(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205377
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】接触角度測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 13/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
G01N13/02
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-11279(P2015-11279)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2015-138035(P2015-138035A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】14152563.4
(32)【優先日】2014年1月24日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515022630
【氏名又は名称】クルス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンタク・ハフツング、ヴィッセンシャフトリヒェ・ラボーアゲレーテ
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ・ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ベーザー・フローリアーン
(72)【発明者】
【氏名】シャイトハウザー・カルシュテン
【審査官】
山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−230886(JP,A)
【文献】
特開昭54−126095(JP,A)
【文献】
特開2013−192544(JP,A)
【文献】
特開昭62−182665(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0024529(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 13/00 − 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体のサンプル本体(7)の表面(6)と当該表面(6)に配置されるサンプル液のうちの少なくとも1つの液滴(8)との間の接触角を測定する接触角測定装置であって、前記装置は、
少なくとも1つの液体を保存する液体貯蔵装置(35)と、
前記液体貯蔵装置(35)と連通し、前記液体貯蔵装置(35)に保存されている液体の液滴(8)をサンプル本体(7)の表面(6)に塗布する少なくとも1つの液滴投与装置(30)と、
前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)によって塗布され、前記表面(6)に配置されている各液滴(8)を前記少なくとも1つの液滴(8)の第1の側から照明する照明装置(20)と、
前記表面(6)と、前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)によって塗布され、第1の側との反対側の前記液滴(8)の第2の側から横に見て前記表面(6)に配置される各液滴(8)との間の少なくとも1つの移行領域の画像を記録する画像記録装置(10)と、を備え、
前記液滴投与装置(30)のそれぞれが、出口(32)および当該液体ライン(31)を通る液体を選択的に遮断し流すことが可能なバルブ(38)を含み、前記液体貯蔵装置(35)に保存されている液体を当該出口(32)にむかって、かつ出口(32)から前記表面(6)に案内する液体ライン(31)を備え、
前記接触角測定装置がさらに、
前記液体貯蔵装置(35)からの液体を加圧する液体加圧システム(37)と、
前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)の前記バルブ(38)および前記液体加圧システム(37)に接続されており、前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)のそれぞれに対して、それぞれの前記バルブ(38)を開閉し、それぞれの液体の液滴(8)をそれぞれの前記液体ライン(31)から前記表面(6)まで加圧液体の噴流で塗布する制御装置(39)とを備え、
前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)のそれぞれに対して、噴流が、45μl/s以下の流量となる連続流として液体を表面(6)に塗布するよう前記制御装置(39)および前記バルブ(38)を構成した接触角測定装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)のそれぞれに対して、接触角が90度の液滴を塗布する場合、当該液滴(8)の直径に対する前記噴流の直径の比率が0.2以下になるように、前記液体ライン(31)および前記バルブ(38)が構成されている、請求項1に記載の接触角測定装置。
【請求項3】
前記制御装置(39)が、前記少なくとも液滴投与装置(30)のそれぞれに対して、それぞれの前記バルブ(38)が開口している時間間隔、それぞれの前記バルブ(38)の開度、および/または前記液体加圧システム(37)によって前記それぞれの液体に付与される圧力を調整することによって液滴容量を調整するよう構成した請求項1または2に記載の接触角測定装置。
【請求項4】
前記液体加圧システム(37)は、圧縮ガスシステム(37)を備え、
前記圧縮ガスシステム(37)は、圧力ガスを規定の圧力で供給する加圧ガスの発生源(41〜49)を備え、
前記加圧ガスを使用して、前記液体貯蔵装置(35)からの液体を加圧するよう構成した請求項1から3のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項5】
前記加圧ガスの発生源(41〜49)は、
ガスを加圧するポンプ(42)と、
前記ポンプによって(42)に加圧された前記ガスの圧力を調節する圧力調整器(39)と、
前記圧力調整器(39)に接続されており、当該圧力調整器(39)によって調節された前記加圧ガスの圧力を検出し、対応する検出信号を前記圧力調整器(39)に送信して当該検出した圧力を求めることが可能になるよう構成した圧力センサ(46)と、
前記圧力調整器(39)に接続されており、加圧ガスを選択的に逃がす、圧力リリーフ弁(44)と、を備え、
規定圧力の前記加圧ガスを供給するために、前記圧力調整器(39)が、前記ポンプおよび前記圧力リリーフ弁(44)を制御して、前記圧力センサ(46)によって検出される圧力および当該規定圧力に基づいて、自動的に前記加圧ガスの圧力を調整するよう構成した請求項4に記載の接触角測定装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)のそれぞれが、前記画像記録装置(10)の視野および/または照明装置によって照明される領域に液体の前記液滴(8)を塗布するように配置されている請求項1から5のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)、前記照明装置(20)、および前記画像記録装置(10)が移動式測定ヘッドに一体化されている請求項1から6のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項8】
前記画像記録装置(10)が、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサを備えた請求項1から7のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項9】
前記画像記録装置(10)によって記録される画像に存在する任意の前記液滴(8)の輪郭を認識し、前記認識された輪郭からこれらの液滴(8)のそれぞれに対して接触角を測定する処理装置(40)をさらに備えた請求項1から8のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項10】
前記2台の液滴投与装置(30)を備え、2つの液滴(8)が互いに隣り合わせで前記表面(6)に塗布可能に当該液滴投与装置(30)の出口(32)を配置して構成した請求項1から9のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項11】
前記液体貯蔵装置(35)が2つの異なる液体を保存する2つの液体貯蔵器(36)を備え、前記2つの液滴投与装置(30)のそれぞれの液体ライン(31)が、2つの液体貯蔵器(36)のうちの異なる1つに連通している請求項10に記載の接触角測定装置。
【請求項12】
前記2台の液滴投与装置(30)が、同時にまたは連続的に2つの液滴(8)を前記表面(6)に互いに隣り合わせで塗布するように、前記制御装置(39)が前記2台の液滴投与装置(30)の前記バルブ(38)を制御するよう構成した請求項10または11に記載の接触角測定装置。
【請求項13】
前記画像記録装置(10)が、前記2つの液滴(8)の画像を同時に記録するよう構成した請求項10から12のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項14】
オペレータにより作動し、前記制御装置(39)に接続されている起動手段(50)をさらに備え、
前記制御装置(39)は、前記起動手段(50)の作動を検出し、起動を検出すると、前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)を自動制御して液体のそれぞれの液滴(8)を前記表面(6)に塗布し、前記照明装置(20)を自動制御して前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)によって塗布された各液滴(8)を照明し、前記画像記録装置(10)を自動制御して前記照明装置(20)によって照明された前記各液滴(8)の画像を記録するよう構成した請求項1から13のいずれかに記載の接触角測定装置。
【請求項15】
前記起動手段(50)の起動を検出すると、2つの液滴(8)が互いに隣り合わせで前記表面(6)に塗布されるように、前記制御装置(39)が前記2つの液滴投与装置(30)のそれぞれを自動制御するよう構成した請求項14に記載の接触角測定装置。
【請求項16】
固体のサンプル本体(7)の表面(6)と前記表面(6)に配置されるサンプル液のうちの少なくとも1つの液滴(8)との間の接触角を接触角測定装置で測定する方法であって、前記装置は、
液体貯蔵装置(35)と、
前記液体貯蔵装置(35)と連通し、液体ライン(31)を備える少なくとも1つの液滴投与装置(30)であって、前記液体ライン(31)は、出口(32)および前記液体ライン(31)を通る液体を選択的に遮断し流すことのできるバルブ(38)を含み、当該液体ライン(31)は、前記液体貯蔵装置(35)に保存されている液体を出口(32)にむかって、かつ出口(32)から前記表面(6)に案内し、
照明装置(20)と、
画像記録装置(10)と、
液体加圧システム(37)と、
前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)の前記バルブ(38)および前記液体加圧システム(37)に接続されている制御装置(39)とを備え、
前記方法は、
前記液体貯蔵装置(35)に少なくとも1つの液体を保存し、
前記液体加圧システム(37)を用いて前記液体貯蔵装置(35)からの液体に加圧し、
前記制御装置(39)を用いてそれぞれの前記バルブ(38)を開閉することによって、前記少なくとも1つの液滴投与装置(30)を用いて、前記液体貯蔵装置(35)に保存されている少なくとも1つの液体の液滴(8)を前記サンプル本体(7)の前記表面に流量が45μl/s以下となる連続流として前記液体を前記表面(6)に噴流で塗布し、
前記表面(6)に配置されている前記液滴(8)を、前記液滴(8)の第1の側から前記照明装置(20)で照明し、
前記表面(6)と、前記第1の側との反対側の前記液滴(8)の第2の側から横に見て前記表面(6)に配置される各液滴(8)との間の少なくとも1つの移行領域の画像を記録する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、サンプル本体の表面と当該表面に配置されるサンプル液のうちの少なくとも1つの液滴との間の接触角を測定する接触角測定装置に関する。この装置は、少なくとも1つの液体を保存する液体貯蔵装置を含み、液体貯蔵装置と連通し、液体貯蔵装置に保存されている液体の液滴をサンプル本体の表面に塗布する少なくとも1つの液滴投与装置と、少なくとも1つの液滴投与装置によって塗布され、表面に配置されている各液滴を少なくとも1つの液滴の第1の側から光を照らす照明装置と、表面と、少なくとも1つの液滴投与装置によって塗布され、第1の側との反対側の液滴の第2の側から横に見た表面に配置される各液滴との間の少なくとも移行領域の画像を記録する画像記録装置とを備える。
【0002】
固体の表面にある液体の湿潤性は、多くの技術分野、例えば工業製品分野において非常に重要である。例えば、コーティング、塗装、洗浄、印刷、疎水性コーティングまたは親水性コーティング、接合(ボンディング)、散布などの処理は、湿潤性によって決定的に左右される。
【0003】
とりわけ、特定の1対の固体および液体に関して、湿潤性は、固体の界面自由エネルギおよび液体の表面張力によって決定される。固体の表面に液体を塗布することに続いて、これらのパラメータも液体の表面が固体の表面に接触する位置で、液体の表面と固体の表面間の角度を決定するという事実に鑑みて、このいわゆる接触角の測定値は、湿潤性の測度として使用可能である。これに基づいて、周知の特性(特に知られている表面張力)を有し「センサ」としての役割を果たす1つ以上の液体の液滴を関心表面に塗布し、対応する接触角を測定することによって、固体本体の表面をそれらの湿潤特性に関して特徴づける方法が知られている。偏光度(degree of polarity)の異なる2つ以上の異なる液体を使用する場合、測定済の異なる液体の液滴の接触角から界面自由エネルギを導き出すことも可能である。
【0004】
独国特許第DE197 54 765 C1号は、これらのタイプの方法を実施するのに適した接触角測定装置を開示している。接触角測定装置は、液体の液滴を固体サンプル本体の表面で計量する注射器タイプの液滴投与装置と、第1の側から液滴に光を照らす照明装置と、第1の側と反対の第2の側から液滴の影像を記録するカメラとを含む。さらに、画像処理装置が設けられている。この画像処理装置は、カメラによって記録される画像にある液液滴の輪郭および固体の表面を認識し、その後、認識された輪郭および表面に基づいて接触角を測定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第DE197 54 765 C1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば独国特許第DE197 54 765 C1号にて使用される注射器タイプの液滴投与装置は、液滴が塗布される表面の近くまで移動し、液滴投与装置のニードルの先端に位置する液滴をニードルから表面まで移すことによって作動する。これには、異なる位置に配置される表面に対して、ニードルを異なる位置まで移動させなければならず、ニードルの先端が、液滴する表面に接触させないように注意しなければならない問題点がある。さらに、ニードルの先端から表面に液滴を移すことは、複雑な処理である。したがって、液滴の投与処理全体が比較的遅くなる。
【0007】
さらに、界面自由エネルギが測定される場合、異なる液体の2つ以上の液滴が同じ液滴投与装置を使用して次々に表面に塗布されるか、2つ以上の注射器タイプの液滴投与装置が隣り合わせに設けられ、異なる液体を保存するか、あるいは、例えば液体を液滴投与装置のピストン室に手動で注入するなどの異なる方法で異なる液体を備える液体貯蔵器に接続されていなければならない。第1のオプションが測定処理の速度さえさらに減少するという問題点を有する一方、液体の互いの汚染を避ける必要性のために、第2のオプションでは、注射器タイプの液滴投与装置がかさばることを考慮しなければならない。したがって、従来のカメラを使用する場合に、液滴を互いに十分に近くに配置して、単一の画像にそれらを記録することを可能にするのは困難である。
【0008】
本発明の目的は、装置を安全に使用しやすくして測定速度を速めることができ、上述の問題点を解決する接触角測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、請求項1による接触角測定装置によって達成される。装置の有利な実施形態は、それぞれの従属請求項の主題である。
【0010】
接触角測定装置は、固体サンプル本体の表面と表面に配置されている1つ以上のサンプル液の液滴との接触角を測定するのに適している。2つ以上の液滴の場合、これらは同時に隣り合わせに表面に配置される液滴であってもよく、表面に異なる時点で配置される液滴であってもよいが、接触角は、関心の各液滴に対して測定される。
【0011】
この装置は、1つ、または2つ以上の液体を保存する液体貯蔵装置を備える。液体貯蔵装置は、少なくとも1つの液体貯蔵器を有する。2つ以上の液体を使用する場合、液体貯蔵装置は、対応する数の個別の液体貯蔵器を含むのが好ましく、それぞれは液体のうちの異なる1つを保存する。作動中、サンプル本体の表面上に液滴を形成するのに使用される液体は、液体貯蔵装置に、より詳細には、液体貯蔵装置の液体貯蔵器に保存される。
【0012】
この装置は、1つまたは2つ以上の液滴投与装置も含む。この液滴投与装置は、液体貯蔵装置と連通しており、より詳細には、液体貯蔵装置の少なくとも1つの液体貯蔵器と連通している。これらの液滴投与装置のそれぞれは、液体貯蔵装置に保存されている液体の液滴をサンプル本体の表面に塗布する。この処理は、液滴を計量することによって行われ、規定の液滴容量を有するように有利に行われてもよい。2つ以上の液滴投与装置が設けられている場合、例えば表面特性の変化を測定するために、液滴投与装置が同じ液体を表面上の異なる位置に塗布するように液体貯蔵装置に連結されていてもよい。しかし、さらに詳しく後述するように、2つ以上の液滴投与装置が、異なる液体を保存する液体貯蔵装置の異なる液体貯蔵器に連結されているのが好ましい。さらに、この装置は、照明装置および画像記録装置を含む。照明装置は、液滴投与装置によって塗布され表面に配置されている任意の液滴をそれぞれの液滴の第1の側から照明する。画像記録装置は、横から見て第1の側の反対側の液滴の第2の側から、この任意の液滴の画像または表面とこの任意の液滴との間の少なくとも移行領域の画像を記録する。したがって、照明装置と画像記録装置との相対的な配列は、液滴の画像がバックライト付の照明装置に記録されて液滴の影像を得るようになっている。留意されたいのは、個別の画像が上述の液滴のそれぞれに対して記録されてもよいし、単一の画像が上述の複数の液滴またはすべての液滴に対して記録されてもよいということである。
【0013】
液滴投与装置のそれぞれは、液体ラインまたは導管を備える。液体ラインまたは導管は、カニューレまたはニードルおよび/または管を含んでもよく、液体ラインを通る液体を選択的に遮断し流すことのできる出口およびバルブを含む。出口は、例えば、ノズルによって、または、バルブの一部分によって提供されてもよい。液体ラインは、液体貯蔵装置に保存されている液体を出口にむかって、かつ出口から表面に案内する。したがって、液体ラインは、液体貯蔵装置の一部分を形成する少なくとも1つの関連する液体貯蔵器に直接的または間接的に連通している。
【0014】
接触角測定装置は、液体加圧システムをさらに備える。ここでは、液滴投与装置は、液体をそれらのそれぞれの出口から表面に送ることに依存しており、液体加圧システムは、液体貯蔵装置からの液体を加圧するのに適している。液体加圧システムは、圧縮ガスシステムを好ましくは含んでいてもよいし、あるいは圧縮ガスシステムであってもよい。圧縮ガスシステムは、加圧ガスを規定の圧力で供給する加圧ガスの発生源を含む。この種の加圧ガスシステムは、加圧ガスを使用して、液体貯蔵装置からの液体または液体貯蔵装置に保存されている液体を加圧する。この点において、液体貯蔵装置に含まれる任意の液体貯蔵器の内側空間の一部分が、液体を保持し、培地分離手段によって上記の第1の部分から分離している内側空間の別の部分が、加圧ガスを供給する圧力貯蔵器としての役割をしてもよい。加圧ガスの分布として、このガスシステムは、加圧空気マニホルドを含むことが好ましい。このガスは、好ましくは空気であってもよい。その場合、加圧ガスシステムは、空気システムである。
【0015】
さらに、接触角測定装置は、液滴投与装置のそれぞれのバルブおよび液体加圧システムに接続されている制御装置を備える。制御装置は、液体加圧システムの動作、特に液体が加えられた圧力を制御し、好ましく自動制御し、かつ、液滴投与装置のそれぞれに対して、それぞれのバルブを開閉して、規定の液滴容量に成し得るそれぞれの液体の液滴を、それぞれの液体ラインの出口から表面まで加圧液体の噴流で塗布する。この噴流は、例えば圧縮ガスシステムからの圧力を掛けられたガスによって、液体加圧システムによって提供される圧力によって駆動するが、好ましくは連続的な流れである。しかし、問題の液体の特性および流れのパラメータに応じて、原則として複数の液滴を含んでもよいか、あるいは複数の液滴からなっていてもよい。
【0016】
制御装置は、有利には、マイクロコントローラなどの電子構成部品であってもよく、装置の残りの構成要素のいくつかまたはすべてを備えた一般的なハウジングに一体化されてもよい。しかし、例えば、適切にプログラムされたコンピュータまたはPCなど個別のコンピュータとして、制御装置を設けることも可能である。このコンピュータは、装置の残りに接続されており、装置の他の構成要素を備えた一般的なハウジングに一体化されていない。
【0017】
いずれの場合においても、流量が45μl/s以下で、好ましくは約40μl/s以下で、より好ましくは約35μl/s以下で、さらに好ましくは約30μl/s以下で、最も好ましくは25μl/sまたは約25μl/sで、噴流が液体を表面に塗布するように、液滴投与装置のそれぞれ対して、制御装置およびバルブが設けられている。しかしながら、流量は、25μl/s以下であってもよい。さらに、流量が少なくとも0.05μl/s、好ましくは少なくとも0.1μl/s、より好ましくは少なくとも0.15μl/s、さらに好ましくは少なくとも0.2μl/s、最も好ましくは少なくとも0.25μl/sである場合が、好ましい。いずれの場合においても、例えば、バルブの開度および/または液体加圧システムによって与えられる圧力(例えば、圧縮ガスシステムによって供給される圧力ガスの規定圧力)を制御し調整することによって、流量を制御装置によって制御可能である。上述の流量は、精密測定が可能な程度に十分に少ないことが分かっている。
【0018】
上述の構成によって、表面に液滴を塗布するのに、ニードルを表面の近くまで移動させてニードルの先端から表面に液滴を移す必要はない。それよりも、液滴を形成する液体を液滴投与装置の出口から排出し、かつ、出口と表面との間の比較的大きな空間にわたって移動させることができる。この点において、上述の流量状態を満たす液体の噴流が液滴を塗布する場合、驚くべきことにわかったこととは、それにもかかわらず、それぞれの時点で運動エネルギを十分に低く維持して、平衡状態にある接触角を示す液滴を再現可能に形成することができるために、表面に移された液体の全運動エネルギを十分に長い期間を通じて分布させることが有利にも可能であることである。好都合にも、このような液滴の計量は、ニードルを表面の近くまで移動させるときに表面またはニードルに損害を与えないように注意する必要がなく、液滴がニードルの先端に付着し、異なる表面位置に対してニードルの移送位置を調整するといった問題がなくなる。全体として、従来技術の装置と比較して、かなり高速に液滴を形成することができる。さらに、さらなる手段なしで、異なる粘性の液体を利用することも容易に可能となる。特に、高粘性の液体が使用可能であり、単にこれらが加えられる圧力の増加が必要となるだけである。また、従来技術の装置と比較すると、本発明の装置は、比較的汚染の影響を受けず、洗浄するのが比較的簡単である。例えば、ノズルおよびバルブは、超音波洗浄装置で洗浄可能である。
【0019】
有利な実施形態では、装置全体が移動式装置として構成されてもよい。装置の構成に適した構成要素を選択することも容易に可能である。この構成要素の寸法は十分に小さい。しかしながら、問題の塗布によっては、装置全体または装置の少なくとも一部分が、固定的に、すなわち非移動式に構成されてもよい。
【0020】
留意されたいのは、この装置が平面および湾曲した表面の両方に使用可能であることである。ここでは、装置の構成が、上述ように液滴の影像を記録できなければならない許容最大曲率を決定する。この装置は、支持物を含んでいてもよい。この支持物によって、測定が行われる表面で装置が支えられることのでき、かつ/または、装置が表面の上で吊り下げることができる。当然、適した外部の保持手段によって、この装置が表面より上または表面上で上述のその測定位置に保持されることもまた可能である。この種の支持物または保持手段は、異なる形状の表面に適合できるように調整可能に構成されてもよい。さらに、あるいは代替として、照明装置および/または画像記録装置が、このように適合性を可能にするために調整可能な位置を有するよう構成されてもよい。
【0021】
好ましい実施形態では、液滴投与装置のそれぞれに対して、接触角が90度の液滴(すなわち「半分液滴」)を塗布する場合、液滴の直径に対する噴流の直径の比率は、0.2以下、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.1以下、最も好ましくは0.06または約0.06であるように、液体ラインおよびバルブがように構成されている。さらに、比率が少なくとも0.01である場合、すなわち、比率が0.01から0.2、好ましくは0.01から0.15、最も好ましくは、0.01から0.1の範囲内にある場合が、好ましい。この点において、驚くべきことにわかったこととは、上述の直径の状態を満たす液体の薄い噴流が液滴を塗布する場合、それにもかかわらず、それぞれの瞬間で運動エネルギを低く維持して平衡状態にある接触角を示す液滴を再現可能に形成するために、長い期間にわたり
表面に移される液体の総運動エネルギの分布をさらに向上させることが有利にも可能であることである。要するに、このような液滴の計量は、細いニードルでの計量に相当する。
【0022】
好ましい実施形態では、制御装置は、液滴投与装置のそれぞれに対して、それぞれのバルブが開口している時間間隔、それぞれのバルブの開度、および/または液体加圧システムによって与えられる圧力(圧縮気体システムによって与えられる加圧気体の規定圧力)を調整することによって、液滴容量を調整する。
【0023】
好ましい実施形態では、液体加圧システムは圧縮ガスシステムを含むか、圧縮ガスシステムであり、加圧ガスの発生源は、ポンプ、圧力調整器、圧力センサ、および圧力リリーフ弁を備える。ポンプは、ガスを加圧する。圧力調整器は、個別の分離構成部品として設けられていてもよいが、好ましくは、圧力調整器が制御装置によって実現される。すなわち、制御装置は、適したハードウェア部品および/またはこの機能を実行するのに適しているソフトウェア部品を含むことによって、圧力調整器として操作可能である。いずれの場合においても、圧力調整器は、ポンプによって加圧されたガスの圧力を調節する。圧力センサは圧力調整器に接続されており(すなわち、圧力調整器が制御装置によって実現される場合、圧力センサは制御装置に接続されており)、圧力調整器によって調節された加圧ガスの圧力を検出する。留意されたいのは、さらに、あるいは代替として、圧力センサは、液体貯蔵装置からの液体、あるいは液体貯蔵装置に保存されている液体であって、加圧ガスによって加圧される液体の圧力を検出することもまた可能なことである。いずれの場合においても、圧力センサは、対応する検出信号を制御装置に送信して、制御装置が検出された圧力を測定することができるように操作可能である。圧力リリーフ弁は、圧力調整器に接続されており(すなわち、圧力調整器が制御装置によって実現される場合には、圧力リリーフ弁は制御装置に接続されており)、圧力調整器による調節によってカバーされている加圧ガスの発生源の一部分から加圧気体を選択的に逃がす。規定圧力の加圧気体を供給するために、圧力調整器は、ポンプおよび圧力リリーフ弁を制御して、少なくとも1つのセンサによって検出される圧力および規定圧力に基づいて、自動的に加圧気体の圧力を調整する。
【0024】
好ましい実施形態では、液滴投与装置のそれぞれが、画像記録装置の視野および/または照明装置によって照明される領域に液体の液滴を塗布するように配置されている。したがって、画像記録装置、サンプル本体、および/または照明装置は、液滴を塗布した後で移動する必要はなく、それによって、塗布後の液滴の画像を記録するのに必要な時間が低減する。
【0025】
この実施形態では、一般的でもあるが、液滴投与装置、照明装置、および画像記録装置が移動式測定ヘッドに一体化されているのが好ましい。この構成によって、特にコンパクトで使いやすい構成がもたらされ、この構成は、従来技術より公知の注射器タイプの液滴投与装置よりもかさばらない液滴投与装置の特定の構造によって可能となる。
【0026】
画像記録装置は、カメラ、あるいは、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサなどの光電性センサを含む装置であってもよい。したがって、画像記録装置は、例えば、CCDカメラまたはCMOSカメラであってもよい。
【0027】
好ましい実施形態では、接触角測定装置が、処理装置をさらに備える。処理装置は、画像記録装置の一部分に接続されるかまたは画像記録装置の一部分を形成し、画像記録装置によって記録される画像に存在する任意の液滴の輪郭を認識し、認識された輪郭からこれらの液滴のそれぞれに対して接触角を測定する。この輪郭の認識は、例えば、画像のグレースケール分析に基づいていてもよく、ついで輪郭を測定するために、液滴の形状を表す幾何学モデルを画像に合わせてもよい。
【0028】
好ましい実施形態において、接触角測定装置は、液滴投与装置のうちの2つを含む。ここでは、2つの液滴投与装置の出口は、2つの液滴が互いに隣り合わせで、例えば液滴の中心間の距離が約6mmで、表面に塗布されることができるように配置されている。この液滴の直径は、4mm以下が好ましく、接触角が90度になるように塗布される場合には、2mmが好ましい。この実施形態では、さらに好ましいのは、液体貯蔵装置が2つの異なる液体を保存する2つの液体貯蔵器を含む場合であり、2つの液滴投与装置のそれぞれの液体ラインは、2つの液体貯蔵器のうちの異なる1つに連通しており、それによって、表面自由エネルギを高速に測定することができる。代替として、あるいはさらに、2つの液滴投与装置が同時に2つの液滴を表面に互いに隣り合わせで塗布するように、制御装置が2つの液滴投与装置のバルブを制御する場合もまた好ましい。いずれの場合においても、画像記録装置が2つの液滴の画像を同時に記録するのが好ましく、それによって、全測定時間が低減する。
【0029】
好ましい実施形態では、接触角測定装置は、オペレータにより作動し、制御装置に接続されているボタンまたはスイッチなどの起動手段をさらに備える。制御装置は、起動手段の作動を検出し、起動を検出すると、液滴投与装置を自動制御して液体のそれぞれの液滴を表面に塗布し、照明装置を自動制御して各液滴を照明し、画像記録装置を自動制御して照明装置によって照明される各液滴の画像を記録する。したがって、装置の使用を大幅に簡略化する「ワンクリック・ソリューション」がもたらされる。この場合、この装置は、輪郭を認識し接触角を測定する上述の構成を有する処理装置を含み、ワンクリック・ソリューションは、有利には、液滴のそれぞれに対して接触角を測定する制御装置によって処理装置を自動制御することも含む。したがって、オペレータは、表面より上の適した位置に接触角測定装置を移動させ、起動手段を作動させるだけでよい。その後、所望の測定結果が得られるまで、装置は独立して作動している。さらに、2つの液滴投与装置を利用する上述の構成の場合において、起動手段の起動を検出すると、2つの液滴が互いに隣り合わせで表面に塗布されるように、制御装置が2つの液滴投与装置のそれぞれを自動制御する場合が好ましい。
【0030】
以下、表示装置の例示的な実施形態を、図面を参照しつつより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態による、接触角測定装置の概略側面断面図である。
【
図2】
図1の接触角測定装置で使用される2つの液滴投与装置の概略ブロック図である。
【
図3】
図2の液滴投与装置のうちの1つによる液滴の形成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に概略側断面で示される接触角測定装置4が、固体サンプル本体7の表面6より上に測定位置に近接して示されている。この表面6は好ましくは水平方向に向いている。液滴8が表面6に配置されていることがわかる。接触角測定装置4は、液滴8の輪郭の接線とサンプル本体7の表面6との間の角度を、輪郭と表面6が接触する位置で、すなわち表面6および輪郭に共通な位置で測定するよう操作可能である。
図1の説明では、接線は、図の紙面に延びている。液滴8の輪郭を接線に正確に合わせるために、液滴8または少なくとも液滴8とサンプル本体7の表面6との間の移行領域を側面で撮像する必要があり、このことは、
図1の場合では、液滴8を右側から見ることによって実行される。
【0033】
この目的のために、装置4は、ハウジング5内にカメラ10を含む。カメラ10の光軸AAが、サンプル本体7の表面6に対して垂直に延びる。しかし、撮像光線経路を適切に適合させる場合、光軸AAと表面6との間の角度を90度とは異なる下記度にすることも可能である。カメラ10はレンズ12を含む。このレンズ12は好ましくは自動で焦点を合わせることが可能である。
【0034】
ハウジング5の底面から突出しているのは、全反射プリズム14である。全反射プリズム14は、カメラ10の撮像用光路のための偏向手段としての役割を果たす。このプリズム14は、側面から見て表面6に平行またはほぼ平行であるカメラ10によって液滴8の画像を記録することが可能である。全反射がプリズム14の側面16で生じている。
【0035】
この装置4はさらに、照明装置20を備える。照明装置20は、液滴8の他方の側にカメラ10に対向して配置されている。この照光装置20は、照明ユニット21およびばね懸垂装置23を含む。ばね懸垂装置23は、ハウジング5内部に取付けられており、照明ユニット21が、ハウジング5の面から突出するかまたは突出してもよく、かつ作動中に、すなわち
図1に示される測定位置で伸縮して表面6を押圧することができるように、照光ユニット21を支える。このばね懸垂装置23は、1つ以上の板ばね(図示せず)を好ましくは含んでいてもよい。この板ばねは、照明ユニット21を光軸AAに対して平行に案内しながら移動させることができるように配置されている。換言すると、板ばねは、光軸AAに対して垂直方向な移動に実質的に高抵抗をもたらす。この抵抗はこの方向に対して平行な方向の移動にもたらされるものよりも高い。
【0036】
図示されている有利な実施形態では、照明ユニット21は、光源22および光拡散器24を含み、光源22によって照射される光が光拡散器24を通過するように配置されている。照明ユニット21は、
図1に示されている測定位置において、光拡散器24がプリズム14(および液滴8)と光源22との間に配置されているように取り付けられて向けられている。プリズム14と同じように、装置4の測定状態では、照明ユニット21は、サンプル本体7の表面6の近く配置され、表面6に沿ってあるいは略表面6に沿って側面から液滴8を光で照明するように操作可能である。この光は光源22によって照射され、均質化のために光拡散器24によって拡散される。
図1の概略図では、液滴8が左側から照射されるので、バックライト付の照明装置がカメラ10用に作られ、液滴8の影像がカメラ10によって記録可能であり、液滴8の輪郭を測定することができる。
【0037】
光源22は、好ましくは、1次元アレイまたは2次元のアレイの発光素子を含む。この発光素子は、2次元の光照射野を生成するので、カメラ10が光照射野の反対側の液滴8の側から液滴8および光照射野を検査する。光照射野を問題の液滴8に合わせるために、この発光素子は、光照射野幅と、おそらくは高さを調整するよう選択的にスイッチを切り替えることができる。この光拡散器24は、有利には、個々の発光素子用の個別の拡散器部分を含むよう構成されていてもよい。この拡散器部分は、各拡散器部分が関連した発光素子のみから、ほとんどあるいは少なくとも大部分の光を受信し拡散するように分離されている。発光素子は、好ましくは、例えば単色の発光ダイオードおよび白色の発光ダイオードからなる群から選択可能な発光ダイオードである。特に、発光ダイオードは、有機発光ダイオード(OLED)であってもよい。これらのサイズは小さいために、OLEDは、「高分解能」である光照射野を生成するのが好ましい場合に有利となり得るので、寸法を極めて小さな段階で変更可能であり、光拡散器は不要である。
【0038】
液滴8をサンプル本体7の表面6に塗布するために、装置4は、さらに2つの液滴投与装置30を含み、そのうち1つのみが
図1において視認可能である(他の液滴投与装置30は、
図1で可視の液滴投与装置30の後ろ、すなわち、図面の紙面後ろに置かれており、
図2では見られる。したがって、他の液滴投与装置30によって形成される液滴8は、
図1において可視の液滴8から間隔を置いて後者の液滴8の後ろに配置されている)。液滴投与装置30のそれぞれが、管、ニードルまたはカニューレ31、およびノズル32を含む。ノズル32は、表面6から間隔を置いて配置されるように、すなわちノズル32がプリズム14および照明ユニット21の両方よりもハウジング5の底面から突出しないように、ハウジング5の底面にある開口部33から表面6に向かって下方に突出する。ノズル32は出口を供給し、この出口から管またはニードル31の中に移された液体が排出されて液滴8を形成する。
【0039】
ノズル32と反対側にある管またはニードル31の端部34で、管または針31が液体貯蔵装置35に接続されている。液体貯蔵装置35は、異なる極性を持つ2つの異なる液体が保存されている2つの液体貯蔵器36を含む。2つの液滴投与装置30の各管またはニードル31は、2つの液体貯蔵器36のうちの異なる1つと連通しているので、液滴投与装置30は異なる液体の液滴8を形成する。
【0040】
さらに、装置4はハウジング5内に、空気システム37を含む。空気システム37は、液体貯蔵器36に保存されている液体を加圧して、加圧下で管または針31を通して、あるいはノズル32の出口から液体噴流で表面6上に液体を押圧して、液滴8を形成するために、液体貯蔵装置35および液滴投与装置30に規定圧力で加圧空気を与えるよう操作可能である。
【0041】
液滴投与装置30のそれぞれの管または針31は、バルブ38によってノズル32の近くで通常は遮断される。バルブ38は、バルブ38の開閉を制御する制御装置39に連結される。したがって、液滴8を表面6に塗布するために、制御装置39は、バルブ38を規定期間開口し、ついで再び閉止するように制御する。この期間中、加圧空気によって加圧されたそれぞれの液体貯蔵器36からの液体は、それぞれのノズル32の出口から圧力によって押圧される。それによって、液滴8が形成される。このことは、規定または事実上規定の容量を得るには有利となり得る。代替実施形態では、それぞれの液滴投与装置30のノズル32およびバルブ38は、単一の構成部品として、すなわち一体化したバルブを有するノズルとして設けられてもよい。
【0042】
制御装置39は、照明装置20、液体貯蔵装置35、これらの構成要素を制御するため空気システム37、およびカメラ10に操作可能な状態で接続されている処理装置40にもそれぞれ接続されている。処理装置40は、順番にカメラ10の動作を制御し、カメラ10によって記録される画像を受信しておよび分析するよう操作可能である。
【0043】
図示した実施形態では、制御装置39および処理装置40の両方が、ハウジング5内に配置されるように示されている。例えば、制御装置39は、マイクロコントローラとして設けられていてもよい。しかし、制御装置39および/または処理装置40は、ハウジング5の外側に個別の分離装置として、例えば適切にプログラムされたコンピュータまたはPCとして設けられることもまた可能である。
【0044】
図2の概略ブロック図は、空気システム37、液体貯蔵装置35および2つの液滴投与装置30をより詳細に示している。
【0045】
図2で分かるように、空気システム37が、空気吸気口41と、空気吸気口41を介して受ける空気を加圧するポンプ42と、2つのバルブ43および44と、加圧空気の圧力を検出するように配置され操作可能な圧力センサ46と、スロットルバルブ47と、圧力レリーフ出口48と、液体貯蔵装置35と連通し、液体貯蔵器36に加圧空気を供給する出口49と含む。この制御装置39は、とりわけ、圧力調整器として機能し、加圧空気の圧力を調節するよう操作可能である。スロットルバルブ47および圧力レリーフ出口48を通して圧力を逃がすために加圧空気の圧力を大きな値に調整することによって、ポンプ42を適切に調整することができ、加圧空気の圧力を低い値に調整することによって、バルブ44を適切に開口することができる。ここでは、スロットルバルブ47は、最大の流量を制限する。この目的のために、制御装置39によって実現される圧力調整器がセンサ46からのセンサシグナルを受信し、かつ、出口49で圧力を規定圧力に調整するために、検出された圧力に基づいてバルブ44およびポンプ42(およびおそらくバルブ43もまた)の動作を制御することができるように、センサ46、バルブ44およびポンプ42(およびおそらくもバルブ43もまた)は、制御装置39に接続されている。ポンプ42のスイッチを切るときの不必要な圧力液滴を回避するために、バルブ43が設けられている。
【0046】
図2がさらに示しているのは、加圧空気が、出口49を通って2つの液体貯蔵器36のそれぞれの空気貯蔵器部分36aに供給され、空気貯蔵器部分36aはそれぞれ、液体貯蔵器部分36cから分離しており、ここでは、気体液体分離器36bによって、液体が実際に保存されることである。このように、液体貯蔵器部分36cにおいて保存されている液体は、加圧空気によって圧力を掛けられ、それによって、バルブ38を開口すると、液体を液体貯蔵器部分36cから、管または針31を通してのノズル32の出口から送り出す。
【0047】
接触角および界面自由エネルギを2つの液滴8で測定するために、オペレータは、
図1で示した位置においてサンプル本体7の表面6より上に装置4を配置し、ハウジング5に取り付けられ、制御装置39に接続されているボタン50を押圧する。制御装置39は、ボタン50の押圧を検出し、ついで自動制御シーケンスを起動する。ここでは、圧力センサ46によって検出される圧力を検査することによる加圧空気の圧力の制御または調整と、上述の方法で圧力調整器を作動させることに続いて、噴流の液体を表面6に塗布して互いに隣り合わせに2つの液滴8を形成し、ついで再びバルブ38を閉止するために、バルブ38を規定の期間たとえば同時に開口させる。ついで、照明装置20が
図1の左側から液滴8を照明するように制御され、処理装置40を介して、または、代わりに制御装置39を介してカメラ10が作動し、
図1の右手側から見た両方の液滴8の影像を記録する。処理装置40がこの画像を受信し、両方の液滴8の輪郭を分析し、その後、各液滴8の接触角を測定する。さらに、処理装置40は、2つの接触角から界面自由エネルギを測定してもよい。したがって、ボタン50を単に押圧することによって、極めて簡単な方法で自動的に測定が行われる
【0048】
重要なことに、各液滴投与装置30に対して、噴流51の液体の流量が45μl/s以下で、好ましくは約40μl/s以下で、より好ましくは約35μl/s以下で、さらにより好ましくは約30μl/s以下で、最も好ましくは25μl/sまたは約25μl/sで、表面に塗布されるように、制御装置39が加圧空気の規定圧力および/またはバルブ38の開度を調整する。
【0049】
さらに、各液滴投与装置30に対して、ノズル32で出口から抜け出す液体の噴流の直径が、形成される液滴8の直径によって決まる特定の値を超えないように、ノズル32が好ましくは構成されている。
図3は、カメラ10で見た液滴8の形成中の表面6上の液滴8を概略的に示す。ほとんどの表面が多少の反射特性を有するので、液滴8の反射8’が図に見られる。また、先端部32から生じる液体の噴流51が描かれている。理解できるように、噴流51の直径Djは、液滴8の直径Ddよりもかなり小さく、接触角が90度の液滴8では、比率Dj/Ddが好ましくは0.2以下である。さまざまな液滴のサイズが可能な場合、ノズル32は、制御装置39の制御下で、噴流の直径を変えるために、ノズル32が可変の流れ断面で開口されることができるように構成されてもよい。したがって、調整可能なノズル32を設けることができる。
【0050】
空気システムの代わりに、装置4が通常、二酸化炭素などの空気とは異なるガスを使用する圧縮ガスシステムを含んでいてもよい。この種の圧縮ガスシステムは、空気システムと同様に構成され作動し、唯一の違いは、空気以外のガスが使用されることである。記載されている装置4を変更する必要はない。
【符号の説明】
【0051】
5: ハウジング
6: サンプル本体の表面
7: サンプル本体
8: 液滴
10: カメラ
14: プリズム
20: 照明装置
30: 液滴投与装置
31: カニューレ
32: ノズル
35: 液体貯蔵装置
37: 空気システム
38: バルブ
39: 制御装置
40: 処理装置
42: ポンプ
43: バルブ
44: バルブ
46: 圧力センサ