(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移送機構は、前記静的処理チャンバ及び前記パスバイ処理チャンバの基部に設けられた複数の車輪を備え、選択した車輪が独立に駆動される、請求項1記載のシステム。
基板キャリア上に基板をロードするように構成された第1のトランスレータ及び前記基板キャリアから基板を除去するように構成された第2のトランスレータを更に備える、請求項1記載のシステム。
前記第1のトランスレータに基板を導入するように構成された第1のロードロック装置、及び前記第2のトランスレータから基板を受け取るように構成された第2のロードロック装置を更に備える、請求項4記載のシステム。
前記第1のロードロック装置に基板をロードする第1のリフタ装置、及び前記第2のロードロック装置から基板を除去する第2のリフタ装置を更に備える、請求項5記載のシステム。
カセットから基板を前記第1のリフタ装置にロードするように構成された第1のロボットアーム、及び前記第2のリフタ装置から基板をカセットにアンロードするように構成された第2のロボットアームを更に備える、請求項8記載のシステム。
前記第1の処理ステーションから前記第2の処理ステーションへの基板の移送を可能にする第1組の車輪、及び前記第4の処理ステーションから前記第3の処理ステーションへの基板の移送を可能にする第2組の車輪を更に備える、請求項11記載の処理チャンバ本体。
前記ローディングロボットアーム及び前記アンローディングロボットアームの各々は軸を中心に回転可能で、基板を水平向きと垂直向きとの間で回転するように構成されている、請求項17記載のシステム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
下記の本発明の概要は本発明のいくつかの態様及び特徴の基本的な理解を提供するために記載されている。この概要は、本発明の広範な概要ではなく、従って本発明の主要な又は重要な要素を特定すること又は本発明の範囲を限定することを意図するものではない。その唯一の目的は、以下に記載されるより詳細な説明の前置きとして本発明のいくつかの概念を簡略化した形で提示することにある。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態は複合静的及びパスバイ処理を可能にする基板処理システムを提供する。本発明のいくつかの実施形態は簡略化したシステム構造も提供する。
【0011】
本発明のいくつかの態様によれば、少なくとも1つの静的処理チャンバと少なくとも1つのパスバイ処理チャンバを有する基板処理システムにおける基板移送システムが提供される。基板は真空環境から出ることなく静的処理チャンバ内及びパスバイ処理チャンバ内で処理される。
【0012】
本発明の他の態様によれば、設置面積が縮小されたシステム構成が提供される。このシステムは、基板がシステム内で垂直に処理されるように構成され、各チャンバはその一つの側壁に取り付けられた処理ソースを有し、他の側壁の背後に相補的処理チャンバが存在する。一つの態様によれば、チャンバ本体は、アルミニウム等の単一の金属ブロックから切削加工され、この加工において、金属ブロックは両側から切削され、2つの相補的処理チャンバを分離する隔壁が残される。
【0013】
開示の実施形態によれば基板を処理するシステムが提供され、本システムは、
大気環境から真空環境内へ前記基板を導入するロードロックチャンバ、
基板を基板キャリア上にロードするローディング装置、前記基板キャリアを本システム内へ移送する車輪、
前記キャリアが静止している間に前記基板を処理する静的処理チャンバ、
移送セクション及び処理セクションを有するパスバイ処理チャンバ、及び
前記移送セクションにおいて前記基板キャリアを移送速度で移送させ且つ前記処理セクションにおいて前記基板キャリアをパスバイ速度で移送させるように構成された移送機構を備え、前記移送速度が前記パスバイ速度より速い、
ことを特徴とする。前記移送機構は、前記静的処理チャンバ及び前記パスバイ処理チャンバの基部に設けられた複数の車輪を備えることができ、複数の車輪の各々は独立に駆動されるものとすることができる。前記移送セクション及び前記処理セクションは単一の仕切りのない筐体内に画成することができる。更に、基板の同一側面又は反対側面を処理するために、前記基板キャリアが逆方向に移送され、システムの反対側でも処理されるように、前記基板キャリアを回転させるように構成された回転チャンバを備えることができる。本システムは、更に、前記静的処理チャンバと共通の壁を有する第2の静的処理チャンバ、及び前記パスバイ処理チャンバと共通の壁を有する第2のパスバイ処理チャンバを更に備え、前記キャリアは前記回転チャンバ内で回転された後に前記第2の静的処理チャンバ及び前記第2のパスバイ処理チャンバを逆方向に横断する。更に、基板キャリア上に基板をロードするように構成された第1のトランスレータ及び前記基板キャリアから基板を除去するように構成された第2のトランスレータを備えることができる。更に、前記第1のトランスレータに基板を導入するように構成された第1のロードロック装置、及び前記第2のトランスレータから基板を受け取るように構成された第2のロードロック装置を備えることができる。前記第1のロードロック装置に基板をロードするために第1のリフタ装置を使用し、前記第2のロードロック装置から基板を除去するために第2のリフタ装置を使用することもできる。カセットから基板を前記第1のリフタ装置にロードするように構成された第1のロボットアーム、及び前記第2のリフタ装置から基板をカセットにアンロードするように構成された第2のロボットアームを更に備えることができる。前記第1及び第2のロボットアームの各々は伸縮可能で回転可能であるとし得る。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、複数の処理ステーションを画成する処理チャンバ本体が提供され、該処理チャンバ本体は、
単一の金属ブロックから、第1、第2、第3及び第4の処理ステーションを画成するように機械加工された単一のチャンバ本体、
前記単一の金属ブロックから、前記第1及び第2の処理ステーションを横断するように機械加工された第1の基板移送通路、
前記単一の金属ブロックから、前記第3及び第4の処理ステーションを横断するように機械加工された第2の基板移送通路、及び
前記第1及び第3の処理ステーションの間及び前記第2及び第4の処理ステーションの間の流体連通を阻止するために、前記第1及び第3の処理ステーションを分離するとともに前記第2及び第4の処理ステーションを分離する、それらのステーションに共通の壁を備える、
ことを特徴とする。第1組の車輪が前記第1の処理ステーションから前記第2の処理ステーションへの基板の移送を可能にし、第2組の車輪が前記第4の処理ステーションから前記第3の処理ステーションへの基板の移送を可能にする。
【0015】
他の実施形態によれば、リフタ及びロードロックアセンブリが提供され、該アセンブリは、
下部シール板を有するロードロックチャンバ、
上部シール板を有するリフタ本体を備え、前記リフタ本体は前記上部シール板を前記下部シール板と係合させて真空封止を形成するために伸長可能であり、更に前記上部シール板を前記下部シール板から引き離して前記真空封止を破るために後退可能である、リフタアセンブリ、及び
前記リフタ本体内を移動可能であって、基板と係合し保持する機構を有し、前記リフタ本体内を伸張又は後退することで前記基板を昇降するように構成されたリフタブレードを備える、
ことを特徴とする。
【0016】
更に、真空内で基板を処理する線形システムが提供され、該システムは、
複数のチャンバの第1の線形配列を備え、前記第1の線形配列は、真空環境を維持するとともに、基板キャリアを1つのチャンバから直接次のチャンバへ第1の進行方向に移動させることができる通路を有し、
複数のチャンバの第2の線形配列を備え、前記第2の線形配列は、真空環境を維持するとともに、基板キャリアを1つのチャンバから直接次のチャンバへ前記第1の進行方向と反対の第2の進行方向に移動させることができる通路を有し、
前記第1の線形配列の入口側に配置され、基板を大気環境内から前記第1の線形チャンバ配列により維持されている前記真空環境内へ導入するように構成されたローディングチャンバを備え、
前記第2の線形配列の出口側に配置され、基板を前記第2の線形チャンバ配列により維持されている前記真空環境から大気環境へ取り出すように構成されたアンローディングチャンバを備え、
前記第1の線形配列の出口側と前記第2の線形配列の入口側とに接続され、前記第1の線形配列から基板キャリアを受け取り、前記基板キャリアを前記第2の線形配列に届ける回転チャンバを備え、
前記第1の線形配列及び前記第2の線形配列の各々は、少なくとも1つの静的処理チャンバ及び少なくとも1つのパスバイ処理チャンバを備え、前記パスバイ処理チャンバは該チャンバ内に限定された処理ゾーンを有し、且つ
基板キャリア移送機構を備え、前記基板キャリア移送機構は、
前記静的処理チャンバ内での処理中前記基板キャリアを静止状態に維持し、
前記基板キャリアが前記パスバイ処理チャンバ内であるが前記処理ゾーン外を移動する間前記基板キャリアを移送速度で移動させ、
前記基板キャリアが前記パスバイ処理チャンバ内の前記処理ゾーン内を移動する間前記基板キャリアをパスバイ速度で移動させるように構成され、前記移送速度が前記パスバイ速度より速い、
ことを特徴とする。前記ローディングチャンバに基板をロードするように構成されたローディングリフタ、及び前記アンローディングチャンバから基板を除去するように構成されたアンローディングリフタを更に備える。前記ローディングリフタ及び前記アンローディングリフタの各々は、上端部に真空シール板を有する伸縮可能なブレードハウジング、前記伸縮可能なブレードハウジング内部を移動可能なリフトブレード、及び前記伸縮可能なブレードハウジング及び前記リフトブレードに結合され、前記伸縮可能なブレードハウジング及び前記リフトブレードを垂直に移動させる垂直移動機構を備える。カセットから基板を取り出し、前記基板を前記ローディングリフタに届けるように構成されたローディングロボットアーム、及び前記アンローディングリフタから基板を除去し、前記基板を前記カセットに届けるように構成されたアンローディングロボットアームを更に備える。
【0017】
静的処理チャンバ及びパスバイ処理チャンバを有するシステムにおいて基板を処理する方法も提供され、該方法は、
基板を真空環境内に導入するステップ、
前記基板をキャリアにロードするステップ、
前記キャリアを前記静的処理チャンバ内に移送し、前記静的処理チャンバ内での処理中に前記キャリアをその位置に維持するステップ、
前記静的処理チャンバ内の処理が完了した時点で、前記キャリアを、前記パスバイ処理チャンバ内に位置する先行キャリアの背後の位置に到達するまで、前記パスバイ処理チャンバ内に移送速度で移送するステップ、
前記キャリアが前記先行キャリアの背後の位置に到達した時点で、前記キャリアの速度を下げ、前記キャリアを前記移送速度より低い処理速度で前記パスバイ処理チャンバ内を移送し続けさせるステップを備える、
ことを特徴とする。
【0018】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は本発明の実施形態を例示し、記載とともに本発明の原理を説明し、例示するものである。図面は模範的な実施形態の主要な特徴を概略図で説明しようとしている。図面は実際の実施形態の全ての特徴又は図示される要素の相対寸法比を示すことを意図しておらず、正しい寸法比で示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の様々な態様は、ハードディスク、IC、タッチスクリーン等の製品を製造するための基板処理を提供する。開示の実施形態は、例えば複合静的及びパスバイ処理、設置面積の縮小、チャンバ製造の簡略化などの様々な特徴を示す。図示の実施形態のいくつかは2つ以上の特徴を使用するが、これらの特徴は様々な処理システムとともに独立に又は種々の組合せで実装することができる。
【0021】
本発明の一つの態様では、基板の複合静的及びパスバイ処理が可能である。
図1の例で示すように、基板処理システム100は、基板103に種々のコーティング又は処理を加えるために静的処理チャンバ102及びパスバイ処理チャンバ104の線形配列を備える。基板は、
図3に詳細に示されるように、キャリア105に搭載(設置)される。キャリア105は、基板の全表面がコーティング及び/又は他の処理のために露出されるように基板の外縁と数点106でのみ接触する。また、キャリア105は、システム100のチャンバ102及び104中を移動するように、レール及び電動車輪108と係合するキャリア基部109を有する。特に、以下で更に示されるように、トラック及び車輪の構成は一例にすぎず、例えばトラックなしで車輪のみ等の他の構成を使用してもよい。
【0022】
図1から明らかなように、基板は最初に静的処理チャンバ102内で処理され、即ち基板は処理中静止し、次に基板はパスバイ処理チャンバ104内で処理され、即ち基板は処理中移動し、次に基板は別のパスバイ処理チャンバ104内で処理され、次に別の静的処理チャンバ102内で処理される。これは、チャンバの遊休時間を最小にするためにキャリアの移動を同期させる必要があるという問題がある。即ち、高い稼働率のために、各チャンバが常に基板を処理し、別の基板に移る前に、別のチャンバが処理を完了するのを待つことがないようにする必要がある。例えば、チャンバ102がその基板への処理を完了したが、隣のパスバイ処理チャンバ104が処理を完了してない場合には、チャンバ102は、チャンバ104が処理を完了し、完了した基板を解放し、新しい基板への処理が開始し得るようになるまで無駄に待たなければならない。しかしながら、以下で説明するように、
図1の実施形態はこの問題を克服し、どのチャンバも空転することがなく、全てのチャンバが基板を常時処理する。
【0023】
図1で実現される解決法を説明する前に、この実施形態の種々の要素について説明する。
図1に示す実施形態では、システムはロードロック101を含み、これにより基板は大気環境からシステム100の真空環境内へ導入される。真空は真空ポンプ107により維持され、真空ポンプ107は、
図1の例に示すように、各チャンバに設けてもよいし、数個のチャンバで共有してもよい。基板は次に静的処理チャンバ、本例では加熱チャンバ102、内に移動される。本例では、真空弁112がロードロック101を大気環境から分離し、真空弁113が加熱チャンバ102をロードロック110から分離する。この特定の例では、加熱チャンバ102と処理チャンバ104との間には真空弁は設けられず、また複数の処理チャンバ104(
図1にはそれらの2つが示されている)の間にも真空弁は設けられない。このような弁は必要に応じこれらのチャンバの間に設けても良いことは勿論である。例えば、静的処理チャンバ102が加熱ではなくプラズマ処理を実行する場合には、静的処理チャンバを処理チャンバ104から分離するために真空弁を使用すべきである。
【0024】
加熱チャンバ102は静的処理チャンバであり、基板は処理中静止状態に維持される。基板が所望の温度に到達すると、キャリアを第1のパスバイ処理チャンバ104に移動するために電動車輪108が駆動される。この実施形態の特徴によれば、車輪108は最初に、チャンバ104内で既にパスバイ処理された基板に追いつくようにキャリアを高速度で移送するように駆動される。キャリアがチャンバ102から出ると、新しいキャリアが処理のためにチャンバ102内に移送されるため、チャンバ102は遊休状態にとどまることはない。他方、キャリアがチャンバ104内のそれより前のキャリアに追いつくと、車輪108は減速され、追い上げ速度よりずっと低いパスバイ処理速度になる。従って、車輪は個別に又は群別に駆動する必要がある。駆動される車輪の位置に応じて、いくつかを個別に駆動しても、いくつかを対毎に駆動しても、及び群別に駆動してもよく、例えば全部で6個又は全部で8個の車輪を一緒に同じ速度で駆動してもよい。この構成は個別速度で駆動される車輪を有するものとみなされ、車輪のすべてが同じ速度で走行するように駆動されるわけではないことを意味する。このような構成を使用すると、移送システムを異なる位置で異なる速度で動作させることができる。従って、システム内の異なるキャリアをシステム内で異なる速度で同時に移送することができる。例えば、ある時点において、いくつかの車輪は静的処理チャンバでの処理を可能にするために静止し、いくつかの車輪はキャリアをパスバイ処理チャンバ又はキャリア移送チャンバ内に移動させるために移送速度で駆動されるが、他の組の車輪はパスバイ処理チャンバの処理セクション内での基板の処理を可能にするための処理速度で駆動される。代案として、リニアモータ構成を使用することもできる。
【0025】
本例では、処理チャンバ104はパスバイ処理チャンバであり、基板は処理中移動し続ける。本例では、2つのパスバイ処理チャンバ104を使用し、両方とも物理的気相成長(PVD)であり、スパッタリングチャンバとも称する。基板103の全表面にスパッタされる材料の均一性を高めるために、基板キャリアはスパッタリング中移動し続ける。更に、本例では、PVDチャンバ104のマグネトロン115は、基板とスパッタリング源がともに処理中移動するように、前後に循環する。これは高レベルの均一性及びターゲット利用効率をもたらす。キャリアがパスバイ運動を維持している間、静止マグネトロンを使用してもよいことは勿論である。
【0026】
スパッタ層をアニールする必要がある場合には、処理チャンバ104の後段に第2の加熱チャンバ102が設けられる。第2の加熱チャンバ102も静的処理チャンバである。それゆえ、基板がスパッタリングマグネトロンのエッジを通過すると、キャリアを第2の加熱チャンバ102内に移すために適切に選択した車輪108が駆動される。キャリアが加熱チャンバ102内に配置されると、車輪は停止し、キャリアはアニール中静止する。
図1の例では、出口ロードロックがシステムの終端に設けられる。ロードロック111は基板を真空環境から大気環境へ送り出す。
【0027】
図2は、
図1に示すような基板処理システムの概略上面図である。図に示されるように、ヒータ122及びスパッタリング源124がチャンバの片側のみに設けられているため、基板の片面のみが1度に処理される。
図2にはレール130も示され、レール130は電動車輪108と連動してキャリア105を移送するために使用される。本実施形態では、
図3に示すように、キャリア105の基部109は延長部127及び車輪129を含み、延長部127及び車輪129はレール130及び車輪108と係合し、キャリアをシステム全体に亘って直立した状態で移送する。本実施形態では、牽引力を高めるために一組以上の車輪108及び129は磁化された車輪とする。また、リニアモータを使用する場合には、一連の磁石101がキャパシタの基部に装着される。
【0028】
図4は、
図1及び
図2に示すようなシステムで実行し得る処理シーケンスを示す概要フローチャートである。ステップ400において、基板がロードロック内に移送され、キャリアに搭載される。次にステップ405において、ロードロックが排気され、排気が終了すると、ステップ410において、キャリアが静的処理チャンバ内に移送され、静的処理システム内に「駐車」される。ステップ415において、静的処理が実行され、例えば基板が静止した状態で過熱される。静的処理が完了すると、例えば基板が所望の温度に達すると、ステップ420において、キャリアは高速移送を実行してパスバイ処理チャンバ内に入り、パスバイ処理チャンバ内で既に処理されたキャリアの背後の位置に着く。キャリアは前方のキャリアの背後の位置に到達すると、その速度を下げ、パスバイ速度になるため、ステップ425において、パスバイ処理がパスバイ速度で実行される。キャリアは前基板に「追いつく」ために静的処理チャンバからパスバイ処理チャンバまで高い移送速度で移動するため、スパッタリングチャンバから見れば、基板は常に処理されている点に留意されたい。即ち、一連の基板が前後に並んでパスバイ速度で不断に移動されるので、スパッタリングチャンバは全時間に亘り完全に使用され、連続的にスパッタリングを実行する。従って、スパッタリング源は繰り返しオン及びオフする必要がなく、チャンバ内で基板が処理されない時間はない。従って、スパッタリング源は完全に利用される。他方、キャリアがチャンバ102を移送速度で離れたとき、新しいキャリアを静的処理のためにチャンバ102内に導入することができる。
【0029】
次に、設置面積の大きな増大なしに処理チャンバの数を2倍にする別の実施形態について説明する。このような一つの例が
図5及び
図6に示されている。
図5は一実施形態によるシステム500の側面図を示し、
図6は
図5のシステムの上面図を示す。
図5及び
図6に示す実施形態は背中合わせに配置された
図1の2つのシステムとみなすことができる。このような構成は、小さな設置面積の増大のみで処理容量を増大できるのに加えて、同じ側から基板がシステムに進入及び退出できる点で有利である。これはクリーンルーム環境に対して極めて有益であり、クリーンルーム環境においては、基板はクリーンルーム壁の一方の側から到来し、壁の向こう側で動作するシステムに進入し、システムからクリーンルーム壁の入口と同じ側へ退出する。
【0030】
引き続き
図5及び
図6を参照すると、基板は入口ロードロック501を経てシステムに進入し、次にローディングチャンバ503に移動され、ここで基板がキャリアに搭載される。キャリアはトラック530a及び530b上の車輪508又はライダ及びリニアモータ(図示せず)により移送される。車輪508はキャリアを最初に処理チャンバ、例えば加熱チャンバ502a、に移送する。チャンバ502a内での処理中、キャリアは静止する。チャンバ502a内の処理が完了すると、例えば基板が適切な温度に到達すると、このキャリアは処理チャンバ504内で既に処理された先行キャリアに追いつくために高速移送速度に加速される。このキャリアは先行キャリアに追いついたとき減速され、高速移送速度より低いパスバイ速度で移送される。
図6に示されるように、パスバイ処理チャンバ504はスパッタリング源524a,524b,524c及び524dに対応する4つのスパッタリングステーションを有し、これらは背中合わせに対として配置される。従って、本例では、基板は最初にスパッタリング源524a及び524bで処理される。ステーション524bでの処理が完了すると、キャリアは再び高速移送速度に加速され、キャリア転送チャンバ519に入る。本例では、キャリア転送チャンバ519は回転テーブル517を含み、この回転テーブルは第1通路、例えばトラック530a、からのキャリアを受け取り、反対方向に進む第2通路、例えばトラック530b、に移す。キャリアがトラック530bに移されると、キャリアは再びパスバイ処理移送速度に加速され、スパッタリング源524c及び524dにより処理される。スパッタリングステーション524dでの処理が完了すると、キャリアは、必要に応じ静止アニーリングのために、再び加速されて加熱チャンバ502bに移送される。アニーリングが完了すると、キャリアはアンローディングチャンバ523に移送され、ここで基板はキャリアから取り外され、ロードロック511に移送される。基板が取り除かれたキャリアは次に回転チャンバ529に移動され、ここでキャリアはトラック530bから530aに移され、ローディングチャンバ503においてこの基板に再び新しい基板が搭載される。
【0031】
図6に示されるように、キャリア移送チャンバ519が回転テーブル517を含む実施形態では、回転テーブル517は2つのキャリアシート517a及び517bを有する。基板の片面のみが処理される場合には、キャリアシート517a及び517bは固定であるため、回転テーブルが180°回転すると、シート517aに置かれたキャリアはシート517bがその前に占めていた位置になるため、トラック530a上を走行してきたキャリアは今度はトラック530b上を反対方向に走行する。シートが固定の場合、スパッタリング源524a及び542bにより処理された同じ表面がスパッタリング源524c及び524dにより処理される。他方、スパッタリング源524c及び524dが基板の反対側表面を処理するのが望ましい場合には、シート517a及び517bは回転テーブル517の回転と同時に180°回転される。これは
図6に湾曲矢印で示されている。代案として、吹き出しで示されるように、回転テーブルを除去し、代わりに1つのキャリアシート517cをトラック518上で直線的に往復移動させてもよい(両方向矢印で例示されている)。基板の同じ側の表面の処理が望ましい場合には、シート517は第2の通路位置(破線)に直線的に移動すると同時に180°回転される。しかしながら、本例ではキャリア転送チャンバは1つ又は2つのキャリアを転送するが、他の実施形態では3つ以上のキャリアをキャリア転送モジュール内に格納してもよいことに注意されたい。
【0032】
図7は、チャンバ504のようなパスバイ処理チャンバのためのチャンバ本体の一例を示し、
図8は
図7のチャンバ本体の断面を示す。この実施形態によれば、チャンバ本体はアルミニウムなどの一つの金属片から、背中合わせに対を成して位置する4つの処理ステーションを構成するように一体成形される。本例では、一つのアルミニウム片を切削加工して貫通路534a及び534bを形成し、それらの中にキャリアを移送するトラックが設置される。図に示すように、貫通路534a及び534bが切削されるとき、隔壁540が残され、チャンバ本体は隔壁540を中心に対称的な2つの部分に分離される。また、各面を貫通して、スパッタリング源を設置するためにそれぞれ1対の穴が切削される。本例では、穴544a及び544bの対が穴544c及び544dの対に対向して切削される。更に、電動車輪508の設置を可能にするためにアクセス穴538が切削される。必要に応じ、真空ポンプへのアクセスを提供するために穴537も切削され、真空弁のための穴539も切削される。同様に、チャンバ付属品及び/又は支持部の取付け点又は部分を与えるために他のネジ付き穴又はネジなし穴を切削してもよい。
【0033】
図9は本明細書に記載するシステムのいずれにも使用できる基板キャリア905の別の例を示す。キャリア905はキャリア105とは、車輪を持たない点で相違する。代わりに、牽引及び移送用の磁気及び電動車輪を含む全ての車輪はシステムの様々なロードロック及びチャンバの内部に設けられる。この実施形態では、システムはトラックを持たないで、各チャンバの基部がキャリア905を垂直に維持し移送する電動車輪及びアイドル車輪を有する(まとめて車輪108というが、
図9には一部の車輪しか示されておらず、「・・・」は車輪の配列が通路全長に亘って続くことを示している点に注意されたい)。キャリアの基部909は車輪と係合し、処理及び移送中キャリアを垂直に維持する。この構成はキャリアを極めて薄くすることができるため、ロードロックチャンバを極めて急速に排気することができるとともに、真空弁のゲートブレードの行程が極めて短くなるために真空弁を極めて高速に開閉することができる。基板は空間903内に接点906によって保持され、これらの接点のうち2つは固定であり、2つはクリップ927により可動である(
図9には1つのクリップのみが見える)。クリップ927が図に円弧状矢印で示すように動かされると、ピンが引っ込み、基板の設置が可能になる。次にクリップは開放され、接点906が基板にばねで押し付けられる。また、図に破線で示すように、電動車輪の代わりにリニアモータを使用する場合には、一連の永久磁石901を基部909に配列し、チャンバの基部に設置されたリニアモータコイル(図示せず)と連動して推進力を発生させてもよい。同様の構成は本明細書に記載する他のキャリアに対して使用することもできる。
【0034】
図10A及び10Bは、
図5及び
図6に示されるようなシステムの動作中のスナップ写真の一例を示す。図に示すように、いくつかのキャリアがシステム内で連続的に動作している。キャリア105aが回転ステーション171内に示され、このキャリアは、アンロードステーション172bにおいてこのキャリアから基板が除去された後に(
図10B)、直ちにロードステーション172aに移動することができる。この時点において、キャリア105bがロードステーション172aにあり、既に基板が搭載され、直ちに加熱ステーション173aに移動することができる。加熱ステーション173aでは、キャリア105c上の基板が規定の温度に到達しており、このキャリアはこのチャンバを出発し、キャリア105dに追いつくために高速移送速度に加速しようとしている。本例では間に開口通路を有する2つのスパッタリングチャンバである、処理チャンバ174a及び175aでは、3つのキャリア105d−fが処理速度で次々に移動しており、それらの基板がスパッタリング源からスパッタされた材料で堆積される。図に示すように、このスナップ写真は、キャリア105gがチャンバ175a内の処理を完了し、回転チャンバ176内へ急送された直後に取られたものである。そこから、キャリア105gは
図10Bに示すシステムの反対側を反対方向に移送されるように置かれ、このときキャリア105aが今存在する位置になる。
【0035】
図10Bに示すように、キャリア105h−jはチャンバ174b及び175bのスパッタリング源の前方を処理速度で次々移動している。キャリア105kはアニールステーション103bで静止するとともに、キャリア105lはアンロードステーション172bで静止し、ここで基板がキャリアから除去される。そこから、このキャリアは回転ステーション171内のキャリア105aで示す位置を取る。
【0036】
明らかなように、スパッタリング源115a−dの前方の空間は常に基板で占められるため、スパッタリング源115a−115dは連続的に動作し、よって十分に利用される。他方、加熱及びアニール処理は静的モードで実行することができ、よってこれらのチャンバの大きさ及び構成を単純化することができる。静的処理チャンバとパスバイ処理チャンバの混合を可能にするために、2つの移送速度、即ち高速移送速度とパスバイ処理速度を使用する。本例では、これは、少なくとも3つの動作モード(即ち停止、処理速度及び処理速度より速い高速移送速度)で動作し得る電動車輪を用いて達成される。本例では、各移送車輪を各モードで独立に動作させることができるが、車輪はそれらの位置に応じて群別に動作可能にしてもよい。例えば、スパッタリングチャンバの中心部の車輪は決して高速移送速度で動作しないで、パスバイ処理速度でのみ動作する。同様に、スパッタリングチャンバの入口及び出口に近い車輪は決してパスバイ処理速度で動作しないで、高速移送速度でのみ動作する。
【0037】
また、パスバイ処理チャンバは、入口側のデッドスペース181が、基板の前縁から処理を開始できるようにキャリアを入力することを可能にするとともに、出力側のデッドスペース182が、回転チャンバ内へ加速される前に基板の後縁まで完全に処理できるようにキャリアを退出させることを可能にするような大きさにする。入口側のデッドスペース181は入力するキャリアを加速し、基板の前縁が処理領域に入る前に先行キャリアに追いつくための空間も提供する。従って、デッドスペース181は処理チャンバの移送セクションと呼ぶこともできるが、チャンバの残部は処理セクションと呼ぶことができる。正しい寸法比で描かれていないが、
図10に例示されるデッドスペース181は、キャリア105dの基板の後縁がスパッタリング源124の前縁191に到達する前に、キャリア105cを加速しキャリア105dに追いつくような大きさになっている。従って、本例では、移送セクションは基板の幅より広くされる。このようにすると、先行基板の全表面のスパッタリング処理が完了する前に新しいキャリアをパスバイ処理チャンバ内に収容することができる。
【0038】
図11は、開示のシステムのいずれにも使用し得るロード及びアンロード機構の一例を示す。
図11の例は
図6のB−B線上の断面として示されている。
図11は、ロードチャンバ1103に結合されたロードロックチャンバ1101及びアンロードチャンバ1123に結合されたロードロックチャンバ1111を示す。これらのチャンバは真空ポンプ1107により排気される。代わりに、以下に更に説明するように、チャンバ1101及び1111はそれらの対応するロード及びアンロードチャンバ1103及び1123と同じ真空環境で維持して、チャンバ1101及び1103間及びチャンバ1111及び1123間にゲートを設ける必要がないようにしてもよい。即ち、チャンバ1101及び1103間及びチャンバ1111及び1123間にフリー通路を設けてもよい。このような構成は
図12−15の実施形態に関して十分に説明される。
【0039】
カセット1120がレール1121上を走行して新しい基板を処理システムに持っていき、システムから処理済み基板を持ち去る。カセット1120aはロード位置にあり、ここでリフタ1113が新しい基板の1つをロードロック1101内へと垂直に持ち上げる。ロードロック1101内では、トランスレータ(平行移動装置)1109がリフタ1113から基板を除去し、それを水平方向に移動し、キャリア1105aにロードする。隔壁1140の反対側では、トランスレータ1108がキャリア1105bから基板を除去し、それをリフタ1114に渡す。リフタ1114は基板をカセット1120b内へ降下する。
【0040】
明らかなように、基板の大きさ及びトランスレータ機構の大きさのために、ロードロックチャンバ1101及び1111はかなり大きくなり得るため、新たな基板を導入する度にポンプで真空にするのに長時間を要し得る。これは特に、基板がトランスレータにより垂直向きで水平方向に移動される場合である。これが問題となる場合には、それを種々の方法で克服することができる。例えば、ポンピングを開始する前にいくつかの基板をロードロック内にロードすることによって、トランスレータチャンバ内に別のバッチを導入する必要が生じる前に、いくつかのキャリアをトランスレータにより次々にロードすることができるようにする。これは実行可能な解決策であるが、トランスレータ機構の構造を複雑にするとともに、トランスレータチャンバを真空環境にポンプで減圧する必要があるため、依然としてキャリアをロードできない期間を必要とする。別の解決策が
図12に示されている。
【0041】
図12は、基板がトランスレータ機構にロードされる前に基板を真空内にロードすることを実行する実施形態の概略図である。
図12において、
図11に示す要素と同等の要素は同等の参照番号で特定されている。
図12に示されるように、チャンバ1201及び1211は、それぞれのロード及びアンロードチャンバ1103及び1123に開口した、ゲートのない開口部を持ち、それぞれのチャンバと大気の共有を可能にするとともに、これらのチャンバ間での基板の自由な通過を可能にする。従って、本質的には、これらのチャンバはロードロックとして作用せず、この意味で大気環境と真空環境との間で循環されない。従って、本質的には、これらのチャンバはそれぞれロードチャンバ及びアンロードチャンバ1103及び1123を単に延長したものであり、トランスレータチャンバと称することもできる。
【0042】
トランスレータチャンバ1201はその床面に取り付けられたローディングロードロック1203を有する。ローディングロードロック1203は大気と介接する下部真空弁1207及びトランスレータチャンバ1201と介接する上部真空弁1209を有する。ローディングロードロック1203は基本的には矩形断面のチューブであり、基本的には基板自体よりわずかだけ大きい、極めて小さな内部容積を有するものとして作られるため、それはポンプ1205によって容易に急速に排気することができる。即ち、ローディングロードロック1203の内部は基板と同じ形状を有し、わずかだけ大きいものとして作られる。トランスレータチャンバ1201は真空ポンプ1107によって一定の真空に維持される。また、1つのポンプだけでトランスレータチャンバ1201及びローディングロードロック1203を排気することができるように適切な弁付き配管を使用してもよい。
【0043】
弁1207が開かれ、弁1209が閉じられると、リフタ1113が基板をロードロック1203内にロードする。次に弁1207が閉じられ、ポンプ1205がロードロックチャンバ1203を排気する。排気が完了すると、弁1209が開かれ、基板はトランスレータ1109にロードされる。これは弁1207内を自由に滑動するリフタ1113の上部によって可能である。アンロードのためには逆のプロセスが実行される。即ち、両弁1208及び1210が閉じられると、ポンプ1206がアンローディングロードロック1204を排気する。次に弁1208は閉じたまま、弁1210が開かれ、基板がトランスレータ1108から取り外され、ロードロック1204内にロードされる。次に弁1210が閉じられ、弁1208が開かれ、基板がロードロック1204から取り出され、カセット1120bにロードされる。
【0044】
図13は、基板リフタとロードロック弁の組み合わせ機構の概略図である。
図13に示す実施形態は
図12に例示するシステムに使用し得る。
図13において、リフタ素子134の筐体として作用する本体131はモータ135により垂直方向に移動し得る。リフトブレードのようなリフタ素子134は本体131の内部に自由に滑動し、モータ136により垂直方向に移動される。この実施形態では、モータ135及び136を備える垂直運動機構は本体131及びリフタ素子134に垂直運動を与えるため、それらは互いに独立に移動される。シール133を有するシール板132が本体131の上端部に固定される。シール板132は、例えば
図12の相補シール板、例えば
図12の弁1207、と係合するよう構成され、それとともに真空封止を構成する。
【0045】
動作中、本体131及びリフタ素子134が両方ともそれらの低位置に位置する初期位置において、基板がリフタ素子の先端部、例えばリフトブレード134の上に載置される。本体131及びリフタ素子134が両方とも、基板がロードロック、例えば
図12のロードロック1203、内に完全に入り且つシール板132がロードロックの相補シール板と係合して真空封止を形成する位置まで上昇される。それからロードロックにおいて真空化がなされる。真空状態に到達すると、弁1209が開かれ、リフタ素子134が本体131内を自由に滑動して更に上昇され、基板をトランスレータの到達範囲内に位置させるため、トランスレータが基板と係合可能になる。次にリフタ素子134は下降し、弁1209の閉鎖を可能にする。弁1209が閉鎖されると、ロードロックは大気圧に戻すことができ、本体131及びリフタ素子134は別の基板を受け取る初期位置へ下降される。
【0046】
図12から明らかなように、リフタは基板を垂直に保持して垂直方向に移動させるように構成され、トランスレータは基板を垂直に保持して水平方向に移動させるように構成されている。キャリアも基板を垂直に保持するように構成されている。従って、基板は一旦カセットから離れると、システム内に移送され処理され、カセットに戻されるまでの間中垂直向きになる。カセット内では、以下で更に説明されるように、基板は垂直向き又は水平向きに置くことができる。
【0047】
図14はシステムの別の例を示し、この例は基板ローディングのスループットの向上をもたらす。このシステムは、
図12に示すシステムに類似し、
図12と同等の要素は同等の参照番号で示されている。
図14の実施形態は、ロード側に2つのロードロックを含み、アンロード側に2つのロードロックを含むことによって、
図11及び12の実施形態より高速の基板ローディングが可能である。ロード側では、第1のロードロック1203及び第2のロードロック1403は、
図13に示す組合せ弁−基板ローディング機構を用いて、
図12について説明したように構成することができる。即ち、組合せ弁−基板ローディング機構1113はロードロック1203と連動するとともに、組合せ弁−基板ローディング機構1413はロードロック1403と連動する。動作中、一方の側で、例えばロードロック1203が真空レベルにポンピングされているとき、他方の側では、例えばローディング機構1413が上昇して新たな基板をロードロック1403にロードすることができる。次に、ロードロック1403が真空ポンピング動作を開始すると、ロードロック1203内の基板はトランスレータ1109まで上昇し、次いで別の基板の再ロードに備えて大気圧レベルにポンプアップされる。同様の動作がアンロード側でも実行され、組合せ弁−基板ローディング機構1114がロードロック1204と連動し、組合せ弁−基板ローディング機構1414がロードロック1404と連動する。
【0048】
図11−14の実施形態では、基板はカセットから直接リフトブレードによりリフトされるものとして示されている。しかしながら、このような構成は必ずしも有効ではない。例えば、いくつかの製造設備では、カセットは一般に、基板をカセット内に水平向きに置くように構成されている。このような設備では、リフトブレードは垂直向きの基板と係合するように設計されているため、カセットから基板を持ち上げることはできない。更に、一部のシステムでは、カセットを移送するトラックが処理システムのロードチャンバと整列しないため、基板を簡単に垂直方向に持ち上げてロードチャンバに入れることはできない。
【0049】
図15は基板をカセットにロード及びアンロードするシステムの概略図であり、このシステムでは基板はカセット内に水平向きに維持され、カセットを移送するトラックは遠くにあり、ロード及びアンロードチャンバと整列していない。従って、
図15の例は前段落で強調された2つの問題に対する解決策を提供する。
図15の実施形態は
図14のシステムに実装されるものとして示され、
図14のC−C線上の断面図として示されている。他の図中の要素と同等の
図15中の要素は同じ参照番号で示されている。
図15において、カセット1120a,1120b等のためのトラック1121はシステムのローディングセクションの下方ではなく前方に位置している。例えば、トラック1121は回転可能チャンバ529及びトランスレータチャンバ1201及び1211の前方に示されている。回転チャンバ529及びトランスレータチャンバ1201及び1211は切断線C−Cの上方に位置するので破線で示されている点に注意されたい。
【0050】
ロボットアーム1550及び1555は、両方向矢印及び回転矢印で示されるように、伸縮可能であるとともに回転可能である。各基板をシステムにロードするために、ロボットアーム1550は伸張してカセット1120aから基板を取り出す。ロボットアームは次にリフタ1113又は1413の一つと整列する位置まで後退し、リフタがその縁で基板と係合し基板をロボットアームから除去できるように回転する。このようにして、ロボットアーム1550は基板を両リフタ1113及び1413にロードすることができる。同様に、システムから基板をアンロードするためには、ロボットアーム1555は、リフタ1114又は1414から基板をロボットアーム1555の上にロードできるように後退し且つ回転した位置を取る。基板がロボットアーム1555の上にロードされると、ロボットアームは伸張し且つ回転して基板をカセット1120bの上に置くことができる。
【0051】
図15のシステムでは、基板は片面のみが処理される。カセット1120a内の基板が予め決められた背面及び前面を有する場合には、適正な表面を処理ソースに向けて位置させることが重要である。例えば、スパッタリング層が各基板の適正表面(前面又は後面)に堆積される様に基板を置くことが重要である。これは、基板をカセット内に交互の向きに置く、例えば上向き、下向き、上向き、下向き等のように置くことで行うことができ、これによりロボットが基板をリフタ1113及び1413上に順に置けば、それらの基板がトランスレータチャンバ1201上にロードされるとき、それらの基板がすべて同じ方向に向くようになる。即ち、ロボットは、基板をリフタ1413の上に置くために一方向に、例えば時計方向に回転するが、基板をリフタ1113の上に置くとき、反対方向、例えば反時計方向に回転する。
【0052】
他方、カセットは工場内の他のシステムの間を移送されるため及び殆どの通常の機械はカセット内の基板が全て同じ方向を向いていることを期待するため、基板がカセット内ですべて同じ方向を向いている場合でも、基板を正しくロードするシステムが有効である。これを達成するために、一実施形態によれば、ロボットアームは常に同一方向、例えば時計方向に回転させられる。しかしながら、ロボットアームは基板と下から及び上から交互に係合する。例えば、カセット1120aから第1の基板をロードするために、ロボットアーム1550は第1の基板と下から係合し、後退し、90度時計方向に回転し、第1の基板をリフタ1413の上にロードする。次にロボットアーム1550は更に90度時計方向に回転し、伸張し、第2の基板と上から係合する。ロボットアームは次に後退し、更に90度時計方向に回転し、第2の基板をリフタ1113の上にロードする。次にロボットアームは更に90度回転し、伸張し、第3の基板と下から係合し、以下同様である。このように、ロボットアームは常に同じ方向に回転するが、そして基板はカセット内に同じ方向に向けて配置されるが、これらの基板はトランスレータチャンバ1201に導入されるとき、同様に同じ方向に向くことになる。
【0053】
図15の吹き出しは、ロボットアームの回転及び2つのリフタ1114及び1414による基板の昇降をより良く示す、ロボットアーム1555の正面図を提供する。ロボットアーム1555はクリップ1552で基板1105をつかみ、保持し、カセットから取り出す。ロボットアーム1555は次に軸1553を中心に90度回転するため、破線で示すように、基板1105はリフタ1414と整列する。基板1105がリフタ1414により持ち上げられた後、ロボットアーム1555は伸張し、更に90度回転し、カセットから別の基板を取り出すが、このときは前基板とは反対の方向から取り出す。即ち、ロボットアームが第1の基板を、そのクリップを基板の上から係合させてつかむ場合、ロボットアームは第2の基板を、そのクリップを基板に下から係合させてつかむ。ロボットアームは次に後退し、90度回転するため、基板はリフタ1114と整列する。
【0054】
図16はシステムのモジュール化を強調表示する別の実施形態の概略図である。この実施形態では、4つの汎用要素を提供し、これらの要素は種々のシステムを生成するために必要に応じ混合し、適合させることができる。
図16のシステムの汎用要素は、キャリア移送モジュール1600、基板ロード/アンロードモジュール1605、静的処理モジュール1610及びパスバイ処理モジュール1615である。これらの4つのモジュールはビルディングブロックであり、これらのビルディングブロックの任意の1つ以上を任意の組み合わせで使用することで様々なシステム構造を構築することができる。ビルディングブロックの各々は自己の真空設備を有し、任意の他のビルディングブロックに直接接続可能であり、1つのモジュールが相手モジュールの開口部に嵌合する真空弁を提供する。更に、モジュールは回転対称(重心記号と湾曲矢印で示されている)に構成されている。即ち、ロード/アンロード、静的処理及びパスバイ処理モジュールの各々は180度回転でき、相手チャンバに同じ位置で接続することができる。キャリア移送モジュールも回転対称に構成される。但し、このモジュールが180度回転すると、このモジュールはシステムの反対側に接続することになる。更に、ロード/アンロード、静的処理及びパスバイ処理モジュールの各々は背中合わせに配置された2つの同一の真空チャンバを有し、第1の側がロードモジュールから出発する第1の処理通路を構成し、第2の側がアンロードモジュールで終了する第2の処理通路を構成する。
【0055】
この例では、キャリア移送モジュール1600は、他の実施形態について説明された、回転可能な又は直線的に移動可能なキャリアシート517を有することができる。
図16では、キャリア移送モジュール1600はシステムの左側に置く向きで示されている。別のキャリア移送モジュール1600を180度回転した向きで使用し、システムの右側に置くことができる。キャリア移送モジュール1600は自己の真空ポンプ設備を有し、片側の移送路に真空弁1602を有し、反対側の移送路に開口部1603を有する。他のモジュール1605,1610及び1615の各側に同様の真空弁1602及び開口部1603が配置される。明らかなように、各弁1602は相手モジュールの開口部1603と結合するように構成されている。
【0056】
上述したように、ロード/アンロードモジュール1605は対称であるため、いずれの側もロード側とすることができるが、反対側がアンロード側になる。基板ローダ1631は
図12の実施形態のリフタ1113と同様に構成できるが、ローディングは
図12に示すように下から行うことができ(この場合には
図16は「折り返し」図である)、また
図16に示すように横から行うことができる。この実施形態では、ロード側及びアンロード側の各々は2つのローダ1631を有する。
図12の実施形態と同様に、ローダは開口部1207及び1208を封止するとともに真空弁1209及び1210で動作するように構成される。ロード/アンロードモジュール1605の各側の開口部1603及び真空弁1602は他の任意のモジュールと結合できるため、ロード/アンロードモジュール1605はシステム内の任意の位置に設置することができる。
【0057】
静的処理モジュール1610は、例えば加熱、冷却、静的堆積、静的エッチング等に使用できる。モジュール1610の両側は同一であるが、各側に異なる静的処理装置を設置することができる。例えば、静的処理装置1622はヒータとし得るが、静的処理装置1624は基板を冷却するヒートシンクとし得る。しかしながら、処理モジュール1610は、任意の処理側に任意の処理装置を組み込むことができるように、またいつでも他の処理装置と置換できるように構成されている。
【0058】
パスバイ処理モジュール1615は
図7に示すパスバイ処理チャンバ504と同様の構造を有する。このモジュールの各真空チャンバは
図10A及び10Bに示されるものと同様のデッドスペース181を有する。パスバイ処理モジュール1615に組み込まれる処理のタイプ及び処理装置の数に応じて、デッドスペース181を設けることもできる。各真空チャンバは1以上の処理装置の組み込みに備えている。例えば、2つのマグネトロン1615が一方のチャンバに設けられ、2つのマグネトロン1616が他方のチャンバに設けられる。マグネトロン1616及び1615のすべては同じ材料を基板に堆積してもよく、またマグネトロン1615は一つの種類の材料を堆積するが、マグネトロン1616は異なる種類の材料を堆積してもよい。更に、マグネトロン1615の各々は異なる材料を堆積するが、マグネトロン1616の各々はマグネトロン1615のミラー配置で異なる種類の材料を堆積してもよい。各真空チャンバに設けるマグネトロンの数は所望の処理に応じて選択できることもちろんである。
【0059】
上記の実施形態の説明において、キャリアはパスバイ処理チャンバ内を一方向に連続的に移動するものと仮定したが、他の構成も実装可能である。例えば、1つのキャリアがデッドゾーン内で静止している間に、パスバイ処理チャンバの処理側内のキャリアを処理装置の前方で前後に振動させてもよい。マグネトロンの前方でのキャリアの前後の振動は基板上への均一な層の堆積を助ける。更に、パスバイ処理チャンバの処理ゾーンで処理された基板を有するキャリアは特定の処理のための所定の期間の間静止した状態に保持できる。
【0060】
開示の実施形態を具体的に説明したが、本発明の原理を包含する他の実施形態も可能である。更に、種々の動作を特定の順序で記載しているが、その順序は一例にすぎない。種々の動作は任意の特定の実装にあたり本発明の特徴に準拠しながら再配列すること、変更すること又は除去することができる。
【0061】
すべての方向指示(例えば上、下、上向き、下向き、左、右、左方向、右方向、上部、底部、上方、下方等)は本発明の実施形態の理解を助けるために識別目的にのみ使用され、特に請求の範囲で明記されない限り、位置及び方向又は本発明の使用について何ら限定するものではない。結合指示(例えば装着、結合、接続等)は広く解釈されるべきであり、結合された要素間の中間部材及び要素間の関係する動きを含んでもよい。また、結合指示は、必ずしも2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にすることを意味しない。
【0062】
いくつかの例において、構成要素は、特定の特性を有する及び/又は他の部分に接続される「端部」に関連して記載されている。しかし、本発明は、他の部分との接続点を超えた直後に終端する構成要素に限定されないことは当業者に理解されよう。従って、用語「端部」は広義に解釈すべきで、特定の要素、リンク、構成要素、部材などの終端に隣接する領域、その後方、前方又は近くの領域を含むものとする。以上の記載の含まれる又は添付図面に示されるすべての事項は単なる例示であって、限定することを意図していない。本発明の細部又は構造は添付の請求の範囲に記載された本発明の精神から逸脱することなく変更が可能である。
【0063】
本明細書で使用され且つ添付の請求の範囲で使用される構成要素の単数表現は、文脈上そうでないという明確な指示がない限り、複数の存在を含むことに注意しなければならない。
【0064】
本開示を読むと当業者に明らかなように、本明細書に記載され示された個々の実施形態の各々は個別の構成要素及び特徴を有し、それらの特徴は、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、他の任意の実施形態の特徴から又はこれらの特徴と容易に分離又は組み合わせることができる。