【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
歩行者が所持する移動体端末装置であって、
前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位部と、
前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定部と、
前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出部と、
前記進入したことが検出されたとき、前記測位部の測位を停止する第1の停止制御部と、
前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位部の測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定部と、
前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位部の測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測部と、
前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位部の測位を起動する第1の起動制御部と、
を備える、移動体端末装置。
【0006】
このように規定される第1の局面の移動体端末装置によれば、探索された案内経路中において、移動体端末装置が施設に進入したことが検出されたとき測位部の測位を停止させる。そして、この進入した施設の出口に関する情報と、案内経路の目的地とに基づいて測位部の測位を起動させる起動地点を特定する。さらに、この起動地点から目的地までの経路と、設定された到着希望時刻とに基づいて、起動地点において測位部を起動させる起動時刻を予測し、該予測された時刻に基づき測位部の測位を起動させる。このような装置によれば、移動体端末装置が進入した施設内では、測位を停止させるとともに、該施設を退出すると予測される時刻、すなわち、測位部を起動させるべき時刻に基づいて測位部を起動させる。このように、施設を退出した後には測位部を起動させるため、その後の経路案内には影響を及ぼさない。このため、ユーザの利便性を損なうことなく、移動体端末装置の電力消費の低減に資することができる。また、施設退出後の案内を前もって行うために、第1の起動制御部は、予測された起動時刻の所定時間前(例えば、1分前)に測位部を起動させることとしても良い。このようなタイミングで停止した測位を起動させれば、ユーザが施設内に滞在している間は電力温存に努め、施設を退出したとき、次の案内を行うことができるため、ユーザの利便性を確保しつつ省電力が可能となるからである。
【0007】
ここで、施設としては、ショッピングモール等の複合商業施設、多目的施設、飲食店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM、地下街や地下道等の地下構造物などの施設が挙げられる。そして、進入検出部は、このような施設の位置情報等を含む施設情報保存部と案内経路とを照らして自動的に特定された施設の領域内に、移動体端末装置の位置情報が位置したことをもって、移動体端末装置が該施設に進入したと検出することができる。また、ユーザが立ち寄りを予定している施設がある場合等には、予めユーザが該施設を入力することにより、該施設の位置情報と、移動体端末装置の位置情報とに基づいて、上記と同様、移動体端末装置が該施設に進入したと検出することとしても良い。
【0008】
進入検出部は、移動体端末装置が進入した施設が、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM等、施設内での滞在時間が短いと推定される施設である場合には、該検出をキャンセルしても良い。施設内の滞在時間が短い場合には、測位を停止させることによる電力消費の低減への貢献度が低く、また、このような場合にも、続く処理を行えば、逆に電力を消費してしまう可能性があるからである。上記滞在時間が短いと推定される施設は、コンビニエンスストア等の施設の属性に基づいて判断しても良いし、施設情報保存部に施設の平均滞在時間等の情報が含まれている場合には該情報に基づいて判断することとしても良い。
【0009】
起動時刻予測部は、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測することとしても良い(第3の局面)。移動体端末装置が進入した施設、すなわち、該移動体端末装置を所持する歩行者が立ち寄った施設における滞在時間を更に考慮することにより、歩行者の行動に即した起動時刻を予測することができる。
施設に関する情報としては、施設の標準的な滞在時間や、滞在時間が推測可能な施設の属性等が挙げられる。これらの情報は、例えば、施設情報保存部に保存されている。施設の標準的な滞在時間は、該施設ごとに入力されたものであっても良いし、該施設のホームページ等に掲載された情報に基づくものであっても良い、該施設を利用したユーザの滞在時間に関する情報に基づくものであっても良い。また、滞在時間が推測可能な施設の属性としては、ショッピングモール等の複合商業施設、多目的施設、飲食店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM、地下街や地下道等の地下構造物等が挙げられる。これらの属性に予め標準的な滞在時間を関連付けておいたり、これらの属性を予め滞在時間の長い施設と滞在時間の短い施設に仕分けておいたりすることによって、施設の属性に基づいて滞在時間を推測することができる。
【0010】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の移動体端末装置において、前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定部は、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定部と、
前記特定された到達予定時刻に、前記測位部の測位を起動する第2の起動制御部と、
前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位部の測位が可能であるか否かを判定する測位判定部と、
前記判定の結果、前記測位部が測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御部と、を備え、
前記第1の起動制御部は、前記判定の結果、前記測位部が測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする。
【0011】
このように規定される第2の局面の移動体端末装置によれば、案内経路中に地下街が含まれる場合や、案内経路に代替して地下街を歩行する場合において、該地下街内での測位部の測位を停止することができる。すなわち、移動体端末装置が進入したと検出された地下街に繋がる出口のうち、案内経路上に位置する出口を、測位部を起動させる起動地点と特定する。そして、測位を停止した時刻と、該起動地点と、移動体端末装置を所持する歩行者の歩行速度とに基づいて、起動地点に到達する到達予定時刻を特定し、該特定された到達予定時刻に測位を起動する。到達予定時刻に測位を起動しても、歩行者が未だ地下街に滞在していることがある。このため、測位を起動したものの測位不能と判定された場合には、再度測位を停止する。一方、測位可能と判定された場合には、上記第1の起動制御部における測位の起動をキャンセルする。このような装置によれば、起動地点において測位を起動後、測位不能の場合に再度測位を停止することができるため、更に電力消費の低減を図ることができる。再度測位を停止した後は、所定間隔で測位部を起動させ、測位可能であるか否かの判断等を繰り返し行うこととすれば良い。
【0012】
上記歩行者の歩行速度は、該歩行者の平均速度、最高速度、最低速度のいずれかを用いることができる。いずれの歩行速度を用いるかは、歩行者が選択できるようになっていても良い。また、上記と同様に、地下街退出後の案内を前もって行うために、第2の起動制御部についても、特定された到達予定時刻の所定時間前(例えば、1分前)に測位部を起動させることとしても良い。このようなタイミングで停止した測位を起動させれば、ユーザが施設内に滞在している間は電力温存に努め、施設を退出したとき、次の案内を行うことができるため、ユーザの利便性を確保しつつ省電力が可能となるからである。
【0013】
また、この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
歩行者が所持する移動体端末装置の制御方法であり、コンピュータの機能として実現される制御方法であって、
測位部が、前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位ステップと、
経路探索部が、前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
時刻設定部が、前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定ステップと、
進入検出部が、前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出ステップと、
第1の停止制御部が、前記進入したことが検出されたとき、前記測位ステップにおける測位を停止する第1の停止制御ステップと、
起動地点特定部が、前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定ステップと、
起動時刻予測部が、前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測ステップと、
第1の起動制御部が、前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動する第1の起動制御ステップと、
を備える、移動体端末装置の制御方法。
このように規定される第4の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0014】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第4の局面に規定の制御方法において、前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定ステップでは、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
到達時刻特定部が、前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定ステップと、
第2の起動制御部が、前記特定された到達予定時刻に、前記測位ステップにおいて測位を起動する第2の起動制御ステップと、
測位判定部が、前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位ステップにおいて測位が可能であるか否かを判定する測位判定ステップと、
第2の停止制御部が、前記判定の結果、前記測位ステップにおいて測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御ステップと、を備え、
前記第1の起動制御ステップでは、前記判定の結果、前記測位ステップにおいて測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする。
このように規定される第5の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第4の局面に規定の制御方法において、前記起動時刻予測ステップでは、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測する。
このように規定される第6の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
更に、この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
歩行者が所持する移動体端末装置の制御プログラムであって、コンピュータを、
前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位手段と、
前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定手段と、
前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出手段と、
前記進入したことが検出されたとき、前記測位手段の測位を停止する第1の停止制御手段と、
前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位手段の測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定手段と、
前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位手段の測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測手段と、
前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位手段の測位を起動する第1の起動制御手段、
として機能させる移動体端末装置の制御プログラム。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の制御プログラムにおいて、前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定手段は、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
前記コンピュータを、更に、
前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定手段と、
前記特定された到達予定時刻に、前記測位部の測位を起動する第2の起動制御手段と、
前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位手段の測位が可能であるか否かを判定する測位判定手段と、
前記判定の結果、前記測位手段が測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御手段、として機能させ、
前記第1の起動制御手段は、前記判定の結果、前記測位手段が測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の制御プログラムにおいて、前記起動時刻予測手段は、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
第7〜第9のいずれかの局面に規定される制御プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体が第10の局面として規定される。