(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6205431
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 3/10 20060101AFI20170914BHJP
G01F 1/38 20060101ALI20170914BHJP
G01L 13/02 20060101ALI20170914BHJP
【FI】
G01F3/10 D
G01F1/38
G01L13/02 Z
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-554133(P2015-554133)
(86)(22)【出願日】2014年1月22日
(65)【公表番号】特表2016-504602(P2016-504602A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】EP2014051199
(87)【国際公開番号】WO2014118045
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2016年10月27日
(31)【優先権主張番号】A50063/2013
(32)【優先日】2013年1月30日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】398055255
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ダーシュミット・オトフリート
【審査官】
山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭63−148831(JP,U)
【文献】
特開昭59−088624(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02185785(GB,A)
【文献】
特開平02−124430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00
G01F 1/34− 1/38
G01F 3/10
G01F 3/14
G01F13/02−13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積算体積計(1)を有し、この積算体積計に対して、バイパスライン(2)内で差圧センサ(3)が平行に接続され、積算体積計(1)と回転結合されたモータ(M)が、差圧センサ(3)によって確定された、積算体積計(1)の流入側(4)と流出側(5)の間の差圧に依存して、恒常的な差圧補償のために制御され、差圧センサ(3)が、バイパスライン(2)のシリンダ領域(6)内で自由可動のピストン(7)を備え、このピストンの、生じた差圧に起因した偏位が検出され、積算体積計(1)のモータ(M)の制御のために使用され、バイパスライン(2)がバイパス通路(8)を備え、このバイパス通路は、ピストン(7)が流出側の最大ストロークストッパ(9)に当接する時に流入側(4)と流出側(5)の間の接続を解放する、流量計において、
バイパス通路(8)内に、流出側(5)から流入側(4)への逆流を阻止する逆止弁(11)が配置されていること、を特徴とする流量計。
【請求項2】
逆止弁(11)が、弾性的な又は終端領域で自由な貫流方向とは逆に曲げられる逆止フラップ(12)として形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
少なくともシリンダ領域(6)内のピストン(7)の流出側の端面及び/又は付属する最大ストロークストッパ(9)が、それ以外のピストン直径もしくはシリンダ直径に対して縮小されていること、を特徴とする請求項1又は2に記載の流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積算体積計を有し、この積算体積計に対して、バイパスライン内で差圧センサが平行に接続され、積算体積計と回転結合されたモータが、差圧センサによって確定された、積算体積計の流入側と流出側の間の差圧に依存して、恒常的な差圧補償のために制御され、差圧センサが、バイパスラインのシリンダ領域内で自由可動のピストンを備え、このピストンの、生じた差圧に起因した偏位が検出され、積算体積計のモータの制御のために使用され、バイパスラインがバイパス通路を備え、このバイパス通路は、ピストンが流出側の最大ストロークストッパに当接する時に流入側と流出側の間の接続を解放する、流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
このような測定機器は、例えば欧州特許第1544707号明細書、欧州特許第1798808号明細書又は英国特許第2185785号明細書から公知であり、中央モジュールとして、例えばギヤホイールメータとして形成された積算体積計と、平行に接続されたバイパスラインもシリンダ領域内で自由可動の、差圧センサとしてのピストンを備える。液状の媒体が、流入側から来て積算体積計を経て流出側の方向に排出され、その回転数制御可能なサーボモータが、積算体積計を駆動する。積算体積計に対して平行に、差圧センサのシリンダ領域の流入側の室が積算体積計と接続され、このシリンダ領域流出側の室が積算体積計の流出側と接続される。コントロール機器により、差圧センサのピストンを差圧補償によって常にその中立位置に位置決めしようと努められる。各流量変化は、ピストンの偏位を生じさせ、この偏位は、積算体積計のモータの回転数適合によって直ぐに補正され、これにより、このモータの回転数が、直接的に監視される流量に比例する。これにより、例えば内燃機関のための試験ベンチでの燃料消費量測定のために非常に重要であるように、最小流量もしくは流量変化も非常に正確に測定することができる。
【0003】
例えばシステム内のポンプ又は障害物の故障に起因する短期的に過大な容積流もしくは大きい圧力上昇が生じた時に、付加的な流出を差圧センサを介して可能にするために、バイパスラインは、積算体積計に対して平行に、ピストンが最大ストロークストッパに当接する時に流入側と流出側の間の接続を解放するバイパス通路も備えることができる。特に再起動時にも、即ち機器をフラッシングすべき(即ち空気によって除去される)時にも、ピストンは、ストッパまで偏位される。しかしながらピストンがこのストッパに当接し次第、ピストンは、システム圧力によって更にこのストッパのところに保持されるので、中心位置に改めて戻すために、更にまた行なわれる圧力補償で満たされるのではなく、付加的な措置を講じる必要がある。これに関係して、ピストンの端面と協働するストッパにバネを配置することが知られているが、このバネは、流入側と流出側の間の圧力補償時に、ピストンをいずれにしても最初にストッパから押し退け、これにより、バイパス通路が再び閉鎖された後に、中心位置への油圧による返還を再び保証する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1544707号明細書
【特許文献2】欧州特許第1798808号明細書
【特許文献3】英国特許第2185785号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記公知の機器から出発して、本発明は、ある程度の超過支出を必要とし、測定機器を故障し易くする付加的なバネ等をピストン又はシリンダ室に使用することを必要としないで、差圧センサのピストンのその中心位置への言及した油圧による返還を簡素化することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、冒頭で述べた形式の測定機器において、バイパス通路内に、流出側から流入側への逆流を阻止する逆止弁が配置されていることによって、解決される。即ち差圧センサのピストンがその最大ストロークストッパに当接し、その際にバイパス通路を開放すると、流れる流体によって逆止弁も開き、これにより、比較的妨害のない貫流を、バイパスラインを介して行なうことができる。流出側の圧力が再び高くなると、流入側の圧力レベルの達成時に、流出側の方向への全てのそれ以上の貫流が、差圧センサを介して停止され、これにより、好ましくは弾性的な又は終端領域で自由な環流方向とは逆に曲げられる逆止フラップとして形成することができる逆止弁が閉じ、付属するシリンダ領域内のピストンの流出側の端面で高まる圧力もしくはこれによりピストンに作用する力が大きくなり、最終的に、バイパスラインが再び閉じられるまで、ピストンを中心位置の方向へ移動させる。その場合、自由可動のピストンは、積算体積計の流入側と流出側の間の差圧の補償のために使用することができる。
【0007】
少なくともシリンダ領域内のピストンの流出側の端面及び/又は付属する最大ストロークストッパは、本発明の好ましい形成では、それ以外のピストン直径もしくはシリンダ直径に対して縮小されており、これは、差圧が小さい時のストッパから中心位置の方向へのピストンの最初の解離を簡素化もしくは支援する。
【0008】
本発明を、以下で図面に概略的に図示した実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による流量計の機能方式を説明するための概略図
【
図2】ピストン軸を通る軸方向断面にした本発明による流量計の差圧センサの詳細
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1による流量計は、積算体積計1を備え、この積算体積計は、例えば公知のギヤホイールメータとして形成することができ、この積算体積計に、バイパスライン2内で差圧センサ3が平行に接続されている。積算体積計1と回転結合されたモータMは、差圧センサ3で確定された、積算体積計1の流入側4と流出側5の間の差圧に依存して恒常的な差圧補償のために制御される。差圧センサ3は、バイパスライン2のシリンダ領域6内で自由可動のピストン7を備え、このピストンの、生じた差圧に起因した偏位が検出され、積算体積計1のモータMの制御のために使用される。図によるピストン7のその中心位置からの偏位(−x/+x)は、ここではそれ以外には図示してないやり方で、公知のセンサシステムによって、例えば光学センサ、ホールセンサ等によって、測定もしくは監視される。
【0011】
特に再起動時もしくは流量が多い時もしくは積算体積計1の流入側4と流出側5の間の差圧が大きい時のフラッシングを、安全の理由からオーバーフローも、差圧センサ3を介して可能にするために、
図2によればバイパスライン2内にバイパス通路8が設けられ、このバイパス通路は、ピストン7が流出側の最大ストロークストッパ9に当接する時に流入側4と流出側5の間の接続を解放する。その際、ピストン7によって、シリンダ領域6の壁の孔10が解放され、しかもピストン7が
図2によりストッパ9に当接する直前に解放する。このバイパス通路8内に逆止弁11(例えば弾性的な逆止フラップ12として又は図示したように若干の屈曲を有するものとして形成され、これにより、(開いた)フラップが、流れの逆転時により確実に閉鎖される)が配置され、この逆止弁は、
図1に図示した位置で無機能である。それは、バイパスライン2が、ピストンによっていずれにしても遮断されているからである。流入側4の圧力が流出側5の圧力よりも高い間は、媒体は、孔10を通ってバイパス通路8へ流れ(図示してない逆止フラップ12の開放時)、そこから流出側15に流れる。流入側と流出側で圧力が再び等しくなると、ピストン7は、最初はストッパ9のところに留まり、(逆止弁11なしでは)そこから再び離れることが困難でしかない。それは、反対側の自由な側のピストン面積が、いずれにしてもストッパ9の側の自由なピストン面積よりも大きいからである。閉じられた逆止フラップが初めて、ピストンのストッパ側の端面での相応の圧力の上昇を可能にし、これにより孔10までの中心位置の方向へのピストンの運動を可能にし、これによりバイパス通路8が、ピストン7によって再び閉じられる。フラップは、逆流時にフラップをその開放された位置から再び引き離す助けをする若干の屈曲を有する。従って、バネは、ここでは必要ない。しかもフラップが頭から先に組み込まれている場合には(重力がフラップの開放を保つように)、フラップは、その屈曲に基づいて非常に早期に閉じることができる。
【0012】
最初にピストン7を圧力に起因して少し最大ストロークストッパ9から引き離すことができるように、ピストンの対応する端面(又はここに図示したように付属する最大ストロークストッパ9)は、それ以外のピストン直径もしくはシリンダ直径に対して縮小された直径を備え、これが、操作圧力のための最初から大きい作用面積を提供する。
【符号の説明】
【0013】
1 積算体積計
2 バイパスライン
3 差圧センサ
4 流入側
5 流出側
6 シリンダ領域
7 ピストン
8 バイパス通路
9 最大ストロークストッパ
10 孔
11 逆止弁
12 逆止フラップ
M モータ