特許第6205342号(P6205342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205342ペレタイザ切断管理支援装置及びペレタイザ切断管理支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205342
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】ペレタイザ切断管理支援装置及びペレタイザ切断管理支援方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20170914BHJP
   B26D 1/28 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   B29B9/06
   B26D1/28 L
   B26D1/28 H
   B26D1/28 F
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-257097(P2014-257097)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-117188(P2016-117188A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2016年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】荒木 要
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英二
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 知多佳
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 伸
【審査官】 関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−123615(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/018404(WO,A1)
【文献】 特開2014−181364(JP,A)
【文献】 特開2008−221574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 9/06
B26D 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイ面に形成されたダイ孔から押し出される合成樹脂を前記ダイ面に沿って回転する切断刃によって切断するペレタイザ装置における切断の管理を支援するペレタイザ切断管理支援装置であって、
前記切断刃によって切断した直後の切断片の切断面の面積、真円度又は最長部の長さである面データを複数、取得し、その取得した複数の面データから分散値を生成する分散値生成部と、
前記面データの分散値が予め設定された分散閾値より小さいとき、前記ダイ面と前記切断刃とのクリアランスが良と判定し、前記面データの分散値が前記分散閾値よりも小さくないとき、前記クリアランスが否と判定するクリアランス判定部と
前記クリアランスが否と判定されたとき、所定の表示をする出力部とを備えていることを特徴とするペレタイザ切断管理支援装置。
【請求項2】
前記切断刃は、周方向に沿って互いに間隔を隔てて配置された少なくとも3個を備え、
前記面データは、前記各切断刃によるそれぞれの切断片の切断面について、複数、取得されたものであることを特徴とする請求項記載のペレタイザ切断管理支援装置。
【請求項3】
前記ダイ面に対する前記切断刃の傾きを表示する傾き値を、前記各切断刃についての前記面データの分散値と関連付けて記憶したデータベースと、前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きを判定する傾き判定部とを、更に備え、
前記傾き判定部は、前記各切断刃について取得した前記面データの分散値に対応する前記傾き値を前記データベースから注出し、前記注出した前記傾き値が、前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きの傾き閾値より小さいとき、前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きが良と判定し、前記注出した前記傾き値が、前記傾き閾値より小さくないとき、前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きが否と判定し、
前記出力部は、前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きが否と判定されたとき、所定の表示をすることを特徴とする請求項に記載のペレタイザ切断管理支援装置。
【請求項4】
ダイ面に形成されたダイ孔から押し出されてくる合成樹脂を前記ダイ面に沿って回転する切断刃によって切断するペレタイザ装置における切断を管理するペレタイザ切断管理支援装置を用いて行うペレタイザ切断管理支援方法であって、
前記ペレタイザ切断管理支援装置に、前記切断刃によって切断した直後の切断片の切断面の面積、真円度又は最長部の長さである面データを複数、取得させその取得させた複数の面データから分散値を生成させ、前記面データの分散値が予め設定された分散閾値より小さいとき、前記ダイ面と前記切断刃とのクリアランスが良と判定させ、前記面データの分散値が前記分散閾値よりも小さくないとき、前記クリアランスが否と判定させ、前記クリアランスが否と判定されたとき、所定の表示をさせることを特徴とするペレタイザ切断管理支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイ面に形成されたダイ孔から押し出されてくる合成樹脂を前記ダイ面に沿って回転する切断刃によって切断するペレタイザ装置における切断の管理を支援するペレタイザ切断管理支援装置及びペレタイザ切断管理支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ダイ孔から押し出される樹脂を収納する収納室の内部で前記樹脂を切断刃によって順次切断して切断片(ペレット)を形成するペレタイザ装置が知られている。このようなペレタイザ装置では、例えば切断刃とダイとのクリアランスが大きくなると、切断された後の切断片の切断面が長細状になり、或いは切断面にバリが生じる場合がある。切断面が長細状になったり切断面にバリが生じると、切断片を用いる後工程で円滑に切断片を溶融等し難くなってしまう問題が発生し、更に酷い状態になると切断自体が不能となり、結果として装置全体の動作が停止してしまう。そのため、切断刃とダイとのクリアランスの調整が重要となる。この場合に、収納室の内部を見るための窓を収納室の壁面に形成することも考えられる。しかし、ダイ孔の前方側に、切断刃を取り付けた回転軸が配置される場合が多く、そのため、窓を収納室の上壁等に形成しなければならず、切断刃で切断する切断部分を窓から視察し難い。又、切断刃とダイとのクリアランスの量の変化は、窓からの視察ではわかり難い。
【0003】
一方、例えば特許文献1では、切断刃を回転軸に取り付けてセットする際に、切断刃を取り付けた後、ペレタイザ装置とは別にクリアランス調整用に予め形成した調節板をダイの代わりに取付けて、切断刃と調節板とを所定のクリアランスに調整することで、切断刃とダイとのクリアランスの調整を行い、調整後に調整板を外すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−129243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、切断刃を新規に取り付けてセットする際に前記クリアランスの調整を行うもので、実際に切断刃で切断している稼働中の切断部分を視察するものではない。そのため、例えばペレタイザ装置の温度変化による影響や稼働中の切断刃の摩耗によってクリアランスが変化した場合、そのクリアランスの変化が解り難く、クリアランスの管理をし難いという問題点がある。
【0006】
本発明は、切断刃とダイ面とのクリアランスの管理を容易に確実に行うことができるペレタイザ切断管理支援装置及びペレタイザ切断管理支援方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るペレタイザ切断管理支援装置は、ダイ面に形成されたダイ孔から押し出される合成樹脂を前記ダイ面に沿って回転する切断刃によって切断するペレタイザ装置における切断の管理を支援するペレタイザ切断管理支援装置であって、前記切断刃によって切断した直後の切断片の切断面に関する面データを複数、取得し、その取得した複数の面データから分散値を生成する分散値生成部と、前記面データの分散値と分散閾値とに基いて、前記ダイ面と前記切断刃とのクリアランスの良否を判定するクリアランス判定部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、面データの分散値と分散閾値とに基いてクリアランスの良否を行うため、クリアランスの良否を確実に判定でき、クリアランスの管理を容易に確実に行うことができる。詳しくは、クリアランスが大きくなると(異常な場合)、切断刃のせん断力が小さくなり、切れ味が悪くなることから、切断面のサイズが大きくなったり、長細く糸を引いたようなバリを有する形状になりやすい。そのため、面データはクリアランスが正常な場合に比べて分散値が大きくなる。そこで、クリアランス判定部は予め設定した分散閾値よりも分散値が小さい場合にクリアランスが良との判定を行い、分散値が分散閾値よりも大きい場合にクリアランスが否との判定を行う。これにより、クリアランス判定部はクリアランスの良否を確実に判定できる。従って、ペレタイザ装置の温度変化による影響や稼働中の切断刃の摩耗によってクリアランスが所定値よりも大きくなった場合に即座にクリアランスを管理者等に知らせることができ、管理者等に調整させることができる。よって、本発明のペレタイザ切断管理支援装置は、クリアランスを容易に確実に管理できる。
【0009】
他の一態様では、前記ペレタイザ切断管理支援装置において、前記面データは、前記切断面の面積、真円度、又は最長部の長さであることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、クリアランスが大きくなるに従い切断面の面積が大きくなり、真円度の狂いが大きくなり、或いは、最長部の長さが長くなるため、これらの切断面の面積、真円度、又は最長部の長さを面データとすることで、クリアランスの判定を正確なものにできる。
【0011】
他の一態様では、前記ペレタイザ切断管理支援装置において、前記切断刃は、周方向に沿って互いに間隔を隔てて配置された少なくとも3個を備え、前記面データは、前記各切断刃によるそれぞれの切断片の切断面について、複数、取得されたものであることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、周方向に沿って間隔を隔てて配置された少なくとも3個の切断刃による切断片の切断面の面データのそれぞれについて判定を行うため、より正確な判定を行うことができる。
【0013】
他の一態様では、前記ペレタイザ切断管理支援装置において、前記ダイ面に対する前記切断刃の傾きを表示する傾き値を、前記各切断刃についての前記面データの分散値と関連付けて記憶したデータベースと、前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きを判定する傾き判定部とを、更に備え、前記傾き判定部は、前記各切断刃について取得した前記面データの分散値に対応する前記傾き値を前記データベースから注出し、前記注出した前記傾き値と前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きの傾き閾値とに基いて、前記切断刃の前記ダイ面に対する傾きの良否の判定をすることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、傾き判定部によって、切断刃についてのダイ面に対する傾きを判定できる。これにより、例えばクリアランスが良くても傾きの大きい状態の切断刃を検出でき、切断刃が、より一層良好な切断状態に管理できる。
【0015】
本発明の一態様に係るペレタイザ切断管理支援方法は、ダイ面に形成されたダイ孔から押し出されてくる合成樹脂を前記ダイ面に沿って回転する切断刃によって切断するペレタイザ装置における切断を管理するペレタイザ切断管理支援装置を用いて行うペレタイザ切断管理支援方法であって、前記ペレタイザ切断管理支援装置に、前記切断刃によって切断した直後の切断片の切断面に関する面データを複数、取得させその取得させた複数の面データから分散値を生成させ、前記面データの分散値と分散閾値とに基いて、前記ダイ面と前記切断刃とのクリアランスの良否の判定を行わせることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、クリアランス判定部は予め設定した分散閾値よりも分散値が小さい場合にクリアランスが良との判定を行い、分散値が分散閾値よりも大きい場合にクリアランスが否との判定を行う。これにより、クリアランス判定部はクリアランスの良否を確実に判定できる。従って、ペレタイザ装置の温度変化による影響や稼働中の切断刃の摩耗によってクリアランスが所定値よりも大きくなった場合に即座にクリアランスを管理者等に知らせることができ、管理者等に調整させることができる。よって、本発明のペレタイザ切断管理支援方法は、クリアランスを容易に確実に管理できる。
本発明の他の態様に係るペレタイザ切断管理支援装置は、ダイ面に形成されたダイ孔から押し出される合成樹脂を前記ダイ面に沿って回転する切断刃によって切断するペレタイザ装置における切断の管理を支援するペレタイザ切断管理支援装置であって、前記切断刃によって切断した直後の切断片の切断面の面積、真円度又は最長部の長さである面データを複数、取得し、その取得した複数の面データから分散値を生成する分散値生成部と、前記面データの分散値が予め設定された分散閾値より小さいとき、前記ダイ面と前記切断刃とのクリアランスが良と判定し、前記面データの分散値が前記分散閾値よりも小さくないとき、前記クリアランスが否と判定するクリアランス判定部と、前記クリアランスが否と判定されたとき、所定の表示をする出力部とを備えていることを特徴とする。
本発明の他の態様に係るペレタイザ切断管理支援方法は、ダイ面に形成されたダイ孔から押し出されてくる合成樹脂を前記ダイ面に沿って回転する切断刃によって切断するペレタイザ装置における切断を管理するペレタイザ切断管理支援装置を用いて行うペレタイザ切断管理支援方法であって、前記ペレタイザ切断管理支援装置に、前記切断刃によって切断した直後の切断片の切断面の面積、真円度又は最長部の長さである面データを複数、取得させその取得させた複数の面データから分散値を生成させ、前記面データの分散値が予め設定された分散閾値より小さいとき、前記ダイ面と前記切断刃とのクリアランスが良と判定させ、前記面データの分散値が前記分散閾値よりも小さくないとき、前記クリアランスが否と判定させ、前記クリアランスが否と判定されたとき、所定の表示をさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のペレタイザ切断管理支援装置及びペレタイザ切断管理支援方法は、切断刃とダイ面とのクリアランスの管理を容易に確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のペレタイザ切断管理支援装置の構成を示すブロック図である。
図2図1のペレタイザ切断管理支援装置が有するデータベースの1例の図である。
図3図1のペレタイザ切断管理支援装置を用いて行うペレタイザ切断管理支援方法のフローチャートの一例である。
図4図1のペレタイザ切断管理支援装置が適用される一実施の形態のペレタイザ装置の要部の断面図である。
図5図4のII−II線断面図である。
図6図4のIII−III線断面図である。
図7図4のIV−IV線断面図である。
図8図4のV−V線断面図である。
図9】ペレタイザ装置の他の実施形態の要部の断面図である。
図10】ペレタイザ装置の更に他の実施形態の要部の断面図である。
図11】切断刃で合成樹脂を切断した状態の模式図である。
図12】切断片の切断面の一例の図である。
図13】面データとクリアランスの関係を表した図である。
図14】面データの分散値とクリアランスの関係を表したグラフである。
図15】クリアランスと傾きの関係を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明のペレタイザ切断管理支援装置の構成を示すブロック図、図2は、図1のペレタイザ切断管理支援装置が有するデータベースの一例の図である。尚、以下の説明において、図4図11のX1方向を前方側、X2方向を後方側とし、Y1方向を左方側、Y2方向を右方側として説明する。
【0020】
本発明のペレタイザ切断管理支援装置100は、ペレタイザ装置1の切断の管理を支援する装置である。まず、本発明のペレタイザ切断管理支援装置100の説明に先立って、図4図11に基いて本実施形態のペレタイザ装置1からする。
【0021】
この実施形態のペレタイザ装置1は、図4図8に示すように、ダイ2と、切断刃3a〜3dと、切断刃3a〜3dを回転操作する刃操作部5と、切断刃3a〜3dで切断した切断片10(図11に図示)を収納する収納室4と、収納室4の内部における切断刃3a〜3dによる切断部分の光学像を収納室4の内部から外部に送る光学像送出部6とを備えている。
【0022】
ダイ2は、前面に形成されたダイ面21と、ダイ面21に形成された複数のダイ孔22a、22とを備えている。ダイ面21は、径方向に所定の幅を持って円盤状にダイ2の前面から前方側に突設されている。
【0023】
ダイ孔22は、ダイ面21の中心O1から所定のピッチ円221上に、ピッチ円221の周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0024】
各ダイ孔22は、ダイ2の後面からダイ面21に貫通するように形成されている。
【0025】
このように形成されたダイ2は、後面側が図示しない合成樹脂混練機に連結されており、ダイ孔22から合成樹脂が押し出されるようになっている。
【0026】
収納室4は、ダイ2の前方を囲むように形成された収納室区画壁41とダイ2とにより区画形成されている。詳しくは、収納室区画壁41は、周壁411と、ダイ2の前方側に所定距離だけ隔てて形成された前壁412とを備えている。そして、収納室区画壁41の周壁411と前壁412とダイ2とにより収納室4が区画形成されている。
【0027】
又、収納室区画壁41の周壁411における下部に、湯水を収納室4の内部に流入する流入口42が設けられている。又、収納室区画壁41の周壁411における上部に、収納室4の内部に流入された湯水を流出する流出口43が設けられている。
【0028】
刃操作部5は、回転軸部51と、切断刃3a〜3dを保持した刃保持部52とを備えている。回転軸部51は、回転軸部51の軸心O2とダイ面21の中心O1とが一致するようにして、収納室区画壁41の前壁412を回転自在に貫通するように配置されており、回転軸部51の軸方向の一方端部が収納室4の内部に収納されている。尚、この回転軸部51の他方端部は、図示しない駆動モータに連結されており、駆動モータの作動に伴って回転する。
【0029】
刃保持部52は、回転軸部51の軸方向の一方端部に連結されて収納室4の内部に、ダイ2と対向するように配置されており、そのダイ2と対向した円形状のダイ対向面521に、切断刃3a〜3dを取り付ける切断刃取付部522を備えている。この実施形態では、切断刃取付部522は、ダイ対向面521の周方向に等間隔に形成された4つからなる。
【0030】
切断刃は、この実施形態では、切断刃取付部522と対応する数の第1切断刃3a〜第4切断刃3dの4個から構成されている。各切断刃3a〜3dは、略直方体状を呈している。そして、各切断刃3a〜3dは、切断刃3a〜3dの長手方向がダイ対向面521の径方向に延されるとともに、ダイ孔22のピッチ円221上に配置されて、切断刃取付部522に着脱自在に取り付けられている。
【0031】
光学像送出部6は、この実施形態では、収納室4の内部に配置された光学系としての反射鏡61と、反射鏡61に反射された光学像を収納室4の外部に通す像通過部62とを備えている。
【0032】
像通過部62は、この実施形態では、収納室区画壁41の周壁411における右部に形成されており、円形状の像送出孔621と、像送出孔621に配置された板状の透明体622とを備えている。像送出孔621は、周壁411の外面から内面に貫通するように形成されている。透明体622は、収納室4の内部の湯水が像送出孔621から漏れないように像送出孔621を被覆している。
【0033】
反射鏡61は、この実施形態では、最右側のダイ孔22aの前方、且つ、像通過部62の径方向内側となる左方側に配置されるようにして、図示しない支持部材によって支持されている。尚、反射鏡61は、1つから構成されるものに限らず、複数から構成されてもよい。例えば切断刃に対応する数だけ設け、反射鏡が切断刃それぞれによる切断部分の光学像を送るようにしてもよい。
【0034】
詳しくは、収納室4の収納室区画壁41には、支持部材が設けられている。この支持部材の一方端が収納室区画壁41に連結され、支持部材の他方端が最右側のダイ孔22の前方、且つ、像通過部62の左方側の位置まで延ばされている。そして、反射鏡61は、支持部材の他方端に連結されており、これにより、切断刃3a〜3dがダイ2の最右側のダイ孔22aを横切ってダイ孔22から押し出されてくる樹脂を切断する切断部分の像を像通過部62に送ることができるようになっている。
【0035】
次に、ペレタイザ切断管理支援装置100について説明する。ペレタイザ切断管理支援装置100は、図1に示すように、撮像部101と、入力部102と、出力部103と、インターフェース部(IF部)104と、記憶部105と、制御処理部106とを備えている。
【0036】
撮像部101は、制御処理部106と接続されており、この実施形態では、図5に示すように、例えば1秒間に100コマを撮影できる高速度カメラ101aと光照射部101bを備えている。高速度カメラ101aは、収納室4の外部における像通過部62の右側方側に、像通過部62を介して反射鏡61に送られてくる光学像を採り込んで撮影できるように配置されている。そして、高速度カメラ101aは、撮影した画像データを制御処理部106に送る。
【0037】
光照射部101bは、収納室4の外部における高速度カメラ101aの側方に、像通過部62を介して収納室4の内部におけるダイ2の最右側のダイ孔22a及びその周辺部に光を照射できるように配置されている。
【0038】
入力部102は、図1に示すように制御処理部106に接続され、例えば測定開始の指示等の各種コマンド、および、例えばサンプル名等のペレタイザ切断管理支援を実施するうえで装置100必要な各種データをペレタイザ切断管理支援装置100に入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチや、キーボードや、マウス等である。
【0039】
出力部103は、制御処理部106に接続され、制御処理部106の制御に従って、入力部102から入力されたコマンドやデータ、および、ペレタイザ切断管理支援装置100によって判定された結果等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、LCDおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0040】
なお、入力部102および出力部103はタッチパネルで構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部102は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部103は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容としてペレタイザ切断管理支援装置100に入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易いペレタイザ切断管理支援装置100が提供される。
【0041】
IF部104は、制御処理部106に接続され、制御処理部106の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS−232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。
【0042】
記憶部105は、制御処理部106の制御に従って、ペレタイザ切断管理支援プログラム等の各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。このような記憶部105は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部47は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部106のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。尚、記憶部105は、必要に応じてハードディスクを備えてもよい。
【0043】
又、この実施形態では、記憶部105は、分散閾値及び傾き閾値を記憶している。又、記憶部105は、図2に示すように、4つ(複数)の切断刃3a〜3dの分散値と関連付けて傾き値を記憶したデータベース111を備えている。この傾き値は、ダイ面21に対する切断刃3a〜3dの傾きαに関するデータである。
【0044】
制御処理部106は、ペレタイザ切断管理支援装置100の各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御する。制御処理部106は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部106は、制御処理プログラムが実行されることによって、後述の制御部107、分散値生成部108及び判定部109、110が機能的に構成される。
【0045】
この制御処理部106は、制御部107と、分散値生成部108と、ダイ面21と切断刃3a〜3dとのクリアランスを判定するクリアランス判定部109と、切断刃3a〜3dのダイ面21に対する傾きを判定する傾き判定部110とを備えている。
【0046】
制御部107は、ペレタイザ切断管理支援装置100の各部を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するためのものである。
【0047】
分散値生成部108は、撮像部101から送られてきた画像データであり、切断刃3a〜3dで切断された直後の切断片の切断面についての画像データの輪郭を強調する輪郭強調処理等の画像処理を実行し、切断面に関する面データを複数、取得する。面データは、例えば切断面の面積、真円度、又は最長部の長さ等である。又、分散値生成部108は、取得した複数の面データの分散値を生成する。
【0048】
クリアランス判定部109は、分散値生成部108で生成した分散値と予め設定した分散閾値とに基いて、面データの分散値が分散閾値よりも小さい場合(例えば分散値≦分散閾値)にクリアランスが良との判定を行い、分散値が分散閾値よりも大きい場合(例えば分散値>分散閾値)にクリアランスが否との判定を行う。
【0049】
詳しくは、ダイ面21と切断刃3a〜3dとのクリアランスtが大きくなると、図11図12に示すように切断片10の切断面が長細状(楕円状)になったり、或いは切断面にバリ(図示せず)が生じる場合が多い。その結果、例えば切断面の面積S、切断面の最長部の長さL1、及び真円度の分散値が、良好なクリアランスにおける切断面の分散値に較べて大きくなる。例えば図13図14に示すように、良好なクリアランスよりも所定量だけ大きいクリアランスでの切断面の面積Sでは、その良好なクリアランスでの切断面の面積よりも分散値が大きくなる。尚、真円度は、例えば最小の内接円と最大の内接円との差により求めることができる。
【0050】
そこで、良好なクリアランス、即ち、切断片を用いる後工程で円滑に溶融等し得る切断片に切断できるクリアランスの最大値が分散閾値に設定され、クリアランス判定部109は、面データの分散値とその分散閾値とに基いて判定を行う。
【0051】
傾き判定部110は、切断刃3a〜3dがダイ面21に対する傾きα(図4に図示)が所定よりも大きくなると、上記クリアランスが大きくなった場合と同様に、切断片の切断面が長細状になり、或いは切断面にバリが生じる場合があるため、切断刃3a〜3dのダイ面21に対する傾きαの判定を行う。この実施形態では、傾き判定部110は、以下のように判定を行う。
【0052】
まず、各切断刃3a〜3dについて生成した面データの分散値に対応する後述の図2に示す傾き値をデータベース111から注出する。
【0053】
又、傾き判定部110は、注出した傾き値と切断刃3a〜3dのダイ面21に対する傾きの傾き閾値とに基いて、注出した傾き値が傾き閾値よりも小さい場合(例えば傾き値≦傾き閾値)に切断刃3a〜3dのダイ面21に対する傾きが良との判定を行い、一方、傾き値が傾き閾値よりも大きい場合(例えば傾き値>傾き閾値)に傾きが否との判定を行う。
【0054】
次に、ペレタイザ切断管理支援装置100を用いて行うペレタイザ切断管理支援方法について説明する。
【0055】
収納室4は、流入口42から湯水が流入されているとともに、収納室4が流入された湯水で満たされて流出口43から流れ出ている状態にされる。そして、この状態で、駆動モータの始動により刃操作部5の回転軸部51が回転し、その回転に伴い切断刃3a〜3dがダイ面21に沿って回転する。又、ダイ2の各ダイ孔22から合成樹脂が押し出される。
【0056】
押し出された合成樹脂は、各切断刃3a〜3dがダイ孔22を横切る毎に切断されて切断片10が形成される。
【0057】
そして、この実施形態では、その切断に際し、各切断刃3a〜3dが最右側のダイ孔22aを横切った直後における切断片10の切断面を各切断刃3a〜3dごとに撮像部101が撮影する。
【0058】
撮影された切断面の画像データは、制御処理部106に送られる。そして、制御処理部106は、受信した画像データに基づいて切断面の面データ、例えば面積についてのデータを、切断刃3a〜3dごとに取る。
【0059】
そして、制御処理部106は、図3に示すように各切断刃3a〜3dの面データが予め設定した設定数(例えば50)になったか否かを判定し(ステップS1)、設定数になった場合、制御処理部106の分散値生成部108は、各切断刃3a〜3dごとに面データの分散値を生成する(ステップS2)。尚、各切断刃3a〜3dの面データが設定数になっていない場合は、設定数になるまで待つ。
【0060】
次に、クリアランス判定部109は、分散値が予め設定された分散閾値よりも小さいか否かをみる(ステップS3)。分散値生成部108は、分散値が予め設定された分散閾値よりも小さい場合、クリアランスが良との判定を行う(ステップS4)。
【0061】
一方、クリアランス判定部109は、分散値が分散閾値よりも小さくない場合、クリアランスが否との判定を行う(ステップS5)。尚、この判定は、各切断刃3a〜3dについて行う。又、この実施形態では、クリアランス判定部109は、否との判定を行った場合、出力部103に否に該当する切断刃3a〜3dの表示と共に否の表示を行う。
【0062】
これにより、クリアランスが大きくなり過ぎた切断刃3a〜3dを即座に管理者等に知らせることができ、管理者等に切断刃3a〜3dのクリアランスを修正させることができる。
【0063】
次に、傾き判定部110は、各切断刃3a〜3dについて生成した面データの分散値に対応する傾き値をデータベース111から注出する(ステップS6)。例えば第1切断刃3aの分散値がa1、第2切断刃3bの分散値がb1、第3切断刃3cの分散値がc1、第4切断刃3dの分散値がd1である場合、データベース111からそれらに対応する傾き値としてα1を抽出する。
【0064】
そして、傾き判定部110は、注出した傾き値が傾き閾値よりも小さいか否かを判定し(ステップS7)。傾き値が傾き閾値よりも小さい場合、傾き判定部110は、切断刃3a〜3dのダイ面21に対する傾きが良との判定を行う(ステップS8)。
【0065】
一方、傾き判定部110は、傾き値が傾き閾値よりも小さくない場合、切断刃3a〜3dのダイ面21に対する傾きが否との判定を行う(ステップS9)。そして、傾き判定部110は、否との判定を行った場合、出力部103に、切断刃3a〜3dのダイ面21に対する傾きが否の旨の表示を行う。
【0066】
これにより、例えば図15に示すように、クリアランスを判定するだけでは、ダイ面21に対して切断刃3a〜3dの傾きが大きくなっている状態を見つけ難いが、傾き判定部110によってダイ面21に対して切断刃3a〜3dの傾きが所定よりも大きくなっている状態を発見でき、管理者等に知らせることができる。よって、管理者等に切断刃3a〜3dの傾きを修正させることができる。
【0067】
尚、上記実施形態では、ペレタイザ装置1の光学系として反射鏡61を用いたが、この反射鏡61を用いる形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば図9に示すように、光学系としてプリズム161を用いてもよい。
【0068】
又、図10に示すように光学系として内視鏡160を用いてもよい。又、内視鏡160を用いる場合において、例えばこの図10に示すように、ダイ孔22の前方側に配置した第1内視鏡160aと、ダイ孔22の径方向外側に配置した第2内視鏡160bとの2つを用い、或いは、それらの内の何れか一方を用いてもよい。又、このような内視鏡160を用いる場合において、CCDイメージセンサ及び光照射部を有するものを使用すれば、ペレタイザ切断管理支援装置100の撮像部101として使用でき、別途に撮像部101を設ける必要がなく、簡素化でき、製作容易なものにできる。
【符号の説明】
【0069】
1 ペレタイザ装置
2 ダイ
3 切断刃
4 収納室
22、22a ダイ孔
61 反射鏡(光学系)
100 ペレタイザ切断管理支援装置
108 分散値生成部
109 クリアランス判定部
110 傾き判定部
111 データベース
図1
図2
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図15