(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205419
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】冷却方法
(51)【国際特許分類】
F02K 9/46 20060101AFI20170914BHJP
F02K 9/56 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
F02K9/46
F02K9/56
【請求項の数】10
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-527955(P2015-527955)
(86)(22)【出願日】2013年8月14日
(65)【公表番号】特表2015-526640(P2015-526640A)
(43)【公表日】2015年9月10日
(86)【国際出願番号】FR2013051940
(87)【国際公開番号】WO2014044939
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年7月11日
(31)【優先権主張番号】1257932
(32)【優先日】2012年8月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(73)【特許権者】
【識別番号】508234408
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・デテュード・スパシアル(セ・エヌ・ウ・エス)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL D’ETUDES SPATIALES(CNES)
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル ゴフィック、イヴァン
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/133041(WO,A1)
【文献】
特開2011−027120(JP,A)
【文献】
米国特許第05862670(US,A)
【文献】
独国特許出願公告第01626082(DE,B1)
【文献】
特開2010−245524(JP,A)
【文献】
特開昭62−004309(JP,A)
【文献】
特開平11−288809(JP,A)
【文献】
特開2012−092813(JP,A)
【文献】
特開2006−348877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 9/44, 9/64
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主導入ダクト(4)を介して極低温タンク(2)へと接続され、冷却後に低温流体が供給される装置(3)を冷却するための冷却方法であって、
冷却時に、前記主導入ダクト(4)とは別であり且つ前記主導入ダクト(4)の流路断面よりも小さい流路断面を有している冷却用の導入ダクト(10)を介して、前記低温流体が前記装置(3)へと導入されることを特徴とする冷却方法。
【請求項2】
前記装置(3)は、ポンプである請求項1に記載の冷却方法。
【請求項3】
前記装置(3)は、ターボポンプである請求項2に記載の冷却方法。
【請求項4】
前記装置(3)は、ロケットエンジンの推進剤ポンプである請求項2または3に記載の冷却方法。
【請求項5】
冷却時に、前記冷却用の導入ダクト(10)を介して前記装置へと導入される前記低温流体が、前記極低温タンク(2)からもたらされる請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却方法。
【請求項6】
冷却時に、前記低温流体が、前記タンク(2)から前記冷却用の導入ダクト(10)を介して前記装置(3)へと送られ、前記装置が冷却された後の前記低温流体の通常の流れの方向とは反対の方向に、前記装置(3)から前記主導入ダクト(4)を介して前記タンク(2)へと戻る請求項5に記載の冷却方法。
【請求項7】
冷却時に、前記主導入ダクト(4)が閉じられたままとされ、前記極低温タンク(2)から前記装置(3)へと導入された前記低温流体が、その後にパージ配管(14)を介して放出される請求項5に記載の冷却方法。
【請求項8】
前記冷却用の導入ダクト(10)を介して前記装置(3)へと導入される前記低温流体が、前記装置が冷却された後に前記主導入ダクト(4)を介して低温流体を前記装置(3)に供給する前記極低温タンク(2)以外の供給源からもたらされる請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷却方法。
【請求項9】
前記冷却用の導入ダクト(10)が、前記装置が冷却された後の主吐出ダクト(5)である請求項1〜8のいずれか一項に記載の冷却方法。
【請求項10】
冷却時に、前記低温流体がパージ配管(17)を介して前記主吐出ダクト(5)へと導入される請求項9に記載の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温技術の分野に関し、特に、主導入ダクトを介して極低温タンクへと接続され、冷却後に低温流体が供給される装置を冷却するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
極低温技術の分野においては、熱衝撃を避けるために種々の装置を冷却すること、すなわちそれらの温度を周囲温度から極低温領域の低い動作温度へと徐々に下げることが、しばしば必要とされる。そのような冷却を一般的に必要とする装置のうちで、特には低温ポンプ、とりわけ低温液体推進剤を使用するロケットエンジンのターボポンプに言及することができる。
【0003】
装置は、典型的には、冷却対象の装置へと低温流体を制御された様相で徐々に導入することによって冷却される。先行技術においては、低温流体が、冷却済みの装置への低温流体の供給に使用される同じ主導入ダクトを介して装置へと導入される。
【0004】
しかしながら、主導入ダクトを介した低温流体の導入による冷却は、いくつかの欠点を有する。主導入ダクトは、装置を冷却するために装置へと導入される低温流体の流量よりも大幅に多い低温流体の流量に合わせてもっぱら設計され、したがって比較的大きい流路断面を有しているため、これを、冷却を実行する役目を果たす低温流体の導入に使用することは、とりわけこの低温流体が、装置への導入前に大いに加熱されることにつながる。この欠点は、導入の流路断面よりも小さい流路断面を持つ主吐出ダクトを有するポンプなどの装置を冷却する場合に、さらに悪化する。冷却中の装置から出て行く低温流体は、それ自身が冷却対象の主要部および外部からの熱流によって加熱されるため、冷却時に装置から出て行く低温流体は、通常は少なくとも部分的に気体である。したがって、冷却時に低温流体の流れが熱的に妨げられることがないように、冷却対象の装置の下流のヘッドロスを抑えることが重要である。残念ながら、導入ダクトよりも狭い主吐出ダクトを介する低温流体の吐出は、冷却対象の装置の下流のヘッドロスを増加させ、そのような吐出を大いに制約する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの欠点の除去を追求する。特には、より単純に実行することができる冷却方法を提案しようと試みる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも一つの実施形態において、この目的は、冷却時に、主導入ダクトとは別であり且つ主導入ダクトの流路断面よりも小さい流路断面を有している冷却用の導入ダクトを介して、低温流体が装置へと導入される、という事実により達成される。
【0007】
したがって、より小さい流路断面ゆえに、冷却対象の装置の上流における低温流体の加熱が抑えられる。さらに、小さい断面が、このダクトへの低温流体の導入圧力に対応するためのより大きな余裕をもたらすため、この冷却用の導入ダクトを、この冷却方法の実行を簡単にすべく高い圧力に耐えることができるようにすることが、より容易である。
【0008】
装置は、特に、ポンプ、例えば、ロケットエンジンのための推進剤ポンプのようなポンプであってもよく、さらに特に、ターボポンプであってもよい。ポンプの導入ダクトは、通常は、吐出ダクトと比べて大きく、高圧に耐えるのが得意でないため、それらの冷却は、熱的な閉塞の恐れおよびポンプの下流のヘッドロスゆえに、きわめて困難になる。
【0009】
さらなる低温流体の供給源を使用することを回避するために、冷却時に、冷却用の導入ダクトを介して装置へと導入される低温流体が、極低温タンクからもたらされてもよい。特に、低温流体回路を簡素化し、タンクに収容される低温流体を浪費することを回避できる第1の代替においては、冷却時に、低温流体が、タンクから冷却用の導入ダクトを介して装置へと送られてもよく、装置が冷却された後の低温流体の通常の流れの方向とは反対の方向に、装置から主導入ダクトを介してタンクへと戻ってもよい。主導入ダクトは、冷却用の導入ダクトよりも大きな断面であるため、この冷却時の流れの方向の逆転は、冷却時の低温流体の逆転した流れの方向における装置の下流のヘッドロスを大いに回避する。このような次第ではあるが、特に、冷却時に流体を送る必要を回避するために、冷却時に、代替として、主導入ダクトが閉じられたままとされてもよく、極低温タンクから装置へと導入された低温流体が、その後にパージ配管を介して放出されてもよい。したがって、タンクの内圧が、流れの駆動に充分であることができる。
【0010】
このような次第ではあるが、代替として、冷却用の導入ダクトを介して装置へと導入される低温流体が、装置が冷却された後に主導入ダクトを介して低温流体を低温装置に供給する極低温タンク以外の供給源からもたらされてもよい。特に、独占的ではないが、そのような環境下で、冷却用の導入ダクトが、装置が冷却された後の低温流体のための主吐出ダクトであってもよい。それから、冷却時に、低温流体がパージ配管を介して主吐出ダクトへと導入されてもよい。
【0011】
本発明を限定するものではない例として提示される3つの実施の形態についての以下の詳細な説明を検討することで、本発明をよりよく理解することができ、本発明の利点がよりよく見えてくる。説明は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、ロケットエンジンに低温推進剤を供給するための回路におけるターボポンプによって駆動される低温流体の流れを示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施例においてターボポンプが冷却されているときの同じ回路における低温流体の流れを示す図である。
【
図3】
図3は、第2の実施例においてターボポンプを冷却しているときの同様の回路における低温流体の流れを示す図である。
【
図4】
図4は、第3の実施例においてターボポンプを冷却しているときの別の同様の回路における低温流体の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、ロケットエンジン(図示されていない)に少なくとも1つの推進剤を供給するための回路1の一部分を示している。回路1は、低温流体の形態の前記推進剤を収容しているタンク2を、推進剤をタンク2からロケットエンジンの少なくとも1つの燃焼室へと回路1を通って進めるためのターボポンプ3とともに備えている。図示の実施例において、推進剤は、例えば液体水素であってよい。低温流体をターボポンプ3へと導入するための主ダクト4が、ターボポンプをタンク2へと接続している。低温流体をターボポンプ3から吐出するための主ダクト5が、ターボポンプをロケットエンジンの燃焼室へと接続している。ロケットエンジンが点火されるとき、ターボポンプ3のタービン3aにおけるガスの膨張によってターボポンプが駆動され、低温流体がタンクからターボポンプへと送られる。このガスは、Vulcain(登録商標)ロケットエンジンにおける供給システムのように、ガス発生装置からもたらされてもよく、あるいはVinci(登録商標)ロケットエンジンにおける供給システムのように、ロケットエンジンを冷却するための回路において加熱されて気化した後の低温推進剤のうちの1つであってもよい(エキスパンダーサイクル)。このようにして、推進剤が、タンク2から前記主導入ダクト4、ターボポンプ3、および前記主吐出ダクト5を順に通ってロケットエンジンへと流れる。
【0014】
しかしながら、ロケットエンジンの点火の前に、低温流体の突然の到着の結果としての熱衝撃を避けるために、回路1の特定の繊細な構成要素、特にはターボポンプ3を、低温流体の少量の流れを導入することによって徐々に冷却することが通常は必要である。
図2は、第1の実施例における冷却の期間の際のこの低温流体の流れを示している。この実施例においては、主導入ダクト4の流路断面よりも小さい流路断面を有する冷却用の導入ダクト10が、主導入ダクト4と並列にタンク2をターボポンプ3へと接続している。ポンプ11が、冷却用の導入ダクト10に設置され、弁12が、主吐出ダクト5に設置されている。
図2に示される様相での冷却時には、弁12は閉じられたままであり、低温流体の少量の流れが、停止しているターボポンプ3へとポンプ11によって送られる。この低温流体は、
図1に示されるとおりの装置の冷却後の通常の流れの方向とは反対の方向に、ターボポンプ3を通って主導入ダクト4へと流れ、タンク2へと戻る。このようにして、ターボポンプ3および主導入ダクト4が、タンク2からの同じ低温流体を使用して冷却される。しかしながら、この低温流体の大部分は、冷却対象の主要部によって加熱されているにもかかわらず回収され、依然として後にロケットエンジンへの供給のために使用可能である。冷却の際の低温流体のより狭い冷却用の導入ダクト10からより大きい主導入ダクト4への逆の流れの方向は、熱的な閉塞を回避するように機能し、冷却の実行をより容易にする。
【0015】
それでもなお、この冷却方法の代案の実施例が、
図3に示されている。この実施例においては、主導入ダクト4が弁13を有しており、主吐出ダクト5が、主吐出ダクト5の弁12の上流に位置する弁15を介してパージ配管14へと接続されている。対照的に、冷却用の導入ダクト10は、ポンプを有しておらず、弁16だけを有している。ターボポンプ3を冷却するために、低温流体の少量の流れをタンク2の内部の圧力による駆動のもとでタンク2から冷却用の導入ダクト10、停止中のターボポンプ3、主吐出ダクト5、および外部へとつながるパージ配管14を通って流すことができるよう、弁15および16が開かれる一方で、主導入ダクト4の弁13および主吐出ダクト5の弁12は、閉じられたままである。このようにして、この実施例では、冷却に使用された低温流体が、外部へと放出され、したがってロケットエンジンへの供給のために後に再利用することが通常は不可能である。対照的に、この実施例は、タンク2の内部と外部との間の圧力差が冷却の目的のための低温流体の流れを駆動するために充分であるため、回路1に追加のポンプ手段を必要とすることなく実行することができる。
【0016】
この冷却方法の別の代案の実施例が、
図4に示されている。この実施例においては、冷却に用いられる低温流体が、タンク2からもたらされるのではなく、パージ配管14を介して主吐出ダクト5に接続された外部の供給源からもたらされる。したがって、この実施例においては、冷却用の導入ダクト10が、主導入ダクト4と並列にターボポンプ3をタンク2へと接続することがなく、主吐出ダクト5によって形成される。この実施例においては、主導入ダクト4が、弁13とターボポンプ3との間において弁18を介して別のパージ配管17へと接続される。この実施例における冷却方法を実行するとき、低温流体の少量の流れを、外部の供給源からパージ配管14、主吐出ダクト5、ターボポンプ3、主導入ダクト4、およびパージ配管17を介して外部へと、装置の冷却後の通常の流れの方向とは反対の方向に通すことができるよう、弁12および13が閉じられたままとされる一方で、パージ配管14が低温流体の外部の供給源へと接続され、弁15および18が開かれる。
【0017】
本発明を具体的な実施例に関連して説明したが、これらの実施例について、特許請求の範囲によって定められるとおりの本発明の全体的な範囲を超えることなく、種々の改良および変更が可能であることは、明らかである。さらに、上述の種々の実施例の個別の特徴を、さらなる実施例において組み合わせることが可能である。したがって、本明細書および図面は、限定よりもむしろ例示の意味で理解されるべきである。