(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回転式先端部は、略滑らかで湾曲した外面であって、第1回転方向に回転する場合には非侵襲性の組織接触面を付与し、第1回転方向と逆方向である第2回転方向に回転する場合には切開面を付与する外面を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載のデバイス。
細長い本体は、回転式先端部の1回転ごとに少なくとも1回、OCTセンサの撮像を妨害するように構成された少なくとも1つのマーカを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
冠動脈と末梢血管系内での血管形成術とステント留置術に関連する再狭窄率を改善する可能性があるにも関わらず、アテローム切除術が一般的に行われていない。この限られた使用についての主な理由は、コスト、複雑性、および現在利用可能なデバイスの適用可能性が限られていることである。多くの設計は、長く複雑な病変部に存在する広範囲の疾患状態を治療できない。すなわち、クロッシングプロファイル(crossing profile)が増加した複数のデバイスを医師が導入する必要性により、管腔利得(luminal gain)がしばしば制限される。組織の収集は、小さい粒子サイズと体積に関する仮定に基づいて、予測できないか不必要と考えられる。最適なデバルキングは、血管内が可視化されないことに起因して不可能であるか、非常に長い手術時間を要する。これらの制限に基づいて、現在のデバイスは、デノボ病変部、入口部、および分岐部の安全性と有効性が大きな課題を提起し続ける冠状血管系において低い性能を発揮する可能性がある。
【0014】
これまで、アテローム切除用デバイスは、アテローム性動脈硬化プラークを柔らかくし、または乳化させることに焦点を当ててきた。アテローム性動脈硬化プラークは、臨床的に重要でないと考えてもよく、血流に残ったままでもよく、またはカテーテル本体内の小さな空間を通って近位側に吸引され得るようにしてもよいものであった。カテーテルを介して外部リザーバに吸引されていない場合、臨床的に重要でない塞栓を生成するこれらのデバイスの信頼性は疑問視されている。吸引は、カテーテル内の管腔または環状空間に真空を適用して乳化された組織を除去することを必要とする。吸引の初期の臨床評価では、遠位動作アセンブリでの負圧の存在により、積極的な治療、切開、および/または穿孔をもたらす切断エレメントの周囲で動脈がつぶれてしまう。なお、除去した病変部の術後分析に対する選択肢は、非常に限定されていたり不可能であったりする。Atheromed社、Pathway Medical社およびCardio Vascular Systems社は、このような製品設計に取り組む企業の例である。
【0015】
他のアテローム切除用デバイスは、Devices for Vascular Intervention社やFox Hollow社が開発したものなど、方向性アテローム切除用デバイスを含む。これらのカテーテルは、遠位の組織を切断し、デバイスの遠位先端部の格納リザーバへ誘導するカップ状のカッターを含む。このアプローチは、プラークの「アズカット」(as cut)性を保持するが、大規模な遠位収集エレメントを必要とする。これらの大規模な遠位先端アセンブリは、小さい病変部へアクセスするシステムの可能性を制限し、血管内に付加的な外傷を作成する可能性がある。
【0016】
また、現在利用可能なアテローム切除用デバイスは、リアルタイムの画像誘導を含んでおらず、ほとんどそれを使用するように構成されていない。しばしば、医師の練習では、血管内診断デバイスが一貫して大きく偏心した病変部を示しているにも関わらず、同心性病変部を含んでいるとものとしてターゲット病変部を治療する。事実上、このサーカムファレンシャル(circumferential)治療アプローチにより、ネイティブ動脈壁(native artery)と、可能性として正常な血管が、確実に血管系から切断されることになる。
【0017】
上記ニーズを考慮して、閉塞クロッシング用カテーテルデバイス、アテローム切除用カテーテルデバイス、撮像用カテーテル(撮像ガイドワイヤ留置デバイスと撮像アテローム切除デバイスを含む)、およびそれらを使用するシステムと方法について本明細書で説明し、上記懸念の少なくとも幾つかに対処している。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、OCTイメージセンサを含み、1つまたは複数の組織切開エレメントを含むことができる回転遠位先端領域を有するカテーテルに関する。また、これらのカテーテルは、カテーテル本体の長さ方向に沿って延在し、かつガイドワイヤを渡すために使用できる、遠位端(distal end)で開口する中央通路または管腔を含んでもよい。概して、本明細書で説明しているカテーテルは、(1)ガイドワイヤ支持/留置用カテーテル、(2)支持/留置撮像用カテーテル、(3)閉塞クロッシング用カテーテル、(4)閉塞クロッシング用・撮像用カテーテル、(5)アテローム切除用カテーテル、アテローム切除用撮像用カテーテルとして構成できる。これらのカテーテルのバリエーションのいずれも、本明細書で説明したエレメントの1つまたは複数を含むことができ、これらのカテーテルのバリエーションのいずれかを使用して、障害、特に末梢動脈疾患を治療できる。これらのカテーテルのいずれかを含むシステムについても説明している。便宜上、以下の説明において、これらのカテーテルを閉塞クロッシング用カテーテルと呼ぶことがある。本明細書で説明しているカテーテルのいずれもが閉塞クロッシング用カテーテルとして構成できることが理解されるであろう。
【0019】
概して、カテーテルは、可撓性を有する細長い本体と、近位ハンドル(またはハンドル領域)と、回転遠位先端部とを含むことができる。遠位先端部は、組織を切断または穴開けせずに、回転して前進運動を強化する(例えば、小さい回転速度で)ように構成された、らせんのような回転先端部を有してもよい。穴を開けるのでなく、静止摩擦を防止または低減させ、血管内腔壁への損傷を回避すると共に先端部が外膜を通過することを防止するように先端部が構成されてもよい。
【0020】
先端部は、一定速度または可変速度の充分な低速(例えば、約300回転/分未満、100回転/分未満、50回転/分未満、30回転/分未満、例えば約1回転/分から約30回転/分など)で回転するように構成できる。多くの例で、回転先端部に固定されたイメージセンサを用いた撮像モダリティ(例えばOCT)を含むものには限定されないが、特に、先端部が時計回りと反時計回りの両方に交互に自動的に回転してもよい。例えば、デバイスまたはシステムは、まず時計回りに、続いて反時計回りに遠位先端部を回転させるように構成されてもよい。時計回りと反時計回りの回転は、1回転以上など(例えば約2回転、2.5回転、3回転、5回転、8回転、10回転、12回転、20回転、50回転、100回転、または、端数(fractions)を含めて1から500の任意の回転数)、所定の回転数または部分的な回転の数だけ連続的に行われてもよい。幾つかの例で、回転数は所定の値でなく、タイミングに基づいて、またはカテーテルもしくはシステムからのフィードバックに基づいていてもよい。例えば遠位先端部(それゆえOCTイメージセンサ)は、張力または抵抗力のしきい値に達するまで第1方向に回転し、続けてその方向で張力または抵抗力のしきい値に達するまで第2方向に回転してもよい。その後、このプロセスが繰り返されてもよい。
【0021】
本明細書で説明しているカテーテルのいずれかは、回転遠位先端部で組織切開用の刃先を有する1つまたは複数の組織を含むことができる。幾つかの例で、カテーテルの前縁は、ウェッジと呼ぶことができる1つまたは複数のらせん状エッジを含む。らせん状エッジは、デバイスの遠位端に配置されてもよい。エッジとしては、特にデバイスの最終的な直径と比較して小さい直径を有することができる。これらのエッジは、鋭く、荒く、あるいは解剖用(dissecting)であってもよい。
【0022】
本明細書で説明しているカテーテルの例のいずれかは、デバイスを使用した閉塞を横切る留置のために、ガイドワイヤが通過可能な中央管腔を含んでもよい。中央管腔は、典型的には、デバイスの長さ方向に沿って、カテーテルの近位端または近位端部に対して遠位の領域から遠位端まで延在している。このように、カテーテルは、遠位開口部を含んでもよい。この中央管腔は、ガイドワイヤ管腔と呼ぶことができる。幾つかの例で、デバイスは、病変または閉塞(または血管の1つまたは複数の閉塞領域)を通過し、ガイドワイヤがカテーテルを通過する前に閉塞を超えてカテーテルを位置決めするように構成されている。あるいは、ガイドワイヤを内腔内に収容または保持する一方、デバイスは動脈、静脈または管(duct)などの血管、例えば末梢動脈、静脈または胆管の閉塞または閉塞領域を通じて前進してもよい。
【0023】
概して、本明細書で説明しているカテーテルは、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)に適合して画像を撮像するように構成される。したがって、本明細書で説明しているカテーテルは、OCTイメージセンサなどのイメージセンサを含むことができる。OCTイメージセンサは、光ファイバの遠位端と光ファイバに入射/から出射する光を案内するミラーを含んでもよい。光ファイバは、遠位先端構造に固定できる。イメージセンサを方向付けし(orient)、デバイスの前方、デバイスに対して垂直、および/またはデバイス先端部の後方の血管を撮像できる。ミラーまたは反射器を使用して光ファイバの端部で入射または出射する光経路を案内し、デバイスのための撮像方向を固定できる。例えば、光ファイバとミラーは、回転遠位先端領域に固定されてもよく、透明媒質または半透明媒体(透明なセメントまたは他の固定剤を含む)に埋め込まれていてもよい。
【0024】
OCTシステムの光ファイバは、回転遠位先端部と近位端のみに取り付け、デバイス管腔内では自由に動くようにすることができる。デバイスの遠位端または遠位先端部が回転するとき、光ファイバは、遠位端/端部の時計回りと反時計回りでの回転に伴って、内側管腔の周囲で巻き付き、またはほどけることができる。したがって、回転式(rotatable)遠位先端部でのこの固定領域からカテーテルの近位端まで延在する光ファイバの長さは、カテーテル本体内で緩く、カテーテル本体周囲で自由に巻き付き/ほどける。本発明者らは、光ファイバのこの緩い配置により、光ファイバがその長さ方向に沿って保持されまたは軸外での巻き付きが禁止されるシステムと比較して、組み立ての容易性とカテーテルの可撓性を含む利点が作り出されることを見出した。したがって、本明細書で説明しているカテーテルのいずれかは、光ファイバの巻き付き/ほどけを可能にし、さらに制御するよう構成されてもよく、光ファイバは、カテーテル内に軸外の位置に配置されてもよい。
【0025】
幾つかの例で、デバイスの遠位端は操縦可能であり、または予め屈曲しており、またはその両方である。例えば、遠位端は、シャフトの軸から外れた角度で偏りを加えられ(biased)、または湾曲していてもよい。幾つかの例では、制御部材(例えば、腱部または他のアクチュエータ)を使用して、遠位端の形状を制御できる。幾つかの例で、カテーテルは、予め偏りを加えられた形状または固定湾曲部を含み、デバイスの遠位端(例えば、回転式遠位端)がカテーテルの細長い本体の固定湾曲部の直近位領域と角度をなすようになっている。固定湾曲部は、カテーテルの操縦と誘導に役立つ可能性がある。湾曲部は、透視または他の撮像モダリティ(例えば、超音波)により視認できる1つまたは複数の基準(fiduciary)マーカと一致する平面内に位置してもよい。
【0026】
本明細書で説明している撮像用に構成されたカテーテルは、血管壁を撮像できるようにイメージセンサ領域を洗い流し(flushing)、または他の方法で洗浄し、撮像の質を向上させるように構成されてもよい。例えば、カテーテルは、洗浄液(flush fluid)を供給してデバイス用の可視化経路を洗浄するためのフラッシュまたは流体供給ポートを1つまたは複数個含むことができる。流体供給口から生理食塩水または他の洗浄液を放出して、視野を明瞭にすることができる。フラッシングは、視野を明瞭にすることに役立つのに充分な流体流速で(例えば、赤血球または血管壁の可視化を阻害する可能性のある他の物質を洗浄除去することによって)達成できる。フラッシュポート開口は、遠位端に配置し、撮像領域を洗浄するために必要な流体の量(または流体流速)を最小化するサイズとすることができる。したがって、フラッシュポートは、イメージセンサの近傍に配置できる。例えば、フラッシュポートの位置は、イメージセンサから2mmより小さくてもよい。フラッシングは、手動でまたは自動で制御できる。
【0027】
幾つかの例で、カテーテルは、遠位先端領域と近位ハンドルまたはコネクタ領域との間に延在する細長い長さ方向に沿った外側保護ハウジングを有することができる。外側保護ハウジングと内側管腔の内側の空間は、外側管腔または外側管腔領域と呼ぶことができる。幾つかの例でガイドワイヤ管腔と呼ぶことができる内側管腔は、外側管腔内に位置し、デバイスの細長い長さ方向を通してガイドワイヤを通過させるために使用されてもよい。内側管腔は、デバイスの長さ方向に沿って延在する内部ハウジングによって形成されてもよい。外側保護ハウジングと内側管腔との間の空間は、デバイス管腔と呼ぶこともできる。撮像用の光ファイバを含むカテーテルの例で、光ファイバは、デバイス管腔/外側管腔内に収容されてもよい。さらに、フラッシングを含むデバイスにおいて、洗浄液は、外側管腔を通って流れることができる。
【0028】
また、本明細書では、1つまたは複数の膨張可能な(expandable)、かつ/または膨張式(inflatable)(例えばバルーン)エレメントを含むカテーテルについて説明している。膨張式エレメントを使用して、デバイスの管腔内でデバイスの遠位端の中心合わせを支援し、デバイスの先端部が外膜を通過するのを妨害できる。また、膨張式部材を使用して、通常は視野を遮断するだろう流体の流れを制限または防止できる。幾つかの例で、膨張可能/膨張式領域は、回転遠位先端/遠位端領域を含むことができるデバイスの遠位先端部付近に配置できる。
【0029】
また、本明細書では、撮像を含むこともできるアテローム切除用カテーテルとして構成されたカテーテルについて説明している。例えば本明細書では、側面向き/側面開きで、回転または振動して組織を切断できる円形カッターを使用して血管から閉塞材料を切断するように構成されたアテローム切除用カテーテルについて説明している。このような組織の切断は、デバイスの本体内に格納できる。組織は、除去時にはどろどろの状態(masticated)でもすりつぶされた状態(ground up)でもよい。
【0030】
以下では、カテーテルの具体例、特に閉塞に対して交差するようにガイドワイヤを留置するために使用できる閉塞クロッシング用カテーテルを提供する。
【0031】
本明細書では、細長い本体と、細長い本体の近位端から細長い本体の遠位端まで、細長い本体内に延在するガイドワイヤ管腔と、細長い本体の遠位端に位置し、細長い本体に対して回転するように構成された回転式先端部と、回転式先端部に結合され、それと共に回転するように構成された光ファイバを有するOCTイメージセンサとを備え、光ファイバは、回転式先端部が回転するときに、細長い本体内で中央管腔の周囲に巻き付くように構成された、慢性完全閉塞クロッシング用のカテーテルデバイスについて説明している。
【0032】
また、これらのカテーテルデバイスは、回転可能な先端部を、時計回り、続いて反時計回りに交互に連続的に回転させる駆動機構を含んでもよい。例えば、駆動機構は、約1から約100回転/分(rpm)、約30から約60rpmの間、または100rpmより高速で回転式先端部を回転させるように構成されてもよい。
【0033】
カテーテルは、時計回りおよび反時計回りの回転数が制限されるように構成されてもよい。例えば、時計回りの回転数が15回転未満であって、その後切り替わって反時計回りにさらに15回転し、続けてこの回転パターンを繰り返してもよい。幾つかの例で、時計回り/反時計回りの回転数は約1から約200、約1から約100、約1から約50、約1から約20などである。
【0034】
幾つかの例で、OCTイメージセンサは、カテーテルデバイスの長手軸に対して垂直にエネルギーを放射するように構成される。したがって、カテーテルのすぐ外側の本体(本体管腔を含む)領域を撮像できる。OCTは組織内の構造の画像を提供できるため、管腔を形成および包囲する組織を撮像できる。この情報を使用してカテーテルを誘導し、かつ/または、いつ閉塞に到達したか、もしくはクロスした(crossed)かを確認できる。
【0035】
上記の通り、回転式遠位先端部は、らせん状の刃先またはらせん状ウェッジを含んでもよい。幾つかの例で、らせん状ウェッジは、略滑らかでかつ湾曲した外面を含む。当該外面は、第1方向(例えば時計回り)に回転する場合には非外傷性の(atraumatic)組織接触面を付与し、さらに第1方向と反対の方向(例えば反時計回り)に回転する場合には、組織切開面および/または鋭くもしくは粗い切断面を付与する。
【0036】
本明細書で説明した例の幾つかで、方向付けを支援し、かつ体内でデバイスを留置することを含むデバイス動作を誘導するために、1つまたは複数撮像マーカ(例えば、基準マーカ)が含まれてもよい。マーカは、透視中に高いコントラストで視認できる放射線不透過性材料(例えば金属)、またはOCTシステムからの光ビームを反射または吸収する材料(例えば、金属、緻密ポリマー、炭素粉末)であってもよい。固定湾曲部を含むカテーテルの例で、当該固定湾曲部は、マーカとして、またはマーカと併せて動作し、カテーテルデバイスの操縦を支援するようにしてもよい。幾つかの例で、細長い本体は、回転式先端部の回転ごとに少なくとも1回OCTセンサから撮像を妨害するように構成された少なくとも1つのマーカを含む。1つまたは複数のマーカ(例えば3つのマーカ)を用いることができる。
【0037】
幾つかの例で、デバイスは、中央管腔と同心である(例えば、中央管腔を包囲する)ドライブシャフトを含み、中央管腔がドライブシャフトを通って延在するようになっている。ドライブシャフトは、典型的に、回転式遠位先端部を回転させる。
【0038】
概して、イメージセンサは、遠位先端部の近位(近接位置)に位置してもよく、または遠位先端部に組み込まれてもよい。例えば、回転式遠位先端部は、イメージセンサから3mmの場所に位置してもよい。
【0039】
また、本明細書では、細長い本体と、細長い本体の近位端から細長い本体の遠位端まで、細長い本体内に延在する中央管腔と、細長い本体の遠位端に位置し、細長い本体に対して回転するように構成された、らせん状のくさびを有する回転式先端部と、回転式先端部に結合され、それと共に回転するように構成された光ファイバを有するOCTイメージセンサと、回転式先端部を時計回りと反時計回りに交互に連続的に回転させるように構成された駆動機構とを備え、光ファイバは、回転式先端部が回転するときに、細長い本体内で中央管腔の周囲に巻き付くように構成された閉塞クロッシング用のカテーテルデバイスについて説明している。
【0040】
別の例で、閉塞クロッシング用のカテーテルデバイスは、細長い本体と、細長い本体の近位端から細長い本体の遠位端まで、細長い本体内に延在する中央管腔と、細長い本体の遠位端に位置し、細長い本体に対して回転するように構成された回転式先端部と、回転式先端部に結合され、それと共に回転するように構成された光ファイバを有するOCTイメージセンサと、カテーテルの遠位端に対して近位に固定された湾曲領域とを備え、細長い本体の遠位端は、OCTイメージセンサをその回転時に塞ぐように構成された1つまたは複数の基準マーカを有し、固定湾曲部は、カテーテルの遠位端を、当該固定湾曲部の近位に位置するカテーテルの領域に対して或る角度で位置決めする。固定湾曲部は、約10度から約45度の角度を形成し、遠位端が当該固定湾曲部に近接した細長い本体の領域に対してこの角度をなすようになっていてもよい。
【0041】
また、本明細書では、閉塞または病変部のクロッシング方法について説明している。例えば、閉塞または病変部のクロッシング方法は、閉塞クロッシング用カテーテルを身体内腔内へ前進させる工程と、閉塞クロッシング用カテーテルの細長い本体の遠位端に位置する回転式遠位先端部を回転させる工程と、回転式遠位先端部に結合されたOCTセンサを使用して、カテーテルを包囲する身体内腔の領域を撮像する工程と、遠位先端部に、閉塞を通過させる工程とを含んでもよい。幾つかの例では、閉塞または病変部を通過した後にガイドワイヤを配置してもよいため、この方法は、閉塞クロッシング用カテーテルの細長い本体内の中央管腔をガイドワイヤに通過させることにより、ガイドワイヤを前進させて閉塞を通過させる工程を含んでもよい。
【0042】
概して、この方法は、身体内腔を取り囲む撮像領域を画面上に表示する工程を含んでもよい。
【0043】
回転式先端部を回転させる工程は、閉塞クロッシング用カテーテルの中央管腔の周囲に、OCTセンサを形成する光ファイバを巻き付けることを含んでもよい。回転させる工程は、回転式先端部を時計回りと反時計回りに交互に回転させる工程を含んでもよい。
【0044】
また、幾つかの例では、身体の管腔内で方向付けるようにカテーテル全体を回転させてもよい。例えば、カテーテル本体は、固定湾曲部を方向付けるように、かつ損傷した組織に向けてカテーテルを操縦するようにカテーテル本体を回転させてもよい。
【0045】
画像補正を用いて、撮像とユーザインターフェースを強化できる。例えば、幾つかの例で、表示前(または同時に)画像を補正、修正または向上させることができる。例えば幾つかの例では、画像データを表示する前に、当該画像データを補正して検出器に対するイメージセンサの遅延を考慮するようにしてもよい。画像データを補正し、カテーテル、ノイズなどの領域を含む画像の一部をマスクしてもよい。したがって、幾つかの例で、画像は、ブランクで示されてカテーテルの直径を表す最内(ドーナツ穴)領域を有する環状領域であってもよく、最外領域(環のエッジ)をマスクしてアーチファクト(artifact)を除去してもよい。
【0046】
幾つかの例で、OCT撮像を用いて取得された画像は、透視撮像などを含む他の撮像手段と一列に並んでもよい。例えば、この方法は、OCTセンサを用いて取得した画像データを方向付けし、透視画像と一列に並べる工程をさらに含んでもよい。
【0047】
また、本明細書では、閉塞クロッシング用カテーテルを、患者の閉塞した身体内腔内へ前進させる工程と、カテーテルの細長い本体に対して、少なくとも1つのらせん刃とOCTイメージセンサとを含むカテーテルの回転式遠位先端部を回転させる工程と、回転式先端部でOCTセンサを使用して、カテーテルを包囲する身体内腔の領域を撮像する工程と、回転式先端部の1回転ごとに少なくとも1回OCTセンサからの撮像を妨害するように構成された少なくとも1つのマーカを含むカテーテルを、身体内腔のOCT画像とマーカとに基づいて患者の身体内腔内で操縦する工程とを含む、慢性完全閉塞のクロッシング方法について説明している。
【0048】
幾つかの例で、カテーテルは、少なくとも1つのマーカに対して一定の配向を有する回転式先端部付近の固定湾曲部を有し、操縦する工程は、細長い本体を回転させて固定湾曲部を方向付ける工程を含む。操縦する工程は、カテーテルの遠位端を、OCTセンサが撮像する非正常な組織に対して向けることを含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本明細書で説明するカテーテルは、典型的に、カテーテルの細長い本体と独立して回転可能な遠位端に位置するイメージセンサを1つまたは複数含む。イメージセンサは、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)センサを含むことができる。また、回転遠位端は、血管の閉塞領域内を前進するときにカテーテルを支援する、1つまたは複数の組織切断面または組織切開面(tissue dissecting surface)を含むことができる。
【0051】
本明細書で詳細に説明しているタイプのカテーテルの例は、(1)ガイドワイヤ支持/留置用カテーテル、(2)支持/留置用・撮像用カテーテル、(3)閉塞クロッシング用カテーテル、(4)閉塞クロッシング用・撮像用カテーテル、(5)アテローム切除用カテーテル、(6)アテローム切除用・撮像用カテーテルを含む。
【0052】
以下では2つのセクションが含まれている。パート1では、ガイドワイヤ留置用および支持用のカテーテルとして使用可能な閉塞クロッシング用カテーテルについて説明している。特に、パート1では、手術中に行われる動脈などの血管の内側からの撮像用に構成されたカテーテルについて説明している。パート2では、アテローム切除用デバイスとその使用方法について説明している。本明細書のセクションとサブセクションは便宜上設定しているにすぎない。1つのセクションまたはサブセクションに含まれる特徴は、他のセクションまたはサブセクションのいずれかで説明したデバイスに含まれ、または除外されてもよいと理解すべきである。
【0053】
(パート1:カテーテル)
ガイドワイヤ留置用および/または支持用カテーテル(これらも便宜上「閉塞クロッシング用カテーテル」(occlusion crossing catheter)と呼ぶことがある)を含む、閉塞クロッシング用カテーテルなどのカテーテルを使用して、閉塞または病変をクロスすることができる。これらのカテーテルを使用して、血管の閉塞した内腔内にガイドワイヤを留置できる。本明細書で説明しているカテーテルのいずれかは、デバイス長さの全体または大部分に及ぶガイドワイヤの管腔と、(カテーテルの長手軸に対して時計周りまたは反時計回りに)回転および/または振動する遠位先端部とを含むことができる。遠位先端部は、1つまたは複数の切開(例えば切断)面を含むことができる。回転式の遠位先端領域を使用して、慢性完全閉塞の治療用を含むカテーテルを閉塞した血管内腔に通して留置させることができる。
【0054】
本明細書では、遠位先端部に位置し、血管の構造と形態を横断時に撮像することを可能にするイメージセンサを含むカテーテルについて説明している。撮像は、前向き、横向き、前向きと横向きの間で可動式、および/または後向き、または、前向きと横向きの間で斜め向きであってもよい。任意の好適な撮像モダリティ、特に1つまたは複数の光ファイバを使用するもの、例えば光コヒーレントトモグラフィ(OCT)を使用できる。
【0055】
本明細書で説明しているカテーテルは、血管など、体の導管内に適合する寸法とすることができる。例えば、末梢血管内に留置されるようにカテーテルを構成できる。したがって、カテーテルは0.1インチ未満、例えば0.09インチ未満、例えば0.08インチ以下の外径を有することができる。
【0056】
一実施形態で、カテーテルデバイスは、回転可能な遠位先端部と、デバイスが留置されたときに血管を可視化する内蔵の撮像システムとを含む。この例で、システムは、血管壁の構造と形態を可視化するOCT撮像システムを含む。当該システムは、血管壁の深さ方向に(into the depth of)最大3mm、例えば最大2mmの距離を認識できる。
【0057】
図1を参照すると、(ガイドワイヤ留置用カテーテルとして使用できる)カテーテル100は、可撓性を有する細長いシャフト301と、それに接続され、OCTセンサなどのイメージセンサを有する回転式遠位先端部305とを含む。シャフト301は、ハンドル領域303から延在し、回転式遠位先端部305で終端する。
図1のデバイス100は、シャフトの長さを低下させ、より適切な縮尺で他の特徴を示すように、必ずしも縮尺通りに示されていない。
【0058】
ガイドワイヤ309は、ガイドワイヤカテーテルデバイス100を通って、例えばシャフト301内のガイドワイヤ管腔を通って延在することができる。ガイドワイヤ309は、患者の体内に留置されるときにデバイス100内に常在してもよく、あるいは、シャフト301の遠位端または少なくとも遠位先端部305が血管内腔内、例えば閉塞または病変部を超えた位置に留置された後に挿入されてもよい。ガイドワイヤの管腔は、先端部305を回転させるように構成されたドライブシャフト(
図1には図示せず)の内側に収容できる。したがって、幾つかの例で、ドライブシャフトはガイドワイヤの管腔を包囲できるような管状シャフトである。他の例で、ドライブシャフトはカテーテルの長さにわたって延在する中実の(solid)シャフトであり、ガイドワイヤの管腔に沿って(例えば隣接して)延在する。
【0059】
システムは、一端が遠位先端部305に固定され、他の部分は、例えばガイドワイヤ309を収容する管腔とシャフト301のアウタケーシングとの間の内側管腔内で自由に動かすことができるような光ファイバ(
図1には図示せず)を含むことができる。電力および撮像ライン307(「ケーブル接続部」(cabling))は、ハンドル領域303から延在し、OCTシステム用の電源と光源に光ファイバを接続してもよい。
【0060】
ハンドル領域303は、遠位先端部(および光ファイバ端部に位置するOCT反射体/センサ)の回転を制御する制御機構を収容できる。制御機構は、遠位先端部の方向および方向転換前の回転数を制御する。また、幾つかの実施形態で、ハンドル領域303は回転速度も制御できる。以下でさらに説明するように、回転速度、ならびに時計回りおよび/または反時計回りの回転数を最適化して、回転速度ならびに時計回りおよび/または反時計回りの回転数を最適化して、デバイスの遠位端を、さもなければ閉塞していた血管内腔を、当該内腔の断面画像すなわち360度の画像を生成しつつ、通して前進させることができる。回転速度と回転数を最適化して、デバイスの遠位端のみに取り付けられて残りの部分がシャフト301の長さ方向に沿って延在すると共にカテーテルの内側管腔(例えばガイドワイヤ管腔)の周囲に軸外しで破壊なく巻き付くことができるようにしたOCT撮像用光ファイバへの損傷を防止できる。
【0061】
図2Aと
図2Bを参照すると、シャフト301は、遠位先端部305の近くにまたは直近位に、固定湾曲部989またはJ字状屈曲部を含むことができる。固定湾曲部989は、10度から45度、例えば20度から30度の角度を有することができる。幾つかの実施形態では、身体内腔にカテーテルを留置する前にユーザによって湾曲部を成形可能である。すなわち、ユーザは使用前に湾曲部989を所望の角度で固定できる。以下でさらに説明するように、固定湾曲部989は、シャフト301を関心点まで走査する際の補助となりうる。シャフト301は、外側シース284を含むことができる。外側シース284は、ステンレス鋼、エルジロイ、コバルト−クロム合金、炭素繊維、またはケブラーなどの編組材料を含むことができる。編組材料は、カテーテルの剛性を向上させ、血管を通るカテーテルの操縦を支援できる。さらに、シャフト301は、カテーテルの近位端から遠位端部までドライブシャフト421(
図3Aから
図3D参照)内に延在するガイドワイヤ管腔363(
図3B参照)を含むことができる。ガイドワイヤ管腔363は、デバイスの遠位先端部305の開口部で途切れ(end)てもよい。このように、ガイドワイヤ管腔363は、ガイドワイヤを通過するように構成できる。さらに、遠位先端部305は、例えば、内腔内画像をキャプチャするように構成されたOCTセンサ286などのイメージセンサを含むことができる。
【0062】
図3Aから
図3Dを参照すると、シャフト301の遠位端の一例は、略らせん状の(corkscrew)または渦巻き状に(helically)成形された遠位先端部305を有することができる。このように、遠位先端部305は、らせん溝(spiral flute)、例えば2つのらせん溝を含むことができる。この例で、遠位先端部305は回転し、ハウジング内には延在せず、または格納されない。すなわち、シャフト301から露出したままである。遠位先端部305は、外側シース284内で回転するドライブシャフト421に取り付けでき、また、時計回りと反時計回りの両方向に回転するように構成できる。さらに、遠位先端部305は、一方向すなわち
図3Aから
図3Dの反時計回り方向に回転した場合には非外傷性の組織接触面を付与し、反対方向すなわち
図3Aから
図3Dの時計回り方向に回転した場合には鋭い組織切断面または刃先(cutting edge)403を付与する、略滑らかでかつ湾曲した外面322を含むことができる。
【0063】
少なくとも先端部305の一部、例えば先端部305の近位部分、すなわち切断形状の近位部分は、シャフトの直径に略等しいかそれより大きい直径を有することができる。すなわち、遠位端で切削形状の直径がガイドワイヤ管腔のサイズまで縮小し、それが近位に移動するにつれて徐々にシャフト301のおよそ外径まで増加するように、刃先403をらせん状に構成できる。さらに、先端部305は、前方でのみ切断し、横方向では切断しないように構成できる。すなわち、刃先403は、実質的に前向きであってもよい。
【0064】
回転式遠位先端部305に(光ファイバ411とミラー412の遠位端を含む)OCTイメージセンサ286を固定し、それと共に回転させることができる。光ファイバ411の遠位端は、回転式遠位先端部305に形成されたノッチ344内に固定できる。上記の通り参照により組み込まれた米国特許出願第12/790703号(公開番号:US-2010-0305452-A1)に記載されているように、光ファイバ411の端部と好適に不整合な屈折率を有するエポキシまたは他の固定材料が、ノッチ344内の光ファイバ411の端部を保持できる。イメージセンサ286は、OCTイメージング用の光ビームを、カテーテルの遠位先端部305から組織内へ向けることができる。一実施形態で、撮像システムは、ミラー412がカテーテル軸に対して略垂直または実質的に垂直に光ビームを向けるように方向付けされる。幾つかの例で、この角度はさまざまであり、または調整可能である。例えば、ミラー412の向きを変更して(ユーザにより調整を含む)、撮像方向を変更し、および/またはより遠位または近位で撮像することができる。ここで使用した「実質的に(substantially)垂直」は、遠位先端部および/またはカテーテル本体の長手軸に対して垂直な90度から、プラスマイナス10度、プラスマイナス5度、プラスマイナス2度を含んでもよい。
【0065】
センサ286は、先端部305の遠位端付近、例えば刃先403の直近位に配置できる。例えば、センサ286は、先端部305の遠位端から5mmの範囲内、例えば3mm未満、例えば約2mmの位置に配置できる。好都合なことに、センサ286と先端部305の遠位端の間の距離を最小化することにより、結果として得られる画像は、遠位端が通過している正確な組織または材料のより近い近似となる。センサ286は、横方向に向けられて(例えばカテーテルが移動している血管の側面を撮像し)、または前方もしくは後方に傾斜してもよい。センサ286は、シャフト301の中心軸から軸外しで、先端部305の外径に近接して、先端部305の外径の例えば0.05インチ内、例えば0.3インチ未満、0.02インチ未満、または0.01インチ未満もしくは約0.01インチに配置できる。好都合なことに、外径に近いセンサ286を有することにより、OCTシステムが組織内を認識できる深さは大きくなる。すなわち、OCT撮像範囲内に位置する組織の量が増加する。
【0066】
図3Aから
図3Eに示すように、回転先端部305は、シャフト301に固定されたシャーシ405内に保持され、すなわち回転先端部305と共に回転しない。シャーシ405は、内部で遠位先端部305が回転可能であり、ドライブシャフト421および/または遠位先端部305をシャフト301の端部に固定する任意の構造であり、ハウジングと呼んでもよい。外側シース284は、遠位先端部305が回転する間に当該外側シースが静止したままであるように、シャーシ405に接続できる。
【0067】
シャーシ405は、1つまたは複数の「窓」領域を有することができ、OCTイメージセンサ286は、当該領域を通じて視認できる。例えば
図3Aと
図3Bに示すように、シャーシ405は、当該シャーシ405の周囲に環状に配列された棘部(spine)419(杭(post)、支柱(strut)、分周器(divider)、分離器などと呼んでもよい)により分離された3つの窓領域346を含むことができる。これらの棘部419は、後述するように、イメージセンサ286が回転する際の基準マーカとして機能することができる。棘部419は、互いに異なる距離で分離してもよい。例えば、窓の1つは他の2つより大きくてもよいし、他の2つより小さくてもよい。この非対称な寸法設定により、OCT撮像のディスプレイ上での目視基準を提供できる。したがって、一例では、第1の棘部と第2の棘部との間に90度窓があり、第2の棘部と第3の棘部との間に90度窓があり、第1の棘部と第3の棘部との間に180度窓があるように配列された3つの棘部419がある。棘部419は、カテーテル内の湾曲部989に対して所定の固定位置を有することができる。例えば、棘部419の1つを湾曲部989に対して整列させることができる。一実施形態では、
図2Bに示すように、第2の棘部419を湾曲部989に対して反対向きに、すなわちカテーテルが第2の棘部419から離れた方向を指すように整列させることができる(湾曲部989の内側湾曲部分は第2の棘部419と反対向きであり、湾曲部989の外側湾曲部分は第2の棘部419に対して軸方向に整列する)。後述するように、この整列を使用して画像および/または血管に対して特定の方向にデバイスを方向付けるのを支援できる。
【0068】
図3Cと
図3Dに示すように、遠位先端部305は、近位端で、ブッシュ394(例えば、環状リング)を係合させる溝部392を含むことができる。ブッシュ394は、シャフト301に対して固定された状態を維持でき、また、滑らかな面を与えて摩擦力を削減または軽減し、さらに遠位先端部305の長手方向の位置を固定できる。ブッシュ394は、PEEKまたは他の硬質の潤滑材料で作成できる。幾つかの実施形態では、溝部392は、固定シャーシ405に圧着され(crimped)または締め付け(clamped)され、これにより回転式遠位先端部305は、回転中に改善された安定性を有することができる。
【0069】
別の実施形態である
図3Eを参照すると、ブッシュ394はショルダ445を含む。ショルダ445は、シャーシ405の遠位端と遠位先端部305との間の空間に向けて外側に延在することができる。ショルダ445は、ブッシュ394の残りの部分と同じ潤滑材料で作成できる。ショルダ445は、シャーシ405の遠位端が先端部305に対して擦れるのを防止し、さらにシステムの摩擦を低下させる。
【0070】
図3Aに示すように、シャーシ405は、例えば遠位先端部905がシャーシ405内に保持されてブッシュリング394と遠位先端部305を適切な位置にロックするときに押込可能な、1つまたは複数のタブ407またはロック部によって、遠位先端部305の溝部392を直接に係合させることができる。シャーシ405または遠位先端部305は、潤滑材料から作成できる。
【0071】
図3Aと
図3Bを参照すると、シャーシ405は、1つまたは複数の開口部またはポート422を含むことができ、それらから、生理食塩水や水などの洗浄液を流して、デバイス操作時に血管内腔の壁を撮像するための経路をはっきり見えるようにするのを支援できる。赤血球や他の血液成分を含む血液は、OCT撮像システムの能力を他の組織の撮像から劣化させる可能性がある。これは、OCTが血液を通して容易に「見る」ことができないからである。したがって、カテーテルは、関心領域、すなわち光ビームがOCT撮像用カテーテルから放出される領域から血液を取り除くように構成できる。このように、ポート422は、カテーテルから洗浄液を放出してイメージセンサから血液を取り除くように構成できる。したがってこの例で、ポート422はイメージセンサに直接に隣接して配置され、流体を放出して光ビームが出射される領域から血液を取り除く。ポート422は、イメージセンサから2ミリメートル未満の場所、例えば1.5ミリメートル未満の場所に位置してもよい。好都合なことに、イメージセンサに近接してポート422を有することにより、関心領域から血液を取り除くために必要とされる洗浄液の圧力と量は小さくてもよい。例えば、1ml未満、0.5ml未満、0.2ml未満の洗浄液が、関心領域から血液を取り除くために必要とされることがある。したがって、必要な圧力はわずか(nominal)であってもよく、生理食塩水または他の洗浄液の流れが最小であって、さらに撮像空間から血液を有効に取り除き、血管壁の解像度を大きく向上させ、浸透深さを増加させることができる。さらに、好都合なことに、少量の洗浄液を使用することにより、狭い空間に多量すぎる流体が存在することに関連した問題、例えば組織の分離(例えば切開)を回避できる。
【0072】
シャフト301は、洗浄液がカテーテルの近位端に入り、外側シース284とドライブシャフト421との間の空間472内を流れて、遠位端に搬送されるように構成できる。洗浄液は、開口部422から押し出されてOCT経路から血液を取り除くように、近位端から(例えば、シリンジなどを用いて)加圧されてもよい。
【0073】
図4を参照して、カテーテルデバイス100のOCT部分を軸外撮像システムと呼んでもよい。なぜなら、OCT光ファイバ411のマネジメント部がカテーテルの長手軸に対して軸外しで非対称に配置されているからである。ファイバ411は、デバイスの遠位端、例えば回転式遠位先端部305に取り付けられた位置以外で、ドライブシャフト421と外側シース284との間の空間472内のシャフト301内部で自由に延在するように構成できる。したがって、
図4に示すように、遠位先端部305を回転させるようにドライブシャフト421が回転する場合、光ファイバ411はドライブシャフト421の周囲に巻き付くことができる。好都合なことに、この配置は可撓性を高めることができる。すなわち、光ファイバ411を破砕することなく、カテーテルの移動を可能にすることができる。
【0074】
ドライブシャフト421が遠位先端部305と共に回転すると、光ファイバ411はドライブシャフトの周囲に巻き付きそしてほどけるので、回転速度と回転数の両方を制御して性能を最適化でき、ファイバ411がシャフト301内で結びつくのを防止でき、過度のねじれまたは回転に起因してファイバ411が折れる(snap)のを防止できる。例えば、遠位先端部305は、時計回りから反時計回りへと回転を交互にするように構成されてもよい。したがって、ドライブシャフト421は、一定の回転数で(遠位先端部305と共に)時計回りに回転し、時計回りの回転に切り替わってプロセスを繰り返す前に同じ回転数で反時計回りに回転するように構成されてもよい。時計回り方向の回転数を反時計回りの回転数と略同一として、残留ねじれを幾らか軽減できる。好都合なことに、時計回りと反時計回りの方向とで略同一の回転数を有することにより、ファイバのねじれの蓄積を回避でき、このような蓄積したねじれに起因するファイバの折れを回避できる。一般に、デバイスは、遠位先端部を時計回りにn回転、反時計回りにn回転させ、各n回転の後に時計回りと反時計回りの回転方向を切り替えるように構成されてもよい。回転数nは、典型的には1から100の間であって、端数を含む任意の数とすることができるが、カテーテルの長さとファイバが耐えうる応力の大きさに応じて、好ましくは1から10の間である。例えばデバイスは、時計回りに約6,8.5,10,12.7,15などの回数だけ回転し、次に反時計回りに同じ回数だけ回転してもよい。このように、デバイスは、時計回りまたは反時計回りに連続的に回転しないように構成されるが、いずれかの方向に限られた回転数(例えば25回転未満、例として10回転)を有し、その後、自動的に切り替わって他の方向に回転してもよい。時計回りと反時計回りの間の移り変わりは自動的に行われる。これは、
図5Aから
図5Eを参照して以下で詳細に説明する。
【0075】
回転は、モータまたは他のドライバ(例えば、ハンドル内の)によって駆動してもよく、手動であってもよい。好ましくは、回転が自動的に行われ、一定の速度、典型的には約1から300回転毎分(rpm)である。例えば、回転速度は、約10rpm、20rpm、30rpm、40rpm、50rpm、60rpmなどであってもよい。幾つかの例で、遠位先端部は、約1から約100rpm、例えば約1から80rpm、例えば約30から60rpmの間で回転する。回転の速度と精度(consistency)は、血管内の閉塞を貫通するように、画像が安定するように、OCTを使用して比較的縞が生じない画像を生成するように最適化できる。このようにして、比較的一定に保たれる上限速度に回転速度を制限できる。なお、回転速度は、遠位ヘッドが回転するが、1つまたは複数の閉塞を含む組織を貫通する「穴を開ける」(drill)ように、充分に低く(例えば、150rpm未満、100rpm未満または50rpm未満)することができる。幾つかの実施形態で、ユーザは、例えば特定の速度で回転するようにモータを設定することにより、回転速度を制御できる。
【0076】
図5Aから
図5Eを参照すると、デバイスのハンドル303は、シャフト301の回転と前進を制御するように構成できる。ハンドル303は、システムの電源をオンまたはオフにする(すなわち遠位先端部および/または撮像システムの回転を開始する)ように構成されたスイッチ562を含むことができる。ハンドルは、手に適合するように構成でき、または(例えば位置決めアーム、ベッドまたはガーニー(gurney)などへの接続用の)ホルダにロックするように構成可能なハウジング501によって覆うことができる。ハンドル303内で、モータ503と駆動ギヤ515,516,517を含む駆動システムは、ドライブシャフト421を駆動して、デバイスおよび/またはOCT撮像システムの遠位先端部305をシャフト301に対して回転させることができる。幾つかの例で、駆動システムは、時計回り方向と反時計回り方向の間でのドライブシャフトの回転方向を所定の回転数(例えば10)で切り替えるトグル/方向性制御サブシステムにより制御または調節される。
【0077】
図5Aから
図5Eで、機械的な方向制御部は、所定の回転数が終了したときに、時計回りと反時計回りの間で回転方向を切り替えるように構成できる。この例で、方向制御部は、回転し、直線運動でナット513を駆動するねじ式トラック(またはねじ)511を含む。すなわち、モータ503によるねじ式トラックの回転により、回転するねじ式トラック511に沿った(ただし長手方向に固定された)ナットの直線運動が生じる。モータ503がドライブシャフト421に第1回転方向(例えば時計回り)に電力供給する場合、U字型トグルスイッチ516の1つのアームに当たるまで、ナット513は第1直線方向(例えば前方)に直線的に移動し、U字型トグルスイッチを第1直線方向に駆動し、スイッチ523(
図5Dで視認できる)を反転させてモータ503の方向を第2回転方向(例えば反時計回り)に変え、U字型トグルスイッチ516の反対側に当たるまで、ナットを第2直線方向(例えば後方)に直線的に移動させ、再度スイッチを押して回転方向を変え、第1回転方向(例えば時計回り)に戻す。モータが回転するときに、このプロセスを連続的に繰り返すことができる。モータ503は、どちらの方向にも一定速度でドライブシャフト421を回転させるように構成されてもよい。また、システムは、方向を切り替えるようにモータを調節する追加のエレメント(例えば、信号コンディショナ、電気的制御エレメントなど)を含んでもよい。
【0078】
ねじ山(thread)の数および/またはねじ式トラック(ねじ)511の長さにより、回転方向の変化の間でのシステムによる回転数を決定できる。例えば、U字型トグル514の幅(例えばアーム間の間隔)を変更することにより、回転数を調整できる。アームを長くした(あるいは、ねじのピッチを増加させた)場合、方向の変化の間の回転ターン数(n)が増加するであろう。それゆえ、トグルが左右にスライドして、モータの方向を切り替えてもよい。また、ナット513の長さは、回転方向の変化の間でのシステムによる回転数を決定できる。すなわち、ナットが長いほど方向切り替え前の回転数が少なくなる。
【0079】
幾つかの例で、モータ503は一定方向に回転し、時計回りと反時計回りの間の切り替えは、追加のギヤとの係合と係合解除との間でギヤシステムを切り替えることにより、あるいはドライブシャフトが駆動される方向を機械的に変更することにより達成される。
【0080】
図5Aから
図5Eに示す例示的なデバイスで、駆動システムは、互いに係合してドライブシャフトを回転駆動させるモータと3つのギヤとを含む。例えば、モータ503は、第2ギヤ516に係合される第1ギヤ517を回転させる(必要に応じて他のギヤ比を用いてもよいが、この例では1:1のギヤとして示している)。第3ギヤ515は第2ギヤ516と係合する。第3ギヤは、回転運動をエンコードするエンコーダ507を駆動または調整できる。エンコードされたこの情報は、駆動システムで順番に使用して駆動システムにフィードバックを与えてもよく、または撮像システムに付与してもよい。
【0081】
図5Eを参照すると、ケーブル307は、流体源に取り付けられるようにした流体フラッシュライン552と、OCTシステムに接続されるようにした光ファイバ411の両方を含むことができる。フラッシュライン552とファイバ411は、共にハンドル303を通って延在することができる。ファイバ411とフラッシュライン552は、ハンドル303内の結合点566で結合し、封止部を形成して流体がハンドル内に漏れるのを防止できる。フラッシュライン552は、結合点566で途切れてもよく、これにより流体がフラッシュラインから出て、続けて外側シース284とドライブシャフト421との間の空間572でシャフト301を下方に流れることが可能となる。さらに、光ファイバ411は、結合点566を通って延在し、間隔572でドライブシャフト421の周囲に巻き付くことができる。図示しているように、ファイバ411は、ガイドワイヤ管腔の周囲に巻き付くように構成されているので、別個のファイバマネンジメントシステムは不要である。幾つかの実施形態で、保護コート564は、結合点566の末端まで光ファイバを包囲できる。
【0082】
図6を参照すると、ファイバ411は、近位端でコモンパスOCTシステム600に接続できる。コモンパスOCTシステム600は、掃引周波数レーザ等の光源102を含む。別の構成で、光源は、スーパールミネッセントダイオードなどの広帯域光源であってもよい(光分光計を使用してタイムドメインOCTまたはスペクルドメインOCTを行うために)。光ファイバ411は、光源102からターゲット114に向けて放射線を伝送する。光ファイバ411は、界面媒質106と光学的に接触している。すなわち、光ファイバを出射して界面媒質に入射した光は、1つの界面のみを見る。
図6に示すように、幾つかの実施形態で、光ファイバの端部は界面媒質106に埋め込まれている。界面媒質106は、例えば接着剤またはエポキシ樹脂であってもよい。コモンパスOCTシステム600において、界面媒質106の屈折率は、光ファイバ411のコアの屈折率とは異なる。これによりフレネル反射が生成され、光の一部はコアを出射し、光の一部は反射して戻る。光ファイバ411を出射する光ビームの一部はターゲット114に当たり(encounter)、ターゲット114により反射または散乱される。この反射または散乱された光の一部は次々に光ファイバ411のチップに再入射し、ファイバ411を反対方向に戻ることになる。ファラデー効果光サーキュレータなどのファラデーアイソレーションデバイス112を使用して、出射する光源信号の経路と、ファイバの遠位端から戻るターゲットおよびリファレンス信号の経路とを分離できる。反射または散乱されたターゲット光とファイバ表面からフレネル反射されたリファレンス光は、光ファイバ411の近位端に位置する検出器110に戻ることができる。
【0083】
OCTシステム600内で反射または散乱されたターゲット光がフレネル反射されたリファレンス光より長い距離を移動するので、その反射または散乱されたターゲット光は、参照ビームに対して周波数、位相または時間がずれる可能性がある。例えば掃引光源放射線を使用する場合、ターゲットからの光では周波数がずれることになる。反射または散乱されたターゲット光とリファレンス光との間の位相、時間または周波数のずれを使用して、光ファイバチップの端部とターゲットの光反射領域または光散乱領域との間の経路長差を導出できる。掃引光源型OCTの場合、当該ずれは、キャリアリファレンスビームでのヘテロダイン式(heterodyned)ビート周波数としてエンコードされる。
【0084】
光源102は、ヘモグロビンと水の両方が光を強く吸収しない生物学的ウインドウの範囲内、すなわち800nmと1.4μmとの間で動作できる。例えば、光源102は、約1300nmと1400nmの間の中心波長、例えば約1310nmから1340nmで動作できる。光ファイバ411は、光源102が提供する波長範囲について、シングルモード光ファイバとすることができる。
【0085】
図7Aと
図7Bは、本明細書で説明しているシステムからの画像出力の例示的な画面キャプチャである。
図7Aと
図7Bで、表示された画像800は、3つのコンポーネントに分割されている。右側は、血管814内のカテーテルの遠位端805を示す透視画像810である。血管814と閉塞領域の範囲を示すために、血管814内に造影剤(contrast)が挿入されている。
【0086】
左側は、OCT画像820である。OCT画像820を得るために、カテーテルの遠位先端部は約30rpmで回転し、OCTシステムはカテーテルが血管内で回転するときに連続した画像のセットを与える。画像は、連続的に更新されるOCT画像820に結びつけられる。OCT画像820は、カテーテルが挿入される内腔の内側に対応する。すなわち、OCT画像820は、遠位先端部の直近位での、その回転時における血管内部の画像トレースである。ライン822(図では略12時の方向に伸びる)は、OCTレーザービームの回転時現在の方向を示す。画像820中央の円824はカテーテルの直径を表し、したがって円824の周囲の領域は血管を示す。OCT撮像部は、イメージセンサから1ミリメートルを超えて、例えば約2mmまたは約3mm延在することができ、血管の種々の層826を撮像できるように血管壁内まで(特に血管の近接領域に)延在することになる。この図では、3つの縞模様の線744(略2時の方向、7時と8時の間の方向、および略11時の方向に延在する)は、カテーテルの3つの棘部の位置を示しており、このように、体内のカテーテルの遠位端の向きを示す方向性マーカとして動作しえる。以下でより詳細に説明するように、ユーザは、これらの縞模様の線744を使用して、OCT画像の相対的な向き(患者の身体の向きに対して)を決定できる場合がある。
【0087】
画像800の左下は、OCT撮像部が体の半径方向に周回する際のウォーターフォール図(waterfall view)830である。このウォーターフォール画像830は、例えば、デバイスが血管内で長手方向に移動するときに特徴部(例えば、層構造、閉塞、分岐領域など)の相対的な長手方向の位置を示しており、システムの幾つかの用途において特に有用でありえる。通常、ウォーターフォールビュー830は時間軸(x軸)を含み、y軸はOCTセンサからの画像を示す。なお、ウォーターフォールビュー830は、カテーテルがいつ閉塞をクロスしたかの指標となる。例えば、ウォーターフォールビュー830は、血管壁が患者の心臓の鼓動に対して動いたときの鼓動を表示することがある。これらのケースでは、ウォーターフォールビュー830は心臓の鼓動で動く血管壁を表示することがある。これに対して、遠位先端部が血管壁の閉塞内に位置するとき、通常は閉塞の材料が心臓の鼓動に起因して壁の動きを妨げるため、ウォーターフォールビューは壁の動きを表示しないが、健康な血管では鼓動は明瞭である。したがって、カテーテルがウォーターフォールビュー830を基にしていつ閉塞をクロスしたかの決定が可能となるであろう。幾つかの例では、この効果を自動化して、デバイスが閉塞内に位置するか、またはいつ閉塞をクロスしたかの指標とすることができる。一般に、完全閉塞の境界をクロスすることは明確に定義されておらず、誤って血管を切開することがある。カテーテルが真腔内に位置する場合、血管壁は動くことができる。すなわちカテーテル先端部が真腔内にない場合、血管壁のすべてまたは一部が動かないことになる。このように、心臓の鼓動中における壁のこの動きは、偽腔に対する真腔内での位置を反映することがある。
【0088】
図7Bは、
図7Aに示したものと同じ手順からの別の画面キャプチャを示す。
図7Bでは、透視画像810に示すように、遠位先端部305がさらに血管814内部に位置する。この例で、OCT画像820は、2時の位置にある血管から延在する血管の分岐部818を示す。
【0089】
生成された透視画像とOCT画像とは、例えばユーザがOCT画像の右側に見るものが透視画像の右側に見るものと一致するように、互いに方向付けできる。
図8を参照すると、シャフト301は、その半径方向の向きに応じた透視画像内に種々のコントラストを与える透視マーカ702(
図2Bと
図4にも示す)を含むことができる。マーカは、シャフトを径方向に方向付けさせるために使用できる「C」、「T」、またはドッグボーン形状などの1つまたは複数の非対称な外形を有する放射線不透過性の帯域であってもよい。なぜなら、マーカの透視画像が、マーカの方向に応じて変化することになるからである。透視マーカ702は、棘部419および/または湾曲部989に対する固定位置を有することができる。例えば、
図2Bに示すように、透視マーカ702は、湾曲部989と反対側に整列し、かつ/または上記第2棘部に対して軸方向に整列していてもよい。透視マーカ702を使用して、カテーテルの使用中に透視画像710をOCT画像720と一列に並べることができる。
【0090】
図8に示すように、透視画像710をOCT画像720と一列に並べるために、マーカ702が画面の特定の方向、例えば9時の位置に対して整列するようにシャフト301を僅かに回転させることができる。カテーテルの上/下位置(すなわち、
図7に示すようにカテーテルが下方を指すか、上方を指すか)も決定できる。透視画像710を用いて、カテーテルの回転位置と上/下位置を決定した後、シャフト301の中央マーカ(上記第2棘部419)からの縞模様の線744もまたOCT画像720で9時の位置にあるように、OCT画像を方向付けることができる。このような位置決めは「透視同期法」(fluorosyncing)と呼ぶことができる。透視同期法は、上/下位置と回転位置に関する情報などをユーザが手動入力して実施でき、または自動で行うことができる。この情報を使用してOCT画像720を方向付けるために、ソフトウェアは、時計回り方向または反時計回り方向(透視画像710でのカテーテルの上/下の向きに応じて)にOCT画像720を描画でき、画像を90°、180°または270°回転させることになる(透視画像710におけるカテーテルの回転位置に応じて)。
【0091】
透視同期が完了すると、患者の体内でのカテーテルの絶対位置および相対位置と向きとを決定できる。それゆえ、シャーシ/撮像システム上のマーカ(OCTシステムで視認できる)は、透視撮像を減らすことができる充分な方向付けマーカを提供できる。
【0092】
OCTマーカ、透視マーカ、およびデバイスの固定湾曲部などの操縦機構と組み合わせて表示画像を使用し、カテーテルおよび回転式先端部を所望の位置まで操縦できる。
図9Aを参照すると、OCT画像920は、層構造の形の正常組織956と、非層構造の形の正常でない組織958を示す。画像の猫耳部962は、カテーテル周囲の血管のわずかな膨張により生じる正常組織と非正常組織の間の領域を示す。したがって、CTO手順の間、1つの目標は、非正常組織に向けてカテーテルを操縦することであってもよい。(
図2Bに示すように)中央の棘部419は湾曲部989と反対側に整列しているので、中央の棘部419に対応する線744を非正常組織958と逆向きに操縦して、正しい方向にカテーテルを操縦できる。
図9Bは、層構造の正常組織に向かって偏向した(deflected)カテーテルを示す。
図9Cは、非正常な非層構造に向かって偏向するように回転したカテーテルを示す。したがって、OCTにより可視化されるシャーシからの固定された方向性マーカを使用して、カテーテルの向きを正しい位置まで回転させられるようシステムを構成できる。幾つかの例で、デバイスの遠位端は操縦可能であり、さらにデバイスの遠位端は回転させた状態で操縦可能である。
【0093】
また、引き出され/挿入されてデバイスの操縦を支援できる選択的な補強部材、および/または操縦用にデバイスを屈曲/延長させる1つまたは複数の腱部材などの追加の操縦部材が含まれてもよい。
【0094】
得られたOCT画像で画像補正を行い、画像の不要部分または不必要部分をマスクすることができる。例えば
図10を参照すると、ファイバ411は、シャフト301内で途切れるように構成できる。その結果、ファイバ411は、ファイバ411の遠位端とミラー412と間の距離c1、および、ミラー412とシャフト301の外径との間の軸方向距離c2を撮像することになる。それゆえ、得られた画像はシャフト内部に対応する部分を含む。したがって、画像処理は、表示画像内で距離c1、c2またはc1+c2がマスクされるように実施できる。c1とc2がマスクされた(masked out)場合、画像には領域c3だけが現れることになる(ファイバの全撮像距離または能力はc1+c2+c3に等しい)。例えば、最大100ピクセル、例えば20から60ピクセル、一例では約40ピクセルをマスクできる。
【0095】
追加の画像処理が可能である。例えば、画像を補正して、カテーテルのハンドル対遠位端での回転量において光ファイバの遅延を考慮できる。遅延補正用の画像を自動的にキャプチャできる。さらに、画像は、例えば動画形式でエクスポートおよび記憶できる。画像は、必要に応じて調整可能なグレースケールで表示できる。さらに、ウォーターフォールビューの速度は調整できる。幾つかの例で、オフセット(offset)または「ゴースト」画像をOCT上で重ね合わせ、カテーテルの予測値と実際の回転方向との差を示してもよい。
【0096】
すぐ上で説明したカテーテルの例は、遠位先端部を回転させる内部モータを提供する。幾つかの例では、遠位先端部の電動式移動を与える補助デバイスと一緒に手動回転式のデバイスを使用できる。この例で、モータとギヤを含むハウジング内にデバイスのハンドル部分をセットおよび固定し、一定速度または可変速度で遠位先端部を回転させることができる。したがって、この電動式アクセサリデバイスは、他の手動デバイスを適合させて自動的に回転させることができる。
【0097】
カテーテルの他の例は、上記特徴の1つまたは複数を含むことが可能である。
【0098】
幾つかの例で、回転式遠位先端部は、固定ハウジングまたは回転式ハウジングを含み、当該ハウジングから切開エレメントが延在し、または後退してもよい。OCT撮像エレメントなどの撮像エレメントも、同様にこの実施形態に含まれうる。
図11Aから
図11Cを参照すると、幾つかの例では、回転式遠位先端部50からウェッジ49が延在していてもよい。
図11Aには、格納されて回転式遠位先端部50内に入った状態のウェッジを有するデバイスを示している。
図11Bでは、ウェッジ49がハウジング46から延在している。デバイスの遠位端は共有でき、これを上方に偏向した状態で(1つの面内で操縦する)
図11Cに示す。
図11Cで、ウェッジはハウジングから延在している。
【0099】
遠位先端部とウェッジは、その両方が回転するように構成できる。ウェッジ49(鋭い刃であってもよいし、平滑(blunt)であってもよい)は、遠位ハウジングから延在し、かつ任意の位置でロックでき(延在し、部分的に延在しまたは格納され)、格納された部分、延在部分または部分的に延在した部分でロックしつつ時計回りまたは反時計回りに回転できる。
【0100】
ウェッジは、完全にまたは部分的に遠位ハウジング内に収納されてもよい。遠位ハウジングからのウェッジの延在は制限されてもよい。例えば、ウェッジは、遠位ハウジングから完全に延在することを防止されてもよく、これにより(プラークや組織などの)材料がウェッジとハウジングとの間に捕捉されることが防止される。
【0101】
遠位端のウェッジは、実質的に平滑であってもブレードと呼んでもよい。幾つかの例で、ウェッジは、前方切断(forward-cutting)であって側方切断(side-cutting)でないように構成されている。これは、ウェッジが前向き刃先を含むことができ、さらに横方向のエッジは平滑であるか、鋭くなくてもよいことを意味する。幾つかの例で、回転遠位先端部は、複数のウェッジでなく単一のウェッジのみを含むことができる。ウェッジ(刃)は、遠位先端部でらせん状に配列してもよい。
【0102】
一実施形態で、回転遠位端は、先端領域の周囲で径方向に分離した(例えば径方向に等間隔に離間した)2つ以上のウェッジを含む。本明細書で説明しているように、デバイスのセンタリング(centering)性を向上させることができるので、先端部の周囲で離間した3つ以上のウェッジを有することが有利であろう。
【0103】
上記の例で、デバイスの遠位先端部は、複数の回転全体(時計回りと反時計回りの両方)を通して回転し、デバイスの細長い長手軸周りの回転時に遠位先端部および/または取り付けられたイメージセンサを移動させる。幾つかの例で、デバイス(後述するアテローム切除用デバイスを含む)の遠位先端部は、複数の部分的な回転によって回転させることができる。これを
図12Aから13Dに示している。この例で、ドライブシャフトは、一方向、例えば時計回りに連続回転するが、この一方向の回転はデバイスの遠位端で振動に変換される。
【0104】
図12Aは、カテーテルの遠位端部分を前後に(時計回りと反時計回りに)、例えば360度未満、例えば180度未満など部分的な回転であっても回転させる振動システムの一例の部分透視図を示している。この例で、システムは、振動/回転エレメント801に接続された状態で示されている。エレメント801には、例示的にはOCTシステム用のミラー811と光ファイバ813の遠位端とを含むイメージセンサが接続されている。したがって、振動/回転エレメント801の振動は、OCTセンサを移動させて視野の画角を撮像する。振動/回転エレメント801は、内側の振動/回転エレメント801に対して「固定」された状態を維持できる外側ハウジング802内に移動可能に収容できる。外側ハウジング802は、カテーテルの残りの部分に接続できる。幾つかの例で、このカテーテルは厳密にOCT撮像用に構成され、アテローム切除用、またはガイドワイヤ位置決め用に構成されていない。
【0105】
図12Bは、外側ハウジング802を除去した状態での
図12Aのデバイスを示す。振動/回転エレメント801はC字状の端部領域を含み、回転/回転式ドライブシャフト803に取り付けられたカム部材805が当該領域内に収容される。この例で、カム部材805は円筒状の部材であり、当該部材に対してドライブシャフト803が偏心して接続されている。その結果、ドライブシャフト803の長手軸の中心が、カム部材805の長手軸の中心に対して軸外となる。これを
図13Aに示している。同図は、振動/回転エレメント801のC字型切り欠き内に位置するカム部材805と、取り付けられたドライブシャフト803とを示す。
【0106】
動作中、
図13Bから
図13Dに示すように、ドライブシャフトの回転はカム部材805を回転させ、振動/回転エレメント801をまず時計回りに、続いて半時計回りに押して外側ハウジング内で弧の範囲を定める(subtend)。それゆえ、この動きにより、この弧にわたってOCT撮像システムのスキャンができる。カム部材805が大きいほど、かつ/またはドライブシャフトとカム部材のオフセットが大きいほど、振動/回転エレメント801が超える(traverse)弧は大きくなる。
【0107】
上記の通り、本明細書で説明したカテーテルのいずれかを使用して、末梢血管疾患を治療できる。特に、カテーテルを使用して、閉塞を超えて1つまたは複数のガイドワイヤを留置でき、その結果、閉塞を撮像し、除去し、かつ/または変位させることができる。
図14Aと
図14Bを参照すると、幾つかの例で、本明細書で説明しているデバイスは、血管内腔内にセンタリングまたは自己センタリングしている。血管441(各図の左側には断面図を、右側には横断面図を示す)は、外膜443(例えば中膜外膜)に囲まれた媒質442(例えば中膜)を含む。動作中、デバイス400は、
図14Bに示す血管441の「偽」腔446すなわち外膜443と媒質442との間の領域でなく、
図14Aに示す「真」腔445(中心)内に中心配置されることが好ましい。
図14Bに示すようにカテーテルデバイスがサブ血管内膜面(例えば偽腔446)内で途切れる場合、デバイスは一方の媒質442と、もう一方の外膜443との間に存在してもよい。本明細書で説明しているデバイスが真腔445内で途切れることを保証するために、受動的センタリング(自己センタリング)用と能動的センタリング(センタリング機構を含む)用の両方でデバイスを構成できる。
【0108】
幾つかの構成で、本明細書で説明しているデバイスは、自己センタリング型であり、したがってカテーテル(例えばカテーテル先端部)を真腔内に維持するのを支援するように構成されている。慢性完全閉塞の治療を使用する場合、手動または自動による回転式遠位端は、特に病変部の遠位キャップに到達するときに、カテーテルを真腔内に誘導できる。例えば、回転遠位端の直径は、デバイスの細長い本体のより近位の領域の直径に少なくとも等しくてもよいので、先端部は血管内腔内の受動的な自己中心(self-center)に対して充分に平滑であってもよい。しかし、デバイスが「偽腔」内で途切れる場合、真腔内に自己センタリングして戻るように構成できる。すなわち、通常は外膜の弾性により、先端部が組織を係合させ、さらに切り裂くことが防止される。同時に、媒質がデバイスの前方に付与された場合には、回転先端部が媒質に係合することは容易であり、デバイスは組織切断面を含んでもよい。このように、回転先端部は、外膜を通してではなく媒質を通して選択的にその通路を切開できる。デバイスは、媒質を通してその通路を切開すると真腔に戻る。
【0109】
本明細書で示したデバイスの寸法の場合、カテーテルのセンタリング(自己センタリング)は、遠位端の回転に起因してもよいが、1つまたは複数の追加のセンタリング機構を使用して、デバイスが血管の真腔内での滞在を支援できる。したがって、幾つかの例で、カテーテルは、遠位先端部が真腔から出ることを防ぐのを支援する1つまたは複数のセンタリング機構と併せて使用するように構成されてもよい。センタリング機構は、例えば、遠位先端部、遠位先端部の側面、または例えば遠位先端部の近位の遠位端領域の側面から突出していてもよい。
【0110】
幾つかの例で、センタリング機構は、膨張して(あるいは、膨張可能、膨張式、またはデバイスの遠位端領域の側面から伸張可能である)遠位先端部を内腔の中央に維持するバルーンである。また、デバイスは、上記の通り、遠位先端領域で偏向可能または可動であってもよく、かつ/または、1つまたは複数のセンサ(例えば上記OCT撮像用)を含み、先端部が近づいているか、または超えて偽腔内に入ったか、あるいは真腔内に残っているかの検出を支援できる。
【0111】
例えば、
図15Aは、回転遠位先端領域を有することができるカテーテルの一例(上記の通り参照により組み込まれる米国特許出願第12/689748号に記載の)を示す。
図15Bは、
図15Aのカテーテルと同様の、回転遠位先端部の近位に配置されたバルーン522を含むカテーテル500を示す。このカテーテル設計は、センタリング機構と共に示しているにすぎず、センタリング機構は、本明細書で説明しているカテーテル構成のいずれにも適用できることを理解されたい。幾つかの例で、バルーンは回転遠位先端領域全体を覆い、または当該領域にわたって延在してもよい。この例で、(回転遠位先端部101の近位の)遠位端領域は、カテーテルシャフト103の外径の周囲に折り畳まれた(collapsed)バルーン522を含んでもよく、血管壁に対して膨張および展開できる。カテーテルシャフト103の遠位端のセンタリングに加えて、バルーン522の膨張は、血管を通る開口部または通路を拡張できる。これにより、順々に、おそらく除去用または留置用にアテローム(または他の閉塞)を緩めたり下処理したりすることによって、デバイスを用いた治療成績を向上させることができる。
図15Bで、カテーテルシャフト103の近位領域は、バルーン522を膨張、収縮させるために使用できる膨張流体用のポート524、例えばY型コネクタを含む。水、生理食塩水、潤滑剤、染料、またはこれらの幾つかの組み合わせを含む任意の好適な膨張流体を使用できる。
【0112】
この例で、カテーテル500は、上記カテーテル、すなわち、遠位先端部を回転/振動させるドライブシャフトに包囲され、さらに(例えば可撓性、編組ステンレス鋼、ポリマーなどの)外形ジャケットに包囲された、ガイドワイヤ通過用の内側管腔を含むカテーテルと同様に製造される。
図16Aから
図16Cを参照すると、外側カテーテル上に外側ジャケット537を積層する前に、膨張管腔535(例えば0.011”IDのチューブポリイミド)を形成するための追加のチューブ533を、積層中に外側カテーテルの側面に沿って融合させている(fuse)。マンドレル539(例えば、0.009”のステンレス鋼マンドレル)を組立プロセス中に挿入して膨張管腔の開存性を保証できると共に、終了時に除去できる。
【0113】
(例えばナイロン押出成形によって形成される)バルーン522を、
図15B、
図16Aから
図16Cに示すように、遠位端付近(例えばカテーテル500の遠位端に近接して)取り付けてもよい。バルーン522は、約10センチメートルの長さと、5ミリメートルの直径(膨張時)の公称寸法を有することができる。バルーン522は、丸みを帯びた2つのショルダ領域を、近位端に1つ、遠位端に1つ有する。幾つかの例で、一端または両端はテーパ状であってもよい。
図16Aから
図16Cで、膨張管腔は、バルーンの近位端と遠位端との間、例えばバルーンの中央付近で途切れ、削られた(skived)開口部で終端して、膨張材料の侵入/流出を可能にする。幾つかの例で、バルーン522は、遠位端と比べて直径がわずかに小さい近位端を有し、遠位端での膨張管腔の欠落を補償する。したがって、カテーテル522の外径全体は、比較的一定のままであってもよい。
【0114】
図16Aから
図16Cに示すように、バルーン522は、カテーテルの遠位端の外側部分に融合してもよい。例えば、短い長さのPEBAXチューブを、バルーンの遠位端と近位端(脚)を配置することになる位置にシャフトを追加してもよい。これらのPEBAX長を使用して、充分な材料が確実に外側シャフトを封止および融合させるようにしてもよい。
図16Bと
図16Cは、バルーンの融合された近位(後脚)領域と遠位(前脚)領域を示す。バルーン522をシャフトに融合させる前に、膨張管腔535(ポリイミドチューブ)を遠位端の位置で削って、バルーンホール522の長さに沿って略中間の遠位膨張/収縮ホールの位置に対応させる。バルーン522は、折り畳まれ、封止され、かつ/または熱処理され(heat set)てもよい(例えば小さい吐出し直径(delivery diameter)を維持するために)。例えば、バルーン522は、ひだ付きであっても、折り畳まれ、熱処理されてもよい。
【0115】
図17は、バルーン型のセンタリング機構を含むカテーテル500のハンドル領域725の一例を示す。この例で、デバイスの近位端は、膨張/収縮ポートまたは管腔535を有するYアームを含み、適切な位置で封入されて漏れを防ぐようになっている。幾つかの例で、別個の膨張管腔は含まれないが、外側スリーブと内側カテーテルとの間の領域のすべてまたは一部(例えば中央またはオフセットガイドワイヤ管腔)を、膨張ポートをバルーンに接続する膨張管腔として使用する。
【0116】
バルーンと遠位端領域を含むカテーテル全体の寸法は、調整できる。一例で、寸法(非膨張時)はおよそ以下の通りである。近位シャフトは約0.074インチから約0.084インチの直径を有する。中央シャフト領域は、約0.074インチから約0.079インチの直径を有する。近位バルーン脚は、約0.085インチから0.094インチの直径を有する。遠位バルーン脚は約0.079インチから0.085インチの直径を有する。膨張管腔の上方のバルーンの中央領域は、約0.077インチから0.085インチの直径を有する。バルーンの二重壁の厚さは、約0.0045インチであり、カテーテルは、近位アセンブリの遠位端からデバイスの遠位先端部まで111センチメートルの長さを有する。Yアームの遠位端からデバイスの遠位先端部までの長さは、約91センチメートルである。6気圧まで膨張すると、バルーンは約0.218インチの近位直径、約0.211インチの中央直径、約0.210インチの遠位直径を有する(10気圧の例では、近位直径は約0.222インチ、中央直径は約0.216インチ、遠位直径は約0.215インチであった)。
【0117】
図18は、水を用いて約6気圧まで膨張したバルーン522を有するカテーテル500の一例を示す。収縮は、膨張/収縮管腔535を用いて達成できる。一例では、完全収縮に約3分を要した。しかしこれは、膨張管腔の管サイズまたは膨張流体の粘度を調整することにより、より高速で実施することもより低速で実施することもできる。バルーン522は、バルーン内に残留膨張流体が殆どあるいはまったく存在しないようになるまで収縮した。
【0118】
図19Aから
図19Cは、収縮および膨張流体除去後の
図18のバルーン522を示す。この例で、バルーン522は、折り畳まれておらず、かつ/または、ひだを付けられていない(または熱処理されてこの折り畳み/ひだ付き構成とされていない)。それゆえ、バルーンは図のようにつぶれる(collapse)。幾つかの例では、収縮構成内でカテーテルの外径を小さい状態に維持してもよい。
【0119】
また、上記環状/トロイダルバルーンに限定されず、他のセンタリング機構の例を使用できる。例えば、幾つかの例では、デバイスの外側シャフトから1つまたは複数のアームが延在し、血管壁に対して横方向の力を加えて血管壁を管腔内でセンタリングする。あるいは、遠位端付近に配置されかつ遠位端領域の周囲に巻回するコイルを膨張させてループを外側に拡張し、さらにデバイスをセンタリングしてもよい。形状記憶材料(例えば、ニッケルチタン)を含む任意の好適な材料を用いてもよいし、センタリング機構は、血管内腔と接触したときに非外傷性であるように(例えば、丸みを帯びまたは平坦な、大径の組織接触面などを有するように)構成されてもよい。
【0120】
本明細書で説明しているガイドワイヤ位置決めデバイスは、使い捨てのオーバーザワイヤ(over-the-wire)デバイスとして構成できる。例えば、デバイスは、最小侵襲性手術で使用される標準的なサイズの互換性のある他のガイドワイヤであってもよい。細長いデバイス(遠位端領域を含む)の外径は、7Fのシース内に収まってもよい。デバイスは、操縦可能なガイドワイヤを含む任意の好適なガイドワイヤと共に使用できる。例えば、ガイドワイヤは0.035”ガイドワイヤであってもよい。これらのデバイスは、概して「ステアリング」ガイドワイヤとして説明できるが、カテーテル内のガイドワイヤと共に使用してもよく、または、デバイス内でカテーテルを位置決め(position)した後にガイドワイヤを位置決めしてもよい。
【0121】
概して、これらのデバイスは、閉塞を超えてガイドワイヤを位置決めするための支持と誘導を提供できる。本明細書で説明しているように、デバイスは、血管内の閉塞を超える(traverse)ことにより、プロービング(probing)を支持し、各種ガイドワイヤを交換できる。典型的に、カテーテルはガイドワイヤの前に(またはガイドワイヤがカテーテル内に格納された状態で)挿入されて閉塞血管に安全な経路を提供し、これにより血管への不必要な損傷を低減または排除する。なお、本明細書で説明しているデバイスを使用して、造影剤を供給してもよい。また、ガイドワイヤが使用できる内側管腔、および/または外側管腔は、血管からデバイスを取り外すことなく、局所染料または透視造影剤の注入用に使用できる。
【0122】
動作において、回転/振動する遠位先端部は、デバイスが血管(または動脈)を閉塞させるプラークなどの閉塞を、プラークの除去を必要とせずに通過できるようにする。したがって、デバイスを使用することにより、格納可能/伸張可能な遠位先端部の回転ウェッジを用いて、あるいは単に回転遠位先端部を単独で用いて、プラークを通る経路を平滑に形成できる。遠位先端部に位置する刃先は、らせんおよび平滑なマイクロ切開部を可能にすることができる。実質的に組織を切開または切断せずにカテーテルを使用できること、および遠位先端部は必ずしも組織の除去を意図しておらず(しなくてもよい)、単に閉塞血管を通る通過の形成を意図していることに留意する必要があることが重要である。適切な位置に至ると、ガイドワイヤを使用してアテローム切除用カテーテルを含む他のデバイスを挿入できる。
【0123】
幾つかの例で、遠位先端部に位置する刃先は鋭い(例えば、切断用やナイフエッジ)であるが、他の例で、刃先は略平滑である。刃先は、典型的に遠位先端部の長手軸の周囲でまたは長手軸に沿って湾曲している。例えば、刃先は、デバイスの遠位先端部の周囲にらせん状に延在していてもよい。
【0124】
幾つかの例で、本明細書で説明しているカテーテルは、体内での留置用に7Fのガイドシース内で使用(例えば挿入)してもよい。概して、細長いカテーテルは可撓性を有し、外面は、シース内、カテーテル内、または直接に身体内腔に挿入できるようにコーティングされてもよい。典型的に、細長い外側シースは管状であり、保護カバーでコーティングされてもよい(内径面と外形面の一方または両方で)。細長い外側シースをシャフト(例えば、カテーテルシャフト)と呼んでもよく、潤滑性材料でコーティングされてもよいし、滑らか、かつ/または潤滑性の材料で形成されてもよい。
【0125】
幾つかの例で、カテーテルの遠位先端部は、当該遠位先端部の近位で膨張する略トロイダル形状の膨張遠位バルーン内に格納可能である。この例により、カテーテルの再センタリングまたは再方向付けが可能となるであろう。
【0126】
上記の通り、本明細書で説明しているカテーテルの遠位端は操縦可能であってもよい。遠位端領域は、任意の適切な方法で操縦可能であってもよい。特に、遠位端領域は、一方向(例えば「下」)で、または複数の方向(例えば、上/下、左/右など)に偏向することによって操縦可能であってもよい。また、偏向の度合いは制御できる。幾つかの例で、先端部は最大、10度、15度、20度、25度、30度、45度、60度、90度、またはその間の任意の角度に偏向してもよい。幾つかの例で、デバイスの遠位端領域は、真っ直ぐであるように予め偏りを加えられている。それゆえ、偏向(近位端で制御された)が真っ直ぐな構成に復元されると、遠位先端部の真っ直ぐな構成を復元できる。幾つかの例で、デバイスの遠位端は、偏向可能であることに加えて可撓性を有する。端部領域は、先端部を含んでもよい(例えば、回転先端部)し、先端部の直近位の領域を含んでもよい。概して「先端領域」は、遠位端に位置する回転式先端領域を指してもよい。偏向は、ヒンジ付き遠位領域に結合されたプルワイヤ、(例えばプルワイヤなどにより)解除可能な予め偏りを加えられた曲線などを含む任意の適切な方法により実施できる。
【0127】
先端部の偏向やステアリングは、デバイスの再侵入に役立つ可能性がある。例えば、偏向可能/操縦可能な遠位端領域(「操縦可能な先端部」(steerable tip)と呼ぶことがある)は、膜下になった場合に、カテーテルが血管の真腔内に再侵入するのを可能にする(例えば筋膜中または血管周囲の領域に延在している場合に)。
【0128】
上記のように、幾つかの例で、カテーテルの遠位領域は予め曲げられており(prebent)、例えば湾曲部を含む。他の例で、カテーテルは屈曲可能な遠位端を含む。これらのカテーテルの操縦は可視化によって支援でき、撮像によって誘導できるカテーテル本体の長さの回転を含んでもよい。カテーテル本体の回転または転回を使用して、固定屈曲部と曲げ可能なカテーテルの両方において、カテーテルの屈曲に起因して遠位先端領域を方向付けできる。
【0129】
概して、近位ハンドルはオペレータとのインターフェースとして動作でき、かつ1つまたは複数の制御部を含んでもよい。また、ハンドル領域は、電力供給するための接続部(例えば、自動で回転/振動する例)、撮像部(例えば、撮像ソースと処理部との接続)などを含むことができる。
【0130】
本明細書で説明しているデバイスは、任意の好適な長さであってもよいが、比較的短い長さのカテーテルが特に有用であろう。例えば、デバイスを約100cmとし、デバイスが膝窩へ到達し、医師のハンドリングを体外で容易にすることができる。他の例で、デバイスは、約50から150cm、約70から120cmなどである。
【0131】
上記の通り、遠位先端部は、デバイスの長さ方向に延在する細長いドライブシャフト(または「トルクシャフト」)によって駆動できる。通常、このドライブシャフトは頑健(robust)であり、操作中のトルク精度と操作性の向上を可能にする。例えば、トルクシャフトは、中空の管腔(デバイス中央の管腔、例えばガイドワイヤを形成または包囲する)を有する編組ステンレス鋼材料から作成できる。ドライブシャフトの回転は、典型的には遠位先端部の回転を駆動する。ドライブシャフトは、典型的には可撓性を有し、近位端(例えばハンドル)で回転制御部に接続されている。ウェッジとハウジングを含む遠位先端部は、時計回りと反時計回りの両方で回転できる。
【0132】
また、デバイスの近位端に位置するハンドル領域は、手で握って使用するように構成されてもよい。特に、ハンドル領域に位置する制御部は、片手でデバイスを操作できるように構成されてもよい。また、幾つかの例で、ハンドル領域は、デバイスの遠位端の状態を表示する1つまたは複数のインジケータまたはディスプレイを含んでもよい。例えば、ハンドルは、ウェッジが遠位先端部から延在している程度を示すインジケータを含むことができる。インジケータは、ダイアル、スライダなどであってもよい。インジケータは、指定(marked)でもよいし、無指定(unmarked)でもよい。そうでなければ、近位ハンドルは、特にハンドヘルドなるように構成されてもよい。例えば、制御部は、ハンドルの一端に集束(clustered)または配置され、他端は把持領域に位置してもよい。例えば、制御部は、ハンドルの近位部分で集束されてもよい(ハンドルの遠位部分が手の掌内で把持され、かつ親指と人差し指によって操作されるようにすることができる)。
【0133】
概して、カテーテルの細長い外側シースは可撓性を有し、容易にシースの管腔内、カテーテル内、または直接に身体内腔内に挿入できるようにコーティングされてもよい。例えば、カテーテルの細長い外側シースは、編組ステンレス鋼、ポリマーなどから形成されてもよい。細長い外側シースは典型的には管状であり、保護カバーでコーティングされていてもよい(内径と外径の一方または両方で)。細長い外側シースをシャフト(例えば、カテーテルシャフト)と呼んでもよく、潤滑性材料でコーティングされてもよいし、滑らか、かつ/または潤滑性の材料で形成されてもよい。
【0134】
本明細書(図面を含む)で説明しているデバイスの寸法は、全般的に説明している本発明の範囲内にある限り変更されてもよい。特に断らない限り、これらの寸法は単に例示的であることを意図しており、限定的とすることを意図していない。
【0135】
既に簡潔に述べたように、本明細書で説明しているデバイスの種々の態様は、回転デバイスを含む、閉塞した血管内で使用できる他のデバイスと比較して充分な利点を提供する。例えば、前向きの刃先は、管腔の側面/壁での切断を防止してもよい。上記の通り、この構成は自己センタリングに役立つことがある。なお、デバイスは、刃(例えばウェッジ)領域の直径がカテーテルの残りの部分の直径と同じになるように構成されてもよい。したがって、回転式ウェッジを有する遠位端の直径は、ブレードがカテーテルの残りの部分と同じクロッシングプロファイルになり、血管の閉塞内の最適な係合が可能となりえるように最大とされる。
【0136】
幾つかの例で、本明細書で説明しているガイドワイヤの管腔は、中心部にはなく、デバイスの長さの全部または一部に沿ってオフセットされる。管腔(または別個の管腔)を使用して、造影剤、生理食塩水、撮像デバイスなどの材料を通過させることができる。外側管腔は、内側(ガイドワイヤ)管腔を包囲してもよく、この空間を囲んで別個の管腔を形成してもよい。別個の管腔内には、1つまたは複数の追加の管腔(バルーンまたは膨張可能な機構を含む例では膨張管腔)が含まれてもよい。また、遠位先端部を回転させ、または回転を制御するドライブシャフトが含まれてもよい。
【0137】
上記の通り、デバイスの近位端は、典型的に遠位端を制御するために使用できるハンドル領域を含む。例えば、デバイスは、回転制御部、ウェッジ連結(articulation)制御部および/または操縦制御部を含むことができる。幾つかの例で、これらの制御部は1つまたは複数の制御部に組み合わされてもよく、これらの機能は異なる制御部間で分散または分割されてもよい。任意の適切な制御部として、スライダ、ノブ、ダイアル、ボタン、レバー、スイッチなどを使用してもよい。幾つかの例で、制御部は自動またはコンピュータ制御されてもよい。幾つかの例で、ドライバ(例えば、モータ、機械的ドライバなど)を使用して、制御部を駆動してもよい。例えば、遠位先端領域の回転は、モータによって駆動され、ギヤに取り付けられ(geared)、または他の方法で制御されてもよい。回転は、手動または自動で制御されてもよい。
【0138】
パートII:アテローム切除用カテーテル
アテローム切除用カテーテル(上記ガイドワイヤの留置後に使用できる)の一例を
図20Aから
図22Dに示しており、以下で説明する。概して、アテローム切除用カテーテルは、シースを用い、かつ/またはカテーテルの通路を誘導し、位置決めされたガイドワイヤを追跡する従来のカテーテル技術を用いて血管系にアクセスできる。デバイスは、血管系を通ってターゲット病変部まで追跡できる。ファイバ(例えばシングルモードファイバ)は、デバイスの遠位アセンブリまたはその付近に位置決めでき、撮像(例えば、OCT撮像)を使用して病変部の評価と治療計画を有効にすることができる。例えば、デバイスは、動脈の病変部に向けて回転するように(rotationally) 方向付けてもよく、近位の医師による制御部を使用して、刃先を病変組織へ優先的に露出させるように作動してもよい。本明細書で説明している例で、円形カッターは、ドライブシャフトの約10から10000の毎分回転数(rpm)での回転を開始することになる。デバイスは、病変部を通って移動し、OCT画像が壁と病変部の性質決定、カッターの並置および相対的な切断深さに関するリアルタイムのフィードバックを提供しながら、病変組織を平削りし(plane)、切断することができる。切断部が通過する間、組織は、円形の中空カッターを通り、カッターに対して遠位に位置する組織リザーバ内に入ってもよい。切断経路(cutting pass)が完了すると、近位の制御部を使用してデバイスを連結し、更なるデリバリと留置のために保護された位置にカッターを戻してもよい。この手順を複数回実行することにより、疾患を充分に治療できる。
【0139】
図20Aと
図20Bは、上記アテローム切除用デバイス200の一例を示す。デバイスは、細長いカテーテル本体201内に配置されたドライブシャフト294(
図21参照)により回転可能なカッター28を含む。比較的大きい断面積を有する刃先は、主となるカテーテル本体201の周面に沿って配置されている。比較的小さい断面積を有するドライブシャフト294は、カテーテル本体の中央領域内に配置されている。幾つかの例で、カッターの直径は、主となるカテーテル本体201の最大クロッシングプロファイルと同一またはその付近であり、切断組織の断面積を最大にし、切断深さを最小にする。大きな断面積は、より効率的な切断経路を付与することにより手術時間を短縮でき、さらに、比較的大きい管腔利得を達成するために必要とされる切断部の深さを低下させることにより安全性の度合いを追加できる。
【0140】
幾つかの例で、デバイス200の少なくとも幾つかの部分は、中空であってもよい。したがって、カッター282は、動脈の壁から組織を切断でき、中空部を直接に通過でき、さらに組織記憶領域、例えば組織記憶領域216内で記憶できる。
【0141】
図20Aと
図20Bはそれぞれ、非作動部分(
図15A)と作動部分(
図15B)内に位置するデバイスの遠位部分を描いている。閉じた/非作動位置で、カッター282は、保護されて、補助的な医療機器と血管系の内径への意図しない損傷を防止するようになっている。開いた/作動位置で、カッター282は、
図21に示す刃先の遠位に位置する組織充填オーガ292と共に露出される。回転式刃先を持つカテーテルの実施形態についてのプルツーカット(pull-to-cut)構造で、カテーテルの遠位先端部は、ターゲット病変部を超えて前進する。病変部を超えて刃先を留置し、組織除去用に最適に方向付けると、遠位先端部のアセンブリを作動させて刃先282を付与する。カテーテルのドライブシャフトは電力供給され、病変を越えて通過するときにカッター282を回転させる。回転運動は、ターゲット組織を切断するときにカッターを支援する。切断経路を完了した後、デバイスは、組織片を分割して組織格納管腔216内に充填するときにカッターを支援する非作動位置に戻される。デバイス200は、デバイス遠位端付近の切欠277においてイメージセンサ279を含むことができる。イメージセンサ279は、上記と同様にOCTセンサであってもよい。
【0142】
図21を参照すると、周方向カッター282とオーガ292またはアルキメデススクリューにドライブシャフト294を直接に接続できる。ドライブシャフト294は、組織が中空カッター282をその回転時に通過することを可能にしつつ、カッター282にトルクを伝達できる。この構成で、カッター282は、プルツーカット構造において組織病変部を超えて前進するときに、血管壁から組織を切断する。カッター/オーガアセンブリの連続的な前進により、組織は続いてカッター282の内側の中空の直径を通過する。回転オーガコンポーネント292へ向けて組織が前進する際、組織は続いてオーガコンポーネント292の刃先299により切断されてセグメントに分割され、オーガ292の遠位に位置する組織格納領域216内に入る。
【0143】
図21に示すシステムは、らせん状に構成されたオーガコンポーネント292を示す。しかし、オーガコンポーネントは、他の構成を有することができる。例えば、
図22Aから
図22Dは、時計回りまたは反時計回りに回転する場合に、組織セグメントを剪断できるオーガコンポーネント293を示す。オーガは、2つの刃先298を有する略T字であってもよい。時計方向または反時計方向のいずれかでのオーガコンポーネント293の回転により、組織の剪断が引き起こされる。好都合なことに、2つの刃先298を有することにより、オーガコンポーネント293は、ドライブシャフト294の回転当たり2回組織をせん断できる。さらに、オーガコンポーネント293は、切断された組織を遠位の組織格納領域216に押圧するように構成された傾斜面297を含んでもよい。オーガコンポーネント293は、時計回りと反時計方向の両方で切断できるので、時計回り方向と反時計回り方向の間でドライブシャフトが振動する場合でも、上記ドライブシャフト421を基準として動作できる。この構成で、刃先は、最適な切断効率のために設定でき、連続的に回転する従来のカッターに限定されるものではない。
【0144】
ドライブシャフトの仕様は、蛇行性構造を誘導するための可撓性と、硬く石灰化した組織または密な病変部を通る遠位機構を駆動するためのねじれ性/引っ張り性/圧縮剛性とのバランスをとってもよい。連続的に回転する構成または回転して切断する構成のいずれかで、カッターのコンセプトは、カテーテルが前進して切断動作を実施するようにするプッシュツーカット構造に構成できる。また逆に、カッターのコンセプトは、カテーテルが切断動作を行うように格納されるプルツーカット構造に構成できる。例示的な目的のみの場合、本明細書の説明はプルツーカットの実施形態に焦点を当てるが、プッシュツーカットの例も使用できることは明らかである。説明したすべての実施形態に共通して、組織が窓部に侵入するような最小の先端機構の長手方向の動きと並進偏向は、剪断コンポーネントの基部295から刃先までの垂直距離によって主に規定される。これにより、増加した組織が、圧着力が上昇した状態で露出した組織侵入点に陥入することが防止される。そして、切断深度は、カッターと組織との間の係合の不等の(varied)力で比較的一定を維持することになる。
【0145】
プルツーカット構造で、刃先の向きは、組織の切断がカテーテルの遠位から近位までの長手方向の移動と共に実施されるような向きであってもよい。
【0146】
幾つかの例で、オーガ機構は、らせん形状292によりオーガが構成される連続回転システム内で機能するように構成されてもよい。デバイスのドライブシャフトの回転方向を周期的に変化(oscillate)場合、オーガ293は、回転のいずれの方向で組織セグメントを剪断できる形状をとってもよい。
【0147】
上記の通り、これらのカテーテルのいずれかが、アテローム切除用カテーテルなどの撮像用カテーテルを含んでもよい。撮像エレメントは、切断面内の血管壁の形態の断面図を提供できる。超音波および/または光学イメージング技術を使用してもよい。光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、画像誘導の1つの好ましい方法である。プロトタイプのデバイスで具現されているOCT技術は、約10ミクロンの横方向の解像度を達成でき、0.010インチ未満の光ファイバアセンブリの直径を必要とする。
【0148】
このように、デバイスは、オンボードでリアルタイムの画像誘導機能を含んでもよい。この機能は、血管の局所的な画像がデバイスの使用状況を誘導できるようにデバイスの遠位部分に位置決めされた撮像エレメント、またはエネルギー放射アセンブリを必要とすることがある。遠位エネルギーエミッタは、複数の場所で固定位置に配置されてもよく、あるいは偏心管腔内もしくはドライブシャフトの中空管腔内で移動できる嵌合アセンブリ内で具現できる。エミッタは、カテーテル軸から90度の位置、または最大約50度の位置で関連する光または音の信号を送受信し、固定部分から遠位または近位の壁の特徴を視覚化できる。
【0149】
放射エレメントは、刃先に対して遠位および/または近位に配置されてもよい。プルツーカット構造では、近位の留置によりカッターが組織と相互作用する前の切断経路の間に情報が付与され、病変部の深さおよび/または位置が変化するときに医師が切断を停止または継続するのを可能にするであろう。遠位部の留置により、切断品質、深さおよび切断効率に関する誘導が付与されるであろう。
【0150】
さらに、送信および好適に処理された後、カテーテルの遠位端で収集されたデータによりカッター作動の自動化された手段を駆動してもよい。ソフトウェアが検出した病変部の増加量は、刃先と先端機構との間に広げられた距離を自動で増加させ、これにより切断深度を増加させることができる。振動カッターの速度は、撮像システムからのフィードバックに応じて調整されてもよい。
【0151】
材料および製造技術を含む、本発明に関連する更なる詳細は、関連技術分野の当業者のレベルの範囲内で用いることができる。一般的または論理的に採用された追加の行為に関しては、本発明の方法に基づく態様に対して同じことが、当てはまることがある。また、説明した例のいずれかの任意の特徴は、独立して、または本明細書で説明した特徴のいずれか1つまたは複数と組み合わせて説明でき、さらに請求項に記載できることが企図される。同様に、単数形のアイテムへの参照は、同じアイテムが複数個存在する可能性を含む。具体的には、本明細書と添付の請求項で使用している単数形「1つの」(a, and)、「前記」および「その」(the)は、文脈が明示しない限り複数の指示対象を含む。さらに、請求項は、いずれかのエレメントを除外するように起案されてもよいことに留意されたい。このように、この記述は、請求項のエレメントの記載に関連する「単に」「のみ」などの排他的な用語の使用、または「否定的な」限定の使用の先行的な基礎として機能することを意図している。本明細書で別に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語と科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本発明の範囲は、本明細書で説明している例により限定されず、用いられる請求項の用語の明白な意味によってのみ限定される。