特許第6205382号(P6205382)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6205382移動体端末装置、移動体端末装置の制御方法、移動体端末装置の制御プログラム及び移動体端末装の制御プログラムを記録した記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205382
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】移動体端末装置、移動体端末装置の制御方法、移動体端末装置の制御プログラム及び移動体端末装の制御プログラムを記録した記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20170914BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20170914BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
   G01C21/26 P
   G08G1/005
   G09B29/10 A
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-57597(P2015-57597)
(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公開番号】特開2016-176831(P2016-176831A)
(43)【公開日】2016年10月6日
【審査請求日】2016年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100188411
【弁理士】
【氏名又は名称】阪下 典子
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 大路
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−038775(JP,A)
【文献】 特開2006−166421(JP,A)
【文献】 特開平10−293038(JP,A)
【文献】 特開2009−128117(JP,A)
【文献】 特開2010−038712(JP,A)
【文献】 特開2004−003877(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0278054(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0198498(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/005
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が所持する移動体端末装置であって、
前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位部と、
前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記目的地の到着希望時刻を設定する到着希望時刻設定部と、
前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出部と、
前記進入したことが検出されたとき、前記測位部の測位を停止する第1の停止制御部と、
前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位部の測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定部と、
前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位部の測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測部と、
前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位部の測位を起動する第1の起動制御部と、
を備える、移動体端末装置。
【請求項2】
前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定部は、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定部と、
前記特定された到達予定時刻に、前記測位部の測位を起動する第2の起動制御部と、
前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位部の測位が可能であるか否かを判定する測位判定部と、
前記判定の結果、前記測位部が測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御部と、を備え、
前記第1の起動制御部は、前記判定の結果、前記測位部が測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする、
請求項1に記載の移動体端末装置。
【請求項3】
前記起動時刻予測部は、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測する、
請求項1に記載の移動体端末装置。
【請求項4】
歩行者が所持する移動体端末装置の制御方法であり、コンピュータの機能として実現される制御方法であって、
測位部が、前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位ステップと、
経路探索部が、前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
時刻設定部が、前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定ステップと、
進入検出部が、前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出ステップと、
第1の停止制御部が、前記進入したことが検出されたとき、前記測位ステップにおける測位を停止する第1の停止制御ステップと、
起動地点特定部が、前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定ステップと、
起動時刻予測部が、前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測ステップと、
第1の起動制御部が、前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動する第1の起動制御ステップと、
を備える、移動体端末装置の制御方法。
【請求項5】
前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定ステップでは、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
到達時刻特定部が、前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定ステップと、
第2の起動制御部が、前記特定された到達予定時刻に、前記測位ステップにおいて測位を起動する第2の起動制御ステップと、
測位判定部が、前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位ステップにおいて測位が可能であるか否かを判定する測位判定ステップと、
第2の停止制御部が、前記判定の結果、前記測位ステップにおいて測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御ステップと、を備え、
前記第1の起動制御ステップでは、前記判定の結果、前記測位ステップにおいて測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする、
請求項4に記載の移動体端末装置の制御方法。
【請求項6】
前記起動時刻予測ステップでは、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測する、
請求項4に記載の移動体端末装置の制御方法。
【請求項7】
歩行者が所持する移動体端末装置の制御プログラムであって、コンピュータを、
前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位手段と、
前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定手段と、
前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出手段と、
前記進入したことが検出されたとき、前記測位手段の測位を停止する第1の停止制御手段と、
前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位手段の測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定手段と、
前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位手段の測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測手段と、
前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位手段の測位を起動する第1の起動制御手段、
として機能させる移動体端末装置の制御プログラム。
【請求項8】
前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定手段は、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
前記コンピュータを、更に、
前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定手段と、
前記特定された到達予定時刻に、前記測位部の測位を起動する第2の起動制御手段と、
前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位手段の測位が可能であるか否かを判定する測位判定手段と、
前記判定の結果、前記測位手段が測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御手段、として機能させ、
前記第1の起動制御手段は、前記判定の結果、前記測位手段が測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする、
請求項7に記載の移動体端末装置の制御プログラム。
【請求項9】
前記起動時刻予測手段は、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測する、
請求項7に記載の移動体端末装置の制御プログラム。
【請求項10】
請求項7〜請求項9のいずれかに記載の制御プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末装置、移動体端末装置の制御方法、移動体端末装置の制御プログラム及び移動体端末装の制御プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット及び移動体端末装置の普及と相まって、スマートフォン等の移動体端末装置を利用した経路探索が日常的に行われている。そして、移動体端末装置の現在位置を周期的に測位しながら、探索された経路を案内することが一般的である。
一方、移動体端末装置を動作させるための電力は、通常、内蔵電池に依存するため、自ずと使用できる電力が限られる。このため、移動体端末装置の消費電力を低減する技術が種々提案されている。
このような技術として、特許文献1では、場所に関する属性に基づいて位置検出手段が行う位置検出の時間間隔を決定し、該決定された時間間隔で携帯端末の位置を検出する位置情報検出装置が開示されている。
本発明に関連する従来技術を開示する特許文献2又は3も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−166421号公報
【特許文献2】特開2010−191882号公報
【特許文献3】特開2013−253927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ユーザの利便性を損なうことなく、経路案内中に現在位置の測位を行うことによる電力の消費をさらに低減すべく鋭意検討を重ねてきた結果、探索された案内経路中において、移動体端末装置が施設に進入したことが検出されたとき現在位置の測位を停止させ、該進入した施設の出口に関する情報と該案内経路の目的地とに基づいて特定される起動地点から目的地までの経路と、目的地の到着希望時刻とに基づいて、測位を起動させる時刻を予測し、該予測した時刻に現在位置の測位を起動させるよう測位制御することに想到した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
歩行者が所持する移動体端末装置であって、
前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位部と、
前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索部と、
前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定部と、
前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出部と、
前記進入したことが検出されたとき、前記測位部の測位を停止する第1の停止制御部と、
前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位部の測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定部と、
前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位部の測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測部と、
前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位部の測位を起動する第1の起動制御部と、
を備える、移動体端末装置。
【0006】
このように規定される第1の局面の移動体端末装置によれば、探索された案内経路中において、移動体端末装置が施設に進入したことが検出されたとき測位部の測位を停止させる。そして、この進入した施設の出口に関する情報と、案内経路の目的地とに基づいて測位部の測位を起動させる起動地点を特定する。さらに、この起動地点から目的地までの経路と、設定された到着希望時刻とに基づいて、起動地点において測位部を起動させる起動時刻を予測し、該予測された時刻に基づき測位部の測位を起動させる。このような装置によれば、移動体端末装置が進入した施設内では、測位を停止させるとともに、該施設を退出すると予測される時刻、すなわち、測位部を起動させるべき時刻に基づいて測位部を起動させる。このように、施設を退出した後には測位部を起動させるため、その後の経路案内には影響を及ぼさない。このため、ユーザの利便性を損なうことなく、移動体端末装置の電力消費の低減に資することができる。また、施設退出後の案内を前もって行うために、第1の起動制御部は、予測された起動時刻の所定時間前(例えば、1分前)に測位部を起動させることとしても良い。このようなタイミングで停止した測位を起動させれば、ユーザが施設内に滞在している間は電力温存に努め、施設を退出したとき、次の案内を行うことができるため、ユーザの利便性を確保しつつ省電力が可能となるからである。
【0007】
ここで、施設としては、ショッピングモール等の複合商業施設、多目的施設、飲食店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM、地下街や地下道等の地下構造物などの施設が挙げられる。そして、進入検出部は、このような施設の位置情報等を含む施設情報保存部と案内経路とを照らして自動的に特定された施設の領域内に、移動体端末装置の位置情報が位置したことをもって、移動体端末装置が該施設に進入したと検出することができる。また、ユーザが立ち寄りを予定している施設がある場合等には、予めユーザが該施設を入力することにより、該施設の位置情報と、移動体端末装置の位置情報とに基づいて、上記と同様、移動体端末装置が該施設に進入したと検出することとしても良い。
【0008】
進入検出部は、移動体端末装置が進入した施設が、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM等、施設内での滞在時間が短いと推定される施設である場合には、該検出をキャンセルしても良い。施設内の滞在時間が短い場合には、測位を停止させることによる電力消費の低減への貢献度が低く、また、このような場合にも、続く処理を行えば、逆に電力を消費してしまう可能性があるからである。上記滞在時間が短いと推定される施設は、コンビニエンスストア等の施設の属性に基づいて判断しても良いし、施設情報保存部に施設の平均滞在時間等の情報が含まれている場合には該情報に基づいて判断することとしても良い。
【0009】
起動時刻予測部は、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測することとしても良い(第3の局面)。移動体端末装置が進入した施設、すなわち、該移動体端末装置を所持する歩行者が立ち寄った施設における滞在時間を更に考慮することにより、歩行者の行動に即した起動時刻を予測することができる。
施設に関する情報としては、施設の標準的な滞在時間や、滞在時間が推測可能な施設の属性等が挙げられる。これらの情報は、例えば、施設情報保存部に保存されている。施設の標準的な滞在時間は、該施設ごとに入力されたものであっても良いし、該施設のホームページ等に掲載された情報に基づくものであっても良い、該施設を利用したユーザの滞在時間に関する情報に基づくものであっても良い。また、滞在時間が推測可能な施設の属性としては、ショッピングモール等の複合商業施設、多目的施設、飲食店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM、地下街や地下道等の地下構造物等が挙げられる。これらの属性に予め標準的な滞在時間を関連付けておいたり、これらの属性を予め滞在時間の長い施設と滞在時間の短い施設に仕分けておいたりすることによって、施設の属性に基づいて滞在時間を推測することができる。
【0010】
この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定の移動体端末装置において、前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定部は、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定部と、
前記特定された到達予定時刻に、前記測位部の測位を起動する第2の起動制御部と、
前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位部の測位が可能であるか否かを判定する測位判定部と、
前記判定の結果、前記測位部が測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御部と、を備え、
前記第1の起動制御部は、前記判定の結果、前記測位部が測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする。
【0011】
このように規定される第2の局面の移動体端末装置によれば、案内経路中に地下街が含まれる場合や、案内経路に代替して地下街を歩行する場合において、該地下街内での測位部の測位を停止することができる。すなわち、移動体端末装置が進入したと検出された地下街に繋がる出口のうち、案内経路上に位置する出口を、測位部を起動させる起動地点と特定する。そして、測位を停止した時刻と、該起動地点と、移動体端末装置を所持する歩行者の歩行速度とに基づいて、起動地点に到達する到達予定時刻を特定し、該特定された到達予定時刻に測位を起動する。到達予定時刻に測位を起動しても、歩行者が未だ地下街に滞在していることがある。このため、測位を起動したものの測位不能と判定された場合には、再度測位を停止する。一方、測位可能と判定された場合には、上記第1の起動制御部における測位の起動をキャンセルする。このような装置によれば、起動地点において測位を起動後、測位不能の場合に再度測位を停止することができるため、更に電力消費の低減を図ることができる。再度測位を停止した後は、所定間隔で測位部を起動させ、測位可能であるか否かの判断等を繰り返し行うこととすれば良い。
【0012】
上記歩行者の歩行速度は、該歩行者の平均速度、最高速度、最低速度のいずれかを用いることができる。いずれの歩行速度を用いるかは、歩行者が選択できるようになっていても良い。また、上記と同様に、地下街退出後の案内を前もって行うために、第2の起動制御部についても、特定された到達予定時刻の所定時間前(例えば、1分前)に測位部を起動させることとしても良い。このようなタイミングで停止した測位を起動させれば、ユーザが施設内に滞在している間は電力温存に努め、施設を退出したとき、次の案内を行うことができるため、ユーザの利便性を確保しつつ省電力が可能となるからである。
【0013】
また、この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
歩行者が所持する移動体端末装置の制御方法であり、コンピュータの機能として実現される制御方法であって、
測位部が、前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位ステップと、
経路探索部が、前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索ステップと、
時刻設定部が、前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定ステップと、
進入検出部が、前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出ステップと、
第1の停止制御部が、前記進入したことが検出されたとき、前記測位ステップにおける測位を停止する第1の停止制御ステップと、
起動地点特定部が、前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定ステップと、
起動時刻予測部が、前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測ステップと、
第1の起動制御部が、前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位ステップにおいて測位を起動する第1の起動制御ステップと、
を備える、移動体端末装置の制御方法。
このように規定される第4の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0014】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第4の局面に規定の制御方法において、前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定ステップでは、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
到達時刻特定部が、前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定ステップと、
第2の起動制御部が、前記特定された到達予定時刻に、前記測位ステップにおいて測位を起動する第2の起動制御ステップと、
測位判定部が、前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位ステップにおいて測位が可能であるか否かを判定する測位判定ステップと、
第2の停止制御部が、前記判定の結果、前記測位ステップにおいて測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御ステップと、を備え、
前記第1の起動制御ステップでは、前記判定の結果、前記測位ステップにおいて測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする。
このように規定される第5の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第4の局面に規定の制御方法において、前記起動時刻予測ステップでは、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測する。
このように規定される第6の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
更に、この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
歩行者が所持する移動体端末装置の制御プログラムであって、コンピュータを、
前記移動体端末装置の現在位置を測位する測位手段と、
前記測位された現在位置又は出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、
前記目的地の到着希望時刻を設定する時刻設定手段と、
前記移動体端末装置が施設に進入したことを検出する進入検出手段と、
前記進入したことが検出されたとき、前記測位手段の測位を停止する第1の停止制御手段と、
前記進入した施設の出口に関する情報と前記目的地とに基づいて、前記測位手段の測位を起動させる起動地点を特定する起動地点特定手段と、
前記設定された到着希望時刻と、前記特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、前記測位手段の測位を起動させる起動時刻を予測する起動時刻予測手段と、
前記予測された起動時刻に基づいて、前記測位手段の測位を起動する第1の起動制御手段、
として機能させる移動体端末装置の制御プログラム。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の制御プログラムにおいて、前記施設は地下街であり、
前記起動地点特定手段は、前記進入した地下街の出口のうち、前記探索された経路上に位置する出口を前記起動地点と特定し、
前記コンピュータを、更に、
前記停止時刻と、前記起動地点と、前記歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する到達時刻特定手段と、
前記特定された到達予定時刻に、前記測位部の測位を起動する第2の起動制御手段と、
前記特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、前記測位手段の測位が可能であるか否かを判定する測位判定手段と、
前記判定の結果、前記測位手段が測位不能である場合には前記測位を停止する第2の停止制御手段、として機能させ、
前記第1の起動制御手段は、前記判定の結果、前記測位手段が測位可能である場合には前記測位の起動をキャンセルする。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の制御プログラムにおいて、前記起動時刻予測手段は、更に、前記施設に関する情報を考慮して、前記起動時刻を予測する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
第7〜第9のいずれかの局面に規定される制御プログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体が第10の局面として規定される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施の形態の移動体端末装置1の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態の移動体端末装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、移動体端末装置1の進入検出部11、起動地点特定部15及び起動時刻予測部19で実行される処理を説明するための模式図である。
図4図4は、本発明の他の実施の形態の移動体端末装置21の構成を示すブロック図である。
図5図5は、本発明の他の実施の形態の移動体端末装置21の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、移動体端末装置21の進入検出部25、起動地点特定部29、到達時刻特定部31及び起動時刻予測部19で実行される処理を説明するための模式図である。
図7図7は、本発明の実施例の移動体端末装置100の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施の形態の移動体端末装置を説明する。
図1に、移動体端末装置1の概略構成を示す。当該移動体端末装置としては、ユーザが携帯可能な通信端末装置であり、携帯電話機、PDA(Portable Digital Assistants)、携帯ゲーム機、ノート型PC、PND(Portable Navigation Device)、スマートフォン、人体に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
図1に示すように、この移動体端末装置1は、地図データベース3、施設情報保存部5、測位部7、経路探索部9、進入検出部11、制御部13、起動地点特定部15、到着希望時刻設定部17及び起動時刻予測部19を備えている。
【0022】
地図データベース3には、地図データが格納されている。地図データにはリンクやノードなど地図情報を規定するための道路要素に関する情報と地図に描画される情報等が含まれる。格納される地図データは、歩行者用の道路ネットワークデータであることが好ましい。歩行者用道路ネットワークデータは、歩行者が通行可能な道路を表すリンクと、リンクとリンクとの接続点であるノードとを含んで構成される。歩行者が通行可能な道路としては、特に限定されないが、種々の道路に沿って設けられた歩道、横断歩道、歩道橋等が挙げられる。そして、各リンクには、リンク番号、後述の経路探索に用いられ、そのリンクが表す歩道等を歩行者が通行するために要する負荷を表すリンクコスト等の情報が関連付けられている。また、格納される地図データは、車両用の道路ネットワークデータであっても良い。車両用道路ネットワークデータは、リンクや、リンクとリンクとの接続点であるノードに関するデータを備えている。ここで、車両用道路ネットワークデータにおいては、リンクによって、高速道路、国道や県道、市町村道等の車両が通行可能な道路が表され、ノードによって交差点が表される。そして、車両用道路ネットワークデータにおけるリンクについても、歩行者用道路ネットワークデータと同様、リンク番号やリンクコストが関連付けられている。この場合、リンクコストは、そのリンクが表す道路を車両で通行するために要する負荷を表すものとなる。
【0023】
施設情報保存部5には、施設に関する情報が保存される。当該施設としては、特に限定されず、ショッピングモール等の複合商業施設、多目的施設、飲食店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM、地下街や地下道等の地下構造物などの施設が挙げられる。施設に関する情報としては、施設の位置及び該施設の出入口の位置が挙げられる。当該施設の位置としては、該施設の中心地点の位置座標や、該施設に関する領域を表すポリゴンデータ等が挙げられる。また、施設に関連付けて該施設の出入口の位置が保存されている。該出入口に入口専用、出口専用の別がある場合には、その旨が関連付けられていることが好ましい。施設情報保存部5に保存される他の情報としては、施設のID、施設の名称、施設の業種や種別等の属性、施設の標準的な滞在時間等が挙げられる。施設の属性としては、ショッピングモール等の複合商業施設、多目的施設、飲食店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行ATM、地下街や地下道等の地下構造物等が挙げられる。施設情報保存部5には、更に、営業時間、定休日、住所、電話番号等の情報が保存されていても良い。
【0024】
測位部7は、移動体端末装置1の現在位置を測位する。測位部7は、例えば、GPSを利用して測位処理を行い、移動体端末装置1の現在位置を示す測位情報を予め定められた周期で測位する。
経路探索部9は、地図データベース3を参照して、測位部7で測位された現在位置又は後述の入力部を介して入力された出発地から、同じく入力部を介して入力された目的地までの経路を探索する。当該経路探索の方法は一般的な方法を用いることができる。例えば、ダイクストラ法などに基づいてリンクコストが最小となる経路を案内経路として探索することができる。
【0025】
進入検出部11は、施設情報保存部5を参照して、移動体端末装置1が、経路探索部9で探索された案内経路沿いの施設に進入したことを検出する。当該検出の方法としては、測位部7で測位される移動体端末装置1の現在位置が、案内経路沿いの施設の領域内に位置したことをもって行うことができる。施設の領域は、施設情報保存部5内に保存される施設の領域を示すポリゴンデータ、あるいは、施設の中心地点から所定範囲で表すことができる。進入検出部11は、当該進入を検出したとき、後述の第1の停止制御部131へ検出信号を送信することができる。
【0026】
制御部13は、第1の停止制御部131及び第1の起動制御部133を備え、測位部7の測位の停止あるいは起動を制御する。
第1の停止制御部131は、進入検出部11で、移動体端末装置1が施設に進入したことが検出されたとき、測位部7の測位を停止する制御を行う。すなわち、第1の停止制御部131は、進入検出部11からの検出信号を受信したとき、測位部7へ停止制御信号を送信し、該停止制御信号を受信した測位部7は測位を停止する。
第1の起動制御部133は、後述の起動時刻予測部19を参照して、予測された起動時刻に到達したとき、測位部7の測位を起動する制御を行う。すなわち、起動制御部133は、予測された起動時刻に到達したとき、測位部7へ起動制御信号を送信し、該起動制御信号を受信した測位部7は測位を起動する。
【0027】
起動地点特定部15は、施設情報保存部5を参照して、進入検出部11で進入が検出された施設の出口に関する情報と、経路探索部9で探索された案内経路の目的地とに基づいて、測位部7の測位を起動させる起動地点を特定する。当該特定の方法としては、特に限定されないが、例えば、施設の出口が複数存在する場合において、該複数の出口のうち、上記目的地に最も近い出口を起動地点として特定することができる。他の方法としては、上記目的地と施設の出口との間の経路コストが最小となる出口を起動地点として特定することができる。また、施設の出口から案内経路までの距離を考慮して、該距離が最短である出口を起動地点として特定することとしても良い。
到着希望時刻設定部17は、移動体端末装置1を所持する歩行者であるユーザが目的地への到着を希望する到着希望時刻を設定する。当該設定は、該ユーザが、後述の入力部を介して。入力されるに基づいて行うことができる。
【0028】
起動時刻予測部19は、到着希望時刻設定部17で設定された到着希望時刻と、起動地点特定部15で特定された起動地点から目的地までの経路とに基づいて、測位部7の測位を起動させる起動時刻を予測する。当該予測の方法としては、特に限定されないが、例えば、起動地点から目的地まで移動するのに要する所要時間を算出し、該算出された所要時間に基づいて、上記設定された到着希望時刻に目的地へ到達するために起動地点を出発する時刻を算出し、この時刻を起動時刻と予測することができる。起動時刻予測部19は、更に、施設に関する情報を考慮して、起動時刻を予測しても良い。例えば、施設情報保存部5に、施設の標準的な滞在時間や滞在時間が推測可能な施設の属性が関連付けられている場合に、移動体端末装置1が施設に位置したことが検出された時刻から該滞在時間後の時刻を算出し、該時刻が上記起動地点を出発する時刻より早いとき、該時刻を起動時刻と予測することとしても良い。起動時刻予測部19は、当該予測された起動時刻に基づいて、第1の起動制御部133の起動制御が行われる。
【0029】
図2を用いて、図1に示す移動体端末装置1の動作の一例を説明する。適宜、図3に示す模式図を用いて、以下に説明する。
まず、ステップ1では、測位部7は、移動体端末装置1の現在位置Sを測位する。
ステップ3では、図示しない入力部は、目的地検索のための目的地Gの入力を受け付ける。
ステップ5では、到着希望時刻設定部17は、ステップ3で入力を受付けた目的地Gへ到着を希望する到着希望時刻(この例において、15:00)を設定する。
ステップ7では、経路探索部9は、地図データベース3を参照して、ステップ1の現在位置Sからステップ3の目的地Gまでの案内経路Rを探索する。
ステップ9では、測位部7は、移動体端末装置1の現在位置を測位する。
【0030】
ステップ11では、進入検出部11は、施設情報保存部5を参照して、ステップ9の現在位置がステップ7の案内経路沿いの施設の領域A1内に位置したことを検出する。
ステップ13では、第1の停止制御部131は、測位部7の測位を停止させる。
ステップ15では、起動地点特定部15は、施設情報保存部5を参照して、ステップ11で移動体端末装置1の進入が検出された施設の出口の位置(E1〜E4)と、ステップ7の案内経路における目的地Gとに基づいて、起動地点P1を特定する。当該起動地点P1は、上述したように、該施設の出口(E1〜E4)のうち、案内経路の目的地Gまでの経路コストが最も小さい出口(E2)を起動地点P1として特定することができる。
ステップ17では、起動時刻予測部19は、ステップ5で設定された到着希望時刻(15:00)と、ステップ15で特定された起動地点P1からステップ7の案内経路における目的地Gまでの経路rとに基づいて、起動時刻を予測する。当該起動時刻は、上述したように、起動地点P1と目的地Gとの間の経路rを歩行者が移動するのに要する所要時間(この例において、30min.)を考慮して、起動地点P1を出発する時刻を起動時刻(14:30)として予測することができる。
ステップ19では、ステップ17で予測された起動時刻(14:30)に、測位部7の測位を起動させる。
【0031】
図4に、他の実施の形態の移動体端末装置21を示す。図4において、図1と同一の要素については、その説明を部分的に省略する。
図4に示すのは、移動体端末装置21を所持する歩行者が、案内経路中の地下街を、あるいは案内経路に代替して地下街を歩行する場合に、該地下街内での測位部の測位を停止し、歩行者が地下街を退出して地上に出るタイミングで測位部の測位を起動させるよう測位制御する移動体端末装置21である。すなわち、この移動体端末装置21は、図1に示す装置1において、到達時刻特定部31及び測位判定部33を更に備え、施設情報保存部5、進入検出部11、制御部13及び起動地点特定部15に代えて、夫々、施設情報保存部23、進入検出部25、制御部27及び起動地点特定部29を備えている。
【0032】
施設情報保存部23には、地下街に関する情報が保存されている。地下街に関する情報としては、地下街の位置、範囲、出口の位置等が挙げられる。施設情報保存部23には、施設情報保存部5に保存された施設に関する情報が保存されていても良い。
進入検出部25は、施設情報保存部23を参照して、移動体端末装置21が、経路探索部9で探索された案内経路中の地下街、あるいは、案内経路の位置に対応する地下街に進入したことを検出する。当該検出の方法としては、上述の通り、測位部7で測位される移動体端末装置21の現在位置が、該地下街の領域内に位置したことをもって行うことができる。地下街の領域は、施設情報保存部23内に保存される地下街の範囲を示すポリゴンデータで表すことができる。進入検出部25は、当該進入を検出したとき、後述の第1の停止制御部131へ検出信号を送信することができる。
【0033】
起動地点特定部29は、施設情報保存部23を参照して、進入検出部25で進入が検出された地下街の出口に関する情報と、経路探索部9で探索された案内経路の目的地とに基づいて、測位部7の測位を起動させる起動地点を特定する。当該特定の方法としては、進入検出部25で進入が検出された地下街の出口のうち、経路探索部9で探索された案内経路上に位置する出口を起動地点と特定することができる。該案内経路上に位置する出口が複数存在する場合には、該出口のうち、案内経路における目的地に最も近い出口を起動地点として特定することとしても良い。
【0034】
到達時刻特定部31は、測位部7が測位を停止した停止時刻と、起動地点特定部29で特定された起動地点と、歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点に到達する到達予定時刻を特定する。測位部7が測位を停止した停止時刻とは、実際に、測位部7の動作が停止した時刻であっても良いし、地下街に進入したことが検出された検出信号が第1の停止制御部131へ送信された時刻であっても良いし、第1の停止制御部131が停止制御信号を測位部7へ送信した時刻であっても良い。また、歩行者の歩行速度としては、該歩行者の平均速度、最高速度、最低速度のいずれであっても良い。また、地図データベース3内の歩行者用の道路ネットワークに標準的な歩行速度が関連付けられている場合には、該標準的な歩行速度を用いることとしても良い。当該特定された到達予定時刻は、後述の第2の起動制御部273へ送られる。
測位判定部33は、到達時刻特定部31で特定された到達予定時刻に測位を起動したとき、測位部7の測位が可能であるか否かを判定する。当該判定の結果が否定的である場合、すなわち、測位部7の測位が不能である場合には、後述の第2の停止制御部271へ該結果を送信する。一方、当該判定の結果が肯定的である場合には、すなわち、測位部7の測位が可能である場合には、第1の起動制御部133へ該結果を送信する。
【0035】
制御部27は、第1の停止制御部131及び第1の起動制御部133に加え、第2の停止制御部271及び第2の起動制御部273を備え、夫々測位部7の測位の停止あるいは起動を制御する。
第2の停止制御部271は、測位判定部33での判定の結果、測位部7が測位不能である場合には測位を停止する制御を行う。すなわち、第2の停止制御部271は、測位判定部33から測位部7が測位不能である旨の判定結果を受信したとき、測位部7へ停止制御信号を送信し、該停止制御信号を受信した測位部7は測位を停止する。
第2の起動制御部273は、到達時刻特定部31で特定された到達予定時刻に、測位部7の測位を起動する。すなわち、第2の起動制御部273は、特定された到達予定時刻に到達したとき、測位部7へ起動制御信号を送信し、該起動制御信号を受信した測位部7は測位を起動する。
【0036】
この例において、第1の起動制御部133は、測位判定部33の判定の結果、測位部7が測位可能である場合には、測位の起動をキャンセルする。測位部7は、到達予定時刻においてすでに測位を起動しているため、起動時刻予測部19で予測された起動時刻に改めて測位を起動する必要はないからである。
地下街等の地下構造物内では種々の案内板等が設置されているため、経路案内の要求はそれほど大きくない。その上、地下街等では電波の状況が不安定であることが多い。この発明の移動体端末装置によれば、このような状況において周期的に測位を試みて電力を消耗する事態を回避することができる。
【0037】
図5を用いて、図4に示す移動体端末装置21の動作の一例を説明する。図5において、図2と同一のステップには同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。適宜、図6に示す模式図を用いて、以下に説明する。
ステップ1〜9は、上述の通りである。
ステップ21では、進入検出部25は、施設情報保存部23を参照して、ステップ9の現在位置がステップ7の案内経路中の地下街、あるいは、案内経路の位置に対応する地下街の領域B内に位置したことを検出する。
ステップ23では、第1の停止制御部131は、測位部7の測位を停止させる。
【0038】
ステップ25では、起動地点特定部29は、施設情報保存部5を参照して、ステップ21で移動体端末装置21の進入が検出された地下街の出口の位置(E11〜E18)と、ステップ7の案内経路における目的地Gとに基づいて、起動地点P2を特定する。当該起動地点P2は、該地下街の出口(E11〜E18)のうち、案内経路上の出口(E15)を起動地点P2として特定することができる。
ステップ27では、到達時刻特定部31は、ステップ23で測位部7が測位を停止した停止時刻(18:00)と、ステップ25で特定された起動地点P2と、歩行者の歩行速度とに基づいて、該起動地点P2に到達する到達予定時刻(T1:18:30)を特定する。
ステップ29では、起動時刻予測部19は、ステップ5で設定された到着希望時刻(19:00)と、ステップ25で特定された起動地点P2からステップ7の案内経路における目的地Gまでの経路rとに基づいて、起動時刻を予測する。当該起動時刻は、上述したように、起動地点P2と目的地Gとの間の経路rを歩行者が移動するのに要する所要時間(この例において、10min.)を考慮して、起動地点P2を出発する時刻を起動時刻(T2:18:50)として予測することができる。
ステップ31では、第2の起動制御部273は、ステップ27の到達予定時刻(T1:18:30)に、測定部7の測位を起動させる。
【0039】
ステップ33では、測位判定部33は、ステップ31で測位が起動されたとき、測位部7の測位が不能であると判定された場合(ステップ33:No)、ステップ35へ進む。一方、測位部7の測位が可能であると判定された場合(ステップ33:Yes)、ステップ39へ進む。
ステップ35では、第2の停止制御部271は、測位部7の測位を停止させる。
ステップ37では、ステップ29で予測された起動時刻(18:50)に、測位部7の測位を起動させる。
ステップ39では、第1の起動制御部は、ステップ29で予測された起動時刻での測位の起動をキャンセルする。
【0040】
図7に実施例の移動体端末装置100を示す。図7において、図1及び図4と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を部分的に省略する。
図7に示すのは、図1に示す移動体端末装置1が備える各構成、すなわち、制御部13、測位部7、地図データベース3、施設情報保存部5、経路探索部9、進入検出部11、起動地点特定部15、到着規模時刻設定部17及び起動時刻予測部19に加えて、メモリ部111、入力部112、出力部113及びインターフェース部114を備える移動体端末装置100である。
【0041】
制御部13はCPU、バッファメモリその他の装置を備えたコンピュータ装置であり、移動体端末装置100を構成する他の要素を制御する。
メモリ部111にはコンピュータプログラムが保存され、このコンピュータプログラムはコンピュータ装置である制御部13に読み込まれて、これを機能させる。このコンピュータプログラムは、移動体端末装置の記憶装置としての内蔵ハードディスク又は内蔵メモリ、移動体端末装置に差し替え可能な記憶媒体としてのSD(登録商標)メモリカード、メモリスティック、スマートメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)、DVD等の汎用的な媒体へ保存できる。
【0042】
入力部112は、例えば、ユーザの指令の入力に用いられる。具体的には、経路探索部9における出発地あるいは目的地、目的地への到着希望時刻等の入力に用いられる。入力部112として、マウス、ライトペン又はディスプレイの表示内容と協働するタッチパネル等のポインティングデバイスやキーボード又はマイクロホン等の音声入力装置を用いることができる。
出力部113はディスプレイを含み、移動体端末装置100を一般的なナビゲーションに用いたときに出力される目的地検索のための検索画面、地図、測位部7で測位された移動体端末装置100の位置、経路探索部9で探索された案内経路等、その他の情報を表示する。この出力部113は音声発信部やバイブレーション報知部を含むこともできる。前者の場合には、案内等を行う際にメッセージやアラームを音声出力することができる。後者の場合には、同様に案内を行う際、メッセージを出力するタイミングでバイブレーションによる報知を行うことができる。また、案内の種類によって、アラーム音の音量、音の種類、鳴動パターン、バイブレーションの振動の強さ、振動パターン等を異ならせても良い。例えば、測位を停止する際と起動する際とで、バイブレーションの振動の強さ、振動パターンを異ならせることができる。
インターフェース部114は移動体端末装置100を無線ネットワーク等へ連結させる。
【0043】
上記移動体端末装置で実行される測位の停止及び起動の制御は、上述の通り、歩行中の移動体端末装置の現在位置に照らして都度実行することができる。他の例としては、探索された案内経路全体に対して予め行うこととしても良い。
また、出発地と目的地、移動手段が分かれば、上記方法を用いて、移動体端末装置の現在位置の測位を停止させ、起動させるタイミングと、案内経路中の測位を停止している時間とを特定することもできる。このようにして特定された測位停止の時間を参照すれば、経路案内の際に、測位停止の時間が長い経路を省エネ経路として提供することもできる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態及び実施例について説明してきたが、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態(実施例)を部分的に実施しても構わない。さらには、これらのうち、2つ以上の実施の形態(実施例)を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【0045】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 21 100 移動体端末装置
3 地図データベース(地図DB
5 23 施設情報保存部
7 測位部
9 経路探索部
11 25 進入検出部
13 27 制御部
15 29 起動地点特定部
17 到着希望時刻設定部
19 起動時刻予測部
31 到達時刻特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7