【実施例】
【0067】
以下、本発明の擬似音発生装置の一実施例を、
図3〜
図13を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0068】
[構成]
図3には、一実施例に係る擬似音発生装置としての機能を有するナビゲーション装置100の概略的な構成が示されている。なお、ナビゲーション装置100は、上述した第2実施形態の擬似音発生装置700B(
図2参照)の一態様となっている。
【0069】
ナビゲーション装置100は、道路上を走行する車両CRに搭載される。この車両CRには、ナビゲーション装置100に接続される車速センサ210、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230が搭載されている。
【0070】
ここで、車速センサ210は、車両CRの車輪又は車軸の回転を検出する。また、アクセル情報センサ220は、アクセル開度に相当するアクセル踏み込み量等を検出する。また、回転数情報センサ230は、エンジン回転数に相当するモータ等の回転数を検出する。
【0071】
ナビゲーション装置100は、
図3に示されるように、制御ユニット110と、記憶部710としての記憶ユニット120と、擬似音生成部760Bとしての擬似音生成ユニット130とを備えている。また、ナビゲーション装置100は、音声出力ユニット140と、表示ユニット150と、操作入力ユニット160とを備えている。さらに、ナビゲーション装置100は、位置検出部720の一部及び取得部730としての走行情報取得ユニット170と、位置検出部720の一部としてのGPS受信ユニット180とを備えている。
【0072】
上記の制御ユニット110は、ナビゲーション装置100の全体を統括制御する。この制御ユニット110については、後述する。
【0073】
上記の記憶ユニット120は、不揮発性の記憶装置であるハードディスク装置等から構成される。記憶ユニット120は、ナビゲーション装置100で利用される道路ネットワークデータ、道路幅データ等を含む地図情報データMPDをはじめとする様々なデータを記憶する。この記憶ユニット120には、制御ユニット110がアクセスできるようになっている。
【0074】
上記の擬似音生成ユニット130は、制御ユニット110から送られたアクセル情報AR、回転数情報ER及び設定音量VLC
L,VLC
Rを受ける。そして、擬似音生成ユニット130は、アクセル情報AR、回転数情報ER及び設定音量VLC
L,VLC
Rに基づいて擬似エンジン音を生成し、車外へ向けて出力する。この擬似音生成ユニット130の構成の詳細については、後述する。
【0075】
上記の音声出力ユニット140は、スピーカを備えて構成され、制御ユニット110から受信した音声データに対応する音声を車室内へ出力する。この音声出力ユニット140は、制御ユニット110による制御のもとで、車両CRの進行方向、走行状況、交通状況、予定走行ルートの変更等の案内誘導のための音声を出力する。
【0076】
上記の表示ユニット150は、液晶パネル等の表示デバイスを備えて構成され、制御ユニット110から受信した表示データに対応する画像を表示する。この表示ユニット150は、制御ユニット110による制御のもとで、地図情報、ルート情報等の画像、ガイダンス情報等を表示する。
【0077】
上記の操作入力ユニット160は、ナビゲーション装置100の本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、表示ユニット150の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。なお、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。
【0078】
この操作入力ユニット160を利用者が操作することにより、ナビゲーション装置100の動作内容の設定や動作指令が行われる。例えば、目的地の指定、探索された経路の中の走行ルート選択等の設定を、利用者が操作入力ユニット160を利用して行う。こうした入力内容は、操作入力データとして、操作入力ユニット160から制御ユニット110へ向けて送られる。
【0079】
上記の走行情報取得ユニット170は、加速度センサ、角速度センサ等を備えて構成されており、車両CRに作用している加速度、角速度を検出する。また、走行情報取得ユニット170は、ナビゲーション装置100と、車両CRに搭載されている車速センサ210、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230から送られた検出結果を受ける。そして、これらのセンサから送られた検出結果を制御ユニット110で取扱可能な形態に変換する。こうして走行情報取得ユニット170における検出又は変換により得られた各データは、走行データとして制御ユニット110へ送られる。
【0080】
上記のGPS受信ユニット180は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、車両CRの現在位置を算出する。また、GPS受信ユニット180は、GPS衛星から送出された日時情報に基づいて、現在時刻を計時する。これらの現在位置および現在時刻に関する情報は、GPSデータとして制御ユニット110へ送られる。
【0081】
次に、上記の制御ユニット110について説明する。この制御ユニット110は、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路を備えて構成されている。制御ユニット110が様々なプログラムを実行することにより、上述した算出部735、決定部740B及び制御部750としての機能が実現されるようになっている。
【0082】
制御ユニット110は、走行情報取得ユニット170から送られた走行データ、及び、GPS受信ユニット180から送られたGPSデータに基づいて、記憶ユニット120中のデータを適宜参照し、利用者へのナビゲーション情報の提供処理を行う。こうしたナビゲーション情報の提供処理には、(a)利用者が指定する地域の地図を表示ユニット150の表示デバイスに表示するための地図表示、(b)車両CRが地図上のどこに位置するのか、また、どの方角に向かっているのかを算出し、表示ユニット150の表示デバイスに表示して利用者に提示するマップマッチング、(c)進行すべき方向等を的確にアドバイスするために行われる、表示ユニット150の表示デバイスへの案内誘導の表示のための制御、及び、音声出力ユニット140のスピーカから案内誘導を行う音声を出力するための制御等の処理が含まれる。
【0083】
また、制御ユニット110は、マップマッチング結果、車速の取得結果及び地図情報データMPDに基づいて設定音量VLC
L,VLC
Rを算出し、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rを擬似音生成ユニット130へ送る。かかる算出処理については、後述する。
【0084】
なお、制御ユニット110は、アクセル情報及び回転数情報の取得結果を、アクセル情報AR及び回転数情報ERとして、擬似音生成ユニット130へ送るようになっている。
【0085】
次いで、上記の擬似音生成ユニット130の構成について、説明する。
図4に示されるように、擬似音生成ユニット130は、擬似音信号生成部131と、DA変換部(Digital to Analogue)132とを備えている。また、擬似音生成ユニット130は、音量調整部133
L,133
Rと、パワー増幅部134
L,134
Rと、スピーカ135
L,135
Rとを備えている。
【0086】
上記の擬似音信号生成部131は、制御ユニット110から送られたアクセル情報AR及び回転数情報ERを受ける。引き続き、擬似音信号生成部131は、当該アクセル情報ARと当該回転数情報ERとの組み合わせに関連付けて内部の波形テーブルに登録された波形パターンを読み取る。そして、擬似音信号生成部131は、読み取られた波形パターンに基づいて、デジタル信号である擬似エンジン音信号を生成する。こうして生成された擬似エンジン音信号は、DA変換部132へ送られる。
【0087】
上記のDA変換部132は、DA変換器を備えて構成される。このDA変換部132は、擬似音信号生成部131から送られた擬似エンジン音信号を受ける。そして、DA変換部132は、擬似エンジン音信号をアナログ信号に変換する。DA変換部132による変換により得られたアナログ変換信号は、音量調整部133
L,133
Rへ送られる。
【0088】
上記の音量調整部133
L,133
Rのそれぞれは、電子ボリューム素子等を備えて構成されている。これらの音量調整部133
L,133
Rは、制御ユニット110から送られた設定音量VLC
L,VLC
Rに従って、DA変換部132から送られたアナログ変換信号に対して音量調整処理を施す。音量調整部133
L,133
Rのそれぞれによる調整結果である音量調整信号は、パワー増幅部134
L,134
Rへ送られる。
【0089】
上記のパワー増幅部134
L,134
Rのそれぞれは、パワー増幅器を備えて構成される。これらのパワー増幅部134
L,134
Rは、音量調整部133
L,133
Rから送られた音量調整信号を受ける。そして、パワー増幅部134
L,134
Rのそれぞれは、受信した音量調整信号をパワー増幅する。パワー増幅部134
L,134
Rのそれぞれによる増幅結果である出力音信号は、スピーカ135
L,135
Rへ送られる。
【0090】
上記のスピーカ135
Lは、車両CRの左前方が音出力方向となるように車両CRに設置される。このスピーカ135
Lは、パワー増幅部134
Lから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音を車両CRの左前方へ出力する。
【0091】
上記のスピーカ135
Rは、車両CRの右前方が音出力方向となるように車両CRに設置される。このスピーカ135
Rは、パワー増幅部134
Rから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音を車両CRの右前方へ出力する。
【0092】
[動作]
以上のように構成されたナビゲーション装置100の動作について、擬似エンジン音発生に際しての制御ユニット110による処理に主に着目して説明する。車速センサ210、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230は、検出動作を行っており、検出結果をナビゲーション装置100へ送っているものとする。また、制御ユニット110は、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230による検出結果を受けるたびに、直ちに、当該検出結果を反映したアクセル情報AR及び回転数情報ERを、擬似音生成ユニット130へ送っているものとする。
【0093】
擬似音発生制御に際しては、
図5に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット110が、マップマッチング結果に基づいて、車両CRの現在位置及び進行方向を特定する。また、制御ユニット110は、車速センサ210による検出結果に基づいて、車両CRの車速を特定する。
【0094】
次に、ステップS12において、制御ユニット110が、車両CRの現在位置及び進行方向に基づいて、記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照し、当該進行方向における車両CRが走行している道路と他の道路との次の交差位置までの走行距離(CPD)を特定する。引き続き、ステップS13において、制御ユニット110が、車速に基づいて、当該交差位置までの基準距離(TCD)を算出する。ここで、車速に対応する基準距離を算出するのは、擬似エンジン音による車両CRの接近の交差点付近への警告として有効するためである。
【0095】
次いで、ステップS14において、制御ユニット110が、車両CRの現在位置に基づいて、記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照し、車両CRが走行中の道路の幅(LDW)を特定する。引き続き、ステップS15において、制御ユニット110が、特定された道路幅(LDW)が、第1閾値TW1以下であるか否かを判定する。ここで、「第1閾値TW1」は、車両CRの両側に歩行者等が存在する可能性が高いといえるかとの観点から、調査、経験等に基づいて、予め定められる。
【0096】
ステップS15における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS15:Y)には、処理はステップS16へ進む。このステップS16では、制御ユニット110が、第1道路幅処理を行って、設定音量VLC
L,VLC
Rを算出する。かかる第1道路幅処理については、後述する。
【0097】
ステップS15における判定の結果が否定的であった場合(ステップS15:N)には、処理はステップS17へ進む。このステップS17では、制御ユニット110が、特定された道路幅(LDW)が、第2閾値TW2以上であるか否かを判定する。ここで、「第2閾値TW2」は、高速道路のように左右のどちら側にも歩行者等が存在する可能性が殆ど無いといえるほど道路幅が広いかという観点から、調査、経験等に基づいて、予め定められる。
【0098】
ステップS17における判定の結果が否定的であった場合(ステップS17:N)には、処理はステップS18へ進む。このステップS18では、制御ユニット110が、第2道路幅処理を行って、設定音量VLC
L,VLC
Rを算出する。かかる第2道路幅処理については、後述する。
【0099】
ステップS17における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS17:Y)には、処理はステップS19へ進む。このステップS19では、制御ユニット110が、第3道路幅処理を行って、設定音量VLC
L,VLC
Rを算出する。かかる第3道路幅処理については、後述する。
【0100】
上記のステップS16,S18,S19のいずれかにおいて設定音量VLC
L,VLC
Rが算出されると、制御ユニット110は、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rを擬似音生成ユニット130へ送る。そして、処理はステップS11へ戻る。以後、ステップS11〜S19の処理が繰り返されて、順次、設定音量VLC
L,VLC
Rが算出される。そして、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rが、擬似音生成ユニット130へ送られる。
【0101】
擬似音生成ユニット130では、制御ユニット110から送られたアクセル情報AR及び回転数情報ERに基づいて、擬似音信号生成部131が、擬似エンジン音信号を生成する。引き続き、DA変換部132が、擬似エンジン音信号をアナログ変換信号に変換する。
【0102】
次に、音量調整部133
L,133
Rが、制御ユニット110により算出された設定音量VLC
L,VLC
Rに従って、アナログ変換信号に対して音量調整処理を施す。そして、音量調整部133
Lが、音量調整結果をパワー増幅部134
Lへ送るとともに、音量調整部133
Rが、音量調整結果をパワー増幅部134
Rへ送る。引き続き、パワー増幅部134
Lによりパワー増幅されて生成された出力音信号が、スピーカ135
Lに送られるとともに、パワー増幅部134
Rによりパワー増幅されて生成された出力音信号が、スピーカ135
Rに送られる。
【0103】
この結果、スピーカ135
Lからは、パワー増幅部134
Lから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音が車両CRの左前方へ出力される。また、スピーカ135
Rからは、パワー増幅部134
Rから送られた出力音信号に従って、擬似エンジン音が車両CRの右前方へ出力される。
【0104】
《第1道路幅処理》
次に、上述したステップS16における第1道路幅処理について説明する。
【0105】
第1道路幅処理に際しては、
図6に示されるように、まず、ステップS21において、制御ユニット110が、交差位置までの走行距離(CPD)が交差位置までの基準距離(TCD)以下であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、処理はステップS22へ進む。
【0106】
ステップS22では、制御ユニット110が、第1定常出力処理を行う。この第1定常出力処理では、制御ユニット110が、車両CRの進行方向に対して左右対称的な到達範囲FPA(後述する
図7参照)を擬似エンジン音の到達範囲に決定する。ここで、「到達範囲FPA」は、第1閾値TW1以下の幅の道路における両側の歩行者や自転車に車両接近の注意喚起を行うとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0107】
引き続き、制御ユニット110が、到達範囲FPAに対応するスピーカ135
L及びスピーカ135
Rの設定音量VLC
L,VLC
Rを算出する。そして、制御ユニット110は、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rを擬似音生成ユニット130へ送る。
【0108】
なお、
図7には、道路幅が第1閾値TW1以下の道路LD1を走行中の車両CRに対して、第1定常出力処理において決定された擬似エンジン音の到達範囲FPAの例が示されている。
【0109】
上記のステップS21における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS21:Y)には、処理はステップS23へ進む。このステップS23では、制御ユニット110が、第1拡大範囲出力処理を行う。この第1拡大範囲出力処理では、制御ユニット110が、記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照して、走行中の道路と他の道路が、左側、右側及び左右両側のいずれへ延びているのかを判定する。そして、他の道路が左側へのみ延びる場合には、制御ユニット110は、車両CRの進行方向側及び左側が所定範囲の場合よりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む到達範囲を、交差位置までの走行距離に対応して決定する(後述する
図8参照)。
【0110】
また、他の道路が右側へのみ延びる場合には、制御ユニット110は、車両CRの進行方向側及び右側が所定範囲の場合よりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む範囲を、交差位置までの走行距離に対応して決定する。さらに、他の道路が左右両側へ延びる場合には、制御ユニット110は、車両CRの進行方向に対して対称的であり、かつ、到達範囲FPAよりも広い範囲であって、少なくとも交差位置を含む到達範囲を、交差位置までの走行距離に対応して決定する。
【0111】
なお、本実施例では、制御ユニット110は、交差位置までの走行距離が短くなるほど到達範囲の広さを狭めていき、交差位置までの走行距離が0となった時点においては、到達範囲FPAとするようにしている(後述する
図8参照)。
【0112】
引き続き、制御ユニット110が、決定された到達範囲に対応するスピーカ135
L及びスピーカ135
Rの設定音量VLC
L,VLC
Rを算出する。そして、制御ユニット110は、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rを擬似音生成ユニット130へ送る。
【0113】
なお、
図8には、道路幅が第1閾値TW1以下の道路LD1を走行中の車両CRに対して、走行中の道路と交差する他の道路LDLが、左側にのみ延びる場合に、第1拡大範囲出力処理において決定される擬似エンジン音の到達範囲EPAの変化の例が示されている。
【0114】
上述のステップS22又はステップS23の処理が終了すると、ステップS16の処理が終了する。そして、処理は、上述した
図5のステップS11へ戻る。
【0115】
《第2道路幅処理》
次に、上述したステップS18における第2道路幅処理について説明する。
【0116】
第2道路幅処理に際しては、
図9に示されるように、まず、ステップS31において、制御ユニット110が、車両CRの現在位置に基づいて記憶ユニット120内の地図情報データMPDを参照して、走行中の道路に対向車線があるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、処理はステップS32へ進む。
【0117】
ステップS32では、制御ユニット110が、交差位置までの走行距離(CPD)が交差位置までの基準距離(TCD)以下であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS32:N)には、処理はステップS33へ進む。
【0118】
ステップS33では、制御ユニット110が、第2定常出力処理を行う。この第2定常出力処理では、制御ユニット110が、車両CRの進行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性のある側が、上述した到達範囲FPAの場合よりも広い範囲を擬似エンジン音の到達範囲に決定する(後述する
図10参照)。なお、本実施例では、走行中の道路の幅が広くなるほど、到達範囲FPAからの拡大範囲が広くなるようにしている。かかる走行中の道路の幅と、擬似エンジン音の到達範囲の広さとの関係は、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0119】
引き続き、制御ユニット110が、決定された到達範囲に対応するスピーカ135
L及びスピーカ135
Rの設定音量VLC
L,VLC
Rを算出する。そして、制御ユニット110は、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rを擬似音生成ユニット130へ送る。
【0120】
なお、
図10には、道路幅が第1閾値TW1より広い道路LD2を走行中における、第2定常出力処理において決定された擬似エンジン音の到達範囲SPAの例が示されている。
【0121】
上記のステップS32における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS32:Y)には、処理はステップS34へ進む。このステップS34では、制御ユニット110が、第2拡大範囲出力処理を行う。この第2拡大範囲出力処理では、ベースとする到達範囲が上述の到達範囲FPAから到達範囲SPAとなることを除いて、上述したステップS23の場合と同様の処理が行われる。なお、走行中道路と交差する他の道路が左右両側に延びる場合には、車両CRに近い側の交差位置が少なくとも含まれるように、擬似エンジン音の到達範囲が決定される。
【0122】
上述のステップS33又はステップS34の処理が終了すると、ステップS18の処理が終了する。そして、処理は、上述した
図5のステップS11へ戻る。
【0123】
上記のステップS31における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS31:Y)には、処理はステップS35へ進む。ステップS35では、制御ユニット110が、交差位置までの走行距離(CPD)が交差位置までの基準距離(TCD)以下であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS35:N)には、処理はステップS36へ進む。
【0124】
ステップS36では、制御ユニット110が、第3定常出力処理を行う。この第3定常出力処理では、制御ユニット110が、車両の進行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在するはずのない側の面積が極小となるような範囲を到達範囲(後述する
図11参照)に決定する。
【0125】
引き続き、制御ユニット110が、決定された到達範囲に対応するスピーカ135
L及びスピーカ135
Rの設定音量VLC
L,VLC
Rとして算出する。なお、本実施例では、第3定常出力処理の場合には、対向車線側のスピーカの設定音量を「0」とするとともに、他方のスピーカの設定音量を上述の到達範囲FPAの場合と同様の設定音量とするようになっている。そして、制御ユニット110は、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rを擬似音生成ユニット130へ送る。
【0126】
なお、
図11には、道路幅が第1閾値TW1より広く、対向車線が存在する道路LD3を走行中の車両CRに対して、第3定常出力処理において決定された擬似エンジン音の到達範囲TPAの例が示されている。
【0127】
上記のステップS35における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS35:Y)には、処理はステップS37へ進む。このステップS37では、制御ユニット110が、第3拡大範囲出力処理を行う。この第3拡大範囲出力処理では、ベースとする到達範囲が上述の到達範囲FPAから到達範囲TPAとなることを除いて、上述したステップS34の場合と同様の処理が行われる。
【0128】
上述のステップS36又はステップS37の処理が終了すると、ステップS18の処理が終了する。そして、処理は、上述した
図5のステップS11へ戻る。
【0129】
《第3道路幅処理》
次に、上述したステップS19における第3道路幅処理について説明する。
【0130】
第3道路幅処理に際しては、
図12に示されるように、まず、ステップS41において、制御ユニット110が、交差位置までの走行距離(CPD)が交差位置までの基準距離(TCD)以下であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS41:N)には、処理はステップS42へ進む。
【0131】
ステップS42では、制御ユニット110が、第4定常出力処理を行う。この第4定常出力処理では、制御ユニット110が、擬似エンジン音の到達範囲を極小に決定する。なお、本実施例では、第4定常出力処理は、擬似エンジン音を車外に出力しない処理としている(後述する
図13参照)。
【0132】
引き続き、制御ユニット110が、スピーカ135
L及びスピーカ135
Rの設定音量VLC
L,VLC
Rとして「0」を算出する。そして、制御ユニット110は、算出された設定音量VLC
L,VLC
Rを擬似音生成ユニット130へ送る。
【0133】
なお、
図13には、道路幅が第2閾値TW2以上の道路LD4を走行中の車両CRに対して、第4定常出力処理において決定された擬似エンジン音の到達範囲の面積が「0」であることが示されている。
【0134】
上記のステップS41における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS41:Y)には、処理はステップS43へ進む。このステップS43では、制御ユニット110が、第4拡大範囲出力処理を行う。この第4拡大範囲出力処理では、上述したステップS23において実行される第1拡大範囲出力処理と同様の処理が行われる。
【0135】
以上説明したように、本実施例では、制御ユニット110が、車両CRの現在位置に基づいて、記憶ユニット120内の道路幅情報を参照し、車両CRが走行中の道路の幅を特定する。そして、制御ユニット110が、特定された道路幅に基づいて、車外に向けて出力する擬似音の到達範囲を決定し、決定された到達範囲に基づいて、擬似音生成ユニット130のスピーカ135
L及びスピーカ135
Rから出力する擬似音の設定音量VLC
L,VLC
Rを算出する。この結果、擬似音生成ユニット130のスピーカ135
L及びスピーカ135
Rから、設定音量VLC
L,VLC
Rに対応する音量の擬似音が、車外へ向けて出力される。
【0136】
したがって、本実施例によれば、走行中の道路種別に対応して変化する周囲における報知対象の存在の可能性を考慮した擬似音の出力制御を適切に行うことができる。
【0137】
また、本実施例では、車両CRの現在位置から、車両CRの進行方向における他の道路との交差位置までの距離が、車速に対応して設定される基準距離よりも長いときには、制御ユニット110が、特定された道路幅が第1閾値TW1以下である場合に、車両CRの進行方向に対して左右対称的な所定の到達範囲FPAを、擬似エンジン音の到達範囲に決定する。また、制御ユニット110は、特定された道路幅が第1閾値TW1から第2閾値TW2までの間であり、かつ、対向車線が存在しない場合には、車両CRの進行方向に対し歩行者等が近くに存在する可能性のある側が、到達範囲FPAの場合よりも広い範囲を擬似エンジン音の到達範囲に決定する。さらに、制御ユニット110は、特定された道路幅が第1閾値TW1から第2閾値TW2までの間であり、かつ、対向車線が存在する場合には、車両CRの進行方向に対して対向車線側、すなわち、歩行者等が存在するはずのない側の面積が極小となるような範囲を擬似エンジン音の到達範囲に決定する。
【0138】
このため、本実施例によれば、報知対象の存在の可能性を考慮しつつ、合理的な出力音量で擬似音の出力することができる。
【0139】
また、本実施例では、車両CRの現在位置から、車両CRの進行方向における他の道路との交差位置までの距離が、車速に対応して設定される基準距離よりも長く、かつ、車両CRが走行中の道路の幅が第2閾値TW2以上の場合には、制御ユニット110は、広さが極小となる範囲を擬似エンジン音の到達範囲に決定する。このため、高速道路のように左右のどちら側にも歩行者等が存在する可能性が殆ど無いといえる場合における無駄な擬似音の出力を防止することができる。
【0140】
[実施例の変形]
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0141】
例えば、上記の実施例では、擬似音生成ユニット130が、固定的な音出力を有するスピーカ135
L及びスピーカ135
Rの2個のスピーカを備えるようにしたが、例えば、回転を制御可能な部材に載置されたスピーカを少なくとも1個備えるようにしてもよい。
【0142】
また、上記の実施例では、擬似音生成ユニット130が、アクセル情報AR及び回転数情報ERに基づいて定まる波形パターンの擬似エンジン音を生成するようにしたが、固定的な波形パターンの擬似エンジン音を生成するようにしてもよい。この場合には、アクセル情報センサ220及び回転数情報センサ230による検出結果の取得が不要となる。
【0143】
また、上記の実施例では、擬似エンジン音の到達範囲の決定に際して車速を直接的には考慮しなかったが、車速が速いほど、擬似エンジン音の到達範囲を広くするようにしてもよい。
【0144】
また、上記の実施例では、第1〜第3拡大範囲出力処理において、交差位置に近づくほど、擬似エンジン音の到達範囲を狭くするようにしたが、擬似エンジン音の到達範囲を一定としたり、交差位置に近づくほど、擬似エンジン音の到達範囲を広くしたりするようにしてもよい。
【0145】
また、上記の実施例では、渋滞等の交通状況を考慮せずに擬似エンジン音の到達範囲を決定するようにしたが、例えば、渋滞に巻き込まれている場合には、擬似エンジン音を車外へ出力しないようにする等、渋滞等の交通状況を考慮して擬似エンジン音の到達範囲を決定するようにしてもよい。
【0146】
また、上記の実施例では、道路幅情報を含む地図情報を記憶した記憶ユニットを備えるとともに、車両の現在位置の検出機能を備えるナビゲーション装置が本発明の擬似音発生装置の機能を実現するようにしたが、本発明の擬似音発生装置を、ナビゲーション装置等とは独立した装置として構成してもよい。この場合、道路幅情報を含む地図情報の記憶機能や車両の現在位置の検出機能については、これらの機能を他の装置が有しているときには、当該他の装置の機能を利用するようにすることができる。
【0147】
また、上記の実施例では、擬似エンジン音を車外へ出力するようにしたが、歩行者等に対して注意を喚起できる音であれば、擬似エンジン音以外の擬似音を車外へ出力するようにしてもよい。
【0148】
なお、上記の実施例では、コンピュータによるプログラムの実行により、擬似音発生のための制御処理を行うようにしたが、当該擬似音発生のための制御の全部又は一部を、専用のLSI(Large Scale Integrated circuit)等を用いたハードウェアにより行うようにしてもよい。