(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記屈曲部が、上記ほぼ水平な部分のうちの上記傾斜部分の側とはほぼ反対の側の先端に、平面的に見て上記傾斜部とは反対側において上記ほぼ水平な部分に一体的に連設されている第2の傾斜部分を備え、
上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記第2の傾斜部分が、上記ほぼ水平な部分からほぼ外方に向ってほぼ斜め下方に延在するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の保育器。
上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記屈曲部が、上記第2の傾斜部分のうちの上記ほぼ水平な部分の側とはほぼ反対の側のほぼ先端に、上記ほぼ水平な部分とは反対側において上記第2の傾斜部分に一体的に連設されている下垂部を備え、
上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記下垂部が、上記第2の傾斜部分からほぼ下方に向って延在するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載の保育器。
上記ベビーガード本体の厚みが、上記可動型ベビーガードのそれぞれがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態において、上記肉厚部の上端から上記屈曲部の下端まで上方に向って次第に厚くなるように構成されるとともに、上記屈曲部の厚みが、この屈曲部の上記下端とほぼ同等に厚くなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の保育器。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の保育器においては、開放型保育器を構成するための3枚の可動壁部および1枚の固定壁部のそれぞれの板厚は、約5mm程度である。一方、取扱者が上記開放型保育器のマットレス上に新生児などの児を寝かしたり、児をマットレス上から持ち上げたりするときには、取扱者は、自分の腕を児収容空間に差し込むことになる。この場合、取扱者の腕が3枚の可動壁部および1枚の固定壁部のうちの少なくとも1枚の壁部の上端部に当接する可能性がある。そして、取扱者の腕が上記壁部の上端面に強く当接すると、取扱者が痛みを感じたり、腕を傷付けたりする恐れがある。
【0004】
本発明は、特許文献1の保育器における上述のような欠点を比較的簡単な構成でもって効果的に解決するようにしたものである。
【特許文献1】特開2012−223320号公報
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ベビーガードのうちの少なくとも一部が屈曲部を備え、上記屈曲部が、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態において、上記ベビーガードの上端部を構成し、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記屈曲部が、上記屈曲部付きベビーガードのほぼ上方に向ってほぼ直立した部分の上端に、平面的に見てこのほぼ上方に向ってほぼ直立した部分とはほぼ直交する方向において斜め上方に向って延在するように、一体的に連設されている傾斜部分と、上記傾斜部分のほぼ先端に、平面的に見て上記傾斜部分が延在する方向とほぼ同方向にさらに延在するように、一体的に連設されているほぼ水平な部分とを備えていることを特徴とする保育器に係るものである。
【0006】
また、本発明は、その第1の観点においては、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記ベビーガードのうちの上記屈曲部にほぼ下方から連なる部分の厚みが、5〜10mmの範囲であり、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記屈曲部の高さが、25〜35mmの範囲であり、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記屈曲部の内側から外側に向う方向における長さが、15〜25mmの範囲である。そして、本発明は、その第2の観点においては、上記ベビーガードが、前側のベビーガード、後側のベビーガード、左側のベビーガードおよび右側のベビーガードから成る4枚のベビーガードを含み、これら4枚のベビーガードのうちの少なくとも3枚の可動型ベビーガードのそれぞれがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態とほぼ上方に向ってほぼ直立してはいない状態との間を個別に往復回動することができるように構成され、上記少なくとも3枚の可動型ベビーガードのそれぞれのほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上端部が、この上端部のほぼ全長にわたって、上記屈曲部を形成されている。
【0007】
また、本発明は、その第3の観点においては、上記傾斜部分が、平面的に見て、児収容空間の外側に向って延在するように構成され、上記ほぼ水平な部分が、上記傾斜部分の先端から上記児収容空間のさらに外側に向って延在するように構成されている。そして、本発明は、上記第3の観点の第1の態様においては、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記屈曲部が、上記ほぼ水平な部分のうちの上記傾斜部分の側とはほぼ反対の側の先端に、平面的に見て上記傾斜部とは反対側において上記ほぼ水平な部分に一体的に連設されている第2の傾斜部分を備え、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記第2の傾斜部分が、上記ほぼ水平な部分からほぼ外方に向ってほぼ斜め下方に延在するように構成されている。この場合、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記屈曲部が、上記第2の傾斜部分のうちの上記ほぼ水平な部分の側とはほぼ反対の側のほぼ先端に、上記ほぼ水平な部分とは反対側において上記第2の傾斜部分に一体的に連設されている下垂部を備え、上記ベビーガードがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態における上記下垂部が、上記第2の傾斜部分からほぼ下方に向って延在するように構成されていてよい。
【0008】
また、本発明は、上記第1の観点の第1の態様においては、上記4枚のベビーガードのうちの互いに対向する
第1および第2のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さが、上記4枚のベビーガードのうちの互いに対向する
第3および第4のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さよりも長く構成され、上記
第1および第2のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さが、560〜760mmの範囲であり、上記
第3および第4のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さが、380〜530mmの範囲であり、上記
第3および第4のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さに対する上記
第1および第2のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さの比が、1.3〜1.6の範囲であり、上記第1〜第4のベビーガードのそれぞれのほぼ上方に向ってほぼ直立した状態でのほぼ上下方向の長さが、200〜300mmの範囲であり、上記第1〜第4のベビーガードのそれぞれが、ほぼ上方に向ってほぼ直立した状態において、ほぼ平面的に見て外側に向って弧状に突出するように弯曲して構成され、上記
第1および第2のベビーガードのそれぞれの、平面視における両端を結んだ直線と、内側面との距離が最大となる部位との間の長さが、23〜33mmの範囲であり、上記
第3および第4のベビーガードのそれぞれの、平面視における両端を結んだ直線と、内側面との距離が最大となる部位との間の長さが、20〜30mmの範囲であり、上記
第1および第2のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さに対する上記
第1および第2のベビーガードのそれぞれの、平面視における両端を結んだ直線と、内側面との距離が最大となる部位との間の長さの比が、0.035〜0.05の範囲であり、上記
第3および第4のベビーガードの平面視における両端間のそれぞれの長さに対する上記
第3および第4のベビーガードのそれぞれの、平面視における両端を結んだ直線と、内側面との距離が最大となる部位との間の長さの比が、0.045〜0.07の範囲であることができる。
【0009】
また、本発明は、その第4の観点においては、上記可動型ベビーガードのそれぞれが、保育器基台に対して回動可能に取付けられている支持部材と、この支持部材に取付け支持されているベビーガード本体とを備え、上記ベビーガード本体が、上記可動型ベビーガードのそれぞれがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態において、上記ベビーガード本体とほぼ直交する方向における縦断面がほぼ三角形状である肉厚部を備え、上記肉厚部が、上記ベビーガード本体の内側面と外側面との両方の面のうちの少なくとも内側面から膨出するように構成され、上記肉厚部の下面が、上記支持部材とは反対の側から上記ベビーガード本体の基端部を覆っているカバー部材に接触するように構成されている。そして、本発明は、上記第4の観点の第1の態様においては、上記ベビーガード本体の厚みが、上記可動型ベビーガードのそれぞれがほぼ上方に向ってほぼ直立した状態において、上記肉厚部の上端から上記屈曲部の下端まで上方に向って次第に厚くなるように構成されるとともに、上記屈曲部の厚みが、この屈曲部の上記下端とほぼ同等に厚くなるように構成されている。また、本発明は、上記第2の観点の第1の態様においては、保育器基台と臥床架との間に形成されているカセッテトレー収納空間を備え、上記カセッテトレー収納空間が、前側のトレー出し入れ口、後側のトレー出し入れ口、左側のトレー出し入れ口および右側のトレー出し入れ口のうちの少なくとも3ヶ所のトレー出し入れ口を有し、上記少なくとも3枚の可動型ベビーガードのそれぞれがほぼ上方に向ってほぼ直立した復回動状態においては、上記少なくとも3枚の可動型ベビーガードのそれぞれによって、上記少なくとも3ヶ所のトレー出し入れ口のそれぞれが閉鎖され得るように構成され、上記少なくとも3枚の可動型ベビーガードのそれぞれがほぼ下垂する方向に向って往回動したときには、これら少なくとも3枚の可動型ベビーガードのそれぞれに対応する上記少なくとも3ヶ所のトレー出し入れ口のそれぞれが開放されるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によれば、取扱者が保育器のマットレス上などに新生児などの児を寝かしたり、児をマットレス上から持ち上げたりするときなどに、取扱者が、自分の腕を児収容空間に差し込んだ場合に、取扱者の腕がベビーガードの上端部に比較的強く当接しても、取扱者が痛みを感じたり、腕を傷付けたりする恐れがないようにすることができるという第1の効果を奏することができる。しかも、請求項1に係る発明によれば、屈曲部が傾斜部分とほぼ水平な部分とをそれぞれ備えているので、屈曲部付きのベビーガードが児収容空間の外周囲のガードとしての十分な強度を備えることができるという第2の効果も奏することができる。
そして、汚水、塵埃などの異物が支持部材とベビーガード本体との間と、ベビーガード本体とカバー部材との間とのうちの少なくともベビーガード本体とカバー部材との間に入り込むのを、比較的簡単な構成でもって、比較的効果的に防止することができる。
【0011】
また、請求項2、3および7のそれぞれに係る発明によれば、請求項1に係る発明によって奏する上記第1および第2の効果のそれぞれをさらに良好に奏することができる。そして、請求項4に係る発明によれば、請求項1に係る発明によって奏する上記第1の効果をさらに良好に奏することができる。また、請求項5および6のそれぞれに係る発明によれば、請求項1に係る発明によって奏する上記第2の効果をさらに良好に奏することができる
。また、
請求項8に係る発明によれば、屈曲部がデザイン的に安定した見栄えになるとともに、屈曲部の強度も大きくなり、しかも、可動型ベビーガードの軽量化を図ることができるとともに、プラスチック材料などの原材料の削減を図ることができる。さらに、
請求項9に係る発明によれば、カセッテトレー収納空間の前側、後側、左側および右側のうちの少なくとも3ヶ所にトレー出し入れ口が設けられている。このために、医師や看護師がカセッテトレー収納空間の付近のうちで3カ所のトレー出し入れ口のうちの1ヶ所または2ヶ所のトレー出し入れ口の付近で作業していても、カセッテトレーを残りの1ヶ所または残りの2ヶ所のトレー出し入れ口のうちのいずれか一方のトレー出し入れ口からカセッテトレー収納空間に比較的容易に収納したり比較的容易に取出したりすることができる。また、嵩高な医療機器などの嵩高な物品がカセッテトレー収納空間の付近のうちで3ヶ所のトレー出し入れ口のうちの1ヶ所または2ヶ所のトレー出し入れ口の付近に存在している場合にも、カセッテトレーを残りの1ヶ所のトレー出し入れ口または残りの2ヶ所のトレー出し入れ口のうちのいずれか一方のトレー出し入れ口からカセッテトレー収納空間に比較的容易に収納したり比較的容易に取出したりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
つぎに、本発明を開放型保育器(いわゆる、インファントウオーマ)に適用した一実施例および第1〜第3の変形例を、「1、保育器全体の概略的な構成」、「2、可動壁部構造および固定壁部構造の構成」、「3、カセッテトレー装着構造の構成」、「4、可動壁部構造および固定壁部構造の動作」および「5、カセッテトレー装着構造の動作」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
開放型保育器11は、
図1および
図2に示すように、車輪12と主柱13とがそれぞれ取付けられている台車14を備えている。具体的には、車輪12は、台車14の四隅の下方に取付けられ、主柱13は、台車14上に取付けられている。そして、主柱13上には、保育器基台21が配設されている。また、この保育器基台21上には、扁平な容器形状の臥床架(換言すれば、臥床台)22が配設されている。さらに、この臥床架22上には、新生児などの児をその上に寝かせることができるマットレス15を配置することができる。そして、保育器基台21には、主柱13に配設されている付属品支持用の支柱33に隣接していて児の頭側の壁部を一般的に構成している固定壁部(いわゆる、固定型ベビーガード)23と、児の脚側の壁部を一般的に構成している脚側の可動壁部(いわゆる、可動型ベビーガード)24と、児の左側の壁部を一般的に構成している左側の可動壁部(いわゆる、可動型ベビーガード)25と、児の右側の壁部を一般的に構成している右側の可動壁部(いわゆる、可動型ベビーガード)26とが、平面的に見て全体としてほぼ長方形状になるように、それぞれ配設されている。また、臥床架22(換言すれば、マットレス15)と、それぞれほぼ長方形状であってよくかつほぼ透明であってよい固定壁部23および可動壁部24〜26とによって、上面が開口したほぼ直方体形状の児収容空間27が構成されている。したがって、左側可動壁部25と右側可動壁部26とは、互いにほぼ同一の寸法であってよい。そして、可動壁部25、26に較べてそれぞれの長さが多少小さい固定壁部23と脚側可動壁部24とは、切り欠き形状の凹部28が固定壁部23の上辺部に設けられていることを除いて、互いにほぼ同一の寸法であってよい。なお、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれは、そのほぼ全体をほぼ透明なアクリル樹脂などのプラスチックの板状体から構成されていてよい。また、可動壁部24〜26のそれぞれは、
図1に示すようにほぼ上方に向ってほぼ直立した状態(以下、「上記直立状態」という。)における下辺側の部分付近に配設された左右両側または前後両側の回動支軸18〜20(
図4参照)を回動中心として、
図1に示す上記直立状態と
図2に示すほぼ下方に垂れ下がった状態(以下、「上記下垂状態」という。ただし、この
図2においては、可動壁部26は、上記直立状態で示されている。)との間を往復回動可能なように構成されている。
【0016】
固定壁部23のうちの切欠き形状の凹部28の部分には、
図1に示すように、ケーブル保持用の切れ目31を有する適当な個数(実施例においては、3個)のグロメット部材32を取り付けることができる。そして、切れ目31には、酸素供給用チューブなどの長手状部材(図示せず)がグロメット部材32を貫通した状態で保持されることができる。また、付属品支持用の支柱33の上端部には、赤外線加熱器34が配設されている。さらに、付属品支持用支柱33には、前方から見て赤外線加熱器34と児収容空間27との間にほぼ位置するように、体温用、SpO
2用などの各種の計測・制御手段35が配設されている。具体的には、これらの計測・制御手段35のうちの体温用制御手段は、児の体温を計測する体温プローブからの信号を入力して上記体温を表示したり、赤外線加熱器34の加熱温度などを制御したりすることができるように構成されている。
【0017】
2、可動壁部構造および固定壁部構造の構成
【0018】
可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれは、
図1〜
図3に示すように、壁部本体41と、これらの壁部本体41のそれぞれのほぼ下端部48がねじ42によってねじ止め固定されている支持部材43とを備えている。そして、壁部本体41のそれぞれのほぼ下端部48の内側面のほぼ全面は、カバー部材44によって被覆されている。また、可動壁部24〜26のそれぞれは、
図1、
図6などに示すように、これらの可動壁部24〜26のそれぞれの支持部材43の下端部の左右または前後の両側端の付近において一対の回動支軸18〜20によって取付け部材45に回動可能に取付けられている。なお、取付け部材45のそれぞれは、保育器基台21のほぼ四隅にそれぞれ取付け固定されている。さらに、固定壁部23は、
図2、
図6などに示すように、支持部材43の下端部の左右両側端の付近において左右一対の連結部材(図示していないが、上記回動支軸20に相当している。)によって固定壁部23の左右両側の取付け部材45に取付け固定されている。なお、上記左右一対の連結部材のそれぞれは、固定壁部23の左右両側にそれぞれ配設されている取付け部材45の被係合部(図示せず)に着脱可能に係合されている。なお、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの壁部本体41のうちの支持部材43の上側面にほぼ上方から隣接する部分は、
図1、
図3などに示すように、縦断面がほぼ三角形状の肉厚部74に構成されている。そして、この肉厚部74は、壁部23〜26のそれぞれのほぼ水平方向(換言すれば、ほぼ長さ方向)におけるほぼ全長にわたって配設されている。したがって、汚水、塵埃などが下端部48と支持部材43との間や下端部48とカバー部材44との間に入り込むのを防止するために、肉厚部74の厚み方向における両側部分のそれぞれの下端面の一方の側部は、支持部材43のほぼ上面に当接するとともに、上記下端面の他方の側部は、カバー部材44のほぼ上面に当接している。
【0019】
固定壁部23は、
図1、
図2などに示すように、この固定壁部23が切欠き形状の凹部28およびグロメット部材32を有することを除いて、脚側可動壁部24とほぼ同一の形状であってよい。そして、左側可動壁部25は、右側可動壁部26とほぼ同一の形状であってよい。なお、壁部23〜26のそれぞれの支持部材43の両端部には、4個の取付け部材45に対する逃げ部を構成するために、これらの取付け部材45に対応する部分に切欠き部46がそれぞれ設けられているので、支持部材43のそれぞれのほぼ水平方向の長さが壁部23〜26のそれぞれのほぼ水平方向の長さよりも多少短く構成されている。そして、壁部23〜26の壁部本体41の上記直立状態における左右両側または前後両側のそれぞれの下端部付近にも、切欠き部46にそれぞれ連なる切欠き部47が設けられている。さらに、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれは、
図5、
図6などに示すように、上記直立状態においてほぼ平面的に見て、内側から外側に向って弧状に多少突出するように弯曲している。この場合、上記直立
状態における壁部23〜26のそれぞれをほぼ平面的に見たときに、これらの壁部23〜26のそれぞれの長さ方向における中央部分は、径が比較的大きいほぼ円弧状(換言すれば、湾曲の程度が比較的小さいほぼ円弧状)であり、これら壁部23〜26のそれぞれの長さ方向における両端部分は、径が比較的小さいほぼ円弧状(換言すれば、湾曲の程度が比較的大きいほぼ円弧状)である。そして、壁部23〜26のそれぞれは、上記両端部分のうちの一端部分から上記中央部分を経て上記両端部分のうちの他端部分まで、角部をほぼ有していない連続した曲面体になっている。具体的には(換言すれば、実施例においては)、脚側可動壁部24および固定壁部23のそれぞれのほぼ左右両端間(換言すれば、ほぼ長さ方向)の長さL1は、ほぼ平面的に見て、約455mmである。また、脚側可動壁部24および固定壁部23のそれぞれの内側面のほぼ前後方向(換言すれば、ほぼ厚み方向)における長さL2は、ほぼ平面的に見て、約25mmである。そして、左右両側の可動壁部25、26のそれぞれのほぼ前後両端間(換言すれば、ほぼ長さ方向)の長さL3は、約660mmである。また、左右両側の可動壁部25、26のそれぞれの内側面のほぼ左右方向(換言すれば、ほぼ厚み方向)における長さL4は、ほぼ平面的に見て、約28mmである。さらに、壁部23〜26のそれぞれの上記直立状態での壁部本体41のうちの支持部材43からほぼ上方に突出している部分のほぼ上下方向における長さL5は、
図4に示すように、約190mmである。なお、上記長さL5の下端は、臥床架22の下側面または上側面もしくは上記下側面と上記上側面とのほぼ中間の部分とほぼ一致した高さであることができる。そして、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの上記直立状態でのほぼ上下方向の長さL6は、
図3、
図4などに示すように、約250mmである。また、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの壁部本体41の上記直立状態でのほぼ上下方向における長さL7は、約280mmである。さらに、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの屈曲部51の上記直立状態でのほぼ上下方向における長さL8は、
図9Aなどに示すように、約30mmである。そして、上記屈曲部51の上記直立状態でのほぼ直立した部分(以下、「直立部分」という。)52の内側面と上記屈曲部51の先端とのほぼ平面的に見た間隔L9は、約20mmである。また、上記壁部本体41のうちの肉厚部74よりも上方の部分(上記屈曲部51を除く。)の厚みL10は、下端で約6mmであり、上端で約8mmである。そして、上記下端(換言すれば、6mm)から上記上端(換言すれば、8mm)にかけて厚みがほぼ連続的にかつ次第に厚くなっている。また、上記屈曲部51の厚みは、上記上端の厚みと実質的に同一であって良くて、約8mmである。そして、厚みL10を上記下端から上記上端にかけて次第に厚くするとともに、屈曲部51を上記上端とほぼ同等に厚くすることによって、屈曲部51がデザイン的に安定した見栄えになるとともに、屈曲部51の強度も大きくなる。さらに、上記壁部本体41のうちの肉厚部74よりも上方の部分のうちの上記下端の側の部分の厚みを上記上方の部分のうちの上記上端の側の部分の厚みよりも厚くすることによって、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの軽量化を図ることができるとともに、壁部23〜26を製造するための原材料(具体的には、アクリル樹脂などのプラスチック材料)の削減を図ることができる。
【0020】
脚側可動壁部24および固定壁部23のそれぞれのほぼ左右両端間(換言すれば、ほぼ長さ方向)の長さL1は、
図5、
図6などに示すように、実用性の観点から見て一般的に、340〜560mmの範囲であるのが好ましく、360〜545mmの範囲であるのがさらに好ましく、380〜530mmの範囲であるのが最も好ましい。そして、脚側可動壁部24および固定壁部23の内側面のほぼ前後方向(換言すれば、ほぼ厚み方向)における長さL2は、実用性の観点から見て一般的に、16〜34mmの範囲であるのが好ましく、18〜32mmの範囲であるのがさらに好ましく、20〜30mmの範囲であるのが最も好ましい。また、左右両側の可動壁部25、26のそれぞれのほぼ前後両端間(換言すれば、ほぼ長さ方向)の長さL3は、実用性の観点から見て一般的に、500〜830mmの範囲であるのが好ましく、530〜800mmの範囲であるのがさらに好ましく、560〜760mmの範囲であるのが最も好ましい。そして、左右両側の可動壁部25、26の内側面のほぼ左右方向(換言すれば、ほぼ厚み方向)における長さL4は、実用性の観点から見て一般的に、19〜37mmの範囲であるのが好ましく、21〜35mmの範囲であるのがさらに好ましく、23〜33mmの範囲であるのが最も好ましい。また、長さL1に対するL3の比(すなわち、L3/L1)は、実施例においては、約1.45である。そして、上記L3/L1は、実用性の観点から見て一般的に、1.2〜1.8の範囲であるのが好ましく、1.25〜1.7の範囲であるのがさらに好ましく、1.3〜1.6の範囲であるのが最も好ましい。さらに、長さL2に対する長さL4の比(すなわち、L4/L2)は、実施例においては、約1.12である。そして、上記L4/L2は、実用性の観点から見て一般的に、0.9〜1.6の範囲であるのが好ましく、1〜1.5の範囲であるのがさらに好ましく、1.1〜1.4の範囲であるのが最も好ましい。また、長さL1に対するL2の比(すなわち、L2/L1)は、実施例においては、約0.055である。そして、上記L2/L1は、実用性の観点から見て一般的に、0.035〜0.08の範囲であるのが好ましく、0.04〜0.075の範囲であるのがさらに好ましく、0.045〜0.07の範囲であるのが最も好ましい。また、長さL3に対する長さL4の比(すなわち、L4/L3)は、実施例においては、約0.04である。そして、上記L4/L3は、実用性の観点から見て一般的に、0.025〜0.06の範囲であるのが好ましく、0.03〜0.055の範囲であるのがさらに好ましく、0.035〜0.05の範囲であるのが最も好ましい。また、上記長さL5は、実用性の観点から見て一般的に、140〜240mmの範囲であるのが好ましく、150〜230mmの範囲であるのがさらに好ましく、160〜220mmの範囲であるのが最も好ましい。
【0021】
可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの上記直立状態でのほぼ上下方向の長さL6は、
図3、
図4などに示すように、実用性の観点から見て一般的に、175〜340mmの範囲であるのが好ましく、190〜320mmの範囲であるのがさらに好ましく、200〜300mmの範囲であるのが最も好ましい。そして、上記壁部本体41の上記直立状態でのほぼ上下方向における長さL7は、実用性の観点から見て一般的に、220〜360mmの範囲であるのが好ましく、230〜340mmの範囲であるのがさらに好ましく、240〜320mmの範囲であるのが最も好ましい。また、上記長さL6に対する上記長さL5の比(すなわち、L5/L6)は、実施例においては、約0.75である。そして、上記L5/L6は、実用性の観点から見て一般的に、0.5〜1の範囲であるのが好ましく、0.55〜0.9の範囲であるのがさらに好ましく、0.6〜0.85の範囲であるのが最も好ましい。また、上記長さL6に対する上記長さL7の比(すなわち、L7/L6)は、実施例においては、約1.1である。そして、上記L7/L6は、実用性の観点から見て一般的に、0.9〜1.4の範囲であるのが好ましく、0.95〜1.3の範囲であるのがさらに好ましく、1〜1.25の範囲であるのが最も好ましい。さらに、上記長さL7に対する上記長さL5の比(すなわち、L5/L7)は、実施例においては、約0.68である。そして、上記L5/L7は、実用性の観点から見て一般的に、0.5〜0.9の範囲であるのが好ましく、0.55〜0.85の範囲であるのがさらに好ましく、0.6〜0.8の範囲であるのが最も好ましい。
【0022】
可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの屈曲部51の上記直立状態でのほぼ上下方向における長さ(すなわち、高さ)L8は、
図3、
図9Aなどに示すように、実用性の観点から見て一般的に、21〜39mmの範囲であるのが好ましく、23〜37mmの範囲であるのがさらに好ましく、25〜35mmの範囲であるのが最も好ましい。そして、上記間隔L9は、実用性の観点から見て一般的に、10〜30mmの範囲であるのが好ましく、13〜27mmの範囲であるのがさらに好ましく、15〜25mmの範囲であるのが最も好ましい。また、壁部23〜26のそれぞれの壁部本体41のうちの上記直立状態での肉厚部74よりもほぼ上側の部分(傾斜部分53および水平な部分54を含む。)の厚みL10は、実施例においては、約6mm〜約8mmの範囲で変化している。そして、上記厚みL10は、実用性の観点から見て一般的に、3〜14mmの範囲で変化しているか、あるいは、ほぼ一定であるのが好ましく、4〜12mmの範囲で変化しているか、あるいは、ほぼ一定であるのがさらに好ましく、5〜10mmの範囲で変化しているか、あるいは、ほぼ一定であるのが最も好ましい。
【0023】
可動壁部24〜26および固定壁部23(ただし、切欠き形状の凹部28を除く。)のそれぞれの壁部本体41の上記直立状態における上端部付近には、
図3、
図5、
図9Aなどに示すように、屈曲部51が壁部本体41の一部として壁部本体41にそれぞれ一体的に形成されている。そして、これらの屈曲部51は、上記直立状態において壁部本体41の直立部分52の上端に一体的に形成されている傾斜部分53と、上記直立状態においてほぼ水平な状態になるように、傾斜部分53の上端側に一体的に形成されているほぼ水平な部分(以下、「水平部」という。)54とを備えている。なお、傾斜部分53は、上記直立状態において、ほぼ下方からほぼ上方にかけて直立部分52の内側面から外側面に向って例えばほぼ45°の角度で傾斜していてよい。また、水平部54は、上記直立状態において、傾斜部分53の上端から外側に向ってほぼ水平に延在していてよい。そして、
図3、
図9Aにおいて、直立部分52の内側面と傾斜部53の内側面との境界には、半径R1が約14mmのアールが付けられている。また、傾斜部53の上記内側面と水平部54の上側面との境界には、半径R2が約2mmのアールが付けられている。さらに、水平部54の先端部の上端および下端のそれぞれには、半径R3が約2mmのアールが付けられている。このために、直立部分52の上端部付近の内側面から傾斜部53の上側(すなわち、内側)の傾斜面および水平部54の上側面を通って水平部54の下側面に至る部分は、角部をほぼ有していない連続した曲面になっている。なお、屈曲部51の上記直立状態での水平部54の上面側の幅(換言すれば、壁部23〜26のほぼ内側面からほぼ外側面に向う方向における長さ)L11は、実施例においては、水平部54の上側面の内外両端のアール部分を含めないで、約4mmである。そして、上記長さL11は、実用性の観点から見て一般的に、2〜10mmの範囲であるのが好ましく、2.5〜9mmの範囲であるのがさらに好ましく、3〜8mmの範囲であるのが最も好ましい。また、屈曲部51の上記直立状態での傾斜部分53の上側の幅(換言すれば、壁部23〜26のほぼ内側面から水平部54のほぼ上側面に向う方向における長さ)L12は、実施例においては、傾斜部分53の内側面の上下両端のアール部分を含めないで、約21mmである。そして、上記長さL12は、実用性の観点から見て一般的に、10〜34mmの範囲であるのが好ましく、13〜30mmの範囲であるのがさらに好ましく、16〜26mmの範囲であるのが最も好ましい。また、直立部分52の内側面と傾斜部分53の内側面との境界に付けられているアールの半径R1は、実用性の観点から見て一般的に、10〜18mmの範囲であるのが好ましく、11〜17mmの範囲であるのがさらに好ましく、12〜16mmの範囲であるのが最も好ましい。そして、傾斜部53の上記内側面と水平部分54の上側面との境界に付けられているアールの半径R2と、水平部54の先端部の上端および下端のそれぞれに付けられているアールのそれぞれの半径R3とのそれぞれは、実用性の観点から見て一般的に、1.4〜2.6mmの範囲であるのが好ましく、1.5〜2.5mmの範囲であるのがさらに好ましく、1.6〜2.4mmの範囲であるのが最も好ましい。
【0024】
可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれの屈曲部51の形状は、
図3、
図5、
図9Aなどに示す形状に必ずしも限定される必要はなく、例えば
図9B〜
図9Dに示すように各種の形状に変更することができる。なお、屈曲部51は、
図9Bに示す第1の変形例においては、第2の傾斜部分としての先端側の傾斜部分75が水平部分54の先端に一体的に形成されている点で、
図9Aなどに示す実施例とは相違している。そして、この第2の傾斜部分75の基端側の上側面と水平部54の先端の上側面との間には、前記半径R2(すなわち、例えば約2mm)と実質的に同一の大きさであってよい半径のアールが付けられていてよい。また、第2の傾斜部分75の先端部の上端および下端のそれぞれにも、前記半径R3(すなわち、例えば約2mm)と実質的に同一の大きさであってよい半径のアールが付けられていてよい。このために、直立部分52の上側部付近の内側面から傾斜部53の上側の傾斜面および水平部54の上側面をそれぞれ経由して先端側の傾斜部分75の上側の傾斜面に至る部分は、角部をほぼ有していない連続した曲面になっている。そして、屈曲部51は、
図9Cに示す第2の変形例においては、下垂部76が先端側の傾斜部分75の先端に一体的に形成されている点で、
図9Bに示す第1の変形例とは相違している。また、この下垂部76の外側面の上端と第2の傾斜部分75の先端側の上側面との間には、前記半径R1(すなわち、例えば約14mm)と実質的に同一の大きさであってよい半径のアールが付けられていてよい。そして、下垂部76の先端部の外側端および内側端のそれぞれにも、前記半径R3と実質的に同一の大きさであってよい半径のアールが付けられていてよい。さらに、屈曲部51は、
図9Dに示す第3の変形例においては、第3の傾斜部分としての先端側の傾斜部分77が下垂部76の先端に一体的に形成されている点で、
図9Cに示す第2の変形例とは相違している。そして、この先端側の傾斜部分77の外側面の上端と下垂部76の外側面の下端との間には、前記半径R1(すなわち、例えば約14mm)と実質的に同一の大きさであってよい半径のアールが付けられていてよい。また、傾斜部分77の先端部の外側端および内側端のそれぞれにも、前記半径R3と実質的に同一の大きさであってよい半径のアールが付けられていてよい。
【0026】
保育器基台21は、
図2、
図3、
図6などに示すように、トレー支持手段としての上側の支持板部55を備えている。そして、この上側支持板部55のほぼ四隅の上側面のそれぞれには、臥床架22を取付け固定するための4個の支柱部56a〜56dがそれぞれ上側支持板部55と一体的にまたは別体で配設されている。また、保育器基台21の四隅には、4個の取付け部材45がそれぞれ取付け固定されている。さらに、4個の支柱部56a〜56d上には、臥床架22が取付け固定されている。したがって、臥床架22と上側支持板部55との間には、カセッテトレー61を収納することができるトレー収納空間62が形成されている。そして、このトレー収納空間62は、足側のトレー出し入れ口63a、左側のトレー出し入れ口63bおよび右側のトレー出し入れ口63cをそれぞれ備えている。なお、足側のトレー出し入れ口63aは、支柱部56aと支柱部56bとの間に存在している空間によって構成されている。そして、左側トレー出し入れ口63bは、支柱部56aと支柱部56cとの間に存在している空間によって構成されている。また、右側のトレー出し入れ口63cは、支柱部56bと支柱部56dとの間に存在している空間によって構成されている。なお、上側支持板部55には、
図6などに示すように、ほぼ前後方向の全長にわたって延在している3本の溝部59と、ほぼ左右方向の全長にわたって延在している3本の溝部60とのそれぞれが、プラスチック成形によって形成されている上側支持板部55の成形性向上と変形防止とのために形成されている。
【0027】
カセッテトレー61は、
図2、
図7、
図8などに示すように、平面的に見てほぼ長方形であるお盆形状であってよい。そして、このカセッテトレー61の平面的に見た長さ方向における両端部のそれぞれの側面には、一対の把手部64a、64bが凹み形状でもってそれぞれ配設されている。また、カセッテトレー61上には、X線撮影などにそれぞれ用いることができる撮影用フィルム、CCD(電子結合素子)イメージセンサなどの撮影用材料が収納されていてよいカセッテ65が配置されている。さらに、カセッテトレー61の横幅は、支柱部56aと支柱部56cとの間隔(換言すれば、支柱部56bと支柱部56dとの間隔)とほぼ同一の長さまたは多少幅狭であってよい。また、カセッテトレー61の横幅は、支柱部56aと支柱部56bとの間隔とほぼ同一の長さまたは多少幅狭であってよい。したがって、支柱部56aと支柱部56cとの間隔と、支柱部56bと支柱部56dとの間隔と、支柱部56aと支柱部56bとの間隔とのそれぞれは、互いにほぼ同一の大きさであってよい。
【0028】
4、可動壁部構造および固定壁部構造の動作
【0029】
固定壁部23は、
図2、
図6などに示すように、この固定壁部23の左右両側において保育器基台21にそれぞれ固定されている左右一対の取付け部材45に着脱可能に取付け固定されることによって、上記直立状態を定常的に保持されている。これに対し、脚側の可動壁部24および左右両側の可動壁部25、26のそれぞれが、
図1に示す上記直立状態から
図2において可動壁部24、25について例示している上記下垂状態まで往回動させられるときには、可動壁部24〜26のそれぞれの往回動をロックしているロック手段(図示せず)によるロックをまず解除する。ついで、取扱者は、一対の回動支軸18〜20をそれぞれ回動支点として可動壁部24〜26を必要に応じて往回動させることによって、可動壁部24〜26のそれぞれを上記直立状態から上記下垂状態まで往回動させることができる。なお、可動壁部24〜26のそれぞれの上記往回動は、上記往回動の回動速度を抑制することができるダンパ(図示せず)のダンパ機能によって低速で行われることができる。そして、上記下垂状態の可動壁部24〜26のそれぞれを上記直立状態に復回動させるときには、取扱者は、可動壁部24〜26の一対の回動支軸18〜20を支点として、回動壁部24〜26のそれぞれを手動によって復動させればよい。
【0030】
取扱者が開放型保育器11のマットレス15上に新生児などの児を寝かしたり、児をマットレス15上から持ち上げたりするときには、取扱者は、
図4に示すように、自分の腕66を児収容空間27に差し込むことになる。この場合、取扱者の腕66が
図4に示すように可動壁部24〜26や固定壁部23の上端部に当接する可能性がある。しかし、可動壁部24〜26のそれぞれの上端部は屈曲部51を構成するとともに、固定壁部23の上端部は、切欠き形状の凹部28を除いて、屈曲部51を構成している。そして、上記屈曲部51には、
図3、
図9A(
図9B〜
図9Dに示す場合も、同様である。)などに示すように、傾斜部53および水平部54が直立部分52の上端に順次連なってそれぞれ形成されている。しかも、直立部分52の内側面、傾斜部53の上側面および水平部54の上側面の相互のつなぎ目や、水平部54の上側面の先端部には、アールが付けられている。このために、取扱者の腕66が壁部本体41の上端部(特に、その水平部54や傾斜部53)に比較的強く当接しても、取扱者が痛みを感じたり、腕66を傷付けたりする恐れがない。しかも、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれは、
図5、
図6などに示すように、ほぼ平面的に見て内側か外側に向って弧状に多少膨出している。このために、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれは、壁部本体41が屈曲部51を備えていることも相俟って、開放型保育器11の児収容空間27の外周壁部としての十分な強度を備えることができる。さらに、これら2種類の効果は、
図9Aに示す屈曲部51の場合に奏されるだけでなく、
図9B、
図9Cおよび
図9Dにそれぞれ示す屈曲部51の場合にも同様またはそれ以上に奏されることができる。また、
図9B、
図9Cおよび
図9Dにそれぞれ示す屈曲部51の場合には、美感の点でも
図9Aに示す屈曲部51の場合と同様またはそれ以上に優れている。さらに、可動壁部24〜26および固定壁部23のそれぞれは、
図5、
図6などに示すように、上記直立状態においてほぼ平面的に見て内側から外側に向って弧状に多少突出するように湾曲している。特に、この湾曲の程度は、壁部23〜26のそれぞれの長さ方向における中央部分よりも長さ方向における両端部分において大きくなっている。このために、児収容空間27が或る程度広くなるとともに、見栄えが良く、しかも、壁部23〜26の強度が向上する。
【0032】
カセッテトレー61を開放型保育器11のカセッテトレー収納空間62に収納するときには、3ヶ所のトレー出し入れ口63a〜63cのうちのいずれか1ヶ所のトレー出し入れ口からカセッテトレー61をカセッテトレー収納空間62に向って挿入すればよい。この場合、取扱者がカセッテトレー61をトレー出し入れ口63bからカセッテトレー収納空間62に挿入するときには、取扱者は、まず、
図2、
図6などに示すように、左側可動壁部25を上記直立状態から上記下垂状態まで往回動させる。ついで、取扱者は、把手部64aなどを手などで掴んでから、カセッテトレー61に保育器基台21の上側支持板部55上を摺動させることによって、カセッテトレー61をカセッテトレー収納空間62に挿入する。この場合、カセッテトレー61の前後一対の把手部64a、64bのうちのいずれか一方の把手部が設けられている側から、カセッテトレー61をカセッテトレー収納空間62に挿入する。このときには、支柱部56a、56bの後側面68および支柱部56c、56dの前側面69のそれぞれが、ガイド部兼用の位置保持部として、カセッテトレー61の長壁側の側壁面71、72にそれぞれ当接する。この結果、カセッテトレー61は、
図2、
図7などに示すように、カセッテトレー収納空間62内に
図7における左右対称的に配置される。また、取扱者が
図7に示すようにカセッテトレー収納空間62内に収納されているカセッテトレー61をカセッテトレー収納空間62から取出すときには、取扱者は、把手部64aまたは64bを手などで掴んでから、カセッテトレー61に上側支持板部55上を摺動させることによって、カセッテトレー61を
図7における右側または左側に引っ張り出せばよい。このときにも、支柱部56a、56bの後側面68および支柱部56c、56dの前側面69のそれぞれが、ガイド部として、カセッテトレー61の長壁側の側壁面71、72をそれぞれガイドする。なお、
図6において、鎖線で示されている長方形67は、カセッテ装着予定位置を示している。そして、
図7および
図9においては、カセッテ65が平面的に見て上記長方形67と実質的に同一の位置に配置されている。
【0033】
取扱者がカセッテトレー61をトレー出し入れ口63cからカセッテトレー収納空間62に挿入するときには、上述のようにトレー出し入れ口63bからカセッテトレー61を挿入するときとは左右対称的であることを除いて、実質的に同一の操作を行えばよいので、その詳細な説明を省略する。また、取扱者がカセッテトレー収納空間62内に収納されているカセッテトレー61をカッセテトレー収納空間62から取り出すときには、取扱者は、把手部64aまたは64bを手などで掴んでから、カセッテトレー61に上側支持板部55上を摺動させることによって、カセッテトレー61を
図7において右側または左側(換言すれば、その時点で取扱者にとって都合の良い側)に引っ張り出せばよい。さらに、取扱者がカセッテトレー61をトレー出し入れ口63aからカセッテトレー収納空間62に挿入したり、カセッテトレー収納空間62から取出したりするときには、上述のようにトレー出し入れ口63bから挿入したり、取り出したりする場合に較べて、つぎに記載の操作を行えばよい。すなわち、取扱者は、まず、カセッテ65を
図8に示すようにカッセテトレー61の挿入端61aの側に予め移動させる。このために、カセッテトレー61の上面などには、
図7に示すようにカセッテ65をカセッテトレー61の上面のほぼ中央の位置に配置するための指示線、指示溝、指示用の凹部などが予め形成されるとともに、
図8に示すようにカセッテトレー61の上面の長さ方向における一端寄りの位置に配置するための指示線、指示溝、指示用の凹部などが予め形成されていてよい。ついで、取扱者は、
図2、
図8などに示すように、脚側可動壁部24を上記直立状態から上記下垂状態まで往回動させる。ついで、取扱者は、カセッテトレー61をトレー出し入れ口63bからカセッテトレー収納空間62に挿入する上述の場合と同様にして、カセッテトレー61をトレー出し入れ口63aからカセッテトレー収納空間62に挿入する。このときには、支柱部56a、56bのそれぞれの内側面73が、ガイド部兼用の位置保持部として、カセッテトレー61の長壁側の側壁部72、71にそれぞれ当接する。また、取扱者が
図8に示すようにカセッテトレー収納空間62に収納されているカセッテトレー61をカセッテトレー収納空間62から取出すときには、取扱者は、把手部64aを手などに掴んでから、カセッテトレー61に上側支持板部55上を摺動させることによって、カセッテトレー61を
図8における下方に引っ張り出せばよい。このときにも、支柱部56a、56bのそれぞれの内側面73が、ガイド部として、カセッテトレー61の長壁側の側壁面72、71をそれぞれガイドする。
【0034】
以上、本発明の一実施例について詳細に説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0035】
例えば、上述の実施例においては、本発明を開放型保育器に適用している。しかし、本発明は、開放型保育器だけでなく、閉鎖型兼用の開放型保育器にも適用することができる。この場合、児収容空間27を上方から選択的に覆うことができるほぼ上下動が可能でほぼ箱蓋形状の天面フードが設けられることができる。そして、上記天面フードが、ほぼ透明であってよい天面部と、この天面部の外周囲付近からほぼ下方に向って突出していてほぼ透明であってよくかつ平面的に見てほぼ長方形状である上側壁部とから構成されることができる。また、上記天面フードが上昇しているときには、児収容空間27の上面が開放されることによって、保育器が開放型保育器になるとともに、上記天面フードが下降しているときには、児収容空間27の上面が閉塞されることによって、保育器が閉鎖型保育器になるように構成されることができる。
【0036】
また、上述の実施例においては、4枚のベビーガード23〜26(換言すれば、3枚の可動壁部24〜26および1枚の固定壁部23)のうちの3枚のベビーガード24〜26を可動型とするとともに、残り1枚のベビーガード23を固定型とした。しかし、4枚のベビーガード23〜26の全部を可動型とするか、あるいは、固定型とすることもでき、また、2枚のベビーガードを可動型とするとともに、残りの2枚のベビーガードを固定型にすることもでき、さらには、1枚のベビーガードを可動型にするとともに、残り3枚のベビーガードを固定型にすることもできる。
【0037】
また、上述の実施例においては、壁部本体41の肉厚部74の縦断面をほぼ二等辺三角形状に構成した。しかし、肉厚部74の縦断面は、ほぼ五角形状、ほぼ台形状、ほぼ半楕円形状、ほぼ半長円形状、ほぼ半円形状などのような、上端側が好ましくは幅狭になっている各種の別の形状であってもよい。さらに、上述の実施例においては、肉厚部74の厚み方向における両側部分のそれぞれの下端部を肉厚部に構成している。しかし、新生児などの児の体液などの浸入を防止する観点から言えば、肉厚部74の厚み方向における内側部分の下端部のみを肉厚部に構成してもよい。この場合、上記肉厚部の縦断面は、ほぼ直角三角形状、ほぼ半五角形状、ほぼ半台形状、ほぼ1/4楕円形状(換言すれば、楕円形状を十文字に切断したときの一片の形状−以下、同様)、ほぼ1/4長円形状、ほぼ1/4円形状などであってもよい。また、肉厚部74の厚み方向における両側部分のそれぞれの下端部を肉厚に構成する場合にも、肉厚部74の厚み方向における内側部分の下端部の肉厚部分を外側部分の下端部の肉厚部分とほぼ同一の形状にする必要は必ずしもない。例えば、これらの肉厚部分のうちのいずれか一方をほぼ直角三角形状に構成するとともに、他方をほぼ1/4長円形状に構成してもよい。