(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記搬送機構は、搬送ベルトと、前記第1折り線に相当する位置において屈曲する搬送経路を含む環状経路に沿って前記搬送ベルトが掛け渡される複数のプーリとを備えているとともに、前記搬送ベルトの移動によって前記シートを前記搬送経路に沿って搬送し、
前記折り機構は、前記複数のプーリのうち前記搬送経路の屈曲位置に設けられているとともに前記シートに前記第1折り線を形成するプーリを含む、請求項1に記載の折り装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートをその長手方向に搬送しながら、当該シートの幅方向の一部が他の部分に重なるようにシートを幅方向に折り畳むための折り装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図9A及び
図9Bは、特許文献1に記載の装置の要部を拡大して示す斜視図であり、
図9Aは、シートが折り畳まれる状態を示すものであり、
図9Bは、
図9Aにおけるシートを省略した状態を示すものである。
【0004】
特許文献1に記載の装置は、上流側プレート30と、下流側プレート31とを備え、
図9Aの矢印に示すように、両プレート30、31に対してシートS2を接触させながら当該シートS2をその長手方向に搬送する。
【0005】
上流側プレート30は、シートS2に対する第1折り線B5を形成する縁部30aと、シートS2に対する第2折り線B6を形成する縁部30bとを有する。
【0006】
第1折り線B5は、シートS2の幅方向の一端S21から幅方向の途中部までの間で幅方向に延びる折り線である。
【0007】
第2折り線B6は、第1折り線B5の上流側の位置におけるシートS2の幅方向の他端S22から第1折り線B5の終端に向けて搬送方向に対して傾斜するように延びる。
【0008】
下流側プレート31は、第2折り線B6により折られたシートS2の幅方向の一部が他の部分に重なるように当該シートS2の幅方向の一部を表裏反転させるための第3折り線B7を形成する縁部31aを有する。
【0009】
第3折り線B7は、第1折り線B5の終端からシートS2の表裏反転される幅方向の一部の他端S22に向けて搬送方向に対して傾斜するように延びる。
【0010】
特許文献1に記載の装置では、両プレート30、31が互いに固定されている、つまり、第1〜第3の折り線B5〜B7を形成する各縁部30a、30b、31aが互いに固定されている。
【0011】
そのため、シートS2の厚み方向やシートS2に与えられる張力が変更された場合に、第2折り線B6と第3折り線B7との間に位置するシートS2の幅方向の他端S22側の一部の面積が折り畳むに適した面積とならず、これによりシートS2を正確に折り畳むことができないという問題がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0022】
まず、
図1を参照して、本発明の折り装置により実行されるシートの折り動作について説明する。
【0023】
本発明に係る折り装置は、矢印Y1に示すようにシートS1をその長手方向に搬送しながら(以下、搬送方向Y1という)、シートS1の幅方向の一部が他の部分に重なるようにシートS1を幅方向に折り畳むものである。
【0024】
具体的に、シートS1は、その搬送過程において次のように折り曲げられている。
【0025】
シートS1は、その幅方向の一端S11から幅方向の途中部までの間で幅方向に延びる第1折り線B1によって折り曲げられる。これにより、搬送方向Y1は、第1折り線B1に相当する位置で屈曲している。
【0026】
また、シートS1は、第1折り線B1の搬送方向Y1の上流側におけるシートS1の幅方向の他端S12から第1折り線B1の終端に向けてシートS1の搬送方向Y1に対して傾斜するように延びる第2折り線B2によって折り曲げられる。
【0027】
第2折り線B2によって折り曲げられたシートS1の幅方向の一部は、第1折り線B1の下流側でシートS1の幅方向の他の部分と平行となるように、第4折り線B4によって折り曲げられる。
【0028】
第4折り線B4によって折り曲げられたシートS1の幅方向の一部は、他の部分と重なるように第3折り線B3によって表裏反転する。なお、第3折り線B3は、第1折り線B1の終端からシートS1の表裏反転される幅方向の一部の他端S12に向けて搬送方向に対して傾斜するように延びる。
【0029】
このように、シートS1がその搬送過程において第1〜第4折り線B1〜B4により折り曲げられることによって、シートS1は、その幅方向の一部が他の部分と重なるように折り畳まれる。
【0030】
また、本発明の実施形態に係る折り装置では、上述のようにシートS1の折り畳まれる部分同士の間に図外の供給装置から複数の弾性部材E1(
図1では3本の弾性部材E1を示す)が伸張状態で供給される。
【0031】
折り装置の上流側においてシートS1及び/又は弾性部材E1に接着材が供給されているため、折り装置において弾性部材E1を挟み込むようにシートS1が折り畳まれることにより、シート状弾性体E2が製造される。
【0032】
このシート状弾性体E2は、
図2に示すように、例えば、使い捨ておむつD1のウエスト用の弾性部材として利用することができる。
【0033】
以下、
図1及び
図3を参照して、本発明の実施形態に係る折り装置1について説明する。
【0034】
折り装置1は、第1折り線B1に相当する部分で屈曲する搬送経路R1に沿ってシートS1を長手方向に搬送する搬送機構2と、搬送機構2により搬送されているシートS1に対し第2折り線B2を形成する第2折り機構3と、搬送機構2により搬送されているシートS1に対し第3及び第4折り線B3、B4を形成する第3折り部材4と、搬送機構2、第2折り機構3及び第3折り部材4を支持する支持部5とを備えている。
【0035】
なお、以下の説明では、シートS1の搬送経路R1における第1折り線B1よりも下流側の経路に沿った方向をX方向とし、シートS1の幅方向をY方向とし、X−Y平面と直交する方向をZ方向として説明する。
【0036】
搬送機構2は、搬送ベルト7と、搬送経路R1を含む環状経路に沿って搬送ベルト7が掛け渡される3つのプーリ6A〜6Cと、プーリ6A〜6Cを支持するプーリ支持部8と、駆動ベルト10(
図5参照)を介してプーリ6A〜6Cに動力を伝えるモータ9(
図5参照)とを備えている。
【0037】
搬送ベルト7は、モータ9の駆動により、プーリ6A、プーリ6B、及びプーリ6Cをこの順に経由して再びプーリ6Aに移動する方向に循環する。
【0038】
プーリ6B、6Cは、同一のX−Y平面上で搬送ベルト7を保持するように配置されている。また、プーリ6Aは、Z方向で両プーリ6B、6Cと異なる位置(
図3の下の位置)に設けられている。
【0039】
つまり、搬送経路R1の屈曲位置にはプーリ6Bが設けられ、搬送ベルト7を介してプーリ6Bに接触するシートS1には、第1折り線B1が形成される。
【0040】
図3〜
図7を参照して、プーリ支持部8は、プーリ6A〜6CをY方向の両側から支持する一対の側板16と、搬送経路R1に沿って両側板16に固定されているとともに搬送ベルト7の内側面を支持するベルト支持板17と、ベルト支持板17と対向するように両側板16に固定された底板18とを備えている。なお、
図4及び
図5では、搬送ベルト7の図示を省略している。
【0041】
側板16は、
図3に示すように、搬送経路R1のうちプーリ6A及びプーリ6Bにより規定される部分に沿って配置される上流部16aと、搬送経路R1のうちプーリ6B及びプーリ6Cにより規定される部分に沿って配置される下流部16bとを備えている。
【0042】
ベルト支持板17は、
図4〜
図7に示すように、両側板16の上流部16a及び下流部16bにそれぞれ1枚ずつ設けられている。両ベルト支持板17は、プーリ6A〜6Cを搬送ベルト7に開放した状態で両側板16の端面に固定されている。
【0043】
同様に、底板18も、両側板16の上流部16a及び下流部16bにそれぞれ1枚ずつ設けられている。底板18は、両側板16のベルト支持板17と反対側の端部にそれぞれ固定されている。
【0044】
ここで、プーリ支持部8は、
図5及び
図7に示すように、下流部16bに設けられた底板18において支持部5に支持されている。
【0045】
支持部5は、プーリ支持部8に対してY方向の一方の側に設けられたメインフレーム5aと、メインフレーム5aからプーリ支持部8側に突出する一対の支持アーム5bとを備えている。
【0046】
プーリ支持部8は、両支持アーム5b上に載置された状態で、底板18及び支持アーム5bを貫通するボルトF1とこれに螺合するナットF2とによって両支持アーム5bに固定されている。
【0047】
図5を参照して、モータ9は、メインフレーム5aに固定されているとともに、駆動ベルト10を介してプーリ6Cに対して動力を供給する。
【0048】
具体的に、モータ9の回転軸9aには、プーリ9bが設けられ、プーリ6Cの回転軸6aには、プーリ9bとの間で駆動ベルト10が掛け渡されるプーリ6bが設けられている。
【0049】
以下、
図1、
図3、
図4及び
図6を参照して、第2折り機構3について説明する。
【0050】
第2折り機構3は、プーリ支持部8のメインフレーム5aから遠い方の側板16の上流部16aに対し、メインフレーム5aから離れる方向に向けて取り付けられている。
【0051】
第2折り機構3は、シートS1を第2折り線B2に沿って曲げるための第2折り部材11と、第2折り部材11をプーリ支持部8に取り付けるためのブラケット12とを備えている。
【0052】
第2折り部材11は、台形の平面形状を有する第2折り部19と、第2折り部19をブラケット12に取り付けるための取付部20とを備えている。
【0053】
第2折り部19は、搬送機構2により搬送されるシートS1の幅方向の一部を支持する支持面19bと、シートS1に第2折り線B2を形成するための第2折り線形成部19aとを有する。第2折り線形成部19aは、搬送方向Y1に向けてY方向で搬送機構2に近接する方向に傾斜する第2折り部19の縁部である。
【0054】
取付部20は、第2折り部19の支持面19bが搬送ベルト7とY方向に並ぶように第2折り部19をブラケット12に取り付けるように構成されている。
【0055】
また、取付部20は、搬送機構2に対して搬送方向Y1に沿った移動方向Y2(
図4参照)に第2折り部19が移動可能となるように第2折り部19をブラケット12に取り付けるように構成されている。具体的に、取付部20は、第2折り部19の搬送機構2側の端部から側板16に沿って延びる部分と、この部分からY方向に延びる部分とを有し、このY方向に延びる部分に搬送方向Y1に沿って延びる長孔20aが設けられている。
【0056】
ブラケット12は、
図6に示すように、取付部20が取り付けられた被取付部21と、プーリ支持部8の側板16に固定された固定部22とを備えている。
【0057】
被取付部21は、取付部20に沿って設けられているとともに、前記長孔20aに挿入されたボルトF3が通される挿通穴21aを有する。挿通穴21aに通されたボルトF3に対してナットF4が締め付けられることにより、第2折り部材11とブラケット12とが固定されている。
【0058】
固定部22は、搬送機構2に対して搬送方向Y1及びY方向と直交する移動方向Y3(
図6参照)にブラケット12が移動可能となるようにブラケット12を側板16に固定するように構成されている。具体的に、固定部22は、側板16に沿って設けられているとともに移動方向Y3に沿って延びる長孔22aを有する。長孔22aに挿入されたボルトF5が側板16に形成された雌ねじ部16cに締め付けられることによってブラケット12は、側板16に固定されている。
【0059】
したがって、ナットF4を緩めて長孔20aにおけるボルトF3の位置を調整することにより、移動方向Y2(
図4参照)に沿って搬送機構2に対して第2折り線形成部19aを移動することができる。
【0060】
また、ボルトF5を緩めて、長孔22a内のボルトF5の位置を調整することにより、移動方向Y3(
図5参照)に沿って搬送機構2に対して第2折り線形成部19aを移動することができる。
【0061】
次に、
図1、
図3、
図5及び
図7を参照して、第3折り部材4について説明する。
【0062】
第3折り部材4は、プーリ支持部8のメインフレーム5aから遠い方の側板16の下流部16bに取り付けられている。
【0063】
第3折り部材4は、シートS1に対して第3折り線B3及び第4折り線B4を形成するための第3折り部14と、第3折り部14のY方向の端部から側板16に沿って折り曲げられて側板16に固定された固定部15とを備えている。
【0064】
第3折り部14は、第2折り部19により折られたシートS1の幅方向の一部が他の部分に対して平行となるようにシートS1を第4折り線B4によって折るための第4折り線形成部14bと、第4折り線B4により折られたシートS1の幅方向の一部を第3折り線B3に沿って表裏反転させるための第3折り線形成部14aとを備えている。
【0065】
第4折り線形成部14bは、側板16に沿ってX方向に延びる第3折り部14の縁部である。
【0066】
第3折り線形成部14aは、搬送方向Y1の下流側に向かうに従い、両側板16のうちの固定部15側の側板16から他方の側板16側に傾斜する第3折り部14の縁部である。つまり、第3折り部14は、搬送方向Y1の下流側に向かうに従い搬送ベルト7を広い範囲で覆う形状を有する。
【0067】
固定部15は、第3折り部14が搬送ベルト7上に隙間G1(
図7参照)を空けて配置されるように第3折り部14を側板16に固定する。隙間G1は、折り畳まれたシートS1が挿入可能な寸法に設定されている。
【0068】
次に、上述した折り装置1の作用について説明する。
【0069】
図4に示すように、搬送機構2により搬送されているシートS1は、第2プーリ6Bにより規定される第1折り線B1に沿って曲げられた状態で、シートS1の長手方向に沿って搬送される。
【0070】
第1折り線B1に沿って折り曲げられたシートS1の幅方向の一部P1(
図1参照)は、
図5に示すように、第2プーリ6Bと第3プーリ6Cとの間に設けられた搬送ベルト7(図示省略)によって支持されている。具体的に、シートS1の一部は、搬送ベルト7と第3折り部14との間の隙間G1(
図7参照)内で支持されている。
【0071】
また、
図4に示すように、搬送機構2により搬送されているシートS1は、第1プーリ6Aと第2プーリ6Bとの間に設けられた搬送ベルト7(図示省略)、及び第2折り部19の支持面19bによって支持されている。
【0072】
ここで、第2折り部19の第2折り線形成部19aは、搬送方向Y1の下流側に向かうに従い側板16側に傾斜しているため、シートS1は、搬送されることに伴い第2折り線形成部19aに沿って徐々に折り曲げられる。
【0073】
第2折り線形成部19aに沿って折り曲げられたシートS1の幅方向の一部P2(
図1参照)は、
図3及び
図8に示すように、搬送機構2のY方向の側面に沿って配置されている。
【0074】
そして、シートS1の幅方向の一部P2は、
図5及び
図8に示すように、前記部分P1と平行になるように第4折り線形成部14bに沿って折り曲げられる。第4折り線形成部14bに沿って折り曲げられたシートS1の幅方向の一部P3(
図1参照)は、第3折り部14上に配置されている。
【0075】
ここで、第3折り部14の第3折り線形成部14aは、搬送方向Y1の下流側に向かうに従いY方向に傾斜しているため、シートS1の一部P3は、搬送されることに伴い第3折り線形成部14aに沿って徐々に表裏反転し、第3折り部14と搬送ベルト7との間の隙間G1(
図7及び
図8参照)内に導かれる。
【0076】
これにより、シートS1の幅方向の一部が他の部分に重なるように、シートS1は折り畳まれる。
【0077】
ここで、シートS1の厚みやシートS1に与える張力が変更された場合には、搬送機構2に対する第2折り部19の取付位置を調整することにより、第2折り線B2と第3折り線B3との間に位置するシートS1の幅方向の一部P2、P3の面積を調整して、シートS1を適切に折り畳むことができる。
【0078】
以下、上述した折り装置1を用いたシートS1の折畳方法について説明する。
【0079】
折畳方法は、搬送工程と、折り線形成工程と、調整工程と、を含む。
【0080】
搬送工程では、前記搬送機構2を用いてシートS1をその長手方向に搬送する。
【0081】
折り線形成工程では、搬送工程により搬送されているシートに対し、第2折り機構3及び第3折り部材4を用いて、第1折り線B1と第2折り線B2と第3折り線B3と第4折り線B4とを形成する。
【0082】
調整工程では、折り線形成工程に先立って、第2折り部材11の第2折り線形成部19aを第1折り線B1及び第3折り線B3の形成位置に対して移動させることによりシートS1の折り畳み状態を調整する。
【0083】
調整工程を行うことにより、シートS1の厚みやシートS1に与えられる張力が変更される場合に、折り線形成工程に先立ってシートS1の折り畳み状態を調整することができるため、シートS1を正確に折り畳むことができる。
【0084】
以上説明したように、搬送機構2に対する第2折り部材11の取付位置を調整することにより、第1折り線B1及び第3折り線B3の形成位置(第2プーリ6B及び第3折り部材4の位置)を維持したままこれらの形成位置に対して第2折り線B2の形成位置を変更することができる。
【0085】
これにより、第2折り線B2と第3折り線B3との間に位置するシートの幅方向の一部P2、P3の面積を調整することができるため、シートS1の厚みやシートに与えられる張力が変更された場合であっても、シートS1を正確に折り畳むことが可能となる。
【0086】
また、前記実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0087】
前記実施形態では、第1折り線B1を形成する第2プーリ6BとシートS1との間に搬送ベルト7が介在するとともに、この搬送ベルト7の移動によってシートS1を搬送することができるため、
図9に示す従来技術のように第1折り線B5を形成するための上流側プレート30に対する摩擦によりシートS2が劣化するのを防止することができる。
【0088】
ここで、第2プーリ6B(搬送ベルト7)とシートS1とは第2プーリ6Bの周方向で所定の範囲に亘って接触するため、この第2プーリ6Bにより形成される第1折り線B1も前記周方向で所定の幅を有し、第1折り線B1の形成位置に対する第2折り線B2の形成位置によってはシートS1を正確に折り畳むことができないおそれがある。
【0089】
しかし、上述したように第2折り部材11の位置を調整することにより第1折り線B1の形成位置に対する第2折り線B2の形成位置を相対的に調整可能であるため、シートS1の劣化防止とシートS1の正確な折り畳みとを両立することができる。
【0090】
また、前記実施形態によれば、第2折り線B2で曲げられたシートS1の幅方向の一部が第4折り線B4で幅方向に曲げられた後、第3折り線B3において表裏反転することにより、2段階でシートS1を折り畳むことができる。
【0091】
したがって、
図9に示す従来技術のように第2折り線B6で折り曲げられたシートS2の幅方向の一部を直接第3折り線B7で折り曲げる場合と比較して、第3折り線B3におけるシートS1の方向転換の角度を小さくすることができる。
【0092】
これにより第2折り線B2と第3折り線B3との間でシートS1に生じる張力を低減することができるため、シートS1の負担を軽減することができる。
【0093】
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0094】
すなわち、本発明は、シートをその長手方向に搬送しながら、前記シートの幅方向の一部が他の部分に重なるように前記シートを幅方向に折り畳むための折り装置であって、前記シートを長手方向に搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送されている前記シートに対し、前記シートの幅方向の一端から幅方向の途中部までの間で幅方向に延びる第1折り線と、前記第1折り線の搬送方向の上流側における前記シートの幅方向の他端から前記第1折り線の終端に向けて前記長手方向に対して傾斜するように延びる第2折り線と、前記第1折り線の搬送方向の下流側において前記第2折り線により折られた前記シートの幅方向の一部が他の部分に重なるように前記シートの幅方向の一部を表裏反転させるための第3折り線とを形成する折り機構とを備え、前記折り機構は、前記シートに対して前記第2折り線を形成する第2折り線形成部を有する第2折り部材を有し、前記第2折り部材は、前記シートにおける前記第1折り線及び前記第3折り線の形成位置に対して前記第2折り線形成部が移動可能となるように前記搬送機構に取り付けられている、折り装置を提供する。
【0095】
本発明では、搬送機構に対する第2折り部材の取付位置を調整することにより、第1折り線及び第3折り線の形成位置を維持したままこれらの形成位置に対して第2折り線の形成位置を変更することができる。
【0096】
これにより、第2折り線と第3折り線との間に位置するシートの幅方向の一部の面積を調整することができるため、シートの厚みやシートに与えられる張力が変更された場合であっても、シートを正確に折り畳むことが可能となる。
【0097】
従来のように、シートとプレートとを摺動させることにより第1折り線を形成してもよいが、この場合にはシートとプレートとの摩擦によってシートが劣化するおそれがある。
【0098】
そこで、前記折り装置において、前記搬送機構は、搬送ベルトと、前記第1折り線に相当する位置において屈曲する搬送経路を含む環状経路に沿って前記搬送ベルトが掛け渡される複数のプーリとを備えているとともに、前記搬送ベルトの移動によって前記シートを前記搬送経路に沿って搬送し、前記折り機構は、前記複数のプーリのうち前記搬送経路の屈曲位置に設けられているとともに前記シートに前記第1折り線を形成するプーリを含むことが好ましい。
【0099】
前記態様では、第1折り線を形成するプーリとシートとの間に搬送ベルトが介在するとともに、この搬送ベルトの移動によってシートを搬送することができるため、従来のように第1折り線を形成するための部材に対する摩擦によるシートの劣化を防止することができる。
【0100】
ここで、プーリ(搬送ベルト)とシートとはプーリの周方向で所定の範囲に亘って接触するため、このプーリにより形成される第1折り線も前記周方向で所定の幅を有し、第1折り線の形成位置に対する第2折り線の形成位置によってはシートを正確に折り畳むことができないおそれがある。
【0101】
しかし、上述したように第2折り部材の位置を調整することにより第1折り線の形成位置に対する第2折り線の形成位置を相対的に調整可能であるため、シートの劣化防止とシートの正確な折り畳みとを両立することができる。
【0102】
従来のように、第2折り線で折られたシートの幅方向の一部を第3折り線で直接表裏反転させてもよいが、この場合には、第3折り線においてシートを急激に方向転換する必要が生じるため、第2折り線と第3折り線との間においてシートに生じる張力が大きくなる。
【0103】
そこで、前記折り装置において、前記折り機構は、前記第1折り線の搬送方向の下流側の位置において前記第2折り線により折られた前記シートの幅方向の一部が他の部分に対して平行となるように前記シートを折るための第4折り線を形成する第4折り線形成部と、第4折り線により折られた前記シートの幅方向の一部に前記第3折り線を形成する第3折り線形成部とを有する第3折り部材を有することが好ましい。
【0104】
前記態様によれば、第2折り線で曲げられたシートの幅方向の一部が第4折り線で幅方向に曲げられた後、第3折り線において表裏反転することにより、2段階でシートを折り畳むことができる。
【0105】
したがって、第3折り線におけるシートの方向転換の角度を小さくすることにより第2折り線と第3折り線との間でシートに生じる張力を低減することができ、これによりシートの負担を軽減することができる。
【0106】
前記第2折り部材は、例えば、前記搬送機構に対して前記シートの搬送方向及び/又は搬送方向と直交する方向に沿って移動可能である構成とすることができる。
【0107】
また、本発明は、前記折り装置を用いて、前記シートの幅方向の一部が他の部分に重なるように前記シートを幅方向に折り畳む折畳方法であって、前記搬送機構を用いて前記シートをその長手方向に搬送する搬送工程と、前記搬送工程により搬送されている前記シートに対し、前記折り機構を用いて、前記シートの幅方向の一端から幅方向の途中部までの間で幅方向に延びる第1折り線と、前記第1折り線の搬送方向の上流側における前記シートの幅方向の他端から前記第1折り線の終端に向けて前記長手方向に対して傾斜するように延びる第2折り線と、前記第1折り線の搬送方向の下流側において前記第2折り線により折られた前記シートの幅方向の一部が他の部分に重なるように前記シートの幅方向の一部を表裏反転させるための第3折り線とを形成する折り線形成工程と、前記折り線形成工程に先立って、前記第2折り部材の第2折り線形成部を前記第1折り線及び前記第3折り線の形成位置に対して移動させることにより前記シートの折り畳み状態を調整する調整工程と、を含む折畳方法を提供する。
【0108】
本発明によれば、シートの厚みやシートに与えられる張力が変更される場合に、折り線形成工程に先立ってシートの折り畳み状態を調整することができるため、シートを正確に折り畳むことができる。