特許第6205513号(P6205513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6205513球面すべり支承の施工方法、固定治具付き球面すべり支承、および固定治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6205513
(24)【登録日】2017年9月8日
(45)【発行日】2017年9月27日
(54)【発明の名称】球面すべり支承の施工方法、固定治具付き球面すべり支承、および固定治具
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20170914BHJP
【FI】
   F16F15/02 L
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-40769(P2017-40769)
(22)【出願日】2017年3月3日
【審査請求日】2017年3月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】上月 俊輔
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−247353(JP,A)
【文献】 特開2003−247590(JP,A)
【文献】 特開2009−216238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/00−15/36
F16F 7/00−7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球面すべり支承の上面視において矩形状に形成される上部支承部と、前記上面視において矩形状に形成される下部支承部と、前記上部支承部と前記下部支承部との間に設けられるスライダと、を有する球面すべり支承の施工方法であって、
前記上面視において、前記上部支承部の角部と前記下部支承部の角部とを、前記球面すべり支承の中心軸線回りに周回する周方向に互いにずらして配置し、前記上部支承部の辺部と前記下部支承部の辺部とを、互いに交差させる工程と、
屈曲部を介して第1板と第2板とが接続されてなり、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具を、前記上部支承部および前記下部支承部に取付ける第1工程と、
前記第1工程の後、前記上部支承部および前記下部支承部に、上部構造および下部構造をそれぞれ固定する第2工程と、
前記第2工程の後、前記上部支承部および前記下部支承部のうちの少なくとも一方から前記固定治具を取り外す第3工程と、
を備え
前記第1工程では、前記第1板が前記上面視において前記上部支承部の前記辺部に沿って延び、前記第2板が前記上面視において前記下部支承部の前記辺部に沿って延びるように、前記固定治具を、前記上部支承部の前記辺部と前記下部支承部の前記辺部との交差部分に配置することを特徴とする球面すべり支承の施工方法。
【請求項2】
球面すべり支承の上面視において矩形状に形成され、上部構造が固定される上部支承部、前記上面視において矩形状に形成され、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有する球面すべり支承と、
前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具と、を備え
前記上面視において、前記上部支承部の角部と前記下部支承部の角部とが、前記球面すべり支承の中心軸線回りに周回する周方向に互いにずらされて配置され、前記上部支承部の辺部と前記下部支承部の辺部とが、互いに交差し、
前記固定治具は、前記上部支承部の前記辺部と前記下部支承部の前記辺部との交差部分に配置され、
前記固定治具は、
前記上面視において前記上部支承部の前記辺部に沿って延びる第1板と、
前記上面視において前記下部支承部の前記辺部に沿って延びる第2板と、
前記第1板と前記第2板とを接続する屈曲部と、を備えることを特徴とする固定治具付き球面すべり支承。
【請求項3】
前記固定治具の前記第1板および前記第2板の少なくとも1つは角部に切欠きを有することを特徴とする請求項に記載の固定治具付き球面すべり支承。
【請求項4】
前記固定治具は、前記球面すべり支承を吊り下げて運搬するための吊り穴を有することを特徴とする請求項2または3に記載の固定治具付き球面すべり支承。
【請求項5】
複数の前記固定治具が前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の固定治具付き球面すべり支承。
【請求項6】
球面すべり支承の上面視において矩形状に形成され、上部構造が固定される上部支承部、前記上面視において矩形状に形成され、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有し、前記上面視において、前記上部支承部の角部と前記下部支承部の角部とが、前記球面すべり支承の中心軸線回りに周回する周方向に互いにずらされて配置され、前記上部支承部の辺部と前記下部支承部の辺部とが、互いに交差する球面すべり支承に取り付けられる固定治具であって、
前記上部支承部の前記辺部と前記下部支承部の前記辺部との交差部分に配置されて前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制し
前記上面視において前記上部支承部の前記辺部に沿って延びる第1板と、
前記上面視において前記下部支承部の前記辺部に沿って延びる第2板と、
前記第1板と前記第2板とを接続する屈曲部と、
を備えることを特徴とする固定治具。
【請求項7】
上部支承部と、下部支承部と、前記上部支承部と前記下部支承部との間に設けられるスライダと、を有する球面すべり支承の施工方法であって、
前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具を、前記上部支承部および前記下部支承部に取付ける第1工程と、
前記第1工程の後、前記固定治具が有する吊り穴を用いて前記球面すべり支承を吊り下げ搬送し、前記上部支承部および前記下部支承部に、上部構造および下部構造をそれぞれ固定する第2工程と、
前記第2工程の後、前記上部支承部および前記下部支承部のうちの少なくとも一方から前記固定治具を取り外す第3工程と、
を備えることを特徴とする球面すべり支承の施工方法。
【請求項8】
上部構造が固定される上部支承部、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有する球面すべり支承と、
前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具と、を備え、
前記固定治具は、前記球面すべり支承を吊り下げて運搬するための吊り穴を有することを特徴とする固定治具付き球面すべり支承。
【請求項9】
上部構造が固定される上部支承部、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有する球面すべり支承に取り付けられる固定治具であって、
前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制し、
前記球面すべり支承を吊り下げて運搬するための吊り穴を有することを特徴とする固定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球面すべり支承の施工方法、固定治具付き球面すべり支承、および固定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、物流倉庫等の高度な免震性能が要求される建物などに設けられる免震装置として、球面すべり支承が知られている。球面すべり支承は、上部構造に固定される上部支承部と、下部構造に固定される下部支承部と、上部支承部と下部支承部との間に設けられるスライダと、を有する。スライダは、上部支承部と下部支承部との間でスライド移動可能となっており、地震等の大きな振動エネルギーが作用した際には、上部支承部と下部支承部とが水平方向に相対的に変位してスライダが上部支承部と下部支承部との間で振り子のように移動する。これにより、球面すべり支承を用いた高性能な免震が実現可能である。
【0003】
特許文献1は従来の球面すべり支承の施工方法を開示する。特許文献1に開示される施工方法においては、下部構造から立設された支持部材の上に下部支承部の上面となる金属板を載置し、下部構造と金属板との間隙にグラウト材を充填して金属板とグラウト材とを一体化させる。これにより、金属板とグラウト材とからなる下部支承部を形成する。その後、下部支承部(金属板)の上面にスライダを設置し、スライダ上に上部支承部を設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−27935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高性能な免震を実現するためには、上部支承部と下部支承部との位置決めを精密に行う必要がある。しかしながら、特許文献1に開示される球面すべり支承の施工方法では、工事現場にて球面すべり支承が製作されるため、上部支承部と下部支承部との位置決めを精密に行うのが困難であった。また、特許文献1に開示される球面すべり支承の施工方法では、工事現場にてグラウト材を充填する作業が必要であるため、球面すべり支承の施工が複雑であり、工期も長期化する可能性があった。
さらに、一般的に、球面すべり支承の設置後に、上部支承部の上面を基準として上部構造が施工される。スライダは上部支承部および下部支承部に対してスライド移動可能となっているため、上部構造の施工時には、上部支承部を固定して、スライダにより上部支承部が回転して傾くことを防止する必要がある。しかしながら、特許文献1には、上部構造の施工時の上部支承部の固定については何ら開示されていない。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、上部支承部と下部支承部との精密な位置決めが可能であり、かつ施工性に優れた球面すべり支承の施工方法、固定治具付き球面すべり支承、および固定治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の球面すべり支承の施工方法は、球面すべり支承の上面視において矩形状に形成される上部支承部と、前記上面視において矩形状に形成される下部支承部と、前記上部支承部と前記下部支承部との間に設けられるスライダと、を有する球面すべり支承の施工方法であって、前記上面視において、前記上部支承部の角部と前記下部支承部の角部とを、前記球面すべり支承の中心軸線回りに周回する周方向に互いにずらして配置し、前記上部支承部の辺部と前記下部支承部の辺部とを、互いに交差させる工程と、屈曲部を介して第1板と第2板とが接続されてなり、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具を、前記上部支承部および前記下部支承部に取付ける第1工程と、前記第1工程の後、前記上部支承部および前記下部支承部に、上部構造および下部構造をそれぞれ固定する第2工程と、前記第2工程の後、前記上部支承部および前記下部支承部のうちの少なくとも一方から前記固定治具を取り外す第3工程と、を備え、前記第1工程では、前記第1板が前記上面視において前記上部支承部の前記辺部に沿って延び、前記第2板が前記上面視において前記下部支承部の前記辺部に沿って延びるように、前記固定治具を、前記上部支承部の前記辺部と前記下部支承部の前記辺部との交差部分に配置することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の固定治具付き球面すべり支承は、球面すべり支承の上面視において矩形状に形成され、上部構造が固定される上部支承部、前記上面視において矩形状に形成され、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有する球面すべり支承と、前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具と、を備え、前記上面視において、前記上部支承部の角部と前記下部支承部の角部とが、前記球面すべり支承の中心軸線回りに周回する周方向に互いにずらされて配置され、前記上部支承部の辺部と前記下部支承部の辺部とが、互いに交差し、前記固定治具は、前記上部支承部の前記辺部と前記下部支承部の前記辺部との交差部分に配置され、前記固定治具は、前記上面視において前記上部支承部の前記辺部に沿って延びる第1板と、前記上面視において前記下部支承部の前記辺部に沿って延びる第2板と、前記第1板と前記第2板とを接続する屈曲部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような球面すべり支承の施工方法および固定治具付き球面すべり支承によると、第1工程において、例えば工場にて固定治具を球面すべり支承に取り付けることにより球面すべり支承の上部支承部と下部支承部との相対変位を規制し、その後、第2工程において、球面すべり支承を工事現場まで運搬して設置する。第2工程を実施する前に、工場などで、下部支承部に対する上部支承部の相対位置を調整することができるため、上部支承部と下部支承部との位置決めを精密に行い、球面すべり支承を精度よく組み立てることができる。また、上部支承部と下部支承部との相対変位が規制された状態で、球面すべり支承を上部構造および下部構造に固定することができるので、球面すべり支承の施工が簡単であり、工期も短くてすむ。この結果、球面すべり支承の施工性が向上する。
【0011】
この場合、上面視において、上部支承部の角部と下部支承部の角部とが周方向に互いにずらされて配置されている。したがって、例えば、上部支承部の角部や下部支承部の角部に上部構造や下部構造を固定する時に、各角部を上方または下方に露出させておくことができる。これにより、上部支承部の角部や下部支承部の角部に、例えばボルトを容易に施工することが可能になり、施工性を向上させることができる。
また、固定治具は上部支承部の辺部と下部支承部の辺部との交差部分に配置されるため、固定治具の取り付け位置が上部支承部および下部支承部の角部から離れている。したがって、上部支承部の角部や下部支承部の角部に上部構造や下部構造を固定する時に、固定治具が邪魔にならない。これにより、固定治具を球面すべり支承に取り付けたままであっても、上部支承部および下部支承部に上部構造および下部構造を容易に固定することが可能である。
さらに、固定治具を交差部分に配置することにより、上部支承部と下部支承部とが周方向に相対的に回転しようとした際に、上部支承部と下部支承部とから固定治具に作用する力を、固定治具が効果的に受け止めることができる。より具体的には、固定治具を交差部分以外の位置に配置し、固定治具を、高さ方向に対して傾斜するように配置した場合には、上部支承部と下部支承部とが周方向に相対的に回転しようとした際に、固定治具にねじれの力が大きく作用し易くなる。しかしながら、本発明においては、固定治具を交差部分に配置しているので、固定治具を、高さ方向に対して真直に配置することが可能になり、固定治具のそれぞれに作用するねじれの力を小さく抑えることができる。
【0013】
この場合、固定治具の第1板を上部支承部の辺部に固定し、固定治具の第2板を下部支承部の辺部に固定することができるため、上部支承部と下部支承部との周方向における相対的な回転を効果的に阻止することができる。したがって、固定治具により、上部支承部と下部支承部との相対変位をより効果的に規制することができる。
【0014】
また、本発明に係る固定治具付き球面すべり支承において、前記固定治具の前記第1板および前記第2板の少なくとも1つは角部に切欠きを有していてもよい。
【0015】
この場合、切欠きにより、上部支承部および下部支承部を上部構造および下部構造にそれぞれ取り付ける際の作業空間を広く確保することができる。したがって、球面すべり支承の施工性が向上する。
【0016】
また、本発明に係る固定治具付き球面すべり支承において、前記固定治具は、前記球面すべり支承を吊り下げて運搬するための吊り穴を有していてもよい。
【0017】
この場合、固定治具付き球面すべり支承を、吊り穴を用いて容易にかつ安全にクレーン等にて吊り下げて運搬することができる。
【0018】
また、本発明に係る固定治具付き球面すべり支承において、複数の前記固定治具が前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられていてもよい。
【0019】
この場合、複数の固定治具にて、上部支承部と下部支承部との相対変位をより確実に規制することができる。
【0020】
また、本発明に係る固定治具は、球面すべり支承の上面視において矩形状に形成され、上部構造が固定される上部支承部、前記上面視において矩形状に形成され、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有し、前記上面視において、前記上部支承部の角部と前記下部支承部の角部とが、前記球面すべり支承の中心軸線回りに周回する周方向に互いにずらされて配置され、前記上部支承部の辺部と前記下部支承部の辺部とが、互いに交差する球面すべり支承に取り付けられる固定治具であって、前記上部支承部の前記辺部と前記下部支承部の前記辺部との交差部分に配置されて前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制し、前記上面視において前記上部支承部の前記辺部に沿って延びる第1板と、前記上面視において前記下部支承部の前記辺部に沿って延びる第2板と、前記第1板と前記第2板とを接続する屈曲部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る球面すべり支承の施工方法は、上部支承部と、下部支承部と、前記上部支承部と前記下部支承部との間に設けられるスライダと、を有する球面すべり支承の施工方法であって、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具を、前記上部支承部および前記下部支承部に取付ける第1工程と、前記第1工程の後、前記固定治具が有する吊り穴を用いて前記球面すべり支承を吊り下げ搬送し、前記上部支承部および前記下部支承部に、上部構造および下部構造をそれぞれ固定する第2工程と、前記第2工程の後、前記上部支承部および前記下部支承部のうちの少なくとも一方から前記固定治具を取り外す第3工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る固定治具付き球面すべり支承は、上部構造が固定される上部支承部、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有する球面すべり支承と、前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制する固定治具と、を備え、前記固定治具は、前記球面すべり支承を吊り下げて運搬するための吊り穴を有することを特徴とする。
また、本発明に係る固定治具は、上部構造が固定される上部支承部、下部構造が固定される下部支承部、および前記上部支承部と前記下部支承部との間に配置されたスライダを有する球面すべり支承に取り付けられる固定治具であって、前記上部支承部および前記下部支承部に取り付けられ、前記上部支承部と前記下部支承部との相対変位を規制し、前記球面すべり支承を吊り下げて運搬するための吊り穴を有することを特徴とする。

【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、上部支承部と下部支承部との精密な位置決めが可能であり、かつ施工性に優れた球面すべり支承の施工方法、固定治具付き球面すべり支承、および固定治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る固定治具付き球面すべり支承の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る固定治具付き球面すべり支承の(a)上面図および(b)断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る第1固定治具の六面図であって、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は上面図、(f)は下面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る第2固定治具の六面図であって、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は左側面図、(e)は上面図、(f)は下面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る球面すべり支承の施工方法を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る球面すべり支承の施工方法を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態に係る球面すべり支承の施工方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る固定治具2付き球面すべり支承1を説明する。
図1および図2に示すように、球面すべり支承1は、上部支承部11と、下部支承部12と、上部支承部11と下部支承部12との間に設けられるスライダ13と、を有する。
【0024】
上部支承部11は、球面すべり支承1の上面視において矩形状に形成される上面11aおよび下面11bと、上面11aと下面11bとを接続する4つの辺部11cとを有する。すなわち、上部支承部11は、球面すべり支承1の上面視において矩形状(図示の例では正方形状)に形成される。上面11aは、上部支承部11を上部構造100に固定した際に上部構造100に当接する。下面11bは、上方に凹む凹球面状とされており、スライダ13と当接する。上部支承部11の4つの角部11dのそれぞれには、上部支承部11を上面11aから下面11bまで貫通する上部構造固定用のボルト穴11eが設けられている。上部支承部11の4つの辺部11cのそれぞれには、上部支承部11の内側へ向けて延びる固定治具固定用のボルト穴11fが設けられている。
【0025】
下部支承部12は上部支承部11と略同一形状であり、球面すべり支承1の上面視において矩形状に形成される上面12aおよび下面12bと、上面12aと下面12bとを接続する4つの辺部12cとを有する。すなわち、下部支承部12は、球面すべり支承1の上面視において矩形状(図示の例では正方形状)に形成される。上面12aは、下方に凹む凹球面状とされており、スライダ13と当接する。下面12bは、下部支承部12を下部構造200に固定した際に下部構造200に当接する。下部支承部12の4つの角部12dのそれぞれには、下部支承部12を上面12aから下面12bまで貫通する下部構造固定用のボルト穴12eが設けられている。下部支承部12の4つの辺部12cのそれぞれには、下部支承部12の内側へ向けて延びる固定治具固定用のボルト穴12fが設けられている。
【0026】
図2(b)に示すように、スライダ13は、上部支承部11の下面11bと接する上半面13aと、下部支承部12の上面12aと接する下半面13bと、を有する。上半面13aは上部支承部11の下面11bに対応する凸球面状に形成されている。下半面13bは下部支承部12の上面12aに対応する凸球面状に形成されている。スライダ13は、上部支承部11の下面11bと、下部支承部12の上面12aとの間に挟み込まれて、上部支承部11の下面11bと、下部支承部12の上面12aとの間でスライド移動可能となっている。
なお、上部支承部11、下部支承部12およびスライダ13は、初期状態において互いに同軸に配置されている。以下、初期状態における上部支承部11、下部支承部12およびスライダ13の共通軸を、球面すべり支承1の中心軸線Cという。
【0027】
また、初期状態では、球面すべり支承1の上面視において、上部支承部11の角部11dと下部支承部12の角部12dとは、球面すべり支承1の中心軸線C回りに周回する周方向に互いにずらされて配置され、上部支承部11の辺部11cと下部支承部12の辺部12cとが、8か所において交差している。図2(a)に示すように、上部支承部11の辺部11cと下部支承部12の辺部12cとの交差部分をP1〜P8とする。
なお、本実施形態においては、上面視において、上部支承部11の辺部11cと下部支承部12の辺部12cとが全長にわたって重なり合っている状態から、上部支承部11を下部支承部12に対して周方向に45度回転させて配置する。この結果、上面視において、交差部分P1〜P8における上部支承部11の辺部11cと、下部支承部12の辺部12cとのなす角は135度となる。
【0028】
図1および図2に示すように、上部支承部11および下部支承部12には、上部支承部11と下部支承部12との相対変位を規制する固定治具2(2A、2B)が取り付けられている。本実施形態においては、8つの固定治具2(2A、2B)が、上部支承部11の辺部11cと下部支承部12の辺部12cとの交差部分P1〜P8にそれぞれ配置されている。
【0029】
固定治具2は、第1固定治具2Aと、第2固定治具2Bとを備える。本実施形態においては、第1固定治具2Aと第2固定治具2Bとは周方向において交互に設けられる。すなわち、4つの第1固定治具2Aが交差部分P1、P3、P5、P7にそれぞれ配置され、4つの第2固定治具2Bが交差部分P2、P4、P6、P8にそれぞれ配置される。
【0030】
図3に示すように、第1固定治具2Aは、第1板21と、第2板22と、第1板21と第2板22とを接続する屈曲部23と、を備える。第1板21は、上面視において上部支承部11の辺部11cに沿って延びる。第2板22は、上面視において下部支承部12の辺部12cに沿って延びる。上述のように、本実施形態においては、上面視において、交差部分P1〜P8における辺部11cと辺部12cとのなす角は135度である。したがって、上面視において、第1板21と第2板22とのなす角(屈曲部23のなす角)も135度とされている。
【0031】
第1板21の上部には、上部支承部固定用のボルト穴21aが第1板21を貫通して設けられている。第2板22の下部には、下部支承部固定用のボルト穴22aが第2板22を貫通して設けられている。ボルト穴21aおよびボルト穴22aのうちの少なくとも一方(本実施形態においてはボルト穴21a)は、高さ方向に長軸が延びる楕円形である。第1固定治具2Aを球面すべり支承1に取り付けるときには、ボルト穴21aおよびボルト穴11fに第1のボルト31aが挿通され、かつ、ボルト穴22aおよびボルト穴12fに第2のボルト31bが挿通される。
第1板21の下角部には切欠き21bが形成される。第2板22の上角部には切欠き22bが形成される。切欠き21bは、直線状に形成され、切欠き22bは曲線状に形成されている。
【0032】
図4に示すように、第2固定治具2Bは、第1板24と、第2板25と、第1板24と第2板25とを接続する屈曲部26と、を備える。第1板24は、上面視において上部支承部11の辺部11cに沿って延びる。第2板25は、上面視において下部支承部12の辺部12cに沿って延びる。上面視において、第1板24と第2板25とのなす角(屈曲部26のなす角)も135度とされている。
【0033】
第1板24の上部には、上部支承部固定用のボルト穴24aが第1板24を貫通して設けられている。第2板25の下部には、下部支承部固定用のボルト穴25aが第2板25を貫通して設けられている。ボルト穴24aおよびボルト穴25aのうちの少なくとも一方(本実施形態においてはボルト穴24a)は、高さ方向に長軸が延びる楕円形である。第2固定治具2Bを球面すべり支承1に取り付けるときには、ボルト穴24aおよびボルト穴11fに第3のボルト32aが挿通され、かつ、ボルト穴25aおよびボルト穴12fに第4のボルト32bが挿通される。
第1板24の下角部には切欠き24bが形成される。切欠き24bは、直線状に形成される。第2板25の上部には、球面すべり支承1を吊り下げて運搬するための吊り穴25bが第2板25を貫通して設けられる。
【0034】
次に、球面すべり支承1の施工方法について、図5図7を参照して説明する。
まず、例えば工場にて、上部支承部11と、下部支承部12と、スライダ13とを初期状態に組み立てる。その後、固定治具2(2A、2B)を上部支承部11および下部支承部12に取付ける(第1工程)。これにより、初期状態で、上部支承部11と下部支承部12との相対変位が規制される。
【0035】
図1および図2を参照して、固定治具2(2A、2B)の取り付け方法について以下に詳述する。
まず、第1固定治具2Aを、第1板21が上部支承部11の辺部11cに当接し、第2板22が下部支承部12の辺部12cに当接するように配置する。第1のボルト31aをボルト穴21aおよびボルト穴11fに挿通して第1板21を上部支承部11とボルト締めし、第2のボルト31bをボルト穴22aおよびボルト穴12fに挿通して第2板22を下部支承部12とボルト締めすることにより、第1固定治具2Aを上部支承部11および下部支承部12に固定する。
なお、球面すべり支承1や第1固定治具2Aの製造誤差により、ボルト穴11fとボルト穴21aとの位置、あるいはボルト穴12fとボルト穴22aとの位置が高さ方向においてずれている場合がある。しかしながら、ボルト穴21aは楕円形であるので、ボルト穴21aが高さ方向のずれを許容して、第1固定治具2Aを上部支承部11および下部支承部12に取り付けることが可能である。
【0036】
第1固定治具2Aと同様に、第2固定治具2Bを、第1板24が上部支承部11の辺部11cに当接し、第2板25が下部支承部12の辺部12cに当接するように配置する。第3のボルト32aをボルト穴24aおよびボルト穴11fに挿通して第1板24を上部支承部11とボルト締めし、第4のボルト32bをボルト穴25aおよびボルト穴12fに挿通して第2板25を下部支承部12とボルト締めすることにより、第2固定治具2Bを上部支承部11および下部支承部12に固定する。
この時も、ボルト穴24aは楕円形であるので、ボルト穴11fとボルト穴24aとの位置、あるいはボルト穴12fとボルト穴25aとの位置が高さ方向においてずれている場合であっても、ボルト穴24aが高さ方向のずれを許容して、第2固定治具2Bを上部支承部11および下部支承部12に取り付けることが可能である。
【0037】
第1工程の後、固定治具2付き球面すべり支承1を、工場から工事現場へ運搬する。その後、図5および図6に示すように、工事現場にて、上部支承部11および下部支承部12に、上部構造100および下部構造200をそれぞれ固定する(第2工程)。
【0038】
具体的には、図5に示すように、工事現場にて施工された下部構造200上の所定箇所まで、固定治具2付き球面すべり支承1を、第2固定治具2Bの吊り穴25bを用いてクレーンにて吊り下げ運搬する。より詳細には、下部構造200に設けられた不図示のボルト穴の位置と、下部支承部12のボルト穴12eの位置とが一致するように、固定治具2付き球面すべり支承1を下部構造200上に配置する。第5のボルト33をボルト穴12eおよび下部構造200のボルト穴に挿通して下部支承部12を下部構造200にボルト締めすることにより、下部支承部12を下部構造200に固定する。なお、この際、第1固定治具2Aに切欠き22bが設けられているため、ボルト締め用の作業空間(例えば、レンチを使用する作業用の空間)を広く確保することができる。
【0039】
その後、図6に示すように、上部支承部11の上に、上部構造100のベースプレート100aを、ベースプレート100aに設けられた不図示のボルト穴の位置と、上部支承部11のボルト穴11eの位置とが一致するように配置する。第6のボルト34をボルト穴11eおよびベースプレート100aのボルト穴に挿通してベースプレート100aを上部支承部11にボルト締めすることにより、上部構造100のベースプレート100aを上部支承部11に固定する。なお、この際、第1固定治具2Aに切欠き21bが設けられ、第2固定治具2Bに切欠き24bが設けられているため、ボルト締め用の作業空間を広く確保することができる。
その後、ベースプレート100a上にコンクリートを打設することにより、上部構造100の残りの部分を施工する。
【0040】
第2工程の後、図7に示すように、上部支承部11および下部支承部12のうちの少なくとも一方から固定治具2を取り外す(第3工程)。なお固定治具2は、例えば上部構造100におけるコンクリートの打設後の適宜のタイミングで取り外すことが可能であり、例えば、前記コンクリートが完全に硬化してから取り外してもよいし、完全に硬化する前に取り外すこともできる。
本実施形態においては、第1工程で行われた固定治具2(2A、2B)と上部支承部11および下部支承部12とのボルト締めを全て解除し、固定治具2を球面すべり支承1から完全に取り外す。
これにより、球面すべり支承1の施工が完了する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る球面すべり支承1の施工方法は、上部支承部11と下部支承部12との相対変位を規制する固定治具2(2A、2B)を、上部支承部11および下部支承部12に取付ける第1工程と、第1工程の後、上部支承部11および下部支承部12に、上部構造100および下部構造200をそれぞれ固定する第2工程と、第2工程の後、上部支承部11および下部支承部12のうちの少なくとも一方から固定治具2を取り外す第3工程と、を備える。
また、本実施形態に係る固定治具2付き球面すべり支承1は、上部支承部11、下部支承部12、スライダ13を有する球面すべり支承1と、上部支承部11および下部支承部12に取り付けられ、上部支承部11と下部支承部12との相対変位を規制する固定治具2と、を備える。
第1工程において、例えば工場にて固定治具2を球面すべり支承1に取り付けることにより球面すべり支承1の上部支承部11と下部支承部12との相対変位を規制し、その後、第2工程において、球面すべり支承1を工事現場まで運搬して設置する。第2工程を実施する前に、工場などで、下部支承部12に対する上部支承部11の相対位置を調整することができるため、上部支承部11と下部支承部12との位置決めを精密に行い、球面すべり支承1を精度よく組み立てることができる。また、上部支承部11と下部支承部12との相対変位が規制された状態で、球面すべり支承1を上部構造100および下部構造200に固定することができるので、球面すべり支承1の施工が簡単であり、工期も短くてすむ。この結果、球面すべり支承1の施工性が向上する。
【0042】
さらに、本実施形態においては、上部支承部11および下部支承部12はそれぞれ上面視において矩形状に形成されている。上面視において、上部支承部11の角部11dと下部支承部12の角部12dとが周方向に互いにずらされて配置され、上部支承部11の辺部11cと下部支承部12の辺部12cとが互いに交差している。固定治具2は、上部支承部11の辺部11cと下部支承部12の辺部12cとの交差部分P1〜P8に配置されている。
上面視において、上部支承部11の角部11dと下部支承部12の角部12dとが周方向に互いにずらされて配置されている。したがって、例えば、上部支承部11の角部11dや下部支承部12の角部12dに上部構造100や下部構造200を固定する時に、各角部11d、12dを上方または下方に露出させておくことができる。これにより、上部支承部11の角部11dや下部支承部12の角部12dに、例えばボルトを容易に施工することが可能になり、施工性を向上させることができる。
また、固定治具2は上部支承部11の辺部11cと下部支承部12の辺部12cとの交差部分P1〜P8に配置されるため、固定治具2の取り付け位置が上部支承部11および下部支承部12の角部11d、12dから離れている。したがって、上部支承部11の角部11dや下部支承部12の角部12dに上部構造100や下部構造200を固定する時に、固定治具2が邪魔にならない。これにより、固定治具2を球面すべり支承1に取り付けたままであっても、上部支承部11および下部支承部12に上部構造100および下部構造200を容易に固定することが可能である。
さらに、固定治具2を交差部分P1〜P8に配置することにより、上部支承部11と下部支承部12とが周方向に相対的に回転しようとした際に、上部支承部11と下部支承部12とから固定治具2に作用する力を、固定治具2が効果的に受け止めることができる。より具体的には、固定治具2を交差部分P1〜P8以外の位置に配置し、固定治具2を、高さ方向に対して傾斜するように配置した場合には、上部支承部11と下部支承部12とが周方向に相対的に回転しようとした際に、固定治具2にねじれの力が大きく作用し易くなる。しかしながら、本実施形態においては、固定治具2を交差部分P1〜P8に配置しているので、固定治具2を、高さ方向に対して真直に配置することが可能になり、固定治具2のそれぞれに作用するねじれの力を小さく抑えることができる。
【0043】
また、本実施形態においては、複数の固定治具2(2A、2B)が上部支承部11および下部支承部12に取り付けられる。
したがって、複数の固定治具2(2A、2B)にて、上部支承部11と下部支承部12との相対変位をより確実に規制することができる。
【0044】
さらに、本実施形態においては、固定治具2(2A、2B)が、上面視において上部支承部11の辺部11cに沿って延びる第1板21、24と、上面視において下部支承部12の辺部12cに沿って延びる第2板22、25と、第1板21、24と第2板22、25とを接続する屈曲部23、26と、を備える。
固定治具2(2A、2B)の第1板21、24を上部支承部11の辺部11cに固定し、固定治具2(2A、2B)の第2板22、25を下部支承部12の辺部12cに固定することができるため、上部支承部11と下部支承部12との周方向における相対的な回転を効果的に阻止することができる。したがって、固定治具2(2A、2B)により、上部支承部11と下部支承部12との相対変位をより効果的に規制することができる。
【0045】
さらに、本実施形態においては、第1固定治具2Aの第1板21の下角部に切欠き21bを有し、第1固定治具2Aの第2板22の上角部に切欠き22bを有し、第2固定治具2Bの第1板24の下角部に切欠き24bを有する。
切欠き21b、22b、24bにより、上部支承部11および下部支承部12を上部構造100および下部構造200にそれぞれ取り付ける際の作業空間を広く確保することができる。したがって、球面すべり支承1の施工性が向上する。
【0046】
さらに、本実施形態においては、第2固定治具2Bは球面すべり支承1を吊り下げて運搬するための吊り穴25bを有する。
したがって、固定治具2付き球面すべり支承1を、吊り穴25bを用いて容易にかつ安全にクレーン等にて吊り下げて運搬することができる。
【0047】
さらに、本実施形態においては、切欠き22bを有する第1固定治具2Aと、吊り穴25bを有する第2固定治具2Bとを、4つずつ周方向に交互に設けている。第1固定治具2Aにより球面すべり支承1の施工性を向上させ、第2固定治具2Bにより楊重機能を確保する。したがって、施工性の向上と楊重機能とを両立することができる。
【0048】
さらに、本実施形態においては、固定治具固定用のボルト穴11fが辺部11cから上部支承部11の内側へ向けて延びるように形成され、固定治具固定用のボルト穴12fが辺部12cから下部支承部12の内側へ向けて延びるように形成されている。固定治具2(2A、2B)の第1板21、24の上部には、上部支承部固定用のボルト穴21a、24aが設けられ、固定治具2(2A、2B)の第2板22、25の下部には、下部支承部固定用のボルト穴22a、25aが設けられている。第1板21、24を上部支承部11とボルト締めする際には、ボルト31a、32aがボルト穴21a、24aおよびボルト穴11fに挿通される。第2板22、25を下部支承部12とボルト締めする際には、ボルト31b、32bがボルト穴22a、25aおよびボルト穴12fに挿通される。ボルト31a、32aとボルト31b、32bとが上部支承部11および下部支承部12の相対的な回転を阻止する方向に配置されているため、固定治具2(2A、2B)により上部支承部11および下部支承部12の相対変位をより効果的に規制することができる。
【0049】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態においては、上面視において、上部支承部11の角部11dと下部支承部12の角部12dとが、周方向に45度ずらされて配置されている。しかしながら、施工条件等に応じて、上部支承部11の角部11dと下部支承部12の角部12dとを45度以外の角度でずらしてもよい。
また、本実施形態においては、固定治具2(2A、2B)の第1板21、24と第2板22、25とのなす角が135度となっている。しかしながら、上部支承部11の角部11dと下部支承部12の角部12dとのずれ角度に応じて、第1板と第2板とのなす角も適宜設定される。
【0050】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1…球面すべり支承 11…上部支承部 11c…辺部 11d…角部 12…下部支承部 12c…辺部 12d…角部 13…スライダ 2、2A、2B…固定治具 21、24…第1板 22、25…第2板 23、26…屈曲部 21b、22b、24b…切欠き 25b…吊り穴 P1〜P8…交差部分
【要約】
【課題】上部支承部と下部支承部との精密な位置決めが可能であり、かつ施工性に優れた球面すべり支承の施工方法、固定治具付き球面すべり支承、および固定治具を提供する。
【解決手段】上部支承部11と、下部支承部12と、上部支承部11と下部支承部12との間に設けられるスライダと、を有する球面すべり支承1の施工方法であって、上部支承部11と下部支承部12との相対変位を規制する固定治具2を、上部支承部11および下部支承部12に取付ける第1工程と、第1工程の後、上部支承部11および下部支承部12に、上部構造および下部構造をそれぞれ固定する第2工程と、第2工程の後、上部支承部11および下部支承部12のうちの少なくとも一方から固定治具2を取り外す第3工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7