【実施例】
【0038】
[比較例 − アセトニトリル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリメチルアクリレートのワンポット合成]
メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル34g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.670g、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)0.0697g、およびメチルアクリレート31.82gを添加した。混合物を撹拌し、−78℃まで冷却し、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ53gを、撹拌を継続しながら混合物に添加した。次いで、窒素環境下で6回の凍結−排気−融解サイクルを使用して、フラスコを脱気した。次いで、反応混合物を25℃まで温め、重合反応を4時間継続し、空気を導入して重合反応を止めた。
【0039】
生成物の試料を重水素化クロロホルム(CDCl
3)に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。メチルアクリレートの転化率は4時間で72%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量Mnは15,508であった。分子量分布M
w/M
nは双峰性分布で非常に広かった。
【0040】
[実施例1 − アセトニトリル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリメチルアクリレートの合成]
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル32g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.0.62g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ0.53gを添加した。PMDETA0.17gおよびメチルアクリレート32.42gを50ミリリットルのシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。メチルアクリレート/PMDETA混合物を、窒素下カニューレ経由で30℃のフラスコに30分間かけて滴加した。重合反応を4時間継続し、空気を導入して重合反応を止めた。
【0041】
重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。メチルアクリレートの転化率は4時間で94%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは14,410であった。分子量分布M
w/M
nは1.24であった。試料のX線蛍光(XRF)分析によって、ポリマー鎖1本当たりのBr含有量は6,624ppmであることが明らかになった。
【0042】
図1において、一部ずつの添加方法で調製した本発明のポリマーのGPCトレースを、通常のSET−LRP/ATRPワンポット方法で調製した比較ポリマー標準と比較する。本発明のポリマーは、初期のモノマー/開始剤の比率と転化率で決定して理論Mn値12,000に近い単峰性分布を有する(約15.5分;Mn約14,000)。一方、比較ポリマーは双峰性分布を有し、予想される制御ポリマー[(b)約15.5分;Mn約14,000]に加えて顕著に高分子量の成分[(a)約12.2分;Mn約347,000]を有する。この高分子量成分は、上述のように比較材料の特性に悪影響を与える。
【0043】
[実施例2 − アセトニトリル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリメチルアクリレートの合成]
【0044】
【化1】
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル33g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.3547g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ0.31gを添加した。PMDETA0.0486gおよびメチルアクリレート31.87gを50ミリリットルのシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。メチルアクリレート/PMDETA混合物を窒素下カニューレ経由で40℃のフラスコに50分間かけて滴加した。重合反応を5時間継続し、空気を導入して重合反応を止めた。
【0045】
重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。メチルアクリレートの転化率は5時間で74%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは23,835であった。分子量分布M
w/M
nは1.24であった。試料のX線蛍光(XRF)分析によって、ポリマー鎖1本当たりのBr含有量は6,624ppmであることが明らかになった。
【0046】
[実施例3 − ジメチルスルホキシド中2,2−ジクロロフェノン/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリメチルアクリレートの合成]
【0047】
【化2】
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、ジメチルスルホキシド(DMSO)45.8g、2,2−ジクロロアセトフェノン(DCAP)0.330g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ1.30gを添加した。PMDETA0.1450gおよびメチルアクリレート34.92gを50ミリリットルのシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。メチルアクリレート/PMDETA混合物を、窒素下カニューレ経由で30℃のフラスコに50分間かけて滴加した。重合反応を4時間継続し、空気を導入して重合反応を止めた。
【0048】
重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。メチルアクリレートの転化率は4時間で88%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは11,997であった。分子量分布M
w/M
nは1.28であった。
【0049】
[実施例4 − アセトニトリル中PhCHBr
2/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリメチルアクリレートの合成]
【0050】
【化3】
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル34.05g、a,a−ジブロモトルエン0.530g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ1.03gを添加した。PMDETA0.0798gおよびメチルアクリレート31.41gを50ミリリットルのシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。メチルアクリレート/PMDETA混合物を、窒素下カニューレ経由で45℃のフラスコに30分間かけて滴加した。重合反応を4時間継続し、空気を導入して重合反応を止めた。
【0051】
重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。メチルアクリレートの転化率は4時間で79%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量Mnは15,459であった。分子量分布M
w/M
nは1.10であった。
【0052】
[実施例5 − アセトニトリル中PhCHBr
2/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリ2−エチルヘキシルアクリレートの合成]
【0053】
【化4】
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル37.60g、a,a−ジブロモトルエン1.2491g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ0.56gを添加した。PMDETA0.0770gおよび2−エチルヘキシルアクリレート37.60gを50ミリリットルのシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。2−エチルヘキシルアクリレート/PMDETA混合物を、窒素下カニューレ経由で45℃のフラスコに60分間かけて滴加した。重合反応を3.5時間継続し、空気を導入して重合反応を止めた。
【0054】
重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。2−エチルヘキシルアクリレートの転化率は4時間で54%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは6,226であった。分子量分布M
w/M
nは1.27であった。
【0055】
[実施例6 − アセトニトリル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレートおよびtert−ブチルアクリレートのターポリマーの合成]
【0056】
【化5】
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル104.8g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.69g、および0.1N塩酸水溶液で処理した銅メッシュ0.55gを添加した。PMDETA0.0748g、2−エチルヘキシルアクリレート32.20g、メチルアクリレート28.12g、およびtert−ブチルアクリレート10.19gを100mlのシュレンクチューブに添加した。窒素下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。モノマー/PMDETA混合物を、窒素下カニューレ経由で60℃のフラスコに90分間かけて滴加した。重合反応を20時間継続し、空気で重合反応をクエンチした。アクリレートモノマーの転化率を
1H−NMR分光法で測定し、20時間後に90%であることがわかった。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは38,600であり、分子量分布M
w/M
nは1.41であった。
【0057】
[実施例7 − アセトニトリルおよび酢酸エチル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/臭化銅(II)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレートおよびtert−ブチルアクリレートのターポリマーの合成]
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル39.8g、酢酸エチル29.27g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.1048g、および0.1N塩酸水溶液で処理した銅メッシュ0.64gを添加した。臭化銅(II)0.0126g、アセトニトリル15.6g、PMDETA0.0524g、2−エチルヘキシルアクリレート25.37g、メチルアクリレート12.98g、およびtert−ブチルアクリレート3.46gを100mlのシュレンクチューブに添加した。窒素下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。モノマー/PMDETA混合物を窒素下カニューレ経由で60℃のフラスコに90分間かけて滴加した。重合反応を20時間継続し、空気で重合反応をクエンチした。アクリレートモノマーの転化率を
1H−NMR分光法で測定し、20時間後に90%であることがわかった。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは38,600であり、分子量分布M
w/M
nは1.41であった。
【0058】
[実施例8 − アセトニトリル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリ(n−ブチルアクリレート)の合成]
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル58.32g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート1.413g、および0.1N塩酸水溶液で処理した銅メッシュ0.41gを添加した。PMDETA0.0752gおよびn−ブチルアクリレート36.14gを50mlのシュレンクチューブに添加した。窒素下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。モノマー/PMDETA混合物を窒素下カニューレ経由で70℃のフラスコに40分間かけて滴加した。重合反応を3.5時間継続し、空気で重合反応をクエンチした。反応全体を通して時々試料を採取した。モノマーの転化率を
1H−NMR分光法で測定し、3.5時間後に69%であることがわかった。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは78,100であり、分子量分布M
w/M
nは1.72であった。
【0059】
[実施例9 − アセトニトリル中メチル2−ブロモプロピオネート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、メチルアクリレート/n−ブチルアクリレートコポリマーの合成]
【0060】
【化6】
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル75.05g、メチル2−ブロモプロピオネート0.3375g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ0.43gを添加した。PMDETA0.0381gおよびメチルアクリレート20.84gを第1の50ミリリットルシュレンクチューブに添加した。PMDETA0.0774gおよびn−ブチルアクリレート51.21gを第2の50ミリリットルシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、3つの混合物全てを脱気した。
【0061】
メチルアクリレート/PMDETA混合物を、窒素下カニューレ経由で70℃のフラスコに35分間かけて滴加した。重合反応を2.5時間継続した。重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。メチルアクリレートの転化率は2.5時間で62%であった。
【0062】
次いで、n−ブチルアクリレート/PMDETA混合物を、窒素下カニューレ経由で70℃のフラスコに60分間かけて滴加した。重合反応を70℃で5時間、次いで室温で22時間継続した。重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。メチルアクリレートの転化率は94%であり、n−ブチルアクリレートの転化率は74%であった。
【0063】
さらに0.1183gのPMDETAをタイトシリンジでフラスコに添加し、重合をさらに28時間継続した。メチルアクリレートの最終転化率は98%であり、n−ブチルアクリレートは89%であった。
【0064】
PMMA標準を用いたGPCによる2.5時間における数平均分子量M
nは9,389であり、分子量分布M
w/M
nは1.53であった。PMMA標準を用いたGPCによる48時間における数平均分子量Mnは41,790であり、分子量分布M
w/M
nは1.19であった。
【0065】
図2は、初期のメタクリレートブロックおよび初期のポリ(メタクリレート)セグメントに第2の混合ブチル−メタクリレート(mixed butyl and methacrylates)ブロックを成長させた後の最終のジブロックコポリマーの分子量を示すGPCトレースである。ブロックは両方とも、本発明の方法、すなわちモノマー/リガンド溶液のゆっくりとした一部ずつの添加によって調製した。初期のポリマーは、[M]
0/[I]と転化率の積から決定した理論値の約6,600に近い約9,400のMn値、および比較的に低いPDI(1.53)を有する。このGPC分析は、初期のポリマーが全て第2のブロックのマクロ開始剤として消費され、元の材料が第2の添加後には全く残っていないということをはっきり示している。最終のジブロックコポリマーの分子量は、理論値の約32,900に近い約41,800のMn値、および低多分散度(1.19)を有する。このことから、初期のポリマー鎖末端の全ては活性であること、本発明の方法は高度に制御されて進行することが明らかになる。
【0066】
Mn対転化率(
図3)は、制御ラジカル重合では数平均分子量(Mn)が転化率に応じて直線的に増加しなければならないことを示している。この実験では、本発明の方法で調製された試料を定期的に取り出し、GPCおよび1H−NMR分光法で分析して、それぞれ分子量および転化率を決定した。データは(GPCから実験で決定し、NMRから算出して)モノマーの全転化率を分子量の関数として示し、分子量が転化率と共に直線的に増加することをはっきりと示している。対応する転化率から予想される理論分子量も示している。実験で生成したデータは被検試料全てについて理論から予想されるものに近い。
【0067】
[実施例10 − アセトニトリル中PhCHBr
2/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、およびメトキシエチルアクリレートのターポリマーの合成]
【0068】
【化7】
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル64.03g、a,a−ジブロモトルエン0.6942g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ0.81gを添加した。PMDETA0.0733g、n−ブチルアクリレート50.33g、エチルアクリレート10.71g、および2−メトキシエチルアクリレート3.3461gを100ミリリットルのシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。モノマー/PMDETA混合物を窒素下カニューレ経由で65℃のフラスコに85分間かけて滴加した。重合反応を65℃で4時間、次いで室温で20時間継続した。空気を導入して重合を止めた。
【0069】
重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。モノマーの転化率は20時間で96%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは34,610であった。分子量分布M
w/M
nは1.28であった。試料のX線蛍光(XRF)分析によって、ポリマー鎖の臭素含有量は4,934ppmであることが明らかになった。
【0070】
[実施例11 − アセトニトリル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、n−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、およびメトキシエチルアクリレートのターポリマーの合成]
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器2本、およびゴムセプタムを備えた250ミリリットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル64.95g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.6935g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ0.68gを添加した。臭化銅(II)0.0114g、アセトニトリル6.03g、PMDETA0.0524g、n−ブチルアクリレート49.45g、エチルアクリレート11.08g、および2−メトキシアクリレート6.10gを100ミリリットルのシュレンクチューブに添加した。窒素環境下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、両方の混合物を脱気した。モノマー/PMDETA混合物を窒素下カニューレ経由で60℃のフラスコに90分間かけて滴加した。重合反応を60℃で4時間、次いで室温で68時間継続した。空気を導入して重合を止めた。
【0071】
重合反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。試料をCDCl
3に溶解し、転化率を
1H−NMR分光法で測定した。モノマーの転化率は68時間で95%であった。試料をトルエンに溶解し、塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した。トルエン層中の試料をTHFに溶解し、GPC分析を行った。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは36,046であった。分子量分布M
w/M
nは1.21であった。試料のX線蛍光(XRF)分析によって、ポリマー鎖の臭素含有量は45,020ppmであることが明らかになった。
【0072】
[実施例12 − アセトニトリル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/臭化銅(II)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、ポリ(n−ブチルアクリレート)の合成]
本発明の方法を使用して、触媒室、ポンプ、メカニカルスターラー、冷却器およびゴムセプタムを備えた2Lの反応器に、アセトニトリル1081.29gおよびジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート4.96gを添加した。臭化銅(II)0.0296g、アセトニトリル70.00g、およびPMDETA0.83g、およびn−ブチルアクリレート462.97gを1000mlのシュレンクフラスコに添加した。窒素下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、2Lの反応器と1000mlのシュレンクフラスコを共に脱気した。アセトニトリルとジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエートの混合物を撹拌し、次いで処理済み銅(0)メッシュ2.30gが入っている外部の触媒室に通して約300ml/分の速度で汲み出した。n−ブチルアクリレート、Cu(II)Br
2、アセトニトリル、およびPMDETAを含む混合物を、窒素下カニューレ針経由で65℃の反応器に90分間かけて滴加した。重合反応を65℃で15時間継続し、空気で重合反応をクエンチした。反応全体を通して様々な間隔で試料を採取した。モノマーの転化率は15時間の反応時間で85%であった。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは35,100であり、分子量分布M
w/M
nは1.34であった。
【0073】
[実施例13 − アセトニトリルおよび酢酸エチル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレートおよび2−ヒドロキシルエチルアクリレートのターポリマーの合成]
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器およびゴムセプタムを備えた1リットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル200.14g、酢酸エチル124.22g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.6225g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ0.75gを添加した。臭化銅(II)0.0830g、アセトニトリル52.52g、PMDETA0.2557g、2−エチルヘキシルアクリレート147.15g、メチルアクリレート47.25g、および2−ヒドロキシルエチルアクリレート10.90gを500mlのシュレンクフラスコに添加した。1リットルの反応器は窒素で連続的にパージし、500mlのシュレンクフラスコは、窒素下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、脱気した。モノマー/PMDETA混合物を窒素下カニューレ経由で50℃の1リットルの反応器に70分間かけて滴加した。重合反応を22時間継続し、空気でクエンチした。アクリレートモノマーの転化率を
1H−NMR分光法で測定し、22時間後に80%であることがわかった。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは82,400であり、分子量分布M
w/M
nは1.33であった。
【0074】
[実施例14 − アセトニトリルおよび酢酸エチル中ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート/Cu(0)/ペンタメチルジエチレントリアミンを用いた、n−ブチルアクリレート、メチルアクリレートおよびtert−ブチルアクリレートアクリレートのターポリマーの合成]
本発明の方法を使用して、メカニカルスターラー、冷却器およびゴムセプタムを備えた1リットルの四つ口丸底フラスコに、アセトニトリル157.54g、酢酸エチル119.80g、ジメチル2,6−ジブロモヘプタンジオエート0.2084g、および0.1N塩酸で処理した銅メッシュ1.55gを添加した。臭化銅(II)0.0801g、アセトニトリル50.00g、PMDETA0.6226g、n−ブチルアクリレート185.43g、メチルアクリレート16.46g、およびtert−ブチルアクリレート23.99gを500mlのシュレンクフラスコに添加した。1リットルの反応器は窒素で連続的にパージし、500mlのシュレンクフラスコは、窒素下での6回の凍結−排気−融解サイクルによって、脱気した。モノマー/PMDETA混合物を窒素下カニューレ経由で50℃の1リットルの反応器に60分間かけて滴加した。重合反応を21時間継続し、空気でクエンチした。アクリレートモノマーの転化率を
1H−NMR分光法で測定し、21時間後に70%であることがわかった。PMMA標準を用いたGPCによる数平均分子量M
nは266,000であり、分子量分布M
w/M
nは1.70であった。