(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明の画像読取り装置の第1実施形態を備えた画像形成装置を示す断面図である。この画像形成装置1は、原稿を読取って記録用紙に印刷する複写機能を有しており、画像読取り装置2、原稿搬送装置3、印刷部4、及び給紙カセット5等を備えている。
【0027】
この画像形成装置1において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、印刷部4においては、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、及び帯電器15を各色に応じた4種類のトナー像を形成するためにそれぞれ4個ずつ設け、それぞれをブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローに対応付けて、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdを構成している。
【0028】
各画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去及び回収した後、帯電器15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11により感光体ドラム13表面を露光して、その表面に静電潜像を形成し、現像装置12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0029】
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置25により中間転写ベルト21の残留トナーを除去及び回収した後、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
【0030】
中間転写ベルト21と2次転写装置26の転写ローラ26aとの間にはニップ域が形成されており、用紙搬送経路R1を通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ31と加圧ローラ32との間に記録用紙を挟み込んで加熱及び加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0031】
一方、記録用紙は、ピックアップローラ33により給紙カセット5から引出されて、用紙搬送経路R1を通じて搬送され、2次転写装置26や定着装置17を経由し、排紙ローラ36を介して排紙トレイ39へと搬出される。この用紙搬送経路R1には、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26a間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始するレジストローラ34、記録用紙の搬送を促す各搬送ローラ35、排紙ローラ36等が配置されている。
【0032】
また、記録用紙の表面だけではなく、裏面の印字を行う場合は、記録用紙を排紙ローラ36から反転経路Rrへと逆方向に搬送して、記録用紙の表裏を反転させ、記録用紙をレジストローラ34へと再度導き、記録用紙の表面と同様に、記録用紙の裏面に画像を記録して定着し、記録用紙を排紙トレイ39へと搬出する。
【0033】
次に、第1実施形態の画像読取り装置2について説明する。
図2は、画像読取り装置2及び原稿搬送装置3を示す断面図である。
【0034】
図2において、原稿搬送装置3は、その奥の一辺をヒンジ(図示せず)により下側の画像読取り装置2の一辺に枢支され、その手前側を上下させることにより開閉される。原稿搬送装置3を開いたときには、画像読取り装置2の原稿載置ガラス41が開放される。
【0035】
画像読取り装置2は、原稿載置ガラス41、原稿読取りガラス42、走査ユニット43、及び移動ユニット44等を備えている。移動ユニット44は、走査ユニット43を副走査方向Yにガイドするガイドシャフト48と、走査ユニット43を副走査方向Yに移動させて位置決めする駆動部(図示せず)とを備えている。
【0036】
走査ユニット43は、照明装置45、結像レンズ46、CCD(Charge Coupled Device)47、及び第1〜第4反射ミラー51〜54等を備え、移動ユニット44により原稿載置ガラス41及び原稿読取りガラス42のいずれかの下方に移動され、原稿載置ガラス41上に載置された原稿(被照射体)を読取ったり(第1読取りモード)、原稿読取りガラス42上で搬送される原稿(被照射体)を読取ったりする(第2読取りモード)。
【0037】
第1読取りモードでは、走査ユニット43を移動ユニット44により原稿載置ガラス41の下方に移動させ、原稿搬送装置3を開いて、原稿を原稿載置ガラス41上に載置し、原稿搬送装置3を閉じる。そして、走査ユニット43を移動ユニット44により副走査方向Yに原稿サイズに応じた距離だけ一定速度で移動させながら、原稿載置ガラス41上の原稿を照明装置45によって照明し、その反射光を第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ46へと導く。結像レンズ46は、原稿からの反射光をCCD47に集光して、原稿表面の画像をCCD47上に結像させる。CCD47は、原稿表面の画像を繰り返し主走査方向Xに走査して、原稿表面の画像を読取る。
【0038】
第2読取りモードでは、走査ユニット43を移動ユニット44により原稿読取りガラス42の下方に移動させて位置決めし、原稿搬送装置3により、原稿を原稿載置トレイ56から引き出して原稿読取りガラス42上で副走査方向Yに搬送し原稿排紙トレイ57へと排出させる。原稿が原稿読取りガラス42上を通過するときに、走査ユニット43の照明装置45により原稿表面を原稿読取りガラス42を介して照明し、原稿表面からの反射光を走査ユニット43の第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射して結像レンズ46へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ46によりCCD47に集光させて、原稿表面の画像をCCD47上に結像させ、CCD47により原稿表面の画像を主走査方向Xに繰返し走査して、原稿表面の画像を読取る。
【0039】
次に、走査ユニット43の照明装置45について説明する。
図3は、照明装置45の概略構成を上方から視て示す斜視図であり、
図4は、照明装置45の概略構成を下方から視て示す斜視図である。
図3及び
図4に示すように照明装置45では、主走査方向Xに延びるスリットStの両側に各導光部材71を配置し、各導光部材71の両端の光入射面71bにそれぞれのLED(発光素子)72を配置している。LEDの代わりに、他の種類の半導体素子や電球等を適用しても構わない。
【0040】
導光部材71は、透光性を有する四角柱状であって長尺な透光性本体からなり、透光性本体の長手方向Qの両端にそれぞれの光入射面71bが形成され、透光性本体の長手方向Qに沿う一側面に光出射面71aが形成され、透光性本体の長手方向Qに沿う他の側面に、光出射面71aと対向する光反射面71d及び出射光量調整部71eが形成されている。この導光部材71は、アクリル樹脂を金型で成形することにより形成される。
【0041】
図5に拡大して示すように光反射面71dは、平坦面である。また、出射光量調整部71eは、その縦断面形状が鋸刃状のものであって、鋸刃状の縦断面形状を形成する多数の傾斜面71fを有している。更に、導光部材71の長手方向Qと直交する方向での出射光量調整部71eの幅Fを、概ね導光部材71の両端の光入射面71bに近づくほど徐々に狭くしている。
【0042】
このような構成の照明装置45において、導光部材71の両端の光入射面71bにそれぞれのLED72が対峙していることから、各LED72から出射された光は、導光部材71の光入射面71bに入射し、導光部材71の内部で導光され、光出射面71aから直接出射されたり、光反射面71d又は出射光量調整部71eで反射されて光出射面71aから出射されたりする。このとき、鋸刃状の出射光量調整部71eは、導光部材71の内部で導光され該出射光量調整部71eに入射して来た光を乱反射して光出射面71aから出射させる。
【0043】
各導光部材71の光出射面71aは、原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を介して原稿の同一箇所に向けられており、各導光部材71の光出射面71aから出射されたそれぞれの光が原稿の同一箇所に入射して、原稿のその箇所が照明され、原稿のその箇所で反射された反射光がスリットStを通じて走査ユニット43の内側に導かれ、反射光が第1〜第4反射ミラー51〜54により順次反射され結像レンズ46を通じてCCD47に入射し、CCD47により原稿表面の画像が読取られる。
【0044】
また、導光部材71の出射光量調整部71eの幅Fを概ね導光部材71の両端の光入射面71bに近づくほど徐々に狭くすることにより、出射光量調整部71eの中央付近での反射光量を調節して、導光部材71の中央付近での出射光量の増大を図り、CCD47の受光面で受光される受光量分布を均一化している。
【0045】
ところで、照明装置45においては、各LED72が導光部材71の両端の光入射面71b近傍に設けられているが、導光部材71がアクリル樹脂製であるため、各LED72の発熱により導光部材71が加熱されて変形する可能性がある。また、画像読取り装置2では、原稿読取り速度が高速化されて、原稿を照明する光量が増大されているので、各LED72の発熱量が増大して、各LED72の寿命が低下する傾向にある。
【0046】
そこで、第1実施形態では、導光部材71の両端部を、走査ユニット43の筐体の両側壁から該筐体の外側に突出させている。従って、導光部材71の両端部及び各LED72が走査ユニット43の筐体の外側に配置されることになり、これにより導光部材71の両端部及び各LED72の放熱効率の向上が図られている。
【0047】
次に、走査ユニット43並びに照明装置45の構成を更に詳しく説明する。
図6は、走査ユニット43を拡大して示す断面図である。また、
図7は、走査ユニット43を示す斜視図であり、
図8は、走査ユニット43の端部を拡大して示す斜視図である。
【0048】
図6乃至
図8に示すように走査ユニット43は、上側が開口部となっている筐体61と、筐体61の上側の開口部に設けられた蓋状保持部材62と、蓋状保持部材62に設けられた照明装置45と、筐体61の長手方向(主走査方向X)に沿う側壁に設けられたCCD基板63とを有している。
【0049】
筐体61の内部には、結像レンズ46及び第1〜第4反射ミラー51〜54が設けられている。また、蓋状保持部材62は、筐体61の上側開口部を概ね覆い、照明装置45を保持している。更に、CCD基板63には、CCD47が実装され、CCD47の受光面が筐体61の側壁に形成されたスリット(図示せず)を通じて筐体61の内側を臨んでいる。
【0050】
蓋状保持部材62には、主走査方向Xに長い2本の嵌合溝62aと、各嵌合溝62aの間のスリットStとが形成されており、各嵌合溝62aにそれぞれの導光部材71が嵌め込まれている。照明装置45では、
図3及び
図4に示すように各LED72の光を導光部材71の光入射面71bに入射させ、各導光部材71の光出射面71aから光を出射して、この光を原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を介して原稿に照射する。原稿で反射された光は、原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を透過し、蓋状保持部材62のスリットStを通じて筐体61の内側に導かれ、第1〜第4反射ミラー51〜54で順次反射され、結像レンズ46を通じてCCD47に入射する。
【0051】
画像読取り装置2において、蓋状保持部材62の端部には、LED72の熱を放熱する放熱板65が設けられている。
【0052】
詳しくは、照明装置45は、2本の導光部材71及び4個のLED72の他に、LED72が2個ずつ実装された2枚のLED基板64と、各LED基板64の外側表面に重ねて設けられた2個の放熱板65とを有している。
【0053】
図9は、放熱板65を取り外して、LED基板64を露呈させた状態を拡大して示す斜視図であり、
図10は、LED基板64及び放熱板65を取り外して、蓋状保持部材62の端部を露呈させた状態を拡大して示す斜視図である。また、
図11A、
図11Bは、LED基板64及び放熱板65を蓋状保持部材62の端部に取り付けた状態を下方から視て示す斜視図である。
【0054】
図9、
図10、及び
図11A、
図11Bに示すように蓋状保持部材62は、スリットStを除いて、筐体61の上側開口部を覆うそれぞれの遮蔽部62b、62cと、各遮蔽部62b、62cの両端部を連結するそれぞれの連結部62dとを有している。各遮蔽部62b、62cには、各導光部材71が嵌め込まれるそれぞれの嵌合溝62a(
図6に示す)が形成されている。
【0055】
また、蓋状保持部材62の連結部62dには、各嵌合溝62aに通じる2個の開口孔62eが形成され、2本の導光部材71の光入射面71bが各開口孔62eに配置されている。更に、原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42に向く導光部材71の光出射面71aが露呈し、導光部材71の光出射面71aを除く他の3つの側面が嵌合溝62aの内側に配置されている。
【0056】
また、蓋状保持部材62の連結部62dには、連結部62dの中央に位置するネジ孔62fと、ネジ孔62fの両側に位置する2本のピン62g、62hとが形成されている。LED基板64は、金属製(例えばアルミ製)のものであって、1個の取付け孔64aと、取付け孔64aの両側に位置する2個の位置決め孔64b、64cとが形成され、またLED基板64の片面に2個のLED72が実装されている。放熱板65は、金属製(例えばアルミ製)のものであって、主板65aと、主板65aの両端部で折り曲げられた2枚の側板65bとを有している。主板65aには、1個の取付け孔65cと、取付け孔65cの両側に位置する2個の位置決め孔65d、65eとが形成され、また各側板65bの上辺には、それぞれの切欠部65fが形成されている。
【0057】
ここで、蓋状保持部材62の連結部62dに突設された各ピン62g、62hをLED基板64の各位置決め孔64b、64cに挿入して、LED基板64を連結部62dに重ね合わせると、連結部62dに対してLED基板64が位置決めされ、LED基板64の取付け孔64aが連結部62dのネジ孔62fに重なる。また、LED基板64上の各LED72が連結部62dの各開口孔62eに配置されて、各LED72の光出射面が各開口孔62eの内側で各導光部材71の光入射面71bと対峙し、各LED72の光出射面から出射された光が各導光部材71の光入射面71bに入射し得る状態となる。
【0058】
更に、蓋状保持部材62の連結部62dに突設された各ピン62g、62hを放熱板65の主板65aの2個の位置決め孔65d、65eに挿入して、放熱板65の主板65aをLED基板64に重ね合わせると、連結部62d並びにLED基板64に対して放熱板65の主板65aが位置決めされ、放熱板65の主板65aの取付け孔65cがLED基板64の取付け孔64a並びに連結部62dのネジ孔62fに重なる。この状態で、ネジ73が放熱板65の主板65aの取付け孔65c及びLED基板64の取付け孔64aに通されて連結部62dのネジ孔62fにねじ込まれて締結され、放熱板65及びLED基板64が連結部62dに固定される。蓋状保持部材62の両端の連結部62dのいずれにも、放熱板65及びLED基板64が固定され、各導光部材71の両端の光入射面71bにそれぞれのLED72が対峙して配置される。
【0059】
このような構成の照明装置45においては、
図6乃至
図10、
図11A、
図11Bから明らかなように蓋状保持部材62の各遮蔽部62b、62cの両端が走査ユニット43の筐体61の両側壁から該筐体61の外側に突出し、また各遮蔽部62b、62cの両端に設けられた各連結部62dも筐体61の外側に突出し、更に各遮蔽部62b、62c間のスリットStが筐体61の両側壁から該筐体61の外側まで延在している。
【0060】
また、各導光部材71は、蓋状保持部材62の各遮蔽部62b、62cの嵌合溝62aに嵌め込まれて保持され、各導光部材71の両端部が蓋状保持部材62の両側の各連結部62dまで延在している。そして、各連結部62d別に、2本の導光部材71の光入射面71bが連結部62dの各開口孔62eに配置され、LED基板64及び放熱板65が連結部62dに取り付けられ、LED基板64上の各LED72が連結部62dの各開口孔62eに配置されている。従って、2本の導光部材71の両端部、各LED72、2枚のLED基板64、及び2個の放熱板65は、筐体61の外側に配置されている。
【0061】
ここで、LED基板64上の各LED72が発熱すると、各LED72の熱がLED基板64を通じて放熱板65へと伝導され、放熱板65の熱が空気の対流により放熱される。この放熱板65が筐体61の外側に配置されているので、放熱板65の周囲では空気が滞ることなく対流し、放熱板65の放熱効率が高く、各LED72の温度上昇が抑えられ、延いては導光部材71の端部の温度上昇も抑えられる。また、放熱板65だけではなく、導光部材71の端部、LED基板64、及び各LED72が筐体61の外側に配置されているので、導光部材71の端部、LED基板64、及び各LED72の近傍で熱がこもり難く、これらからの放熱効率が向上し、これによっても各LED72及び導光部材71の端部の温度上昇が抑えられる。
【0062】
より詳しく説明すると、放熱板65については、筐体61の外側に配置されていることから、
図8及び
図11Aに示すように該放熱板65の上下方向Z1、Z2、左右方向(横方向両側)Y1、Y2、及び外向き方向X1で開放されている。上下方向Z1、Z2、左右方向Y1、Y2、及び外向き方向X1は、互いに直交する方向である。また、
図2から明らかなように画像読取り装置2においては、走査ユニット43の上下方向Z1、Z2及び左右方向Y1、Y2に空間があり、更に走査ユニット43の筐体61の両側に設けられた各放熱板65と画像読取り装置2の筐体の両側内壁との間にも空間がある。従って、走査ユニット43の両側の各放熱板65の上下方向Z1、Z2、左右方向Y1、Y2、及び外向き方向X1には空間がある。
【0063】
このため、各LED72が発熱して、放熱板65の温度が上昇したときには、放熱板65の周囲の空気が加熱されて速やかに対流し、この空気の速やかな対流により放熱板65の熱が効率的に放熱される。
【0064】
また、LED基板64及び放熱板65のいずれもアルミ製であるため、各LED72の熱がLED基板64を通じて放熱板65へと良好に伝導されて放熱され、各LED72の温度上昇が抑えられる。更には、各LED72から各導光部材71の端部へと伝導される熱量が抑えられ、各導光部材71の端部の温度上昇も抑えられる。
【0065】
また、
図11A、
図11Bから明らかなように蓋状保持部材62の各遮蔽部62b、62cの端部を連結する連結部62dが筐体61の側壁から離間し、各遮蔽部62b、62c間のスリットStが筐体61の側壁から該筐体61の外側まで延在しているので、連結部62dと筐体61の側壁との間には、スリットStを通じて上下方向に空気の対流が生じる。このスリットStを通じて生じる上下方向の空気の対流は、連結部62dの周辺に生じるため、連結部62dの熱が効率的に放熱され、連結部62dの各開口孔62eに配置された各LED72の熱及び各導光部材71の端部の熱がこもり難く、各LED72及び各導光部材71の端部の温度上昇が抑えられる。また、スリットStを通じて生じる上下方向の空気の対流は、筐体61の側壁に向くLED基板64の片面、つまり各LED72が実装されたLED基板64の片面からの放熱を促すため、各LED72の温度上昇がより抑えられ、各導光部材71の端部の温度上昇もより抑えられる。
【0066】
また、
図11A、
図11Bから明らかなように放熱板65の各側板65bの外側面全体が露出しているので、各側板65bの外側面に沿う空気の対流によっても放熱板65の熱が放熱される。更に、放熱板65の主板65aの縦幅がLED基板64の縦幅よりも広く、放熱板65の主板65aの内側面の上下部分が露出し、放熱板65の各側板65bの内側面も殆ど露出しているので、スリットStを通じての上下方向の空気の対流により放熱板65の熱がより効率的に放熱される。
【0067】
このように第1実施形態では、2本の導光部材71の両端部を筐体61の両側壁から外側に突出させて、蓋状保持部材62のスリットStも外側に延在させ、これに伴い各LED72、2枚のLED基板64、及び2個の放熱板65を筐体61の両側壁から離間させて筐体61の外側に配置している。このため、放熱板65の周囲では空気が滞ることなく対流し、放熱板65の放熱効率が高く、各LED72の温度上昇が抑えられ、導光部材71の端部の温度上昇も抑えられる。また、導光部材71の端部、LED基板64、及び各LED72の近傍で熱がこもり難く、これらからの放熱効率が向上し、これによっても各LED72及び導光部材71の端部の温度上昇が抑えられる。
【0068】
次に、第2実施形態の画像読取り装置2について説明する。第2実施形態は、第1実施形態と比較すると、照明装置45の導光部材71の代わりに、
図12(a)、(b)に示すような導光部材71Aを用いている点が異なる。
【0069】
また、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、2本の導光部材71Aを蓋状保持部材62の各嵌合溝62aに嵌め込んで、各LED72の光を各導光部材71Aの光入射面71bに入射させ、各導光部材71Aの光出射面71aから光を出射して、この光を原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を介して原稿に照射する。
【0070】
また、第1実施形態と同様に、蓋状保持部材62の両端を走査ユニット43の筐体61の両側壁から該筐体61の外側に突出させ、各導光部材71Aの両端も筐体61の外側に突出させて、各導光部材71Aの両端及び各LED72等の放熱効率の向上を図っている。
【0071】
ここで、
図12(a)に示すように導光部材71Aは、導光部材71Aの長手方向Qと直交する方向での導光部材71Aの幅を導光部材71Aの両端の光入射面71bに近づくほど徐々に狭くして、導光部材71Aの光出射面71aの幅及び出射光量調整部71eの幅Fを導光部材71Aの幅に一致させたものである。このため、導光部材71Aは、
図5の導光部材71の光反射面71dに相当する面を有していない。
【0072】
このような導光部材71Aを用いた構成においても、出射光量調整部71eの中央付近での反射光量を調節して、導光部材71Aの中央付近での出射光量の増大を図り、CCD47の受光面で受光される受光量分布を均一化することができる。
【0073】
次に、第3実施形態の画像読取り装置2について説明する。第3実施形態は、第1実施形態と比較すると、照明装置45の導光部材71の代わりに、
図13(a)、(b)に示すような導光部材71Bを用いている点が異なる。
【0074】
また、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、2本の導光部材71Bを蓋状保持部材62の各嵌合溝62aに嵌め込んで用いている。更に、第1実施形態と同様に、蓋状保持部材62の両端を走査ユニット43の筐体61の両側壁から該筐体61の外側に突出させ、各導光部材71Bの両端も筐体61の外側に突出させて、各導光部材71Bの両端及び各LED72等の放熱効率の向上を図っている。
【0075】
ここで、
図13(a)に示すように導光部材71Bは、導光部材71Bの長手方向Qと直交する方向での出射光量調整部71eの幅Fを導光部材71Bの一定幅に一致させたものである。このため、導光部材71Bは、
図5の導光部材71の光反射面71dに相当する面を有していない。
【0076】
このような導光部材71Bを用いた構成においても、各LED72の光を各導光部材71Bの光入射面71bに入射させ、各導光部材71Bの光出射面71aから光を出射して、この光を原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を介して原稿に概ね均一に照射することができる。
【0077】
次に、第4実施形態の画像読取り装置2について説明する。
図14は、第4実施形態の画像読取り装置2を拡大して示す断面図である。第4実施形態は、第1実施形態と比較すると、照明装置45の導光部材71を1本だけ用いている点が異なる。
【0078】
図14に示すように蓋状保持部材62に1本の嵌合溝62aを形成して、1本の導光部材71を嵌合溝62aに嵌め込んでいる。また、第1実施形態と同様に、蓋状保持部材62の両端を走査ユニット43の筐体61の両側壁から該筐体61の外側に突出させ、導光部材71の両端も筐体61の外側に突出させて、導光部材71の両端及び各LED72等の放熱効率の向上を図っている。
【0079】
このような1本の導光部材71を用いた構成においても、各LED72の光を導光部材71の光入射面71bに入射させ、導光部材71の光出射面71aから光を出射して、この光を原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を介して原稿に概ね均一に照射することができる。
【0080】
次に、第5実施形態の画像読取り装置2について説明する。
図15は、第5実施形態の画像読取り装置2を拡大して示す断面図である。第5実施形態は、第1実施形態と比較すると、照明装置45の導光部材71を1本だけ用い、導光部材71の光出射面71aから出射された光を反射して原稿に入射させるミラー74を追加した点が異なる。
【0081】
図15に示すように蓋状保持部材62に1本の嵌合溝62aを形成して、1本の導光部材71を嵌合溝62aに嵌め込み、スリットStに対して導光部材71とは反対側にミラー74を傾斜させて支持している。また、第1実施形態と同様に、蓋状保持部材62の両端を走査ユニット43の筐体61の両側壁から該筐体61の外側に突出させ、導光部材71の両端及びミラー74の両端も筐体61の外側に突出させて、導光部材71の両端及び各LED72等の放熱効率の向上を図っている。
【0082】
このような導光部材71及びミラー74を用いた構成においては、各LED72の光を導光部材71の光入射面71bに入射させ、導光部材71の光出射面71aから光を出射して、この光を原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を介して原稿に概ね均一に照射することができる。また、導光部材71の光出射面71aから出射された光をミラー74の反射面74aで反射して原稿に入射させることができる。これにより、導光部材71の光出射面71aから出射された光が原稿の照明のために効率的に用いられる。尚、第1乃至第5実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0083】
次に、第6実施形態の画像読取り装置について説明する。
図16は、第6実施形態の画像読取り装置を拡大して示す断面図である。
【0084】
図16に示すように第6実施形態の画像読取り装置81は、
図2に示す原稿搬送装置3と組み合わされて、
図1の画像形成装置1で用いられるものである。
【0085】
画像読取り装置81は、原稿載置ガラス41、原稿読取りガラス42、第1走査ユニット83、第2走査ユニット84、結像レンズ85、及びCCD(Charge Coupled Device)86等を備えている。第1走査ユニット83は、照明装置91及び第1反射ミラー92を有しており、副走査方向Yへと原稿サイズに応じた距離だけ一定速度Vで移動しながら、原稿載置ガラス41上の原稿を照明装置91によって照明し、その反射光を第1反射ミラー92により反射して第2走査ユニット84へと導き、これにより原稿表面の画像を副走査方向Yに走査する。第2走査ユニット84は、第2及び第3反射ミラー93、94を備えており、第1走査ユニット83に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿からの反射光を第2及び第3反射ミラー93、94により反射して結像レンズ85へと導く。結像レンズ85は、原稿からの反射光をCCD86に集光して、原稿表面の画像をCCD86上に結像させる。CCD86は、原稿の画像を繰り返し主走査方向に走査する。
【0086】
第1及び第2走査ユニット83、84には、それぞれのプーリー(図示せず)が設けられており、これらのプーリーにワイヤー(図示せず)が架け渡され、このワイヤーがステッピングモータにより駆動されて、第1及び第2走査ユニット83、84が同期移動される。
【0087】
また、原稿搬送装置3により搬送されている原稿表面の画像を読取る場合は、第1走査ユニット83を原稿読取りガラス42下方に移動させ、第1走査ユニット83の位置に応じて第2走査ユニット84を位置決めし、この状態で、原稿搬送装置3による原稿の搬送を開始し、原稿を原稿載置トレイ56から引き出して原稿読取りガラス42上で副走査方向Yに搬送し原稿排紙トレイ57へと排出させる。
【0088】
この原稿の搬送に際し、第1走査ユニット83の照明装置91により原稿表面を原稿読取りガラス42を介して照明し、原稿表面からの反射光を第1及び第2走査ユニット83、84の各反射ミラーにより結像レンズ85へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ85によりCCD86に集光させ、原稿表面の画像をCCD86上に結像させ、これにより原稿表面の画像を読取る。
【0089】
次に、第1走査ユニット83の照明装置91について説明する。
図17は、第1走査ユニット83並びに照明装置91を模式的に示す側面図であり、
図18は、第1走査ユニット83並びに照明装置91を斜め上方向から視て模式的に示す斜視図である。
図17及び
図18に示すように第1走査ユニット83は、主走査方向Xに延びるスリットStを有する筐体101と、筐体101により支持された照明装置91と、筐体101に内蔵された第1反射ミラー92とを備えている。照明装置91は、スリットSt両側に配置された相互に平行な細長い形状の各導光部材102と、各導光部材102の両端の光入射面102aに対向配置されたそれぞれのLED(発光素子)103とを備えている。
【0090】
各導光部材102別に、各LED103の光は、導光部材102の両端の光入射面102aから該導光部材102へと入射し、導光部材102の光出射面102bから出射される。各導光部材102の光出射面102bから出射された光は、原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を通じて原稿に照射され、原稿からの反射光が原稿載置ガラス41又は原稿読取りガラス42を通じてスリットStに入射し、この反射光がスリットStを通じて第1反射ミラー92に入射する。
【0091】
このような照明装置91においては、
図18に示すように各導光部材102の両端部及び各LED103が第1走査ユニット83の筐体101の両外側に配置されて、各導光部材102の両端部及び各LED103の放熱効率の向上が図られている。各導光部材102及び各LED103を筐体101の両外側に支持するには、第1実施形態の蓋状保持部材62と同様のものを筐体101の開口部に設ければよい。この場合は、各導光部材102の両側に各LED基板64や各放熱板65を設けることができる。更に、各放熱板65の周囲に空間を設けて、各放熱板65の放熱効率を向上させたり、スリットStを筐体101の外側まで延在させて、スリットStを通じる空気の対流を生じさせたりしてもよい。
【0092】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。