(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技の進行に基づいて電気部品を制御させるために、少なくとも制御対象の電気部品を識別するための識別情報と、当該電気部品を制御する制御情報とを含むコマンドを送信する上位制御基板と、
前記上位制御基板による制御対象である電気部品と、固有の識別情報が予め記憶された記憶部と、前記上位制御基板から前記コマンドを受信した場合に当該コマンドに含まれる識別情報と固有の識別情報とを比較して一致した場合に前記コマンドに含まれる制御情報に基づいて前記電気部品の動作を制御する下位制御基板と、を備えた複数のサブアッセンブリと、
前記上位制御基板から前記コマンドをそれぞれ受信可能であり、かつ、複数の前記サブアッセンブリが何れも着脱可能であり、前記上位制御基板から前記コマンドを受信して、接続された前記サブアッセンブリへ前記コマンドを中継する機能、及び、入力系コネクタと出力系コネクタで構成される一対のコネクタを備え、互いにデイジーチェーン接続されると共に、同一構造の複数の共通中継基板とを有し、
終端の共通中継基板の出力系コネクタを、前記上位制御基板又はターミナルアダプタに接続することで、余剰コネクタを持たない閉塞状態とすることを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「本実施の形態」
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0022】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0023】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の
図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。
【0024】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0025】
上皿部28の周縁壁部32における
図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0026】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0027】
一体皿24における下皿部30の
図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0028】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0029】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0030】
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0031】
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0032】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっているが、単色に点灯するものであってもよい。或いは、レンズ部58を予め着色してもよい。
【0033】
ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0034】
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0035】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
【0036】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。なお、ベニヤ板に代えて透明アクリル板等が用いられる場合もある。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(
図3参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0037】
遊技盤18の遊技領域には、釘19(一部のみ指標)が点在して打ち込まれ、かつ風車21が取り付けられている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、機械的に動作する可動役物装置105A、105B、105C、105Dと、各種演出等の映像を表示する表示部106を備えている。可動役物装置105A、105B、105C、105Dは、詳細な説明は省略するが、後述する特別図柄抽選の結果に基づいて、遊技者に当選の期待感を持たせるための動作として、表示部106の前面にせり出したり、表示部106の表示面を広狭したり等の動作演出が実行されるようになっている。一方、表示部106は、LCD表示、LED表示等が適用可能であるが、特に表示形態に限定されるものではない。
【0038】
なお、本実施の形態は、
図2に示される可動役物装置105A、105B、105C、105Dにそれぞれ対応した、合計4種類の制御対象デバイスが設置されており、これらは、
図3及び
図5に示される如く、サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206としてユニット化されている(詳細後述)。
【0039】
表示部106では、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための図柄変動パターン演出が実行される。一例としては、3列の図柄列を個別に変動させ、その内の2列の図柄列が変動を停止したときの図柄が同一図柄となった場合を「リーチ」として遊技者に期待感を持たせる演出を実行し、最終列が停止して、既に停止している2列の図柄と同一図柄となった場合は当選、異なる図柄となった場合は落選を報知する。
【0040】
センター役物105の下辺部は、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
【0041】
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
【0042】
図2に示される如く、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)130が配置されている。特別図柄始動入賞口(A)130は常時入賞可能に上部が開口している。
【0043】
また、遊技盤18の遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0044】
一方、
図2に示される如く、センター役物105の
図2に向かって右側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
【0045】
この通過ゲート118の下方には、特別図柄始動入賞口(B)134が配置されている。特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、釘19によって通常は閉塞されている。
【0046】
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(
図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
【0047】
電動チューリップ136は、前記普通図柄抽選に当選したときに開放するようになっている。電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞開口部へのパチンコ球PBの受け入れが可能となり、パチンコ球PBの入賞が可能となる。
【0048】
前記特別図柄始動入賞口(B)134のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置して特別図柄抽選の大当たり専用のアタッカー112が配置されている。
【0049】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(
図3参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0050】
ここで、特別図柄始動入賞口(A)130又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選が実行される。
【0051】
この特別図柄抽選において「大当たり」に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技」「大役処理」等と言う場合がある)。
【0052】
なお、前記特別図柄抽選の抽選結果である当選(「大当たり」)は、主として表示部106の図柄変動表示演出において報知され、この図柄変動表示演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果の報知を待機(保留・記憶)し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、特別図柄抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることもあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0053】
例えば、通常時がセンター役物105に向かって左側を狙って打つ遊技(所謂「左打ち状態」)であるのに対して、前記大役処理中は、前記アタッカー112に向けて、センター役物105に向かって右側を狙って打つ遊技(所謂「右打ち状態」)に変更する。
【0054】
また、特定の遊技状態(例えば、大役処理後の一定期間の「右打ち状態」)で通過ゲート118を遊技球PBが通過すると、普通図柄抽選が実行され、当該普通図柄抽選に当選すると、前記電動チューリップ136を開放する。前記特定の遊技状態では、電動チューリップの開放期間が長いため、特定の遊技状態以外の遊技状態に比べて、特別図柄始動入賞口(B)134に入賞する確率は増えることになる。
【0055】
本実施の形態では、特定の遊技状態を「電動チューリップ136のサポート付の時短遊技状態」(「電サポ付時短」「電サポ付時短中」等と言う場合がある)とし、非電サポ付時短中のベースが20であるのに対し、この電サポ付時短中のベースが100となるように設定される。なお、ベースとは、発射球数に対する賞球払出数の割合であり、例えば、100球の遊技球PBが発射されて20球の賞球払出があるときをベース20といい、100球の賞球払出があるときをベース100という。
【0056】
また、遊技盤18には、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)130の左側(遊技盤18の左下)には、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、2個の一般入賞口120A、120Bとする。)が設けられた役物装置107が配置されている。一般入賞口120は、2個に限られるものではなく、例えば、基本的なベースや入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0057】
なお、本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(本実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)130及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留(遊技球の始動入賞に対する記憶)が可能となっている。なお、この保留球数は限定されるものではない。
【0058】
保留球数は、主として特別図柄表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109(
図2に示すセンター役物105を正面視したときの右下に配置)の一部である特別図柄記憶表示部によって報知される。
【0059】
また、センター役物105及び役物装置107との間の遊技盤18の表面には、当該表面よりも奥側に埋め込まれるように、電飾装置122が配置されている。この電飾装置122の前面には、釘19が打ち込まれている箇所があり、遊技球PBが通過可能な流路上にあることがわかる。このため、遊技者は、遊技球PBの動向を見る視線をずらさずに、当該電飾装置122の演出状態を視認可能となる。
(制御系の構成)
次に、
図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0060】
本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、
図3に示されるように、主制御基板150を中心として構成されており、この主制御基板150には、演出制御基板152と払出制御基板154とが接続されている。主制御基板150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御基板150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0061】
主制御基板150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号等)が送信される。
【0062】
主制御基板150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特別図柄始動入賞口(A)130への入賞球を検出する特
図A始動口センサ130S、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞球を検出する特
図B始動口センサ134S、「大当たり」の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120Bへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BSが接続されている。
【0063】
また、主制御基板150には、出力系として、遊技情報や遊技状態をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
【0064】
演出制御基板152には、入力系として、前記操作ボタン50が接続されている。また、演出制御基板152には、出力系として、前記電飾装置122のLEDチップ122A、並びにパチンコ機10の各種遊技部品に設けられた照明演出用の光源137、スピーカ60(60L、60C、60R、60U)が接続されている。
【0065】
さらに、演出制御基板152には、図柄制御基板156を介して表示部106が接続されている。
【0066】
また、演出制御基板152は、デイジーチェーン接続された4個の共通中継基板208A〜208Dの1つ(例えば、共通中継基板208A)に接続され、ている。共通中継基板208A〜208Dには、前述したサブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206が接続されている。サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206には、演出制御基板152から、共通中継基板208A〜208Dを介して、電源が供給されると共に、動作制御信号が送出されるようになっている。
【0067】
次に、払出制御基板154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御基板154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160を作動させて、賞球又は貸し球の払い出し及び停止動作と払出数を制御する。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(
図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0068】
さらに、払出制御基板154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0069】
図4は、遊技盤18の背面図である。遊技盤18の背面側には、透明箱型のセット盤210が取り付けられており、このセット盤210に前述した遊技仕様に基づく制御系、並びに当該制御系によって動作する可動役物装置等が集約して組み付けられている。
【0070】
図5(A)は、
図4に示す複雑な構成のセット盤210において、本発明の特徴に特化して簡略化した略構成図、
図5(B)は、
図5(A)の左側面図であり、以下、
図5に基づいて、セット盤210の構成を説明する。
【0071】
セット盤210の
図5(A)の下部には、主制御基板150取り付けられている。主制御基板150は、透明箱型の回路基板ケースに収容されている。
【0072】
また、セット盤210の中央には、矩形の貫通孔210Aが設けられており、液晶表示装置106が取り付けられている。このため、液晶表示装置106の表示面が、遊技盤18の中央のセンター役物105内で、遊技者に対峙される。
【0073】
液晶表示装置106の背面には、演出制御基板152が取り付けられている。演出制御基板152は、透明箱型の回路基板ケースに収容されている。
【0074】
なお、
図4、
図5では、図示を省略したが、セット盤210には、その他の制御系として、払出制御基板154、図柄制御基板156を含み、各種基板や電気部品が取り付けられている。
【0075】
また、セット盤210には、前記液晶表示装置106周りに、前述したサブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206(以下、総称する場合「制御対象デバイス」という場合がある)が配設されている。
【0076】
ここで、演出制御基板152では、遊技状態に応じて、制御対象デバイスに対して、選択的にその動作の制御を指示するため、それぞれに対して、電源、制御信号を送出するための配線が必要となる。
【0077】
この場合、従来は、演出制御基板152から出力される制御信号(シリアル信号)を集中して受け付け、当該制御信号を、シリアル−パラレル変換して、目的の制御対象デバイスへ送信するための配線がなされていた。この場合、各制御対象デバイスの相対位置関係が遊技盤18の構造や遊技仕様等によって様々であるため、所謂場当たり的な配線を強いられることとなり、セット盤210周りで、配線が複雑に入り組むことになる。
【0078】
そこで、本実施の形態では、制御対象デバイスの数に応じて、互いにデイジーチェーン接続された共通中継基板208A〜208Dを設けると共に、演出制御基板152からその内の1つの共通中継基板208Aに対して、全ての制御対象デバイスに対する電源線及び制御信号線(ハーネス212)を接続するようにした。
【0079】
(演出制御基板、共通中継基板、サブアッセンブリ間の物理的接続構成)
図5(A)に示される如く、演出制御基板152の左側面には、コネクタ214が取り付けられている。
【0080】
また、本実施の形態では、4個の制御対象デバイスに対してそれぞれ対応する4個の共通中継基板208A〜208Dが、セット盤210の四隅近傍に配設されている。共通中継基板208A〜208Dが、セット盤210の四隅にそれぞれ配置されることで、セット盤210の予め限られた領域内において、互いに最も離反した位置に分散されることになる。
【0081】
この共通中継基板208A〜208Dには、入力系コネクタ216、出力系コネクタ218、デバイス系コネクタ220が取り付けられている。
【0082】
また、共通中継基板208A〜208Dは、入力系コネクタ216、出力系コネクタ218の有無が異なる場合はあるが、基本的に同一構造である。例えば、
図5(A)において、最終段の共通中継基板208Dは出力コネクタ218(想像線で図示)が不要であり、未接続のコネクタの存在を回避するべく、この出力系コネクタ218を取り外す場合があるがそれ以外の構造は同一である。
【0083】
前記演出制御基板152のコネクタ214には、ハーネス212の一端が接続されている。ハーネス212の他端は、共通中継基板208Aの入力系コネクタ216に接続されている。
【0084】
また、共通中継基板208Aの出力系コネクタ218と共通中継基板208Bの入力系系コネクタ216との間、共通中継基板208Bの出力系コネクタ218と共通中継基板208Cの入力系コネクタ216との間、共通中継基板208Cの出力系コネクタ218と共通中継基板208Dの入力系コネクタ216との間は、それぞれハーネス222を介して互いに接続されている。
【0085】
これにより、構造的に、演出制御基板152及び4個の共通中継基板208A〜208Dは、所謂デイジーチェーン(数珠繋ぎ)接続されている。
【0086】
4個の共通中継基板208A〜208Dのそれぞれのデバイス系コネクタ220には、それぞれ物理的に最も近い制御対象デバイスであるサブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206の何れかとハーネス224を介して接続されている。
【0087】
この「物理的に最も近い制御対象デバイスに接続」とは、言い換えれば、共通中継基板208A〜208Dは、制御対象デバイスとの間に個々の関係はなく、接続が自由であり、最も配線距離を短くできるハーネス224の取り回しが可能であることを示す。従って、配線の取り回し等の理由で、意図的に最短同士を接続しない場合もある。
【0088】
(演出制御基板、共通中継基板、サブアッセンブリ間の電気的接続構成)
図6に示される如く、演出制御基板152と共通中継基板208Aとの間のハーネス212は、2種類の配線系統(電源線226、制御信号線228)が接続されている。
【0089】
電源線226による電力は、共通中継基板208A〜208Dを介して、各サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206に対して電力を供給するようになっている。
【0090】
一方、制御信号線228に基づき、演出制御基板152は、共通中継基板208A〜208Dを介して、各サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206とシリアル通信が可能となっている。
【0091】
ここで、サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206は、それぞれ、制御基板230を備えると共に、この制御基板230による制御により、電飾基板232に接続された光源等が発光制御、動作デバイス234の動作制御、センサ236からの信号監視等が実行される。なお、
図6では、サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206の構成を同一としたが、この構成は同一である必要はない。例えば、電飾基板232のみであってもよい。また、動作デバイス234としては、ソレノイドやモータの何れか一方又は両方であってもよく、センサ236の有無も問わない。
【0092】
ここで、各制御基板230は、それぞれ固有のアドレスを持っており、演出制御基板152との間のシリアル通信の初期段階で、演出制御基板152から送出されるアドレスとの照合を図り、制御信号の取捨選択を行う。このアドレス照合において一致した制御対象デバイスの制御基板230が、演出制御基板152から制御信号を受信し、動作制御されることになる。言い換えれば、各制御基板230では、アドレスの照合が一致しない場合は、以後の制御信号を受信しない、或いは無視するようになっている。
【0093】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0094】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、一球ずつ発射装置165によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0095】
(本実施の形態に係る遊技仕様)
本実施の形態では、所謂「左打ち」による遊技が基本(基本遊技)となる。すなわち、表示部106を境界として、遊技盤18の左側を通るように遊技球PBの発射強度を調整することで、風車や釘等の障害物に当接しながら、特別図柄始動入賞口(A)130へ遊技球を導いていき、入賞すると特別図柄抽選が実行される。
【0096】
特別図柄抽選は、表示部106にて実行される図柄変動パターン演出によって、遊技者に対し抽選結果の報知が実行される。図柄変動パターン演出は、主制御基板150からの指示信号等に基づき、図柄変動パターン選択テーブルから図柄変動パターン種が選択されて実行される。
【0097】
特別図柄抽選に当選すると、アタッカー112の開閉扉116が、所定時間、所定回数開放して、遊技球の入賞を通常遊技状態よりも飛躍的に高める大役処理が実行される。
【0098】
大役処理は、上記基本遊技とは別に、所謂「右打ち」による遊技となる。
【0099】
すなわち、表示部106を境界として、遊技盤18の右側を通るように遊技球PBの発射強度を調整することで、風車や釘等の障害物に当接しながら、アタッカー112へ遊技球を導いていく。
【0100】
次に、大役処理が終了すると、前記左打ちに戻る場合と、右打ちを継続する場合とがある。右打ちの継続された場合、特別図柄始動入賞口(B)134へ遊技球を導いていく。このとき、時短状態となっており、遊技球PBが通過ゲート118を通過すると普通図柄抽選が時短状態で実行され、当選(例えば、当選確率1/1.1)となれば電動チューリップ136が頻繁に開放され、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞が可能となる。遊技球PBがこの特別図柄始動入賞口(B)134に入賞すると、特別図柄始動入賞口(A)130と同様に特別図柄抽選が実行される。
【0101】
ここで、上記遊技仕様を実行するプログラムは、主制御基板150の記憶部(例えば、ROM)に記憶され、当該プログラムが実行される。また、主制御基板150では、電チューソレノイド138の動作、アタッカーソレノイド148の動作、並びに、ガイドランプユニットの点灯制御が実行される。
【0102】
さらに、演出制御基板152では、図柄制御基板156を介して表示部106の表示制御を含み、聴覚や視覚を通じた演出が実行され、払出制御基板154では遊技球PBの払い出し制御が実行される。
【0103】
上記一例として示した遊技仕様に基づく可動役物装置105A、105B、105C、105Dを含み、近年では、液晶表示装置106を中心とした画像表示による演出に加え、機械的な動作によって演出する可動役物装置が増加の傾向にある。
【0104】
このため、演出制御基板152から、各可動役物装置に対する電力供給や動作制御信号の送出のための配線が複雑化している。例えば、本実施の形態では、前記可動役物装置105A、105B、105C、105Dのそれぞれに対応した、合計4個の役物装置(サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206)がセット盤210に搭載され、演出制御基板152からの命令に基づいて動作するようになっている。
【0105】
セット盤210には、その中央部には、液晶表示装置106が取り付けられると共に、制御系として主制御基板150、演出制御基板152を含み、払出制御基板154、図柄制御基板156等の各種制御基板が配設される。その上で、制御対象デバイスが、限られたスペースに配置される。
【0106】
このため、演出制御基板152によって制御する制御対象デバイスが、配線として最適な相対位置関係にならない場合があり、複雑なハーネスの取り回しが必要で、配線作業が煩雑となるばかりでなく、セット盤210の周囲をハーネスが入り組んで配線されることで、メンテナンス作業にも多大な影響を及ぼすことになる。
【0107】
そこで、本実施の形態では、セット盤210の中央に設けられた演出制御基板152から、セット盤210上で、取付位置が分散している、4個のサブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206(制御対象デバイス)に対する配線を簡素化するようにした。
【0108】
すなわち、セット盤210に、制御対象デバイスの数に合わせて、何れの制御対象デバイスも接続可能な共通中継基板(208A〜208D)を配置し、演出制御基板152と複数の共通中継基板(208A〜208D)とをデイジーチェーン接続し、共通中継基板(208A〜208D)を最も近い制御対象デバイスに接続する。
【0109】
共通中継基板208A〜208では基本的に同一構造であるため、接続する制御対象デバイスが限定されないので、ハーネス212,222、224の取り回しを最短とすることができ、配線作業が簡便となり、配線後のメンテナンス作業も容易となる。
【0110】
次に、演出制御基板152からは、制御対象デバイスに動作制御指示が出力されることになるが、この場合、制御信号は全ての制御対象デバイスへ送出され、特定の制御対象デバイスがこれを認識し、動作する。
【0111】
以下、
図7のフローチャートに従い、制御対象デバイス(サブアッセンブリ(A)200、サブアッセンブリ(B)202、サブアッセンブリ(C)204、サブアッセンブリ(D)206)に設けられた制御基板230における、動作制御の流れについて説明する。この制御は、全ての制御対象デバイスがほぼ同時に実行する。
【0112】
ステップ250では、演出制御基板152からは、ハーネス224によって接続されている共通中継基板208A(又は208B又は208C又は208D)を介して、アドレス情報を受信したか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。
【0113】
また、ステップ250で肯定判定されると、ステップ252へ移行して、各制御対象デバイスに割り当てられて記憶されている固有アドレスを読み出し、次いでステップ254へ移行して、受信したアドレスと固有アドレスとを照合する。
【0114】
次のステップ256では、ステップ254での照合の結果、アドレスが一致しているか否かが判断される。このステップ256で否定判定された場合は、今回の制御指示に関して非対象であると判断し、何ら動作せずこのルーチンは終了する。
【0115】
また、ステップ256で肯定判定されると、今回の制御指示の対象であると判断し、ステップ258へ移行して、演出制御基板152から共通中継基板208A(又は208B又は208C又は208D)を介して、制御情報を取り込み、次いで、ステップ260へ移行して、取り込んだ制御情報に基づいて、デバイス動作制御を実行し、このルーチンは終了する。
【0116】
以上説明したように、本実施の形態では、セット盤210の適宜位置(例えば、四隅)に、ほぼ同一構造の共通中継基板208A〜208Dを配設し、演出制御基板152と、この複数(例えば、4個)の共通中継基板208A〜208Dをデイジーチェーン接続した。また、共通中継基板208A〜208Dに固有のアドレスを記憶させ、演出制御基板152からのアドレス情報に基づいて制御対象デバイスを特定可能とすることで、それぞれの共通中継基板208A〜208Dに対して、最も近傍に配置された制御対象デバイスを接続可能とし、ハーネス220,222、224の取り回しを簡便化し、配線作業並びにメンテナンス作業の容易化を図ることができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、
図5(A)に示される如く、演出制御基板152と、複数(例えば、4個)の共通中継基板208A〜208Dをデイジーチェーン接続する構成を示したが、共通中継基板208A〜208Dを完全同一構造(
図5(A)の想像線で示す出力系コネクタ218の存在)とするべく、
図8に示される如く、演出制御基板152に2系統のコネクタ214A、214Bを設け、一方は共通中継基板208Aにハーネス212Aを介して接続し、他方は共通中継基板208D(終端)にハーネス212Bを介して接続する構成としてもよい。また、共通中継基板208A〜208Dを完全同一構造とする手段として、デイジーチェーン接続の終端の共通中継基板208Dの出力コネクタ218にターミナルアダプタを取り付け、出力コネクタ218が使用不可となるように閉塞状態としてもよい。
【0118】
また、本実施の形態では、上位制御基板を演出制御基板152、下位制御基板を各サブッセンブリ(A)200、サブッセンブリ(B)202、サブッセンブリ(C)204、サブッセンブリ(D)206の制御基板230としたが、例えば、上位制御基板が主制御基板150、下位制御基板が演出制御基板152、払出制御基板154、図柄制御基板156等、上位:下位が1:Nの関係となる制御系に、複数の共通中継基板を適用すれば、同様の効果を奏することができる。さらに、遊技盤18だけではなく、枠側の制御系との配線に用いて配線を簡略化することで、遊技盤18の交換作業性を向上することができる。