例では、内部に電動機16が設けられた精米器本体2と、
この精米器本体2にロック及びロック解除可能に設けられた蓋体6と、前記精米器本体2の収納凹部7Aに着脱可能に収容される糠受容器3と、この糠受容器3内に着脱可能に収容されると共に米粒を通さず且つ糠を通す程度の大きさの孔を多数形成した網状部34が設けられた精米容器4と、この精米容器4内に設けられと共に前記電動機16の回転に伴って回転し前記精米容器4内の米を撹拌する攪拌体たる精米体5とを有する精米器1において、前記精米器本体2及び蓋体6に、前記精米容器4内の米に水分を供給する給水手段61
が設け
られ、この給水手段61が、前記精米器本体2に着脱可能に取り付けられる水タンク62と、前記精米器本体2内に設けられて前記水タンク62から供給された水を蒸発させる蒸気ユニット72と、この蒸気ユニット72で生成した蒸気を前記糠受容器3と蓋体6とで囲まれる空間に供給する蒸気経路64とを有すると共に、前記蒸気経路64が本体側蒸気経路76と蓋体側蒸気経路101を有し、前記精米器本体2の蓋受部たる開口上面部43Aに前記本体側蒸気経路76の終端接続部75
が設け
られ、この終端接続部75に対応して前記蓋体6に前記蓋体側蒸気経路101の始端接続部102
が設け
られ、前記始端接続部102が前記終端接続部75に正確に接続されるよう前記精米器本体2と前記蓋体6との間に位置決め部たる位置決め凹部111と位置決め凸部112が設けられたから、蓋体6が軽く容易に開閉でき、また、水がこぼれにくくすることができると共に、水蒸気を確実に米粒に供給することができる。また、液体状の水の経路を短くすることができるので、給水手段61の経路中の残水を減らすことができる。
【0093】
なお、前記精米器本体2と蓋体6との間に、位置決め部たる位置決め凹部111と位置決め凸部112を設けたから、精米器本体2と蓋体6、ひいては前記本体側蒸気経路76の終端接続部75と前記蓋体側蒸気経路101の始端接続部102の位置を正確に合わせて、水蒸気を前記本体側蒸気経路76から蓋体側蒸気経路101に確実に送ることができる。
【0094】
また、前記蓋体側蒸気経路101の終端である終端開口105Aが前記糠受容器3の中央で開口するから、水蒸気を前記米粒に均等に供給することができる。
また、前記蓋体6が、蓋本体81と内蓋82とを有し、前記蓋本体81が蓋固定部材94を有し、前記内蓋82が、前記蓋体側蒸気経路101と、前記蓋固定部材94が挿入される挿入孔95とを有すると共に、前記蓋体側蒸気経路101の終端が前記内蓋82の中央で開口し、前記挿入孔95が前記内蓋82の中央よりも外側に穿設されるから、挿入孔95に蓋固定部材94を挿入することにより、蓋体側蒸気経路101の終端が中央で開口する内蓋82を、蓋本体81に位置決め状態で取付固定することができる。
【0095】
また、前記水タンク62が
、前記精米器本体2の上側部に設けられた取付凹部68に対し上方から着脱可能に取り付けら
れ、前記水タンク62の側部
に膨出部65Bが
設けられ、この膨出部65Bが前記精米器本体2の側面から突出する
と共に、前記膨出部65Bに指掛け部たる上傾斜部65Eが設けられるから、前記水タンク62の突出した側部
の上傾斜部65Eに指を掛けて、前記水タンク62を前記精米器本体2から容易に取り外すことができる。
【0096】
また、前記水タンク62の取付状態において上部となる底部65Cが、前記精米器本体2の上面から突出するから、指が精米器本体2に触れないようにして、即ち、指を前記水タンク62と取付凹部68との間に挟んだりすることがないようにして、前記水タンク62を前記精米器本体2に押し込みやすくすることができる。
【0097】
また、前記蓋体6に露受部たる延長部88A
が設け
られたから、前記糠受容器3と蓋体6とで囲まれる空間に送られた水蒸気が蓋体6で凝縮して水滴になっても、テーブルや床等を濡らさないようにすることができる。
【0098】
また、前記蓋体6に、前記糠受容器3の開口上縁部たる鍔部24Aに当接する環状のパッキン85を設けると共に、このパッキン85に前記露受部たる延長部88A
が設け
られたから、部品点数を削減することができる。
【0099】
更に、前記露受部たる延長部88Aの端縁に遮蔽部89
が設け
られたから、精米中等、米が延長部88Aと内蓋82との間に入らないようにすることができる。
【0100】
また、実施例上の効果として、透明な前記タンク本体65の側部には、前記側面開口部68Bから外部に突出する中空な膨出部65Bが設けられているから、この膨出部65Bを見ることで、前記水タンク62内の水位を広い範囲から確認することができる。また、前記膨出部65Bの上下の下傾斜部65D及び上傾斜部65Eに指を掛けて、前記水タンク62を外したり、この水タンク62を前記取付凹部68に押し込んだりすることができる。更に、前記蓋体6が前記水タンク62の底部65C側を覆うから、前記蓋体6を閉めた状態で、前記水タンク62が前記精米器本体2から外れることがない。
【0101】
また、前記パッキン85が、前記内蓋82の外縁部82Aに着脱自在に外嵌するコ字形の前記外嵌部86と、前記糠受容器3の鍔部24Aの上面に当接する前記舌片部87と、前記精米容器4の上縁部材36の上縁36Aの上面に当接する前記内縁部88とを一体に有するから、前記パッキン85は、前記糠受容器3と精米容器4の上部開口をシールすることができる。更に、前記糠受容器3の容器上部24の上部に、短筒状の前記垂設部24Bを周設し、この垂設部24Bの下端が前記シール部材18の上面に当接することにより、前記内装部材10の上部開口をシールすることができる。
【0102】
また、前記蓋本体81の下面には、リング状の前記当接枠部91が形成され、この当接枠部91には、2箇所の前記突出部83,84が係合する2箇所の前記係合凹部92,93が設けられているから、前記突出部83,84と係合凹部92,93の係合により、着脱可能な前記内蓋82を前記蓋本体81に位置決め状態で取り付けることができ、前記終端接続部75と始端接続部102の接続を正しく行うことができる。
【0103】
更に、前記蒸気経路64は、前記精米器本体2とは別体のチューブや管路で形成された閉管路であるから、蒸気を効率よく送ることができる。
【0104】
また、前記各位置決め凹部111,111を前記蓋体6の前側縁の左右に形成し、これら位置決め凹部111,111が係合する左右の前記位置決め凸部112,112を前記段部107に設けたから、複数の前記位置決め凹部111,111と複数の前記位置決め凸部112,112により、前記終端接続部75と始端接続部102の位置を正確に合わせることができる。
【0105】
また、内部に電動機16が設けられた精米器本体2と、この精米器本体2の収納凹部7Aに着脱可能に収容される糠受容器3と、この糠受容器3内に着脱可能に収容されると共に米粒を通さず且つ糠を通す程度の大きさの孔を多数形成した網状部34が設けられた精米容器4と、この精米容器4内に設けられと共に前記電動機16の回転に伴って回転し前記精米容器4内の米を撹拌する攪拌体たる精米体5とを有する精米器1において、前記収納凹部7Aを囲むように、前記精米器本体2内に線状ヒータ12を設け、前記精米器本体2に、前記精米容器4内の米に水分を供給する給水手段61を設けると共に、前記糠受容器3の側面に伝熱部26を設けたことで、前記精米器本体2に設けられたヒータ12が発した熱が、収納凹部7Aから前記糠受容器3の伝熱部26を経由して前記糠受容器3内の空間に伝わるので、前記給水手段61によって水分が糠受容器3内の空間に設けられた精米容器4内の米粒に供給されると共に、米粒が効率的に加熱されるので、米粒に含まれるGABAを効率的に富化することができる。
【0106】
また、前記伝熱部26を、熱良導性金属板27を筒状に丸めて形成したことで、糠受容器3を容易且つ安価に製造することができる。
【0107】
また、前記糠受容器3の開口上縁部である容器上部24を合成樹脂により成形したことで、精米容器4の回り止め構造等のために複雑な形状になりがちな糠受容器3の容器上部24であっても、容易に製造することができる。
【0108】
また、線状ヒータ12により加熱された精米容器4内に、高温の蒸気を供給するから、この蒸気により、精米容器4内を効果的に加熱して、GABAの富化に適した温度に容易に保つことができる。また、糠受容器3の容器上部24の鍔部24Aの内周面24Cには、複数の突起51を周方向に等間隔に並べて設けると共に、前記突起51,51間に係入する位置決め部たる係入凸部54を精米容器4の上縁36Aに設けたから、糠受容器3に対して精米容器4を回り止め状態で位置決めすることができる。
【0109】
更に、前記突起51,51間に設けられた凹部面53は、上から下に向かって糠受容器3の外面側から内面側に向かうように傾斜しているから、糠が凹部面53に溜まりにくく、また、溜まったとしても容易に除去することができる。
【0110】
また、伝熱部26を複数枚(2枚)の熱良導性金属板27,27により構成したから、1枚の金属板を用いる場合に比べて安価に製造することができる。
【0111】
更に、収納凹部形成部7Bの内側に内装部材10を設け、この内装部材10を熱良導性の金属板等により形成し、この内装部材10の外面に線状ヒータ12を配置したから、線状ヒータ12の熱を効率よく精米容器4に伝えることができる。また、内装部材10の周囲に空気層による断熱空間11を設けたから、線状ヒータ12の熱が外側に逃げることを防止できる。
【0112】
なお、本発明は以上の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例では、位置決め部として、蓋体に2個の凹部、精米器本体に2個の凸部を設けたが、蓋体に凸部、精米器本体に凹部を設けてもよいし、その数は1個や3個以上でもよい。また、請求項1では、精米器本体に設ける水タンクの位置は限定されない。更に、内蓋に露受部を一体に設けてもよく、この場合は露受部を内蓋と一体成形すればよい。また、上記実施例では、ヒンジにより開閉する蓋体を例にして説明したが、着脱式の蓋体にも適用可能である。また、上記実施例では、加熱ヒータに線状ヒータを用いたが、これに限定されず面状ヒータ等を用いてもよい。更に、上記実施例では、ヒータを内装部材10の側面部10Aの外周に設けたが、ヒータを側面部10Aの内周に設けてもよく、また、内装部材10の底面部10Bに設けてもよい。また、上記実施例では、伝導部に2枚の金属板を用いたが、1枚でも3枚以上でもよい。更に、上記実施例では、糠受容器3の容器下部25を合成樹脂で形成したが、容器下部迄を熱良導性金属によって伝熱部としてもよい。